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JPH08188670A - 抗菌性ポリマー組成物 - Google Patents

抗菌性ポリマー組成物

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JPH08188670A
JPH08188670A JP7018794A JP1879495A JPH08188670A JP H08188670 A JPH08188670 A JP H08188670A JP 7018794 A JP7018794 A JP 7018794A JP 1879495 A JP1879495 A JP 1879495A JP H08188670 A JPH08188670 A JP H08188670A
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antibacterial
crystalline
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polymer
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JP7018794A
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Zenji Hagiwara
萩原善次
Kazuo Kishimoto
岸本一男
Hiroshi Yamazaki
浩 山崎
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HAGIWARA GIKEN KK
Japan Electronic Materials Corp
Teijin Ltd
Original Assignee
HAGIWARA GIKEN KK
Teijin Chemicals Ltd
Japan Electronic Materials Corp
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Priority to CA002167030A priority patent/CA2167030C/en
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K9/00Use of pretreated ingredients
    • C08K9/02Ingredients treated with inorganic substances
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N59/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators containing elements or inorganic compounds
    • A01N59/16Heavy metals; Compounds thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08K3/34Silicon-containing compounds
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐候(光)性や耐変色性に優れた新
規な抗菌性ポリマー組成物の提供。 【構成】 銀イオン、または銀イオンと亜鉛および銅の
金属イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の金
属イオンとを含む結晶性二酸化珪素を主成分とする結晶
性抗菌性組成物と、ポリマーとを含む抗菌性ポリマー組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な結晶性抗菌性組
成物を含有する抗菌性ポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来技術】シリカゲル表面に殺菌作用を有する銀、
銅、亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロ
ム等の抗菌金属イオンを含むアルミノ珪酸塩の抗菌性皮
膜を有することを特徴とする抗菌性組成物は公知であ
る。該抗菌性組成物は一般細菌に対する抗菌性能は勿論
のこと、カビ類に対する抗菌性能に顕著に優れているこ
とから、これを使用した応用面の開発が活発に行われて
いる。例えば該抗菌性組成物をポリマーに含有させて抗
菌化する分野も広汎に具体化されつつある(特公平6−
39368;USP5,244,667)。しかしなが
ら、前記の無機系のシリカゲルを母体とした非晶質の抗
菌性組成物をポリマーに含有させて抗菌化した場合、抗
菌化ポリマーの抗菌力は優れているが、反面、ポリマー
の種類によっては、加熱下の成型時、ポリマーと抗菌性
組成物の相互作用により、好ましくない変色や着色の問
題、成型体の経時変化を惹起する問題があり、これらの
点については技術的に未解決であった。抗菌化ポリマー
の用途によっては、前記の問題点の解決は不可欠であ
る。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上述したような
シリカゲルを母体とした抗菌性組成物に関して現時点で
未解決の問題を解決する目的で実施されたものである。
本発明は前述の抗菌性組成物の物性を改質するために鋭
意研究を重ねた結果、それの物性を改善して耐熱性や耐
候性を向上させたり、また、抗菌化ポリマーの耐候性を
より向上せしめるためには、シリカゲルを母体とした非
晶質の抗菌性組成物を改質して、結晶質に変換させたも
のを使用することが重要であるとの知見を得た。さらに
