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JP7217173B2 - 蓄電モジュール - Google Patents

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Description

本開示は、蓄電モジュールに関する。
従来の蓄電モジュールとして、金属板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池がある(特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる積層体を備えている。積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられており、バイポーラ電極間に形成された内部空間に電解液が収容されている。
特開2011-204386号公報
封止体は、例えばバイポーラ電極を構成する金属板それぞれの縁部に結合された樹脂部を有している。金属板と樹脂部との結合強度を高めるため、鋼板などで形成された金属板の表面に微細な突起状のめっきを形成することが考えられる。微細な突起を形成しためっき鋼板を用いることで、突起によるアンカー効果が生じ、金属板と樹脂部との結合強度の向上が図られる。
鋼板にめっきを施す工程では、めっきの形成後にめっき鋼板を酸で洗浄する工程が含まれる。このため、洗浄後のめっき鋼板に酸が残存し、かつめっき鋼板に欠陥(めっきが形成されていない部分)が存在していると、鋼板に錆が生じることがある。錆が生じた鋼板が大気に触れると、錆が進行し、金属板の耐圧強度の減少や電解液の漏液といった不具合の要因となるおそれがある。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、金属板での錆の発生及び進行を抑制できる蓄電モジュールを提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る蓄電モジュールは、複数のバイポーラ電極を含む電極を構成する金属板が積層されてなる電極積層体と、電極積層体において積層方向に隣り合う電極間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止する封止体と、を備え、金属板は、鋼板と、鋼板の表面に設けられた下地めっき層と、下地めっき層の表面に設けられた複数の突起状めっきと、を有するめっき鋼板であり、電極積層体において最外層に位置する金属板の下地めっき層の厚さは、中間層に位置する金属板の下地めっき層の厚さよりも大きくなっている。
この蓄電モジュールでは、電極積層体において最外層に位置する金属板の下地めっき層の厚さが十分に確保される。鋼板にめっきを形成する際、例えばガスなどによる気泡が鋼板の表面に付着していると、気泡の周辺でめっきの形成が不十分となり、めっき鋼板に欠陥が生じることがある。めっき厚さが大きくなると、気泡の付着が生じにくくなる傾向があり、めっき厚さと欠陥面積との間には反比例の関係がある。この蓄電モジュールでは、下地めっき層の厚さが確保されることで、最外層の金属板でめっき欠陥が生じることを抑制できる。したがって、当該金属板が大気に触れたとしても錆の発生及び進行を抑えることが可能となり、金属板の耐圧強度の減少や電解液の漏液といった不具合の発生を防止できる。一方、この蓄電モジュールでは、中間層に位置する金属板の下地めっき層の厚さが抑えられる。このため、電極積層体でのめっきの使用量を抑えることが可能となり、製造コストの低減化も図られる。
最外層に位置する金属板の下地めっき層の厚さは、2.0μmより大きくなっていてもよい。この場合、下地めっき層の厚さを十分に確保でき、最外層の金属板でめっき欠陥が生じることを一層確実に抑制できる。
最外層に位置する金属板の下地めっき層の厚さは、10μm以下であってもよい。この場合、下地めっき層の厚さが過剰となることを回避できる。したがって、蓄電モジュールの製造コストを抑えることができる。
中間層に位置する金属板の下地めっき層の厚さは、2.0μm以下であってもよい。中間層に位置する金属板の下地めっき層の厚さを抑えることで、電極積層体でのめっきの使用量を十分に抑えることが可能となり、製造コストの一層の低減化が図られる。
電極積層体は、積層方向の一端側に負極終端電極を有すると共に、積層方向の他端側に正極終端電極を有し、最外層に位置する金属板は、負極終端電極を構成する金属板及び正極終端電極を構成する金属板であってもよい。この場合、最外層となる負極終端電極及び正極終端電極の金属板において、めっき欠陥が生じることを抑制できる。
本開示によれば、金属板での錆の発生及び進行を抑制できる。
本実施形態に係る蓄電モジュールを備えて構成される蓄電装置を示す概略断面図である。 蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。 電極板の構成を示す要部拡大断面図である。 めっき欠陥による錆の発生の様子を示す概略断面図である。 めっき厚さとめっき欠陥面積との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る蓄電モジュールの好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してモジュール積層体2の積層方向Dに拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5とを含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の外側とにそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向とにそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能を有している。また、導電板5は、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持っている。