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JPH09199006A - 電子源とその製造方法及びその通電活性化装置と前記電子源を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子源とその製造方法及びその通電活性化装置と前記電子源を用いた画像形成装置

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Publication number
JPH09199006A
JPH09199006A JP655296A JP655296A JPH09199006A JP H09199006 A JPH09199006 A JP H09199006A JP 655296 A JP655296 A JP 655296A JP 655296 A JP655296 A JP 655296A JP H09199006 A JPH09199006 A JP H09199006A
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JP
Japan
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voltage
electron
surface conduction
substrate
row
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Withdrawn
Application number
JP655296A
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English (en)
Inventor
Tomotake Suzuki
朝岳 鈴木
Hidetoshi Suzuki
英俊 鱸
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチ電子源の表面伝導型電子放出素子の通
電活性化時において、非選択の素子に流れる無効電流を
減少させる。 【解決手段】 制御部104は、ライン選択部102、
画素選択部106により基板101の全素子を選択して
高抵抗化パルスを印加した後、ライン選択部102によ
り順次行方向のラインを選択し、そのラインに−Vf/
2の電位を、画素選択部106からVf/2のパルス電
位を印加する。この際、電流検出部107により、この
配線に流れる電流値を測定し、その電流が所定値になる
と、その素子の通電活性化が終了したものとみなす。
又、前述の高抵抗化パルスにより素子の高抵抗状態が保
持される時間(Thr)が経過すると、再度、高抵抗化パ
ルスを印加して素子を高抵抗状態にセットする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源とその製造
方法及びその応用である画像形成装置に関し、より詳し
くは表面伝導型電子放出素子を多数備える電子源と、そ
の製造方法と通電活性化装置及び前記電子源を用いた画
像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、例えば表面伝導型電子放出素子や、電界放
出型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属
型放出素子(以下MIM型と記す)などが知られてい
る。
【0003】またFE型の例としては、例えば、W. P.
Dyke & W. W. Dolan,“Field emission”, Advance in
Electron Physics, 8, 89 (1956)や、或は、C. A. Spi
ndt,“Physical properties of thin-film field emis
sion cathodes with molybdenium cones”, J. Appl. P
hys., 47, 5248 (1976)などが知られている。
【0004】また、MIM型の例としては、例えば、C.
A. Mead,“Operation of tunnel-emission Devices,
J. Appl. Phys., 32,646 (1961)などが知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子としては、例え
ば、M. I. Elinson, Radio E-ng. Electron Phys., 10,
1290, (1965)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン(Eli
nson)等によるSnO2薄膜を用いたものの他に、Au薄
膜によるもの[G. Dittmer:“Thin Solid Films”,9,3
17 (1972)]や、In2O3/SnO2薄膜によるもの[M.
Hartwell and C. G.Fonstad:”IEEE Trans. ED Con
f.”,519 (1975)]や、カーボン薄膜によるもの[荒木
久 他:真空、第26巻、第1号、22(1983)]
等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の素子構
成の典型的な例として、図25に前述のM. Hartwellら
による素子の平面図を示す。
【0008】同図において、3001は基板で、300
4はスパッタで形成された金属酸化物よりなる導電性薄
膜である。導電性薄膜3004は図示のようにH字形の
平面形状に形成されている。この導電性薄膜3004
に、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を施す
ことにより、電子放出部3005が形成される。図中の
間隔Lは、0.5〜1[mm],幅Wは、0.1[m
m]に設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出
部3005は導電性薄膜3004の中央に矩形の形状で
示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出
部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0009】M. Hartwellらによる素子をはじめとして
上述の表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を
行う前に導電性薄膜3004に通電フォーミングと呼ば
れる通電処理を施すことにより電子放出部3005を形
成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングと
は、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流電圧、
もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくりとした
レートで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導電性薄
膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部3005を形
成することである。尚、局所的に破壊もしくは変形もし
くは変質した導電性薄膜3004の一部には亀裂が発生
する。この通電フォーミング後に導電性薄膜3004に
適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近において
電子放出が行われる。
【0010】上述の表面伝導型電子放出素子は、冷陰極
素子の中でも特に構造が単純で製造も容易であることか
ら、大面積に亙り多数の素子を形成できる利点がある。
そこで例えば本願出願人による特開昭64−31332
号公報において開示されるように、多数の素子を配列し
て駆動するための方法が研究されている。
【0011】また、表面伝導型電子放出素子の応用につ
いては、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画
像形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0012】特に画像表示装置への応用としては、例え
ば本願出願人によるUSP5,066,883や特開平
2−257551号公報や特開平4−28137号公報
において開示されているように、表面伝導型電子放出素
子と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合
わせて用いた画像表示装置が研究されている。このよう
な表面伝導型電子放出素子と蛍光体とを組み合わせて用
いた画像表示装置は、従来の他の方式の画像表示装置よ
りも優れた特性が期待されている。例えば、近年普及し
てきた液晶表示装置と比較しても、自発光型であるため
バックライトを必要としない点や、視野角が広い点が優
れていると言える。
【0013】本願発明者らは、上記従来技術に記載した
ものを初めとして、種々の材料、製法、構造の冷陰極素
子を試みてきた。更に、多数の冷陰極素子を配列したマ
ルチ電子ビーム源、並びにこのマルチ電子ビーム源を応
用した画像表示装置について研究を行ってきた。
【0014】本願発明者らは、例えば図26に示す電気
的な配線方法によるマルチ電子ビーム源を試みてきた。
即ち、冷陰極素子を2次元的に多数個配列し、これらの
素子を図示のようにマトリクス状に配線したマルチ電子
ビーム源である。
【0015】図中、4001は冷陰極素子を模式的に示
したもの、4002は行方向配線、4003は列方向配
線を示している。行方向配線4002及び列方向配線4
003は、実際には有限の電気抵抗を有するものである
が、図においては配線抵抗4004及び4005として
示されている。上述のような配線方法を、単純マトリク
ス配線と呼ぶ。尚、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビ
ーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0016】表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス
配線したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビ
ームを出力させるため、行方向配線4002及び列方向
配線4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マ
トリクスの中の任意の1行の表面伝導型電子放出素子を
駆動するには、選択する行の行方向配線4002には選
択電圧Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4
002には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して
列方向配線4003に電子ビームを出力するための駆動
電圧Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗40
04及び4005による電圧降下を無視すれば、選択す
る行の表面伝導型電子放出素子には、(Ve−Vs)の電
圧が印加され、また非選択行の表面伝導型電子放出素子
には(Ve−Vns)の電圧が印加される。ここで、これ
らVe,Vs,Vnsの電圧値を適宜の大きさの電圧にすれ
ば、選択する行の表面伝導型電子放出素子だけから所望
の強度の電子ビームが出力されるはずであり、また列方
向配線4003の各々に異なる駆動電圧Veを印加すれ
ば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子ビー
ムが出力されるはずである。また、表面伝導型電子放出
素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加
する時間の長さを変えれば、電子ビームが出力される時
間の長さも変えることができるはずである。
【0017】従って、表面伝導型電子放出素子を単純マ
トリクス配線したマルチ電子ビーム源には種々の応用で
きる可能性があり、例えば画像情報に応じた電気信号を
適宜印加すれば、画像表示装置用の電子源として好適に
用いることができる。
【0018】一方、発明者らは表面伝導型電子放出素子
の特性を改善するための研究を鋭意行った結果、製造工
程において通電活性化処理を行うことが効果的であるこ
とを見出した。
【0019】既に述べたように、表面伝導型電子放出素
子の電子放出部を形成する際には、導電性薄膜に電流を
流して該薄膜を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質
させて亀裂を形成する処理(通電フォーミング処理)を
