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JPH07109660B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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Publication number
JPH07109660B2
JPH07109660B2 JP2026116A JP2611690A JPH07109660B2 JP H07109660 B2 JPH07109660 B2 JP H07109660B2 JP 2026116 A JP2026116 A JP 2026116A JP 2611690 A JP2611690 A JP 2611690A JP H07109660 B2 JPH07109660 B2 JP H07109660B2
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JP
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layer
light
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JP2026116A
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JPH03232131A (ja
Inventor
吉和 高岸
恵美子 浜田
雄治 新井
徹 藤井
孝信 松本
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Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
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Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2026116A priority Critical patent/JPH07109660B2/ja
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Publication of JPH07109660B2 publication Critical patent/JPH07109660B2/ja
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光情報記録媒体にかかわるもので、とくに透光
性を有するとともにレーザー光入射側に設けた基板と、
この基板上に積層する保護層とを少なくとも有し、光学
的に書き込みおよび読み出し可能である光情報記録媒体
に関するものである。
[従来の技術] この種の光情報記録媒体としては、記録データ、および
この記録データを再生するためのトラッキング用として
プレピットやプリグルーブを、あらかじめプレス等の手
段を用いて透光性のポリカーボネート製等の基板の上に
形成し、さらにこのピットを形成した面にAu、Ag、Cu、
Al等の金属膜からなる反射膜を形成し、さらにこの上に
樹脂からなる保護層を形成した再生専用の光情報記録媒
体としてコンパクトディスク(以下「CD」という)が実
用化されており、広く普及している。
こうした再生専用のCDは、あらかじめデータが記録さ
れ、その後のデータの書き込みや消去を行うことができ
ない、いわゆるROM型光情報記録媒体であり、最も代表
的には情報処理部門や音響部門においてすでに広く実用
化されている。
このCDの記録および再生信号に関する仕様はいわゆるCD
規格として規定されており、この規格に準拠する再生装
置は、コンパクトディスク(CDプレーヤー)として広く
普及している。
一方、使用者側でレーザー光を照射することによりデー
タを記録することが可能な、いわゆる書き込み可能な光
情報記録媒体も知られている。
この光情報記録媒体は、透光性を有する基板上にTe、B
i、Mn等の金属層や、シアニン、メロシアニン、フタロ
シアニン等の色素層等からなる記録層を有し、さらには
その層の背面に光反射層を有している場合もある。そし
てレーザー光の照射により、上記記録層を変形、昇華、
蒸発あるいは変性させる等の手段によってピットを形成
しデータを記録するものである。
記録したデータを再生するときには、上記基板側から記
録時よりパワーの弱いレーザー光を照射し、上記ピット
とそれ以外の部分との反射光の違いにより信号を読み取
っている。
近年においては、こうした光情報記録媒体についてもCD
規格を満足するものが提案されてきている。たとえば特
開昭61-237239号、特開昭61-239443号、特開昭62-11975
5号、特開平1-17234号、特開平1-100751号、特開平1-15
0248号、特開平1-1594840〜159843号などがある。
これらの出願においては、ポリカーボネート等の樹脂ま
たはガラス上に、シアニン色素、テルル等の記録層を有
し、さらにアルミニウム、チタン等の金属薄膜を形成
