JPH05194056A - 耐圧縮性の高い多孔質炭素板の製造方法 - Google Patents
耐圧縮性の高い多孔質炭素板の製造方法Info
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- JPH05194056A JPH05194056A JP552092A JP552092A JPH05194056A JP H05194056 A JPH05194056 A JP H05194056A JP 552092 A JP552092 A JP 552092A JP 552092 A JP552092 A JP 552092A JP H05194056 A JPH05194056 A JP H05194056A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 炭素板中にグラッシーカーボン成分骨格を形
成することにより、炭素板の耐圧縮性を向上させる。 【構成】 ポリアクリロニトリル繊維40〜90重量%
とパルプ60〜10重量%を抄紙して得られたシート
に、その原紙シートに、フェノール樹脂と、含浸液中に
溶解しないフェノール樹脂粉末とを含む含浸液を含浸
し、原紙シートに、上記2種の樹脂を、シート100重
量に対し、それぞれ固形分で20〜160重量部、およ
び1〜50重量部を含浸させ、この含浸シートを乾燥
後、空気中で加熱酸化し、不活性雰囲気中で800℃以
上で加熱炭化し、次いで不活性雰囲気中で2400〜3
000℃で熱処理することにより、耐圧縮性の改良され
た多孔質炭素板を製造する。
成することにより、炭素板の耐圧縮性を向上させる。 【構成】 ポリアクリロニトリル繊維40〜90重量%
とパルプ60〜10重量%を抄紙して得られたシート
に、その原紙シートに、フェノール樹脂と、含浸液中に
溶解しないフェノール樹脂粉末とを含む含浸液を含浸
し、原紙シートに、上記2種の樹脂を、シート100重
量に対し、それぞれ固形分で20〜160重量部、およ
び1〜50重量部を含浸させ、この含浸シートを乾燥
後、空気中で加熱酸化し、不活性雰囲気中で800℃以
上で加熱炭化し、次いで不活性雰囲気中で2400〜3
000℃で熱処理することにより、耐圧縮性の改良され
た多孔質炭素板を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐圧縮性の高い多孔質
炭素板の製造方法に関する。更に詳しく述べるならば、
本発明は、ポリアクリロニトリル繊維を含むスラリーか
ら抄紙法により得られたシートを焼成して、耐圧縮性の
高い多孔質炭素板を製造する方法に関する。
炭素板の製造方法に関する。更に詳しく述べるならば、
本発明は、ポリアクリロニトリル繊維を含むスラリーか
ら抄紙法により得られたシートを焼成して、耐圧縮性の
高い多孔質炭素板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔質炭素板の製造方法におい
て、炭素繊維製造用有機繊維と、パルプとを含むスラリ
ーから抄紙したシートに有機高分子物質と炭素質粉末を
含浸して含浸シートを作成し、それに加熱と同時に加圧
を施して成形体を形成した後、これを不活性雰囲気中で
800℃以上の温度で加熱して炭化する方法が知られて
いる(特公平2−23505号)。
て、炭素繊維製造用有機繊維と、パルプとを含むスラリ
ーから抄紙したシートに有機高分子物質と炭素質粉末を
含浸して含浸シートを作成し、それに加熱と同時に加圧
を施して成形体を形成した後、これを不活性雰囲気中で
800℃以上の温度で加熱して炭化する方法が知られて
いる(特公平2−23505号)。
【0003】この方法では、得られる炭素板において、
繊維が配列している方向の熱伝導率は大きいが、この方
向に交差する方向においては、熱は接点を介しての伝達
されることとなり、伝達距離が長くなるため熱伝導率が
小さいという問題があった。この熱伝導性が低いという
問題を解消するためには、成形体を2400℃〜300
0℃で熱処理すると、ポリアクリロニトリル炭素とフェ
ノール樹脂炭素との収縮率の差によって、相互に緊張を
付与し、それによって黒鉛化を促進することが有効であ