行う。この後更に通電活性化処理を行うことにより電子
放出特性を大幅に改善することが可能である。
【0020】即ち、この通電活性化処理とは、通電フォ
ーミング処理により形成された電子放出部に適宜の条件
で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を
堆積せしめる処理のことである。例えば、適宜の分圧の
有機物が存在し、全圧が10のマイナス4乗〜10のマ
イナス5乗[torr]の真空雰囲気中において、電圧パル
スを定期的に印加することにより、電子放出部の近傍に
単結晶グラファイト、多結晶グラファイト、非晶質カー
ボンのいずれかか、もしくはその混合物を500[オン
グストローム]以下の膜厚で堆積させる。但し、この条
件はほんの一例であって、表面伝導型電子放出素子の材
質や形状により適宜変更されるべきであるのは言うまで
もない。
【0021】このような処理を行うことにより、通電フ
ォーミング直後と比較して、同じ印加電圧における放出
電流を典型的には100倍以上増加させることが可能で
ある。尚、この通電活性化終了後には、真空雰囲気中の
有機物の分圧を低減させるのが望ましい。
【0022】従って、上述の多数の表面伝導型電子放出
素子を単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源を製
造する際においても、各素子に通電活性化処理を行うの
が望ましい。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】このような通電活性化
処理工程を付加することで、表面伝導型放出素子の電子
放出特性の安定化が計られたが、これを単純マトリック
ス配線などのマルチ表面伝導型放出素子に適用した場合
には、以下のような問題点が発生した。
【0024】例えば、m行n列の単純マトリクス状にこ
れら表面伝導型電子放出素子が配列されている場合、1
〜m行までのラインの順に一定時間毎に通電して活性化
していくことになる。この単純マトリクス配線された素
子を活性化する際の等価回路図を図27に示す。この図
27は、2ライン目の素子に対して、活性化のための電
圧波形を印加している様子を示している。
【0025】図31は、この活性化処理における電圧信
号の波形を示す図で、ここではパルス幅がT1で、周期
T2の電圧Vfの電圧波形が印加されている。各ラインの
活性化時間は、図28に示したような各素子の活性化特
性等から求めて決定されるが、実際には個々の素子で活
性化の進行速度や、最終的に達する素子電流(If)、放出
電流(Ie)が異なる。これを説明したのが図29である。
【0026】この図29に示すように、通電活性化を終
了させる時間を一律に決定すると、a,b,cの各素子
における、活性化終了時の素子電流Ifがそれぞれ異な
った値になってしまい、これに対応して、所定の素子電
圧に対する放出電流Ieもそれぞれの素子で異なってし
まうことになる。これと同様なことがライン単位に活性
化を実施した場合にも生じ、最終的に得られたマルチ表
面伝導型放出素子のそれぞれの電子放出特性がばらばら
になってしまうという問題が発生した。
【0027】つまり理想的には、通電活性化時の各素子
毎の素子電流をモニタし、活性化の進行度合いを把握
し、目標とする素子電流Ifを達成した表面伝導型電子
放出素子については活性化を終了し、活性化が終了した
後の各表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を揃える
ことが必要になる。しかしながら従来は、活性化が行わ
れる有機物が存在する真空下(活性化雰囲気と呼ぶ)で
は、任意の素子だけを活性化することは困難であった。
【0028】この理由を図30を参照して説明する。こ
の図30は、m行×n列の単純マトリクス配線の素子構
成において、2行目の1列目と2列目の素子のみ(この
素子をF(2,1),F(2,1)とする)を活性化している状態
を示している。図で示す如く、2行目の行方向配線には
−Vf/2の波高値のパルス電圧を印加し、1列目と2
列目の配線には+Vf/2の波高値の電圧パルスを印加
している(ここで電圧値Vfは図31で示した電圧値Vf
と等しい)。そして、その他の配線は全て0V、即ち接
地されている。これにより、素子F(2,1)及びF(2,2)の
両電極間には活性化電圧Vfが印加されるが、2行目の
行方向配線に接続された他の素子(F(2,3), F(2,4),
…F(2,n))、及び、他の行の1列目と2列目の素子(F
(1,1),F(3,1)…F(m,1) , F(1,2),F(3,2),…F
(n,1))については、半選択電圧と呼ばれるVf/2の電
圧が印加された状態となる。
【0029】ここで、この活性化雰囲気における素子の
典型的なI−V特性、即ち、該素子に印加される電圧V
fと電流Ifの関係について説明する。
【0030】表面伝導型放出素子の典型的なI−V特
性、即ち、該素子に流れる電流(If)と該素子に印加さ
れる電圧(Vf)との関係について図6を用いて説明す
る。
【0031】この表面伝導型放出素子は、適宜の分圧の
有機物が存在する雰囲気の下においいては、該素子に印
加される電圧(Vf)に対して該素子に流れる電流(If)は
必ずしも一義的に定まるものではない。その特性には大
別して2つの型があるが、この内、第1の型においては
該素子に流れる電流(If)は、印加電圧(Vf)を0[V]か
ら増加させてゆくにつれて一旦は増加するが、その後、
電流が減少に転じ、更にその後はほぼ一定若しくは微増
傾向を示す。一方、第2の型においては、その素子に流
れる電流(If)は、印加電圧(Vf)を0[V]から増加させ
ていくにつれて常に増加傾向を示すものである。
【0032】説明の便宜上、前記第1の型を静特性、前
記第2の型を動特性と呼ぶ。図6において、破線は約1
V/分以下の電圧掃引スピードで得られる静特性を示し
ている。つまり、Vf=0〜V1の領域(領域A)では、
素子に流れる素子電流(If)は素子電圧(Vf)の増加に伴
って単調増加し、V1で最大になる。また素子電圧Vf=
V1〜V2の領域(領域B)では、素子に流れる電流(I
f)は、素子電圧(Vf)の増加に伴って減少する、所謂、
電圧制御型負性抵抗特性(以下、VCNR[voltage con
trolled negative resistance]特性という)を示す。更
に、素子電圧Vf=V2〜Vdの領域(領域C)では、該
素子に流れる電流(If)は電圧(Vf)の増加に対して
ほとんど変化しない。尚、V1は素子電流Ifが極大値を
示す時の素子電圧値を示し、V2は素子電流Ifの減少曲
線の接線のうち最大傾き接線のVf軸切片である。一
方、素子からの放出電流(Ie)は電圧(Vf)の増加に伴
い、Veを電子放出閾値として増加していく。
【0033】また、図中実線700は、約10V/秒以
上の電圧掃引スピードで得られる動特性を示している。
つまり最大素子電圧がVdで掃引した場合(If(Vd)曲
線参照)、素子電圧Ve付近から素子に流れる電流(If)
が徐々に増加し、素子電圧Vdで静特性を示す素子電流
Ifとほぼ一致する素子電流値が得られている。また実
線701は、最大電圧V2で掃引した場合(If(V2)曲
線参照)を示しており、領域A,Bにおいて素子電流I
fは徐々に増加し、素子電圧V2において、静特性のIf
の値とほぼ一致する素子電流Ifが得られている。ま
た、最大電圧を上記の領域Aの最大電圧で掃引すると、
点線で示す静特性のIfカーブとほぼ一致する特性を示
す。もちろん、上記I−V特性に関する静特性、動特性
は、素子を構成する材料、素子形態などを変えることに
より変化するが、一般に良好な電子放出特性を有する表
面伝導型放出素子は、上記2つの特性を有していると言
ってよい。
【0034】つまり、個別素子を活性化するために上述
したような単純マトリクス駆動をすると、選択した所望
の素子以外に半選択電圧が印加される素子が存在するこ
とにる。これにより、その半選択状態の素子には、図6
から明らかなように多大な無効電流が流れることにな
る。このような無効電流のため、活性化装置を大型にす
る必要になるだけでなく、表示パネルの発熱を招き素子
の劣化を加速することになる。更に、基板の材質によっ
ては熱応力によって破壊に至ることになる。
【0035】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、通電活性化時において、非選択の素子に流れる無効
電流を減少させることができる電子源の製造方法及びそ
の通電活性化装置を提供することを目的とする。
【0036】また本発明の目的は、選択した素子だけを
活性化することにより、均一な電子放出特性を持つ電子
源とその製造方法と通電活性化装置及び前記電子源を用
いた画像形成装置を提供することにある。
【0037】又本発明の他の目的は、非選択素子に流れ
る無効電流を抑えて、通電活性化装置の電源容量を小さ
く抑えることができる電子源とその製造方法と通電活性
化装置及び前記電子源を用いた画像形成装置を提供する
ことにある。
【0038】更に本発明の他の目的は、表面伝導型電子
放出素子の劣化を防止した電子源とその製造方法と通電
活性化装置及び前記電子源を用いた画像形成装置を提供
することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電子源の製造方法は以下のような工程を備え
る。即ち、複数の表面伝導型電子放出素子をマトリック
ス状に基板上に配設した電子源の製造方法であって、基
板上に複数の電極と、前記複数の電極のそれぞれに接続
された導電膜と、前記複数の電極をマトリクス状に接続
した複数の行方向配線と列方向配線とを形成する工程
と、前記導電膜のそれぞれに通電して電子放出部を形成
するフォーミング工程と、前記フォーミング工程で形成
された電子放出部に通電して活性化する活性化工程とを
有し、前記活性化工程は、所定電圧のパルスを印加して
前記電子放出部の抵抗を高くした後、前記行方向配線及
び列方向配線に所定の電圧を印加し、前記電子放出部の
内、所定の電流が流れた電子放出部を活性化が終了した
電子放出部とする。
【0040】更に上記目的を達成するために本発明の通
電活性化装置は以下のような構成を備える。即ち、複数
の表面伝導型電子放出素子をマトリックス状に基板上に
配設した電子源の通電活性化装置であって、前記基板の
複数の行方向配線或は列方向配線の少なくとも1つを選
択して第1の電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前
記電圧印加手段により電圧が印加される行方向配線或は
列方向配線に対向す列方向配線或は行方向配線の全てに
第2の電圧を印加する第2の電圧印加手段と、前記基板
上の全ての表面伝導型電子放出素子に所定時間間隔で所
定電圧パルスを印加する印加手段と、前記第1と第2の
電圧印加手段による電圧の印加時、前記表面伝導型電子
放出素子のそれぞれに流れる電流値を検出する検出手段
と、前記検出手段により検出された電流値に基づいて前
記第1及び第2の電圧印加手段を制御する制御手段とを
有する。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0042】<第1の実施の形態>図1は、本実施の形
態における表面伝導型放出素子の通電活性化装置の例を
示す図である。
【0043】図1において、101は通電活性化をする
ために接続されているマルチ表面伝導型放出素子基板
(本実施の形態における基板101には複数の表面伝導
型電子放出素子がマトリックス状に配線されており、既
にフォ−ミング処理が完了しているものとする)であ
り、不図示の真空排気装置に接続されており、10のマ
イナス4乗〜マイナス5乗[torr]程度に真空排気され
ている。また、102は活性化ライン選択部で、制御部
104の指示に従って行方向配線を選択し、その選択し
た行方向配線に電源103よりの電圧を印加している。
電源103は、電子源の行方向配線に印加する電圧を発
生している。107は電流検出部で、電子源の列方向配
線に流れる電流を検出している。106は画素選択部
で、活性化する電子源の列方向配線を選択している。制
御部104は、電流検出部107で検出された電流値を
取り込み、通電活性化のための電圧値を電源103,1
04に対して設定するとともに、ライン選択部102及
び画素選択部106を制御して、行方向及び列方向配線
の選択を制御している。Dx1〜Dxnは電子源基板101
の行方向配線端子を示し、Dy1〜Dynは電子源基板10
1の列方向配線端子を示している。尚、制御部104の
タイマ104aは、後述する高抵抗の保持時間Thrを計
時するためのものである。
【0044】次に図2(a)を参照して、ライン選択部
102における動作を説明する。
【0045】このライン選択部102は、リレー、アナ
ログスイッチ等などのスイッチを主に構成され、表面伝
導型放出素子基板101上にm×nの表面伝導型放出素
子がマトリックス状に配線されているとき、SWx1〜S
