JP7488158B2 - 伸縮性シートの製造方法、該伸縮性シート、及び該伸縮性シートの製造装置 - Google Patents
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斯かる伸縮性シートは、従来、次のようにして製造されている。先ず、搬送方向に連続する2枚のシート間に同方向に引張力がかけられた伸長状態の弾性部材が配置された長尺の積層体を作製する。この積層体を搬送させながら、該積層体における該弾性部材の延在方向の両側近傍に対して、熱を伴うエンボス加工、超音波融着加工等の融着加工を施し、該弾性部材の伸長方向に沿って該2枚のシートどうしの融着部を複数形成する。そして、積層体を所定の製品単位長さに切断する。これにより弾性部材はその伸長状態が解除され、該弾性部材が融着部間に挟圧されて2枚のシート間に固定される。このようにして、伸縮性シートが得られている。
しかしながら、上述した従来の伸縮性シートの製造方法では、2枚のシート間において弾性部材の位置が意図せずにずれることがあり、融着加工時に弾性部材が切断されてしまうという問題があった。特許文献1及び2は、斯かる問題を解決するための技術を開示するものではない。
前記製造方法は、第1シートを、第1凸部間に形成された固定溝部及び第2凸部間に形成された誘導溝部を有するアンビルロール上に導入し、弾性部材を、前記固定溝部内及び前記誘導溝部内に挿入されるように、伸長状態で第1シート上に導入する工程を具備していることが好ましい。
前記製造方法は、第2シートを、前記弾性部材上に導入し、第1シート及び第2シートを、該弾性部材の両側に位置する第1凸部とエネルギー付加部材との間、及び該弾性部材の両側に位置する第2凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させる工程を具備していることが好ましい。
前記製造方法は、前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向において、前記誘導溝部の開口幅が該誘導溝部の底部幅及び前記固定溝部の開口幅それぞれよりも広く、且つ該誘導溝部の中心位置が、該固定溝部の最小幅部の幅内に位置することが好ましい。
前記伸縮性シートにおいて、第1シートと第2シートとは、前記弾性部材を挟んで該弾性部材の両側に位置し且つ該弾性部材の延びる方向に沿って間隔を置いて形成された第1融着部及び第2融着部によって接合されていることが好ましい。
前記弾性部材は、第1融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第1空間において、該弾性部材の表面と第1シート及び第2シートとの摩擦のみによって両シート間に固定されている一方、第2融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第2空間においては、両シート間に固定されていないか又は第1空間におけるよりも弱く固定されていることが好ましい。
前記製造装置は、第1凸部間に形成された固定溝部及び第2凸部間に形成された誘導溝部を有するアンビルロールを具備していることが好ましい。
前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向において、前記誘導溝部の開口幅が該誘導溝部の底部幅及び前記固定溝部の開口幅それぞれよりも広く、且つ該誘導溝部の中心位置が、該固定溝部の最小幅部の幅内に位置していることが好ましい。
また、本発明の伸縮性シートによれば、襞構造の成形性と伸縮性とを両立させることができる。
伸縮性シート10において第1シートと第2シート12とは互いに対向配置されている。これら2枚のシート11,12の間には糸ゴム等の線状の弾性部材13が複数本配置されている。具体的には、複数の弾性部材13が、所定の間隔を空けて間欠的に配されている。複数本の弾性部材13は互いに交差せずに一方向に延びている。
図1に示すように、弾性部材13は互いに平行に延びている。各弾性部材13は、2枚のシート11,12の間に伸長状態で固定されている。以下の説明において、弾性部材13の延びる方向をX方向ともいう。また、弾性部材13の延びる方向と直交する方向をY方向ともいう。
本実施形態の伸縮性シート10は、融着部として、弾性部材13を挟んで該弾性部材13の両側に位置する一対の第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17bと、Y方向における一対の第1融着部15a,15bどうしの間に位置する一対の第3融着部16a,16bを複数有している。
第1融着部15a,15b、第2融着部17a,17b及び第3融着部16a,16bの各融着部は、弾性部材13の延びる方向、すなわちX方向に沿って間隔を置いて形成されている。
弾性部材13の両側に位置する一対の第1融着部15a,15bを纏めて「第1融着部対15」ともいい、該弾性部材13の両側に位置する一対の第2融着部17a,17bを纏めて「第2融着部対17」ともいう。
第1融着部対15及び第2融着部対17は、X方向に沿って交互に配されている。