上記の知見にもとづいて調製された新規な結晶性抗菌性
組成物を含有する抗菌性ポリマー組成物の抗菌力は優れ
たものであり、その上、これら組成物の耐候性、耐熱
性、耐変色性等は、公知の無機系の抗菌剤を含む組成物
に比較して、驚異的に改善されることを見いだして本発
明を完成した。本発明は、銀イオン、または銀イオンと
亜鉛および銅の金属イオンからなる群より選ばれた少な
くとも1種の金属イオンとを含む結晶性二酸化珪素を主
成分とする結晶性抗菌性組成物と、ポリマーとを含む抗
菌性ポリマー組成物に関する。
【0004】結晶性二酸化珪素の結晶形は特に限定する
ものではないが、好ましくは立方晶(cubic)また
はクリストバライト(cristobalite)の結
晶形を有する。また、結晶化率も特に限定するものでは
ないが、好ましくは、50%以上、より好ましくは70
−100%の結晶化率を有する。本発明で使用される結
晶性抗菌性組成物は、後述のX線回折の結果より明らか
なように、二酸化珪素の結晶構造を主な母体として構成
されている。それの主成分である二酸化珪素は、好まし
くは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上、
最も好ましくは79重量%以上が含有される。これに加
えて、好ましくは15重量%以下、より好ましくは11
重量%以下、最も好ましくは8重量%以下の量の酸化ア
ルミニウム(Al23)を含んでもよい。抗菌金属とし
ては、銀の他、亜鉛や銅を含むことができる。
【0005】本発明で使用される結晶性抗菌性組成物に
は、抗菌金属の必須成分として銀が含まれることが必要
である。銀イオンは、少なくとも0.3重量%、好まし
くは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上含
まれる。本発明で使用される結晶性抗菌性組成物には、
銀イオンが単独で含まれるか、または銀イオンと、亜鉛
および銅の金属イオンからなる群より選ばれた少なくと
も1種の抗菌金属イオンが複合状態で含まれる。銀イオ
ンの他、亜鉛や銅の金属イオンを含む場合、それぞれの
好ましい含有量は、1から5重量%、および0.3から
4重量%である。また、本発明で使用される結晶性抗菌
性組成物には、無抗菌性の1−3価の金属イオンが含ま
れていても差し支えない。
【0006】本発明で使用される結晶性抗菌性組成物の
嵩比重は0.4から1.4、好ましくは0.45から
1.3の範囲である。本発明で使用される結晶性抗菌性
組成物は、多孔質であり、大きな比表面積(SSA)を
有する。好ましくは、0.3cm3 /g以上、より好ま
しくは0.4〜1.0cm3 /gの細孔容積(PV)を
有し、また好ましくは、5m2 /g以上、より好ましく
は25〜450m2 /gの比表面積を有する。ただし、
SSAはBETのN2 ガス吸着法による測定値、またP
Vは水銀ポロシメーターによる測定値である。
【0007】次いで、本発明で使用される結晶性抗菌性
組成物の調製方法について説明する。本発明で使用され
る結晶性抗菌性組成物の調製においては、シリカゲルの
表面(ミクロ孔、マクロ孔の細孔表面)に銀イオンまた
は銀イオンと亜鉛及び銅の金属イオン群より選択される
少なくとも1種の金属イオンを含むアルミノ珪酸塩の抗
菌性皮膜(又は抗菌層)を有する、シリカゲルを母体と
する非晶質の抗菌性組成物が出発原料として使用され
る。この原料中には、無抗菌性の1〜3価の金属イオン
やアンモニウムイオン類が含有されていても差し支えな
い。前記の非晶質抗菌性組成物の具体的な調製方法は、
特公平6−39368、USP5,244,667等に
詳細に記載されており公知であるが、概略すれば以下の
とおりである。
【0008】すなわち、該非晶質抗菌性組成物は、多孔
性のシリカゲルをアルカリ溶液とアルミン酸溶液で化斉
処理し、イオン交換可能な金属を含有するアルミノ珪酸
塩の皮膜を形成する第1工程と、次いで殺菌作用を有す
る1種又は2種以上の金属イオンを含む塩類溶液で処理
し、イオン交換を利用して、殺菌性の金属イオン〔Ag
+ (必須イオン),Zn2+,Cu2+〕をアルミノ珪酸塩
の皮膜中に担持させて抗菌性皮膜(抗菌層)を形成させ
る第2工程を含む方法により調製される。前記の第1工
程おいては、アルミン酸イオン[Al(OH)4 -;Al
2 ・2H2 O]がシリカゲル母体の細孔表面(ミクロ
孔、マクロ孔)に存在するSi(OH)4 [モノマー;
SiO2 ・2H2 O]と反応して、負電苛を有するアル
ミノ珪酸イオンが形成される。これは多孔質のシリカゲ
ル母体にイオン結合されて、極めて安定に固定化される
ので、母体からの離脱は全く惹起されない。次いで、前
述の第2工程では、抗菌化のためのイオン交換反応が実
施されて、Ag+ 、Cu2+、Zn2+の抗菌ないし殺菌性
の金属イオンを担持した抗菌性皮膜(抗菌層)が形成さ
れる。これにより、該抗菌金属イオンはアルミノ珪酸イ
オンと結合してシリカ母体の細孔表面に安定に保持さ
れ、出発原料として使用される非晶質の抗菌性組成物が
調製される。
【0009】出発原料の上記抗菌性組成物中には、必要
とする所定量の抗菌金属イオンが単独又は複合状態(A
+ 、Ag+ −Zn2+、Ag+ −Cu2+、Ag+ −Zn
2+−Cu2+)で存在しているが、この中には1〜3価の
無抗菌性の金属イオン、例えば1価のアルカリ金属イオ
ン、2価のニッケルやアルカリ土類金属イオン、3価の
希土類元素〔ランタノイド元素;Ln3+;原子番号58
〜71の元素と原子番号21(Sc)、39(Y)、5
7(La)を加えた17元素〕やヂルコニウム(ヂルコ
ニルの状態ZrO2+)が存在していても勿論差支えな
い。さらに前記の出発原料の抗菌性組成物中にはアンモ
ニウムイオン類、例えばNH4 +、C7152 +、C3
