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JP7470500B2 - 包装体 - Google Patents

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JP7470500B2 JP2019181006A JP2019181006A JP7470500B2 JP 7470500 B2 JP7470500 B2 JP 7470500B2 JP 2019181006 A JP2019181006 A JP 2019181006A JP 2019181006 A JP2019181006 A JP 2019181006A JP 7470500 B2 JP7470500 B2 JP 7470500B2
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Description

本発明は、包装体、特に紙製品等の柔らかい製品を包装するのに好適な包装体に関する。
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー等のロール状製品や、ティッシュペーパー、ワイパー等の積層状製品を被包装物として収容する包装体が知られている。
ロール状製品を包装する包装体として、例えば、特許文献1には、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが開示されている。
一方、積層状製品を包装する包装体としては、坪量の高い板紙で作製された紙製カートンが一般的である。また、紙製カートンに替わる包装体として、例えば、特許文献2には、可撓性フィルムから形成された包装袋の上面の中央部にミシン目が設けられたフィルム包装体が開示されている。
しかしながら、上記のような紙製品等の柔らかい製品を被包装物とする新規な包装体に対する要求が存在していた。特に、近年の環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック(合成樹脂)の使用を削減することが望まれ、また、紙製の包装体でも、包装資材の減量化が望まれているが、紙製品等の柔らかい製品を被包装物とする場合、それらは達成が困難であった。
特開2004-269010号公報 特開2016-188092号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特に紙製品等の柔らかい製品を被包装物とする場合に好適な、新規な包装体を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、紙製品、例えばティッシュペーパーのような柔らかい製品を被包装物とし、包装基材として紙系素材を選択した場合、本来は柔らかい製品を包装しにくい紙系の包装基材であっても、包装基材のMD方向のISO耐折回数を特定の数値範囲にすることで、柔らかい製品を実用的に良好に包装することが可能となり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、1以上の被包装物を包装する包装体であって、少なくとも紙基材を含む包装基材を備え、上記包装基材のMD方向のISO耐折回数が200回以上1200回以下であることを特徴とする、包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の包装体であって、上記包装基材のMD方向の曲げこわさが20μN・m以上330μN・m以下であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の包装体であって、上記包装基材が、ヒートシール層をさらに備えることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(3)に記載の包装体であって、上記ヒートシール層が、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載の包装体であって、上記包装基材が、接着剤層をさらに備えることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載の包装体であって、上記包装基材の坪量に対する紙基材の坪量の割合が、51%以上100%以下であることを特徴とするものである。
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載の包装体であって、上記包装基材の坪量が、30g/m以上105g/m以下であることを特徴とするものである。
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載の包装体であって、上記被包装物が、薄葉紙であることを特徴とするものである。
(9)本発明の第9の態様は、(8)に記載の包装体であって、上記薄葉紙が、積層状又はロール状薄葉紙であることを特徴とするものである。
(10)本発明の第10の態様は、(1)から(9)のいずれかに記載の包装体であって、上記包装体が、キャラメル包装であることを特徴とするものである。
本発明によれば、特に紙製品等の柔らかい製品を被包装物とする場合に好適な、新規な包装体を提供することができる。
図1は、本発明の包装体の製造過程の一例を示す概略平面図である。 図2は、本発明の包装体の製造過程の別の例を示す概略平面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
1.包装体
本発明の包装体は、1以上の被包装物を包装する包装体であって、少なくとも紙基材を含む包装基材を備えている。
本発明の包装体は、被包装物を取り出す取り出し口を備えることが好ましい。また、この取り出し口は、包装基材にミシン目等の切り取り線を形成し、使用時において、当該切り取り線を切り取って開口可能にするように設けることが好ましい。
2.包装基材
(1)紙基材
包装基材は、少なくとも紙基材を有している。紙基材には、包装体として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。また、紙基材は、防水性の確保のために、オーバーコートが施されたオーバーコート紙であってもよい。
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。
