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JPH04212287A - 有機薄膜el素子 - Google Patents

有機薄膜el素子

Info

Publication number
JPH04212287A
JPH04212287A JP3037936A JP3793691A JPH04212287A JP H04212287 A JPH04212287 A JP H04212287A JP 3037936 A JP3037936 A JP 3037936A JP 3793691 A JP3793691 A JP 3793691A JP H04212287 A JPH04212287 A JP H04212287A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
layer
cathode
electron
transport layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3037936A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichi Ito
祐一 伊藤
Noritoshi Tomikawa
典俊 富川
Takao Minato
孝夫 湊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Publication of JPH04212287A publication Critical patent/JPH04212287A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/82Cathodes

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的な発光、すなわ
ちエレクトロルミネセンス(以下、単にELという)を
用いたEL素子に関し、更に詳しくは、少なくとも陽極
、正孔注入輸送層、有機電子輸送発光層、陰極、もしく
は少なくとも陽極、正孔注入輸送層、有機発光層、電子
注入輸送層、陰極の順で構成される有機薄膜EL素子に
関するものである。
【従来技術】
【0002】従来のEL素子は、電極間に高抵抗な絶縁
層を設けた交流駆動型のものが主流で、それらは分散型
EL素子と薄膜型EL素子に大きく分類される。分散型
EL素子の構造は、樹脂バインダー中に分散させた高誘
電率のチタン酸バリウム等の粉末を、背面電極となるア
ルミ箔上に数10μmの厚さにコーティングして絶縁層
とし、その上に樹脂バインダー中に分散した硫化亜鉛系
の発光体層を設け、更にその上に透明電極を積層したも
のである。この型の素子は、安価で大面積、厚さ1mm
以下の面発光体を得られ、液晶表示装置用バックライト
等の用途があるが、輝度が低下しやすい。
【0003】薄膜EL素子は、ガラス板に酸化インジウ
ム〜酸化錫(以下単にITOという)等を被覆した透明
電極基板上に、絶縁層としてスパッタリング法等により
酸化イットリウム等の誘電体薄膜層を数千Å形成し、そ
の上にZnS系、ZnSe系、SrS系、CaS系等の
蛍光体薄膜を電子ビーム蒸着、スパッタリング法等で数
千Å程度積層し、さらに誘電体薄膜層、アルミ等の背面
電極の順に積層された構造になっている。電極間の膜厚
は1〜2μm以下である。薄膜型EL素子は長寿命で高
精細な表示が可能でポータブル型コンピュータ用ディス
プレイ等の用途に適しているが、高価である。
【0004】どちらの型のEL素子の場合も十分な輝度
を得るためには100V以上の交流高電圧を要する。し
かし、例えば、電池でEL素子を発光させる際には、昇
圧トランスを要するため、EL素子が1mm以下の薄型
であっても組み込まれた機器全体の厚さを薄くするのは
困難であった。
【0005】そこで近年、昇圧トランス等の不要な低電
圧直流駆動のEL素子を目指した研究が行なわれており
、その一つとして有機薄膜EL素子の研究が行われてい
る。
【0006】特開昭57−51781号公報、特開昭5
9−194393号公報、特開昭63−264692号
公報、特開昭63−295695号公報、ジャパニーズ
・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス第25
巻第9号773頁(1986年)、アプライド・フィジ
ィックス・レター第51巻第12号913頁(1987
年)、およびジャーナル・オブ・アプライド・フィジッ
