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JPH08210641A - ガスタービンの燃焼器およびこれを備えたガスタービン燃焼システム - Google Patents

ガスタービンの燃焼器およびこれを備えたガスタービン燃焼システム

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Publication number
JPH08210641A
JPH08210641A JP3765095A JP3765095A JPH08210641A JP H08210641 A JPH08210641 A JP H08210641A JP 3765095 A JP3765095 A JP 3765095A JP 3765095 A JP3765095 A JP 3765095A JP H08210641 A JPH08210641 A JP H08210641A
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JP
Japan
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combustion
fuel
burner
gas turbine
combustor
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JP3765095A
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JP3012166B2 (ja
Inventor
Shinichi Kajita
眞市 梶田
Shinichi Oga
信一 大賀
Masahiro Ogata
正裕 緒方
Junichi Kitajima
潤一 北嶋
Takekiyo Kimura
武清 木村
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】径および長さ寸法を大きくしなくても、簡単な
制御で高い燃焼効率と低NOX 化を達成できるガスター
ビンの燃焼器およびこれを備えたガスタービン燃焼シス
テムを提供する。 【構成】圧縮機1から供給される圧縮空気を燃焼させて
タービン3に供給する燃焼器2において、燃焼室11の
上流側で燃焼室11の軸心方向の同一位置に複数の第1
のバーナ19〜19hを配置して、これら第1のバーナ
19〜19hにより、燃焼室11内に第1の燃焼領域1
1aを形成させる。燃焼室11内における第1の燃焼領
域11aよりも下流側に第2以降のバーナ40を配置し
て、この第2以降のバーナ40により、燃焼室11内に
第2以降の燃焼領域11bを形成させる。さらに、ガス
タービンGTの高負荷領域において、燃料流量の25%
以下を第2以降のバーナ40より供給する燃料コントロ
ーラCを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼にともなって発生
する窒素酸化物(以下、NOX という)の排出量の低減
と燃焼効率の向上とを達成するガスタービンの燃焼器お
よびこれを備えたガスタービン燃焼システムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンにおいては、排ガス組成に
関して厳しい環境基準が設けられており、特にNOX
出量の低減が望まれている。低NOX 化の手段として、
燃焼室内に水や蒸気を噴射して燃焼火炎温度を低下させ
る方法が以前に一般的に採用されていたが、この方法で
は、エンジン熱効率の低下(水噴射の場合)、悪い水質
によるタービンなどの腐食に伴うエンジンの寿命低下、
さらには水質を良くするための前処理に要する設備およ
び維持管理費の高騰などの種々の欠点があった。このよ
うな水や蒸気を用いないでNOX を低減する方法とし
て、希薄予混合燃焼方式が有効であることがよく知られ
ているが、この方式では、NOX の排出量が少なく、か
つ高い燃焼効率を得られる燃空比範囲が非常に狭い。そ
のため、ガスタービンの全作動範囲にわたって低NOX
でかつ高い燃焼効率を維持するためには、ガスタービン
の作動条件にかかわらず燃料と空気の混合比(燃空比)
を一定範囲内に維持する必要がある。
【0003】この燃空比を一定範囲内に維持するため