本発明の包装体の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ50~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~50重量%であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ70~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~30重量%であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ90~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~100重量%であることがさらに好ましい。また、未晒パルプであることが好ましい。
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。本包装体においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることがさらに好ましい。
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られ難くなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得難いものとなり、水に濡れた時に破れやすく包装体としての機能が劣る場合がある。
本発明の包装体において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材の紙基材を得ることができる。
包装基材の紙基材の坪量は、25g/m以上85g/m以下であることが好ましく、32g/m以上70g/m以下であることがより好ましく、40g/m以上55g/m以下であることがさらに好ましい。紙基材の坪量が上記範囲にあることで、紙基材の使用量を抑制しつつ、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてが達成しやすくなる。
紙基材の坪量は、例えば、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノヅカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノヅカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量を算出する。
紙基材の坪量=
包装基材の質量×[(包装基材の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材の質量]
(2)ヒートシール層
本発明の包装体において、包装基材は、通常、ヒートシール層を備えることが好ましい。ヒートシール層は、紙基材の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面においてヒートシール層を形成する位置、大きさ、及びヒートシール層が占める割合は適宜設定することができる。
ヒートシール層を構成する材料としては特に限定されず、各種ヒートシール性を発現する材料のいずれも使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、あるいは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を使用することができる。ヒートシール層を構成する材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒートシール層は、通常用いられる方法、例えば、紙基材上に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法、公知のヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材に熱可塑性樹脂からなる、又は熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を水に溶解、又は分散させた水系ヒートシール剤、あるいは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解、又は分散させた溶剤系ヒートシール剤をロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で紙基材上に塗工する方法等で形成することができる。
ヒートシール層の坪量は、50g/m以下であることが好ましく、5g/m以上35g/m以下であることがより好ましく、10g/m以上20g/m以下であることがさらに好ましい。ヒートシール層の坪量が上記範囲にあることで、必要とされる包装基材のMD方向のISO耐折回数を達成でき、また、包装体としての密封性とヒートシール強度を容易に確保しやすい傾向がある。
また、上記のように、本発明の包装体は、被包装物を取り出す取り出し口を備えることが好ましく、取り出し口をミシン目等の切り取り線を形成し、当該切り取り線を切り取って開口可能にすることが好ましい。取り出し口は、開けやすく、裂けにくいことが求められるが、柔らかい被包装物を包装している包装体は、取り出し口を開ける際に、力の入れ方によって開けにくかったり、取り出し口が裂けてしまったりする場合がある。ヒートシール層の坪量を3g/m以上50g/m以下、好ましくは5g/m以上35g/m以下、さらに好ましくは10g/m以上20g/m以下の範囲にすることで、取り出し口を開ける際の開けやすさと、裂けにくさを両立することもできる。
ヒートシール層の坪量は、例えば、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノヅカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノヅカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、ヒートシール層の坪量を算出する。
ヒートシール層の坪量=
包装基材の質量×(ヒートシール層の質量/包装基材の質量)
(3)接着剤層
本発明の包装体において、包装基材は、ヒートシール層に代えて、あるいは、ヒートシール層に加えて、接着剤層を備えることもできる。本発明の包装基材は、例えば、紙基材/接着剤層、紙基材/ヒートシール層/接着剤層、紙基材/接着剤層/ヒートシール層等のような層構成を取ることができる。接着剤層も、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面において接着剤層を形成する位置、大きさ、及び接着剤層が占める割合は適宜設定することができる。