Wxmのようにm個のスイッチが並列に並べられ、各スイ
ッチの出力が電子源基板の行方向配線端子Dx1〜Dxmの
それぞれに接続されている。またこれらスイッチの切換
えは、制御部104によりコントロ−ルされ、通電活性
化するべきラインに電源103からの電圧波形が加わる
ように作動する。図2(a)においては、1行目(Sx
1)のラインが選択されて行方向配線端子Dx1にのみ電
圧が印加されており、他のラインはグラウンドに接続さ
れている。
【0046】図2(b)は、画素選択部106の構成を
示す回路図である。
【0047】この画素選択部106もライン選択部10
2と同様にリレー、アナログスイッチなどで構成され、
n個のスイッチが並列に配置されており、この画素選択
部106の出力は電流検出部107を通じて電子源基板
101の列方向配線端子Dy1〜Dynに接続されている。
この図2(b)においては、2列目の配線(Sy2)が選
択されており、その他の列方向配線はグランドに接続さ
れている。
【0048】図3は、本実施の形態の電流検出部107
の構成を示すブロック図である。
【0049】画素選択部106から出力される電圧信号
は、配線Sy1〜Synを通って電流検出部107に入力さ
れる。この電流検出部107は各列方向配線に対応して
設けられた検出用の抵抗Rs1〜Rsnと、これら抵抗の両
端に発生する電圧を計測するための電圧計とを有してい
る。いま図2に示す例では、1行2列目に配置されてい
る1つの素子のみが選択されており、その他のラインは
接地されているためそれに接続された素子には電流が流
れない。この場合は、2列目の抵抗Rs2の両端にのみ電
圧が発生し、その電圧値がV2であれば、その時、その
2列目の列方向配線に流れている電流は、 I1=V2/Rs2 となる。尚、これら抵抗Rs1〜Rsnの各抵抗値は、素子
電流Ifが流れるときの電圧降下によって表面伝導型放
出素子基板への印加電圧に影響を与えないように十分低
い値に設定している。尚、各電圧計の出力値は、A/D
変換器等によりデジタル値に変換されて制御部に104
に出力されている。
【0050】続いて、本実施の形態の装置を用いて、マ
ルチ電子源基板101を活性化する手順について説明す
る。
【0051】まずはじめに制御部104は、基板101
の1行目の表面伝導型電子放出素子を活性化するため
に、ライン選択部102に1行目の配線を選択するよう
信号を出力する。これによりライン選択部102は図2
(a)に示した様に、スイッチSWx1のみをオンさせる
ことにより、電源103から出力される電圧パルス信号
を配線Sx1に出力し、電子源端子Dx1を介して基板10
1の1行目の素子に印加させる。この時の電圧波形を図
4(a)に示す。
【0052】ここで本実施の形態においては、列方向の
電圧が出力されている時間T1を1ミリ秒、その周期T2
を10ミリ秒としている。また図4における電圧Vf
は、前述の課題図2に示した素子電圧Vfと等しい。
【0053】また同時に、制御部104は画素選択部1
06に全画素(1ラインの全素子)を選択するように信
号を送り、これにより画素選択部106のスイッチSW
y1〜SWynが全てオンになり、電源105から出力され
る電圧波形(図4(a))は接続配線Sy1〜Syn、電子
源端子Dy1〜Dynを通って、電子源基板101の全ての
列方向配線に印加される。
【0054】この時の電源105が発生する行方向の駆
動電圧波形を図4(b)に示す。この時の時間T1,T
2,Vfは、前述の図4(a)と同じであり、パルスのタ
イミングも揃っている。つまり電源105は電源103
の反転波形を出力している。これら電源103(負の電
位−Vf/2)と電源105の出力(正の電位Vf/2)
により、電子源基板101の1行目の素子には活性化電
圧Vfのパルスが印加されることになり、1行目の素子
の活性化が開始される。しかし、このままの電圧を印加
し続けると、半選択電圧Vf/2が2行目以降の素子全
部に印加され続けることになるが、この場合、前述した
素子のVCNR特性により低抵抗化が起こり無効電流が
流れることになる。
【0055】ここで本願発明者らが見出したマルチ電子
源の低抵抗化を防ぐ方法について図6を用いて説明す
る。
【0056】低抵抗化した表面伝導型放出素子に降電圧
レート(パルス立ち下がり)10V/秒以上の電圧パル
スを印加すると、図6の領域A〜領域Bで示すようなI
−V静特性とは異なる高抵抗状態に遷移する。ここで高
抵抗状態とは、素子が有限時間の間に前記動特性に沿っ
たI−V特性に従った状態をさす。
【0057】例えば図6のI−V特性を有する表面伝導
型放出素子に対して、波高値Vd、降電圧レート10V
/秒以上の電圧パルスを印加した直後には、その素子の
I−V特性の測定結果は、図6における電流値If(Vd)
で示すような高抵抗状態を示す。またこのように高抵抗
状態に遷移した後、少し時間が経過した後、その素子に
対して電圧Vdを印加すれば放出電流Isを得ることが可
能である。しかも実線If(Vd)700で示される特性か
ら明らかなように、この素子に対して電圧Ve以下の電
圧を印加したとしても、図6の点線で示される静特性と
比較して、この素子に流れる電流Ifは大幅に低減され
る。また、このような素子の高抵抗状態は、上記電圧パ
ルス印加後、有限時間保持されるが(この時間をThrと
する)、その後は再び図6で示されるI−V静特性に戻
る。尚、この時間Thrは、具体的には数秒〜数分であ
り、この時間は素子の材質や製造工程により異なる。
【0058】そこで所望の期間、このような高抵抗状態
を維持する必要がある場合には、高抵抗状態が保持され
ている間に、上記電圧パルスを再度繰り返し印加するこ
とにより、高抵抗状態の保持時間を所望期間、延長する
ことができる。
【0059】このように本実施の形態によれば、上記I
−V静特性を有する表面伝導型放出素子基板101にお
いて、予め上記降電圧レート10V/秒以上の電圧パル
ス(以下、高抵抗化パルス)を印加することで、その素
子のI−V静特性を異なる状態に遷移せしめる。つま
り、その素子を高抵抗状態に遷移せしめることにより、
上述の半選択素子に流れる無効電流を減少させ、活性化
時における装置の消費電力を大幅に低減することができ
る。尚、このような高抵抗パルスの降電圧レートの上限
は実用的には10の10乗[V/秒]である。
【0060】以上説明した表面伝導型放出素子の特性に
より保持時間Thr毎に、電子源基板101全体に高抵抗
化パルスを印加することにより半選択素子の低抵抗化が
防がれて電子源基板101を劣化させたり破壊したりす
ることなく、素子の通電活性化が可能になる。
【0061】本実施の形態における高抵抗化パルスの波
形例を図5に示す。
【0062】この高抵抗化パルスは、電源103から負
の極性で出力され、この時、ライン選択部102は全て
のラインを選択するように制御されている。またこの
時、画素選択部106の全てのスイッチがオフされて、
その出力は接地されている。
【0063】このようにして半選択素子の高抵抗化を行
いながら、1ライン目の表面伝導型電子放出素子の活性
化が行われるが、1行目の各素子の素子電流Ifは電流
検出部107により一定のサンプリング周期でモニタさ
れている。この時、選択された素子以外は高抵抗化状態
となっているため、各接続端子Dy1〜Dynを通して電子
源基板101に流れ込む電流は1ライン目の個別素子電
流にほかならない。
【0064】この時の等価回路を図7に示す。
【0065】また、この時の個別素子電流が活性化の進
行に伴って増加していく様子を示したのが図8である。
この図8において、図7に示した等価回路における列方
向のi,j,k番目の各素子Fi,Fj,Fkに流れる素
子電流Ifi,Ifj,Ifkを抜き出したものである。この
図8に示したように、活性化時間が長くなるに従って各
素子電流とも増加していく。そして、図8に示すよう
に、素子電流Ifiが予め定められている目標値Iftに達
したとき、制御部104は画素選択部106に信号を出
力してスイッチSWyiをオフにする。これにより列方向
配線端子Dyiは接地される。
【0066】これにより素子Fiには半選択電圧が印加
されるようになり、活性化が進行しなくなる。このよう
にして素子電流Ifj,Ifkも次々と電流値Iftに達する
と、スイッチSWyj,SWykがオフされて、素子Fj,
Fkもそれぞれ活性化が終了する。同様にして、その他
の素子も電流値Iftに達すると、画素選択部106の対
応するスイッチがオフされて活性化が終了されていき、
最終的には画素選択部106の全てのスイッチがオフさ
れて、1行目の全ての表面伝導型電子放出素子の活性化
が終了する。ここで、目標となる素子電流Iftは、素子
のばらつき、或は必要とする電子放出量などから実験に
よって予め求められているものとする。
【0067】このようにして1ライン目の活性化が終了
すると、制御部104は2ライン目を選択するようライ
ン選択部102に信号を送り、前述の1ライン目と同じ
手順で、2行目以外のラインに高抵抗化パルスを出力し
ながら活性化を行い、それぞれの素子電流の目標値に合
わせて活性化処理を行う。
【0068】このような手順で全てのラインの表面伝導
型電子放出素子を順次活性化して、表面伝導型放出素子
基板101の活性化を終了する。
【0069】図9は、本実施の形態の通電活性化装置の
制御部104の処理動作を示すフローチャートである。
【0070】まずステップS1で、ライン選択部102
の全てのスイッチSWx1〜SWxmをオン(電源103側
に接続)にして基板101の行方向配線の全てを選択す
る。そしてステップS2に進み、画素選択部106に指
示して、画素選択部106の全てのスイッチSWy1〜S
Wynをオフ(接地に接続)する。そしてステップS3に
進み、電源103に指示して、図5に示したような高抵
抗化パルスを出力する。これにより、基板101の全素
子が高抵抗化状態となる。尚、この時タイマ104aに
よる計時を開始する。次にステップS4に進み、ライン
選択部102により1ライン(行)目を選択し、ステッ
プS5で、画素選択部106の全スイッチを電源側にし
て、電源103より図4(a)に示すようなパルス信号
を出力し、これと同期して電源105より図4(b)に
示すようなパルス信号を出力する(ステップS6)。こ
れにより、基板101の1行目の全ての素子に電圧Vf
が印加される。
【0071】次にステップS7に進み、電流検出部10
7で検出された電圧値を基に、その行の各素子に流れる
電流値を求める。そして、その行の内で、電流値がIft
になった素子があるかどうかを調べ(S8)、あればス
テップS9に進み、その素子に対応する画素選択部10
6のスイッチSWyiをオフ(接地側に接続)にする。そ
してステップS10に進み、1ラインの全ての素子に対
する活性化処理が終了したかどうかを調べ、終了してい
るときはステップS15に進むが、終了していないとき
はステップS11に進み、タイマ104aによる計時が
前述した所定時間Thrになったかどうかを調べ、そうで
ないときはステップS6に戻るが、時間Thrが経過する
とステップS12に進み、再度、前述のステップS1〜
S3と同様にして基板101の全素子を選択して高抵抗
化パルスを印加する。
【0072】一方、ステップS10で1ラインの全素子
に対する処理が終了しているときはステップS15に進
み、全ラインが終了していない時は、ライン選択部10
2で次のラインを選択して(S16)ステップS6に戻
り、前述の処理を実行する。
【0073】以上説明したように本実施の形態の通電活
性化装置によれば、全ての素子の電子放出特性が均一化
される。これにより、この電子源基板を用いて輝度又は
濃度のばらつきが少ない高品位な画像表示装置が実現さ
れた。尚、本実施の形態の表面伝導型放出素子基板10
1は、片側配線取り出しの場合で説明したが、両側配線
取り出しのものについても同様に実施可能であり、この
ような表面伝導型放出素子基板を用いても高品位な画像
形成装置が実現される。
【0074】(第2実施の形態)以下に、本発明に係る
第2の実施の形態について詳細に説明する。この第2実
施の形態における通電活性化装置は第1実施の形態と同
様の構成であり、マルチ表面伝導型放出素子としても同
じであるため、装置全体の構成に関する説明は省略す
る。
【0075】この実施の形態2と前述の実施の形態1と
異なる点は、電源103、電源105で発生される電圧
波形と、ライン切り替えをする手順にある。
【0076】図4(a)(b)を参照して電源103、
電源105で発生する活性化電圧波形について説明す
る。本実施の形態においては、電圧が印加される時間T
1を1msec、周期T2を2msecとした。
【0077】次にライン選択部102における切り換え
タイミングについて図10を参照して説明する。
【0078】ここで印加される電圧波形は上述したよう
に連続したパルス波形であり、この電圧波形を図10の
一番上の電源波形で示している。