に、燃焼器に複数個の予混合燃焼式のバーナを配置し、
これら予混合式バーナの燃焼作動個数をガスタービンの
作動条件、たとえば負荷の変化に応じて可変制御する方
法がある。この方法には、燃焼器の上流側における燃焼
室の軸心方向の同一位置に複数個のバーナを配設し、ガ
スタービンの作動条件に応じてバーナの燃焼作動本数を
可変制御するParallelFuel Staging方式(たとえば、特
開平4−43220号公報参照)と、燃焼室をその軸心
方向に複数の燃焼領域に分割して、ガスタービンの負荷
の増加に応じて上流側から下流側の燃焼領域に向かって
燃料を供給するバーナの燃焼作動本数を増やしていくSe
ries Fuel Staging 方式とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記Parallel Fuel St
aging 方式では、負荷の変化に応じてバーナの燃焼作動
本数をオン・オフ制御により可変するだけであるため、
制御が簡単である利点がある。その反面、燃焼室の上流
側で燃焼室の軸心方向に対し直交する同一位置に多数個
のバーナを配設して、全ての燃焼用空気を燃焼室内にそ
の上流側から供給する構成であるため、燃焼器は上流側
(頭部)の径が大きくなって大型化する。しかも、より
低NOX 化を達成しようとすれば、バーナの本数を多く
しなければならず、燃焼器がさらに大型化する。
【0005】一方、上記Series Fuel Staging 方式で
は、下流側の燃焼領域において、上流側の燃焼領域での
燃焼による高温の燃焼排ガス中に燃料を噴射するため、
希薄な混合気でも完全燃焼させることができることか
ら、下流側の燃焼領域でのCOおよびNOX の生成を極
めて少なくできる特長がある。しかし、燃焼室の軸心方
向に沿って複数の燃焼領域を順次設ける構成であるた
め、燃焼器の寸法が長くなる。しかも、寸法が長くなる
のに伴って、燃焼室の壁面を冷却するための空気量を増
やす必要があり、燃焼用の空気が不足して十分な低NO
X 化を果たせなくなる。この欠点に対処する方法とし
て、燃焼用の混合気を冷却用に使用する構成が考えられ
るが、逆火が生じ易い。さらに、下流側での燃焼状態を
良くして燃焼効率を高めるために上流側の燃焼温度を常
に高く保つ必要があることから、上流側の燃空比を常に
一定に保持しなければならず、その制御が複雑となる。
【0006】そこで、本発明は、径や長さ寸法を抑制し
ながらも簡単な制御で高い燃焼効率と低NOX 化を達成
できるガスタービンの燃焼器およびこれを備えたガスタ
ービン燃焼システムを提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の請求項1に係るガスタービンの燃焼器
は、圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼させてタービ
ンに供給する燃焼器であって、燃焼室の上流側で該燃焼
室の軸心方向の同一位置に配置されて該燃焼室内に第1
の燃焼領域を形成させる複数の第1のバーナと、前記燃
焼室内における第1の燃焼領域よりも下流側に設けられ
て該燃焼室内に第2の燃焼領域を形成させる第2のバー
ナとを備えている。
【0008】また、請求項2に係るガスタービンの燃焼
器は、請求項1における第2以降のバーナが、前記第1
の燃焼領域よりも下流側で前記燃焼室内に空気を導入す
る希釈用空気孔に臨んで配置されている。
【0009】請求項3に係るガスタービン燃焼システム
は、請求項1のガスタービンの燃焼器と、75%未満な
いし85%未満の低負荷領域において、前記第1のバー
ナの作動数を負荷の増大に応じて順次増加させる燃料コ
ントローラとを備えている。
【0010】また、請求項4に係るガスタービン燃焼シ
ステムは、請求項1のガスタービンの燃焼器と、このガ
スタービンの高負荷領域において、燃料流量の25%以
下を前記第2以降のバーナより供給する燃料コントロー
ラとを備えている。
【0011】さらに、請求項5に係るガスタービン燃焼
システムは、請求項1のガスタービンの燃焼器と、前記
第1および第2以降のバーナへの燃料供給を制御するオ
ン・オフ弁とを備えている。
【0012】また、請求項6に係るガスタービン燃焼シ
ステムは、請求項1のガスタービンの燃焼器と、前記第
1のバーナへの燃料供給量を制御するオン・オフ弁と、