クス第65巻第9号3610頁(1989年)等によれ
ば、従来、この種の有機薄膜EL素子は、以下のように
作られている。
【0007】まず、ガラス等の透明絶縁性の基板上に蒸
着又はスパッタリング法等で形成した金やITOの透明
導電性被膜の陽極上に、まず正孔注入輸送層として銅フ
タロシアニン、ポリ3−メチルチオフェン、あるいは「
化1」で示される化合物:
【0008】
【化1】
【0009】1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミ
ノフェニル)シクロヘキサン(融点181.4℃〜18
2.4℃)、あるいは「化2」で示される化合物:
【0
010】
【化2】
【0011】N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(
3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4
’−ジアミン(融点159℃〜163℃)等のテトラフ
ェニルジアミン誘導体の層を、蒸着や電解重合法等で1
μm程度以下の厚さに単層又は積層して形成する。
【0012】次に正孔注入輸送層上に、テトラフェニル
ブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12
−フタロペリノン誘導体、トリス(8−キノリノール)
アルミニウム等の有機蛍光体を蒸着、又は樹脂バインダ
ー中に分散させてコーティングすることにより有機電子
輸送発光層を1.0μm程度以下の厚さで形成する。最
後に、その上に陰極としてMg,In,Alの単体金属
、またはMgとAgの合金(原子比10:1)等を蒸着
する。
【0013】以上のように作られた素子は、透明電極側
を陽極として20〜30V以下の直流低電圧に印加する
ことにより発光層に正孔と電子が注入され、その再結合
により発光し1000cd/m2 程度の輝度が得られ
ている。
【0014】また、アプライド・フィズィクス・レター
第57巻第6号531頁(1990年)等によると、安
達らは図3に示したように、ITOの陽極上に正孔注入
輸送層(3)としてN,N’−ジフェニル−N,N’−
ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−
4,4’−ジアミン、有機発光層(7)として1−〔4
−N,N−ビス(P−メトキシフェニル)アミノスチリ
ル〕ナフタレン、電子注入輸送層(8)として2−(4
−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1
、3、4−オキサジアゾール(以下、単にBPBDとい
う)、陰極(5)としてMgとAgの合金を順に積層し
て得た有機薄膜EL素子を作り、同様に20〜30V以
下の直流低電圧で1000cd/m2 程度のEL発光
を得ている。
【0015】ここで、有機薄膜EL素子に用いる陰極材
料の好ましい条件を考えると、 ■有機薄膜への密着性が良い。 ■酸化しにくく安定。 ■有機薄膜材料の最低空軌道(以下単にLUMOという
)のエネルギーレベルへの電子注入がしやすいように低
仕事関数である。 等があげられる。
【0016】従来、最も用いられてきた陰極材料Mgー
Ag合金(原子比10:1,仕事関数約3.8eV)は
、C.W.Tangらが開発したもので、低仕事関数の
Mg(仕事関数約3.6eV)の有機薄膜への密着性お
よび蒸着膜の平滑性をAgを添加し改善したものである
。しかし、これは、逆に空気中ではMg単体よりも金属
膜の内部まで腐食が進行し易くなってしまっている。
【0017】有機薄膜EL素子は、ヒートシール時の熱
や有機溶剤を含む接着材に弱いために、従来十分な封止
方法が開発されていなかった。そのため、素子の保存や
駆動は、真空中または乾燥Arガス中等の不活性雰囲気
中で行なわれており、低仕事関数でかつ安定な陰極材料
の開発が求められていた。
【0018】また、従来最も高輝度が得られる代表的な
電子輸送発光材料として知られているトリス(8−キノ
リノール)アルミニウムのLUMOのエネルギーレベル
は、大気下で光電子放出法で測定した仕事関数の値から
光学的エネルギーギャップ(2.75eV)を引いて求
めると、約3.1eVであり、電子注入輸送材料として
使われているBPBDの場合は2.7eVである。そこ
で、これらの材料に効率的に電子注入を行ない、100
00cd/m2 以上の高輝度の有機薄膜EL素子を得
るための陰極材料としては、仕事関数が3.1eVより
小さく、高いフェルミレベルを持つLi(仕事関数2.