【0079】パルス信号の出力が始まると、まず最初に
ライン選択部スイッチSWx1がオンになり、電源103
より出力される電圧パルス波形がマルチ表面伝導型放出
素子基板101のDx1端子に出力される。しかしこのス
イッチSWx1がオンになっているのは1パルス分であ
り、すぐにオフとなって直後にスイッチSWx2がオンに
なる。この様にして電源103,105からのパルス出
力に合わせて、ライン選択部102のスイッチSWx1
〜SWxmが順次切り替わり、1パルスずつDx1〜Dxm印
加された後、またスイッチSWx1から順に繰り返し印加
される。
【0080】この様にして、行方向配線を順次スクロー
ルするように切換えながら、基板101の全素子を活性
化していく。尚、前述した保持時間Thrの期間毎に、基
板101全体に高抵抗化パルスを印加するのは前述の実
施の形態1と同様である。また一定のサンプリング周期
毎に、スクロールされた行方向配線毎の各素子電流を測
定し、素子電流Iftに達した画素については、その行方
向配線が選択された時に、その素子に対応するスイッチ
(SWyi)をオフにして活性化を終了させる。この素子
電流の測定法については、前述の実施の形態1と同様で
ある。
【0081】この様にして、全ての素子電流が所定値I
ftに達すると表面伝導型放出素子基板101の活性化を
終了する。尚、本実施の形態2においては、前述の実施
の形態1と比較して、活性化の時間が約5分の1に短縮
された。
【0082】この第2の実施の形態の通電活性化装置の
制御部104の処理を図11のフローチャートで示す。
【0083】まずステップS21で、前述の図9のステ
ップS1〜S3と同様にして、基板101の全ての素子
に高抵抗化パルスを印加し、次にステップS22で、ラ
イン選択部102により基板101の1ライン目を選択
する。次にステップS23に進み、電源103より−V
f/2の電圧を列方向配線に印加し、電源105からVf
/2の電圧を列方向配線に印加して、活性化のためのパ
ルスを印加する。次にステップS24に進み、その電圧
が印加されたラインの素子の中で、素子電流値がIftに
なった素子があるかどうかを判断し、あればステップS
25に進み、その素子の番号とライン番号とを制御部1
04のメモリに記憶する。
【0084】次にステップS26に進み、前述の制御部
104のメモリの内容を参照して、全ラインの全ての素
子に対する活性化が終了したかを調べ、終了していなけ
ればステップS27に進み、前述した高抵抗化状態が保
持される時間Thrが経過したかをみる。時間Thrが経過
しているときはステップS28に進み、再度、基板10
1の全素子に高抵抗化パルスを印加する。そしてステッ
プS29に進み、次のラインを選択してステップS23
に進む。そしてステップS23では、制御部104のメ
モリに記憶されている内容を参照して、既に活性化が終
了している素子を除く、そのラインの全ての素子に活性
化パルスを印加する。こうしてステップS26で、基板
101の全ての素子の活性化が終了すると、この処理を
終了する。
【0085】以上説明したように本実施の形態2の通電
活性化装置によれば、基板101上の全ての表面伝導型
放出素子の電子放出特性が均一化され、このような電子
源基板101を用いて輝度又は濃度のばらつきが少ない
高品位な画像表示装置を提供できた。尚、この実施の形
態の表面伝導型放出素子基板101は片側配線取り出し
であるが、両側配線取り出しのであっても同様に実施可
能であり、この表面伝導型放出素子基板101を用いて
も高品位な画像形成装置が実現された。
【0086】(表示パネルの構成と製造法)次に、本発
明を適用した画像表示装置の表示パネルの構成と製造法
について、具体的な例を示して説明する。
【0087】図12は、本実施の形態に用いた表示パネ
ル1000の斜視図であり、内部構造を示すために表示
パネル1000の1部を切り欠いて示している。
【0088】図中、1005はリアプレート、1006
は側壁、1007はフェースプレートであり、1005
〜1007により表示パネルの内部を真空に維持するた
めの気密容器を形成している。この気密容器を組み立て
るにあたっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性
を保持させるため封着する必要があるが、例えばフリッ
トガラスを接合部に塗布し、大気中或は窒素雰囲気中
で、摂氏400〜500度で10分以上焼成することに
より封着を達成した。この気密容器の内部を真空に排気
する方法については後述する。
【0089】リアプレート1005には基板1001が
固定されているが、この基板は、例えば前述した図1の
表面伝導型放出素子基板101に相当するものであり、
この基板上には表面伝導型放出素子1002がN×M個
形成されている。このN,Mは共に2以上の正の整数で
あり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。
例えば、高品位テレビジョンの表示を目的とした表示装
置においては、N=3000,M=1000以上の数を
設定することが望ましい。本実施の形態においては、N
=3072,M=1024とした。これらN×M個の表
面伝導型放出素子1002は、M本の行方向配線100
3とN本の列方向配線1004により単純マトリクス配
線されている。前記、1001〜1004によって構成
される部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。なお、このマ
ルチ電子ビーム源の製造方法や構造については後で詳し
く述べる。
【0090】尚、本実施の形態においては、気密容器の
リアプレート1005にマルチ電子ビーム源の基板10
01を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基
板1001が十分な強度を有するものである場合には、
気密容器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基
板1001自体を用いてもよい。
【0091】また、フェースプレート1007の下面に
は、蛍光膜1008が形成されている。本実施の形態は
カラー表示装置であるため、蛍光膜1008の部分には
CRTの分野で用いられる赤(R)、緑(G)、青
(B)の3原色の蛍光体が塗り分けられている。各色の
蛍光体は、例えば図13(A)に示すようにストライプ
状に塗り分けられ、蛍光体のストライプの間には黒色の
導電体1010が設けてある。黒色の導電体1010を
設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少のずれがあ
っても表示色にずれが生じないようにするためや、外光
の反射を防止して表示コントラストの低下を防ぐため、
電子ビームによる蛍光膜のチャージアップを防止するた
めなどである。黒色の導電体1010には、黒鉛を主成
分として用いたが、上記の目的に適するものであればこ
れ以外の材料を用いても良い。
【0092】また、3原色の蛍光体の塗り分け方は図1
3(A)に示したストライプ状の配列に限られるもので
はなく、例えば図13(B)に示すようなデルタ状配列
や、それ以外の配列であってもよい。尚、モノクローム
の表示パネルを作成する場合には、単色の蛍光体材料を
蛍光膜1008に用いればよく、また黒色導電材料は必
ずしも用いなくともよい。
【0093】また、蛍光膜1008のリアプレート側の
面には、CRTの分野では公知のメタルバック1009
を設けてある。メタルバック1009を設けた目的は、
蛍光膜1008が発する光の一部を鏡面反射して光利用
率を向上させるためや、負イオンの衝突から蛍光膜10
08を保護するためや、電子ビーム加速電圧を印加する
ための電極として作用させるためや、蛍光膜1008を
励起した電子の導電路として作用させるためなどであ
る。メタルバック1009は、蛍光膜1008をフェー
スプレート基板1007上に形成した後、蛍光膜表面を
平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法により
形成した。なお、蛍光膜1008に低電圧用の蛍光体材
料を用いた場合には、メタルバック1009は用いな
い。
【0094】また、本実施の形態では用いなかったが、
加速電圧の印加用や蛍光膜の導電性向上を目的として、
フェースプレート基板1007と蛍光膜1008との間
に、たとえばITOを材料とする透明電極を設けてもよ
い。
【0095】また、行方向の端子Dx1〜Dxmおよび列方
向の端子Dy1〜DynおよびHvは、当該表示パネル10
00と不図示の電気回路とを電気的に接続するために設
けた気密構造の電気接続用端子である。Dx1〜Dxmはマ
ルチ電子ビーム源の行方向配線1003と、Dy1〜Dyn
はマルチ電子ビーム源の列方向配線1004と、端子H
vはフェースプレートのメタルバック1009と電気的
に接続されている。
【0096】また、この気密容器の内部を真空に排気す
るには、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真
空ポンプとを接続し、気密容器内を10のマイナス7乗
[torr]程度の真空度まで排気する。その後、排気管を
封止するが、気密容器内の真空度を維持するために、封
止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位置にゲ
ッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜とは、例え
ばBaを主成分とするゲッター材料をヒータもしくは高
周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲ
ッター膜の吸着作用により気密容器内は1×10のマイ
ナス5乗〜1×10のマイナス7乗[torr]の真空度に
維持される。
【0097】以上、本実施の形態の表示パネル1000
の基本構成と製法を説明した。
【0098】次に、本実施の形態の表示パネル1000
に用いたマルチ電子ビーム源の製造方法について説明す
る。
【0099】図14は、本実施の形態の表示パネルのマ
ルチ電子源の製造工程の概略を示す図である。
【0100】まずステップS100で、後述するように
基板上に電極及び導電性薄膜を形成し、ステップS10
1で、その電極間に電圧を印加して電子放出部を形成す
る。そしてステップS102で、その電子放出部に対し
て通電して活性化を実施する。この活性化処理は、前述
した実施の形態に基づくものである。これで基本的なマ
ルチ電子源が製造できたことになる。
【0101】本実施の形態の画像表示装置に用いるマル
チ電子ビーム源は、表面伝導型放出素子を単純マトリク
ス配線した電子源であれば、表面伝導型放出素子の材料
や形状あるいは製法に制限はない。しかしながら、本願
発明者らは、表面伝導型放出素子の中では、電子放出部
もしくはその周辺部を微粒子膜から形成したものが電子
放出特性に優れ、しかも製造が容易に行えることを見出
している。従って、高輝度で大画面の画像表示装置のマ
ルチ電子ビーム源に用いるには最も好適であると言え
る。そこで、上記実施の形態の表示パネル1000にお
いては、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から
形成した表面伝導型放出素子を用いた。そこで、まず好
適な表面伝導型放出素子について基本的な構成と製法お
よび特性を説明し、その後で多数の素子を単純マトリク
ス配線したマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0102】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。
【0103】(平面型の表面伝導型放出素子)最初に、
平面型の表面伝導型放出素子の素子構成と製法について
説明する。
【0104】図15に示すのは、平面型の表面伝導型放
出素子の構成を説明するための平面図(a)および断面
図(b)である。
【0105】図中、1101は基板、1102と110
3は素子電極、1104は導電性薄膜、1105は通電
フォーミング処理により形成した電子放出部、1113
は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0106】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アル
ミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述
の各種基板上に、例えばSiO2を材料とする絶縁層を
積層した基板などを用いることができる。また、基板1
101上に基板面と平行に対向して設けられた素子電極
1102と1103は、導電性を有する材料によって形
成されている。例えば、Ni,Cr,Au,Mo,W,
Pt,Ti,Cu,Pd,Ag等をはじめとする金属、
