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JP7422302B2 - 連続鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

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本発明は、より高速での連続鋳造が可能な耐熱性に優れる低熱伝導金属充填層を有する連続鋳造用鋳型の製造方法に関する。
転炉や電気炉で精錬した溶鋼から、固体の鋳片へ連続的に製造する連続鋳造法においては、注入される溶鋼が水冷式の連続鋳造用鋳型によって冷却され、鋳型との接触面から溶鋼が凝固し、さらに全体が冷却され鋳片が作製される。鋳型内における冷却が不均一になると、鋳片への凝固過程における凝固層の形成が不均一となる。凝固層の収縮や変形に起因する応力が作用し、不均一度が大きい場合には、鋳片の縦割れ発生や次工程での表面割れなどの原因となる。
凝固過程に発生する応力の不均一性を改善するために、メニスカス近傍での冷却速度を制御する方法が実用化されている。特許文献1では、溶鋼から連続鋳造用鋳型への熱流束を規則的且つ周期的に増減させることにより、発生する応力が規則的に分布し局所的に蓄積される方法が考案された。具体的には、鋳型内溶鋼のメニスカス近傍の鋳型表面に2~10mmφの穴(凹部)を、5~20mmの一定の間隔で多数形成し、その穴にニッケルなどの銅より熱伝導度が低い金属、または、セラミックスを埋め込む技術が示されている。
一方で、鋳型表面に多数の穴を形成し、熱伝導率の低い金属などを埋め込む方法は、鋳型表面に発生する応力が分散されて、個々の低熱伝導金属充填部の歪量が小さくなり、さらに、穴(凹部)の形状を円形または擬似円形にするのは、充填金属と銅との境界面が曲面状となるので、境界面で応力が集中しにくく、鋳型銅板表面に割れが発生しにくいという利点があることも述べている。
連続鋳造工程では、近年、鋳型内の溶鋼を攪拌する電磁攪拌装置が設置されていることが一般的である。電磁コイルから溶鋼への磁場強度の減衰を抑制するために、導電率を低減した銅合金が用いられている。この場合、導電率の低下に応じて熱伝導率も低減し、純銅(熱伝導率;約400W/mK)の1/2前後の熱伝導率の銅合金製鋳型銅板が使用されることもある。
特許文献2では、鋳型表面に設けた穴内部に、低熱伝導材料としてニッケルまたはニッケルを含有する合金をめっきする考えを示している。具体的には、ニッケル-コバルト合金(Ni-Co合金)やニッケル-クロム合金(Ni-Cr合金)などをめっき処理する。さらに、鋳型銅合金と穴に充填するめっき金属との熱抵抗(λ)の比が0.5<λCu/λcoating<15.0であることと述べている。比(λCu/λcoating)が0.5以下の場合は、熱抵抗が小さいために、鋳片に表面割れが生じ、好ましくない。一方、比(λCu/λcoating)が15.0以上になると、めっき層の熱抵抗が高く、連続鋳造中にめっき層の温度が高くなりすぎて、めっき層の剥離などが懸念され、好ましくないとしている。
特開平1-170550号公報 特開2018-192530号公報
鋳型表面に多数の穴(凹部)を形成し、熱伝導率の低い金属などを埋め込むことにより、溶鋼の凝固時に発生する熱応力を周期的及び規則的に分散し、冷却鋳片の割れを抑制するだけでなく、連続鋳造鋳型の表面損傷も抑制することができる。その抑制効果を高くするために、穴形状、個数、配置についての検討や、穴に充填する金属などの熱伝導性の検討がなされている。一方では生産性向上の目的で、連続鋳造速度を上げることや、連続鋳造鋳型の長寿命化に対する要望がある。