る。しかし、黒鉛化が進み過ぎると結晶面の滑りが起こ
り易くなるため、黒鉛化が進むほど得られる炭素板の圧
縮強度が低下するという問題があった。
繊維が配列している方向の熱伝導率は大きいが、この方
向に交差する方向においては、熱は接点を介しての伝達
されることとなり、伝達距離が長くなるため熱伝導率が
小さいという問題があった。この熱伝導性が低いという
問題を解消するためには、成形体を2400℃〜300
0℃で熱処理すると、ポリアクリロニトリル炭素とフェ
ノール樹脂炭素との収縮率の差によって、相互に緊張を
付与し、それによって黒鉛化を促進することが有効であ
る。しかし、黒鉛化が進み過ぎると結晶面の滑りが起こ
り易くなるため、黒鉛化が進むほど得られる炭素板の圧
縮強度が低下するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、板厚方向に
おける耐圧縮性の優れた多孔質炭素板の製造方法を提供
しようとするものである。
おける耐圧縮性の優れた多孔質炭素板の製造方法を提供
しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、多孔質炭素板
の製造に当り、炭化されるポリアクリロニトリル繊維含
有シートに、非溶解性フェノール樹脂粉末を分散含有す
るフェノール樹脂溶液を含浸させることにより、上記課
題の解決に成功したものである。
の製造に当り、炭化されるポリアクリロニトリル繊維含
有シートに、非溶解性フェノール樹脂粉末を分散含有す
るフェノール樹脂溶液を含浸させることにより、上記課
題の解決に成功したものである。
【0006】本発明に係る、耐圧縮性の高い多孔質炭素
板の製造方法は、ポリアクリロニトリル繊維40〜90
重量%と、パルプ60〜10重量%とからなるスラリー
を抄紙して得られたシートに、このシート100重量部
に対して、固形分で20〜160重量部のフェノール樹
脂を含浸させた含浸シートを作成し、この含浸シートを
乾燥後、空気中で加熱酸化し、更に不活性ガス雰囲気中
で800℃以上で加熱炭化して多孔質炭素板を製造する
に際し、上記フェノール樹脂溶液中に、該溶液に溶解し
ないフェノール樹脂粉末を分散含有させ、前記含浸工程
において、前記妙紙されたシートに、その100重量部
に対して、固形分で1〜50重量部の前記不溶性フェノ
ール樹脂を付着させることを特徴とするものである。
板の製造方法は、ポリアクリロニトリル繊維40〜90
重量%と、パルプ60〜10重量%とからなるスラリー
を抄紙して得られたシートに、このシート100重量部
に対して、固形分で20〜160重量部のフェノール樹
脂を含浸させた含浸シートを作成し、この含浸シートを
乾燥後、空気中で加熱酸化し、更に不活性ガス雰囲気中
で800℃以上で加熱炭化して多孔質炭素板を製造する
に際し、上記フェノール樹脂溶液中に、該溶液に溶解し
ないフェノール樹脂粉末を分散含有させ、前記含浸工程
において、前記妙紙されたシートに、その100重量部
に対して、固形分で1〜50重量部の前記不溶性フェノ
ール樹脂を付着させることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明に用いられる非溶解性フェノール樹脂粉
末は、2400℃以上で熱処理しても黒鉛化せずグラッ
シーカーボンになるものであって、このようなフェノー
ル樹脂粉末をフェノール樹脂溶液に混合分散して、含浸
液を調製し、これをポリアクリロニトリル繊維含有シー
トに含浸させると、得られる炭素板において、圧縮に強
いグラッシーカーボンの含有率を増加させることができ
る。この不溶性フェノールとして樹脂粉末は、水には殆
ど不溶であり、かつエチルアルコール、メチルアルコー
ルおよびアセトン等の溶媒にも完全には溶けないという
性質を有するものが使用される。
末は、2400℃以上で熱処理しても黒鉛化せずグラッ
シーカーボンになるものであって、このようなフェノー
ル樹脂粉末をフェノール樹脂溶液に混合分散して、含浸
液を調製し、これをポリアクリロニトリル繊維含有シー
トに含浸させると、得られる炭素板において、圧縮に強
いグラッシーカーボンの含有率を増加させることができ
る。この不溶性フェノールとして樹脂粉末は、水には殆
ど不溶であり、かつエチルアルコール、メチルアルコー