或はこれらの金属の合金、或はIn2O3−SnO2をは
じめとする金属酸化物、ポリシリコンなどの半導体、な
どの中から適宜材料を選択して用いればよい。これら電
極1102,1103を形成するには、例えば真空蒸着
などの製膜技術とフォトリソグラフィ、エッチングなど
のパターニング技術を組み合わせて用いれば容易に形成
できるが、それ以外の方法(例えば印刷技術)を用いて
形成してもさしつかえない。
【0107】素子電極1102と1103の形状は、こ
の電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで
設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好ま
しいのは数マイクロメータより数十マイクロメータの範
囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は
数百オングストロームから数マイクロメータの範囲から
適当な数値が選ばれる。
【0108】また、導電性薄膜1104の部分には微粒
子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素と
して多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)の
ことをさす。この微粒子膜を微視的に調べれば、通常
は、個々の微粒子が離間して配置された構造か、或は微
粒子が互いに隣接した構造か、或は微粒子が互いに重な
り合った構造が観測される。この微粒子膜に用いた微粒
子の粒径は、数オングストロームから数千オングストロ
ームの範囲に含まれるものであるが、なかでも好ましい
のは10オングストロームから200オングストローム
の範囲のものである。また、微粒子膜の膜厚は、以下に
述べるような諸条件を考慮して適宜設定される。即ち、
素子電極1102あるいは1103と電気的に良好に接
続するのに必要な条件、後述する通電フォーミングを良
好に行うのに必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後
述する適宜の値にするために必要な条件などである。具
体的には、数オングストロームから数千オングストロー
ムの範囲のなかで設定するが、なかでも好ましいのは1
0オングストロームから500オングストロームの間で
ある。
【0109】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd,Pt,Ru,Ag,A
u,Ti,In,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,T
a,W,Pbなどをはじめとする金属や、PdO,Sn
O2,In2O3,PbO,Sb2O3などをはじめとする
酸化物や、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB
4,GdB4などをはじめとする硼化物や、TiC,Zr
C,HfC,TaC,SiC,WCなどをはじめとする
炭化物や、TiN,ZrN,HfNなどをはじめとする
窒化物や、Si,Geなどをはじめとする半導体や、カ
ーボンなどがあげられ、これらの中から適宜選択され
る。
【0110】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、
10の3乗から10の7乗[オーム/sq]の範囲に含
まれるよう設定した。
【0111】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図15の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電
極、の順序で積層してもさしつかえない。
【0112】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。この亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述す
る通電フォーミングの処理を行うことにより形成する。
この亀裂内には、数オングストロームから数百オングス
トロームの粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、
実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示す
るのは困難なため、図15においては模式的に示した。
【0113】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。
【0114】薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれかか、もし
くはその混合物であり、膜厚は500[オングストロー
ム]以下とするが、300[オングストローム]以下と
するのがさらに好ましい。
【0115】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図15においては模式
的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜11
13の一部を除去した素子を図示した。
【0116】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施の形態においては以下のような素子を用いた。
【0117】即ち、基板1101には青板ガラスを用
い、素子電極1102と1103にはNi薄膜を用い
た。素子電極の厚さdは1000[オングストロー
ム]、電極間隔Lは2[マイクロメータ]とした。
【0118】微粒子膜の主要材料としてPdもしくはP
dOを用い、微粒子膜の厚さは約100[オングストロ
ーム]、幅Wは100[マイクロメータ]とした。
【0119】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図16の(a)〜
(d)は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明す
るための断面図で、各部材の表記は図15と同一であ
る。
【0120】(1)まず、図16(a)に示すように、
基板1101上に素子電極1102および1103を形
成する。この素子電極1102,1103を形成するに
あたっては、予め基板1101を洗剤、純水、有機溶剤
を用いて十分に洗浄した後、素子電極の材料を堆積させ
る。この材料を堆積する方法としては、例えば、蒸着法
やスパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。その
後、堆積した電極材料をフォトリソグラフィ・エッチン
グ技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の
素子電極(1102と1103)を形成する。
【0121】(2)次に、同図(b)に示すように、導
電性薄膜1104を形成する。
【0122】この導電性薄膜を形成するにあたっては、
まず前記(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥
し、加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリ
ソグラフィー・エッチングにより所定の形状にパターニ
ングする。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用
いる微粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶
液である。具体的には、本実施の形態では主要元素とし
てPdを用いた。また、実施の形態では塗布方法とし
て、ディッピング法を用いたが、それ以外のたとえばス
ピンナー法やスプレー法を用いてもよい。
【0123】また、微粒子膜で作られる導電性薄膜の成
膜方法としては、本実施の形態で用いた有機金属溶液の
塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッタ
法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0124】(3)次に、同図(c)に示すように、フ
ォーミング用電源1110から素子電極1102と11
03の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理
を行って、電子放出部1105を形成する(図14の通
電フォーミング処理に相当)。この通電フォーミング処
理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104に通電
を行って、その一部を適宜に破壊、変形もしくは変質せ
しめ、電子放出を行うのに好適な構造に変化させる処理
のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜のうち電
子放出を行うのに好適な構造に変化した部分(即ち、電
子放出部1105)においては、薄膜に適当な亀裂が形
成されている。尚、この電子放出部1105が形成され
る前と比較すると、形成された後は、素子電極1102
と1103の間で計測される電気抵抗は大幅に増加す
る。
【0125】このフォーミング時の通電方法をより詳し
く説明するために、図17に、フォーミング用電源11
10から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。
【0126】微粒子膜で作られた導電性薄膜をフォーミ
ングする場合には、パルス状の電圧が好ましく、本実施
の形態の場合には、同図に示したようにパルス幅T1の
三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加した。そ
の際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次昇圧し
た。また、電子放出部1105の形成状況をモニタする
ためのモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パルスの
間に挿入し、その際に流れる電流を電流計1111で計
測した。
【0127】本実施の形態においては、例えば10のマ
イナス5乗[torr]程度の真空雰囲気下において、例え
ばパルス幅T1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10
[ミリ秒]とし、波高値Vpfを1パルスごとに0.1
[V]ずつ昇圧した。そして、三角波を5パルス印加す
るたびに1回の割りで、モニタパルスPmを挿入した。
ここでフォーミング処理に悪影響を及ぼすことがないよ
うに、モニタパルスの電圧Vpmは0.1[V]に設定し
た。そして、素子電極1102と1103の間の電気抵
抗が1×10の6乗[オーム]になった段階、即ち、モ
ニタパルス印加時に電流計1111で計測される電流が
1×10のマイナス7乗[A]以下になった段階で、フ
ォーミング処理にかかわる通電を終了した。
【0128】尚、上記の方法は、本実施の形態の表面伝
導型電子放出素子に関する好ましい方法であり、例えば
微粒子膜の材料や膜厚、或は素子電極間隔Lなど表面伝
導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに応
じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0129】(4)次に、図16(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う(図14のステップS102
の処理に相当)。この通電活性化処理とは、前記通電フ
ォーミング処理により形成された電子放出部1105に
適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭
素化合物を堆積せしめる処理のことである。(図におい
ては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部材1
113として模式的に示した。)なお、通電活性化処理
を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧に
おける放出電流を典型的には100倍以上に増加させる
ことができる。
【0130】具体的には、10のマイナス2乗乃至10
のマイナス5乗[torr]の範囲内の真空雰囲気中で、電
圧パルスを定期的に印加することにより、真空雰囲気中
に存在する有機化合物を起源とする炭素もしくは炭素化
合物を堆積させる。堆積物1113は、単結晶グラファ
イト、多結晶グラファイト、非晶質カーボンのいずれか
か、もしくはその混合物であり、膜厚は500[オング
ストローム]以下、より好ましくは300[オングスト
ローム]以下である。
