JP7412158B2 - 工作機械の送り軸診断装置及び送り軸診断方法 - Google Patents
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Description
例えば、工作機械の送り軸異常の一つに、転がり案内機構における移動ブロックのエンドプレート破損がある。転がり案内機構では、転動体が軌道部材上を転動しつつ移動ブロック内を循環するにあたり、移動ブロックのエンドプレートにおいて、方向転換路が形成されており、転送方向が反転している。ここで、異物混入等により、循環状態が悪化する
とエンドプレートに過剰な負荷がかかり、エンドプレートが破損し、転動体が移動ブロックの外へ脱落することがある。転動体の脱落が生じると、その移動ブロックは案内の機能を果たさなくなるため、移動体の姿勢変化が生じ、位置決め性能の低下といった不具合が発生する。
また、特許文献3では、転がり案内装置の軌道部材に装着された振動センサを用いて、データ収集時間の異なるセンサの出力信号を取り込み、各々の分析結果と閾値データを比較することにより、移動ブロックと軌道部材とのどちらの転送面に異常が発生しているかを判断する方法が開示されている。
請求項2に記載の発明は、転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断部を備えた送り軸診断装置であって、送り軸診断部は、非加工中の送り速度及び送り速度において送り軸にかかる負荷を取得し、所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の送り速度と負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断部を備えた送り軸診断装置であって、送り軸診断部は、非加工中において送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の送り速度と負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、上記構成において、近似関数において、線形近似を行い、算出される係数が予め設定してある閾値よりも小さく且つ算出される定数項が予め設定してある閾値よりも大きい場合に、転がり案内機構に循環不良が発生していると判断することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、非加工中において送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の送り速度と負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて異常を検知することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、非加工中の送り速度及び送り速度において送り軸にかかる負荷を取得し、所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の送り速度と負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、非加工中において送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の送り速度と負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ワークの重量変化の影響を考慮した上で、転がり案内機構の異常検知を行うことができる。
図1は、本発明の送り軸の診断装置を示す説明図である。
この工作機械には、移動体10が、サーボモータ7の駆動によって回転するボールねじ8によってスライド可能に設けられている。移動体10は、転がり案内機構9の案内面に沿って直線運動可能となっている。
図示しないワークの加工は、サーボモータ7がボールねじ8を介して移動体10を駆動させることで、移動体10上に載置されたワークを所定の位置まで移動させることで行われる。
なお、各指令値等の情報は、NC装置12で記録及び表示することが可能である。
図2は、本発明における送り軸診断の手順を示すフローチャートである。
まず、非加工動作中か否かの判定を実施する(S1)。ここでは、位置決め動作指令中及び切削送り指令中において、図1において図示されていない主軸にかかる負荷の変化が、主軸が一定回転速度となった直後の負荷から一定値以下となった場合に、非加工動作中と判定する。
非加工動作中と判断された場合は、移動体10の送り速度が一定速度になっているかの判
定を実施する(S2)。
移動体10の送り速度が一定速度となっている場合、ある1つの動作における送り速度及び送り軸負荷を取得する(S3)。この時、送り速度は、指令速度を取得する。また、送り軸負荷は、送り速度の一定速度判定の解除、又は、非加工動作中の判定の解除までに検知される負荷情報の平均値を取得する。
所定時間経過後、取得した複数の送り速度と送り軸負荷との関係を算出する(S5)。ここでは、線形近似により送り速度と送り軸負荷の関係を算出する。送り速度と送り軸負荷の関係の例を図3に示す。
S5において線形近似された近似式の係数及び定数項に基づいて、転がり案内機構9の異常の有無を診断する(S6)。転がり案内機構9に循環不良が発生すると、正常時に対し、近似式の係数は小さくなり、定数項は大きくなる。正常時における送り速度と送り軸負荷の関係から算出される近似式を基に、予め係数閾値及び定数項閾値を設定し、近似式の係数が係数閾値よりも小さく、且つ定数項が定数項閾値よりも大きくなった場合、転がり案内機構9に循環不良が発生したと判断される。一方、転がり案内機構9が正常に機能する場合、ワークによりボールねじ8にかかる移動体10の重量が変化すると、近似式の勾配すなわち係数に変化は生じず、定数項のみが変化する。従って、ワークの重量変化を考慮した上で、転がり案内機構9の異常検知を行うことができる。
このようにして構成される送り軸診断装置によれば、診断用のセンサを追加することなく、通常の工作機械においてボールねじ8に対して使用される制御信号を基に、転がり案内機構9の異常検知を行うことができる。
よって、より高い精度で転がり案内機構9の異常検知を行う事ができる。
よって、ワークの重量変化の影響を考慮した上で、転がり案内機構9の異常検知を行うことができる。
例えば、転がり案内機構9の異常判断は、近似式の係数のみを用いて、算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に転がり案内機構9に循環不良が発生していると判断するものでも良い。
また、送り軸診断装置は、工作機械の外部に設けても良い。
Claims (7)
- 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断部を備えた送り軸診断装置であって、
前記送り軸診断部は、非加工中において前記送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断装置。 - 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断部を備えた送り軸診断装置であって、
前記送り軸診断部は、非加工中の送り速度及び前記送り速度において前記送り軸にかかる負荷を取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、前記転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断装置。 - 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断部を備えた送り軸診断装置であって、
前記送り軸診断部は、非加工中において前記送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、前記転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断装置。 - 前記近似関数において、線形近似を行い、算出される前記係数が予め設定してある閾値よりも小さく且つ算出される定数項が予め設定してある閾値よりも大きい場合に、前記転がり案内機構に循環不良が発生していると判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の工作機械の送り軸診断装置。
- 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、
非加工中において前記送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断方法。 - 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、
非加工中の送り速度及び前記送り速度において前記送り軸にかかる負荷を取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、前記転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断方法。 - 転がり案内機構の案内面に沿って、移動体をボールねじにより駆動させる送り軸を備える工作機械において、前記転がり案内機構の異常を検知する送り軸診断方法であって、
非加工中において前記送り軸が一定速度となった際の送り速度および負荷を複数取得し、
所定期間内に異なる複数の送り速度条件下で取得された複数の前記送り速度と前記負荷との関係から、横軸を送り速度として算出される線形の近似関数に基づいて算出された係数が予め設定してある閾値よりも小さい場合に、前記転がり案内機構の異常を検知することを特徴とする工作機械の送り軸診断方法。
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