第3融着部16a,16bは、Y方向における第1融着部対15,15どうしの間、及びY方向における第2融着部対17,17間それぞれに2つ並んで配置されている。斯かる2つの第3融着部16a,16bを纏めて「第3融着部対16」ともいう。
また、一対の第2融着部17a,17b及び一対の第3融着部16a,16bはY方向に互いに離間しており、且つこれら一対の第2融着部17a,17b及び一対の第3融着部16a,16bがこの順でY方向に沿って列をなすように配置されている。すなわち、第2融着部対17と第3融着部対16とがY方向に交互に配置されている。
このように弾性部材13の両側に位置する融着部15a,15b,17a,17bと、弾性部材13間に位置する融着部16a,16bとが、Y方向に沿って列をなすように配置されていることで、伸縮性シート10の各面において後述する襞構造を容易に形成することができる。
1個の第1融着部対15を構成する2個の第1融着部15a,15bは、1本の弾性部材13を挟んでY方向に対向配置され、各融着部15a,15bは、該弾性部材13に接触している。より具体的には図2に示すように、該弾性部材13に食い込んでこれを押圧している。
1個の第2融着部対17を構成する2個の第2融着部17a,17bは、1本の弾性部材13を挟んでY方向に対向配置され、各融着部17a,17bは、該弾性部材13に接触している。これら第2融着部17a,17bは、該弾性部材13に食い込むようにして配置されていない。すなわち、第2融着部対17は、弾性部材13の両側から該弾性部材13を押圧していない。
第3融着部対16は、図1に示すように、Y方向に間欠配置された複数の弾性部材13どうし間に配置されており、弾性部材13とは接触していない。また、第3融着部対16は、X方向に複数間欠配置され、且つX方向において第1融着部対15及び第2融着部対17それぞれと同位置に配置されている。
より詳細には、第1融着部15a,15b間では、Y方向に沿う断面において、該第1融着部15a,15b、第1シート11、及び第2シート12によって画成された第1空間S1が形成されている〔図3(a)参照〕。この第1空間S1において弾性部材13は、該弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦のみによって、これら両シート11,12間に固定されている。斯かる固定は、第1融着部15aにおける弾性部材13側の側縁151aと、他方の第1融着部15bにおける弾性部材13側の側縁151bとの間の間隔である第1融着部間隔Dを、伸縮性シート10の最大伸長状態における弾性部材13の直径d1よりも狭くすることによってなされる。この伸縮性シート10の自然状態(外力を加えていない状態)では、弾性部材13の伸長状態が解除されて該弾性部材13が弛緩してY方向に膨張する。これにより、第1融着部対15の配置位置(第1空間S1)では、第1融着部15a,15bによって弾性部材13の膨張が規制されて、弾性部材13が第1融着部15a,15bによって挟圧された状態となる(図2参照)。
なお、図2及び図3(a)では、弾性部材13が一対の第1融着部15a,15bに接合されているように見えるが、実際は、弾性部材13は一対の第1融着部15a,15bと非接合状態になっている。
本実施形態の第2空間S2において、弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦力は、該弾性部材13が第1シート11及び第2シート12間に固定されるほど強くはない。すなわち、本実施形態の弾性部材13は、第2空間S2において、第1シート11及び第2シート12間に固定されていない。斯かる構成により、後述する襞構造の成形性と伸縮性シート10の伸縮性とをより両立させることができる。
また、第2空間S2において弾性部材13は、第1シート11及び第2シート12間に第1空間S1よりも弱く固定されていてもよい。
なお本発明において、第3融着部対16、すなわち弾性部材13の両側に形成されていない融着部は必須ではなく、無くてもよい。
そして、伸縮性シート10の両面(第1シート11側の表面及び第2シート12側の表面)それぞれに、複数の凸部19と該複数の凸部19間に位置する凹状部とからなる、襞構造が形成される。複数の凸部19及び複数の前記凹状部は、それぞれ、Y方向に沿って連続して延びている。凸部19の内部は空洞である。
特に弾性部材13の両側に、X方向に沿って間隔を置いて形成された第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17bを有することで、前記襞構造を細かく形成することができ、該襞構造の成形性を向上させることができる。さらに、第1融着部15a,15bと第3融着部16a,16bとが、及び第2融着部17a,17bと第3融着部16a,16bとが、Y方向に沿って列をなすように配置されていることで、Y方向に沿って連続して延びる凹部を細かく形成することができ、襞を崩れにくくするとともに、襞の成形性をより一層向上させることができる。