16+ 、Me4+ (TMA:テトラメチルアンモニウ
ムイオン)、Et4+ (TEA:テトラエチルアンモ
ニウムイオン)、Pr4+ (TPA:テトラプロピル
アンモニウムイオン)が存在していても差支えない。上
述したような無抗菌性のイオンを含有した抗菌性組成物
を出発原料として使用することにより、最終的に得られ
る二酸化珪素を主成分とする結晶性抗菌性組成物に対し
て、物性面や抗菌効果の面で、後述されるような好まし
い効果が得られる。
【0010】出発原料として使用されるシリカゲルを母
体とする非晶質の抗菌性組成物は、上述の方法で調製さ
れるが、これの主要構成成分は、シリカであり、好まし
くはSiO2 として70重量%以上、アルミナ(Al2
3)として15重量%以下を含み、これにAg、Zn
やCuの抗菌金属や無抗菌性の1〜3価の金属イオンを
含んで構成されている。かかる組成を有する抗菌性組成
物は、物性的には比表面積が大きく、多孔質であり、ま
た個々の構成成分は耐熱性が大きいので出発原料として
好適である。原料組成物の形状は任意でよく、微粉末、
粗粒子または成型体のいずれの形状のものも本発明に使
用可能である。
【0011】本発明で使用される新規な結晶性抗菌性組
成物の調製に際して使用される原料の比表面積(SS
A)は大きく、例えば350〜600m2 /gに達して
おり、極めて多孔質である。またこれの構成成分は無機
質であるので耐熱性は何れも高い。かかる物性を有する
原料を熱処理して、結晶化させる際には焼成工程に於け
る個々の無機構成成分の損失はなく、焼成体の化学組成
は一定に保持される利点がある。かかる原料を使用する
ことにより焼成体のSSAや気孔率の減少は適度に保た
れるので、これの微粉化が容易となる。これは最終的に
得られる本抗菌性粉末の細菌に対する抗菌〜殺菌速度を
大きくする効果をもたらす。
【0012】本発明で使用される新規な結晶性抗菌性組
成物の出発原料の抗菌性組成物中には、アンモニウムイ
オン類の含有は差支えない旨既述したが、これの含有は
下記の効果をもたらすので好ましい場合もある。例えば
後述の実施例において、サンプル11に見られるように
NH4 +を含有するシリカゲルを母体とした非晶質の抗菌
性組成物を使用すると、これの高温焼成を行って結晶化
する際に分解ガスが発生し微細な発泡をともなうので、
最終的に得られる抗菌性組成物粉末をより多孔質に保持
して、SSAの減少を抑制し、その結果嵩比重やSSA
を好ましい範囲に保持する効果がある。かかる物性を有
するものは細菌類との接触を良好に保持するために、抗
菌〜殺菌速度をより大にする方向という利点がある。
【0013】また、例えば後述の実施例において、サン
プル9、10及び12では、それぞれ、ヂルコニルイオ
ン(ZrO2+)、希土類元素系列のランタンイオン(L
3+)と2価金属のカルシウムイオン(Ca2+)を含有
する非晶質の抗菌性組成物が使用されている。これらの
原料を焼成して結晶性の抗菌剤組成物に転換した場合、
Zr2+、La3+またはCa2+の存在は、最終的に得られ
る抗菌性組成物の耐熱性、耐候性ならびに耐変色性を向
上させる利点がある。さらに本願で使用される結晶性抗
菌性組成物に含有させる抗菌金属イオン(Ag+ 、Zn
2+、Cu2+)や無抗菌性の金属イオン(La3+やZrO
2+)の結合エネルギーの差異のため、抗菌能をより増大
せしめる効果もある。
【0014】上記の非晶質抗菌性組成物から、本発明で
使用される結晶性抗菌性組成物を調製するためには、以
下の2段階の熱処理を行えばよい。第1段階の熱処理と
しては、抗菌性組成物に含有される大部分の水分を除去
する目的で、250℃〜500℃の温度領域で、常圧ま
たは減圧下で熱処理を行う。次いで第2段階の熱処理と
して高温焼成を行い、非晶質の抗菌性組成物を結晶性抗
菌物質へ転換する。この場合の焼成温度と時間は出発原
料の種類や組成により変動するが、通常800℃〜13
00℃の温度範囲で所定時間(1〜3時間)の焼成が行
われて、二酸化珪素の結晶構造を主たる母体とする、本
発明で使用される結晶性抗菌性組成物が調製される。こ
こで、「抗菌性組成物に含有される大部分の水分を除去
する」とは、具体的には、表面付着水を除去するという
意味である。
【0015】第2段階の熱処理温度は、800℃〜13
00℃の範囲が好ましい。800℃以下の温度では結晶
化が不十分であり、かかる焼成体を用いて抗菌化ポリマ
ー組成物を調製した際、その耐候性が不十分となる場合
がある。一方、1300℃以上の熱処理では、結晶化は
問題なく行われ、かかる焼成体を用いて抗菌化ポリマー
組成物を調製した際、その耐候性は極めて優れている。
しかしながら、上限値以上の熱処理で得られる抗菌性組
成物の抗菌能は、温度の上昇とともに次第に低下する傾
向にあるため、剤自身の抗菌力の低下を抑えるため、1
300℃以下で熱処理を行うことが好ましい。熱処理の
好ましい温度範囲は、800℃〜1200℃である。
【0016】本焼成体は凝固されて、ガラス状〜セラミ
ック状であるが、これは粗粉砕または微粉砕されて、所
定の粒子径に調製される。粉砕された結晶性抗菌性組成
物の嵩比重(見掛密度)は、原料の物性や組成、処理温
度等により異なるが、通常0.4〜1.4の範囲となる
ように調製することが、抗菌性能、および抗菌剤とポリ
マーを組合せて分散性良好な均質体とするために好まし
い。上記結晶性抗菌性組成物は通常粉末状態で使用され
ることが好ましく、抗菌性組成物の含有量は少なくとも
0.2重量%であることが好ましい。
【0017】本発明にかかる抗菌性ポリマー組成物に使
用されるポリマーとしては、非ハロゲン化有機ポリマー
およびハロゲン化有機ポリマーの両方が本発明では使用
可能である。非ハロゲン化有機ポリマーとは合成あるい
は半合成の非ハロゲン有機ポリマーであって特に限定さ