し、紫外線硬化樹脂、酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン
(TiO2)等により覆われた保護層を有している。
しかしながら、光吸収層として色素を用いた書き込み可
能ないわゆる追記形の従来の光情報記録媒体を使用する
場合には、この光情報記録媒体に記録された信号を再生
するための専用のCDプレーヤーを新しく別途必要とし、
再生専用のCD用として一般に広く普及している市販のCD
プレーヤーでは再生することができないという問題があ
る。
そこで、CDとして市販のCDプレーヤーで再生を行うため
には、世界統一規格であるCD規格に準拠する再生信号が
得られなければならない。
しかしながら、従来開示されている技術においては、CD
規格を満足する再生信号を得ることができる光情報記録
媒体に関し、その保護層の条件を満足可能な構成につい
ては何等具体的な開示がなされていなかった。
このCD規格を満足する光情報記録媒体の保護層に要求さ
れる条件としては従来のROM型のCDと同じ条件として、
基板の厚さが1.2mm±0.1mmであるときにディスクの厚さ
を全体で1.2mm+0.3〜−0.1mmにすることができること
である。
またCD規格を満足するための光情報記録媒体特有の記録
後の条件としては、ブランクディスクの状態でCD規格が
推奨するZADテスト(耐候試験、JIS C5024)等ヒートサ
イクルテストを行っても、そりが平面反射で±0.6度以
内であること、ブランクディスクの状態で上記ZADテス
ト等を行っても、基板と光吸収層との間、および光吸収
層と光反射層との間に剥離を生じないこと、記録時の波
形歪みを生じさせないようなピットを形成することがで
きること、およびCD規格に規定するブロックエラーレー
ト(BLER)を小さく(具体的には0.03以下)押さえるこ
とができること等が挙げられる。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は以上のような諸問題にかんがみてなされたもの
で、基板上に光吸収層、光反射層、および保護層を順次
積層した構成を有し、CD規格を満足する再生信号を得る
ことができる光情報記録媒体において、実用上、適正な
条件の保護層を有する光情報記録媒体を提供することを
課題とする。
[課題を解決するための手段] すなわち第一の発明は、透光性を有するとともにレーザ
ー光入射側に設けた基板と、この基板上に積層する保護
層とを有する光情報記録媒体であって、上記保護層は、
そのえんぴつ硬度が2H以上であるとともに、環境温度が
−15℃〜70℃の範囲において熱膨張係数αが1.5×10-5
≦α≦9.0×10-5(1/℃)であることを特徴とする光情
報記録媒体である。
また第二の発明は、透光性を有するとともにレーザー光
入射側に設けた基板と、この基板上に設けるとともに前
記レーザー光を吸収する有機色素から構成した光吸収層
と、この光吸収層上に設けるとともに上記レーザー光を
反射する光反射層と、この光反射層の上に設けた保護層
とを有する光情報記録媒体であって、上記保護層は、そ
のえんぴつ硬度が2H以上であるとともに、環境温度が−
15℃〜70℃の範囲において熱膨張係数αが1.5×10-5
α≦9.0×10-5(1/℃)であることを特徴とする光情報
記録媒体である。
つぎに、第1図ないし第6図にもとづき本発明をより具
体的に説明する。
第1図は、本発明による光情報記録媒体1の一部切り欠
き斜視図、第2図は同光情報記録媒体1の記録前の要部
縦断面図、第3図は同光情報記録媒体1の記録後の要部
縦断面図である。
この光情報記録媒体1は透光性の基板2と、この基板2
上に形成した光吸収層3と、この光吸収層3の上に形成
した光反射層4と、この光反射層4の上に形成した保護
層5とを有する。なお、必要に応じて基板2と光吸収層
3との間、および光吸収層3と光反射層4との間には中
間層(図示せず)を設けることもある。
上記基板2にはスパイラル状にプリグルーブ6を形成し
てある。このプリグルーブ6の左右には、このプリグル
ーブ6以外の部分すなわちランド7が位置している。
なお、基板2と光吸収層3とは第一の層界8により互い
に接している。光吸収層3と光反射層4とは第二の層界
9により接している。光反射層4と保護層5とは第三の
層界10により接している。
なお、保護層5と基板2とはその円周部においてこれら
を一体化させることにより、光情報記録媒体1全体の強
度を向上させるとともに、内部の光吸収層3および光反
射層4をより確実に保護することができる。
第3図に示すように、光情報記録媒体1に記録光(記録
用レーザー光)L1を照射したときに、光吸収層3がその
レーザー光L1のエネルギーを吸収することにより発熱し
基板2側に熱変形が生じてピット11を形成している。あ
るときには、光吸収層3に光学的変化が生じる場合もあ
る。
とくに第2図に示すように、光吸収層3の複素屈折率の
実数部をnabsとする。
光吸収層3の平均膜厚をdavとする。なお、ここでいう
平均膜厚davとは(光吸収層3の体積)/(光吸収層3
が形成された領域の面積)で表される。