9eV)、Na(同  2.75eV)、K(同2.1
5eV)等のアルカリ金属が期待できるが、単体金属で
はきわめて酸化し易く不安定であるため、陰極として用
いることができなかった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するためになされたもので、従来使用されたMg
−Ag合金よりも低仕事関数で、かつ比較的安定な陰極
材料を用いた高輝度有機薄膜EL素子を提供すること、
および空気中でも劣化しにくい有機薄膜EL素子を提供
することを目的としてなされたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、少な
くとも陽極、正孔注入輸送層、有機電子輸送発光層、陰
極、または少なくとも陽極、正孔注入輸送層、有機発光
層、電子注入輸送層、陰極の順で構成される有機薄膜E
L素子において、有機電子輸送発光層もしくは電子注入
輸送層と接する前記陰極が、アルカリ金属元素を6モル
%以上含む合金であることを特徴とする有機薄膜EL素
子である。
【0021】さらに言えば、基板上に陽極から形成され
た有機薄膜EL素子のアルカリ金属元素を含む陰極上に
、アルカリ金属元素を含まない難腐食性金属陰極層を5
00Å以上の厚さで設けて形成したことを特徴とする有
機薄膜EL素子である。
【0022】以下に本発明の実施例を示す図面の図1お
よび図2に基いて説明する。図1は、本発明における有
機薄膜EL素子を、基板(1)上に陽極(2)、正孔注
入輸送層(3)、有機電子輸送発光層(4)、陰極(5
)、封止層(6)の順に構成し、ガラス板(15)を接
着剤(16)にて接着して密封した場合であり、図2の
例は、基板(1)上に陰極(5)から逆の順に構成し、
ガラス板(15)を接着剤(16)にて接着して密封し
た場合である。
【0023】また、図3に示すように、有機電子輸送発
光層(4)を有機発光層(7)と電子注入輸送層(8)
とに機能を分離し、基板(1)上に陽極(2)、正孔注
入輸送層(3)、有機発光層(7)、電子注入輸送層(
8)、陰極(5)封止層(6)の順に構成することもで
きるし、また図4に示すように、同様の構成を基板(1
)上に陰極(5)から逆の順に構成することもできる。
【0024】陽極(2)は、ガラス等の透明絶縁性の基
板(1)上にITOや酸化亜鉛アルミニウムのような透
明導電性物質を真空蒸着やスパッタリング法等で被覆し
た表面抵抗10〜50Ω/平方、可視光線透過率80%
以上の透明電極、又は金やプラチナを薄く蒸着した半透
明電極が望ましい。
【0025】しかし、別の場合には、陽極(2)は不透
明で、正孔注入輸送層(3)を通して有機電子輸送発光
層(4)または有機発光層(7)へ正孔注入し易い仕事
関数の大きい金、プラチナ、ニッケル等の金属板、シリ
コン、ガリウムリン、アモルファス炭化シリコン等の仕
事関数が4.8eV以上の半導体基板、もしくはそれら
の金属や半導体を、絶縁性の基板(1)上に被覆した陽
極(2)に用い、陰極(5)を透明電極もしくは半透明
電極とすることもできる。陰極(5)も不透明であれば
、有機電子輸送発光層(4)または有機発光層(7)の
少なくとも一端が透明である必要がある。
【0026】次に透明な陽極(2)上に正孔注入輸送層
(3)を形成するが、正孔注入輸送材料の好ましい条件
は、酸化に対して安定で正孔移動度が大、イオン化エネ
ルギーが陽極材料と発光層材料の中間にあり、成膜性が
良く、少なくとも発光層材料の蛍光波長領域において実
質的に透明である必要がある。具体的には、銅フタロシ
アニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン類も
しくはテトラフェニルジアミン誘導体等を単層で、また
は積層して使用する。テトラフェニルジアミン誘導体の
代表的な材料としては、1、1−ビス(4−ジ−パラ−
トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジ
フェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1
,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−