連続鋳造鋳型では、鋳造時に鋳型表面の凹部と銅(鋳型)との境界面において、低熱伝導材料と銅との熱歪差により大きな応力が発生する。穴形状を円形にすることや穴寸法を小さくすることで、熱歪差による応力を抑え、低熱伝導充填金属の剥離や損傷さらには鋳型表面における割れの発生を抑制している。さらに鋳造速度を上げる場合には、溶鋼から鋳型への単位時間当たりの熱移動量が大きくなる。製品である鋳片の割れを防止するために、鋳型への熱移動が局所的により大きくなり、低熱伝導充填金属に蓄積する熱量も大きくなることから、鋳型と充填金属に一層の高強度と耐熱性が求められる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、鋳造時に鋳型表面の凹部と銅(鋳型)との境界面に発生する大きな応力と、低熱伝導充填金属に蓄積する熱量に対しても、割れや剥離が生じにくい連続鋳造用鋳型の製造方法を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、鋼の連続鋳造に用いる銅または銅合金製鋳型銅板の、少なくとも鋳造中の溶湯のメニスカス位置を含む領域の内表面に複数の凹部を形成し、その凹部に前記銅または銅合金よりも熱伝導率が低い金属を供給しながら波長300~600nmのレーザーを照射し、前記金属を溶融・凝固させることにより、鋳型銅板よりも熱伝導率が低い金属の充填層を形成し、その充填された金属の少なくとも一部は前記鋳型の銅または銅合金成分と混合するように前記金属の充填を行うことを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記凹部に充填する金属は、ニッケルまたはニッケル基合金の、粉末またはワイヤーであることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記金属の充填層は、厚み0.2~2mmのニッケルまたはニッケル基合金を、厚み1~10mmに多層肉盛りした充填層であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の連続鋳造用鋳型の製造方法において、前記多層肉盛り充填層は、凹部の底部に位置する第1層が50質量%以下の銅を含有し、第2層から最表面層まで、段階的に銅の含有量を減少させることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4の連続鋳造用鋳型の製造方法において、最表面層の銅の含有量が、1質量%以下であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、照射するレーザーの波長を銅あるいは銅合金にも吸収され易い300~600nmの範囲としたので、レーザー照射と同時に供給する銅または銅合金よりも熱伝導率が低い金属を溶融・凝固させる際に、銅または銅合金製鋳型の凹部底面及び内面から銅が溶融混合することにより、密着性の良い金属の充填層を形成させることができる。
請求項2の発明によれば、凹部に充填する金属は、ニッケルまたはニッケル基合金の、粉末またはワイヤーであるから、照射するレーザーの波長300~600nmを吸収し易く、銅または銅合金と溶融混合することにより、密着性の良い金属の充填層を形成させることができる。
請求項3の発明によれば、凹部に充填される金属の充填層は、厚み0.2~2mmのニッケルまたはニッケル基合金を、厚み1~10mmに多層肉盛りした充填層としたので、レーザー照射による溶融により層間の密着強度が高くなり、鋳造時に鋳型表面の凹部と銅鋳型との境界面に発生する大きな応力と、低熱伝導充填金属に蓄積する熱量に対しても、割れや剥離が生じにくいという利点がある。
請求項4の発明によれば、前記多層肉盛り充填層は、凹部の底部に位置する第1層が50質量%以下の銅を含有し、第2層から最表面層まで、段階的に銅の含有量を減少させるようにしたので、銅の成分拡散により、接着強度を高めることができるという効果があり、なおかつ、最表面層においては、銅の含有量を減少させることができるので、耐熱、耐蝕、耐摩耗性に優れたニッケルまたはニッケル基合金の性能を発揮しやすいという効果がある。
請求項5の発明によれば、最表面層の銅の含有量が、1質量%以下であることにより、被熱量の多い最表面層はニッケル基合金の持つ本来の耐熱性を発揮させることができ、割れや剥離が生じにくいという効果がある。