光吸収層3の複素屈折率の虚部をkabsとする。
また、再生光(再生用レーザー光)L2の波長をλとす
る。
つぎに、ρ=nabs・dav/λにより定義される光学的パラ
メーターについて説明する。
本発明者らによる実験およびシュミレーションの結果か
ら、ρ=nabs・dav/λが非常に重要なパラメーターであ
ることに着目した。すなわち、基板2上に光吸収層3お
よび光反射層4を設けた構成を有する光情報記録媒体1
において、CD規格に規定している反射率が70%以上、か
つ変調度として示されるI11/Itopが60%以上、および変
調度I3/Itopが0.3〜0.7という出力信号を得るために
は、光吸収層3の複素屈折率の実数部nabsと、その平均
膜厚davと、再生光の波長λとで与えられるρ=nabs・d
av/λを0.05≦ρ≦1.6の範囲内に設定することにより、
容易に反射率をCD規格に適合する反射率70%以上とする
ことができることがわかっている。
上記ρが0.05よりも小さい場合には、光吸収層3の膜厚
davを0.05μm以下と、相当薄くしなければならないた
め、製造上実用的ではない。
したがって、0.05≦ρ≦0.6の範囲においては、0.30≦
ρ≦0.6の範囲が実用的であり、十分な変調度を取るた
めには、0.1以上の範囲が望ましく、変調度の大きい安
定した記録特性を得るためには0.45±0.1の範囲が最も
望ましい範囲であるということができる。
さらに、第4図に示すようにρが0.6以上の範囲であっ
ても、グラフ上でのピーク点であれば、反射率が70%を
越えることが可能である。
0.6<ρ<1.6の範囲においては、ピーク点は2点あり、
常に0.6<ρ<1.10の範囲と、1.10<ρ<1.6の範囲とに
あり、それらのピーク点において高い反射率を得ること
ができることがわかっている。
ρ>1.6の時には膜厚が厚くなるため、膜厚の制御が困
難になり、製造上実用的ではない。
このρと反射率との関係を示すグラフは、指数関数と、
周期関数との組み合わされた関数として表され、ρが大
きくなるにしたがって、周期関数の振幅が大きくなる。
こうした周期関数の振幅は、光情報記録媒体1を構成す
る層の複素屈折率、膜厚、それらの均質性等をパラメー
ターとして変化する。たとえば、光吸収層3から光が入
射する側にある層の屈折率が小さいと、反射率はグラフ
全体として反射率が高くなる方向にシフトする等であ
る。
また、このグラフは光吸収層3の複素屈折率の虚部kab
s、およびdavをパラメーターとする指数関数で表され、
第5図に示すようにkabsが大きくなるほどグラフ全体の
反射率の減衰が大きくなるということもわかっている。
高い反射率を得るためにはこのkabsが0.3以下であるこ
とが必要である。
同図から判明するように、このkabsは0.3以下であれ
ば、0に近くなるほど反射率は向上する。したがって、
この範囲が最も望ましい。しかし0に近づくほど記録感
度が悪くなるため、0より大きいことが必要である。具
体的には0.01以上の範囲が望ましく、実際には0.05前後
が望ましい。
光吸収層3が均質であり、その複素屈折率の実部nabs、
膜厚davに不均一な分布がない限り、第4図の上記グラ
フのピークを示す点の周期には変化がないことが本発明
者らのシミュレーションによりわかっている。
なお、条件により、第4図におけるグラフのボトム点の
反射率についても、上記パラメーター条件を制御するこ
とによりこれを高くすることが可能であるが、ρをボト
ム点付近に設定した場合には、変調度を大きく取ること
が困難であり、ある場合には、記録前よりも反射率が上
昇してしまう場合も生じる。したがって、ρはピーク点
付近に設定することが望ましい。
つぎに、各層の材質ないし物性等について説明する。
まず、透光性の基板2は、レーザー光に対する屈折率が
1.4〜1.6の範囲内の透明度の高い材料で、耐衝撃性に優
れた主として樹脂により形成したもの、たとえばガラス
板、アクリル板、エポキシ板等を用いる。また、基板2
上に他の層、たとえばSi2等の耐溶剤層やエンハンス層
をコーティングしておいてもよい。
これらの材料を射出成型法等の手段により成型する。基
板2の厚さは、CD規格に準拠するように、1.1mm〜1.5mm
が望ましい。
なお、本発明の効果を十分に得るためには、基板2の材
料はポリカーボネートが望ましい。また基板2の熱膨張
係数αの値が、5.0×10-5〜7.0×10-5(1/℃)程度のも
のが望ましい。
こうした基板2の光吸収層3側の表面には、トラッキン
グガイド手段を設けてある。このトラッキングガイド手
段としては、所定間隔に形成されたピットからなるアド
レスピット、いわゆるサンプルサーボでもよいが、スパ
イラル状に形成したプリグルーブ6(第2図、第3図)
が望ましい。スパイラル状のプリグルーブ6は、データ
信号を記録するときのトラッキングをガイドするために
用いられる。
上記プリグルーブ6の深さは通常考えられる条件のもの
であればどのようなものでもよいが、30〜250nmの深さ
が好適であり、さらに望ましくは、60〜180nmの深さで
あることが望ましい。また、プリグルーブ6の幅は、0.