前記第2以降のバーナへの燃料供給量を連続的に制御す
るコントロール弁とを備えている。
【0013】
【作用および効果】請求項1のガスタービンの燃焼器に
よれば、第1の燃焼領域を形成させる複数の第1のバー
ナは、負荷に応じて燃焼作動本数を可変制御されるが、
下流側に第2以降の燃焼領域を形成させる第2以降のバ
ーナにより定常運転時(高負荷時)の燃料供給の一部が
分担される。そのため、第1の燃焼ノズルは従来のPara
llelFuel Staging 方式の燃焼器よりも本数を少なくす
ることができるから、燃焼器の径が大きくなることがな
い。一方、上流側に複数の第1のバーナを備えているた
め、第2以降の燃焼領域を形成させる第2以降のバーナ
は、従来のSeriesFuel Staging方式の燃焼器よりも燃焼
領域の段数を少なくできる。したがって、燃焼器の軸心
方向の寸法も長くなることがない。
【0014】また、第2のバーナは高負荷領域において
のみ作動させればよいから、第1の燃焼領域の燃焼温度
が十分高くなっているので、Series Fuel Staging 方式
におけるような複雑な制御を行うことなく、第2の燃焼
領域での燃焼効率を高めることができる。さらに、燃焼
室の軸心方向寸法が長くならないことから、燃焼室の冷
却のために第2のバーナによる混合気を使用する必要が
ないので、第2のバーナからの燃料を、予混合とせず
に、直接燃焼室内に噴射することができ、したがって、
逆火のおそれをなくすことができる。
【0015】請求項2のガスタービンの燃焼器によれ
ば、燃焼室の下流側で空気を燃焼室内に導入する希釈用
空気孔に臨んで第2以降のバーナが配置されているか
ら、これらバーナを配置するための孔を別途燃焼室壁に
設ける必要がない。
【0016】請求項3のガスタービン燃焼システムによ
れば、75%未満〜85%未満の負荷領域では、燃料コ
ントローラが負荷の増大に応じて第1のバーナの作動数
を順次増加させる。これにより、低負荷時における負荷
の変動、つまり燃料供給量の変動にかかわらず、燃空比
を適切な範囲に保って、NOX とCOの両方の発生量を
低減できる。
【0017】請求項4のガスタービン燃焼システムによ
れば、高負荷時において、燃料流量の25%以下が第2
以降のバーナから供給するよう制御される。この第2以
降のバーナから噴出する燃料は、第1のバーナから噴射
された燃料が第1の燃焼領域内で燃焼することにより発
生した高温の燃焼排ガス中に供給されて完全燃焼するの
で、この第2以降のバーナからの燃料によるCOやNO
X は殆ど発生しない。しかも、この第2以降のバーナか
ら供給した燃料量分だけ第1のバーナから供給する燃料
流量を低減できるので、その分だけ第1の燃焼領域で発
生するNOX を低減できるから、全体としてNOX の発
生量をさらに少なくできる。
【0018】請求項5のガスタービン燃焼システムによ
れば、第1および第2以降のバーナはオン・オフ弁によ
り燃料を供給または遮断がなされるので、燃料供給の制
御が極めて簡単となる。また、請求項6のガスタービン
燃焼システムによれば、第2以降のバーナからの燃料供
給量がコントロール弁により連続的に制御されるので、
第2以降のバーナから燃料供給を開始したときに、燃焼
状態が急激に変化せず、かつ負荷の変化に応じて燃料供
給量が連続的に可変制御されるので、燃焼効率を高めて
COの発生量をさらに低減できる利点がある。
【0019】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図面
を参照しながら詳細に説明する。 〔第1実施例〕図1は本発明のガスタービンの燃焼器お
よびガスタビーン燃焼システムが適用されるガスタービ
ン発電装置を示した簡略構成図である。ガスタービンG
Tは圧縮機1、燃焼器2およびタービン3を主構成要素
として構成されており、圧縮機1から供給される圧縮空
気を燃焼器2で燃焼させ、それにより発生する高圧の燃
焼ガスをタービン3に供給する。圧縮機1は単一の回転
軸5を介してタービン3に連結されて、このタービン3
によって駆動されており、したがって、このガスタービ
ンGTは、いわゆる一軸型ガスタービンである。上記タ
ービン3は減速機4を介して発電機7を駆動する。燃焼
器2には、ガス供給装置9から送給される天然ガスのよ
うなガス燃料が、燃料制御装置8を介して供給される。
【0020】図2は第1実施例に係る燃焼器2を示す縦