【0131】この通電活性化における通電方法をより詳
しく説明するために、図18に、活性化用電源1112
から印加する適宜の電圧波形の一例を示す。本実施の形
態においては、一定電圧の矩形波を定期的に印加して通
電活性化処理を行ったが、具体的には、前述の実施の形
態1及び実施の形態2で説明した方法を用いた。
【0132】以上のようにして、図16(e)に示す平
面型の表面伝導型放出素子を製造した。
【0133】(垂直型の表面伝導型放出素子)次に、電
子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成した表面
伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構成、すな
わち垂直型の表面伝導型電子放出素子の構成について説
明する。
【0134】図19は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図である。
【0135】図において、1201は基板、1202と
1203は素子電極、1206は段差形成部材、120
4は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205は通電フォ
ーミング処理により形成した電子放出部、1213は通
電活性化処理により形成した薄膜である。
【0136】この垂直型の表面伝導型電子放出素子が先
に説明した平面型の電子放出素子と異なる点は、素子電
極のうちの片方(1202)が段差形成部材1206上
に設けられており、導電性薄膜1204が段差形成部材
1206の側面を被覆している点にある。従って、図1
5の平面型素子における素子電極間隔Lは、垂直型にお
いては、段差形成部材1206の段差高Lsとして設定
される。尚、基板1201、素子電極1202および1
203、微粒子膜を用いた導電性薄膜1204、につい
ては、前記平面型の説明中に列挙した材料を同様に用い
ることが可能である。また、段差形成部材1206に
は、例えばSiO2のような電気的に絶縁性の材料を用
いる。
【0137】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図20(a)〜(f)は、製造
工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記図
21と同一である。
【0138】(1)まず、図20(a)に示すように、
基板1201上に素子電極1203を形成する。
【0139】(2)次に、同図(b)に示すように、段
差形成部材を形成するための絶縁層を積層する。絶縁層
は、例えばSiO2をスパッタ法で積層すればよいが、
例えば、真空蒸着法や印刷法などの他の成膜方法を用い
てもよい。
【0140】(3)次に、同図(c)に示すように、絶
縁層の上に素子電極1202を形成する。
【0141】(4)次に、同図(d)に示すように、絶
縁層の一部を、例えばエッチング法を用いて除去し、素
子電極1203を露出させる。
【0142】(5)次に、同図(e)に示すように、微
粒子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成す
るには、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法など
の成膜技術を用いればよい。
【0143】(6)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電フォーミング処理を行い、電子放出部を形成する
(図16(c)を用いて説明した平面型の通電フォーミ
ング処理と同様の処理を行えばよい)。
【0144】(7)次に、前記平面型の場合と同じく、
通電活性化処理を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは
炭素化合物を堆積させる(図16(d)を用いて説明し
た平面型の通電活性化処理と同様の処理を行えばよ
い)。
【0145】以上のようにして、図20(f)に示す垂
直型の表面伝導型電子放出素子を製造した。
【0146】(表示装置に用いた表面伝導型電子放出素
子の特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型電子放出
素子について、その素子構成と製法を説明したが、次に
表示装置に用いた素子の特性について述べる。
【0147】図21は、表示装置に用いた素子の、(放
出電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、及び(素子電
流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を示
す。尚、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著しく小さ
く、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、これらの
特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを変更す
ることにより変化するものであるため、2本のグラフは
各々任意の単位で図示した。
【0148】この表示装置に用いた表面伝導型電子放出
素子は、放出電流Ieに関して以下に述べる3つの特性
を有している。
【0149】第1に、ある電圧(これを閾値電圧Vthと
呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に放
出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満の電
圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。即ち、放
出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0150】第2に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ie
の大きさを制御できる。
【0151】第3に、表面伝導型電子放出素子に印加す
る電圧Vfに対して素子から放出される電流Ieの応答速
度が速いため、電圧Vfを印加する時間の長さによって
素子から放出される電子の電荷量を制御できる。
【0152】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を表示装置に好適に用いることができ
た。例えば、多数の素子を表示画面の画素に対応して設
けた表示装置において、第1の特性を利用すれば、表示
画面を順次走査して表示を行うことが可能である。即
ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧
Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾
値電圧Vth未満の電圧を印加する。そして駆動する素子
を順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査
して表示を行うことが可能である。
【0153】また、第2の特性か、又は第3の特性を利
用することにより、発光輝度を制御することができるた
め、諧調表示を行うことが可能である。
【0154】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造)次に、上述の表面伝導型電子放
出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマル
チ電子ビーム源の構造について述べる。
【0155】図22に示すのは、前述の図12の表示パ
ネル1000に用いたマルチ電子ビーム源の平面図であ
る。ここで、基板1001上には、前記図15で示した
ものと同様な表面伝導型電子放出素子が配列され、これ
らの素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極1
004とにより、単純マトリクス状に配線されている。
行方向配線電極1003と列方向配線電極1004の交
差する部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成され
ており、電気的な絶縁が保たれている。
【0156】図22のA−A’に沿った断面図を図23
に示す。
【0157】尚、このような構造のマルチ電子源は、予
め基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電極1
004、電極間絶縁層(不図示)および表面伝導型電子
放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、行方向
配線電極1003および列方向配線電極1004を介し
て各素子に給電して、前述したように、通電フォーミン
グ処理と通電活性化処理を行うことにより製造した。
【0158】図24は、本実施の形態の表面伝導型電子
放出素子を電子ビーム源として用いたディスプレイパネ
ルに、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画
像情報源より提供される画像情報を表示できるように構
成した多機能表示装置の一例を示すブロック図である。
【0159】図中、1は本実施の形態の表示(ディスプ
レイ)パネル、2101はディスプレイパネル1の駆動
回路、2102はディスプレイコントローラ、2103
はマルチプレクサ、2104はデコーダ、2105は入
出力インターフェース回路、2106はCPU、210
7は画像生成回路、2108および2109および21
10は画像メモリインターフェース回路、2111は画
像入力インターフェース回路、2112および2113
はTV信号受信回路、2114は入力部である。尚、本
実施の形態の表示装置は、例えばテレビジョン信号のよ
うに映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場
合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するもので
あるが、本実施の形態の表示パネルの特徴と直接関係し
ない音声情報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関
する回路やスピーカなどについては説明を省略する。以
下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明する。
【0160】まず、TV信号受信回路2113は、例え
ば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝
送されるTV画像信号を受信するための回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例
えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式など
の諸方式でもよい。また、これらより更に多数の走査線
よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとする
いわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。TV信号受信回路2113で受信されたT
V信号は、デコーダ2104に出力される。TV信号受
信回路2112は、例えば同軸ケーブルや光ファイバな
どのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号
を受信するための回路である。またTV信号受信回路2
113と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られ
るものではなく、また本回路で受信されたTV信号もデ
コーダ2104に出力される。
【0161】画像入力インターフェース回路2111
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナなどの画
像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回
路で、取り込まれた画像信号はデコーダ2104に出力
される。画像メモリインターフェース回路2110は、
ビデオテープレコーダ(以下VTRと略す)に記憶され
ている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
画像信号はデコーダ2104に出力される。画像メモリ
インターフェース回路2109は、ビデオディスクに記
憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込
まれた画像信号はデコーダ2104に出力される。画像
メモリインターフェース回路2108は、いわゆる静止