ルおよびアセトン等の溶媒にも完全には溶けないという
性質を有するものが使用される。
【0008】本発明方法において、含浸液は、可溶性フ
ェノール樹脂と、不溶性フェノール樹脂粉末と、必要に
より炭素質粉末とを重量比20〜160:1〜50:1
〜40で含むものである。この含浸液を、原紙シートに
含浸させて、原紙シート100重量部当り、固形分で2
0〜160重量部の可溶性フェノール樹脂と、固形分で
1〜50重量部の不溶性フェノール樹脂粉末と、必要に
より、1〜40重量部の炭素質粉末とを付着させる。
ェノール樹脂と、不溶性フェノール樹脂粉末と、必要に
より炭素質粉末とを重量比20〜160:1〜50:1
〜40で含むものである。この含浸液を、原紙シートに
含浸させて、原紙シート100重量部当り、固形分で2
0〜160重量部の可溶性フェノール樹脂と、固形分で
1〜50重量部の不溶性フェノール樹脂粉末と、必要に
より、1〜40重量部の炭素質粉末とを付着させる。
【0009】また、本発明方法において、含浸シートを
乾燥後、それを単独で、または複数枚積層し、これに加
熱プレスを施すことによって成形および硬化処理を同時
に行ってもよい。
乾燥後、それを単独で、または複数枚積層し、これに加
熱プレスを施すことによって成形および硬化処理を同時
に行ってもよい。
【0010】本発明に使用される不溶性フェノール樹脂
粉末としては、水や、後述する含浸液用有機溶剤に常温
で50重量%以上溶解しないものが使用され、その粒径
は40μm以下であることが好ましい。その粒径が40
μmよりも大きいと含浸工程において、不溶性フェノー
ル樹脂粉末を含浸液に均一に分散させ、原紙シートに均
一に含浸させることが困難になる。粉末粒子としては、
好ましくは1〜30μmの粒径を有するものが使用さ
れ、例えばユニベックスC−10,C−30,UA−1
0、およびUA−30(いづれも商標、ユニチカ製)、
並びにR−800、およびS−830(いづれも商標、
鐘紡製)等を用いることができる。
粉末としては、水や、後述する含浸液用有機溶剤に常温
で50重量%以上溶解しないものが使用され、その粒径
は40μm以下であることが好ましい。その粒径が40
μmよりも大きいと含浸工程において、不溶性フェノー
ル樹脂粉末を含浸液に均一に分散させ、原紙シートに均
一に含浸させることが困難になる。粉末粒子としては、
好ましくは1〜30μmの粒径を有するものが使用さ
れ、例えばユニベックスC−10,C−30,UA−1
0、およびUA−30(いづれも商標、ユニチカ製)、
並びにR−800、およびS−830(いづれも商標、
鐘紡製)等を用いることができる。
【0011】不溶性フェノール樹脂粉末は、これをあま
り過剰に含浸すると原料コストを上げることになり好ま
しくない。従って、不溶性フェノール樹脂粉末の含浸量
は、原紙シート100重量部に対して1〜50重量部で
あり、好ましくは10〜30重量部である。
り過剰に含浸すると原料コストを上げることになり好ま
しくない。従って、不溶性フェノール樹脂粉末の含浸量
は、原紙シート100重量部に対して1〜50重量部で
あり、好ましくは10〜30重量部である。
【0012】本発明方法により得られる炭素板の圧縮強
度が高い原因としては、高温で熱処理されたとき、ポリ
アクリロニトリル繊維とフェノール樹脂とは黒鉛化され
るが、不溶性フェノール樹脂粉末は熱処理後グラッシー
カーボンになり、さほど黒鉛化が進まず、このグラッシ
ーカーボンが炭素板の量と骨格を形成し、このため、得
られた炭素板が高い耐圧縮性を示すものと考えられる。
度が高い原因としては、高温で熱処理されたとき、ポリ
アクリロニトリル繊維とフェノール樹脂とは黒鉛化され
るが、不溶性フェノール樹脂粉末は熱処理後グラッシー
カーボンになり、さほど黒鉛化が進まず、このグラッシ
ーカーボンが炭素板の量と骨格を形成し、このため、得
られた炭素板が高い耐圧縮性を示すものと考えられる。
【0013】本発明方法において、ポリアクリロニトリ
ル繊維としては、太さ0.5〜15デニール、長さ0.
5〜50mm、抄紙性の点から好ましくは、長さ0.5〜
20mmのものを、目的に応じて選択して使用する。
ル繊維としては、太さ0.5〜15デニール、長さ0.