断面図である。同図において、円筒状のハウジングH内
に、ほぼ円筒状となった燃焼筒10が同心状に収納され
ており、この燃焼筒10内に燃焼室11が形成されてい
る。燃焼室11の軸心方向Aは、この例では、回転軸5
と直交する方向に設定されている。ハウジングHは、そ
の下流側(図の右側)に設けられたフランジ10aを介
して、圧縮機1およびタービン3からなるエンジン本体
部(図示せず)の外壁13に設けたフランジ13aに、
ボルト(図示せず)により結合されている。ハウジング
Hの上流側(図の左側)にはエンドカバー12がボルト
14により固定されている。
【0021】また、上記燃焼筒10の上流側には、燃焼
室11の前壁(頭部)を形成する蓋17が装着されてい
る。ハウジングHの頭部には、ボルト51により支持筒
52が連結されており、この支持筒52の後端部に上記
蓋17が、ボルト・ナット53で固定されて、燃焼筒1
0の頭部が支持筒52を介してハウジングHに支持され
ている。燃焼筒10の下流部は、タービン部への燃焼ガ
ス導入路であるスクロール(図示せず)の入口部54に
挿入されている。ハウジングHと燃焼筒10との間に、
圧縮機1からの圧縮空気を矢印P0で示すように燃焼筒
10に対し上流側方向に導く空気通路20が形成されて
いる。また、支持筒52内には、エンドカバー12と燃
焼筒10との間に位置する空気導入室21が形成されて
おり、支持筒52の周壁に、空気通路20を通って送ら
れてきた圧縮空気を空気導入室21内に導く空気導入孔
22が設けられている。
【0022】燃焼筒10の上流側の中心部には、天然ガ
スのような燃料を燃焼室11内に直接噴出する拡散燃焼
式の単一のパイロットバーナ18が、蓋板17を貫通し
てその先端が燃焼室11内に突出するように設けられて
いる。このパイロットバーナ18の周囲には、燃料と空
気とを混合させたのちにその混合気を燃焼室11内に拡
散させて噴出する予混合燃焼式の第1のバーナであるメ
インバーナ19a〜19hが8個配置されている。各メ
インバーナ19a〜19hは、後述の図5に示すよう
に、円周方向に等間隔に配置されて、図2の蓋17を貫
通してその先端が燃焼室11内に突出するように設けら
れている。すなわち、各メインバーナ19a〜19h
は、既存のParallel Fuel Staging 方式の燃焼器と同様
に、燃焼筒10の軸心方向Aの同一位置に配設されてい
る。
【0023】上記中心部のパイロットバーナ18は、圧
縮空気を燃焼室11内に供給するための空気流入管23
と、この空気流入管23内に嵌め込み固定された円環状
の旋回スワーラ24と、空気流入管23内に同心状に配
して固定されたパイロット燃料管27と、このパイロッ
ト燃料管27の先端部に固定されたパイロット用(保炎
用)多孔ノズル28とにより構成されている。パイロッ
ト燃料管27は、ハウジングHの外側から燃料が導入さ
れるパイロット燃料供給管29に接続されている。ま
た、上記多孔ノズル28には、斜め外方に向け開口した
燃料噴出孔28aが円周方向に等間隔に複数個形成され
ている。
【0024】上記各メインバーナ19a〜19hは、圧
縮空気を燃焼室11内に供給するための空気流入管30
と、この空気流入管30内に嵌め込み固定された円環状
の旋回スワーラ31と、閉塞された先端部を燃焼室11
内に臨ませて空気流入管30内に同心状に固定された被
覆管32と、この被覆管32内に嵌合された燃料管33
と放射状に配設されて複数の燃料噴出孔を有する燃料吐
出管(燃料ノズル)34とを備えている。この燃料吐出
管34は、燃料管33の先端開口から流出して反転し燃
料管33と被覆管32との間の燃料導入路37を通って
送られてくる燃料を、燃料噴出孔から拡散して燃焼筒1
0内に噴射し、燃焼室11内の上流側に第1の燃焼領域
11aを形成させる。
【0025】燃焼筒10における第1の燃焼領域11a
よりも下流側には、短いパイプを貫通させて形成された
4個の第1の希釈用空気孔38が等間隔に配設されてお
り、この第1の希釈用空気孔38よりも下流側の燃焼筒
10の壁面に4個の第2の希釈用空気孔39が形成され
ている。ハウジングHにおける第1の希釈用空気孔38
に対向する部分には、第2のバーナである4個の追焚バ
ーナ40が、各々の先端部を第1の希釈用空気孔38に
臨ませて取り付けられており、この4個の追焚バーナ4
