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JPH0691943B2 - 高分離能高分子膜の製造方法 - Google Patents

高分離能高分子膜の製造方法

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Publication number
JPH0691943B2
JPH0691943B2 JP60157031A JP15703185A JPH0691943B2 JP H0691943 B2 JPH0691943 B2 JP H0691943B2 JP 60157031 A JP60157031 A JP 60157031A JP 15703185 A JP15703185 A JP 15703185A JP H0691943 B2 JPH0691943 B2 JP H0691943B2
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film
hollow fiber
membrane
gas
separation
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JP60157031A
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和夫 蓮見
一高 村田
孝典 穴沢
善之 小野
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0691943B2 publication Critical patent/JPH0691943B2/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 近年、膜による混合気体の分離、即ち気体隔膜分離技術
は、省エネルギー化、分離装置、操作の簡略化等多くの
点で注目され、空気からの酸素富化空気の製造、CO2
分離回収、燃焼ガスからのCO、H2の回収、廃ガスからの
NO2、SO2の除去、C1化学における合成ガスH2/COの精
製、調整、天然ガスからのHe等の不活性ガスの分離、回
収、等多くの分野での利用が検討されている。これらの
分野では気体分離能が高いこと、透過速度の大きいこと
が経済性等の面で実用化、普及のポイントとなってお
り、これらの点で優れた膜の開発が切望されている。
本発明は、この様な要求に対応するもので、気体分離能
が高く、透過速度の高い、又力学的特性にも優れた膜及
びこれを能率よく製造する方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
気体隔膜分離の技術分野においては、前述の様に気体分
離能が高いことと同時に、経済性等の面から透過速度の
大きいことが要求されている。この目標を達成するため
には、気体分離能を有する素材を極力薄膜化、例えば厚
さ1μm以下にする事が必須であり、これにより実用的
な気体透過速度を実現する事ができる。しかるに、かよ
うな薄膜は機械的強度が非常に低い為、多孔質の支持体
の上に薄膜を形成した、いわゆる複合膜の形態で用いら
れるのが通常である。複合膜の製造方法には溶液塗布法
(例えば特開昭50−41958)、液面展開法(例えば特開
昭56−168804)、プラズマ重合法(例えば特開昭57−91
708)、界面重合法等が知られており、また複合膜と類
似の構造を持つが、多孔質層と非多孔質層が同一素材で
ある、いわゆる不均質膜の製造方法として、湿式法や溶
融法が知られている(例えば本特許出願人の出願に係る
特開昭59−196706および59−229320)。
以上の全ての製造方法に共通する技術的ポイントは、如
何にしてピンホールの発生を抑えつつ非多孔層を薄くす
るかという点にある。換言すればいかにして分離係数を
低下させる事無く気体透過速度を向上させるかという点
にある。特に支持体となる多孔質膜にコーティング、プ
ラズマ重合や、そのほかの処理を施してその表面に分離
活性層(非多孔層)を形成する複合膜の製造方法に於い
ては、非多孔層の厚さを薄くしようとすると細孔の隠ぺ
いが不完全となって、非多孔層の素材本来の分離係数よ
り大巾に低い値しか実現できず、結局実用に耐える分離
係数を得るには非多孔層を厚くせざるを得ないのが現状
である。
一方不均質膜に於ては、多孔質層と非多孔質層を同時に
形成する為、細孔を隠ぺいする必要は無いものの、製膜
方法や支持体の強度等の点から、用いる事のできる素材
に制約があり、従って分離の系によっては、それに適合
した高い性能を持つ膜を製造できない場合があった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