また本実施形態の伸縮性シート10は、第2空間S2において弾性部材13が、第1シート11及び第2シート12間に固定されていないか又は第1空間S1よりも弱く固定されているので、該弾性部材13の収縮力が維持されやすく、これにより伸縮性シート10の伸縮性を高めることができる。
このようにして、本実施形態の伸縮性シート10は、襞構造の成形性と伸縮性とを両立させることができる。
前記d2/Dの値は高ければ高いほど、弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦力が高くなる点から好ましい。伸縮性シート10の弛緩状態における弾性部材13の直径d2とは、該弛緩状態において、弾性部材13が挟圧されていない部位での該弾性部材13の直径のことである。
第2空間S2において弾性部材13が固定されている場合、第2融着部間隔D3〔図3(b)参照〕に対する、伸縮性シート10の弛緩状態における弾性部材13の直径d2(図2参照)の比率(d2/D3)が好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上であり、また好ましくは1.08以下、より好ましくは1.05以下であり、また好ましくは0.90以上1.08以下、より好ましくは0.95以上1.05以下である。
前記の効果をより確実に奏させる観点から、第3融着部16a,16bの接合強度は、第1融着部15a,15bの接合強度に対して好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上90%以下、更に好ましくは70%以上80%以下である。
前記と同様の観点から、第2融着部17a,17bの接合強度は、第1融着部15a,15bの接合強度に対して好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上90%以下、更に好ましくは70%以上80%以下である。
融着部の接合強度は、以下の方法により測定される。
伸縮性シートから、第1融着部、第2融着部又は第3融着部を含むように20mm×100mmの測定片を切り出す。次いで、測定片における測定対象の融着部以外の融着部を剥離させる。次いで、測定片の第1シートの20mm側を、テンシロン万能試験装置RTG1310(株式会社エー・アンド・デイ)の一方のチャックに固定し、測定片の第2シートを他方のチャックに固定して、これらチャック間に測定片をセットする。チャック間の距離は、20mmとする。次いで、チャックを、180°方向に沿って300mm/minの速度で移動させ、第1シートと第2シートとを剥離させる。このときに観察される力の最大値を測定する。斯かる測定を5回繰り返し、それらの平均値を剥離強度とする。
Y方向に沿う第3融着部16a,16bの長さL4(図1参照)は、Y方向において隣り合う第1融着部15a,15bの外方端部間の長さL7(図1参照)に対して、好ましくは2%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは2%以上90%以下、より好ましくは10%以上80%以下である。Y方向において隣り合う第1融着部15a,15bの外方端部間の長さL7は、弾性部材13のY方向の長さと、該弾性部材13の両側に位置する一対の第1融着部15a,15bそれぞれのY方向の長さとの合計である。
X方向に隣り合う第1融着部15a,15bのピッチLf(図1参照)は、X方向に沿う第1融着部15a,15bの長さL5(図1参照)に対して、好ましくは150%以上、より好ましくは500%以上であり、また好ましくは6000%以下、より好ましくは3000%以下であり、また好ましくは150%以上6000%以下、より好ましくは500%以上3000%以下である。X方向に隣り合う第1融着部15a,15bのピッチLfは、X方向に隣り合う第1融着部15a,15b間の長さと、第1融着部15a,15bのX方向の長さとの合計である。
Y方向に沿う第2融着部17a,17bの長さL9(図1参照)は、Y方向に沿って隣り合う2本の弾性部材13間の間隔Le(図1参照)に対して好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは5%以上95%以下、より好ましくは10%以上90%以下である。
X方向に沿う第1融着部15a,15bの長さL5(図1参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.4mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上3.0mm以下、より好ましくは0.4mm以上1.0mm以下である。X方向に沿う第3融着部16a,16bの長さも、X方向に沿う第1融着部15a,15bの長さL5と同じ範囲内であることが好ましい。
Y方向に沿う第2融着部17a,17bの長さL9(図1参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.4mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下であり、また好ましくは0.1mm以上10mm以下、より好ましくは0.4mm以上8mm以下である。
