JPH08317489A - スピーカ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ［目的］ キャンセルマグネットを用いない防磁型のス
ピーカ装置を提供することを目的とする。 ［構成］ 薄いスピーカボックス３５の互いに対向する
側板３６に防磁型でない普通のスピーカを背中合わせに
取付け、一方のスピーカのマグネット１３が他方のスピ
ーカのマグネット１３に対してキャンセルマグネットと
して機能し、一対のスピーカのマグネット１３が互いに
漏洩磁束を打消すようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はスピーカ装置に係り、と
くに磁気回路から外部に磁束が漏洩しないようにした複
数のスピーカから成るスピーカ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】広く用いられているダイナミック型のス
ピーカは、マグネットと、ヨークと、センタポールと、
プレートとによって磁気回路を構成し、センタポールと
プレートとの間のギャップにボイスコイルを配するとと
もに、このボイスコイルに信号電流を流すことによって
ボイスコイルが取付けられている振動板を振動させるよ
うにしている。

【０００３】このようなスピーカは上述の如く磁気回路
を構成するためにマグネットを備えており、このマグネ
ットによって生じた磁束が上記センタポールとプレート
との間のギャップを通過するようにしている。ところが
一部の磁束は漏洩し、外部に向って発散される。

【０００４】このような漏洩磁束を防止するために、図
１２に示すような防磁型のスピーカが用いられている。
このスピーカはヨーク１と主マグネット２とプレート３
とによって磁気回路を形成し、この磁気回路のプレート
３とヨーク１のセンタポールとの間のギャップにボイス
コイル４を配するようにし、このボイスコイル４に信号
電流を流すことによって振動板５を振動させるようにし
ている。

【０００５】そしてプレート１の下面にキャンセルマグ
ネット６を取付け、このキャンセルマグネット６を主マ
グネット２とは逆向きに着磁するようにしており、主マ
グネット２の漏洩磁束とキャンセルマグネット６の漏洩
磁束とを互いにキャンセルさせるようにしている。

【０００６】図１３に示す防磁型スピーカは上記の構造
に加え、キャンセルマグネット６を底部に取付けた磁気
回路の外側を覆うように鉄製のシールドカバー７を取付
けて防磁効果を高めるようにしている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の防磁
型のスピーカは、主マグネット２の後側に主マグネット
２とは逆向きに着磁されたキャンセルマグネット６を取
付け、このキャンセルマグネット６によって主マグネッ
ト２の漏れ磁束を打消すようにしている。さらには図１
３に示すように主マグネット２とキャンセルマグネット
６とを覆うように鉄製のシールドカバー７を取付け、防
磁効果を高めるようにしている。

【０００８】このような構成によれば、キャンセルマグ
ネット６やシールドカバー７を必要とし、これによって
スピーカの軸線方向の寸法が大きくなる。従ってとくに
偏平型のスピーカを提供できなくなるという問題があ
る。またキャンセルマグネット６あるいはシールドカバ
ー７を付加することによってスピーカのコストが増大す
る問題がある。

【０００９】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、とくにキャンセルマグルットを追加す
ることなくしかも防磁効果を生ずるようにしたスピーカ
装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、一対のスピー
カから成り、それぞれの磁気回路の背面側が互いに接触
するか近接するように背中合わせに配され、それぞれの
スピーカの磁気回路のマグネットが他方のスピーカの磁
気回路のマグネットに対して防磁用マグネットとして機
能するようにしたスピーカ装置に関するものである。

【００１１】一対のスピーカの外周部にシールドリング
をそれぞれ取付け、一対のスピーカを互いに背中合わせ
に配するとそれらのシールドリングの先端部が互いに接
触するか近接するようにしてよい。また一対のスピーカ
に共通の単一のシールドリングを互いに背中合わせに配
された一対のスピーカの磁気回路の外周部に嵌合させる
ようにしてもよい。