5〜50mm、抄紙性の点から好ましくは、長さ0.5〜
20mmのものを、目的に応じて選択して使用する。
【0014】本発明に用いられるパルプとしては、その
種類について特別の制約はなく、一般に製紙用に用いら
れているパルプから適宜に選択することができる。その
叩解度は、カナディアンフリーネス600〜200mlの
範囲にあることが好ましく、また数種のパルプ、叩解度
のものを混合して使用してもよい。
種類について特別の制約はなく、一般に製紙用に用いら
れているパルプから適宜に選択することができる。その
叩解度は、カナディアンフリーネス600〜200mlの
範囲にあることが好ましく、また数種のパルプ、叩解度
のものを混合して使用してもよい。
【0015】本発明に用いられるフェノール樹脂溶液と
しては、液状のレゾール樹脂およびノボラック樹脂の少
なくとも一種からなるものを使用することができる。液
状レゾール樹脂は、完全水溶性、部分水溶性、又は溶剤
溶液タイプに分けられるが、何れを使用してもよい。ま
たノボラック樹脂はヘキサミンなどの硬化剤と共に使用
されてもよいが、硬化剤を使用せずにレゾール樹脂と混
合して使用する場合もある。レゾール樹脂とノボラック
樹脂を混合する場合、混合液中にレゾール樹脂が40%
以上の含有率で含有されることが好ましい。
しては、液状のレゾール樹脂およびノボラック樹脂の少
なくとも一種からなるものを使用することができる。液
状レゾール樹脂は、完全水溶性、部分水溶性、又は溶剤
溶液タイプに分けられるが、何れを使用してもよい。ま
たノボラック樹脂はヘキサミンなどの硬化剤と共に使用
されてもよいが、硬化剤を使用せずにレゾール樹脂と混
合して使用する場合もある。レゾール樹脂とノボラック
樹脂を混合する場合、混合液中にレゾール樹脂が40%
以上の含有率で含有されることが好ましい。
【0016】本発明方法において、含浸液に炭素質粉末
を分散させると、この炭素質粉末は得られる炭素板の電
気伝導性と熱伝導性を改善するために有効である。炭素
質粉末としては、粒径が大きすぎると含浸性が悪く、含
浸むらを発生するので、好ましくは0.1〜40μm
の、より好ましくは0.5〜10μmの粒径を有するグ
ラファイト、またはカーボンブラック等が使用される。
を分散させると、この炭素質粉末は得られる炭素板の電
気伝導性と熱伝導性を改善するために有効である。炭素
質粉末としては、粒径が大きすぎると含浸性が悪く、含
浸むらを発生するので、好ましくは0.1〜40μm
の、より好ましくは0.5〜10μmの粒径を有するグ
ラファイト、またはカーボンブラック等が使用される。
【0017】本発明方法において不溶性フェノール樹脂
粉末が、フェノール樹脂の水溶液、水性エマルジョン、
または有機溶剤溶液に混合され、原紙シートに含浸され
る。必要であれば炭素質粉末が同時に混合含浸される。
この含浸方法に格別の限定はなく、浸漬法、スプレー
法、ロール塗布法、ブラシ塗布法、ドクター塗布法など
従来方法のいずれであってもよい。含浸液に使用される
有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、アセトン、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、エチレングリコール、酢酸エステル等から選
ばれた1種、又は2種以上の混合液が使用される。
粉末が、フェノール樹脂の水溶液、水性エマルジョン、
または有機溶剤溶液に混合され、原紙シートに含浸され
る。必要であれば炭素質粉末が同時に混合含浸される。
この含浸方法に格別の限定はなく、浸漬法、スプレー
法、ロール塗布法、ブラシ塗布法、ドクター塗布法など
従来方法のいずれであってもよい。含浸液に使用される
有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、アセトン、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、エチレングリコール、酢酸エステル等から選
ばれた1種、又は2種以上の混合液が使用される。
【0018】原紙シートに付着するフェノール樹脂の全
含浸量が少なすぎると、バインダー効果、および炭化の
際の炭化収率が不十分になり、またそれがあまり過剰に
なるとシートに目詰まりを起こしたり、またもろくなっ
たりする。フェノール樹脂の全含浸量としては、原紙シ
ート100重量部に対して20〜160重量部であり、
好ましくは80〜100重量部である。
含浸量が少なすぎると、バインダー効果、および炭化の
際の炭化収率が不十分になり、またそれがあまり過剰に
なるとシートに目詰まりを起こしたり、またもろくなっ
たりする。フェノール樹脂の全含浸量としては、原紙シ
ート100重量部に対して20〜160重量部であり、
好ましくは80〜100重量部である。
【0019】炭素質粉末が用いられる場合、その含浸量
が過剰になると目詰まりを起こし、気孔率の調整が困難
になる。従って、炭素質粉末含浸量としては、原紙シー
ト100重量部に対して1〜40重量部、であることが