れるものではない。例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビ
ニールアルコール、ポリカーボネート、ポリアセター
ル、ABS樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレ
タンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可
塑性合成高分子、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂等の熱硬化性合成ポリマー、レーヨン、キュプ
ラ、アセテート、トリアセテート等の再生又は半合成ポ
リマー等が挙げられる。またポリカーボネート/ポリプ
ロピレンやポリカーボネート/ABS等のアロイも挙げ
られる。強力な抗菌〜殺菌効果を必要とする場合には、
例えばポリマー組成物を表面積の大きい成形体、例えば
発泡体、ネット、繊維等の成型体に加工することが好ま
しい。かかる見地から好ましいのは有機ポリマー又は繊
維形成性のポリマーであって、例えばナイロン6、ナイ
ロン66、ポリビニールアルコール、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンおよびこれらの共重合体等の合成ポリマー、レ
ーヨン、キュプラ、アセテート、トリアセテート等の再
生、または半合成ポリマーが例示される。ハロゲン化有
機ポリマーも特に限定されるものではないが、例えばポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が例示される。
【0018】結晶性抗菌性組成物のポリマーへの添加混
合の時期および方法は、本発明においては、特に限定さ
れるものではない。例えば原料モノマーに混合後に重合
する方法、反応中間体に混合後に重合する方法、重合終
了後のポリマーに混合する方法、ポリマーペレットと混
合または予め本発明で使用される結晶性抗菌性組成物を
含有するポリマーのマスターバッチを製造しておき、後
にこれを成型する方法、成型用ドープ例えば紡糸原液へ
混合する方法等がある。本明細書においては、これらを
総称して単に「ポリマーと混合または添加混合する」と
云う。使用するポリマーの物性、工程上の特徴等を考慮
して適切な方法を採用すればよいが、一般の場合は、成
型直前に混合する方法が望ましい。しかしながら本発明
で使用される結晶性抗菌性組成物の分散をより好ましく
するために、モノマーに混合する場合もある。抗菌性組
成物の所要量をポリマーに添加混合する場合は、用いる
ポリマーの特性に応じて雰囲気(空気等の酸化性雰囲気
又はN2 、CO2 等の不活性ガス雰囲気)、混合時の温
度や混合時間等を好ましい条件に保持すればよい。本抗
菌性組成物の割合は、ポリマー組成物の全量に対して少
なくとも0.2重量%、好ましくは0.2〜20重量%
の範囲が好ましい。上記の下限値より、少ない範囲では
一般細菌や真菌に対する抗菌〜殺菌力が不十分な場合が
多く、また上記の上限値以上では、既に抗菌〜殺菌力は
飽和してしまい添加量を増やしても抗菌〜殺菌効果は向
上しない場合がある。また、その上に、添加量があまり
に多いとポリマー組成物の物性が悪化するという問題が
生じる場合もある。
【0019】次に本発明にかかる抗菌性ポリマー組成物
に好適に用いられる抗菌性組成物の粒子径等について述
べる。その粒子径については何ら制限を加えるものでは
ないが、用途によっては当然に好ましい範囲がある。例
えば30〜100メッシュの大きさを有する抗菌性組成
物粒子はポリマーの混合に使用可能であるが、さらにポ
リマーへより均質な分散をさせるためにはさらに粒子径
の細かい、例えば200〜300メッシュの粒子または
より微細な数ミクロン〜数十ミクロンの粒子を使用すれ
ばよい。結晶性抗菌性組成物粒子の粒径の調節は、使用
目的に応じて粉砕機を選択(例えばJET粉砕機)して
実施すればよい。本発明にかかる抗菌性ポリマー組成物
が厚みのある成型体の形である場合、例えば各種の容
器、パイプ、粒状体あるいは太デニールの繊維等へ適用
する場合は本発明で使用される抗菌性組成物の粒子径は
例えば数十ミクロン、あるいは数百ミクロン以上でもよ
く、一方細デニールの繊維やフィルムに成型する場合は
粒子径がより小さい方が望ましく、例えば衣料用繊維の
場合は5ミクロン以下に粒子径を保つことが望ましい。
【0020】本発明の抗菌性ポリマー組成物は、以下の
ような通常用いられる他の成分を含有していても差支え
ない。例えば重合媒体、安定剤、耐候(光)性配合剤、
抗酸化剤、活性剤、つやけし剤、発泡剤、難燃剤、改質
剤、増白剤、顔料(着色剤)、無機および有機フィラー
および各種の可塑剤、滑剤を必要により添加しても差支
えない。また液体や有機溶剤を含有していてもよい。ま
た本発明にかかる抗菌性ポリマー組成物を成型体として
利用する場合、それの形状や大きさは特に限定されるも
のではない。成型体に体する抗菌〜殺菌力の付与は、ポ
リマー全体、また必要に応じて、ポリマーに対して部分
的に行ってもよい。本発明の抗菌性ポリマー組成物が成
型体である時、それの抗菌力は主として成型体を多層構
造として、その外層を抗菌化することも考えられる。繊
維の場合は、公知のコンジュゲート紡糸技術を利用して
芯一さや断面糸のさや成分に本発明の抗菌性ポリマー組
成物を使用することも可能である。本発明の抗菌性ポリ
マー組成物の最大の特徴は、抗菌力の長期発揮は勿論の
こと、経時的な着色や変色現象が極端に僅少であり、且
つ耐候性に極めて優れている点にある。さらに常温や高
温下の水中に於ける抗菌化ポリマーの経時変化が僅少で
耐水性に優れていることは特記すべき事項である。
【0021】本発明の抗菌性ポリマー組成物の効果をま
とめると以下の通りである。本発明で使用される結晶性