連続鋳造用鋳型では、鋳型に溶鋼を流し込むと同時に、背面を冷却水で冷やした鋳型表面で、溶鋼を抜熱し凝固させることにより連続的に鋼を鋳込み成型していく。鋳型の上部メニスカス部付近では、溶鋼が凝固しはじめ、さらに全体が冷却され鋳片が作製される。鋳片への凝固過程における凝固層の形成が不均一になると、凝固層の収縮や変形に起因する応力が作用し、不均一度が大きい場合には、鋳片の縦割れ発生や次工程での表面割れなどの原因となる。このため、鋳片での不均一凝固が生じないように、溶鋼から連続鋳造用鋳型への熱流束を規則的且つ周期的に増減させ、発生する応力が規則的に分布し集中的に大きくならないようにした。
具体的には、冷却効果が高い熱伝導性が優れる銅あるいは銅合金製鋳型において、その鋳型内面のメニスカス部近傍にあたる鋳型上端から約50mm~250mm、鋳型横方向には全範囲(モールド銅板の大きさは多種あり、銅板の横幅はおおむね1800~2500mm)に2~10mmφの穴(凹型)を、5~20mmの一定の間隔で多数形成し、その穴にニッケルなどの銅より熱伝導性が低い金属を埋め込む技術が実用されている。鋳型表面に熱伝導性の規則的な分布を持たせることにより、鋳片表面の冷却速度に規則的な分布が生まれ、発生する応力も規則的な分布を持ち、また、応力が大きくなり過ぎないように制御でき、割れなどが生じない連続鋳造を実現している。
一方、鋳型表面では、穴部に埋め込んだ熱伝導性の低い金属表面に熱が蓄積しやすく、周辺の銅あるいは銅合金製鋳型表面では熱伝導性が良く放熱しやすい。鋳型表面では、穴部に埋め込んだ金属と周囲の銅鋳型表面で温度差が生じることになる。連続鋳造の生産性を高めるために、鋳片引き抜き速度を2.5m/min以上に速くすると穴部に埋め込んだ低熱伝導性金属表面の熱蓄積量が増大する。このため、鋳型表面の凹部と銅鋳型部との境界面に発生する応力も増大する。
穴部の形状は、通常10mmφ以下の小さな円筒形状であり、境界部に発生する熱歪みによる応力割れを少なくする効果を持つ。しかし、低熱伝導性金属表面の熱蓄積量が増大することで、熱クラックの発生だけでなく、低熱伝導金属と銅鋳型部との剥離や、低熱伝導金属としてニッケルめっきを使用している場合には、充填したニッケルめっき内部でのクラック発生やその破壊などの問題が発生する。
本発明では、低熱伝導金属の耐熱性を維持したままで、銅鋳型部との剥離性を改善するために、銅鋳型部との接着強度を高めることを目的とした。まず、穴部にニッケルめっきを形成する従来方法では、ニッケルめっき層は銅鋳型と良質な接着強度を持つが、成分の相互拡散はない。このため、鋳片引き抜き速度が2.5m/min以上になると、従来法のめっき部と銅鋳型部との境界に発生する強い熱応力により剥離が生じたり、めっき部に熱クラックが発生しやすくなる。
本発明では、接着強度を高めるためにニッケル基合金に鋳型の銅成分が混合することにより強い接着強度を実現した。具体的は、ニッケル基合金粉末にも銅や銅合金にもエネルギー吸収される波長300~600nmのレーザーを、アルゴン雰囲気中でニッケルまたはニッケル基粉末に照射し溶融すると同時に、銅鋳型表面部もレーザー照射により溶解し、銅が混合したニッケル基合金溶融プールを作製する。これを冷却凝固することにより銅鋳型に強力に密着したニッケル銅合金を作製した。生成されるニッケル銅合金の銅含有量は、低熱伝導性を維持するために50質量%以下とすることが望ましい。
凹部に充填する低熱伝導合金は、必ずしも凹部深さ1~10mm、穴径2~10mmφ全域で均一組織である必要はない。例えば、深さ10mm×径10mmφに充填合金を均一に溶融するためには、大きなレーザーエネルギーの入射が必要になり、入射エネルギーが大きすぎると凝固した時の合金結晶サイズが大きくなり、耐熱性や強度の低下につながる。また凹部周辺の熱歪みが大きくなり好ましくない。このことから、低熱伝導合金を1層あたり0.2~2mmで、合計厚み1~10mmの積層構造にすると、レーザーの入射エネルギーも10分の1以下にできる。また、各層の銅含有量を段階的に少なくすることにより、最表面の耐熱性、耐蝕性および耐摩耗性を最大にできる。