好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。
が過剰になると目詰まりを起こし、気孔率の調整が困難
になる。従って、炭素質粉末含浸量としては、原紙シー
ト100重量部に対して1〜40重量部、であることが
好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。
【0020】フェノール樹脂含有含浸液により含浸され
たシートは、一般にプレス成形工程に供される。このプ
レス成形は最終炭素板に必要な厚さ、形状、気孔率、お
よび孔径を付与するために有効なものであり、その際、
加熱処理を併用することにより、含浸シート中のフェノ
ール樹脂を硬化させる。このとき含浸シートを必要枚数
重ね合せて、上記と同様にプレス処理を施すと、容易に
厚手の炭素板が得られる。プレス加熱条件としては15
0〜220℃、1〜60分が適当である。
たシートは、一般にプレス成形工程に供される。このプ
レス成形は最終炭素板に必要な厚さ、形状、気孔率、お
よび孔径を付与するために有効なものであり、その際、
加熱処理を併用することにより、含浸シート中のフェノ
ール樹脂を硬化させる。このとき含浸シートを必要枚数
重ね合せて、上記と同様にプレス処理を施すと、容易に
厚手の炭素板が得られる。プレス加熱条件としては15
0〜220℃、1〜60分が適当である。
【0021】上記プレス処理されたシートに対し必要に
応じて加熱酸化処理が施される。この加熱酸化処理は、
加熱焼成工程後のアクリロニトリル繊維の炭化収率を向
上させるために有効なものである。加熱酸化の処理条件
には、制限はないが、好ましくは150〜350℃の温
度で、数十分〜100時間程度の加熱処理を空気中で施
す。
応じて加熱酸化処理が施される。この加熱酸化処理は、
加熱焼成工程後のアクリロニトリル繊維の炭化収率を向
上させるために有効なものである。加熱酸化の処理条件
には、制限はないが、好ましくは150〜350℃の温
度で、数十分〜100時間程度の加熱処理を空気中で施
す。
【0022】上記加熱酸化されたシートは、不活性ガス
雰囲気中で、800〜1200℃の温度下で加熱炭化さ
れ、次に不活性ガス雰囲気中で2400〜3000℃、
好ましくは2700〜3000℃で熱処理され、それに
よって本発明の多孔質炭素板が得られる。
雰囲気中で、800〜1200℃の温度下で加熱炭化さ
れ、次に不活性ガス雰囲気中で2400〜3000℃、
好ましくは2700〜3000℃で熱処理され、それに
よって本発明の多孔質炭素板が得られる。
【0023】炭素板に高い熱伝導性と電気伝導性を付与
するためには、黒鉛の生成量を増加させることが有効で
あるが、フェノール樹脂等の難黒鉛化性樹脂を含む含浸
液で含浸されたポリアクリロニトリル繊維含有シートに
対しては、2400℃以上、好ましくは2700℃以上
の高温で熱処理することが必要である。しかし、一般に
3000℃以上の高温熱処理は、設備的に困難である。
するためには、黒鉛の生成量を増加させることが有効で
あるが、フェノール樹脂等の難黒鉛化性樹脂を含む含浸
液で含浸されたポリアクリロニトリル繊維含有シートに
対しては、2400℃以上、好ましくは2700℃以上
の高温で熱処理することが必要である。しかし、一般に
3000℃以上の高温熱処理は、設備的に困難である。
【0024】
【実施例】本発明を下記実施例によって更に説明する
が、下記の実施例は本発明の範囲を制限するものではな
い。
が、下記の実施例は本発明の範囲を制限するものではな
い。
【0025】実施例1 カナディアンフリーネス250mlにまで叩解された木材
パルフ(NBKP)20重量%と、太さ10デニール、
長さ3mmのアクリロニトリル繊維80重量%とからなる
水スラリーから、円網抄紙機で常法により、坪量100
g/m2 の原紙シートを抄造した。別に、可溶性フェノ
ール樹脂(群栄化学社製、商標:PL−2215)と、
不溶性フェノール樹脂粉末(ユニチカ製、商標:UA−
10、粒径10μm以下)と、炭素質粉末(粒径10μ
m)とを、重量比80:10:20で含有する、総固形
分35%のメタノール溶液からなる含浸液を調製した。
前記原紙シートを前記含浸液で、固形分合計量が110
g/m2 になるように含浸した。この含浸シートは、固
形分で、可溶性フェノール樹脂80g/m2 、不溶性フ
ェノール樹脂10g/m2 、および炭素質粉末20g/
m2 を含んでいた。この含浸シートを105℃の温度で
乾燥した。
パルフ(NBKP)20重量%と、太さ10デニール、
長さ3mmのアクリロニトリル繊維80重量%とからなる
水スラリーから、円網抄紙機で常法により、坪量100
g/m2 の原紙シートを抄造した。別に、可溶性フェノ
ール樹脂(群栄化学社製、商標:PL−2215)と、
不溶性フェノール樹脂粉末(ユニチカ製、商標:UA−
10、粒径10μm以下)と、炭素質粉末(粒径10μ
m)とを、重量比80:10:20で含有する、総固形
分35%のメタノール溶液からなる含浸液を調製した。
前記原紙シートを前記含浸液で、固形分合計量が110