接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されず、公知のものいずれも使用することができ、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を使用することができる。これらの中でも、ホットメルト接着剤として使用できる、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体等のエチレン系接着剤が好ましい。
接着剤層は、接着剤を、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層等に、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で塗工することにより形成することができる。
接着剤層の坪量(接着剤の乾燥塗布量)は、通常、2g/m以上30g/m以下が好ましく、3g/m以上25g/m以下がより好ましく、5g/m以上20g/m以下がさらに好ましい。
(4)他の層
本発明の包装基材は、紙基材、ヒートシール層及び/又は接着剤層以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材とヒートシール層又は接着剤層との間、あるいは包装基材の最上面に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
(5)包装基材全体の物性、形状、その他
本発明の包装体においては、包装基材のMD方向のISO耐折回数は、200回以上1200回以下である。このような紙基材を含み、特定のMD方向のISO耐折回数を有する包装基材に用いた包装体は従来にはなく、この特定の包装基材を用いることで、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてを達成でき、その結果として、紙製品等の柔らかい製品(被包装物)を実用的に良好に包装することが可能になった。
なお、例えば、ティッシュペーパー積層体を包装する際、ティッシュペーパー積層体の密度は、0.04g/cm以上0.30g/cm以下が好ましく、0.07g/cm以上0.25g/cm以下がより好ましく、0.10g/cm以上0.20g/cm以下が更に好ましい。この範囲において、本願の包装基材を用いてティッシュペーパー積層体を包装する際、包装しやすくなる。なお、ティッシュペーパー積層体の密度は次のように測定する。まず、ティッシュペーパー積層体を包装体から採取し、ティッシュペーパー積層体の質量を23℃50%で調湿後に電子天秤で測定する。その後、ティッシュペーパー積層体のサイズ(幅、奥行、高さ)を定規で測定し、次の式により、密度を算出する。ティッシュペーパー積層体の密度(g/cm)=ティッシュペーパー積層体の質量(g)/(ティッシュペーパー積層体の幅(cm)×ティッシュペーパー積層体の奥行(cm)×ティッシュペーパー積層体の高さ(cm))
包装基材のMD方向のISO耐折回数は、350回以上900回以下であることがより好ましく、450回以上700回以下であることがさらに好ましい。包装基材のISO耐折回数は、JIS P 8115の耐折強さ試験方法に準拠して測定し、ISO耐折回数として算出することができる。なお、耐折強さを測定する際、9.8Nの荷重をかけるが、ヒートシール層を有する包装基材の場合、紙基材が破断してもヒートシール層が破断せず、測定が継続される場合がある。従って、9.8Nの荷重が8.0N未満になった時点で測定を終了し、この値を耐折回数とする。
本発明の包装体においては、さらに、包装基材のMD方向の引張強度は、2kN/m以上7.5kN/m以下であることが好ましく、2.5kN/m以上6.5kN/m以下であることがより好ましく、3.5kN/m以上5.5kN/m以下であることがさらに好ましい。包装基材の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
包装基材のMD方向の破断伸びは、0.8%以上2.4%以下であることが好ましく、1%以上2.1%以下であることがより好ましく、1.2%以上1.8%以下であることがさらに好ましい。包装基材の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
包装基材のMD方向の引裂強度は、300mN以上1600mN以下であることが好ましく、450mN以上1200mN以下であることがより好ましく、600mN以上900mN以下であることがさらに好ましい。包装基材の引裂強度は、JIS P 8116に準拠して測定することができる。
包装基材の破裂強度は、90kPa以上300kPa以下であることが好ましく、120kPa以上260kPa以下であることがより好ましく、150kPa以上220kPa以下であることがさらに好ましい。包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
包装基材のMD方向の曲げこわさは、20μN・m以上330μN・m以下であることが好ましく、30μN・m以上225μN・m以下がより好ましく、60μN・m以上170μN・m以下であることがさらに好ましい。包装基材の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができる。MD方向の曲げこわさが上記範囲にあることで、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさが達成しやすくなり、紙製品等の柔らかい製品(被包装物)をより良好に包装しやすくなる。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さくなる傾向がある。
本発明の包装基材の厚さは、40μm以上135μm以下であることが好ましく、48μm以上110μm以下であることがより好ましく、70μm以上90μm以下であることがさらに好ましい。包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。
包装基材の密度は、0.6g/cm以上0.95g/cm以下であることが好ましく、0.65g/cm以上0.9g/cm以下であることがより好ましく、0.7g/cm以上0.85g/cm以下であることがさらに好ましい。包装基材の密度が上記範囲にあることで、必要とされる包装基材の強度、しなやかさと柔らかさが達成しやすく、また、透気性を保ちやすい。包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができる。