以上のべてきた様に、気体分離膜の分野では目的とする
分離系に関して高い分離能と大きい透過速度の両方を満
足させることが必要である。本発明の目的は種々の分離
系に適応し、しかも高い分離能と高い透過速度に同時に
実現した膜を製造する事にある。
尚、本明細書において、計量的観点からより厳密に記述
しようとする場合には、「気体透過速度」の語に代えて
「気体透過率」の語を用いる場合があり、その単位はcm
3(STP)/cm2・sec・cmHgである。
〔問題を解決する為の手段〕
本発明者等は、透過速度と分離係数が共に高い膜を得る
為に、微多孔層(支持体)の表面に分離活性層となる非
多孔層が形成されたいわゆる不均質膜構造を形成し、そ
の非多孔層をさらに高い分離能を発現させるべく改質す
る方法について鋭意研究の結果、その或る種の方法が、
従来の技術では相反する関係とされていた、製品におけ
る気体の透過速度と分離係数の双方を同時に向上できる
と共に、本出願人の先行発明に比しても透過速度の面で
の不都合を来たすことなく分離係数を向上できることを
見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、熱可塑性の結晶性重合体を溶融押出し製膜し
た後、延伸することにより製造した独立気泡又は半連通
孔の膜に、無機又は有機ガス状物質の存在下、プラズマ
重合膜が形成しない範囲でプラズマ処理を施すことを特
徴とする高分子膜の製造方法に関するものである。すな
わち、結晶性重合体から製造した薄膜状の分離活性層を
有する膜をプラズマ処理により表面にプラズマ重合膜を
形成させるのではなく化学修飾することにより、結晶性
重合体本来の分離係数を、より大きな値に向上させるも
のであり、分離係数と透過速度の両立した、優れた分離
膜の新規製造法を提供するものである。
さらに詳細には、本発明は、熱可塑性の結晶性重合体を
(1)溶融温度Tm〜(Tm+200)℃(但しTmは結晶融
点)、ドラフト比Dfが20≦Df≦10000の条件にて溶融押
し出し、製膜して得た中空糸又はフィルムを、(2)
(Tg−20)〜(Tg+50)℃(但し、Tgはガラス転移温
度)にて、元の長さの5〜200%延伸後(3)(Tg+2
0)〜(Tm−10)℃の温度で熱処理を行ない、その後
(4)(Tg−50)〜(Tm−10)℃の温度で延伸倍率1.1
〜3.0に延伸し、次いで、(5)((4)の延伸温度)
〜Tmで熱固定して製造した独立気泡又は半連通孔の膜
に、無機又は有機ガス状物質の存在下、プラズマ重合膜
が形成しない範囲でプラズマ処理を施すことを特徴とす
る高分子膜の製造法に関するものである。
本発明で用いる結晶性重合体は、到達結晶化度20%以上
の熱可塑性の結晶性重合体であり、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ‐3-メチル‐ブテン‐1、ポ
リ‐4-メチル‐ペンテン‐1、等のポリオレフィン、ポ
リスチレン、ポリ‐メチルメタクリレートなどのビニル
重合体、ポリ弗化ビニリデン、ポリ弗化ビニルエチレン
/四弗化エチレン共重合体などの弗素系重合体、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン‐2,6-ナフタレートなどのポリエステ
ル、ポリ‐4,4-ジオキシジフェニル‐2,2-プロパンカー
ボネートなどのポリカーボネート、ポリオキシメチレ
ン、ポリメチレンスルフィドなどのポリエーテル、ポリ
チオエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレ
ンスルフィドなどのポリフェニレンカルコゲナイド、 の構造をもつポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を
挙げることができる。また、これらの重合体相互のブレ
ンドや共重合体で、到達結晶化度が20%以上のものであ
っても良い。さらに、他の非晶質ポリマーとのブレンド
や無機物とのブレンド等、上記重合物を70%以上含有す
る組成物も本発明に用いることができるし、酸化防止
剤、帯電防止剤、防黴剤、滑剤、表面活性剤等を必要に
応じて適量含有することができる。
中空糸の溶融紡糸温度(もしくはフィルムの溶融押出温
度)(以下、説明の簡略化の為に、特に断らない限り中
空糸膜の場合について話を進める。フィルム押出しやイ
ンフレーションの場合も話は同様である。)は重合体の
融点Tmより高く、融点を200℃以上越えないことが好ま
しい。好適な紡糸温度は重合体の結晶化速度、重合体の
分子量、冷却条件、紡糸速度やドラフト比、それに後の
