JPH06248Y2 - 自動車のウインドガラス用モ−ル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、ウィンドガラスの上縁、両側縁及び下縁両端
領域に取付けられてこれらを隠蔽する弾性モールと、該
弾性モールの長手方向両端部を上から押え、該両端部と
ウィンドガラスの下縁を隠蔽する押えモールと、該押え
モールを車体に固定する固定具とを具備し、前記弾性モ
ールは、ウィンドガラスの縁に嵌着する内側上リップと
内側下リップ、及びこれらのリップとは反対側に突出す
る外側上リップと外側下リップを有している自動車のウ
ィンドガラス用モール装置に関するものである。

従来技術 自動車のフロントウィンドガラス又はバックウィンドガ
ラス用の上記形式のモール装置は従来より周知である。
この種のモール装置は、その弾性モールの長手方向両端
部が押えモールにより押えられて所定の位置に収められ
るように構成されているが、弾性モールは天然ゴム又は
軟質合成樹脂等の弾性材料から成るため、モール装置を
車体に組付けるとき、わずかな組付誤差あるいは寸法誤
差等によって弾性モールの端部が所定の形態から変形
し、あるいはずれ動くことがある。かかる自体が発生す
れば弾性モールと押えモールとの間に隙間ができ、自動
車の外観が低下する。また、場合によっては弾性モール
の端部がウィンドガラスの縁から外れてしまうこともあ
る。

このため、従来は、モール装置の組付時に、その弾性モ
ールに変形ないしはずれが生じたときは、これを修正す
る調整作業を行っていたが、このような追加作業は大変
煩しい。

そこで、弾性モールの端部の変形やずれ動きを防止する
ための位置決め部材を用いることも考えられるが、この
ような部材を設けると、モール装置の部品点数が増大
し、コストが上昇するたけでなく、位置決め部材を組付
ける作業が必要となり、作業性が大きく低下する不具合
も免れない。

目 的 本考案は、上述した新規な認識に基づきなされたもので
あり、その目的とするところは、部品点数の増大と組付
作業性の低下を生じることなく、弾性モールの端部の変
形やずれ動きが発生する不具合を阻止できる冒頭に記載
した形式のモール装置を提供することにある。

構 成 本考案は上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式
のモール装置において、固定具が、弾性モールの端部に
おける外側上リップの下面を下から支えて、該上リップ
を押えモールに密着させ、かつ該端部の外側下リップに
圧接して該下リップをウィンドガラスの縁に向けて押圧
する加圧部を有している構成を提案する。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に従って説明し、併せて上
述した従来の欠点を図面に即してより具体的に明らかに
する。

第１図及び第２図は自動車の車体１の後部に固定された
バックウィンドガラス２と、そのモール装置３を示す斜
視図であり、４はバックウィンドガラス２よりも更に後
方に位置するトランクルーム用のラッゲージドアを示し
ている。第３図は第２図の矢印IIIで示した部分の拡大
図であって、図を判り易くするためラッゲージドア４の
一部を鎖線で示してある。第４図及び第５図は第３図の
IV−IV線及びＶ−Ｖ線断面図である。

第１図乃至第５に示したモール装置３は、天然ゴム又は
軟質合成樹脂等の弾性材料から成る弾性モール５と、こ
れよりも硬質な合成樹脂又は金属等の比較的剛性の高い
材料から成る押えモール６と、押えモール６を車体１に
固定する固定具７とを有している。バックウィンドガラ
ス２はその周辺に塗布された接着剤８によって車体１に
固定されている。９は接着剤８が未だ流動性を有してい
るときに、その流動を阻止するダム部材である。