3〜1.3μmが望ましい。
プリグルーブ6とプリグルーブ6との間の間隔、いわゆ
るトラッキングピッチは、1.6μmが望ましい。
また、プリグルーブ6等のトラッキング手段には、時間
コード情報(ATIP:Absolute Time In Pregroove)をプ
リグルーブ6のエッジに入れておいてもよい。
こうしたプリグルーブ6は基板2の射出成型時にスタン
パを押し当てることによりこれを形成するのが通常であ
るが、レーザーによりカッティングすることや、2P法
(Photo−Polymer法)によりこれを製作してもよい。
つぎに、前記光吸収層3はこうした基板2のトラッキン
グガイド手段の上に形成した光吸収性の物質からなる層
で、レーザーを照射することにより、発熱、溶融、昇
華、変形または変性をともなう層である。この光吸収層
3はたとえば溶剤により溶解したシアニン系色素等を、
スピンコート法等の手段により、基板2の表面に一様に
コーティングすることによってこれを形成する。
光吸収層3に用いる材料は、公知の光記録材料である限
り、本発明の効果を得ることは可能であるが、光吸収性
の有機色素が望ましい。具体的には、ポリメチン系色
素、トリアリールメタン系色素、ピリリウム系色素、フ
ェナンスレン系色素、テトラデヒドロコリン系色素、ト
リアリールアミン系色素、スクアリリウム系色素、クロ
コニックメチン系色素、メロシアニン系色素等の光吸収
性の有機色素を例示することができるが、これらに限定
されるものではなく、公知の光記録材料である限り本発
明の効果を得ることができる。
上記シアニン系色素からなる光吸収層3は、nabs、kabs
の数値設定が容易であるため、反射率が高くかつ変調度
が高い再生信号を得ることができ、CD規格に準拠した光
情報記録媒体1を容易に得ることができる。
なお、光吸収層3には他の色素、樹脂(たとえばニトロ
セルロース等の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ
ー)、液ゴム等を含んでもよい。
具体的には、イソブチレン、無水マレイン酸共重合体、
エチレン酢ビコポリマー、塩素化ポリプロピレン、ポリ
エチレンオキシド、ポリアミド、ナイロン、クマロン樹
脂、ケトン樹脂、酢酸ビニル、ポリスチレン、PVA(ポ
リビニルアルコール)、PVE(ポリビニルエステル)等
が挙げられる。
セルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロー
ス、ニトロセルロース、HPC(ヒドロキシプロピルセル
ロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、MC
(メチルセルロース)、EC(エチルセルロース)、EHEC
(エチルヒドロキシエチルセルロース)、CMEC(カルボ
キシメチルエチルセルロース)等が挙げられる。
オリゴマーとしては、オリゴスチレン、メチルスチレン
オリゴマー等が挙げられる。
エラストマーゴムとしては、スチレンブロックコポリマ
ー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
光吸収層3は、上記の色素および任意の添加物を公知の
有機溶媒(たとえば、ケトンアルコール、アセチルアセ
トン、メチルセロソルブ、トルエン等)を用いて溶解し
たものを、プリグルーブ6を形成した基板2上の表面、
または基板2上のさらに他の層をコーティングした表面
上に形成する。
この場合の形成手段としては、蒸着法、LB法、あるいは
スピンコート法等が挙げられるが、光吸収層3の濃度、
粘度、溶剤の乾燥速度等を調節することにより、層厚を
制御することができるスピンコート法が望ましい。
この光吸収層3の層厚を調節する方法として具体的に
は、スピンコートの回転数を変化させる方法、粘性の異
なる物質を混在させてスピンコートを行う方法、溶剤を
複数種類用いて溶解させた光吸収物質を用いてスピンコ
ートを行う、あるいは高沸点物質を混在させてスピンコ
ートを行う方法等が挙げられる。
つぎに、前記光反射層4は金属膜であり、たとえば、
金、銀、銅、アルミニウム、あるいはこれらを含む合金
を、蒸着法、スパッタ法等の手段によりこれを形成す
る。反射率70%以上を有することが必要なため、これら
の中でも、金または金を含む合金を主体とする金属膜が
望ましい。
また、光反射層4の酸化を防止するため、光反射層4の