【００１２】一対のスピーカがそれぞれカップ状のシー
ルドカバーを備えるようにし、これらのシールドカバー
の底板部を磁気回路を構成するマグネットとフレームと
の間に挟着して取付けるようにしてよい。あるいはまた
一対のスピーカがそれぞれカップ状をなすプレートを具
備し、これらのプレートの筒状部がシールドカバーを構
成するようにしてもよい。

【００１３】背中合わせに配される一対のスピーカはス
ピーカボックスの互いに対向する反対側の側板の開口部
に外方に向けて取付けられるとともに、一対の側板に対
して斜めに反射板が設けられるようにしよい。またスピ
ーカボックス内に互いに背中合わせいに配される一対の
スピーカが左チャンネルのスピーカと右チャンネルのス
ピーカを構成するようにしてもよい。

【００１４】

【作用】互いに背中合わせに配される一対のスピーカの
磁気回路のマグネットが他方のスピーカの磁気回路のマ
グネットに対してそれぞれ防磁用マグネットとして機能
するために、一対のスピーカのマグネットからの漏洩磁
束が互いに打消される。

【００１５】

【実施例】図１は本発明の一実施例のスピーカ装置に用
いられるスピーカの構成を示すものであって、このスピ
ーカは剛体から成るフレーム１０を備えている。そして
このフレーム１０の底部に磁気回路１１が取付けられる
ようになっている。磁気回路１１はプレート１２を備
え、このプレート１２がフレーム１０の底部に固着され
ている。そしてプレート１２の下側にはリング状のマグ
ネット１３が取付けられるとともに、このマグネット１
３の底面はヨーク１４によって受けられている。そして
ヨーク１４の中央部には上方に突出するようにセンタポ
ール１５が設けられている。

【００１６】上記センタポール１５の外周部とプレート
１２の中心口の内周部との間の部分がギャップを構成し
ており、このギャップにボイスコイル１８が配されてい
る。ボイスコイル１８のボビン１９は筒状をなして上方
に延びるとともに、その先端側にはコーン紙から成る振
動板２０が固着されている。振動板２０の外周側の部分
は固定リング２１によってフレーム２０の先端側の内周
面に固定されている。また振動板２０の中央部であって
ボビン１９との接続部にはキャップ２２が取付けられて
いる。さらに振動板２３と連結されているボビン１９は
フレーム２０の底部側とダンパ２３を介して連結される
構造になっている。

【００１７】ボイスコイル１８のリード線は錦糸線２８
と接続されるとともに、この錦糸線２８がフレーム１０
の外周面上に取付けられている端子板２９の端子３０に
接続されるようになっている。この端子３０を通して外
部から信号電流がボイスコイル１８に供給されるように
なっている。

【００１８】次にこのようなスピーカの組立て方法につ
いて説明する。磁気回路１１を構成するヨーク１４の上
面に接着剤を塗布し、マグネット１３を載置する。そし
てマグネット１３の上面に接着剤を塗布し、プレート１
２を載せる。このときにセンタポール１５の外周部とプ
レート１２の内周部とが同心円状になるようにギャップ
ガイドをセンタポール１５の外周部とプレート１２の内
周部との隙間に挿入する。

【００１９】フレーム１０は予めプレート１２に加締め
等の手段によって取付けておいてもよく、あるいはまた
磁気回路１１を完成した後にその上に載せるようにして
取付けてもよい。接着剤が乾燥した後にセンタポール１
５とプレート１２との間のギャップガイドを除去するこ
とによって本体部分が完成する。

【００２０】次ボイスコイル１８の内周部とセンタポー
ル１５の外周部とが同心円状となるとともに、ボイスコ
イル１８の位置決めをするボイスコイルスペーサをボイ
スコイル１８内に挿入してセンタポール１５に嵌合させ
る。