Y方向において隣り合う第1融着部15a,15bの外方端部間の長さL7(図1参照)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.4mm以上であり、また好ましくは10.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、また好ましくは1.0mm以上10.0mm以下、より好ましくは1.4mm以上5.0mm以下である。
X方向に隣り合う第1融着部15a,15bと第2融着部17a,17bとの距離Lh(図1参照)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下であり、また好ましくは0.5mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上2.0mm以下である。
吸収性物品としては、例えば、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に位置する外装体とを具備するものが挙げられる。本実施形態の伸縮性シートは、外装体に好適に用いられる。吸収性物品は更に、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。
第1~第3融着部の各融着部の接合強度をより向上させ、おむつを着用する際に発生し得る弾性部材の固定の解除をより抑制する観点から、第1シート及び第2シートは、スパンボンド不織布層を有する積層不織布であることが好ましい。斯かる積層不織布としては、スパンボンド不織布層(S)とメルトブローン不織布層(M)との積層不織布であるSM不織布やSMS不織布などが挙げられる。
製造装置20は、超音波処理部21を備えている。
超音波処理部21は、超音波振動する超音波ホーン31を備えた超音波処理機30と、該超音波ホーン31の先端部の振動印加面31tと対向する位置に配置されたアンビルロール40とを備えている。製造装置20においては、超音波ホーン31が、本発明に係るエネルギー付加部材である。
超音波処理部21は、処理対象物である第1シート11と第2シート12と弾性部材13との積層体14を、超音波ホーン31の振動印加面31tと、アンビルロール40の周面部40t(具体的には、後述する凸部対41,42,45の先端面)との間に挟んで超音波振動を印加することで、積層体14に融着部である第1融着部15a,15b(第1融着部対15)、第2融着部17a,17b(第2融着部対17)及び第3融着部16a,16b(第3融着部対16)を形成し、両シート11,12を接合する。
以下、アンビルロール40の軸長方向Y1を単に「軸長方向Y1」ともいう。
前記超音波発振器は、前記コンバーターと電気的に接続されており、該超音波発振器により発生された周波数15~50kHz程度の波長の高電圧の電気信号が、該コンバーターに入力される。
前記コンバーターは、ピエゾ圧電素子等の圧電素子を内蔵し、前記超音波発振器から入力された電気信号を、圧電素子により機械的振動に変換する。
前記ブースターは、前記コンバーターから発せられた機械的振動の振幅を調整、好ましくは増幅して超音波ホーン31に伝達する。
超音波ホーン31は、アルミ合金やチタン合金などの金属でできており、使用する周波数帯で正しく共振するように設計されている。超音波ホーン31の先端部の振動印加面31tは、処理対象物の一方の面(本実施形態では第2シート12)に当接する。
前記ブースターから超音波ホーン31に伝達された超音波振動は、超音波ホーン31の内部においても増幅、又は減衰されて、処理対象物に印加される。
超音波処理機30としては、市販の超音波ホーン、コンバーター、ブースター、超音波発振器を組み合わせて用いることができる。
複数の第2凸部対45は、それぞれ、軸長方向Y1(CD)に間隔を置いて配置された一対の第2凸部45a,45bと、両凸部45a,45b間に形成された誘導溝部46とを有する。
複数の第3凸部対42は、それぞれ、軸長方向Y1(CD)に間隔を置いて配置された一対の第3凸部42a,42bと、両凸部42a,42b間に形成された凹部44とを有する。
本実施形態の第1凸部対41及び第2凸部対45は、アンビルロール40の周方向R1において同一線上に交互に配されている。すなわち、本実施形態において固定溝部43及び誘導溝部46は、アンビルロール40の周方向R1に交互に形成されている。斯かる構成により、後述する弾性部材13の位置ずれをより抑制することができる。
これに代えて、前記周方向R1に沿って、複数の固定溝部43が隣り合って形成されていてもよく、複数の誘導溝部46が隣り合って形成されていてもよい。例えば、アンビルロール40の周方向R1に沿って、2個以上の固定溝部43と単数又は2個以上の誘導溝部46が並んで形成されていてもよい。