バックウィンドガラス２はその周縁を上記弾性モール５
と押えモール６によって隠蔽されている。即ち、弾性モ
ール５はガラス２の上縁２ａ、両側縁２ｂ、及び下縁２
ｄの両端領域２ｃに取付けられてこれらを隠蔽する。そ
の際、弾性モール５は第４図及び第５図に示すように、
ウィンドガラス２の縁２ａ，２ｂ，２ｃに嵌着する内側
上リップ５ａと内側下リップ５ｂ、及びこれらのリップ
５ａ，５ｂとは反対側に突出する外側上リップ５ｄと外
側下リップ５ｅを有し、内側上リップ５ａと内側下リッ
プ５ｂがガラス２の縁２ａ，２ｂ，２ｃに嵌着すること
によって、弾性モール５がウィンドガラス２の縁に取付
けられる。

また押えモール６は弾性モール５の長手方向両端部５ｃ
を上から押し、該両端部５ｃとバックウィンドガラス２
の下縁２ｄを覆いこれらを隠蔽している。このとき弾性
モール５は、その両端部５ｃを除き、外側上リップ５ｄ
と外側下リップ５ｅが第５図に示す如くバックウィンド
ガラス２の縁に対向した車体部分１ａに密着する。

押えモール６はその各端部６ａが前述の固定具７によっ
て車体１に固定されているが、図には一方の固定具７だ
けが示されている。他方の固定具も図示した固定具７と
対称ではあるが全く同様に構成されている。固定具７
は、第４図に明示する如くその脚部７ａが車体１の一部
であるバックパネル１ｂに穿設された孔１０に嵌着固定
され、固定具７の孔７ｂと押えモール６の取付孔に挿通
されたねじ１１が孔７ｂに螺着され、これにより押えモ
ール６が車体１に対して固定される。図示した固定具７
は一般にスクリューグロメットと称せられているもので
あるが、他の形態の固定具を用いてもよいことは当然で
ある。

固定具７には特に第６図に明示するように加圧部７ｃが
設けられているが、その作用を説明する前に、先に簡単
に説明した従来のモール装置の一例とその欠点を明らか
にしておく。

従来のモール装置は、第７図に示すように固定具１０７
に加圧部が設けられておらず、固定具１０７は専ら押え
モール６を車体１に固定する働きをなす。この点だけが
本考案に係るモール装置３と相違し、他の部分は変りは
ない。

この場合、弾性モール５は比較的軟質な弾性材料から成
るため、モール装置を車体１に組付けるとき、その組付
誤差や各部材のわずかな寸法誤差によって弾性モール５
の端部５ｃが第７図に実線で示した所定の形態から、鎖
線で示すように変形し、ないしはずれ動く恐れがある。
弾性モール５よりも剛性の高い押えモール６が弾性モー
ル５の両端部５ｃを上から押え、その変形を防止する働
きをなすのであるが、これだけでその変形を完全に阻止
することは難しい。

弾性モール５がこのように変形すると、押えモール６の
各端部と弾性モール５との合せ部（第３図に符号Ｘを示
した部分）に隙間ができ、自動車の外観が害され、また
弾性モール５の端部５ｃがウィンドガラス２の縁から外
れる恐れがある。したがってこのようなときは、先にも
説明したように弾性モールの位置を再調整する必要があ
ったが、かかる作業は大変煩しい。弾性モール５を押出
し成形によって直線状に成形し、これを第１図のように
弾性変形させてガラス２に取付けた場合は弾性モール５
がその弾性によって直線状の形態に戻ろうとするため、
前述の変形ないしはずれが特に発生しやすい。

本考案は、このような不具合を前述の加圧部７ｃによっ
て阻止するものである。即ち、第３図、第４図及び第６
図から明らかなように、固定具７の加圧部７ｃの先端が
弾性モールの端部５ｃの下面、即ちその外側上リップ５
ｄの下面を下から支え、この上リップ５ｄを押えモール
６に密着させ、しかも加圧部７ｃが弾性モール端部５ｃ
の外側下リップ５ｅに圧接して該下リップ５ｅをバック
ウィンドガラス２の縁に向けて押圧する。これにより、
弾性モール５の端部５ｃの外側上リップ５ｄは押えモー
ル６と加圧部７ｃとにより上下から挟み付けられた状態
で押え付けられる。よって弾性モール５の端部５ｃは所
定の形態に、かつ所定の位置に保持され、第７図に鎖線
で示した如き不所望な形態に変形し、ないしはずれ動く
ことがない。しかも外側下リップ５ｅが加圧部７ｃによ
り加圧されるので、弾性モール５の端部５ｃがバックウ
ィンドガラス２の縁から外れることが確実に阻止され
る。