工程の処理条件によって異なり、一般的に言って、結晶
化速度の遅い重合体や低分子量の重合体を用いる場合、
紡糸速度やドラフト比が比較的小さい場合等には、(Tm
+10)〜(Tm+50)℃の低い温度が好ましい。融点より
200℃以上高い温度では気体の透過速度が大きな膜を得
ることは困難である。
ドラフト比(=引取速度/吐出速度)は5〜10000が好
ましい。紡糸温度に於ける溶融粘度が7000ポイズ以上で
ある様な高分子量の重合体の場合には5〜200の比較的
低いドラフト比が適当であるが、一般的には50以上が好
ましい。特に溶融粘度が1000ポイズ以下の低分子量の重
合体を用いて徐冷する場合には、500以上の高ドラフト
が必要である。また一般的に、吐出糸を急冷する場合に
は、徐冷する場合に比べてドラフト比を低くすることが
できる。ドラフト比がこの範囲外でも、本発明の膜を製
造することは可能であるが、高い気体透過性能が望めな
い他に、製造が困難になるデメリットが生ずる。
押出し速度は、比較的任意に選択できる。遅過ぎ、ある
いは速過ぎる条件では糸切れが生じ易くなるが、装置的
な要求に合せて決定できる。
中空糸紡糸用ノズルは、円環型、馬蹄型、ブリッジ型等
の通常の中空糸紡糸用ノズルを用いることができる。フ
ィルム押出用ダイはTダイやインフレーション用の円環
状ダイ等、通常用いられるフィルム、シート用ダイを用
いることができる。
中空糸の外径は、ノズル寸法やドラフト等によって5〜
5000μmに設定することが好ましい。5μm以下および
5000μm以上では透過速度の大きな膜を得ることが困難
となる。中空糸又はフィルムの膜厚も、同様にして1〜
1000μmに設定することが好ましい。この範囲外では良
好な多孔質膜が生成しにくく、気体透過速度が小さくな
る。
本発明により製造された膜を気体分離膜として用いる場
合には、フィルム(平膜)状より、表面積の大きくとれ
る中空糸が有利であり、その外径は20〜500μm、膜厚
は1〜50μmがより好ましい。
ノズルより押出された吐出糸は冷却固化させる。冷却は
空気中を吐出糸が自走する事で自動的に行なわれるが、
さらに積極的な冷却操作を加える事がより好ましい。冷
却方法としては送風の他、チルロールや水(又は湯)に
よる冷却等通常の冷却方法を用いることができる。冷却
温度は、重合体の結晶化速度にもよるが、一般的には
(Tg−50)〜(Tm−50)℃が好ましい。
以上の様にして得られた中空糸は熱処理を行う。ポリオ
レフィンの様に結晶化速度の速い重合体の場合には、徐
冷条件の紡糸工程に於て、結晶化が進行しているため、
必ずしも熱処理は必要ではないが、ポリエステルの様に
結晶化の遅い重合体では熱処理を行うことが必要であ
る。またポリオレフィン等の場合であっても紡糸条件で
は冷却を行っておき、別工程として熱処理を行う方が膜
性能や製品の均一化の面からは有利である。熱処理温度
は(Tg+20)〜(Tm−5)℃が適当である。熱処理を高
温・長時間の条件で必要以上に行い過ぎると、多孔質膜
にピンホール(連通細孔)が発生し、分離係数の向上が
見られなくなるので好ましくない。また熱処理は延伸倍
率(DR)1.0〜3.0の緊張下で行うことが好ましい。弛緩
あるいは無緊張下での熱処理は、ピンホールの発生を伴
うので好ましくない。
熱処理の方法としては加熱ローラー、熱風炉、赤外炉、
高周波加熱等通常用いられる加熱方式を採用できる。ま
た乾熱方式だけでなくスチームや湿式加熱であってもさ
しつかえない。
以上の処理をした中空糸もしくはフィルムは、延伸する
ことによって膜内部に空隙を発生させ、多孔質を形成さ
せる(この工程を冷延伸工程と呼ぶことにする)。延伸
倍率は1.05〜3.0が適当である。冷延伸温度は、低過ぎ
ると表面薄膜層が破れ、ピンホールが生じるから(Tg
50)〜(Tm−10)℃が好ましい。この温度範囲に於て、
重合体の到達結晶化度が低い場合や、冷却、熱処理条件
によって、結晶が十分発達していない場合ほど、冷延伸
はより低温で行う必要がある。重合体の種類によっても
異なるが、一般的に言って、結晶化度が約30%以下では
Tg+10℃以下が冷延伸を行う必要がある。より高温での
延伸は、ポイドを生成させず、気体透過率の向上が見ら
れない。
逆に、結晶化速度が速く、到達結晶化度が高い重合体
(例えばアイソタクチックポリプロピレン)の場合や、
熱処理を比較的十分に行った場合には、Tg以上で延伸す
ることが好ましい。低温での延伸は、連通細孔を発生さ
せ、分離係数が低下する。
さらに気体透過率を増す為に、冷延伸に引続いて緊張を
緩めることなく、冷延伸温度より高くTm−5℃以下の温
度で延伸を行っても良い(この工程を熱延伸工程と呼ぶ
ことにする)。延伸倍率DRは冷延伸と熱延伸を合せて1.