ジフェニル−N,N’−ビス(パラ−トリル)−1,1
’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’N
’−テトラ(パラ−トリル)−4,4’−ジアミノビフ
ェニル等があげられるが、上記例に特に限定されるもの
ではない。
【0027】これらの化合物を用いた正孔注入輸送層(
3)の成膜は、透明電極の陽極(2)上に主に蒸着によ
り形成されるが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リメチルフェニルシラン等の樹脂中に、分散させてスピ
ンコート等の方法でコーティングすることによって形成
することも可能である。正孔注入輸送層(3)の膜厚は
、単層または積層により形成する場合においても1μm
以下であり、好ましくは0.03〜0.1μmである。
【0028】テトラフェニルジアミン誘導体のように加
熱により溶融する正孔注入輸送材料を用いた場合には、
正孔注入輸送材料の蒸着中または蒸着後に、真空中また
は不活性ガス雰囲気下で蒸着膜の欠陥を除くため、融点
程度以下の温度で基板加熱処理を行っても良い。また、
銅フタロシアニンのように結晶性で蒸着膜表面が凹凸に
なりやすい正孔注入輸送材料を用いた場合には、蒸着中
に基板冷却を行い非晶質な蒸着膜を得ることもできる。
【0029】次に正孔注入輸送層(3)上に、有機電子
輸送発光層(4)を形成するが、有機電子輸送発光層(
4)に用いる蛍光体は、可視領域に蛍光を有し、適当な
方法で成膜できる任意の蛍光体が可能である。例えば、
アントラセン、サリチル酸塩、ピレン、コロネン、ペリ
レン、テトラフェニルブタジエン、9,10−ビス(フ
ェニルエチニル)アントラセン、8−キノリノールリチ
ウム、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、トリ
ス(5,7−ジクロロ,8−キノリノール)アルミニウ
ム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)アルミニ
ウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛、トリス(5−フ
ルオロ−8−キノリノール)アルミニウム、ビス〔8−
(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体およびカド
ミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルブタジエ
ン、ペンタフェニルブタジエン等があげられる。
【0030】有機電子輸送発光層(4)中の蛍光体は、
発光波長変換、発光効率向上のために2種類以上の蛍光
体を混合するか、多種類の蛍光体の発光層を2層以上積
層してもよく、そのうちの一方は赤外域または紫外域に
蛍光を示すものであってもよい。
【0031】有機電子輸送発光層(4)の成膜方法は、
真空蒸着法、累積膜法、または適当な樹脂バインダー中
に分散させてスピンコートなどの方法でコーティングす
ることにより行なわれる。有機電子輸送発光層(4)の
膜厚は、単層または積層により形成する場合においても
1μm以下であり、好ましくは0.03〜0.1μmで
ある。
【0032】次に有機電子輸送発光層(4)を有機発光
層(7)と電子注入輸送層(8)とに機能分離して配す
る場合、電子注入輸送材料の好ましい条件は、電子移動
度が大きく、LUMOのエネルギーレベルが有機発光層
材料のLUMOのエネルギーレベルと同程度から陰極材
料のフェルミレベルの間にあり、仕事関数が有機発光層
材料より大きく、成膜性が良いことである。さらに陽極
(2)が不透明で、透明もしくは半透明の陰極(5)か
ら光を取り出す構成の素子においては少なくとも有機発
光層材料の蛍光波長領域において実質的に透明である必
要がある。例としては、BPBD、3,4,9,10−
ペリレンテトラカルボキシル−ビス−ベンズイミダゾー
ルなどがあげられるが、上記例に特に限定されるもので
はない。
【0033】電子注入輸送層(8)の成膜方法は、真空
蒸着法、累積膜法、または適当な樹脂バインダー中に分