このようにして両上リップ５ａ，５ｄが押えモール６の
下面に密着し、押えモール６と弾性モール５の合せ部Ｘ
（第３図）に隙間ができる不都合を防止でき、弾性モー
ル５を所定の位置に保持できる。弾性モール５の他方の
端部の側においても図示していないもう１つの固定具の
加圧部によって全く同様に隙間の発生が阻止される。こ
のようにして自動車の外観が美しく保たれる。

また、弾性モール端部５ｃを位置決めする加圧部７ｃは
押えモール６を車体に固定するための固定具７に形成さ
れているので、独立した位置決め部材を必要としない。
これにより部品点数の増大を阻止できるだけでなく、位
置決め部材を組付ける作業も不要であり、作業性の低下
を阻止できる。第７図に示した従来のモール装置と全く
同じ組付作業を行うだけで、弾性モール５の変形やずれ
動きを防止できるのである。しかも、弾性モールを特別
な形状に加工する必要もなく、単に所定の長さに切断し
た弾性モールをそのまま使用することができ、そのコス
トの上昇を阻止できる。

本考案はバックウィンドガラス用モール装置に限らず、
フロントウィンドガラス用モール装置にも適用できるこ
とは明らかである。

効 果 本考案によれば、弾性モールと押えモールとの合せ部に
隙間が発生したり、弾性モールの端部がウィンドガラス
の縁から外れる不具合を簡単な構成によってなくするこ
とができ、自動車の外観を美しく保つことができる。し
かも元々モール装置に必要な押えモール固定用の固定具
を利用して隙間の発生や弾性モールの外れを防止するの
で、装置のコスト上昇を抑え、しかも装置の各要素の組
付作業性が低下する不具合を阻止できる。また弾性モー
ルを特別な形態に加工する必要もなく、これによってコ
ストの上昇を阻止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車後部の斜視図、第２図は一部を破断して
示した、第１図と同様な斜視図、第３図は第２図の矢印
IIIで示した部分の拡大斜視図、第４図は第３図のIV−I
V線断面図、第５図は第３図のＶ−Ｖ線断面図、第６図
は固定具の斜視図であって、弾性モールを鎖線で付加し
た図、第７図は従来のモール装置を示す、第４図と同様
な断面図である。 １…車体 ２…ウィンドガラス ２ａ…上縁 ２ｂ…側縁 ２ｃ…下縁両端領域 ２ｄ…下縁 ３…モール装置 ５…弾性モール ５ａ…内側上リップ ５ｂ…内側下リップ ５ｃ…端部 ５ｄ…外側上リップ ５ｅ…外側下リップ ６…押えモール ７…固定具 ７ｃ…加圧部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ウィンドガラスの上縁、両側縁及び下縁両
   端領域に取付けられてこれらを隠蔽する弾性モールと、
   該弾性モールの長手方向両端部を上から押え、該両端部
   とウィンドガラスの下縁を隠蔽する押えモールと、該押
   えモールを車体に固定する固定具とを具備し、前記弾性
   モールは、ウィンドガラスの縁に嵌着する内側上リップ
   と内側下リップ、及びこれらのリップとは反対側に突出
   する外側上リップと外側下リップを有している自動車の
   ウィンドガラス用モール装置において、 前記固定具が、弾性モールの前記端部における外側上リ
   ップの下面を下から支えて、該上リップを押えモールに
   密着させ、かつ該端部の外側下リップに圧接して該下リ
   ップをウィンドガラスの縁に向けて押圧する加圧部を有
   していることを特徴とする前記モール装置。