本実施形態におけるアンビルロール40は、その軸長方向Y1において、第1凸部対41と、第3凸部対42とが交互に並んで配されている。また、アンビルロール40の周方向R1に沿う第1凸部対41及び第2凸部対45とからなる列と、同周方向R1に沿う第3凸部対42からなる列とが、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に交互に配置されている。
なお図6では、説明の便宜上、第1シート11の記載を省いているが、伸縮性シート10の製造時には、図7(a)及び(b)に示すように、固定溝部43及び誘導溝部46それぞれに、弾性部材13に先立って第1シート11が導入されている。そのため、弾性部材13はアンビルロール40と非接触である。
固定溝部43及び誘導溝部46それぞれは、表面が開口した溝部となっており、該溝部に弾性部材13が挿入できるようになされている。これら溝部43,46に挿入された弾性部材13は、少なくともその一部がこれら溝部43,46内に存在していればよい。
本実施形態の固定溝部43は、前記断面視において略矩形状をなしている。本実施形態の固定溝部43は、軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅W1〔図7(a)参照〕と該軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅とが同じ長さとなっている。「軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅」は、溝部43,46の開口の軸長方向Y1に沿う長さである。「軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅」は、溝部43,46の底部の軸長方向Y1(CD)に沿う長さである。「開口」は、溝部43,46におけるアンビルロール40の中心から最も遠い位置の部分である。「底部」は、溝部43,46におけるアンビルロール40の中心から最も近い位置の部分である。以下、「軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅」を単に「開口幅」ともいい、「軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅」を単に「底部幅」ともいう。
固定溝部43の開口幅は、目的とする伸縮性シート10における第1融着部間隔D(図2参照)に概ね相当し、誘導溝部46の開口幅は、該伸縮性シート10における第2融着部間隔D3〔図3(b)参照〕に概ね相当する。
このようにアンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う方向において、誘導溝部46の開口幅W6〔図7(b)参照〕は、該誘導溝部46の底部幅(図示せず)よりも広い。
本実施形態の固定溝部43は、凸部対41の高さ方向Z1及び回転方向R(周方向R1)において、軸長方向Y1に沿う長さが同じであり、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置が、固定溝部43と重なっている。より具体的には、当該軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置と、固定溝部43の中心位置とが重なっている。
本実施形態のアンビルロール40は、固定溝部43及び誘導溝部46に弾性部材13を挿入しながら、該アンビルロール40に弾性部材13を導入することができる。この導入時、弾性部材13が、軸長方向Y1における誘導溝部46の中央位置からずれた状態で導入されたとしても〔図8(a)参照〕、該弾性部材13の位置を修正することができる。具体的には、誘導溝部46の開口幅W6は誘導溝部46の底部幅及び固定溝部43の開口幅W1それぞれよりも広く、且つ誘導溝部46の中心位置が、固定溝部43の最小幅部の幅内に位置しているので、弾性部材13を軸長方向Y1の中央側に誘導し易く、弾性部材13の位置を誘導溝部46の中央位置に修正することができる〔図8(b)及び(c)参照〕。斯かる効果を以下、「位置修正効果」ともいう。
このように、本実施形態の製造装置20は、アンビルロール40に導入された弾性部材13の位置が意図せずにずれることを抑制するので、位置ずれした弾性部材13を意図しない箇所で切断することを効果的に抑制できる。したがって、伸縮性シート10を安定して製造することができる。
上記と同様の観点から、第1凸部41a,41bの高さH1〔図7(a)参照〕は、第2凸部45a,45bの高さH2〔図7(b)参照〕に対して好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上であり、また好ましくは140%以下、より好ましくは130%以下であり、また好ましくは110%以上140%以下、より好ましくは120%以上130%以下である。
第2凸部45a,45bの高さH2〔図7(b)参照〕と第1凸部41a,41bの高さH1〔図7(a)参照〕との差は、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上であり、また好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.06mm以下であり、また好ましくは0.02mm以上0.08mm以下、より好ましくは0.04mm以上0.06mm以下である。