【００２１】その後にダンパ２３の外周側の部分をフレ
ーム１０の内側の底部に取付けるとともに、このダンパ
２３の内周側の部分をボイスコイル１８を巻装している
ボビン１９の外周面に接着する。またエッジ付きのコー
ン紙２０の外周をフレーム１０の先端側の内周面に固定
リング２１によって固定するとともに、この振動板２０
の内周側の部分をボビン１９の先端部に接着する。そし
て接着剤が乾燥した後にボイスコイルスペーサを取去っ
てキャップ２２を振動板２０の中央部に接着する。

【００２２】入力端子３０にはボイスコイル１８のリー
ド線と接続されている錦糸線２８の他端を半田付けす
る。最後にマグネット１３を図１に示すように上下が互
いに逆の極性になるように着磁することによってスピー
カが完成する。

【００２３】このようなスピーカの入力端子３０の部分
に信号電流を供給すると、この信号電流によって磁気回
路のエアギャップ内に配されているボイスコイル１８に
電流が流れ、この電流によってボイスコイル１８がフレ
ミングの左手の法則に従って軸線方向、すなわち図１に
おいて上下方向の力を受けるようになる。従ってボイス
コイル１８と連結されている振動板２０が信号電流に応
じて振動することになり、音声が再生される。

【００２４】このようなスピーカは図２および図３に示
すように、スピーカボックス３５の互いに対向する側板
３６に形成されている開口３７の部分に取付けられる。
例えば左側の側板３６に左チャンネルのスピーカを取付
け、反対側から右チャンネルのスピーカを右側の側板３
６に取付ければよい。マグネット１３があまり大きくな
く、磁力も弱い場合には磁気回路１１同士の反発力が大
きくなく、このために左右からスピーカを取付ける際に
問題にはならず、容易にスピーカの取付けができる。

【００２５】このように左右の側板３６にそれぞれスピ
ーカが取付けられたスピーカボックス３５には図２に示
すように、これらの側板３６に対して所定の角度をもっ
て反射板３８が取付けられる。反射板３８は例えばＡＢ
Ｓ樹脂成形体あるいは木製の板状体であってよく、ヒン
ジ部３９を介して側板３６の端部に回動可能に支持され
ている。

【００２６】このように本実施例のスピーカ装置は、図
１に示す構造のスピーカを図３に示すようにそれらの磁
気回路１１が互いに背中合わせにスピーカボックス３５
に取付けられるようになっている。このときに磁気回路
１１の互いのスピーカのヨーク１４の底面は接触しても
よく、あるいは図３に示すような僅かな隙間を作って取
付けるようにしてもよい。図２および図３のスピーカ装
置においては、左側のスピーカが左チャンネルのスピー
カを構成し、右側のスピーカが右チャンネルのスピーカ
となってステレオスピーカシステムを構成する。

【００２７】ここでそれぞれのスピーカは全く同じ図１
に示す構造のスピーカが用いられる。従って一対のスピ
ーカのマグネット１３の極性が同じくなるために、図３
に示すように互いに対向する一対のマグネット１３はそ
れらの対向面が同極になる。このためにキャンセルマグ
ネットを取付けた場合と同様な効果が得られる。すなわ
ち図１に示すスピーカを図３のように使用しているため
に、スピーカそれ自体は防磁スピーカではなくても、互
いの磁気回路を背中合わせに近づけることによって、防
磁型スピーカになる。

【００２８】このような構造によれば、キャンセルマグ
ネット２個分の厚さとシールドカバー２個分の厚さだけ
スピーカボックスを薄くすることが可能になり、小型の
スピーカシステムを提供できるようになる。ここで図３
の構造の磁気回路を互いに背中合わせに用いた場合にお
いて、漏れ磁束を測定したところ十分に防磁スピーカと
なることが確認されている。なおこのときのマグネット
１３の大きさは外径が４５ｍｍで内径が２２ｍｍで厚さ
（軸線方向の寸法）が４ｍｍのドーナツ状のフェライト
マグネットで外磁型スピーカである。