0は、燃料を第1の希釈用空気孔38を通じて燃焼筒1
0内に噴射して、燃焼室11内で第2の燃焼領域11b
を形成させる。
【0026】ところで、この種のガスタービンの燃焼器
では、図3(a)に示すように、燃焼温度が上昇するの
に伴ってNOX の発生量が著しく増大する。そのため、
多くの空気を燃焼室11内に導入して燃焼温度を下げて
燃焼させる必要がある。一方、導入する空気量が多くな
って燃焼温度が下がり過ぎると、燃焼温度の低下に伴い
COの発生量が増加する、つまり、燃焼効率が悪化す
る。図3(a)から明らかなように、燃焼温度が170
0°K付近でCOおよびNOX の発生量が共に低くなる
ので、この燃焼温度付近で燃焼させるのが最も好まし
い。一方、図3(b)に示すように、燃焼温度は燃料濃
度を理論燃空比付近に保った場合に最も高くなる(20
00°K以上)。したがって、燃料濃度を理論燃空比よ
りもかなり燃料希薄条件に保持するように制御して、上
記1700°K付近で燃焼させるのが好ましい。
【0027】この実施例のガスタービンGTは、発電機
4を駆動することから、負荷にかかわらずタービン3が
一定回転数に保持され、一軸型ガスタービンであること
から、圧縮機1も一定回転数に保持される。したがっ
て、供給される圧縮空気は、負荷の変動にかかわらず圧
縮機1の回転数で決まるほぼ一定の量となる。この状態
で、上述のような燃焼条件を満足するよう燃料の供給量
を制御する。
【0028】図4は上記第1実施例のガスタービン燃焼
システムを示す配管図である。同図において、燃料コン
トロール部FCでは、空気逃がし口を有する電磁三方弁
SV1の作動によって空気圧式の主オン・オフ弁SOV
が開弁されると、ガス燃料は、フィルタFおよび主オン
・オフ弁SOVを通り、アクチュエータACにより弁開
度を調整される燃料コントロール弁FCVにより、設定
流量に調節されて燃料マニーホールドFMに供給され
る。これとは別に、着火用の燃料がプライマリ電磁弁P
VおよびプライマリオリフィスPOを通って燃料マニー
ホールドFMに供給される。
【0029】一方、バルブコントロール部VCにおいて
は燃料コントローラCがエンジンの負荷に応じて5つの
電磁三方弁SV2〜SV6を開閉制御する。開弁された
各電磁三方弁SV2〜SV6を通った空気が個々に対応
する空気圧操作型ボール弁のようなオン・オフ弁PS
V,MSV1〜MSV3,SSVを開弁させる。すなわ
ち、負荷が定格の35%付近までは、パイロット用オン
・オフ弁PSVが開放され、図5に黒丸で示すように、
パイロットバーナ18および互いに180°離れた箇所
に配置されたメインバーナ19a,19eにのみ燃料が
供給される。負荷が35〜65%の範囲および65〜7
5%の範囲へと増大していくと、第1のメイン用オン・
オフ弁MSV1および第2のメイン用オン・オフ弁MS
V2が順に開放され、2個一組のメインバーナ19b,
19fおよび19c,19gにも順次燃料が供給されて
いく。
【0030】そして、負荷が75%になると、バイロッ
トバーナ18への燃料供給が停止されるとともに、第3
のメイン用オン・オフ弁MSV3が開放されて、さらに
2個一組のメインバーナ19d,19hにも燃料が供給
される。負荷がさらに増大して85%に達すると、副オ
ン・オフ弁SSVが開放されて追焚バーナ40に燃料が
供給される。
【0031】つぎに、上記実施例の動作について説明す
る。パイロットバーナ18においては、図1の圧縮機1
から送給される圧縮空気が、図2の空気流入管23内に
矢印P1で示すように流入し、旋回スワーラ24を通っ
て旋回流となって燃焼室11内に供給される。一方、パ
イロット燃料管27に供給された燃料は、多孔ノズル2
8の燃料噴出孔28aから燃焼室11内に噴出されて、
上記旋回した空気により拡散され、かつ点火プラグ41
により着火される。このとき、旋回流の中心部には安定
した保炎部が形成される。
【0032】一方、メインバーナ19a〜19hでは、
空気流入管30に図2の矢印P2で示すように流入した
圧縮空気が、旋回スワーラ31を通って旋回して燃焼室
11内に送られる。一方、燃料管33に供給された燃料
は、燃料導入路37を通って燃料吐出管34の噴出孔か
ら噴出され、上記の旋回した圧縮空気と十分に混合され
ながら、燃焼室11内に拡散されて供給され、パイロッ
トバーナ18により形成された保炎部で着火されて、第