弾性部材13の位置修正効果と第1融着部におけるシート間の接合性とをより両立させる観点から、固定溝部43及び誘導溝部46の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
誘導溝部46の深さH4〔図7(b)参照〕は、固定溝部43の深さH3〔図7(a)参照〕に対して好ましくは130%以上、より好ましくは150%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下であり、また好ましくは130%以上300%以下、より好ましくは150%以上250%以下である。
溝部の深さは、凸部対の高さ方向Z1における凸部の頂部から該溝部の底部までの長さである〔図7(a)及び(b)参照〕。
固定溝部43の深さH3〔図7(a)参照〕は、弾性部材13の、アンビルロール40上に導入されるときの直径aに対して好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下であり、また好ましくは70%以上120%以下、より好ましくは80%以上110%以下である。
固定溝部43の深さH3〔図7(a)参照〕は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下であり、また好ましくは0.01mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.02mm以上0.8mm以下である。
誘導溝部46の深さH4〔図7(b)参照〕は、好ましくは0.015mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、また好ましくは0.015mm以上5.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
誘導溝部46の開口幅W6〔図7(b)参照〕は、上述した第2融着部間隔D3〔図3(b)参照〕と同じ範囲内であることが好ましい。
また、固定溝部43の開口幅W1〔図7(a)参照〕は、アンビルロール40上に導入される伸長状態の弾性部材13の幅方向長さすなわち直径aに対して、好ましくは1.0倍超2.0倍以下である。
誘導溝部46へ弾性部材13をより容易に収容する観点から、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う断面視において、誘導溝部46を形成する2つの傾斜面47,47からなる角度θ1〔図7(b)参照〕は、好ましくは15°以上、より好ましくは30°以上であり、また好ましくは150°以下、より好ましくは120°以下であり、また好ましくは15°以上150°以下、より好ましくは30°以上120°以下である。
誘導溝部46aの開口幅W6〔図9(a)参照〕は、該誘導溝部46aの底部幅W8〔図9(a)参照〕に対して好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上であり、また好ましくは500%以下、より好ましくは400%以下であり、また好ましくは110%以上500%以下、より好ましくは120%以上400%以下である。
誘導溝部46aの開口幅W6〔図9(a)参照〕は、固定溝部43の開口幅W1〔図7(a)参照〕に対して好ましくは150%以上、より好ましくは200%以上であり、また好ましくは500%以下、より好ましくは400%以下であり、また好ましくは150%以上500%以下、より好ましくは200%以上400%以下である。
図9(b)に示す誘導溝部46bは、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う断面視において、円弧状の形状を有している。このように誘導溝部46bは、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う断面視において、該溝部46の輪郭に曲線部分を有していてもよい。
また、図9(b)に示す誘導溝部46bは、底部48bが凹曲面となっている。
前述したように、超音波処理部21におけるアンビルロール40の周面には、複数の凸部対41,42,45が形成されているのに対し、エネルギー付加部材である超音波ホーン31においては、これら凸部対41,42,45に当接する部位を有する面が凹凸のない平坦面になっている(図10参照)。
導入工程は、第1シート11を、アンビルロール40上に導入し、弾性部材13を、固定溝部43内及び誘導溝部46内に挿入されるように、伸長状態で第1シート11上に導入する工程である。斯かる工程では、第1シート11とともに弾性部材13をアンビルロール40上に導入する。