抗菌性組成物は、高温焼成により出発原料のシリカを母
体とする非晶質の抗菌性組成物が構造破壊されても、得
られる焼成体のSSAや嵩比重が前述の好ましい範囲に
入るように抑制されているので、これの微粉末品は一般
細菌に対しても好ましい抗菌効果を依然発揮する。また
カビ類に対しても、実施例に示したように効果が見られ
る。本発明で使用される抗菌性組成物の殺菌速度はシリ
カを母体とする、原料の抗菌性組成物のそれに比較して
若干低下するが、依然として細菌類に対しては充分な抗
菌効果が見られる。本発明で使用される抗菌性組成物の
最大の特徴は耐熱性、耐候(光)性や耐変色性が公知の
抗菌剤に比較して圧倒的に優れている点にある。耐熱性
は極めて高く、1200℃〜1300℃の温度領域に於
いても安定である。剤自体の経時的変色は全く見られ
ず、また光照射に対しても構造的に安定で、耐候性が極
端に大きい。従ってかかる結晶性抗菌性組成物をポリマ
ーに含有させて抗菌化した場合、抗菌力は勿論、耐候性
や耐変色に優れた組成物が得られる利点がある。以下に
おいて、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する
が、これらの実施例は本発明の範囲をなんら制限するも
のではない。
【0022】参考例1 本参考例では、本発明で使用する結晶性抗菌性組成物の
製造方法について示す。サンプル1〜7の抗菌性組成物
調製のための出発原料は、前述のシリカゲルを母体とし
た抗菌性組成物であり、それの主要構成成分はSiO2
≧70重量%、Al23≦15重量%であり、さらに抗
菌金属として銀及び亜鉛が含有されている。また無抗菌
性の金属イオンとして1価のアルカリ金属(Na+ )も
少量含有されている。上記の粉末状の出発原料を使用し
て、これの予備加熱を、表1に示したように、350℃
で1時間実施し、大部分の水分を除去した。次いで、高
温焼成を表記したように、800℃〜1200℃の温度
域で、1又は2時間実施し、結晶性抗菌性組成物の焼成
体を得た。得られた塊状の焼成体を粉砕機を用いて粗粉
化した後、さらにJET粉砕して微粉末とした。本発明
で使用される結晶性抗菌性組成物の微粉末であるサンプ
ル1〜7中(SiO2 =83.38重量%,Al23
7.56重量%)の抗菌金属、銀及び亜鉛はそれぞれ
3.6〜3.7重量%及び2.0重量%である。また本
例で微粉化された抗菌性組成物の平均粒子径(Dav)
は、表1に記載したように、2.9〜8.3μmの範囲
内にあり、かかる粉体の嵩比重(見掛密度)は0.40
〜1.00(d1 )及び0.46〜1.10(d2 )の
範囲内にある。
【0023】但しd1 及びd2 は、それぞれ軽く充填時
及び振動充填時の嵩比重を示すものであり、具体的な測
定方法は以下のとおりである。軽く充填した時の嵩比重
1 は、200ミリリットルメスシリンダーに粉末を入
れ、軽く振動させ、粉末が沈降した後、粉末の容量と重
量を実測して算出した。振動充填時の嵩比重d2 は、2
00ミリリットルメスシリンダーに振動させながら粉末
を入れ、粉末を沈降させた後さらに振動を繰り返し、粉
末の容量と重量を実測して算出した。
【0024】サンプル8はシリカゲルを母体とし、抗菌
金属としてAg=7.2重量%、1価金属としてNa+
を少量含有する抗菌性組成物(SiO2 =82.01重
量%、Al23=7.56重量%)を出発原料として、
サンプル7と同様な熱処理を実施して調製された。この
場合最終的に微粉砕された組成物のDav=5.1μm
であり、また粉体のd1 =0.94及びd2 =1.05
であった。サンプル9はシリカゲルを母体として、これ
に抗菌金属としてAg=3.0重量%及び無抗菌性イオ
ンとしてZrO2+(ヂルコニルイオン)の状態でヂルコ
ニウム(Zr=1.9重量%)ならびに少量のNa+
含む抗菌性組成物(SiO2 =83.95重量%、Al
23=7.56重量%)を原料として、表記の条件で熱
処理を実施して結晶化し、調製された。微粉砕されたサ
ンプル9のDav=4.2μmであり、一方嵩比重は
0.71(d1 )及び0.86(d2 )であった。サン
プル10はシリカゲルを母体とし、抗菌金属としてAg
=3.0重量%及び無抗菌性の3価金属イオンとして、
ランタノイド元素の典型的なLa3+=4.8重量%なら
びに少量のNa+ を含む抗菌性組成物(SiO2 =8
0.89重量%、Al23=7.56重量%)を原料と
して、表記の条件で熱処理を実施して結晶化することに
より調製された。微粉砕されたサンプル10のDav=
6.8μmであり、一方嵩比重は0.98(d1 )及び
1.21(d2 )であった。
【0025】サンプル11はシリカゲルを母体として、
これに抗菌金属Ag=4.0重量%及びZn=2.9重
量%及び無抗菌性のアンモニウムイオン類の典型例とし
てNH4 +=3.5重量%ならびに少量のNa+ を含有す
る抗菌性組成物(SiO2 =79.68重量%、Al2
3=7.56重量%)を原料とし、熱処理を350℃
−1時間、次いで1100℃−2時間実施して調製され
た。焼成終了後に微粉化された本サンプルのDav=
4.5μmであり、また嵩比重は1.01(d1 )及び
1.19(d2 )であった。サンプル12はシリカゲル
を母体として、これに抗菌金属Ag=2.98重量%、
Zn=2.01重量%、Cu=0.47重量%及び無抗
菌性の2価金属イオンとしてCa=2.11重量%なら
びに微量のNa+ を含有する抗菌性組成物(SiO2
81.85重量%、Al23=7.56重量%)を原料
とし、表記の条件で熱処理して結晶化して調製された。
焼成体を粉砕後の粉末のDav=8.0μmであり、嵩
比重は1.06(d1 )及び1.25(d2 )であっ
た。
【0026】比較サンプル1はシリカゲルを母体とした
非晶質抗菌性組成物(Ag=3.6重量%、Zn=2.
