JPH0450977Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案はパンチプレスによるスリツテイング
加工を切り代なしに確実、容易に行うようにした
スリツテイング加工用金型に関する。

（従来の技術） 従来、金属板等の板状ワークのスリツテイング
加工は金切り鋏を使用してせん断するか、または
プレス機でパンチングすることが多い。あるいは
曲線スリツテイングに対しては小径パンチの連続
形態で行う、いわゆるニブリング加工もよく行わ
れる。更にバイブルシヤー等のせん断専用機もあ
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、これら従来のスリツテイング加
工についてはいずれも問題点がある。すなわち、
金切り鋏を使用してせん断するものは割合に薄く
軟質な金属板等に限定され、加工精度のばらつき
も多い。更に熟練を要し、労力、時間もかかる。
また、プレス機でパンチングする場合、通常細長
い抜き型を用い、追い抜き加工で長い部分を切断
する。従つて抜き型の厚さ分の間隙を切り代とし
て切断部に生じ、後加工に不都合となることが多
い。例えばこの切断部を折り曲げ溶接する場合、
前記間隙分だけ溶接部が離れており、溶接を困難
にすることが多い。

小径パンチによるニブリング加工も同様にパン
チ径だけの間隙を切り代として生じ、後加工に不
都合を来たすことが多い。また、加工時間が長
く、かつ小径パンチの消耗が激しい。バイブルシ
ヤー等のせん断専用機を用いる場合設備費、設置
スペースを余分に必要とする。

この考案は上記従来の問題点にかんがみ創案し
たもので、通常のパンチプレス機を用い、かつ切
断部に間隙つまり切り代を必要としないスリツテ
イング加工用金型の提供を目的とする。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、上金型
と下金型とよりなるパンチプレス機のスリツテイ
ング加工用金型にして、下金型の台座部のほぼ中
央部に上方向へ突設した上向き切断刃に、上記台
座部のほぼ中心に一致した垂直面を備えてなり、
上記上向き切断刃を囲繞して設けた環状のエジエ
クタを前記台座部に上下動自在に設けると共に上
方向へ付勢して設け、かつ常態において上記エジ
エクタの上面を前記上向き切断刃より高く設け、
前記上金型に下方向へ突出して設けた下向き切断
刃に、前記上金型のほぼ中心に一致した垂直面を
設け、この上金型の垂直面と前記下金型の垂直面
との間隙を小さく設けると共に上記上金型及び下
金型を共に中心回りに回動可能に設けてなるもの
である。

（実施例） この考案の実施例を図面を参照しながら詳細に
説明する。

第１図はこの考案の一実施例の要部である上下
金型部分の縦断面図、第２図〜第６図はスリツテ
イング加工の各段階を示す説明図である。

第１図において、図外のパンチプレス機に装着
されるスリツテイング加工用金型１は、下金型１
Ｌと上金型１Ｕとよりなり、下金型１Ｌには上向
き切断刃３を備えている。また上金型１Ｕには、
上記切断刃３と交差自在な下向き切断刃５を備え
ている。上向き切断刃３は円形の台座部７のほぼ
中央に突設されている。その周囲に、後記切断操
作時に局部的に降下する板状ワーク９を上昇復帰
させる環状のエジエクタ１１が配設されている。
エジエクタ１１と台座部７の間にはシヨルダスク
リユ１３とエジエクタスプリング１５が数個ずつ
円周上に配設される。これでエジエクタ１１が所
定の力で所定の距離昇降自在に台座部７に連結さ
れる。

下向き切断刃５は円柱状のパンチ１７の下端面
１９から突設される。その側方（第１図で左側）
にウレタンゴム製の板押え２１が装着されてい
る。パンチ１７はその上方に配設されたパンチヘ
ツド２３の下端に連結ボルト２５で締結される。
前記両切断刃３，５はその垂直刃面２７，２９が
台座部７及びパンチ１７の、垂直に一致させた各
中心線上に位置させ、これらの面方向も正確に揃
える。

このため、台座部７を図外の台座ホルダーに正
しく方向決めして固定し、上方のパンチ１７を図
外のホルダガイドに方向決めして昇降自在に嵌装
することは従来のパンチプレス機の金型装着の場
合と同様である。なお、パンチプレス機を数値制
御し、台座部７とパンチ１７とに図外の数値制御
オートエンデツクス装置を介装させて回転割り出
しを制御することにより、曲線切りが便利にでき
る。すなわち、両切断刃３，５を切断予定曲線に
沿つて同期水平回動させる。そして板状ワーク９
も図外のワーク移動装置によつて切断予定曲線に
沿うように移動させて自動的に曲線切りができる
訳である。

以上のように構成したスリツテイング加工用金
型１を装着した図外のパンチプレス機により板状
ワーク９をスリツテイング加工する各段階を第２
図〜第６図により説明する。

まず、第２図のように両切断刃３，５を上下に
開き、エジエクタ１１上にワーク９を乗せ、切断
予定線を上向き切断刃３の刃先線に正確に一致さ
せる。この時、図外のパンチプレス機が数値制御
付きで、かつオートインデツクスを備えたもので
あれば自動的に正確に位置決め、方向決めが行わ
れることは言うまでもない。次に第３図のように
下向き切断刃５を降下させるとエジエクタ１１が
沈み、せん断を開始する。第４図ではエジエクタ
１１が最も降下し、せん断も一旦終る。次に第５
図のように下向き切断刃５を上昇させるとエジエ
クタ１１とワーク９も共に上昇する。