上に耐酸化層等の他の層を設けてもよい。
つぎに、前記保護層5は、基板2と同様の耐衝撃性に優
れた樹脂によりこれを形成する。たとえば、紫外線硬化
樹脂をスピンコート法により塗布し、これに紫外線を照
射して硬化させることによりこれを形成する。このほ
か、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン系ハード
コート樹脂等を使用することもある。
保護層5は、一般には重合してポリマーとなり得る有機
化合物のモノマーおよびオリゴマーを塗布後、架橋反応
させることによりこれを得ることができる。しかしなが
ら、材質は有機化合物に限らず、無機物をスパッタ法あ
るいは蒸着法等公知の手段により形成してもよい。
なお、架橋反応により有機ポリマーとしてこれを得る場
合には、作業性の面から分子中にひとつ以上の反応性ア
クリロイル基(−CH=CH2)を持つ有機重化合物のモノ
マーおよびオリゴマーの混合物に反応開始剤、反応触媒
を少量加え、液状のこれらの混合物を塗布し、紫外線も
しくは電子線を照射することにより架橋させる方法が有
利である。
しかしながら、架橋の方法はこれに限られるわけではな
く、エポキシ樹脂やウレタン樹脂のように、熱によって
架橋が進むものであってもよいし、ジアルコキシシラン
カップリング剤のように空気中の水分で重合反応が進む
ものであってもよい。
こうして得られた架橋物の主鎖および側鎖は、飽和もし
くは不飽和系の直鎖状炭化水素であってもよいし、メラ
ミン、ビスフェノール系等の環状化合物を含んでいても
よい。また、この架橋物の主鎖または側鎖の途中に一個
以上のエーテル結合を含むポリエーテル、エステル結合
を含むポリエステル、ウレタン結合を含むポリウレタ
ン、イオン結合を含むアイオマー、アミド結合を含むポ
リアミド、イミド結合を含むポリイミド、スルホン結合
を含むポリスルホン、スルフィド結合を含むポリスルフ
ィド等に例示されるその他の結合を含んでいてもかまわ
ない。これらの結合をふたつ以上含む共重合化合物であ
ってもよいし、ブロックポリマーであってもかまわな
い。
また、これらの架橋物の防湿性を向上させるために、側
鎖にフルオロカーボン等を含んでいてもよいし、ハロゲ
ン化水素による劣化を防止するためにエポキシ樹脂を含
んでいてもよい。
また、光反射層4との密着性を向上させるために、側鎖
にヒドロキシル基、カルボキシル基、アクリル基、アミ
ノ基、酢酸ビニル基等を含んでいてもよいし、主鎖また
は側鎖に塩基酸が含まれていてもよい。
保護層5の形成の際には、塗布中に樹脂とその反応剤、
反応開始剤等のほかに、塗布性を向上させるために、溶
剤、希釈剤が含まれていてもよい。また、塗膜の安定化
を図るために、レベリング剤や、可塑剤、酸化防止剤、
帯電防止剤、等が含まれていてもよい。また、必要に応
じて、顔料や染料により着色してあってもかまわない。
なお、樹脂の硬度は、架橋構造の架橋密度ないしは反応
性アクロイル濃度によってこれを変えることができ、主
鎖となり得るオリゴマー自体の分子回転の自由度によっ
ても変わってくる。
また本発明による光情報記録媒体1では、基板2に対し
て、光吸収層3の背後側の層、たとえば光反射層4や保
護層5等を、ピット11を形成した層に比較して熱変形温
度が高く、かつ硬度が高いものにより形成することが望
ましい。背後側の層を硬度の高い層により形成すること
は、CD規格に規定する記録信号のブロックエラーレート
の低減に効果が認められる。
CD規格に明記されている使用環境温度内つまり−15℃〜
70℃の範囲内においては、保護層5の硬度をえんぴつ硬
度で2H以上とすることにより、光吸収層3の光反射層4
側の第二の層界9の変形を小さく抑えることができる。
その結果、波形歪みを抑えることができ、ブロックエラ
ーレート(BLER)の小さな良好な記録を行うことができ
る。
第6図に示すように、保護層5の硬度を小さくするにし
たがって、BLERは増加する傾向がある。本発明者らの検
討によれば、えんぴつ硬度H以下では、耐候試験後には
CD規格上限をこえるBLERの大きな光情報記録媒体しか得
ることができない。
つぎに、当該保護層5の熱膨張係数αを、使用環境温度
−15℃〜70℃の範囲内において、1.5×10-5〜9.0×10-5
(1/℃)の範囲内にすることにより、この保護層5が基
板2と同様の熱体積変化を示すため、熱を加えた場合に