散させてスピンコートなどの方法でコーティングするこ
とにより行なわれる。電子注入輸送層(8)の膜厚は、
1μm以下であり、好ましくは0.01〜0.1μmで
ある。
【0034】また、正孔注入輸送層、電子輸送発光層、
電子注入輸送層の耐熱性を上げるため、各層の構成材料
の例にあげた有機分子にビニル基、アリル基、メタクリ
ロイルオキシメチル基、メタクリロイルオキシ基、メタ
クリロイルオキシエチル基、アクリロイル基、アクリロ
イルオキシメチル基、アクリロイルオキシエチル基等の
重合性置換基を、ひとつ以上導入し、成膜中または成膜
後に各層をポリマー化してもよいし、各層の構成材料の
成膜性を改善し平滑な膜が形成できるよう各層の構成材
料の例にあげた有機分子に1個以上のメチル基、エチル
基等のアルキル基を導入してもよい。
【0035】また、ITOガラス基板と正孔注入輸送層
との密着性を上げるため、ITO膜をシラン系、チタネ
−ト系カップリング剤で処理した後、正孔注入輸送層を
設けてもよい。また、有機電子輸送発光層(4)または
有機発光層(7)及び電子注入輸送層(8)を真空蒸着
法により形成する際、蒸着中または蒸着後直ちに水素、
アンモニア等の非電子吸引性または電子供与性のガスを
真空槽に導入し有機分子に吸着させ、有機分子が空気中
の酸素を吸着して膜の電気抵抗が増大することを防ぐこ
ともできる。
【0036】次に、本発明による陰極(5)を有機電子
輸送発光層(4)または電子注入輸送層(8)上に形成
する。本発明の請求項1記載による陰極合金の主成分は
、Li、Na、K等のアルカリ金属元素とアルカリ金属
元素以外のより安定なMg、Al、In、Sn、Zn、
Ag、Zr等の金属であるが、主成分以外に数モル%以
内の不純物、添加物が含まれていても良い。アルカリ金
属元素の仕事関数は、例えばLiは2.9eV、Naは
2.75eV、Kは2.15eVであるから、トリス(
8−キノリノール)アルミニウムのLUMOレベルより
フェルミレベルが十分高く、効率的な電子注入が期待で
きるがアルカリ金属単体では空気中では非常に酸化し易
いため有機薄膜EL素子の陰極として用いるのは困難で
あった。
【0037】そこで本発明ではアルカリ金属元素をMg
、Al、In、Sn、Zn、Zr、Ag等のアルカリ金
属元素以外の金属の1種以上と合金化することにより安
定化した。共蒸着等の方法で陰極を形成後、素子を真空
から大気に出した場合においても、有機電子輸送発光層
と接する陰極内部までの急速な腐食は防がれる。これは
、合金化したことにより空気に触れる陰極表面に緻密な
酸化膜が形成されるためと考えられる。本発明の陰極合
金中のアルカリ金属元素の割合は6モル%から30モル
%が好ましく、30モル%以上の場合は湿気を含む空気
に触れると陰極内部まで酸化、腐食が進行し易くなる。
【0038】そこで、電子注入を効果的に行うための低
仕事関数陰極層の厚さは500Å、以下で十分であるか
ら、まずアルカリ金属元素を含む陰極層(9)の厚さを
500Å程度以下に形成し、図5に示すように、その上
に腐食防止と陰極の導電性を増すために請求項2記載の
ようにアルカリ金属を含まない難腐食性金属陰極層(1
0)の厚さを500Å以上の厚さで積層し陰極形成を行
なってもよい。難腐食性金属の例としてはMg、Sn、
Al、In、Ni、Cu、Ag、Au、Pt、Zn等が
あげられるが、上記以外にもアルカリ金属元素および第
4周期より大きいアルカリ土類金属元素以外の金属元素
であれば使用可能である。
【0039】陰極(5)の形成方法は、抵抗加熱方式に
より10−5Torrオーダー以下の真空度の下で成分
ごとに別々の蒸着源から水晶振動子式膜厚計でモニター
しながら共蒸着する。このとき、単層または積層した場
合においても、0.1〜0.3μm程度の膜厚で形成さ
れるが、電子ビーム蒸着やスパッタリング法により共蒸
着ではなく、合金ターゲットを用いて成膜することもで
きる。
【0040】次に素子の有機層、電極の酸化を防ぐため
に素子上に封止層(6)を形成する。封止層(6)は陰
極(5)の形成後直ちに形成する。封止層材料の例とし
ては、SiO2 ,SiO,GeO,MoO3 等の酸
化物、MgF2 ,LiF,BaF2 ,AlF3 ,
