JP7328290B2 - 鞍乗り型車両 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両において、フロントサイドカウルに沿って流れる走行風の流速差を低減し、空力特性を向上することを目的とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
リアフレーム20は、メインフレーム31の後部から後方に延びる左右一対のシートフレーム35と、ピボットフレーム32から後上方に延びてシートフレーム35に接続される左右一対のサブフレーム36とを備える。
燃料タンク29は、メインフレーム31の上方において、ヘッドパイプ18とシート17との間に配置される。
前方を照らすヘッドライト37は、ヘッドパイプ18の前方に配置される。
図1~図3を参照し、ヘッドライト37は、ハンドル21の前方において鞍乗り型車両10の車幅の中央に配置される。ヘッドライト37は、フロントフェンダー26の上方に配置される。
ヘッドライト37は、光源及びリフレクター等を収納するケース状のハウジング37a(図2)と、ハウジング37aの前面の開口を塞ぐレンズ37bとを備える。上記光源の発光は、レンズ37bを透過して前方に照射される。
板状のウインドスクリーン45は、ヘッドライト37の上端部から後上方に延び、メーター43を上方から覆う。
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18に挿通される上記ステアリング軸を中心に左右に操舵される。車軸13aは、フォークチューブ14aの下端部に支持される。
フロントカウル41は、ヘッドライトカウル40の左右の側部を前方から覆う。
フロントサイドカウル42は、車両側面視で、パワーユニット12の前上方、且つ、ハンドル21の下方に配置される。また、フロントサイドカウル42は、車両側面視で、燃料タンク29の前方、且つ、前輪13の後上方に配置される。
フロントサイドカウル42は、ヘッドライト37、フロントカウル41、メーター保持部材44の下部、ヘッドパイプ18、フロントフレーム19の前端部、及びフロントフォーク14の上部を車幅方向外側から覆う板状のカバーである。
フロントサイドカウル42の前端部は、ヘッドライト37及びフロントカウル41を車幅方向外側から覆う。
フロントサイドカウル42は、それぞれ個別に形成される第1サイドカウル51及び第2サイドカウル52を接続することで設けられる。
第1サイドカウル51は、ヘッドライト37、ヘッドライトカウル40、フロントカウル41、メーター保持部材44の下部、ヘッドパイプ18、フロントフレーム19の前端部、及びフロントフォーク14の上部を車幅方向外側から覆う。
第2サイドカウル52は、第1サイドカウル51の後方でフロントフレーム19等を車幅方向外側から覆う。
タンクカバー47及びカバー48は、車体において第2サイドカウル52とシート17との間の部分を覆う。
図1~図5を参照し、フロントサイドカウル42の第1サイドカウル51は、ヘッドライト37と同じ高さ位置に配置されるカウル上部51aと、ヘッドライト37に対し下方に配置されるカウル下部51bとを備える。
カウル上部51aは、第1サイドカウル51の前端部から後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。また、カウル上部51aは、車両正面視で、下方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
カウル下部51bは、車両正面視で、下方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜している。また、カウル下部51bは、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
カウル下部51bは、車体を車幅方向外側から覆うカウル側面部60と、カウル側面部60の前方に位置するカウル前面部61と、カウル下部51bの前部で上下に延びる稜線部62とを備える。
稜線部62は、カウル側面部60の前縁部である。稜線部62は、車両側面視では、鉛直方向に対し前傾している。稜線部62は、フロントサイドカウル42の前部で上下に延びる。
カウル前面部61は、カウル下部51bの上下の長さの略全体に亘って形成される。カウル前面部61は、車両側面視では、鉛直方向に対し前傾している。
カウル前面部61の前縁61aは、稜線部62に対し前方且つ車幅方向内側に位置する。前縁61aは、車両側面視で、稜線部62に沿うように前傾している。
車両正面視で、稜線部62からカウル前面部61の前縁61aまでの長さDは、カウル前面部61の上端から下方に向かうに従って徐々に短くなる。
すなわち、車両正面視におけるカウル前面部61の車幅方向の幅は、下方に向かうに従って小さくなる。
カウル前面部61の長さDは、左右の第1サイドカウル51間の距離Gが小さくなるに従って短くなる。
図6~図9には、稜線部62から車幅方向内側に延びる仮想の直線Lとカウル前面部61とが成す角度Aがそれぞれ図示される。直線Lは、車両前後方向に直交する直線である。
すなわち、角度Aは、車幅方向に延びる直線Lに対するカウル前面部61の角度である。
図6~図9を参照し、角度Aは、カウル前面部61の上端から下方に向かうに従って徐々に小さくなる。すなわち、車幅方向に延びる直線Lに対するカウル前面部61の傾斜は、下方に向かうに従って小さくなり、カウル前面部61は下方に向かうに従って直線Lに近づいて行く。
第1サイドカウル51のカウル下部51bの後部は、車両外側方に露出する外側カウル面66を構成する。外側カウル面66は、カウル側面部60の後部である。
第2サイドカウル52の前部には、第2サイドカウル52の後部から屈曲して前方且つ車幅方向内側に延びる内側カウル面67が設けられる。内側カウル面67は、外側カウル面66の後方、且つ、外側カウル面66に対し車幅方向内側に配置される。
内側カウル面67の前縁部67aは、外側カウル面66の後縁部66aに対し車幅方向内側に入り込む。外側カウル面66の後縁部66aは、内側カウル面67の前縁部67aを車幅方向外側から覆う。