も光情報記録媒体1全体としてそりを生じさせ難くな
る。
αが1.5×10-5未満の場合には、加熱時の膨張により基
板2の方が大きく膨張するため、光情報記録媒体1が保
護層5側にそり、基板2の各層に引張り張力が生じ、記
録ピット11のジッターが増加する原因となる。
αが9.0×10-5よりも大きい場合には、加熱時の膨張に
より保護層5の方が大きく膨張するため、保護層5がた
るみ、光吸収層3と光反射層4との間、および光反射層
4と保護層5との間に層間剥離を生ずる。
なお、当該保護層5の硬化時における収縮率を12%以下
とすることにより、これを硬化させた後に、樹脂の歪み
が残らないようにヒートサイクル試験を行ったときで
も、保護層5には割れが生じないことがわかった。。
機械的強度を考慮すると、保護層5の収縮率は10%以下
であることが望ましい。
なおまた、光反射層4と保護層5との間に、光反射層4
の酸化を防止する耐酸化層を介在させることもできる。
[作用] 本発明による光情報記録媒体は公知の光情報記録装置に
よって記録を行うことができる。以下概説する。すなわ
ち、光情報記録装置のレーザー照射手段すなわちピック
アップを設けた側に透光性の基板2の表面が面するよう
に光情報記録媒体1を配置する。この光情報記録媒体1
をスピンドルモータにより回転させながら、CD規格に準
拠した信号に変調されたレーザースポットを、前記トラ
ッキングガイド手段にしたがってトラッキングしなが
ら、ピックアップにより光情報記録媒体1の光吸収層3
に照射することによって、ピット11を形成する。
当該光情報記録媒体には波長λが780nm付近のレーザー
スポットを照射することが望ましい。またCD規格との関
連から、線速度は1.2〜1.4m/secである必要があり、記
録パワーは6〜9mW程度でよい。すなわち市販のCDプレ
ーヤーにおいてその記録パワーを再生時よりも大きくす
ることによって記録を行うことができる。
かくして、CD規格を満足する再生信号を得ることができ
る光情報記録媒体1を容易に作成可能となる。
なお本発明による光情報記録媒体1は、第3図に示すよ
うに、光吸収層3に基板2側から記録用レーザー光L1を
照射したとき、この光吸収層3がレーザー光L1を吸収し
て熱を発生し、基板2の表面が局部的に変形し、基板2
表面にピット11が形成されるものが望ましい。
あるいは、光吸収層3が光学的変化を起こし、これによ
ってピット11が形成されるものでもよい。
さらに、上記レーザー光L1の照射により融解、分解した
成分が軟化した基板2の中に拡散し、基板2を形成する
成分と部分的に混合して、化合し、そこに光吸収層3や
基板2の他の部分とは光学的に異なった部分が生成し
て、ピット11が形成される場合もある。
記録信号の再生は、基板2側から再生用レーザー光L2を
照射することにより、ピット11部分の反射光とピット11
以外の部分の反射光との光学的位相差の明暗の差を読み
取ることによって行われる。
また本発明では、光吸収層3が基板2のほぼ全面に形成
された光情報記録媒体1のほか、基板2の一部が光吸収
層3を有する記録可能領域であり、その他の部分がCDフ
ォーマット信号が再生可能なピット11を有するROM領域
である光情報記録媒体にも適用が可能である。このよう
な光情報記録媒体はたとえば基板2の表面のROM領域と
なる部分に信号再生用のピットをスタンパ等により、あ
らかじめ形成しておき、その外側の記憶可能領域にのみ
光吸収層3を形成したものである。
こうした光情報記録媒体では、ROM領域にあらかじめプ
レス等により大量に画一的なデータを記録しておくこと
ができ、しかもここには光吸収層3がないため、誤消去
や、別のデータの誤記録のおそれがない。また、光吸収
層3を有する領域では使用者独自のデータを任意に記録
することができる。そして、この記録されたデータがCD
規格に準じた信号をもって再生することができるため、
上記ROM領域の情報と同様に市販のCDプレーヤーにより
再生することができる。
[実施例] つぎに本発明による光情報記録媒体についてその実施例
を以下に説明する。
(実施例1) 幅0.5μm、深さ0.08μm、およびピッチ1.6μmのスパ
イラル状のプリグルーブ6を形成した厚さ1.2mm、外径1
20mm、内径15mmのポリカーボネート基板を射出成形法に
より成形した。
つぎに光吸収層を形成するための有機色素として、0.65