1の燃焼領域11aを形成し、高圧の燃焼ガスを発生す
る。ここで、第1の燃焼領域11aでは大部分の燃料が
燃料希薄条件で予混合燃焼されているから、燃焼温度が
低下して、NOX の発生が抑制される。
【0033】さらに、追焚バーナ40から噴出されたガ
ス燃料は、第1の燃焼領域11aでの燃焼によりかなり
高温になっている第2の燃焼領域11bに導入されるの
で、燃料希薄条件でも燃焼効率の低下を招くこともなく
燃焼が行われ、NOX の発生も極めて少ない。また、希
釈用空気孔39から燃焼筒10内に導入される圧縮空気
により、第2の燃焼領域11bの下流の燃焼排ガス温度
が、タービン3(図1)の耐久性を低下させない程度ま
で低下する。
【0034】図6は、各バーナ18,19および追焚バ
ーナ40を上述の図5のように制御した場合の、負荷率
に対する燃焼効率およびNOX 発生量の関係を示す特性
図である。負荷率100%は定格負荷(発電機の定格出
力)に相当する。同図において、NOX 発生量を丸印
で、燃焼効率を三角印で示してある。また、Pはパイロ
ットバーナの点火状態、Mはメインバーナの点火状態、
Mの前の数字は点火状態のメインバーナ19a〜19h
の数、Sは追焚バーナ40に燃料を供給している状態を
それぞれ示している。
【0035】同一燃焼条件において負荷が増大していく
と、前述のとおり、空気量は一定であるのに対して燃料
供給量が増加するので、燃料が濃くなってNOX 発生量
および燃焼効率が共に上昇していくが、点火中のメイン
バーナ19a〜19hの理論燃空比に近づいてNOX
生量が大幅に増えた時点で、燃料コントローラCが上述
のようにメインバーナ19a〜19hにおける燃料供給
する数を2個一組として増やしていくので、その数が増
えた時点でメインバーナにおける燃空比が低下し、つま
り燃料濃度が薄くなり、NOX 発生量が急激に下がる。
このように負荷の増大に応じて着火させるメインバーナ
19a〜19hの数を順次増加させることにより、低負
荷領域(たとえば負荷率85%未満)において低NOX
で安定した燃焼が行われる。
【0036】さらに、通常の使用領域であるガスタービ
ンの高負荷運転領域(たとえば負荷率75〜100%)
では、負荷率が85%に達した時点で、追焚バーナ40
に全燃料流量の20〜25%程度の燃料の供給を開始す
るようになっている。それにより、NOX 発生量を目標
値以下に維持できるとともに、燃焼効率も目標値以上に
維持できた。これは、追焚バーナ40から噴射される燃
料が第1の燃焼領域11aでの燃焼による高温の燃焼排
ガス中に導入されることから、希薄な混合気でも完全燃
焼し、第2の燃焼領域11bではCOおよびNOX の発
生量が極めて少ないことと、追焚バーナ40から噴射し
た燃料量の分だけメインバーナ19a〜19hへの燃料
供給量が減少して、燃料濃度が薄くなることによる。な
お、この追焚バーナ40への燃料開始時点では、その分
だけメインバーナ19a〜19hへの燃料供給量が低下
するので、第1の燃焼領域11aでのNOX 発生量が急
激に減少する。
【0037】図7は、着火した8個のメインバーナ19
a〜19hへの燃料供給量を一定に保持したまま、追焚
バーナ40への燃料供給量を増やしていった場合のNO
X の変化率の領域の実測結果を示す。ここで、8個のメ
インバーナ19a〜19hのみに燃料供給した場合のN
X を「1」として示している。横軸は、メインバーナ
19a〜19hと追焚バーナ40の両方への全燃料供給
量に対する追焚バーナ40への燃料供給量の割合を示
す。同図から明らかなように、追焚バーナ40への燃料
供給割合が20〜25%までの範囲では、NOX は全く
増加せず、むしろ僅かに減少することを示している。こ
の良好な範囲が斜線範囲で示したように幅を持っている
のは、第2の希釈用空気孔39の大きさの変化、つま
り、希釈空気量の変化によって燃焼ガス温度が変化して
NOX 量に変化が生じるためである。
【0038】また、図8は、燃焼器2を実機に取り付け
て測定した空燃比とNOX 発生量との関係の実測結果を
示す特性図であり、黒丸はメインバーナ19a〜19h
のみによる燃焼の実測結果であり、白丸は80%に達し
た時点でメインバーナ19a〜19hに加えて追焚バー
ナ40にも燃料を供給して燃焼させた実測結果を示して
いる。同図において、80%負荷のときの空燃比(0.
014=a)に対して、その1.25倍の空燃比(1.