図5、図8及び図9を参照し、開口部65は、カウル前面部61の下部の後方では、壁部68によって閉じられている。壁部68は、後縁部66aと前縁部67aとの間で車幅方向に延びる板状の壁である。
詳細には、壁部68は、後縁部66aから車幅方向内側に延びて前縁部67aに当接し、開口部65の下部を閉じる。
開口部65及び壁部68は、後縁部66aによって車幅方向外側から覆われており、車両側面視では隠れる。
鞍乗り型車両10の走行風Wは、フロントサイドカウル42に沿って車両前方から車両後方に流れる。
図4を参照し、フロントサイドカウル42は、下方に向かうに従って距離Gが小さくなるため、フロントサイドカウル42の外側面に沿って後方に流れる走行風Wは、フロントサイドカウル42の上部側よりも下部側で速くなり易い。
カウル前面部61の角度A(図6~図9参照)は、下方に向かうに従って小さくなる。すなわち、カウル前面部61は、下方に向かうに従って、前方からカウル前面部61に向けて流れる走行風Wに対し直角に近くなっていく。これにより、カウル前面部61の前面に当たる走行風Wは、カウル前面部61の上部側よりも下部側で減速され易い。このため、フロントサイドカウル42の上部側と下部側とで走行風Wの流速差を低減できる。
開口部65は、カウル前面部61の下部の後方では、壁部68によって閉じられている。これにより、開口部65から排出される走行風Wは、カウル側面部60の上部に沿って後方に流れる走行風に合流し、カウル側面部60の下部に沿って後方に流れる走行風Wには合流しない。このため、フロントサイドカウル42の下部側の走行風Wの流速が、開口部65から排出される走行風Wによって増速されることが抑制され、フロントサイドカウル42の上部側と下部側とで走行風Wの流速差を低減できる。
この構成によれば、カウル前面部61は、下方に向かうに従って、前方から後方に流れる走行風Wに対し直角に近くなっていく。これにより、カウル前面部61の下部側の流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できるため、鞍乗り型車両10の空力特性を向上できる。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウル42の外側面間の距離Gが小さく、走行風Wの流速が速くなり易い部分の流速をカウル前面部61の角度を利用して小さくでき、流速差による空気抵抗を低減できる。
この構成によれば、稜線部62からカウル前面部61の前縁61aまでの長さDが、下方に向かうに従って短くなるため、フロントサイドカウル42のデザインがシャープに見え、鞍乗り型車両10の外観性が良い。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウル42の外側面間の距離Gが小さくなるに従って、長さDが小さくなるため、フロントサイドカウル42のデザインがシャープに見え、鞍乗り型車両10の外観性が良い。
この構成によれば、フロントサイドカウル42の内側を流れる走行風Wは、カウル前面部61の上部の後方では開口部65から排出され、フロントサイドカウル42の外側面に沿う走行風Wに合流する。また、フロントサイドカウル42の内側を流れる走行風Wは、カウル前面部61の下部の後方では開口部65から排出されず、フロントサイドカウル42の外側面に沿う走行風Wに合流しない。このため、カウル前面部61の下部の後方の走行風Wの流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できる。
この構成によれば、外側カウル面66の後縁部66aと内側カウル面67の前縁部67aとの間で車幅方向に延びる壁部68によって開口部65を狭くでき、簡単な構造で走行風Wの流速を調整できる。
この構成によれば、車両側面視で開口部65及び壁部68を外側カウル面66の後縁部66aによって隠すことができ、鞍乗り型車両10の外観性が良い。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウル42の外側面間の距離Gが小さく、走行風Wの流速が速くなり易い部分の流速を、カウル前面部61の形状を利用して小さくでき、流速差による空気抵抗を低減できる。
上記実施の形態では、オフロードタイプの鞍乗り型車両10を例に挙げて説明したが、本発明は、例えばスーパースポーツタイプの鞍乗り型車両のフロントサイドカウルにも適用可能である。
また、上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の鞍乗り型車両、及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
以下、図10を参照して、上記実施の形態の変形例について説明する。この変形例において、上記実施の形態(第1の実施の形態)と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本変形例は、壁部68に替えて壁部268が設けられる点が、上記実施の形態と異なる。
本変形例では、壁部68に替えて壁部268が設けられる。壁部268は、後縁部66aから車幅方向内側に延びて前縁部67aの近傍まで延びる。
壁部268の車幅方向内側の端268aと前縁部67aとの間は、開口部65である。
図10に示される開口部65の下部の車幅方向の幅は、図6及び図7に示される開口部65の上部の車幅方向の幅よりも小さい。
図10の開口部65から排出される走行風Wは、カウル側面部60の下部に沿って後方に流れる走行風Wに合流する。
この構成によれば、フロントサイドカウル42の内側を流れる走行風Wは、開口部65から排出され、フロントサイドカウル42の外側面に沿う走行風Wに合流する。この際、合流する走行風Wの量は、開口部65の上部よりも開口部65の下部で小さくなる。このため、開口部65の下部の後方の走行風Wの流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できる。