gの1,1′−ジブチル3,3,3′,3′テトラメチル4,5,4′,
5′−ジベンゾインドジカーボシアニンパークロレート
(日本感光色素株式会社製、NK-3219)をジアセトンア
ルコール溶剤10mlに溶解し、これを上記基板上に回転数
を適当に変化させながらスピンコートすることによって
平均膜厚davが0.13μmの色素膜からなる光吸収層を形
成した。
このディスクの全面に真空蒸着法により膜厚50nmのAu膜
を成膜し光反射層を得た。さらに、この光反射層の上に
紫外線硬化樹脂(サンノプコ社製SN5X-9685)3gをスピ
ンコート法により塗布し、これに120W/cmの低圧水銀灯
からの紫外線を6m/minで照射して硬化させ、厚さ8μm
の保護層を形成した。
この条件におけるこの保護層のガラス面上表面硬度はえ
んぴつ硬度4Hである。
また温度範囲−15〜70℃における熱膨張係数αは、1.5
×10-5≦α≦6.5×10-5(1/℃)である。
さらに、硬化時の収縮率は10.8%であった。
こうして得た光情報記録媒体に、波長780nmの半導体レ
ーザーを線速1.2m/sec、記録パワー6.0mWで照射し、EFM
信号を記録した。
この光情報記録媒体を市販のCDプレーヤー(Aurex XR-V
73、再生光の波長780nm、再生パワー0.5mWのレーザー)
で再生したところ、ブロックエラーレートが1.8×10-3
であった。
この後、この光情報記録媒体を温度70℃、湿度55%RHで
250時間の耐候試験を行った。常温に戻した上で、BLER
を再度測定すると、5.2×10-3であった。この値はCD規
格のひとつであるレッドブックの規格値を十分に満足し
ている。
またこのときの光情報記録媒体のそり角度は0.4度であ
った。この角度も上記レッドブックの規格値を満足して
いる。
上述の試験の後、合計1000時間まで同条件の耐候試験を
行ったが、その後のBLERおよびそりにはほとんど変化が
なかった。
(比較例1) 実施例1と同様に成形したポリカーボネート製基板に、
光吸収層を形成するための有機色素として、実施例1と
同様の色素を同様の濃度でスピンコートし、平均膜厚da
vが0.13μmの色素膜からなる光吸収層を形成した。
このディスクの全面に真空蒸着法により膜厚50nmのAu膜
を成膜し光反射層を得た。
さらに、この光反射層の上に単官能アクリレートモノマ
ーおよび多官能アクリレートオリゴマー(東亜合成化学
工業社製、アロニックス)数種類を配合し、このアクリ
レート混合物の2wt%の1−ヒドロキシシクロヘキシル
フェニルケトン(チバガイギー社製、イルガキュアー−
184)を光反応開始剤として加えた。この塗料3gを実施
例と同様にスピンコート法により上記光反射層状に塗布
し、これに120W/cmの低圧水銀灯からの紫外線を4m/min
で照射して硬化させ、厚さ6μmの保護層を形成した。
この条件におけるこの保護層のガラス面上表面硬度はえ
んぴつ硬度6Hである。
また温度範囲−15〜70℃における熱膨張係数αは、0.8
×10-5≦α≦3.0×10-5(1/℃)であった。
さらに、硬化時の収縮率は13.8%であった。
こうして得た光情報記録媒体を実施例1と同様にして記
録、再生を行ったところ、ブロックエラーレートが3.1
×10-3であった。
この後、この光情報記録媒体を温度70℃、湿度55%RHで
250時間の耐候試験を行った。常温に戻した上で、BLER
を再度測定すると、4.8×10-2であった。この値はCD規
格を満足していない。
またこのときの光情報記録媒体のそり角度は1.2度であ
った。この角度も上記CDの規格値を満足していない。
(実施例2) 上記実施例1と同様に成形したポリカーボネート基板
に、実施例1と同様にして光吸収層を形成し、さらに同
様にして光反射層を形成した。
この光反射層の上に紫外線硬化樹脂(大日本インキ工業
社製EX-708)3gをスピンコート法により塗布し、これに
120W/cmの低圧水銀灯からの紫外線を6m/minで照射して
硬化させ、厚さ10μmの保護層を形成した。
この条件におけるこの保護層のガラス面上表面硬度はえ
んぴつ硬度2Hである。
また温度範囲−15〜70℃における熱膨張係数αは、1.5
×10-5≦α≦6.5×10-5(1/℃)である。
さらに、硬化時の収縮率は9.2%であった。
こうして得た光情報記録媒体に、実施例1と同様にして
記録、再生を行ったところ、ブロックエラーレートが2.