レーザー照射により低熱伝導合金層に混合する銅は、レーザー肉盛り条件により制御できる。具体的には、レーザー入射エネルギーと照射時間およびニッケル基合金粉末の供給量を制御することにより、粉末を混合・溶融するための照射エネルギーを調整でき、下地層や周辺からの金属成分の拡散・混合量も調整できる。含有銅成分が多いとニッケル基耐熱合金の耐熱性や耐蝕性を損なうことから、低熱伝導金属に含有する銅の量は、表面肉盛り層ほど少なくする方が好ましい。レーザーによる溶融・凝固条件により下地層からの拡散量を少なくできる。上層に含有される銅含有量を下層の約1/10に低下させることも可能であり、例えば、レーザー肉盛り層を3層積層することにより、最表面層の銅含有量が1/1000とほとんどない積層の作製ができる。最表面層の銅含有量を1質量%以下とすることにより、最表面層では、金属学的手法により開発され高温での耐蝕性や耐摩耗性に優れるハステロイやインコネルなど既知のニッケル基合金にほぼ同等の肉盛り層を得ることが可能となった。
本発明で使用するレーザーの波長は、銅および銅合金やニッケルおよびニッケル基合金が効率的に吸収できるために波長300~600nmが良く、350~500nmが銅を多く溶解するためにはより好ましい。また、金属を効率的に溶融するためにレーザーエネルギーは50W以上が好ましい。出力が小さい場合には、複数のレーザー光を金属溶融点に集光する方法も可能である。該当するレーザーには、ブルーレーザー、グリーンレーザー、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波の固体レーザーなどが実用化されている。
本発明のニッケル基耐熱合金粉末を供給しながらレーザーを照射し、粉末の溶融プールを形成させ、それを凝固して肉盛り層を形成する方法では、アルゴンガスと一緒に合金粉末を肉盛り点に供給する。合金粉末粒度は、溶融プールを形成するレーザーエネルギーや肉盛り厚みに影響し、粒度(レーザー回折・散乱法によって求めた球相当径の体積基準積算分布の50%に相当する径)は20~150μmが好ましい。粒度が150μmより大きくなると粉末溶融のために大きなエネルギーが必要になり、溶融プールサイズや温度の制御精度が悪くなり、肉盛り層も厚くなってしまう。粒度が小さいと肉盛り精度が向上することから精密肉盛りに適しているが、20μm未満になると、粉末が軽量過ぎて粉末の飛散が過大になり、肉盛り層への変換効率が低下するだけでなく、粉塵による作業環境の悪化が進む。このことから微細すぎる粉末の使用は好ましくない。
肉盛りの厚みは、一層あたり0.2~2mmが好ましい。厚みを0.2mmより薄くする場合には、粉末粒度も小さくする必要があり、微粉末の使用は作業環境と収率の点から好ましくない。また、肉盛り層を2mmより厚くすると、1層当たりの肉盛り層が厚くなりすぎ、積層数が少なくなり、最表面での銅含有量が多くなり、最表面の耐熱性などが低下する。多層肉盛り層の合計厚みは1~10mmが好ましい。膜厚が1mm未満では、低熱伝導金属層の厚みが不足し、鋳片凝固の不均一度が大きくなり表面に亀裂を生じやすくなる。また、合計厚みが10mmよりも大きくなると、低熱伝導金属層表面の残留熱量が大きくなりすぎ、鋳型表面の熱応力が大きくなり、低熱伝導金属部分のみならず銅合金鋳型部にも損傷を生じる可能性が増大する。
Ni基合金肉盛り層は、耐熱、耐蝕性に優れる合金組成のものを選択し、これらの合金粉末を供給しながらレーザー照射する方法で作製した。耐熱、耐蝕性に優れるNi基合金として、ハステロイC276(57Ni16Mo15Cr5Fe2.5Co4W)、インコネル600(72Ni14Cr6Fe)、NiCr(50Ni50Cr)、NiCoCrAlY(47.9Ni23Co20Cr8.5Al0.6Y)、Waspaloy(58Ni19Cr14Co4.5Mo3Ti)等を選択し、いずれも市販されている合金粉末を使用した。肉盛り層が厚くなると、肉盛り層表面の粗さが悪くなる。このため、レーザー肉盛り層の形成後、その表面を研磨加工し、表面粗さをRy10μm以下に平坦化することにより、肉盛り層の異常摩耗発生を抑制することができる。ここで、表面粗さRyとはJIS B0601-1994に規定される最大高さのことである。
