JP7492378B2 - 歯列矯正における歯牙削合データ作成方法、歯列矯正における歯牙削合データ作成プログラム - Google Patents
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Description
図1には、1つの形態にかかる歯列矯正の際の歯牙削合データ作成方法S10(以下「作成方法S10」と記載することがある。)の流れを示した。図1からわかるように、作成方法S10は、3次元形状データの取得の過程S11、初期・最終歯列データの作成の過程S12、第1ステージの宣言の過程S13、歯牙移動の演算の過程S14、規定移動量の歯牙の有無を判定する過程S15、隣在歯間の干渉有無を判定する過程S16、本ステージにおける合計IPR量の算出の過程S17、一機会で削合可能であるかを判定する過程S18、一機会で削合可能な歯牙移動に遡る過程S19、第Nステージデータの作成の過程S20、IPR完了の判定の過程S21、ステージ進行の宣言の過程S22、及び、IPRシートの作成の過程S23を含んでいる。以下に各過程について説明する。
3次元形状データの取得の過程S11(「過程S11」と記載することがある。)では、口腔内の歯列の形状をデジタルデータ(口腔内3次元形状データ)化する過程である。図2には1つの例として取得した口腔内3次元形状データにより、コンピュータ上で図形として表示された口腔内の歯列1を表した。ここでは上顎のみを示しているが、下顎についても同様である。
デジタルデータ化する方法は公知の方法を用いることができ、特に限定されることはないが、例えば3次元計測装置によるスキャンや、CT(Computed Tomography、コンピュータ断層診断装置)による画像処理によることができる。
初期・最終歯列データの作成の過程S12(「過程S12」と記載することがある。)では、過程S11で得た口腔内3次元形状データから歯列矯正の演算が可能なように初期状態の歯列データを作成するとともに、歯列矯正後の最終的に得られるべき歯列データを作成する。
第1ステージの宣言の過程S13(「過程S13」と記載することがある。)では、第1ステージ(N=1)の処理をすることを宣言する。従って、次にステージ進行の宣言の過程S22で第2ステージに進むことが宣言されるまでは、第1ステージに関する処理が行われる。
歯牙移動の演算の過程S14(「過程S14」と記載することがある。)では、初期状態の歯列が最終状態の歯列に至るまでの歯牙の移動を時系列で演算する。
歯牙移動の演算は、時系列で歯牙を移動させて歯列をシミュレーションすることで行われる。歯牙移動はコンピュータプログラムによる演算で自動に行うか、術者による手動操作で行うことができ、公知の方法を適用することができる。例えば「Orhan C. Tuncay, "The Invisalign system" quintessence books, P105-P113」に記載がある。
規定移動量の歯牙の有無を判定する過程S15(「過程S15」と記載することがある。)では、過程S14で行っている歯牙移動の演算の最中に、少なくとも1つの歯牙において規定した移動量に達したかを判定する。例えば歯牙の移動量の規定値を0.25mmとしたとき、過程S14の演算で歯牙の少なくとも1つにおいて移動量が0.25mmに達したときに過程S15でYesが選択されて次の過程S16に移動する。一方、全ての歯牙において規定移動量に達しないときには過程S15でNoが選択され、過程S14が進行される。
なお、規定移動量は施術者の希望等により変更することができてもよい。
隣在歯間の干渉有無を判定する過程S16(「過程S16」と記載することがある。)では、過程S15でYesと判定されたときに、隣在歯で干渉が生じたかを判定する。この干渉量が削合すべき歯牙の量となる。
過程S15において隣在歯間で干渉が生じていなければ過程S16では「No」が選択され、本ステージが確定し、後述する過程S20に移動する。一方、過程S15で隣在歯間の干渉が生じた場合には過程S16では「Yes」が選択され、次の過程S17に移動する。
本ステージにおける合計IPR量の算出の過程S17(「過程S17」と記載することがある。)では、過程S16において隣在歯間で干渉がある場合において、この干渉量から、本ステージにおけるIPR量(削合量)の合計を算出する。複数の隣在歯間で干渉が生じた場合には、その全てのIPR量の合計を算出する。
一機会で削合可能であるかを判定する過程S18(「過程S18」と記載することがある。)では、過程S17で得た本ステージにおける合計のIPR量が一回の治療機会(一機会)で削合可能であるかを判定する。一機会で削合することができる量であればYesが選択されて過程S20に移動する。一方、一機会で削合することができない量であれば、削合のためにステージを分割する必要があることからNoが選択されて過程S19に移動する。
ここで、一機会で削合可能である量は、特に限定されることはなく施術者の希望等に沿って適宜設定することができる。
一機会で削合可能な歯牙移動に遡る過程S19(「過程S19」と記載することがある。)では、過程S18において一機会で削合が不可能であると判定されたことを受けて、一機会で削合可能な歯牙移動量にまで歯牙の移動を遡る。これにより本ステージを一機会で行うことができるようになる。歯牙移動を遡る方法は特に限定されることはないが、過程S14で行われた演算の進行過程の履歴に基づいてこれを遡ればよい。
第Nステージデータの作成の過程S20(「過程S20」と記載することがある。)では、過程S16でNoが選択されたとき、過程S18でYesが選択されたとき、及び、過程S19において一機会で削合可能なように歯牙移動が遡った状態とされたときに、これに基づいて歯牙削合が行われた(又は、行われなかった)としたときの残りの歯牙削合量をデータとして得る。