画ディスクのように、静止画像データを記憶している装
置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた
静止画像データはデコーダ2104に出力される。入出
力インターフェース回路2105は、本表示装置と、外
部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークも
しくはプリンタなどの出力装置とを接続するための回路
である。画像データや文字データ・図形情報の入出力を
行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の
備えるCPU2106と外部との間で制御信号や数値デ
ータの入出力などを行うことも可能である。
【0162】また、画像生成回路2107は、前記入出
力インターフェース回路2105を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、或はCPU21
06より出力される画像データや文字・図形情報に基づ
き表示用画像データを生成するための回路である。本回
路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄
積するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応
する画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリ
や、画像処理を行うためのプロセッサなどをはじめとし
て画像の生成に必要な回路が組み込まれている。本回路
により生成された表示用画像データは、デコーダ210
4に出力されるが、場合によっては前記入出力インター
フェース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークやプリンタ入出力することも可能である。
【0163】CPU2106は、主として本表示装置の
動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わる作業
を行う。例えば、マルチプレクサ2103に制御信号を
出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適宜
選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示
する画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ
2102に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や
走査方法(例えばインターレースか、ノンインターレー
スか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜
制御する。そして画像生成回路2107に対して画像デ
ータや文字・図形情報を直接出力したり、あるいは前記
入出力インターフェース回路2105を介して外部のコ
ンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。なお、CPU2106は、むろん
これ以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。
例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサな
どのように、情報を生成したり処理する機能に直接関わ
っても良い。あるいは、前述したように入出力インター
フェース回路2105を介して外部のコンピュータネッ
トワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機
器と協動して行っても良い。
【0164】入力部2114は、前記CPU2106に
使用者が命令やプログラム、あるいはデータなどを入力
するためのものであり、例えばキーボードやマウスのほ
か、ジョイスティック、バーコードリーダ、音声認識装
置など多様な入力機器を用いる事が可能である。また、
デコーダ2104は、前記2107ないし2113より
入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信
号とI信号、Q信号に逆変換するための回路である。な
お、同図中に点線で示すように、デコーダ2104は内
部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えば
MUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像
メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うためであ
る。また、画像メモリを備えることにより、静止画の表
示が容易になる、あるいは前記画像生成回路2107お
よびCPU2106と協同して画像の間引き、補間、拡
大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に
行えるようになるという利点が生まれるからである。
【0165】マルチプレクサ2103は、CPU210
6より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択
するものである。即ち、マルチプレクサ2103はデコ
ーダ2104から入力される逆変換された画像信号のう
ちから所望の画像信号を選択して駆動回路2101に出
力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を
切り替えて選択することにより、いわゆる多画面テレビ
のように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異
なる画像を表示することも可能である。ディスプレイパ
ネルコントローラ2102は、CPU2106より入力
される制御信号に基づき駆動回路2101の動作を制御
するための回路である。
【0166】まず、ディスプレイパネルの基本的な動作
にかかわるものとして、例えばディスプレイパネルの駆
動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するため
の信号を駆動回路2101に対して出力する。また、デ
ィスプレイパネルの駆動方法に関わるものとして、例え
ば画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースか
ノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回
路2101に対して出力する。また場合によっては表示
画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといっ
た画質の調整に関わる制御信号を駆動回路2101に対
して出力する場合もある。駆動回路2101は、ディス
プレイパネル2100に印加する駆動信号を発生するた
めの回路であり、マルチプレクサ2103から入力され
る画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ2
102より入力される制御信号に基づいて動作するもの
である。
【0167】以上、各部の機能を説明したが、図24に
例示した構成により、本実施の形態の表示装置において
は、多様な画像情報源より入力される画像情報をディス
プレイパネル2100に表示することが可能である。即
ち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号は
デコーダ2104において逆変換された後、マルチプレ
クサ2103において適宜選択され、駆動回路2101
に入力される。一方、ディスプレイコントローラ210
2は、表示する画像信号に応じて駆動回路2101の動
作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路21
01は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレ
イパネル2100に駆動信号を印加する。これにより、
ディスプレイパネル2100において画像が表示され
る。これらの一連の動作は、CPU2106により統括
的に制御される。
【0168】また、本実施の形態の表示装置において
は、前記デコーダ2104に内蔵する画像メモリや、画
像生成回路2107およびCPU2106が関与するこ
とにより、単に複数の画像情報の中から選択したものを
表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例え
ば拡大、縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補
間、色変換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像
処理や、合成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどを
はじめとする画像編集を行う事も可能である。また、本
実施の形態の説明では特に触れなかったが、上記画像処
理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集
を行うための専用回路を設けても良い。
【0169】従って、本実施の形態の表示装置は、テレ
ビジョン放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止
画像および動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの
端末機器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末
機器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備える事が可能
で、産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広
い。尚、この図24は、表面伝導型電子放出素子を電子
ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示装置の
構成の一例を示したにすぎず、これのみに限定されるも
のではない。例えば、図24の構成要素のうち使用目的
上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えな
い。またこれとは逆に、使用目的によってはさらに構成
要素を追加しても良い。例えば、この表示装置をテレビ
電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音声マ
イク、照明機、モデムを含む送受信回路などを構成要素
に追加するのが好適である。
【0170】この表示装置においては、とりわけ表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパ
ネルが容易に薄形化できるため、表示装置全体の奥行き
を小さくすることが可能である。それに加えて、表面伝
導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパ
ネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れ
るため、本実施の形態の表示装置は臨場感に溢れ迫力に
富んだ画像を視認性良く表示することが可能である。
【0171】また、本発明は、ホストコンピュータ、イ
ンタフェース、プリンタ等の複数の機器から構成される
システムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用
しても良い。また、本発明はシステム或は装置にプログ
ラムを供給することによって実施される場合にも適用で
きることは言うまでもない。この場合、本発明に係るプ
ログラムを格納した記憶媒体が本発明を構成することに
なる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシステ
ム或は装置に読み出すことによって、そのシステム或は
装置が、予め定められた仕方で動作する。
【0172】尚、本実施の形態では、行方向配線に負の
電位、列方向配線に正の電位を印加する例で説明した
が、本発明はこれに限定されるものでなくその逆でも良
い。また、本実施の形態では、1ライン毎に順次活性化
を行うように説明したが、本初頴娃はこれに限定される
ものでなく、例えば列単位に順次行っても良い。
【0173】以上説明したように本実施の形態によれ
ば、通電活性化時に一定時間間隔に高抵抗化パルスを印
加しつつ、個別素子の素子電流を予め記憶された目標値
に合わせ込むことにより、基板全体で特性が揃ったマル