0重量%)であり、サンプル1〜6の結晶性抗菌性組成
物の出発原料に使用されたものである。また比較サンプ
ル2は前記と類似組成(Ag=3.6重量%、Zn=
2.2重量%)を有するシリカゲルを母体とした非晶質
抗菌性組成物である。比較サンプル1及び2と本発明で
使用される抗菌性組成物との比較より明らかなように、
熱処理した後者の嵩比重は前者に比較して著しく増大し
ている。
【0027】
【表1】
【0028】図1はサンプル7の結晶性抗菌性組成物
(Ag=3.7重量%;Zn=2.0重量%;Dav=
3.77μm)のX線回折図である。該組成物の結晶は
二酸化珪素(SiO2 )を主たる結晶母体としているこ
とが、この回折図から明かである。また、このX線回折
によれば、二酸化珪素の結晶構造の他にZn2 SiO
4 、ZnSiO3 、Al16Si213、Al2 SiO
5 、Al2 Si410、Ag2SiO3 、Zn2 SiO4
、Ag4 SiO4 、Zn4 Al2237等の結晶も存在
することが認められた。また抗菌金属として銀や亜鉛等
の存在も確認された。参考例2
【0029】次に本発明で使用される結晶性抗菌性組成
物の抗菌力について述べる。細菌の菌液の調製−寒天培
地で37℃にて18時間培養された試験菌体(大腸菌)
をリン酸緩衝液(1/15M、pH=7.2)に浮遊さ
せ106 cells/mlの懸濁液を調製し、これを適
宜希釈して試験に供した。真菌の菌液の調製−ポテトデ
キストロース寒天培地で、25℃−7日間培養した試験
菌の分生子を滅菌0.005%スルホコハク酸ジオクチ
ルナトリウム水溶液に浮遊させ108 cells/ml
の懸濁液を調製し、これを適宜希釈して試験に供した。 使用菌株−Escherichia coli IFO
−12734(大腸菌);Aspergillus n
iger IFO−4407(黒こうじカビ) 使用培地−真菌:Sabouraud Dextros
e Agar(BBL);細菌:Mueller Hi
nton2(BBL)
【0030】抗菌力の測定法−微粉末状の抗菌試験はシ
エークフラスコ法(S.F.法)によった。すなわち一
定量の無水の抗菌性組成物の微粉末15mg(E.co
liに対する抗菌力の測定時)又は50mg(A.ni
gerに対する抗菌力の測定時)をリン酸緩衝液を入れ
た200ml容量の三角フラスコに採取し、これに試験
懸濁液を表2および表3に示した胞子数cells/m
lになるようにした。この場合全容は100mlに保持
された。この三角フラスコを25℃±1℃で振とうし、
経時的に生菌数を測定した。
【0031】表2に示したようにサンプル1〜5、8及
び10の抗菌性組成物の粉末(Dav=2.9〜6.8
μm)は、表記の条件で何れも極めて短時間、ほぼ60
分以内で、E.coliを殆ど死滅させることが判明し
た。なお表2の中には対照1と2(空試験;抗菌剤無添
加)が表記されている。
【0032】次に表3は本発明で使用される抗菌性組成
物のA.nigerに体する抗菌力の測定例を示したも
のである。A.nigerの初期菌数〜105 cell
s/ml、抗菌性組成物50mg/100mlを用いて
S.F.法で抗菌力の測定が行われ、表記の様な好まし
い結果が得られた。800℃−2時間焼成して得られた
サンプル2の抗菌性組成物及び900℃−1時間焼成し
て得られたサンプル3の抗菌性組成物は、何れも、好ま
しい抗菌力を発揮しており、A.nigerは8時間以
内でほぼ完全に死滅することが判明した。一方、100
0℃以上の焼成で得られた、サンプル5の抗菌性組成物
のA.nigerに対する抗菌力は、前述のサンプル2
及び3の抗菌性組成物に比較して低下していることが、
表3よりわかる。表3に記載した比較例1は表1の比較
例1と同一品である。
【0033】一般細菌や真菌に対しても本発明の二酸化
珪素を主成分とする結晶性組成物は充分な抗菌〜殺菌効
果を発揮していることは、表2及び表3の抗菌力の測定
例よりも明白である。次にサンプル4、6及び10の本
発明で使用される抗菌性組成物と公知の抗菌性ゼオライ
ト〔A型ゼオライト母体;SiO2 /Al23=1.9
9(モル比);Ag=3.4重量%;Zn=6.9重量
%〕の微粉末の加圧成型体(直径30m/m;t≒5m
/m)のUV照射(365nm)が、同一条件のもとに
500時間に亘って実施された。この場合本願の上記の
3種の抗菌性組成物では変色は皆無であり、これらの検
体の経時変化は全く確認されなかった。一方比較例とし
て使用した、前記の抗菌性ゼオライト検体の場合は、1
40〜150時間の照射で、変色が確認された。かかる
照射試験の比較からも、本剤が優れた耐候性を有するこ
とは明白である。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】実施例1 本発明にかかる、結晶性抗菌性組成物を含有してなる抗