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
この構成によれば、カウル前面部は、下方に向かうに従って、前方から後方に流れる走行風に対し直角に近くなっていく。これにより、カウル前面部の下部側の流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できるため、鞍乗り型車両の空力特性を向上できる。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウルの外側面間の距離が小さく、走行風の流速が速くなり易い部分の流速をカウル前面部の角度を利用して小さくでき、流速差による空気抵抗を低減できる。
この構成によれば、稜線部からカウル前面部の前縁までの長さが、下方に向かうに従って短くなるため、フロントサイドカウルのデザインがシャープに見え、鞍乗り型車両の外観性が良い。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウルの外側面間の距離が小さくなるに従って、稜線部からカウル前面部の前縁までの長さが小さくなるため、フロントサイドカウルのデザインがシャープに見え、鞍乗り型車両の外観性が良い。
この構成によれば、フロントサイドカウルの内側を流れる走行風は、カウル前面部の下部の後方では開口部から排出されず、フロントサイドカウルの外側面に沿う走行風に合流しない。このため、カウル前面部の下部の後方の走行風の流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できる。
この構成によれば、フロントサイドカウルの内側を流れる走行風は、開口部から排出され、フロントサイドカウルの外側面に沿う走行風に合流する。この際、合流する走行風の量は、開口部の上部よりも開口部の下部で小さくなる。このため、開口部の下部の後方の走行風の流速を低減でき、流速差による空気抵抗を低減できる。
この構成によれば、外側カウル面の後縁部と内側カウル面の前縁部との間で車幅方向に延びる壁部によって開口部を狭くでき、簡単な構造で走行風の流速を調整できる。
この構成によれば、車両側面視で開口部及び壁部を外側カウル面の後縁部によって隠すことができ、鞍乗り型車両の外観性が良い。
この構成によれば、左右のフロントサイドカウルの外側面間の距離が小さく、走行風の流速が速くなり易い部分の流速を、カウル前面部の形状を利用して小さくでき、流速差による空気抵抗を低減できる。
13 前輪
42 フロントサイドカウル
61 カウル前面部
61a 前縁
62 稜線部
65 開口部
66 外側カウル面
66a 後縁部
67 内側カウル面
67a 前縁部
68,268 壁部
A 角度
D 長さ
G 距離
L 仮想の直線
Claims (9)
- 前輪(13)の後方で車体の前部を車幅方向外側から覆う左右一対のフロントサイドカウル(42)を備え、前記フロントサイドカウル(42)が、前記フロントサイドカウル(42)の前部で上下に延びる稜線部(62)と、前記稜線部(62)を境に屈曲して車幅方向内側且つ前方に延びるカウル前面部(61)とを備える鞍乗り型車両において、
前記カウル前面部(61)を水平面で切断した断面視において、前記稜線部(62)から車幅方向内側に延びる仮想の直線(L)と前記カウル前面部(61)とが成す角度(A)は、下方に向かうに従って小さくなることを特徴とする鞍乗り型車両。 - 前記角度(A)は、車両正面視における左右の前記フロントサイドカウル(42)の外側面間の距離(G)が小さくなるに従って小さくなることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
- 前記稜線部(62)から前記カウル前面部(61)の前縁(61a)までの長さ(D)は、下方に向かうに従って短くなることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
- 前記長さ(D)は、車両正面視における左右の前記フロントサイドカウル(42)の外側面間の距離(G)が小さくなるに従って短くなることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。
- 前記フロントサイドカウル(42)は、前記フロントサイドカウル(42)の内側を流れる走行風を排出する開口部(65)を前記カウル前面部(61)の後方に備え、
前記開口部(65)は、前記カウル前面部(61)の上部の後方では開口し、前記カウル前面部(61)の下部の後方では閉じていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。 - 前記フロントサイドカウル(42)は、前記フロントサイドカウル(42)の内側を流れる走行風を排出する開口部(65)を前記カウル前面部(61)の後方に備え、
前記開口部(65)の下部の幅は、前記開口部(65)の上部の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。 - 前記フロントサイドカウル(42)は、外側カウル面(66)と、前記外側カウル面(66)に対し車幅方向内側に配置される内側カウル面(67)とを備え、
前記開口部(65)は、前記外側カウル面(66)の後縁部(66a)と前記内側カウル面(67)の前縁部(67a)とによって区画されて車幅方向に広がる開口であり、
前記開口部(65)の下部には、前記前縁部(67a)と前記後縁部(66a)との間で車幅方向に延びる壁部(68,268)が設けられることを特徴とする請求項5または6記載の鞍乗り型車両。 - 車両側面視で、前記後縁部(66a)は前記前縁部(67a)を車幅方向外側から覆うことを特徴とする請求項7記載の鞍乗り型車両。
- 車両正面視における左右の前記フロントサイドカウル(42)の外側面間の距離(G)は、下方に向かうに従って小さくなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
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