1〜5.0が適当である。小さ過ぎると内部の空隙が十分開
かず、また大き過ぎるとピンホールが発生すると共に、
結晶構造の破壊により気体透過しにくくなり、気体分離
性能の劣る膜となる。
冷熱延伸は自由巾一軸延伸でも、一定巾一軸延伸であ
っても良いし、中空糸又はフィルムをローラーにより連
続的に延伸しても良い。延伸温度がTg付近以下の低温に
於ては延伸速度が速すぎると非多孔層にピンホールが多
く発生する。一般には延伸速度は1〜10000%/秒が好
ましい。また連続延伸に於ては延伸区間を短くする、直
径の小さなローラーを用いる、延伸バーを使用する等の
方法により、延伸点を固定、または延伸範囲を狭くする
ことが、製品の均一化の点で有利である。
冷熱延伸によっては、中空糸の断面積はほとんど低下
しない。従って見掛け密度が低下することになる。これ
は膜内部に空隙が生じ、多孔質になったことを示してい
る。
冷熱延伸により生じた独立気泡や半連通孔が、応力を
解いても固定されるように、冷延伸温度〜Tm℃の温度で
熱固定を行う。熱固定温度は冷延伸の温度以上であるこ
とが必要である。熱固定時間は1秒以上緊張下で行うこ
とが望ましい。熱固定の条件で熱延伸を行った場合に
は、別途の熱固定は必ずしも必要でない。この場合は、
熱延伸工程が即ち熱固定であることになる。また、熱延
伸を行った場合は無緊張下で熱固定を行っても性能上の
劣化は僅少である。
以上の様にして得た独立気泡又は半連通孔の膜にプラズ
マ処理を施す。
本発明におけるプラズマ処理は、グロー放電により発生
するプラズマを利用するもので、プラズマ発生条件は、
必要とする最終的膜性能や導入ガスにより異るが、圧力
が0.01〜8Torr、高周波電力が50〜200W、ガス供給速度
が0.001〜100ml/minの範囲が望ましい。また供給するガ
スに関しては、無機ガス状物質は空気、酸素、窒素、炭
酸ガス、アンモニア、ハロゲンガス等、有機ガス状物質
は、アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、
4-メチルピリジン、アリルアルコール、ベンゾニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、ピリジ
ン、4-エチルピリジン、N-メチル‐2-ピロリドン、ブタ
ジエン、イソプレン、ジエチルアミン、エチレンジアミ
ン、エチレン、プロピレンジメチルシロキサン等が例示
される。
本発明におけるプラズマ処理は、前記熱処理、延伸等の
工程により製造した独立気泡又は半連通孔の膜の分離活
性層を化学修飾し、分離係数を向上させることが目的で
あり、従来から知られている連通孔の多孔質膜上にプラ
ズマ重合薄膜を形成させる方法と異なり、供給するガス
は薄膜形成能力を有する必要がない。又、その目的か
ら、好ましい供給ガスの種類も、分離すべき対象により
選択される。
即ち、本発明におけるプラズマ処理は、プラズマ重合膜
が形成しない範囲で、無機又は有機ガスの存在下で行わ
れる。プラズマ重合膜が形成しているか否かは、同じ処
理系内かもしくは同じ処理条件の系内にガラス板を入
れ、そのガラス板断面を走査型電子顕微鏡で観察する
事、あるいはそのガラス板表面の赤外吸収スペクトルを
測定する事で容易に判別できる。一般に気体分離や有機
液体の分離に用いる場合に特に有効な供給ガスは、無機
ガスとしては空気、酸素、炭酸ガス、アンモニア、フッ
素、塩素、酸化イオウ類、酸化チッ素類、硫化水素、有
機ガスとしては、ビニル系、ニトリル系、ジエン系化合
物、スルフォン化合物、アミン類有機ハロゲン化合物で
ある。
本発明の膜の形状は、使用目的に応じて任意に選ぶこと
ができる。例えば中空糸、チュープラー、平膜状の形態
にすることが可能である。また、膜強度を向上させる為
の構造を導入したり、膜厚に変化をつける等、必要に応
じ種々の形態にすることができる。中空糸(チュープラ
ーも含む)の外径は5〜5000μmが適当であり、20〜50
0μmがより好ましい。外径5μm以下あるいは5000μ
m以上の中空糸状の不均質膜を製造することも可能であ
るが、製造コスト、膜性能等に於て劣ったものとなり、
メリットが無い。膜厚は1〜1000μmが適当である。1
μm以下では力学的強度が得にくく、1000μm以上では
透過速度の低下を招く。膜厚に関して、平膜(フィル
ム)の場合も同様である。
〔作用〕
本発明の膜を用いることのできる気体分離の系として