【００２９】図４は上記のようなスピーカ装置を２組用
いて４チャンネルのスピーカシステムとした構成を示し
ている。すなわち互いに対向する側板にそれぞれスピー
カを組込んだ２つのスピーカボックス３５を用いるよう
にしている。なおこれらのスピーカボックス３５の両側
にはそれぞれ反射板３８が取付けられた構造になってい
る。そして左側のスピーカボックス３５が左チャンネル
のスピーカを構成し、右側のスピーカボックス３５が右
チャンネルのスピーカになっている。このようなスピー
カ装置は、例えばテレビジョン受像機用のスピーカとし
て用いられてよい。

【００３０】図５および図６は第２の実施例を示す。こ
の実施例は直径が５０ｍｍで内径が２２ｍｍで厚さ（軸
線方向の寸法）が６ｍｍのドーナツ状のフェライトマグ
ネットを用いたスピーカに適用したものであって、この
スピーカはシールドリング４３を磁気回路１１の外周部
に備えている。なおそれ以外の構造は図１に示す構造と
ほぼ同じである。

【００３１】このようなスピーカは、シールドリング４
３にスピーカの磁気回路１１を挿入し、プレート１２の
外周側をシールドリング４３の内周部に接着剤で固定す
る。なおそれ以外の製造方法は図１に示すスピーカのそ
れと同じである。

【００３２】このような構造のスピーカを図６に示すよ
うに互いに背中合わせに逆向きに接触させると、シール
ドリング４３の先端部が互いに接触し、一般の防磁型ス
ピーカのシールドカバーと同様の防磁効果を発揮する。
なおシールドリング４３の先端面は磁気回路１１のヨー
ク１４の底面と一致させることが好ましく、これによっ
て製造が容易になる。

【００３３】このような構造によれば、それぞれのスピ
ーカのマグネット１３が相手方のスピーカのマグネット
１３に対して防磁用マグネットとして機能するばかりで
なく、漏洩磁束をシールドリング４３によってシールド
することが可能になり、より防磁効果が高いスピーカ装
置になる。

【００３４】次に上記実施例の変形例を図７および図８
によって説明する。この変形例は図７に示すように、２
つのスピーカに共通のシールドリング４３を用いるよう
にしており、上記第２の実施例のシールドリング４３の
ほぼ２倍の長さを有するシールドリング４３を用いるよ
うにしている。

【００３５】このようなシールドリング４３が図８に示
すように、互いに背中合わせに配される一対のスピーカ
の磁気回路１１を外側から覆うように装着される。従っ
てこのようなシールドリング４３によって一対のスピー
カの磁気回路１１の磁気シールドとともに、互いに背中
合わせに配される一対のスピーカの円周方向の位置決め
が行なわれることになる。

【００３６】なおこのようなシールドリング４３を取付
ける場合には、一方のスピーカの磁気回路１１のプレー
ト１２の外周面にシールドリング４３を接着して取付け
ておき、この状態でシールドリング４３を接着したスピ
ーカをスピーカボックス３５の一方の側板３６に対して
外側から取付ける。そしてこの後にシールドリング４３
が取付けられていないスピーカを反対側の側板３６の開
口３７を通して取付け、後から取付けられるスピーカの
磁気回路１１を反対側のスピーカに予め取付けられてい
るシールドリング４３内に挿入することによって組立て
られる。

【００３７】次に第３の実施例を図９によって説明す
る。この実施例はカップ状のシールドカバー４５を取付
けた一対のスピーカによって構成したものである。ここ
ではそれぞれのスピーカが偏平なカップ状をなすシール
ドカバー４５を備え、これらのシールドカバー４５がフ
レーム１０とマグネット１３とに挟着された状態で取付
けられるようになっている。なおシールドカバー４５は
鉄製であって磁気回路の一部を構成している。

【００３８】このようなスピーカを製作する場合には、
フレーム１０の底部の内側にプレート１２を接着する。
次シールドカハー４５の内側にマグネット１３を接着す
る。そしてヨーク１４の上面に接着剤を塗布し、マグネ
ット１３とヨーク１４とを接着する。このときにヨーク
１４のセンタポール１５の外周部とプレート１２の内周
部とが同心円状になるようにギャップガイドをセンタポ
ール１５に差込む。またシールドカバー４５とフレーム
１０との接着も同時に行なう。そして接着剤の乾燥固定
後にギャップガイドを取去る。