25a)までの領域では、NOX 発生量が増加していな
い。この実測結果にも、80%以上の高負荷時に追焚バ
ーナ40から全燃料の25%以下の燃料流量を供給した
場合には、追焚バーナ40によるNOXが殆ど発生しな
いことが明確にあらわれている。
【0039】また、追焚バーナ40は高負荷領域におい
てのみ作動させればよく、高負荷領域では第1の燃焼領
域11aの燃焼温度が十分高くなっているので、従来の
Series Fuel Staging 方式におけるような複雑な制御を
行うことなく、第2の燃焼領域11bでの燃焼温度を高
めて燃焼効率を高く維持することができる。さらに、燃
焼室11の軸心方向寸法が長くならないことから、燃焼
室11の冷却のために混合気を使用するような構成とす
る必要がないので、追焚バーナ40からの燃料を、予混
合とせずに直接燃焼室11内に噴射することができ、し
たがって、逆火のおそれをなくすことができる。
【0040】しかも、上記実施例の燃焼器2では、上流
側において着火するメインバーナ19a〜19hの数を
オン・オフ弁MSV1〜MSV3により切り換えるだけ
の簡単な制御でよい。また、高負荷運転時には、下流側
に第2の燃焼領域11bを形成させる追焚バーナ40に
より供給燃料の一部が分担されるため、第1の燃焼領域
11aを形成させるメインバーナ19a〜19hは、既
存のParallel FuelStaging 方式の燃焼器よりも数を少
なくすることができ、それだけ燃焼器の径を従来よりも
小さくできる。一方、追焚バーナ40により形成させる
第2の燃焼領域11bは、上流側に負荷に応じて着火す
る数を制御される複数のメインバーナ19a〜19hを
備えていることから、既存のSeries Fuel Staging 方式
の燃焼器よりも少ない段数だけ設ければよい。そのた
め、燃焼器2の軸心方向Aの寸法も長くなることがな
い。
【0041】〔第2実施例〕図9は本発明の第2実施例
のガスタービン燃焼システムを示す要部の配管図であ
る。この実施例では、図4の副オン・オフ弁SSVに代
えて、コントローラCにより負荷に応じて弁開度を連続
的に可変制御されるコントロール弁CVを設けており、
その他の構成は第1実施例と同様である。
【0042】図10は上記第2実施例における負荷率に
対するNOX 発生量および燃焼効率の関係を示した特性
図である。第1実施例では、副オン・オフ弁SSVを開
弁したときに、メインバーナ19a〜19hへの燃料供
給量がそれだけ減少して、第1の燃焼領域11aでの燃
料濃度が薄くなるから、燃焼効率が若干ながら低下した
のに対し、この第2実施例では、コントロール弁CVを
開弁しても、追焚バーナ40からの燃料供給量は急激に
増えないから、第1の燃焼領域11aでの燃料濃度が薄
くなることはないので、燃焼効率の低下を防止できる。
しかも、コントロール弁CVの弁開度が負荷の増大に応
じて徐々に大きくなるよう制御することにより、それに
応じてNOX も目標値以下のほぼ一定値に保つことがで
きる。
【0043】〔第3実施例〕図11は本発明の第3実施
例を示す燃焼器2の縦断面図である。上記第1,第2実
施例ではガス燃料を用いる場合の構成を示したが、この
実施例では、灯油または重油のような液体燃料を用いる
場合を例示している。したがって、ガス燃料の場合のよ
うな予混合燃焼を採用できないので、8個のメインバー
ナ(第1のバーナ)19a〜19hは、液体燃料を拡散
して噴射する8本の燃料噴射弁42と、空気流入口に旋
回スワーラ43を備えた混合管44とにより構成されて
いる。燃料噴射弁42から噴射された液体燃料は空気と
ともに燃焼筒10内に噴射される。第2のバーナである
追焚バーナ40は、燃焼筒10の壁面における上記実施
例と同様の位置に4個が等間隔に配設されており、希釈
用空気孔38を通して燃焼筒10内の第2の燃焼領域1
1bに向け液体燃料を拡散状態に噴射する。
【0044】図12は上記第3実施例の燃焼器2を実機
に取り付けて実測したエンジンの出力に対するNOX
生量および燃焼効率の関係を示す特性図であり、白丸は
NO X の変化、黒丸は燃焼効率の変化を示している。こ
の実施例においても、メインバーナ19a〜19hおよ
び追焚バーナ40への燃料供給を上記第1,第2実施例
と同様に制御することにより、定常運転範囲では、NO
X を目標値以下に抑制することができるとともに、燃焼
効率を目標値以上に保持することができる。
【0045】上記格実施例において、追焚バーナ40か
らの燃料供給量は、図6で説明したとおり、全体の25
%以下とするのが、NOX を増加させないために好まし
い。また、追焚バーナ40の作動を開始する負荷領域
は、負荷率75%ないし85%の高負荷領域とするのが
好ましい。75%未満で追焚バーナ40を作動させる
と、メインバーナ19a〜19hによる燃焼温度が下が