具体的には、図5に示すように、原反11aから長尺帯状の第1シート11を連続的に繰り出してアンビルロール40の周面部40t上に導入するとともに、複数の巻回体13aそれぞれから長尺の弾性部材13を連続的に繰り出し、該周面部40t上の第1シート11上に配置する。弾性部材13を第1シート11上に配置した段階(例えば、図5中符号P1で示す位置)では、各弾性部材13は、伸長状態となっている。またこの段階において各弾性部材13は、図7(a)及び(b)に示すように、アンビルロール40の周面部40tに設けられた固定溝部43内及び誘導溝部46内それぞれに挿入された状態で搬送される。
弾性部材13をアンビルロール40に導入する際、該弾性部材13の伸長の程度は、伸縮性シート10の最大伸長状態における弾性部材13の伸長の程度よりも大きく、弾性部材13の直径は、固定溝部43の軸長方向Y1に沿う開口幅よりも小さい。これにより、前述した摩擦のみによって、伸縮性シート10の第1空間S1において弾性部材13を固定することができる。
融着部形成工程においては、導入工程でアンビルロール40上に導入された第1シート11及び弾性部材13に、さらに第2シート12を導入することで、伸縮性シート10の製造中間体である積層体14を形成する。
具体的には、図5に示すように、原反12aから長尺帯状の第2シート12を連続的に繰り出し、アンビルロール40の周面部40t上に導入する。これにより周面部40t上に、第1シート11と第2シート12との間に伸長状態の弾性部材13が配置された長尺の積層体14が形成される。次いで、積層体14は、アンビルロール40のR方向への回転によって、図5中符号P2で示す、超音波ホーン31による処理対象物の押圧位置(超音波処理位置)へ搬送されるとともに、該押圧位置における超音波ホーン31によって超音波振動が印加され、複数の融着部対15,16,17が形成される(図10参照)。
例えば図10に示すように、積層体14をアンビルロール40の第1凸部対41及び第2凸部対45の先端面と超音波ホーン31の振動印加面31tとの間に挟んで加圧しつつ、両シート11,12に超音波振動を印加する。これら第1凸部対41及び第3凸部対42を形成する第1凸部41a,41b及び第3凸部42a,42bの先端面と重なる部分が発熱して、第1シート11及び/又は第2シート12が溶融、再度固化することで、第1シート11及び第2シート12が融着し、これらシートを接合する第1融着部15a,15b及び第3融着部16a,16bが形成される。すなわち、第1融着部対15は、積層体14における第1凸部対41との接触部分に形成され、第3融着部対16は、積層体14における第3凸部対42との接触部分に形成される。
これと同様の方法により、積層体14をアンビルロール40の第2凸部対45の先端面と超音波ホーン31の振動印加面31tとの間に挟んで加圧しつつ、両シート11,12に超音波振動を印加することで、第2融着部対17が形成される。
前記弾性部材弛緩工程の実施前、すなわち長尺帯状の積層体14を切断する前の状態において、複数の弾性部材13は、それぞれ、図11(a)に示すように、伸長状態となっている。
弾性部材弛緩工程において積層体14を切断すると、弾性部材13の伸長状態が解除され、図11(b)に示すように、弾性部材13が弛緩し、弾性部材13の長さが短くなるとともに、弾性部材13の幅方向長さ(直径)が増加する。このように直径が大きくなった弾性部材13は、図2に示すとおり、2つの第1融着部15a,15bの間の間隔である第1融着部間隔Dを超える。それによって弾性部材13は2つの第1融着部15a,15bによって挟圧され、第1シート11及び第2シート12の摩擦によってのみ固定される。
このようにして、複数の枚葉の伸縮性シート10が得られる。
例えば、上述した実施形態のアンビルロール40をその軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置と、固定溝部43の中心位置とは重なっていたが、誘導溝部46の中心位置は、固定溝部43の最小幅部の幅内に位置している限り、固定溝部43の中心位置とは重なっていなくともよい。
11 第1シート
12 第2シート
13 弾性部材
15a,15b 第1融着部
16a,16b 第3融着部
17a,17b 第2融着部
19 凸部
20 製造装置
21 超音波処理部
30 超音波処理機
31 超音波ホーン
40 アンビルロール
41 第1凸部対
42 第3凸部対
43 固定溝部
44 凹部
45 第2凸部対
46 誘導溝部
Y1 アンビルロールの軸長方向
Z1 凸部対の高さ方向
Claims (8)
- 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置され且つ一方向に延びる弾性部材とを有し、該弾性部材の延びる方向に沿って伸縮性を有する伸縮性シートの製造方法であって、
第1シートを、第1凸部間に形成された固定溝部及び第2凸部間に形成された誘導溝部を有するアンビルロール上に導入し、弾性部材を、該固定溝部内及び該誘導溝部内に挿入されるように、伸長状態で第1シート上に導入する工程、及び