【００３９】次にボイスコイルスペーサをボイスコイル
１８の内側に挿入してボイスコイル１８の位置決めを行
なう。ボイスコイルスペーサはセンタポール１５の外周
部とボイスコイル１８の内周部との芯出しと、ボイスコ
イル１８の位置決めとを同時に行なうものである。

【００４０】次にダンパ２３の外周側の部分をプレート
１２またはフレーム１０に、内周側の部分をボイスコイ
ル１８を巻装したボビン１９にそれぞれ接着する。さら
にコーン紙から成る振動板２０のエッジの部分をフレー
ム１０の外周側に固定リング２１によって固定し、振動
板２０の内周側をボイスコイル１８を巻装したボビン１
９の外周に接着し、乾燥させる。そして錦糸線２８を端
子板２９上の入力端子３０に半田付けし、ボイスコイル
スペーサを取去ってキャップ２２を貼付ける。この後に
マグネット１３を図示の極性となるように着磁すること
によってスピーカが完成する。

【００４１】このようなスピーカをそれらの磁気回路１
１が互いに近づくように固定する。第１のスピーカと第
２のスピーカのマグネット１３がそれぞれキャンセルマ
グネットとして働くとともに、シールドカバー４５のシ
ールド効果でさらに良好な防磁性能をもったスピーカ装
置になる。なおこのようなスピーカは１個では防磁スピ
ーカにはならない。２個のスピーカを図９に示すように
設置したときに初めて防磁型スピーカになる。しかもこ
れら一対のスピーカのシールドカバー４５の先端部は互
いに隙間がない方が磁束の漏れが少なくなるためにより
良好な防磁効果を発揮する。

【００４２】次に第４の実施例を図１０によって説明す
る。この実施例は磁気回路を構成するプレート１２をカ
ップ状にしたものであって、その外周側の部分でシール
ドカバーの機能を生ずるようにしたものである。従って
このようなプレート１２によって防磁効果がさらに高め
られる。

【００４３】このスピーカの製作方法は図１に示すスピ
ーカと全く同じでよい。第１および第２のスピーカはと
もに単独では防磁型スピーカにならないが、図１０に示
すように磁気回路１１を互いに背中合わせに組合わせる
ことによって、これらのスピーカのマグネット１３が互
いに相手方のスピーカの磁気回路に対してキャンセルマ
グネットとして機能する。しかもプレート１２の外周側
に延出された部分がシールドカバーになって防磁効果が
さらに高まる。一対のスピーカのプレート１２が合わさ
ったときには、図に示すように隙間があいていてもよい
が、隙間がない方が磁束の漏れが少ないために、防磁ス
ピーカとしてはさらに良好になる。

【００４４】次に第５の実施例を図１１によって説明す
る。この実施例は上側のスピーカに大きなシールドカバ
ー４５を取付けるとともに、下側のスピーカは図１に示
すスピーカと同じ構造にしている。従って下側のスピー
カは上記図１のスピーカと同じように製造されてよい。

【００４５】これに対して上側のスピーカを組立てる場
合には、フレーム１２の底部の内側に接着剤を塗布して
プレート１２を固定する。次にシールドカバー４５の底
面に接着剤を塗布してマグネット１３を接着固定する。
このときにマグネット１３とシールドカバー４５の中心
とを治具を使用してそれらの芯を合わせる必要がある。

【００４６】ヨーク１４の上面に接着剤を塗布し、同時
にシールドカバー４５の底面の逆の外側の表面にも接着
剤を塗布し、プレート１２が取付けられているフレーム
１０を図のように載せ、接着剤の固まる前にギャップガ
イドをセンタポール１５の外周部に差込む。ギャップガ
イドはセンタポール１５の外周部とプレート１２の内周
部との芯合わせを行なうためのものである。