FeF3 等の沸化物、GeS,SnS等の硫化物等の
バリアー性の高い無機化合物があげられるが、上記例に
限定されるものではない。これらを単体または複合して
蒸着、スパッタリング法等により成膜する。抵抗加熱方
式で蒸着する場合には、低温で蒸着できるGeOが優れ
ている。
【0041】さらに湿気の浸入を防ぐ為に低吸湿性の光
硬化性接着剤、エポキシ系接着剤等(15)を用いて、
ガラス板(16)を接着し密封する。ガラス板以外にも
金属板、プラスチック板等を用いることもできる。有機
物層の紫外線による劣化を防ぎ、EL素子の長寿命化を
計るため、ITOガラス基板のガラス面上に、ZnO膜
等からなる紫外線吸収層を設けたり、EL発光のスペク
トルを変化させるために、カラーフィルター層や、EL
発光を吸収して蛍光を発する物質の層を設けることもで
きる。
【0042】また、陽極のITOガラス基板上に金、白
金、パラジウム等の単体金属または合金の可視光に対す
る半透明膜を積層した陽極と、不透明で可視光において
高い反射率を有する陰極を用い、陽極と陰極の間隔がE
L発光波長の2分の1の整数倍に有機薄膜の屈折率で補
正した値の厚さになるよう正孔注入輸送層、有機電子輸
送発光層等を積層し光共振器化することにより、EL発
光波長領域において半値巾の狭いELスペクトルを得る
こともできる。
【0043】以上のように構成した有機薄膜EL素子は
、正孔注入輸送層(3)側を正として電源(11)にリ
−ド線(12)で接続し直流電圧を印加することにより
空気中で安定に発光するが、交流電圧を印加した場合に
も正孔注入輸送層(3)側の電極が正に電圧印加されて
いる間は発光する。また、以上のように構成した有機薄
膜EL素子は、有機薄膜の吸収領域における光を照射す
ることにより正孔注入輸送層側の電極が正になるよう光
起電力が発生し、光電池としても機能する。
【0044】
【実施例】
<実施例1> 以下、本発明のEL素子の実施例を図1に従って、説明
する。まず、透明絶縁性の基板(1)として、厚さ1.
1mmのガラス板を用い、この上に1200ÅのITO
を被覆して陽極(2)とした。この透明導電性ガラス基
板を十分に洗浄後、正孔注入輸送層(3)として、N,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを5
00Å蒸着した。次に有機電子輸送発光層(4)として
トリス(8−キノリノール)アルミニウムを500Å蒸
着し、その上面に陰極(5)としてMg−Na合金を共
蒸着によりNaの割合が23モル%となるよう95Å蒸
着した後、続けてMgだけを2140Å蒸着した。陰極
(5)の仕事関数は光電子放出法により測定したところ
、3.2eVであった。
【0045】最後に封止層(6)としてGeOを1.8
μm蒸着後、ガラス板(15)を紫外線硬化接着剤(1
6)で接着し密封した。この素子は3V以上の直流電圧
印加により黄緑色に発光し、13Vにおいて10200
cd/m2 の輝度を示した。このときの電流密度は5
36mA/cm2 であった。
【0046】 <実施例2> 実施例1と同様に透明導電性ガラス上に正孔注入輸送層
(3)、有機電子輸送発光層(4)を順に蒸着した上に
陰極(5)としてMg−Li合金を共蒸着によりLiの
割合が26モル%となるよう2200Å蒸着した。陰極
(5)の仕事関数は光電子放出法により測定したところ
約3.1eVであった。最後に封止層(6)としてLi
Fを1μm蒸着した。
【0047】この素子は、3V以上の直流電圧印加によ
り黄緑色に発光し、17Vにおいて11123cd/m
2の輝度を示した。このときの電流密度は399mA/
cm2 であった。
【0048】 <実施例3> 実施例2と同様に透明導電性ガラス上に正孔注入輸送層
(3)、有機電子輸送発光層(4)、陰極(5)を順に
形成した。
【0049】この素子の陰極面上に粘着テープを張り付
け剥離テストを行ったところ、MgーAg合金を陰極に
用いた場合と異なり有機電子輸送発光層(4)が陰極(
5)とともに取られたことより、有機電子輸送発光層と
陰極間の密着性がMgーAg合金を陰極に用いた場合よ
り強いことが示された。
【0050】 <実施例4> 実施例1と同様に透明導電性ガラス上に正孔注入輸送層