第2シートを、前記弾性部材上に導入し、第1シート及び第2シートを、該弾性部材の両側に位置する第1凸部とエネルギー付加部材との間、及び該弾性部材の両側に位置する第2凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させる工程を具備し、
前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向において、前記誘導溝部の開口幅が該誘導溝部の底部幅及び前記固定溝部の開口幅それぞれよりも広く、且つ該誘導溝部の中心位置が、該固定溝部の最小幅部の幅内に位置しており、
第1凸部の高さが第2凸部の高さよりも高い、伸縮性シートの製造方法。 - 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置され且つ一方向に延びる弾性部材とを有し、該弾性部材の延びる方向に沿って伸縮性を有する伸縮性シートの製造方法であって、
第1シートを、第1凸部間に形成された固定溝部及び第2凸部間に形成された誘導溝部を有するアンビルロール上に導入し、弾性部材を、該固定溝部内及び該誘導溝部内に挿入されるように、伸長状態で第1シート上に導入する工程、及び
第2シートを、前記弾性部材上に導入し、第1シート及び第2シートを、該弾性部材の両側に位置する第1凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させて第1融着部を形成するとともに、該弾性部材の両側に位置する第2凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させて第2融着部を形成する融着部形成工程を具備し、
前記融着部形成工程において、第1融着部の接合強度よりも第2融着部の接合強度が小さくなるように、これら融着部を形成し、
前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向において、前記誘導溝部の開口幅が該誘導溝部の底部幅及び前記固定溝部の開口幅それぞれよりも広く、且つ該誘導溝部の中心位置が、該固定溝部の最小幅部の幅内に位置する、伸縮性シートの製造方法。 - 前記アンビルロールは、該アンビルロールの軸長方向に隣り合う前記固定溝部間に、該軸長方向に並ぶ一対の第3凸部を有し、
前記融着部形成工程において、第1シート及び第2シートを、第3凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させて、接合強度が第1融着部の接合強度に対して50%以上95%以下となるように第3融着部を形成する、請求項2に記載の伸縮性シートの製造方法。 - 前記固定溝部及び前記誘導溝部が、前記アンビルロールの周方向に交互に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
- 前記誘導溝部の開口幅が、前記弾性部材の、前記アンビルロール上に導入されるときの幅の2倍以上である、請求項1~4の何れか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
- 前記誘導溝部の深さは、前記固定溝部の深さよりも深い、請求項1~5のいずれか1項に記載の伸縮性シートの製造方法。
- 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置され且つ一方向に延びる弾性部材とを有し、該弾性部材の延びる方向に沿って伸縮性を有する伸縮性シートであって、
第1シートと第2シートとは、前記弾性部材を挟んで該弾性部材の両側に位置し且つ該弾性部材の延びる方向に沿って間隔を置いて形成された第1融着部及び第2融着部によって接合されており、
第2融着部の接合強度は、第1融着部の接合強度よりも小さく、
前記弾性部材は、第1融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第1空間において、該弾性部材の表面と第1シート及び第2シートとの摩擦のみによって両シート間に固定されている一方、第2融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第2空間においては、両シート間に固定されていないか又は第1空間よりも弱く固定されている、伸縮性シート。 - 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置され且つ一方向に延びる弾性部材とを有し、該弾性部材の延びる方向に沿って伸縮性を有する伸縮性シートの製造装置であって、
第1凸部間に形成された固定溝部及び第2凸部間に形成された誘導溝部を有するアンビルロールを具備しており、
前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向において、前記誘導溝部の開口幅が該誘導溝部の底部幅及び前記固定溝部の開口幅それぞれよりも広く、且つ該誘導溝部の中心位置が、該固定溝部の最小幅部の幅内に位置しており、
第1凸部の高さが第2凸部の高さよりも高い、伸縮性シートの製造装置。
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