菌性ポリマー組成物の製造方法について述べる。ポリマ
ーとしてはポリプロピレン(PP:チッソK−1008
N)及びポリカーボネート(PC:帝人化成L1225
W)が使用された。これらのポリマーを予備乾燥して表
面付着水を除去した後、所定量の結晶性抗菌性組成物が
添加された。得られた混合物は所定の温度に加熱〔溶融
温度:PP(180〜190℃);PC(280〜29
0℃)〕され混錬(kneading)された後成型さ
れてた。調製された成型体は切断されて50×50m/
m(t(厚さ)=1.5〜2m/m)及び25×25m
/m(t=1.5〜2m/m)の検体に再調整され、前
者は室内放置テスト(後述)に、また後者は抗菌力テス
トに供された。
【0037】本発明の抗菌性組成物を含有してなる新規
な抗菌性PP(チッソK−1008N)組成物を、サン
プル13〜20として調製した。サンプル13〜15の
抗菌性PP組成物は、抗菌性組成物として上記サンプル
7の結晶性抗菌性組成物(Dav=3.77μm)を含
有して構成されており、一方サンプル16の抗菌性組成
物は上記のサンプル12(Dav=8.0μm)を含有
して構成されている。さらにサンプル17、19及び2
0の抗菌性PP組成物は、本発明の結晶性抗菌性組成物
に加えて公知の酸化チタン(TiO2 )や酸化ヂルコニ
ウム(ZrO2)及びTBZ(チアベンタゾール:C10
73 S)が添加されて構成されている。上記の添加
剤は抗菌化ポリマー成型体の経時的着色を防止するとと
もに耐候性をより向上せしめる効果がある。次にサンプ
ル18の抗菌性PP組成物ではサンプル10の結晶性抗
菌性組成物(Dav=6.8μm)を含有させて構成し
ている。次に本発明の抗菌性組成物を含有してなる新規
な抗菌性PC(帝人化成L1225W)がサンプル21
〜24として調製された。サンプル21のPC成型体
は、サンプル1の結晶性抗菌性組成物(Dav=2.9
μm)を含有させて構成されている。さらにサンプル2
2〜24のPC成型体は結晶性抗菌性組成物に加えて、
公知の酸化チタン(TiO2 )やTBZが添加されて構
成されている。上記の添加剤をPC成型体に添加するこ
とにより、成型体の耐候性をより大にする効果がある。
またTBZのPC検体への添加は、後述の湿熱テストに
見られる様に、検体の加湿下の耐水性を極端に増大させ
て、それの色相の変化を防止する好ましい効果がある。
【0038】実施例2 本発明の抗菌性ポリマー組成物の抗菌力について述べ
る。調製された検体(25×25m/m)の抗菌力の試
験は下記の方法によって実施された。 検体の抗菌力試験法 抗菌性ボリマー検体の抗菌力測定は、下記のようにドロ
ップ法で実施された。 1)試験菌株 Escherichia coli IFO 1273
4(大腸菌) Staphylococcus aureus IFO
12732(黄色ブドウ球菌) 2)試験菌液の調製 試験菌株をNutrient Agar(Oxoid)
で35℃で18〜24時間培養後、滅菌リン酸緩衝液に
菌体を浮遊させ、菌数が約105 cells/mlとな
るように調製した。 3)菌数測定用培地及び培養条件 Mueller Hinton Medium(Dif
co);35℃,2日間 4)試験片の調製 検体を25×25m/mに切断し、アルコール綿で清拭
後、風乾し、これを試験片とした 5)試験操作 試験片上に試験菌液を0.3ml滴下した後、第4表に
示したように、所定時間保存した。所定時間(8または
24時間)経過後に、試験片上の生菌数を菌数測定用培
地を用いた混釈平板培養法により測定した。
【0039】本発明の抗菌性ポリマープレート(検体:
25×25m/m;t=1.5〜2m/m)の抗菌力測
定例を表4に記載した。サンプル13〜16及び18の
抗菌性PP検体はE.coliに対して好ましい抗菌力
を発揮しており、24時間経過後の検体1枚当たりの菌
数は何れの場合も10cells以下で、これの死滅率
は99.99%以上に到達している。さらに本発明で使
用される抗菌性組成物に加えて、酸化チタンやTBZを
含有してなるサンプル17のPP検体もE.coli菌
数に対して好ましい抗菌力を示しており、24時間経過
後の検体1枚当たりのE.coli菌数は10cell
s以下である。さらにサンプル19(PP−B−6,4
重量%−TiO2 ,0.5重量%−TBZ,0.2重量
%)及びサンプル20(PP−B−6,3.0重量%−
ZrO2 ,2.1重量%−TBZ,0.2重量%)の検
体を使用してS.aureusに対する抗菌力測定がド
ロップ法により実施された。24時間経過後の前者検体
では、検体1枚当たりの菌数は10cells以下であ
り、一方後者検体では、3.9×103 cellsであ
り、これは死滅率96%以上に相当する。
【0040】次に抗菌化したPC検体(サンプル21〜
24)を用いて抗菌力の測定がE.coliまたはS.