0×10-3であった。
この後、この光情報記録媒体を温度25℃、湿度55%RHか
ら、2時間で温度70℃、湿度65%RHへと変化させた。こ
の状態を4時間保持した後、2時間で温度25℃、湿度55
%RHへと戻し1時間後に再び昇温する耐候試験を10回繰
り返し行った。この後、BLERを再度測定すると、1.1×1
0-2であった。この値はCD規格のひとつであるレッドブ
ックの規格値を十分に満足している。
またこのときの光情報記録媒体における保護層上でのク
ラックやふくらみ、その他の層における変化は見られな
かった。
(比較例2) 実施例1と同様に成形したポリカーボネート製基板に、
同様に光吸収層を形成し、さらに光反射層を形成し、さ
らに、この光反射層の上に紫外線硬化樹脂(サンノプコ
社製SN-8395)3gをスピンコート法により上記光反射層
状に塗布し、これに120W/cmの低圧水銀灯からの紫外線
を6m/minで照射して硬化させ、厚さ8μmの保護層を形
成した。
この条件におけるこの保護層のガラス面上表面硬度はえ
んぴつ硬度5Hである。
また温度範囲−15〜70℃における熱膨張係数αは、0.8
×10-5≦α≦3.0×10-5(1/℃)であった。
さらに、硬化時の収縮率は15%であった。
こうして得た光情報記録媒体を実施例1と同様にして記
録、再生を行ったところ、ブロックエラーレートが1.7
×10-3であった。
この後、この光情報記録媒体を温度25℃、湿度55%RHか
ら、2時間で温度70℃、湿度65%RHへと変化させ、この
状態を4時間保持した後、2時間で温度25℃、湿度55%
RHへと戻し1時間後に再び昇温するの耐候試験を10回繰
り返した。
この後、この光情報記録媒体を観察すると、保護層には
剥がれをともなうクラックが生じ、その割れは光吸収層
まで達していた。
またこのときの割れのためBLER値を測定することは不可
能となっていた。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、保護層のえんぴつ硬度、
および熱膨張係数を所定の値に設定することにより、と
くにCD規格に定められたブロックエラーレート値の規格
値を満足することが可能であるとともに耐候性にすぐれ
た光情報記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による光情報記録媒体1の一部切り欠き
斜視図、 第2図は同、光情報記録媒体1の要部縦断面図、 第3図は同、プリグルーブ6にピット11を形成した状態
の要部縦断面図、 第4図はρ(=nabs・dav/λ)と、反射率との関係のグ
ラフ、 第5図は光吸収層3の複素屈折率kabsと、反射率との関
係のグラフ、 第6図は保護層のえんぴつ硬度と、ブロックエラーレー
ト(BLER)との関係のグラフである。 1……光情報記録媒体 2……透光性の基板 3……光吸収層 4……光反射層 5……保護層 6……プリグルーブ 7……ランド 8……第一の層界 9……第二の層界 10……第三の層界 11……ピット nabs……光吸収層3の複素屈折率の実数部 kabs……光吸収層3の複素屈折率の虚数部 dav……光吸収層3の平均膜厚 λ……再生光の波長 L1……記録用レーザー光 L2……再生用レーザー光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 徹 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 松本 孝信 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−188837(JP,A) 特開 平2−10533(JP,A) 特開 平3−232130(JP,A) 特開 平3−232132(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性を有するとともにレーザー光入射側
    に設けた基板と、 この基板上に積層するとともに前記レーザー光を反射す
    る金属膜による光反射層と、 この光反射層上に積層する保護層とを有する光情報記録
    媒体であって、 前記保護層は、そのえんぴつ硬度が2H以上であるととも
    に、環境温度が−15℃〜70℃の範囲において熱膨張係数
    αが1.5×10-5≦α≦9.0×10-5(1/℃)であることを特
    徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】透光性を有するとともにレーザー光入射側
    に設けた基板と、 この基板上に積層するとともに前記レーザー光を吸収す
    る有機色素から構成した光吸収層と、 この光吸収層上に積層するとともに前記レーザー光を反
    射する金属膜による光反射層と、 この光反射層上に積層する保護層とを有する光情報記録
    媒体であって、 前記保護層は、そのえんぴつ硬度が2H以上であるととも
    に、環境温度が−15℃〜70℃の範囲において熱膨張係数
    αが1.5×10-5≦α≦9.0×10-5(1/℃)であることを特
    徴とする光情報記録媒体。
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