図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さくなっているが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくなっていてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8におけるモジュール積層体2側の面には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通されている。他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持され、モジュール積層体2としてユニット化されている。また、モジュール積層体2に対し、拘束荷重が積層方向Dに付加されている。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュールの内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12とを備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して蓄電モジュール4の積層方向Dに沿って積層された複数の電極によって構成されている。これらの電極は、複数のバイポーラ電極14の積層体と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。
バイポーラ電極14は、一方面15a及び一方面15aの反対側の他方面15bを含む電極板(金属板)15と、一方面15aに設けられた正極16と、他方面15bに設けられた負極17とを有している。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dの一方に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dの他方に隣り合う別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15と、電極板15の他方面15bに設けられた負極17とを有している。負極終端電極18は、他方面15bが電極積層体11における積層方向Dの中央側を向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の電極板15の一方面15aは、電極積層体11の積層方向Dにおける一方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5(図1参照)と電気的に接続されている。負極終端電極18の電極板15の他方面15bに設けられた負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
正極終端電極19は、電極板15と、電極板15の一方面15aに設けられた正極16とを有している。正極終端電極19は、一方面15aが電極積層体11における積層方向Dの中央側を向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の一方面15aに設けられた正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。正極終端電極19の電極板15の他方面15bは、電極積層体11の積層方向Dにおける他方の外側面を構成し、蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5(図1参照)と電気的に接続されている。
電極板15は、例えば表面にめっきが施されたニッケル板や、表面にめっきが施された鋼板などの金属板からなる。ここでは、電極板15は、鋼板の表面にニッケルによるめっきを施してなるめっき鋼板によって構成されている。めっき鋼板の基材となる鋼板には、例えば圧延鋼などの普通鋼や、ステンレス鋼などの特殊鋼が用いられる。電極板15の縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、電極板15の縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、電極板15の縁部15cに結合された複数の第1封止部(樹脂部)21と、側面11aに沿って第1封止部21を外側から包囲し、第1封止部21のそれぞれに結合された第2封止部22とを有している。第1封止部21及び第2封止部22は、例えば、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂である。第1封止部21及び第2封止部22の構成材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
第1封止部21は、電極板15の一方面15aにおいて縁部15cの全周にわたって連続的に設けられ、積層方向Dから見て矩形枠状をなしている。本実施形態では、バイポーラ電極14の電極板15のみならず、負極終端電極18の電極板15及び正極終端電極19の電極板15に対しても第1封止部21が設けられている。負極終端電極18では、電極板15の一方面15aの縁部15cに第1封止部21が設けられ、正極終端電極19では、電極板15の一方面15a及び他方面15bの双方の縁部15cに第1封止部21が設けられている。
第1封止部21は、例えば超音波又は熱圧着によって電極板15の一方面15aに溶着され、気密に接合されている。第1封止部21は、例えば積層方向Dに所定の厚さを有するフィルムである。第1封止部21の内側は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の縁部15c同士の間に位置している。第1封止部21の外側は、電極板15の縁よりも外側に張り出しており、その先端部分は、第2封止部22によって保持されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1封止部21同士は、互いに離間していてもよく、接していてもよい。また、第1封止部21の外縁部分同士は、例えば熱板溶着などによって互いに結合していてもよい。