(3)を蒸着した後、クマリン540を0.5モル%含
むトリス(8−キノリノール)アルミニウムを500Å
蒸着し、その上面に陰極(6)としてMg−Li合金を
共蒸着によりLiの割合が26モル%となるよう100
Å蒸着した後、続けてMgだけを2100Å蒸着した。 最後に封止層(6)としてGeOを2μm蒸着後、ガラ
ス板(15)を紫外線硬化接着剤(16)で接着し密封
した。この素子は空気中において3V以上で緑色に発光
し、14Vにおいて40000cd/m2の輝度を示し
た。このときの電流密度は510mA/cm2 であっ
た。 なお、この素子は3か月以上空気中においてもほとんど
劣化せず均一な面発光をした。
【0051】
【実施例5】実施例1と同様に透明導電性ガラス上に正
孔注入輸送層(3)、有機電子輸送発光層(4)を順に
蒸着した上に陰極(5)としてAl−Li合金を共蒸着
によりLiの割合が28モル%となるよう2200Å蒸
着した。陰極(5)の仕事関数は光電子放出法により測
定したところ約3.2eVであった。最後に封止層(6
)としてLiFを0.7μm蒸着した。この素子は3V
以上で黄緑色に発光し、最高輝度は17Vにおいて10
322cd/m2、電流密度は341mA/cm2 で
あった。
【0052】 <比較例1> 実施例1と同様に透明導電性ガラス上に正孔注入輸送層
(3)、有機電子輸送発光層(4)を順に蒸着した上に
陰極(5)としてMg−Ag合金をAgの割合が12モ
ル%となるように共蒸着により形成した。陰極(5)の
仕事関数は光電子放出法により測定したところ約3.8
eVであった。最後に封止層(6)としてMgF2 を
0.3μm蒸着した。この素子は3V以上で黄緑色に発
光し、最高輝度は17Vにおいて5990cd/m2、
電流密度は268mA/cm2 であった。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、有
機薄膜EL素子の陰極としてアルカリ金属元素と他の金
属とからなる比較的安定で低仕事関数の合金を用いるこ
とにより、有機電子輸送発光層への電子注入量を従来の
Mg−Ag合金からなる陰極を用いた場合に比較し、増
やすことができ、有機薄膜EL素子の高輝度化に効果が
ある。
【0054】また、アルカリ金属を含む陰極上にアルカ
リ金属を含まない難腐食性金属陰極層を積層することは
、有機薄膜EL素子の長寿命化に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機薄膜EL素子の一実施例を示す説
明図である。
【図2】本発明の有機薄膜EL素子の他の実施例を示す
説明図である。
【図3】本発明の有機薄膜EL素子の他の実施例を示す
説明図である。
【図4】本発明の有機薄膜EL素子の他の実施例を示す
説明図である。
【図5】本発明の有機薄膜EL素子の他の実施例を示す
説明図である。
【符号の説明】
(1)基板 (2)陽極 (3)正孔注入輸送層 (4)有機電子輸送発光層 (5)陰極 (6)封止層 (7)有機発光層 (8)電子注入輸送層 (9)アルカリ金属を含む陰極層 (10)難腐食性陰極層 (11)電源 (12)リード線 (13)陰極取り出し口 (14)陽極取り出し口 (15)ガラス板 (16)接着剤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも陽極、正孔注入輸送層、有機電
    子輸送発光層、陰極、または少なくとも陽極、正孔注入
    輸送層、有機発光層、電子注入輸送層、陰極の順で構成
    される有機薄膜EL素子において、有機電子輸送発光層
    もしくは電子注入輸送層と接する前記陰極が、アルカリ
    金属元素を6モル%以上含む合金であることを特徴とす
    る有機薄膜EL素子。
  2. 【請求項2】基板上に陽極から形成された有機薄膜EL
    素子のアルカリ金属元素を含む陰極上に、アルカリ金属
    元素を含まない難腐食性金属陰極層を500Å以上の厚
    さで設けて形成したことを特徴とする請求項1記載の有
    機薄膜EL素子。
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