【００４７】次にボイスコイルスペーサの外径部分にボ
イスコイル１８を差込んでボイスコイル１８の位置決め
を行なうとともに、センタポール１５の外周部とボイス
コイル１８の内周部との芯合わせを行なう。そしてダン
パ２３の外周をプレート１２またはフレーム１０に、内
周側の部分をボイスコイル１８を巻装したボビン１９の
外周に接着する。また振動板２０の外周を固定リング２
１によってフレーム１０の外周側に固定するとともに、
内周側の部分をボビン１９の外周に接着する。

【００４８】接着剤が乾燥した後に錦糸線２８によって
ボイスコイル１８のリード線とフレーム１０の外周面上
の端子板２９上の端子とを半田付けして接続する。そし
てボイスコイルスペーサを除去し、キャップ２２を貼付
ける。次にマグネット１３を図に示すように着磁するこ
とによってスピーカが完成する。このようなスピーカを
図１に示す通常のスピーカと組合わせることによって図
１１に示す防磁型スピーカ装置が得られる。

【００４９】このように本実施例のスピーカ装置は、一
対のスピーカの内の一方にシールドカバー４５が取付け
られており、他方のスピーカは普通のスピーカから構成
されている。第１のスピーカと第２のスピーカの磁気回
路は互いに背中合わせに対向するようにして磁気シール
ドスピーカ装置を組立てる。

【００５０】このときに第１のスピーカのキャンセルマ
グネットとして第２のスピーカのマグネットを使用し、
第２のスピーカのキャンセルマグネットとして第１のス
ピーカのマグネット１３を使用する。また磁気回路１１
の近傍の漏れ磁束を防磁するために、一方のスピーカに
設けられているシールドカバー４５が用いられる。この
場合に第１のスピーカと第２のスピーカの磁気回路を覆
うようにシールドカバー４５が機能する。従って防磁効
果に優れたスピーカ装置が得られる。

【００５１】

【発明の効果】以上のように本発明は、一対のスピーカ
から成り、それぞれの磁気回路の背面側が互いに接触す
るか近接するように背中合わせに配され、それぞれのス
ピーカの磁気回路のマグネットが他方のスピーカの磁気
回路のマグネットに対して防磁用マグネットとして機能
するようにしたものである。

【００５２】従って防磁型でない２つのスピーカを組合
わせることによって、防磁型のスピーカ装置が得られる
とともに、キャンセルマグネットを使用しないために軸
線方向の寸法が小さくなり、薄型のスピーカ装置が得ら
れることになる。

【００５３】一対のスピーカの外周部にそれぞれシール
ドリングを取付け、一対のスピーカを背中合わせに配す
るとそれらのシールドリングの先端部が互いに接触する
か近接するようにした構成によれば、一対のスピーカの
外周部のシールドリングによって磁束の漏洩が防止され
る。

【００５４】一対のスピーカに共通の単一のシールドリ
ングを互いに背中合わせに配された一対のスピーカの磁
気回路の外周部に嵌合するようにした構成によれば、シ
ールドリングによって漏洩磁束がシールドされるととも
に、このシールドリングによって一対のスピーカが位置
決めされて同軸状に配されるようになる。

【００５５】一対のスピーカがそれぞれカップ状のシー
ルドカバーを具備し、これらのシールドカバーの底板部
を磁気回路を構成するマグネットとフレームとの間に挟
着して取付けるようにした構成によれば、カップ状のシ
ールドカバーの組合わせによってシールド効果が得られ
る。

【００５６】一対のスピーカがそれぞれカップ状をなす
プレートを具備し、これらのプレートの筒状部がシール
ドカバーを構成するようにした場合には、プレートによ
ってシールドカバーが兼用されるために、漏洩磁束をシ
ールドする構造をより簡潔にすることが可能になる。