g/m2 になるように含浸した。この含浸シートは、固
形分で、可溶性フェノール樹脂80g/m2 、不溶性フ
ェノール樹脂10g/m2 、および炭素質粉末20g/
m2 を含んでいた。この含浸シートを105℃の温度で
乾燥した。
【0026】乾燥された含浸シート11枚を重ね、この
積層物を170℃の温度で5分間、熱プレスした。その
際、スペーサーを使用して厚さ3.9mmのプレス板に成
形した。このプレス板に、220℃で40時間、空気中
で加熱処理を施し、次にこれを、グラファイト板に挟
み、これに窒素ガス中で1000℃,1時間の加熱炭化
処理を施し、その後アルゴンガス中で2800℃,30
分間の熱処理を施して、多孔質炭素板を製造した。
積層物を170℃の温度で5分間、熱プレスした。その
際、スペーサーを使用して厚さ3.9mmのプレス板に成
形した。このプレス板に、220℃で40時間、空気中
で加熱処理を施し、次にこれを、グラファイト板に挟
み、これに窒素ガス中で1000℃,1時間の加熱炭化
処理を施し、その後アルゴンガス中で2800℃,30
分間の熱処理を施して、多孔質炭素板を製造した。
【0027】上記の炭素板の圧縮強度およびJIS硬度
を下記方法により測定した。圧縮強度は、引張り試験機
(東洋ボールドウィン製)を用い、炭素板に、その面積
2.5cm2 に対して、0.4mm/分の速度で圧縮を加え
たとき、挫屈を開始するときの1cm2 当りの応力を測定
し、この測定値で表わされる。JIS硬度は、JISハ
ードネステスター(島津製作所製)で測定した。この値
は、炭素板の1点における圧縮に対する強さを表す。テ
スト結果を表1に示す。
を下記方法により測定した。圧縮強度は、引張り試験機
(東洋ボールドウィン製)を用い、炭素板に、その面積
2.5cm2 に対して、0.4mm/分の速度で圧縮を加え
たとき、挫屈を開始するときの1cm2 当りの応力を測定
し、この測定値で表わされる。JIS硬度は、JISハ
ードネステスター(島津製作所製)で測定した。この値
は、炭素板の1点における圧縮に対する強さを表す。テ
スト結果を表1に示す。
【0028】実施例2 実施例1と同様にして炭素板を製造した。ただし、不溶
性フェノール樹脂粉末の含浸量を30g/m2 とし、プ
レス板の厚さを4.2mmとした。テスト結果を表1に示
す。
性フェノール樹脂粉末の含浸量を30g/m2 とし、プ
レス板の厚さを4.2mmとした。テスト結果を表1に示
す。
【0029】比較例 実施例1と同様にして炭素板を製造した。ただし、不溶
性フェノール樹脂粉末を用いず、かつ、プレス板の厚さ
を3.7mmとした。テスト結果を表1に示す。
性フェノール樹脂粉末を用いず、かつ、プレス板の厚さ
を3.7mmとした。テスト結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、本発明により得
られた実施例1および、実施例2の炭素板は、比較例1
の炭素板に比較して、その厚さ方向の圧縮強度、および
JIS硬度が著しく向上していた。
られた実施例1および、実施例2の炭素板は、比較例1
の炭素板に比較して、その厚さ方向の圧縮強度、および
JIS硬度が著しく向上していた。
【0032】
【発明の効果】本発明は、ポリアクリロニトリル繊維と
パルプから抄紙法により得たシートに、可溶性フェノー
ル樹脂と不溶性フェノール樹脂粉末とを含む含浸液を含
浸し、この含浸シートを、好ましくは積層してこれに加
熱成形処理を施し、この含浸シートを空気中において加
熱酸化して炭化し、その後、更に熱処理することにより
耐圧縮性のすぐれた多孔質炭素板を得る方法である。本
発明により、含浸された不溶性フェノール樹脂が、加熱
炭化、熱処理によって、グラッシーカーボンとなり、圧
縮応力を荷担する骨格を形成し、それによって多孔質炭
素板の耐圧縮性を著しく向上させる。
パルプから抄紙法により得たシートに、可溶性フェノー
ル樹脂と不溶性フェノール樹脂粉末とを含む含浸液を含
浸し、この含浸シートを、好ましくは積層してこれに加
熱成形処理を施し、この含浸シートを空気中において加
熱酸化して炭化し、その後、更に熱処理することにより
耐圧縮性のすぐれた多孔質炭素板を得る方法である。本
発明により、含浸された不溶性フェノール樹脂が、加熱
炭化、熱処理によって、グラッシーカーボンとなり、圧
縮応力を荷担する骨格を形成し、それによって多孔質炭
素板の耐圧縮性を著しく向上させる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 9/22 7199−3B 11/14 D21H 19/16 13/18
Claims (1)
- 【請求項1】 ポリアクリロニトリル繊維40〜90重
量%と、パルプ60〜10重量%とからなるスラリーを
抄紙して得られたシートに、このシート100重量部に
対して、固形分で20〜160重量部のフェノール樹脂
を含浸させて含浸シートを作成し、この含浸シートを乾
燥後、空気中で加熱酸化し、更に不活性ガス雰囲気中で
800℃以上で加熱炭化して多孔質炭素板を製造するに
際し、上記フェノール樹脂溶液中に、該溶液に溶解しな