第2封止部22は、電極積層体11及び第1封止部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成型によって形成され、積層方向Dに沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2封止部22は、積層方向Dを軸方向として延在する矩形の枠状を呈している。第2封止部22は、例えば射出成型時の熱によって第1封止部21の外表面に溶着されている。
第1封止部21及び第2封止部22は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部22は、第1封止部21と共に、積層方向Dに沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び積層方向Dに沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む水系の電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16、及び負極17内に含浸されている。
続いて、上述した電極板15の構成について更に詳細に説明する。
図3は、電極板の構成を示す要部拡大断面図である。同図に示すように、電極板15と第1封止部21とが重なる領域は、電極板15と第1封止部21との結合領域Kとなっている。結合領域Kにおいて、電極板15の表面は、粗面化されている。電極板15の表面において、結合領域Kのみが粗面化されていてもよいが、本実施形態では、電解めっきによって電極板15の面全体(一方面15a及び他方面15bを含む表面全体)が粗面化されている。
具体的には、電極板15は、鋼板31と、鋼板31の表面に設けられた下地めっき層32と、下地めっき層32の表面に設けられた複数の突起状めっき33とを有するめっき鋼板によって構成されている。鋼板31は、電極板15の基材である。下地めっき層32及び突起状めっき33の材質は、いずれもニッケルである。下地めっき層32は、鋼板31の表面を平坦化するための層であり、鋼板31を覆うように形成されている。
突起状めっき33は、例えば下地めっき層32に形成された凸部33aを基端とし、凸部33aの先端側に先太り部分33bを有している。複数の突起状めっき33により、電極板15と第1封止部21との接合界面では、溶融状態の樹脂が粗面化により形成された複数の突起間に入り込み、アンカー効果が発揮される。これにより、電極板15と第1封止部21との間の結合強度を向上させることができる。また、突起状めっき33がアンダーカット形状となっているため、アンカー効果の向上が図られる。
電極板15の製造には、鋼板31にめっきを施す工程が含まれる。めっきの形成後には、めっき鋼板を酸で洗浄し、めっき鋼板の表面に付着している酸化物を除去する工程が行われる。また、酸での洗浄後には、めっき鋼板を水で洗浄し、めっき鋼板の表面から酸を除去する工程が行われる。しかしながら、水での洗浄を行った場合でも、めっき鋼板の表面に酸が残存してしまうことがある。この場合、図4に示す例のように、洗浄後のめっき鋼板に酸が残存し、かつめっき鋼板にめっき欠陥(めっきが形成されていない部分)34が存在していると、めっき欠陥34の近傍で鋼板31に錆35が生じることがある。錆35が生じた鋼板31が大気に触れると、錆35が鋼板31の内部に進行し、電極板15の耐圧強度の減少や電解液の漏液といった不具合の要因となるおそれがある。
これに対し、蓄電モジュール4では、電極積層体11において、最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さよりも大きくなっている。めっき厚さとめっき欠陥との間には、一定の相関が存在する。鋼板にめっきを形成する際、例えばガスなどによる気泡が鋼板の表面に付着していると、気泡の周辺でめっきの形成が不十分となり、鋼板にめっき欠陥が生じる要因となる。めっき厚さが大きくなると、気泡の付着が生じにくくなる傾向があり、めっき厚さと欠陥面積との間には反比例の関係がある。
図5は、めっき厚さとめっき欠陥面積との関係を示すグラフである。同図では、横軸にめっき厚さを示し、縦軸にめっき欠陥面積を示している。めっき欠陥面積は、めっきを施した面積に対するめっき欠陥の面積の割合である。図5に示すように、めっき厚さが増大するほど、めっき欠陥面積の割合は低下している。例えばめっき厚さが1.0μmである場合、めっき欠陥面積はおよそ0.1%程度であり、めっき厚さが2.0μmである場合、めっき欠陥面積はおよそ0.01%まで減少する。めっき欠陥面積の割合は、めっき厚さが4.0μm以上となる範囲ではほぼ0%となっている。
蓄電モジュール4では、最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さは、例えば2.0μmより大きくなっている。最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さは、めっき欠陥の発生を抑制する観点から、4.0μm以上であることが好ましく、6.0μm以上であることが更に好ましい。また、最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さは、めっきの使用量低減の観点から、10μm以下であることが好ましい。一方、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さは、めっきの使用量低減の観点から、2.0μm以下であることが好ましい。
本実施形態では、負極終端電極18を構成する電極板15及び正極終端電極19を構成する電極板15が最外層に位置する金属板に相当し、バイポーラ電極14を構成する電極板15が中間層に位置する金属板に相当する。負極終端電極18では、電極板15の一方面15a側が大気に触れる面であり、正極終端電極19では、電極板15の他方面15b側が大気に触れる面である。したがって、負極終端電極18では、少なくとも電極板15の一方面15a側の下地めっき層32の厚さが上記範囲を満たしていることが好適であり、正極終端電極19では、少なくとも電極板15の他方面15b側の下地めっき層32の厚さが上記範囲を満たしていることが好適である。