は、例えば空気から酸素富化空気の製造、燃焼廃ガスか
らのCO、H2の回収、廃ガスからのNO2、SO2の除去、CO/O
2の分離、H2/COの分離、H2/O2の分離、He等の不活性気
体の分離回収、メタン/エタンの分離等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
本発明の膜はまた、液体に溶解した気体の選択的除去、
混合気体中の選ばれた気体の液体への選択的溶解、混合
液体からの選ばれた液体の分離(所謂パーベーパレーシ
ョン)等、非多孔薄膜の透過によって実現される分離、
濃縮に用いることができる。
特に本発明の方法に従えば気体分離の活性層である非多
孔質薄膜の厚さを従来の膜の1/10以下にすることができ
る上、この薄膜をプラズマ処理により化学修飾すること
により、本出願人の先行発明に係る膜における高い透過
速度を保持したまま、分離係数を改善することができ
る。従って本発明の方法によって製造される膜は、従来
両立させることが困難であった高分離係数と高い透過速
度を同時に保持することができる。
〔実施例〕
以下実施例をあげて説明する。
実施例1 メルトインデックス(ASTM D-1238による)3.5のポリプ
ロピレンを直径5mmの1スリットタイプの中空糸紡糸用
ノズルを用いて、紡糸温度240℃、引取速度120m/分、ド
ラフト比300で溶融紡糸を行い、外径195μm、膜厚22μ
mの中空糸を得た。この時ノズル下5〜55cmの範囲を、
温度20℃、風速1m/秒の横風でもって急冷した。次に温
度35℃にて延伸倍率DR=1.3になるよう、ローラー系を
用いて連続的に非晶延伸を行い、次いで、糸の緊張を解
くこと無く、140℃の熱風循環恒温槽中に導入し、定長
で1秒間滞留させることにより熱処理を行った。熱処理
した中空糸は続いて、温度35℃、ローラー間10cmにてDR
1.2だけ冷延伸し、緊張を解くこと無く140℃にてDR1.3
だけ熱延伸を行い、さらに、その長さを保ったまま140
℃にて10秒間熱固定を行った。得られた中空糸は外径16
3μm、膜厚18μmであった。この中空系の内、外表面
を走査型電子顕微鏡で観察すると連通孔は認められず独
立気泡であると推定される。
この中空糸を、巻き取ローラー系を設置したプラズマ処
理用ベルジャーの中にいれ、300l/分の排気速度のロー
タリーポンプでベルジャー内を0.01Torrまで減圧にし
た。次にスチレンを器内に導入し圧力を1.0±0.1Torrに
保つ。次に高周波電源より13.56MHzをSWR計、マッチン
グネットワークを介して電極に加え、SWR計の反射波表
示を最少にする様にネットワークを調整する。次に巻き
取りローラーを回転させ電極間を中空糸が通過する速度
を5cm/分に設定し中空糸を連続的に処理する。処理を終
了後アルゴンガスによりベルジャー内を常圧にもどし、
1晩放置後ベルジャー内から中空糸を取り出した。
製造した中空糸の酸素及び窒素の透過率及び分離係数を
測定した。測定条件は1Kg/cm2の圧力で中空糸の内側を
加圧し、外側へ透過してくるガスの流量を測定した。膜
面積は中空糸の断面の顕微鏡観察より求めた。測定結果
は透過率Q(O2)=6.8×10-6(cm3(STP)/cm2seccm
Hg)、α(O2/N2)=4.6であった。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板を反射型のフーリエ
転換赤外吸収測定装置(FTIR)にて測定したが、有機物
に起因する吸収は認められなかった。これらのことか
ら、このプラズマ処理により、中空糸膜にはスチレンの
プラズマ重合膜が形成されていない事が分かる。
実施例2 スチレンのかわりにベンゾニトリルを用いる以外は実施
例1と同様の方法で中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはベ
ンゾニトリルのプラズマ重合膜が形成されていない事が
分かる。
実施例3 スチレンのかわりにアニリンを用いる以外は実施例1と
同様の方法で中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはア
ニリンのプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
実施例4 スチレンのかわりに炭酸ガスを用いる以外は実施例1と