引き続き第６図のように下向き切断刃５を最も
上昇させるとワーク９も第２図のレベルにまで復
帰上昇する。ここでワーク９を切断予定線に沿つ
て両切断刃３，５の１回分の切断長だけ送り込
む。以後、上記各段階を繰り返してワーク９に対
する予定長さのスリツテイング加工を行う。な
お、前記数値制御オートエンデツクス装置を介装
しない場合でも、ワーク９の送り込み方向を切断
予定線に沿つて水平回動させながら送り込めば曲
線切りができることは勿論である。

以上のように繰り返しせん断によつてスリツテ
イング加工を行うため、切断部の切り代は０であ
り、前記従来のような切り代に伴う間隙を生じる
ことがない。また、加工が容易迅速にでき、かつ
金型の消耗も少ない。更に従来のバイブルシヤー
のような別のせん断専用機を必要とせず、パンチ
プレス機のみで手軽にスリツテイング加工ができ
る。なお、プレス機をタレツトパンチプレス機と
し、その上下タレツトにこのスリツテイング加工
用金型を装着しておけば一層便利である。

この考案のパンチプレス機のスリツテイング用
金型は前記一実施例に限定されず、種々の変形が
可能である。例えば上下各切断刃を直線刃とせ
ず、波状面刃として波状凹凸を付した切断線とす
ることもできる。また、上下各切断刃の組合せを
複数組、所定間隔で配設し、複数本のスリツテイ
ング加工を同時に行うことも容易にできる。更
に、上下各切断刃の刃長を変えて切断特性を変更
できる。例えば直線切りが多い場合は長くして加
工速度を向上させ、小曲率の曲線切りが多い場合
は短くして対応しやすくすることが可能である。

［考案の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に、要するに本考案は、上金型１Ｕと下金型１Ｌ
とよりなるパンチプレス機のスリツテイング加工
用金型にして、下金型１Ｌの台座部７のほぼ中央
部に上方向へ突設した上向き切断刃３に、上記台
座部７のほぼ中心に一致した垂直面２７を備えて
なり、上記上向き切断刃３を囲繞して設けた環状
のエジエクタ１１を前記台座部７に上下動自在に
設けると共に上方向へ付勢して設け、かつ常態に
おいて上記エジエクタ１１の上面を前記上向き切
断刃３より高く設け、前記上金型１Ｕに下方向へ
突出して設けた下向き切断刃５に、前記上金型１
Ｕのほぼ中心に一致した垂直面２９を設け、この
上金型１Ｕの垂直面２９と前記下金型１Ｌの垂直
面２７との間隙を小さく設けると共に上記上金型
１Ｕ及び下金型１Ｌを共に中心回りに回動可能に
設けてなるものである。

上記構成より明らかなように、本考案において
は、下金型１Ｌの台座部７のほぼ中央部に上方向
へ突設した上向き切断刃３に形成された垂直面２
７は上記台座部７の中心にほぼ一致してあり、ま
た下金型１Ｌと協働する上金型１Ｕに下方向へ突
出して設けた下向き切断刃５に備えた垂直面３９
は上金型１Ｕの中心にほぼ一致してある。そし
て、上下の金型１Ｕ，１Ｌの前記垂直面２９，２
７のクリアランスは小さく（クリアランス零のと
きもある）設けてあり、かつ上下の金型１Ｕ，１
Ｌを共に中心回りに回動可能に設けてある。

したがつて本考案によれば、下金型１Ｌの上向
き切断刃３と上金型１Ｕの下向き切断刃５との協
働によりワーク９の剪断を行ない、ワーク９の送
りを僅かずつ行なつて剪断を繰り返すことによ
り、上記ワーク９にスクラツプ（剪断時の打抜き
片）を生じることなしにスリツテイング加工を行
なうことができるものである。

この場合、上下の金型１Ｕ，１Ｌを同時に同方
向へ回動した場合であつても、上金型１Ｕに備え
た下向き切断刃５の垂直面２９及び下金型１Ｌに
備えた上向き切断刃３の垂直面２７が共に中心に
ほぼ一致してあるから、両方の垂直面２９，２７
の位置的関係は常にほぼ一定の関係に保持でき、
ワーク９に対して曲線切りを容易に行なうことが
できるものである。

さらに本考案によれば、下金型１Ｌに備えたエ
ジエクタ１１は上方向へ付勢してあり、かつ常態
においては上記エジエクタ１１の上面を上向き切
断刃３より高く設けてあるから、ワーク９の水平
方向への相対的な移動時に、ワーク９の下面が上
向き切断刃３に接触するようなことがなく、傷を
生じるようなことがないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の要部の縦断面
図、第２図〜第６図は第１図の装置によるスリツ
テイング加工の各段階の説明図である。 １……スリツテイング加工用金型、３……上向
き切断刃、５……下向き切断刃、９……板状ワー
ク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上金型１Ｕと下金型１Ｌとよりなるパンチプレ
   ス機のスリツテイング加工用金型にして、下金型
   １Ｌの台座部７のほぼ中央部に上方向へ突設した
   上向き切断刃３に、上記台座部７のほぼ中心に一
   致した垂直面２７を備えてなり、上記上向き切断
   刃３を囲繞して設けた環状のエジエクタ１１を前
   記台座部７に上下動自在に設けると共に上方向へ
   付勢して設け、かつ常態において上記エジエクタ
   １１の上面を前記上向き切断刃３より高く設け、
   前記上金型１Ｕに下方向へ突出して設けた下向き
   切断刃５に、前記上金型１Ｕのほぼ中心に一致し
   た垂直面２９を設け、この上金型１Ｕの垂直面２
   ９と前記下金型１Ｌの垂直面２７との間隙を小さ
   く設けると共に上記上金型１Ｕ及び下金型１Ｌを
   共に中心回りに回動可能に設けてなることを特徴
   とするパンチプレス機のスリツテイング加工用金
   型。