電極板15における下地めっき層32の厚さは、図3中の符号Tに示すように、突起状めっき33間での鋼板31の表面の法線方向における厚さで表される。下地めっき層32の厚さTは、例えば蛍光X線によって計測することができる。
以上説明したように、蓄電モジュール4では、電極積層体11において最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが十分に確保されている。この蓄電モジュール4では、下地めっき層32の厚さが確保されることで、最外層の電極板15めっき欠陥34が生じることを抑制できる。したがって、当該電極板15が大気に触れたとしても錆35の発生及び進行を抑えることが可能となり、電極板15の耐圧強度の減少や電解液の漏液といった不具合の発生を防止できる。一方、蓄電モジュール4では、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが抑えられている。このため、電極積層体11でのめっきの使用量を抑えることが可能となり、製造コストの低減化も図られる。
本実施形態では、最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが2.0μmより大きくなっている。この範囲を満足することにより、下地めっき層32の厚さを十分に確保でき、最外層の電極板15でめっき欠陥34が生じることを一層確実に抑制できる。また、本実施形態では、最外層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが10μm以下となっている。この範囲を満足することにより、下地めっき層32の厚さが過剰となることを回避できる。したがって、蓄電モジュール4の製造コストを抑えることができる。
本実施形態では、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さが2.0μm以下となっている。中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さを抑えることで、電極積層体11でのめっきの使用量を十分に抑えることが可能となり、蓄電モジュール4の製造コストの一層の低減化が図られる。
本実施形態では、電極積層体11は、積層方向Dの一端側に負極終端電極18を有すると共に、積層方向Dの他端側に正極終端電極19を有している。最外層に位置する電極板15は、負極終端電極18を構成する電極板15及び正極終端電極19を構成する電極板15となっている。これにより、最外層となる負極終端電極18及び正極終端電極19の電極板15において、めっき欠陥34が生じることを抑制できる。
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、負極終端電極18を構成する電極板15及び正極終端電極19を構成する電極板15が最外層に位置する電極板(金属板)15に相当しているが、最外層の構成はこれに限られない。例えば負極終端電極18及び正極終端電極19の少なくとも一方に対し、積層方向Dの外側に未塗工電極が更に積層されていてもよい。未塗工電極は、正極16及び負極17のいずれも有しない電極板(金属板)15によって構成され、隣接する終端電極に対して電気的に接続される。
この場合、最外層に位置する未塗工電極の下地めっき層32の厚さが、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さよりも大きくなっていればよい。未塗工電極よりも積層方向Dの内側に位置する負極終端電極18或いは正極終端電極19の電極板15の下地めっき層32の厚さは、未塗工電極の下地めっき層32の厚さと同等であってもよく、中間層に位置する電極板15の下地めっき層32の厚さと同等であってもよい。前者の場合には、錆35の発生及び進行を抑えることが可能となり、後者の場合には、めっきの使用量を抑えることが可能となる。
4…蓄電モジュール、11…電極積層体、12…封止体、14…バイポーラ電極、15…電極板(金属板)、18…負極終端電極、19…正極終端電極、31…鋼板、32…下地めっき層、33…突起状めっき、D…積層方向、V…内部空間。

Claims (4)

  1. 複数のバイポーラ電極を含む電極を構成する金属板が積層されてなる電極積層体と、
    前記電極積層体において積層方向に隣り合う前記電極間に内部空間を形成すると共に、当該内部空間を封止する封止体と、を備え、
    前記金属板は、鋼板と、前記鋼板の表面に設けられた下地めっき層と、前記下地めっき層の表面に設けられた複数の突起状めっきと、を有するめっき鋼板であり、
    前記電極積層体において最外層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の厚さは、中間層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の厚さよりも大きくなっており、
    前記最外層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の材質は、ニッケルであり、
    前記最外層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の厚さは、2.0μmより大きい、
    蓄電モジュール。
  2. 前記最外層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の厚さは、10μm以下である請求項1記載の蓄電モジュール。
  3. 前記中間層に位置する前記金属板の前記下地めっき層の厚さは、2.0μm以下である請求項1又は2記載の蓄電モジュール。
  4. 前記電極積層体は、前記積層方向の一端側に負極終端電極を有すると共に、前記積層方向の他端側に正極終端電極を有し、
    前記最外層に位置する前記金属板は、前記負極終端電極を構成する金属板及び前記正極終端電極を構成する金属板である請求項1~3のいずれか一項記載の蓄電モジュール。
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