aureusを用いて実施された。サンプル21(PC
−B−1,2.5重量%)及び実施例22(PC−B−
2,3重量%−TiO2 ,0.5重量%)の両検体は、
何れも好ましい抗菌力をE.coliに対して発揮して
おり、前者検体では、24時間経過後のE.coli菌
数は検体1枚当たり10cells以下であり、一方後
者検体では30cells以下であった。さらにTBZ
を0.2重量%含有するサンプル23(PC−B−6,
2.5重量%−TBZ,0.2重量%)及びTiO2
0.5重量%を含有するサンプル24(PC−B−6,
3重量%−TiO2 ,0.5重量%)の抗菌化PC検体
も、それぞれE.coli及びS.aureusに対し
て好ましい抗菌力を示しており、24時間経過後には、
何れの検体も死滅率は96%(E.coli および
S.aureus)に達している。以上の本発明の抗菌
性ポリマー成型体の抗菌力試験からも、本発明の抗菌性
ポリマー組成物が好ましい抗菌性能を有することは明白
である。
【0041】
【表4】
【0042】抗菌化ポリマー成型体の安定性(経時変
化)を調べるために、50×50m/m(t=1.5〜
2m/m)のPP(チッソK−1008N)成型体が日
の当る明るい室内に8ヶ月間に亘って放置された。すな
わちサンプル15(PP−B−7.3重量%)、17
(PP−B−6,3重量%−TiO2 ,0.5重量%−
TBZ,0.2重量%)、20(PP−B−6,3重量
%−ZrO2 ,1重量%−TBZ,0.2重量%)、2
5(PP−B−6,2重量%−タルク,0.5重量%)
及び26(PP−B−7,2重量%)として試作された
抗菌性ポリマー検体の室内放置が8ヶ月間に亘って実施
されたが、かかる期間では何れの検体についても色調の
変化や着色は表5に表示したように全く認められなかっ
た。なお比較サンプル3としてサンプル1の出発原料と
して使用された、シリカゲルを母体とする非晶質の抗菌
性組成物(Ag=3.6重量%、Zn=2.0重量%、
Dav=2.7μm)3重量%を含有する抗菌化PP成
型体が試作され、これは前記検体と同条件で室内放置さ
れた。比較サンプル3の検体では放置期間2ヶ月では着
色や経時変化は見られなかったが、3ヶ月以降の放置で
は着色は経時的に増大することが確認された。以上の抗
菌化ポリマーの経時変化に関する試験からも、本発明の
抗菌化ポリマー組成物が経時的に安定であることは明ら
かである。
【0043】
【表5】
【0044】実施例3 抗菌化ポリカーボネート(PC)の湿熱評価試験 抗菌化PC検体の湿熱評価を実施するために下記の試験
が実施された。サンプル27として、サンプル7の抗菌
性組成物(B−7:1000℃−2時間で焼成品;Ag
=3.7重量%;Zn=2.0重量%;Dav=3.7
7μm)とTBZを含有するPC(L1225W)−B
−7,0.3重量%−TBZ,0.1重量%の組成を有
するPC成型体(成型温度:280〜290℃)が調製
された。成型体は50×50m/m(t=1.5〜2m
/m)の小試験片に切断され、これを用いて湿熱評価テ
ストが行われた。またサンプル28として、前記実施例
に準じて、PC(L1225W)−B−7、1.0重量
%−TBZ、0.1重量%の組成を有するPC成型体が
調製され、これを切断して50×50m/m(t=1.
5〜2m/m)の小試験片とされた。湿熱評価試験に際
して上記の検体は過熱蒸気を用いて所定時間処理(10
0℃−24時間、および120℃−11時間)された
後、検体の色相の変化を表わすL,a,b及び△E値
〔CIE1976L´,a´,b´表色系(JISZ8
729(1960)〕が測定された。測定結果を表6に
示したが、サンプル27及び28の検体の処理の前後に
於ける△E値は何れも僅少である。かかる試験からも、
本発明の抗菌化ポリマー成型体は高温下の過熱蒸気で処
理した場合でも色調の変化は僅少で、耐水性や耐熱性に
すぐれていることは明白であり、これは本発明の特記す
べき効果である。
【0045】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例1において、サンプル7として調
製された本発明で使用される結晶性抗菌性組成物(Ag
=3.7重量%;Zn=2.0重量%;Dav=3.7
7μm)のX線回折図である。縦軸及び横軸はそれぞれ
相対強度及び回折角を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 9/02 KCN C08L 101/00 (72)発明者 岸本一男 東京都港区西新橋1丁目6番21号 帝人化 成株式会社内 (72)発明者 山崎 浩 東京都港区西新橋1丁目6番21号 帝人化 成株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀イオン、または銀イオンと亜鉛および
    銅の金属イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種
    の金属イオンとを含む結晶性二酸化珪素を主成分とする
    結晶性抗菌性組成物と、ポリマーとを含む抗菌性ポリマ
    ー組成物。
  2. 【請求項2】 前記結晶性抗菌性組成物における、結晶
    性二酸化珪素の含有量が少なくとも70重量%である請
    求項1記載の抗菌性ポリマー組成物。
  3. 【請求項3】 前記結晶性抗菌性組成物の嵩比重が0.
    4から1.4の範囲にある請求項1記載の抗菌性ポリマ
    ー組成物。
  4. 【請求項4】 前記結晶性抗菌性組成物の銀イオンの含
    有量が少なくとも0.3重量%である請求項1記載の抗
    菌性ポリマー組成物。
  5. 【請求項5】 酸化チタン、TBZ、ヂルコニアおよび
    タルクからなる群より選ばれた少なくとも1種の添加剤
    をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項記載の抗
    菌性ポリマー組成物。
  6. 【請求項6】 結晶性抗菌性組成物の含有量が少なくと
    も0.2重量%である請求項1から5のいずれか1項記
    載の抗菌性ポリマー組成物。
  7. 【請求項7】 シリカゲルの表面に銀イオンまたは銀イ
    オンと亜鉛および銅の金属イオンよりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種の金属イオンとを含むアルミノ珪酸塩
    の抗菌性皮膜を有するシリカゲルを母体とした抗菌性組
    成物を、250℃〜500℃に予熱して大部分の水分を
    除去し、次いで800℃〜1300℃で焼成して結晶性
    二酸化珪素を主成分とする結晶性抗菌性組成物を製造
    し、得られた結晶性抗菌性組成物とポリマーを混合す
    る、請求項1記載の抗菌性ポリマー組成物の製造方法。
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