また、柔らかい被包装物を包装する際、被包装物の形状の包装基材のMD方向に沿った方向の長さ/高さの比率を、好ましくは0.5以上5以下、より好ましくは1以上4以下、さらに好ましくは1.5以上3以下の範囲にすることで、被包装物をより良好に包装しやすくなる場合がある。
包装基材の坪量(例えば、紙基材とヒートシール層及び/又は接着剤層との合計坪量)に対する紙基材の坪量の割合は、51%以上100%以下であればよいが、通常、60%以上95%以下であることがより好ましく、70%以上90%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、柔らかい被包装物に対する包装のしやすさを確保でき、さらに、良好なヒートシール性又は接着性も確保できる。
包装基材の坪量(例えば、紙基材とヒートシール層及び/又は接着剤層との合計坪量)は、30g/m以上105g/m以下であることが好ましく、37g/m以上90g/m以下であることがより好ましく、50g/m以上75g/m以下であることがさらに好ましい。包装基材の坪量が上記範囲にあることで、必要とされる包装基材のしなやかさと柔らかさ、強度のすべてが達成しやすくなる。また、耐折回数を上記の範囲に調整しやすくなる。
ここで、前述のとおり、本発明の包装体において、包装基材は、例えば、紙基材の表面の一部にのみヒートシール層及び/又は接着剤層が形成されていてもよく、層構造が包装基材の全面にわたって同じでなくてもよい。その場合、包装基材の各物性値、及び、紙基材の坪量、ヒートシール層の坪量等は、全体の平均値をとる。
3.被包装物
本発明の包装体は、紙製品、特に薄葉紙のような柔らかい製品を包装するのに好適に適用できる。薄葉紙としては、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー等のロール状薄葉紙、ティッシュペーパー、ワイパー、ウエットティッシュ、ペーパーハンドタオル等の積層状薄葉紙が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、積層状薄葉紙を包装する場合に、本発明の包装体は、特に好適に適用することができる。
4.包装形式
本発明に係る包装体の包装形式としては、キャラメル包装、ピロー包装、ガゼット包装が例示できる。
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と交差する方向に被包装物を巻き込み、又は予め筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装体を入れる。そして、被包装体の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止した包装形式である。キャラメル包装は、2~4個程度のロール状薄葉紙の包装や、積層状薄葉紙の包装に好ましい。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
ピロー包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分を横一文字にヒートシール等で封止すると共に、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このピロー包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
ガゼット包装とは、シート状の包装基材の上あるいは下に載置された被包装物を、筒状に包むように、包装基材をその幅方向の両端部において内面同士で重ね合わせ、この重ね合わせた部分をヒートシール等することにより円筒状に形成し、袋の長さ(高さ)に合わせて底となる部分、又は口となる部分を織り込んで横一文字にヒートシール等で封止すると共に、この封止された部分において一袋ごとにカットした包装形式である。このガセット包装は、既知の装置を利用して行うことができる。
図1は、本発明の包装体1の製造過程の一例を示す概略平面図である。図1に示すように、まず、包装基材1aを連続シートの形態で搬送方向上流から搬送する。包装基材1a上に被包装物1bが配置され、折り畳み・封止切断装置30の位置を通過する際に、同装置30によって、被包装物1bの上下が包装基材1aで覆われるように、包装基材1aの搬送方向(MD方向)の先端部を、被包装物1bを越えて戻して、包装基材1aに重ね合わせ、折り畳まれる。次に、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)に沿って、包装基材1aが重ね合わせられた両端部分をヒートシール等で封止し、搬送方向(MD方向)に沿って、包装基材1aが重ね合わせられた部分をヒートシール等で封止すると共に、切断して包装体1を形成する。封止と切断は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。上記のキャラメル包装は、この形式に相当する。
図2は、本発明の包装体1の製造過程の別の例を示す概略平面図である。図2に示すように、まず、包装基材1aを連続シートの形態で搬送方向上流から搬送する。包装基材1a上に被包装物1bが配置され、折り畳み装置10の位置を通過する際に、同装置10によって、包装基材1aは、搬送方向(MD方向)と直交する幅方向(CD方向)から折り畳まれる。次に、封止切断装置20の位置を通過する際に、搬送方向(MD方向)に沿って、包装基材1aが重ね合わせられた両端部分をヒートシール等で封止し、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)に沿って、包装基材1aを重ね合わせて、その包装基材1aが重ね合わせられた部分をヒートシール等で封止すると共に、切断して包装体1を形成する。封止と切断は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。上記のガセット包装、及びピロー包装は、この形式に相当する。
本発明の包装体は、特定のMD方向のISO耐折回数を有する包装基材を用いるが、例えば、包装基材を連続シートの形態で搬送し、被包装物を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)から被包装物を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向が包装基材のMD方向である場合に、特に好適に適用される。