チ表面伝導型放出素子が得られる。
【0174】このような複数の表面伝導型放出素子を配
設したマルチ電子源を用いて表示パネルを形成すること
により、輝度分布が少なく、高輝度で高品位な画像が形
成できる画像形成装置を実現することができる。
【0175】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、通
電活性化時において、非選択の素子に流れる無効電流を
減少させることができる。
【0176】また本発明によれば、選択した素子だけを
活性化することにより、均一な電子放出特性を持つ電子
源とその製造方法と通電活性化装置及び前記電子源を用
いた画像形成装置を提供できる。
【0177】又本発明によれば、非選択素子に流れる無
効電流を抑えて、通電活性化装置の電源容量を小さく抑
えることができるという効果がある。
【0178】更に本発明によれば、表面伝導型電子放出
素子の劣化を防止できるという効果がある。
【0179】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の通電活性化装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図2】本実施の形態のライン選択部と画素選択部の構
成を示す回路図である。
【図3】本実施の形態の電流検出回路の構成を示す回路
図である。
【図4】本実施の形態の通電活性化装置における活性化
パルス信号の波形例を示す図である。
【図5】本実施の形態の通電活性化装置における高抵抗
化パルス信号の波形例を示す図である。
【図6】本実施の形態の表面伝導型電子放出素子のI−
V特性を説明するための図である。
【図7】本実施の形態の通電活性化装置における1ライ
ンの活性化時を示す等価回路図である。
【図8】活性化処理時における処理時間と素子電流の変
化の関係例を示す図である。
【図9】本実施の形態1の通電活性化装置の制御部によ
る活性化処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態である通電活性化
装置における活性化処理を示すタイミング図である。
【図11】本実施の形態2の通電活性化装置の制御部に
よる活性化処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の表
示パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図13】本実施の形態の表示パネルのフェースプレー
トの蛍光体配列を例示した平面図である。
【図14】本実施の形態におけるマルチ電子源の製造工
程を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態で用いた平面型の表面伝導型電
子放出素子の平面図(a)、断面図(b)である。
【図16】平面型の表面伝導型電子放出素子製造工程を
示す断面図である。
【図17】通電フォーミング処理の際の印加電圧波形例
を示す図である。
【図18】通電活性化処理の際の印加電圧波形(a)、
放出電流Ieの変化(b)例を示す図である。
【図19】本実施の形態で用いた垂直型の表面伝導型電
子放出素子の断面図である。
【図20】垂直型の表面伝導型電子放出素子の製造工程
を示す断面図である。
【図21】本実施の形態で用いた表面伝導型電子放出素
子の典型的な特性を示すグラフ図である。
【図22】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の平面図である。
【図23】本実施の形態で用いたマルチ電子ビーム源の
基板の一部断面図である。
【図24】本発明の実施の形態である多機能画像表示装
置の構成を示すブロック図である。
【図25】従来の表面伝導型電子放出素子の構成を示す
図である。
【図26】従来のマルチ電子源のマトリクス配線を説明
する図である。
【図27】活性化処理の状態を示す等価回路図である。
【図28】活性化処理における処理時間と素子電流との
関係を示す図である。
【図29】活性化処理における活性化終了時の素子電流
のバラツキを説明する図である。
【図30】活性化処理時における半選択状態を説明する
図である。
【図31】活性化処理に使用する電圧波形の一例を示す
タイミング図である。
【符号の説明】
101 表面伝導型放出素子基板 102 ライン選択部 103,105 電源 104 制御部 104a タイマ 106 画素選択部 107 電流検出部 1000 表示パネル 1001 基板 1002 電子放出素子 1003 行方向配線 1004 列方向配線 1007 フェースプレート 1010 導電体

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の表面伝導型電子放出素子をマトリ
    ックス状に基板上に配設した電子源の製造方法であっ
    て、 基板上に複数の電極と、前記複数の電極のそれぞれに接
    続された導電膜と、前記複数の電極をマトリクス状に接
    続した複数の行方向配線と列方向配線とを形成する工程
    と、 前記導電膜のそれぞれに通電して電子放出部を形成する
    フォーミング工程と、 前記フォーミング工程で形成された電子放出部に通電し
    て活性化する活性化工程とを有し、 前記活性化工程は、所定電圧のパルスを印加して前記電
    子放出部の抵抗を高くした後、前記行方向配線及び列方
    向配線に所定の電圧を印加し、前記電子放出部の内、所
    定の電流が流れた電子放出部を活性化が終了した電子放
    出部とすることを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子源の製造方法であ
    って、 前記活性化工程は、 前記基板上の全ての電子放出部に所定電圧のパルスを印
    加する高抵抗化工程と、 前記複数の行方向配線の1つを選択して第1の電圧を印
    加する工程と、 前記複数の列方向配線の全てに前記第1の電圧とは逆極
    性の第2の電圧を印加する工程と、 前記第1と第2の電圧の印加時、前記電子放出部に流れ
    る電流値を検知する工程と、 前記電流値が所定値になるまで前記第1と第2の電圧を
    繰返し印加する工程と、 所定時間間隔で前記高抵抗化工程を繰返し実施する工程
    とを有する。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電子源の製造方法であ
    って、前記第1と第2の電圧の差は、前記高抵抗化工程
    で印加される所定電圧の値に略等しい。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載の電子源の製造方
    法であって、前記第1の電圧を印加する工程は、前記複
    数の行方向配線を順次選択して行われる。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれか1項に記載の
    電子源の製造方法であって、前記活性化工程では、前記
    電流値が所定値になった電子放出部に対しては、それ以
    降前記第1と第2の電圧の少なくともいずれか一方に印
    加しない。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の
    電子源の製造方法であって、前記第1と第2の電圧はパ
    ルス信号で印加される。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の電子源の製造方法であ
    って、前記所定時間間隔は前記高抵抗化状態が保持され
    る時間に略等しい。
  8. 【請求項8】 複数の表面伝導型電子放出素子をマトリ
    ックス状に基板上に配設した電子源の通電活性化装置で
    あって、 前記基板の複数の行方向配線或は列方向配線の少なくと
    も1つを選択して第1の電圧を印加する第1の電圧印加
    手段と、 前記電圧印加手段により電圧が印加される行方向配線或
    は列方向配線に対向す列方向配線或は行方向配線の全て
    に第2の電圧を印加する第2の電圧印加手段と、 前記基板上の全ての表面伝導型電子放出素子に所定時間
    間隔で所定電圧パルスを印加する印加手段と、 前記第1と第2の電圧印加手段による電圧の印加時、前
    記表面伝導型電子放出素子のそれぞれに流れる電流値を
    検出する検出手段と、 前記検出手段により検出された電流値に基づいて前記第
    1及び第2の電圧印加手段を制御する制御手段と、を有
    することを特徴とする通電活性化装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の通電活性化装置であっ
    て、前記所定電圧パルスの波高値は前記第1と第2の電
    圧値の差にほぼ等しい。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の通電活性化装置であ
    って、前記第1の電圧印加手段が行方向配線のいずれか
    を選択して第1の電圧を印加すると、前記第2の電圧印
    加手段は前記列方向配線の全てに第2の電圧を印加す
    る。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載の通電活性化装置であ
    って、前記所定時間間隔は前記表面伝導型電子放出素子
    の電子放出部が高抵抗状態を保持する時間に略等しい。
  12. 【請求項12】 請求項8乃至11のいずれか1項に記
    載の通電活性化装置であって、前記第1と第2の電圧は
    極性が互いに反対の電圧信号である。
  13. 【請求項13】 請求項8乃至12のいずれか1項に記
    載の通電活性化装置であって、前記第1と第2の電圧は
    パルス信号で印加される。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載
    の電子源の製造方法により製造された電子源。
  15. 【請求項15】 複数の表面伝導型電子放出素子をマト
    リックス状に基板上に配設した電子源を用いた画像形成
    装置であって、 請求項14に記載の電子源と、 画像信号を入力する入力手段と、 前記入力手段により入力された画像信号に基づいて前記
    電子源の列方向配線或は行方向配線の少なくともいずれ
    かに表示信号を出力する第1の電圧印加手段と、 前記第1の電圧印加手段により電圧が印加された配線に
    対向する行方向或は列方向配線に順次所定電圧信号を印
    加する第2ので圧印加手段と、を有することを特徴とす
    る画像形成装置。
JP655296A 1996-01-18 1996-01-18 電子源とその製造方法及びその通電活性化装置と前記電子源を用いた画像形成装置 Withdrawn JPH09199006A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6225749B1 (en) 1998-09-16 2001-05-01 Canon Kabushiki Kaisha Method of driving electron-emitting device, method of driving electron source using the electron-emitting device, and method of driving image forming apparatus using the electron source
KR100340893B1 (ko) * 1998-06-10 2002-06-20 미다라이 후지오 전자원을 제조하기 위한 방법 및 장치와 화상 형성 장치를 제조하는 방법
US6534924B1 (en) 1998-03-31 2003-03-18 Canon Kabushiki Kaisha Method and apparatus for manufacturing electron source, and method manufacturing image forming apparatus
US6707437B1 (en) 1998-05-01 2004-03-16 Canon Kabushiki Kaisha Image display apparatus and control method thereof
US7121913B2 (en) 1999-02-18 2006-10-17 Canon Kabushiki Kaisha Method for producing image-forming apparatus, and image-forming apparatus produced using the production method

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