同様の方法で中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜には炭
酸ガスのプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
実施例5 スチレンのかわりに塩素ガスを用いる以外は実施例1と
同様の方法で中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜には塩
素ガスのプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
実施例6 熱処理を、DR1.3の延伸を加えながら行った事及び処理
温度が145℃である事以外は実施例1と全く同様にして
製造した。得られた膜を電子顕微鏡で観察したところ中
空糸外表面には細孔は認められなかったが、内表面には
長径約0.4μm、短径約0.2μmの細孔が多数観察され
た。以下実施例1と同様の方法で行なった。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはス
チレンのプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
実施例7 メルトインデックス(ASTM D-1238による)26のポリ‐4
-メチルペンテン‐1を直径5mmの1スリットタイプの中
空糸紡糸用ノズルを用いて、紡糸温度295℃、引取速度4
20m/分、ドラフト比2000で溶融紡糸を行い、外径65μ
m、膜厚9.0μmの中空糸を得た。この時ノズル下5〜5
5cmの範囲を、温度20℃、風速1m/秒の横風でもって急冷
した。次に温度35℃にて延伸倍率DR=1.3になるよう、
ローラー系を用いて連続的に非晶延伸を行い、次いで、
糸の緊張を解くこと無く、190℃の熱風循環恒温槽中に
導入し、定長で1秒間滞留させることにより熱処理を行
った。熱処理した中空糸は続いて、温度35℃、ローラー
間10cmにてDR1.2だけ冷延伸し、緊張を解くこと無く130
℃にてDR1.3だけ熱延伸を行い、さらに、その長さを保
ったまま190℃にて3秒間熱固定を行った。得られた中
空糸は外径56μm、膜厚7.9μmであった。この中空糸
の内、外表面を走査型電子顕微鏡で観測すると連通孔は
認められず独立気泡であると推定される。以下スチレン
を用いるかわりにジメチルスルホキシドを用いる以外は
実施例1と同様の方法で中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはジ
メチルスルホキシドのプラズマ重合膜が形成されていな
い事が分かる。
実施例8 メルトインデックス0.9、密度0.96のポリエチレンを温
度180℃にて、巾20cmのTダイより溶融押出しし、スリ
ット出口から5cmの位置をエアナイフを用いて急冷し、
引取速度50m/min、ドラフト250で巻取る事により、厚さ
41μmのフィルムを得た。このフィルムを35℃にて、連
続的にDR1.5だけ非晶延伸し、緊張を保ったまま90℃の
熱風恒温槽中に10秒間通して熱処理した後、25℃;DR1.6
の条件で冷延伸を行ない、その長さを変化させずに120
℃の熱風恒温槽中に10秒間滞留させて熱固定を行なっ
た。
得られたフィルムをプラズマ処理用ベルジャーに入れ、
スチレンの他に硫化水素と酸素の体積比1:1の混合ガス
を用いる以外は実施例1と同様の方法でプラズマ処理を
行なった。
以上実施例2〜8で得られた中空糸(又はフィルム)に
ついて実施例1と全く同様の方法で酸素及び窒素の透過
性能を測定した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはス
チレン等のプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
比較例1 内径200μm、外径250μmのポリプロピレン多孔質中空
糸(ポリプラスチックス(株)製、ジェラガード6112)
を実施例1と同様に巻き取りローラーを設置したプラズ
マ処理用ベルジャーの中に入れ、以下実施例1と同様に
プラズマ処理を行ない、中空糸を製造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したが、表面に被膜は認め
られなかった。また、このガラス板をFTIRにて測定した
が、有機物に起因する吸収は認められなかった。これら