って、COの発生量が増大する。また、85%を越えて
から追焚バーナ40を作動させると、80〜85%の領
域で、メインバーナ19a〜19hのみの燃焼によりN
X 量が増大してしまう。さらにまた、追焚バーナ40
は燃焼室11の軸心方向Aに沿って複数設けてもよい。
たとえば、第2および第3の追焚バーナを設けた場合、
負荷率70%に達したときに第2の追焚バーナを、85
%に達したときに第3の追焚バーナの作動を開始する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるガスタービンを示す簡略構
成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る燃焼器を示す縦断面
図である。
【図3】(a)は上記燃焼器の燃焼温度に対するNOX
発生量および燃焼効率の関係を示す特性図、(b)は同
燃焼器の燃料濃度と燃焼温度との関係を示す特性図であ
る。
【図4】同上実施例におけるガスタービン燃焼システム
を示す配管図である。
【図5】同上システムにおける各燃料ノズルの負荷に応
じた切り換えを示す説明図である。
【図6】同上システムによる負荷率に対するNOX 発生
量および燃焼効率の関係を示す特性図である。
【図7】同上システムにおける第2の燃料ノズルへの燃
料供給割合の変化に対するNOX 変化率の関係を実測し
て示した特性図である。
【図8】同上システムにおける燃空比に対するNOX
生量の関係を実測して示した特性図である。
【図9】本発明の第2実施例に係るガスタービン燃焼シ
ステムを示す要部の配管図である。
【図10】同上実施例の定常運転範囲における負荷率に
対するNOX 発生量および燃焼効率の関係を示す特性図
である。
【図11】本発明の第3実施例に係るガスタービンの燃
焼器を示す縦断面図である。
【図12】同上実施例の負荷率に対するNOX 発生量お
よび燃焼効率の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…燃焼器、3…タービン、10…燃焼
筒、11…燃焼室、11a…第1の燃焼領域、11b…
第2の燃焼領域、19〜19h…メインバーナ(第1の
バーナ)、38…希釈用空気孔、40…追焚バーナ(第
2のバーナ)、GT…ガスタービン、C…燃料コントロ
ーラ、MSV1〜MSV3,SSV…オン・オフ弁、C
V…コントロール弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒方 正裕 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 北嶋 潤一 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 木村 武清 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機から供給される圧縮空気を燃焼さ
    せてタービンに供給する燃焼器であって、 燃焼室の上流側で該燃焼室の軸心方向の同一位置に配置
    されて該燃焼室内に第1の燃焼領域を形成させる複数の
    第1のバーナと、 前記燃焼室内における第1の燃焼領域よりも下流側に配
    置されて該燃焼室内に第2以降の燃焼領域を形成させる
    第2以降のバーナとを備えたガスタービンの燃焼器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記第2以降のバー
    ナは、前記第1の燃焼領域よりも下流側で前記燃焼室内
    に空気を導入する希釈用空気孔に臨んで配置されている
    ガスタービンの燃焼器。
  3. 【請求項3】 請求項1のガスタービンの燃焼器と、7
    5%未満ないし85%未満の低負荷領域において、前記
    第1のバーナの作動数を負荷の増大に応じて順次増加さ
    せる燃料コントローラとを備えたガスタービン燃焼シス
    テム。
  4. 【請求項4】 請求項1のガスタービンの燃焼器と、こ
    のガスタービンの高負荷領域において、燃料流量の25
    %以下を前記第2以降のバーナより供給する燃料コント
    ローラとを備えたガスタービン燃焼システム。
  5. 【請求項5】 請求項1のガスタービンの燃焼器と、前
    記第1および第2以降のバーナへの燃料供給を制御する
    オン・オフ弁とを備えたガスタービン燃焼システム。
  6. 【請求項6】 請求項1のガスタービンの燃焼器と、前
    記第1のバーナへの燃料供給量を制御するオン・オフ弁
    と、前記第2以降のバーナへの燃料供給量を連続的に制
    御するコントロール弁とを備えたガスタービン燃焼シス
    テム。
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