本発明の包装体においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量(紙基材とヒートシール層の合計坪量)は、JIS P 8124に準拠して測定した。
(紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量)
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製した。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とした。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノヅカp1500(ヤクルト社製)を添加量が1重量%となるように添加した。
セルラーゼオノヅカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をした。180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定した。包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量と、ヒートシール層の坪量を算出した。
紙基材の坪量=
包装基材の質量×[(包装基材の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材の質量]
ヒートシール層の坪量=
包装基材の質量×(ヒートシール層の質量/包装基材の質量)
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
(包装基材のMD方向の引張強度)
包装基材のMD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
(包装基材のMD方向の破断伸び)
包装基材のMD方向の破断伸びは、JIS P 8113に準拠して測定した。
(包装基材のMD方向の引裂強度)
包装基材のMD方向の引裂強度は、JIS P 8116に準拠して測定した。
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。
(包装基材のMD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、取り出し口のミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでも良い。
(包装基材のMD方向のISO耐折回数)
包装基材のMD方向のISO耐折回数は、JIS P 8115の耐折強さ試験方法に準拠して測定・算出した。
(実施例1)
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%を用いた紙基材を用意した。そして、ポリエチレンを用い、紙基材上に、ヒートシール層として、ポリエチレン層を押出法によって製膜し、包装基材を作製した。作製した包装基材の坪量、紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量と、包装基材の厚さ、密度、MD方向の引張強度、MD方向の破断伸び、MD方向の引裂強度、破裂強度、MD方向の曲げこわさ、及びMD方向のISO耐折回数を測定した結果を表1に示す。
(ティシューペーパー包装体)
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向12cm×包装基材のCD方向16cm×高さ4cmの大きさの包装体を作製した。そして、この包装体の中に、被包装物としてティッシュペーパー2plyを50組入れ、キャラメル包装により密封して、ティッシュペーパー包装体を得た。
(包装しやすさの評価)
ティッシュペーパー包装体を作製する際の本包装体の包装しやすさ(生産性)を評価した。評価基準は以下のとおりである。下記の評価項目の評価基準のA~Cを好ましいレベルとし、D及びEを許容し難いレベルとした。
A:非常に包装しやすく、生産性が非常に優れたものであった。
B:包装しやすく、生産性に優れていた。
C:わずかに生産性の低下がみられたが、気にならない程度であった。
D:生産性が大きく低下した。
E:実操業への応用が困難な生産性であった。
評価結果を表1に示す。
(実施例2)~(実施例10)及び(比較例1)~(比較例3)
実施例1と同様にして、表1に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にして、ティッシュペーパー包装体を作製して、その包装しやすさ(生産性)を評価した。ただし、実施例2においては、紙基材上にヒートシール層としてポリエチレン層を設ける代わりに、スチレンアクリル系接着剤層(接着剤塗布量:10g/m)を設けた。
Figure 0007470500000001
表1に示される結果から明らかなとおり、包装基材のMD方向のISO耐折回数が200回以上1200回以下である実施例1~10の包装体は、柔らかい被包装物(ティッシュペーパー)に対する包装しやすさに優れていた。
1 包装体
1a 包装基材
1b 被包装物
10 折り畳み装置
20 封止切断装置
30 折り畳み・封止切断装置

Claims (3)

  1. 1以上の被包装物を包装する包装体であって、
    少なくともパルプ繊維の含有割合が70重量%以上100重量%以下である紙基材を含む包装基材を備え、
    前記包装基材が接着剤層をさらに備え、
    前記接着剤層の坪量が2g/m以上30g/m以下であり、
    前記紙基材の坪量が25g/m以上85g/m以下であり、
    前記包装基材のMD方向のISO耐折回数が200回以上1200回以下であり、
    前記包装基材のMD方向の曲げこわさが20μN・m以上330μN・m以下であり、
    前記包装基材のMD方向に沿った方向の、長さ/高さの比率が1.5以上3以下であり、
    前記被包装物が積層状薄葉紙であることを特徴とする包装体。
  2. 前記包装基材の坪量が、30g/m以上105g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
  3. 前記包装体が、キャラメル包装、ガセット包装、又はピロー包装であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装体。
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