のことから、このプラズマ処理により、中空糸膜にはス
チレンのプラズマ重合膜が形成されていない事が分か
る。
比較例2、3、4 中空糸の電極間通過速度が各々1cm/分、0.1cm/分、0.01
cm/分である以外は比較例1と同様の方法で中空糸を製
造した。
この中空糸膜と同じ条件で処理したガラス板を割り、断
面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、処理速度が1c
m/分の場合は表面に被膜は認められなかったが、処理速
度が0.1cm/分の場合は表面に厚み約0.2μmの被膜が形
成されている事が認められ、処理速度が0.01cm/分の場
合は表面に厚み約1.8μmの被膜が形成されている事が
認められた。また、これらのガラス板をFTIRにて測定し
たが、処理速度が1cm/分の場合は有機物に起因する吸収
は認められなかったが、処理速度が0.1cm/分及び0.01cm
/分の場合はポリスチレンと同定される吸収が観察され
た。これらのことから、処理速度が1cm/分の中空糸膜に
はスチレンのプラズマ重合膜が形成されていないが、処
理速度が0.1cm/分及び0.01cm/分の中空糸膜にはスチレ
ンのプラズマ重合膜が形成されていることが分かる。
比較例5 実施例1でポリプロピレンを紡糸、延伸、熱処理により
作成した中空糸(プラズマ処理前)につき実施例1と同
様に酸素及び窒素の透過率と分離係数を測定した。
比較例6 実施例6で用いた、プラズマ処理前の中空糸の酸素及び
窒素の透過特性を測定した。
比較例7 実施例7で用いた、プラズマ処理前の中空糸の水素及び
窒素の透過特性を測定した。
比較例8 実施例8で用いたプラズマ処理前のフィルムの酸素及び
窒素の透過特性を測定した。
〔発明の効果〕 比較例に示した様に連通孔の多孔質膜をプラズマ処理し
プラズマ重合膜を生成させる方法では活性層が薄膜のと
きはピンホールが生じ高い分離係数が得られず、分離係
数が高いときは活性層が厚いため、気体透過速度が非常
に低下し、結局透過率と分離係数のともに優れた膜は得
られなかったが、本発明の方法によればピンホールのな
い薄膜が容易に得られ、しかもプラズマ処理の際導入す
る無機又は有機ガス化合物を選定することにより透過率
が大なるに加え分離係数も大きい分離膜を容易に製造で
きる。
特に、本出願人の特開昭59−229320に記載された膜の製
造法に比して、本発明の方法は、混合気体中で最大透過
率を有する成分の透過率を低下させることなく、他の成
分の透過率を顕著に低下させることが可能であり、その
結果として分離係数を顕著に増加させることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性の結晶性重合体を、(1)溶融温
    度Tm〜(Tm+200)℃(但し、Tmは結晶融点)、ドラフ
    ト比Dfが、20≦Df≦10000の条件にて溶融押出し製膜し
    て得た中空糸又はフィルムを、(2)(Tg−20)〜(Tg
    +50)℃(但しTgはガラス転移温度)にて元の長さの5
    〜200%延伸後、(3)(Tg+20)〜(Tm−10)℃の温
    度で熱処理を行い、その後(4)(Tg−50)〜(Tm−1
    0)℃の温度で延伸倍率1.1〜3.0にて延伸し、次いで、
    (5)((4)の延伸温度)〜Tmで熱固定して製造した
    独立気泡又は半連通孔の膜に、無機又は有機ガス状物質
    の存在下、プラズマ重合膜が形成しない範囲でプラズマ
    処理を施すことを特徴とする高分離能高分子膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】プラズマ処理が無機ガス状物質の存在下に
    行われる特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】無機ガス状物質が、空気、酸素、炭酸ガ
    ス、アンモニア、フッ素、塩素、酸化イオウ類、酸化窒
    素類、硫化水素である特許請求の範囲第2項記載の方
    法。
  4. 【請求項4】有機ガス状物質が、ビニル系、ニトリル
    系、ジエン系化合物、スルフォン化合物、アミン類、有
    機ハロゲン化合物である特許請求の範囲第1項記載の方
    法。
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