いフェノール樹脂粉末を分散含有させ、前記含浸工程に
おいて、前記抄紙されたシートに、その100重量部に
対して、固形分で1〜50重量部の前記不溶性フェノー
ル樹脂粉末を付着させることを特徴とする多孔質炭素板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP552092A JPH05194056A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 耐圧縮性の高い多孔質炭素板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP552092A JPH05194056A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 耐圧縮性の高い多孔質炭素板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05194056A true JPH05194056A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=11613468
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP552092A Pending JPH05194056A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 耐圧縮性の高い多孔質炭素板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05194056A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002032558A1 (de) * | 2000-10-19 | 2002-04-25 | Membrana Mundi Gmbh | FlEXIBLE, PORÖSE MEMBRANEN UND ADSORBENTIEN UND VERFAHREN ZU DEREN HERSTELLUNG |
WO2004101433A2 (de) * | 2003-05-16 | 2004-11-25 | Blue Membranes Gmbh | Verfahren zur herstellung von porösem, kohlenstoffbasiertem material |
JP2007500589A (ja) * | 2003-07-31 | 2007-01-18 | ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー | 触媒活性単位を固定化するための支持体 |
US7371425B2 (en) | 2003-05-16 | 2008-05-13 | Cinvention Ag | Method for coating substrates with a carbon-based material |
US20140199478A1 (en) * | 2011-09-22 | 2014-07-17 | Ngk Insulators, Ltd. | Method for producing carbon membrane |
-
1992
- 1992-01-16 JP JP552092A patent/JPH05194056A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US7014681B2 (en) | 2000-10-19 | 2006-03-21 | Blue Membranes Gmbh | Flexible and porous membranes and adsorbents, and method for the production thereof |
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WO2004101433A3 (de) * | 2003-05-16 | 2005-03-03 | Blue Membranes Gmbh | Verfahren zur herstellung von porösem, kohlenstoffbasiertem material |
EA009837B1 (ru) * | 2003-05-16 | 2008-04-28 | Синвеншн Аг | Способ получения пористого материала на основе углерода |
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AU2011377235B2 (en) * | 2011-09-22 | 2015-05-07 | Ngk Insulators, Ltd. | Method for producing carbon membrane |
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