連続鋳造用鋳型は、100%銅からなる純銅であってもよく、銅を90質量%以上含有し、残部として、アルミニウム、クロム、ジルコニウムなどを含有する銅合金でもよい。純銅の熱伝導率は約400W/mK、銅合金は純銅より20~30%小さく、Niは約90W/mK、ハステロイは約11W/mKである。
以下、本発明の試験結果に基づき、本発明を詳しく説明する。
銅合金(組成:クロム0.87%、ジルコニウム0.11%残部銅)からなる試験片(サイズ:30×50×厚み30mm)に5mmφ×深さ2mmの穴(凹部)を設け、レーザー照射(出力:80W)を行い、さらに、粒度(レーザー回折・散乱法によって求めた球相当径の体積基準積算分布の50%に相当する径)40~120μmのニッケル基合金粉末を、粉末供給速度1.1g/min、ノズルスキャン速度240mm/minで供給しながら、波長300~600nmの半導体レーザーを照射し、ニッケル基合金肉盛り層0.15mmを14回繰り返し形成し、14層積層させて穴部を低熱伝導合金で充填した。ニッケル粉末には、ニッケル-コバルト(85Ni-15Co、35Ni-65Co)、インコネル600、およびハステロイC276粉末を使用し本発明試験片1~4を作製した。比較片として、穴部にニッケルめっきを5回繰り返し、同様に穴部に充填した比較片を作製した。各試験片の表面は、充填後に表面研削により面粗さRy:6μmになるよう調整した。ここで、表面粗さRyとはJIS B0601-1994に規定される最大高さのことである。
銅合金と充填した低熱伝導合金との密着性を評価するために熱衝撃試験を行い、その評価結果を表1に示す。熱衝撃試験は、大気中、900℃で10分間加熱し、その後水冷にて急冷却を行った。これを1サイクルとし、拡大鏡で表面にクラックが確認されるまでの試験回数で評価を行った。本発明試験片は、いずれも比較片に比べ、クラックが発生するまでの回数が多く、良好な結果を示した。また、各層の銅の拡散量を蛍光X線により調査し、結果を表1に示す。この結果から、銅の拡散が低熱伝導合金の密着性や耐熱性に有効であると判断できた。
Figure 0007422302000001
本発明による連続鋳造用鋳型の製造方法は、溶鋼からの製鋼用鋳型として、優れた耐熱性、耐蝕性、耐摩耗性を有し、高能率の高速連続鋳造用鋳型を製造する方法として優れる。

Claims (5)

  1. 鋼の連続鋳造に用いる銅または銅合金製鋳型銅板の、少なくとも鋳造中の溶湯のメニスカス位置を含む領域の内表面に複数の凹部を形成し、その凹部に前記銅または銅合金よりも熱伝導率が低い金属を供給しながら波長300~600nmのレーザーを照射し、前記金属を溶融・凝固させることにより、鋳型銅板よりも熱伝導率が低い金属の充填層を形成し、その充填された金属の少なくとも一部は前記鋳型の銅または銅合金成分と混合するように前記金属の充填を行うことを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
  2. 前記凹部に充填する金属は、ニッケルまたはニッケル基合金の、粉末またはワイヤーであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
  3. 前記金属の充填層は、厚み0.2~2mmのニッケルまたはニッケル基合金を、厚み1~10mmに多層肉盛りした充填層であることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
  4. 前記多層肉盛り充填層は、凹部の底部に位置する第1層が50質量%以下の銅を含有し、第2層から最表面層まで、段階的に銅の含有量を減少させることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
  5. 最表面層の銅の含有量が、1質量%以下であることを特徴とする請求項4に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
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