IPR完了の判定をする過程S21(「過程S21」と記載することがある。)では、過程S20で、最終的な矯正後の歯列とするための全ての隣在歯間で削合すべき歯牙がないか(IPR残量が0になったか)どうかを判定する。
過程S21で少なくとも1つの隣在歯間でIPR残量が0でない場合には過程S22に進む。一方、過程S21で全ての隣在歯間でIPR残量が0となった場合には過程S23に進む。
ステージ進行の宣言の過程S22(「過程S22」と記載することがある。)では、この過程が、IPR残量がある場合に進む過程であることからもわかるように、未だ最終の歯列状態には至っていないことから、次のステージに進むため、ステージを1つ進めた新たなステージの演算とする宣言を行う。
具体的には、NをN+1に置き換える。例えば第1ステージの演算を行ってきた場合であれば、過程S22では第2ステージを行う宣言をするということになる。
過程S22でステージ進行の宣言をした後は、前ステージまでに得たデータを承継して過程S14からの過程を繰り返す。
IPRシートの作成の過程S23では、過程S21で全ての隣在歯間で残りのIPR量がゼロになった後に、ここまで得てきたデータに基づいてIPRシートを作成する。得られたIPRシートにより例えば歯科医師や患者に示されてその計画を検討したり、説明したりすることができる。図5にはIPRシートの例を示した。このようにIPRシートでは、矯正後の最終歯列を得るための各隣在歯間のIPR量や各ステージにおける隣在歯間の位置及びIPR量を示すことができる。
上記したように、歯牙削合データの作成方法S10において、過程S11で口腔内3次元形状をデータ化して口腔内3次元形状データを取得した後は、全てデジタルデータで演算を行うものであり、これをコンピュータプログラムとして電子計算機で実行することができる。従って、上記過程S12乃至過程S23をプログラムの各ステップとして置き換え、歯牙削合データの作成プログラムとすることができる。各ステップの内容は、過程S12乃至過程S23と同じように考えることができる。
上記した歯牙削合データの作成プログラムで行われる各ステップは、コンピュータ等の電子計算機で実行される。すなわち、3次元形状データの取得の過程S11で口腔内3次元形状データが取得され、電子計算機に当該口腔内3次元形状データとして入力された後、このデータに基づいて、初期・最終歯列データの作成のステップ、第1ステージの宣言のステップ、歯牙移動の演算のステップ、規定移動量の歯牙の有無を判定するステップ、隣在歯間の干渉有無を判定するステップ、本ステージにおける合計IPR量の算出のステップ、一機会で削合可能であるかを判定するステップ、一機会で削合可能な歯牙移動に遡るステップ、第Nステージデータの作成のステップ、IPR完了の判定のステップ、ステージ進行の宣言のステップ、及び、IPRシートの作成のステップの各ステップを電子計算機が演算してその結果を出力することにより行われる。図6に電子計算機の構成を説明のための図を示した。図6からわかるように、電子計算機10は、演算子11、RAM12、記憶手段13、受信手段14、及び出力手段15を備えている。
これにより、各ステージにおける歯科削合データを演算し、最終的に図5に示したようなIPRシートの作成を効率よく行うことができる。
上記した歯牙削合データの作成方法、歯牙削合データの作成プログラムによれば、最終的に必要な歯牙の削合量に至るまでの削合の進行についてその内容をステージに分けて提示することができる。これにより、必要に応じて条件を変える等して当該進行を提示することもでき、例えば施術する歯科医師や、施術を受ける患者の負担を低減させた治療(削合)の進行を提供することも可能となる。
歯牙削合データの作成方法、歯牙削合データの作成プログラムでは、歯牙削合に関するデータの他、各ステージで当該ステージにおける歯列矯正後の歯列形状を得ることもできる。従って、この歯列形状のデータに基づいた歯列形状CADデータを作成し、このCADデータから工作機械で歯列形状模型を作製することが可能となる。そしてこの歯列形状模型に対してアライナーとなる材料シートを圧接して硬化することで、アライナーを作製することができる。
このように歯牙削合データの作成方法、歯牙削合データの作成プログラムでは各ステージにおけるアライナー作製のための具体的な形状データを得ることもできる。
2 初期歯列形状表示
3 最終歯列形状表示
10 電子計算機
11 演算子
12 RAM
13 記憶手段
14 受信手段
15 出力手段
Claims (1)
- 歯列矯正の際に行われる歯牙削合のデータを作成するための各ステップをコンピュータに機能させるプログラムであって、
口腔内3次元形状データから歯列矯正後の歯列データを演算して最終的に必要となる削合位置及び削合量を演算するステップと、
前記口腔内3次元形状データから歯列矯正により時系列に歯牙が移動する演算をするステップと、
前記歯牙が移動する演算をするステップにおいて、少なくとも1つの歯牙が予め決められた移動量に達したことを判定し、このときに隣在歯間に干渉があったときには、一機会での削合可否を判定し、前記一機会で削合ができないときには前記一機会で削合ができる歯牙の移動量にまで遡り、前記一機会で削合できるときは遡ることなく、ここまでを1つのステージとして区切り、この状態で削合すべき歯牙の場所及び量を確定し、前記最終的に必要となる削合量から減算するステップと、を含み、
その後前記ステージを変更し、最終的に必要となる削合量に達するまで繰り返して複数のステージを得て、各前記ステージにおいて歯牙削合位置及び歯牙削合量を演算する、
歯牙削合データの作成プログラム。
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