【００５７】互いに背中合わせに配される一対のスピー
カがスピーカボックスの互いに対向する反対側の側面の
開口部に外方に向けて取付けられるとともに、一対の側
板に対して斜めに反射板が設けられた構成によれば、互
いに背中合わせに配される一対のスピーカから成る防磁
型のスピーカからの音をほぼ同一方向に放射することが
可能になる。

【００５８】スピーカボックス内に互いに背中合わせに
配される一対のスピーカが左チャンネルのスピーカと右
チャンネルのスピーカとを構成すると、ステレオのスピ
ーカシステムが得られるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】スピーカ装置に用いられるスピーカの構造を示
す縦断面図である。

【図２】一対のスピーカを取付けたスピーカボックスの
平面図である。

【図３】同スピーカボックスの内部の構造を示す拡大横
断面図である。

【図４】変形例のスピーカボックスの配置を示す平面図
である。

【図５】第２の実施例のスピーカ装置に用いられるスピ
ーカの縦断面図である。

【図６】同スピーカを組合わせたスピーカ装置の平面図
である。

【図７】変形例のシールドリングを示す外観斜視図であ
る。

【図８】同シールドリングを用いたスピーカ装置を示す
平面図である。

【図９】第３の実施例のスピーカ装置を示す縦断面図で
ある。

【図１０】第４の実施例を示すスピーカ装置の縦断面図
である。

【図１１】第５の実施例を示すスピーカ装置の縦断面図
である。

【図１２】従来の防磁型スピーカの構造を示す縦断面図
である。

【図１３】別の従来の防磁型スピーカの構造を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１０ フレーム １１ 磁気回路 １２ プレート １３ マグネット １４ ヨーク １５ センタポール １８ ボイスコイル １９ ボビン ２０ 振動板（コーン紙） ２１ 固定リング ２２ キャップ ２３ ダンパ ２８ 錦糸線 ２９ 端子板 ３０ 端子 ３５ スピーカボックス ３６ 側板 ３７ 開口 ３８ 反射板 ３９ ヒンジ部 ４３ シールドリング ４５ シールドカバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｈ０４Ｒ 9/06 Ｈ０４Ｒ 9/06 Ａ

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のスピーカから成り、それぞれの磁気
   回路の背面側が互いに接触するか近接するように背中合
   わせに配され、 それぞれのスピーカの磁気回路のマグネットが他方のス
   ピーカの磁気回路のマグネットに対して防磁用マグネッ
   トとして機能することを特徴とするスピーカ装置。
2. 【請求項２】一対のスピーカの外周部にシールドリング
   がそれぞれ取付けられ、前記一対のスピーカを互いに背
   中合わせに配するとそれらのシールドリングの先端面が
   互いに接触するか近接することを特徴とする請求項１に
   記載のスピーカ装置。
3. 【請求項３】一対のスピーカに共通の単一のシールドリ
   ングが互いに背中合わせに配された一対のスピーカの磁
   気回路の外周部に嵌合されることを特徴とする請求項１
   に記載のスピーカ装置。
4. 【請求項４】一対のスピーカがそれぞれカップ状のシー
   ルドカバーを具備し、該シールドカバーの底板部を磁気
   回路を構成するマグネットとフレームとの間に挟着して
   取付けるようにしたことを特徴とする請求項１に記載の
   スピーカ装置。
5. 【請求項５】一対のスピーカがそれぞれカップ状をなす
   プレートを具備し、該プレートの筒状部がシールドカバ
   ーを構成することを特徴とする請求項１に記載のスピー
   カ装置。
6. 【請求項６】互いに背中合わせに配される一対のスピー
   カがスピーカボックスの互いに対向する反対側の側板の
   開口部に外方に向けて取付けられるとともに、前記一対
   の側板に対して斜めに反射板が設けられていることを特
   徴とする請求項１に記載のスピーカ装置。
7. 【請求項７】前記スピーカボックス内に互いに背中合わ
   せに配される一対のスピーカが左チャンネルのスピーカ
   と右チャンネルのスピーカとを構成することを特徴とす
   る請求項６に記載のスピーカ装置。