JP7287542B2 - 低誘電性接着剤組成物 - Google Patents
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Description
1.スチレン系エラストマー(A)と、脂環式骨格含有樹脂(B)と、エポキシ樹脂(C)とを含有し、前記スチレン系エラストマー(A)及び前記脂環式骨格含有樹脂(B)の少なくとも一方がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、硬化物の誘電率が、2.5未満であることを特徴とする接着剤組成物。
2.前記スチレン系エラストマー(A)および前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量の合計が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、前記エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記スチレン系エラストマー(A)および前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量の合計100質量部に対して1~20質量部である、上記1.に記載の接着剤組成物。
3.前記スチレン系エラストマー(A)と前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量比が、質量比で[スチレン系エラストマー(A)]:[脂環式骨格含有樹脂(B)]=5:95~95:5である、上記1.又は2.に記載の接着剤組成物。
4.前記スチレン系エラストマー(A)がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、該スチレン系エラストマーの酸価が、0.1~50mgKOH/gである、上記1.~3.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
5.前記スチレン系エラストマー(A)が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、およびスチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である、上記1.~4.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
6.前記脂環式骨格含有樹脂(B)がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、該脂環式骨格含有樹脂(B)の酸価が、0.1~50mgKOH/gである、上記1.~5.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
7.前記脂環式骨格含有樹脂(B)が、側鎖に脂環式骨格を有する上記1.~6.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
8.前記エポキシ樹脂(C)が、ジシクロペンタジエン骨格を含有する多官能のエポキシ樹脂である上記1.~7.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
9.周波数1GHzで測定した前記硬化物の誘電正接が、0.01未満である上記1.~8.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
10.温度40℃および湿度90%にて12時間加湿処理した後のはんだ耐熱性の温度が260℃以上である、上記1.~9.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
11.さらに、紫外線吸収剤を含有する、上記1.~10.のいずれかに1項記載の接着剤組成物。
12.フレキシブル銅張積層板用である、上記1.~11.に記載の接着剤組成物。
13.フレキシブルフラットケーブル用である、上記1.~12.のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
14.上記1.~13.のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて得られた接着性層が、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TPXフィルム、及びフッ素系樹脂フィルムより選択される1種のフィルムの少なくとも片面に形成されてなることを特徴とするカバーレイフィルム。
15.上記1.~14.のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて得られた接着性層が、離型性フィルムの少なくとも片面に形成されてなることを特徴とするボンディングシート。
本発明の接着剤組成物は、スチレン系エラストマー(A)と、脂環式骨格含有樹脂(B)と、エポキシ樹脂(C)とを含有する接着剤組成物であって、前記スチレン系エラストマー(A)及び前記脂環式骨格含有樹脂(B)の少なくとも一方がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、硬化物の誘電率が、2.5未満であることを特徴とする。以下に本発明を特定する事項について、具体的に説明する。
上記スチレン系エラストマー(A)は、接着剤組成物の主要な成分の1つであり、接着性や硬化物の柔軟性に加えて、電気特性を与える成分である。このスチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック及びランダム構造を主体とする共重合体、並びにその水素添加物が挙げられる。このスチレン系エラストマーは、酸変性してカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有させることが好ましい。ここで、上記「その誘導体」には、2つのカルボキシル基から水分子を取り去って互い結合した酸無水物の形態の他、酸ハライド、アミド、イミド、エステル等のカルボキシル基から誘導されたその他の形態も包含されるが、好ましい誘導体は酸無水物である。なお、本明細書において、カルボキシル基及び/又はその誘導体を含有するスチレン系エラストマーを「酸変性されたスチレン系エラストマー」、「変性スチレン系エラストマー」又は「カルボキシル基含有スチレン系エラストマー」と称することもある。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p-第3ブチルスチレン等が挙げられる。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等を挙げることができる。なお、スチレン系エラストマー(A)は後で説明する脂環式骨格含有樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)を包含するものではない。
また、スチレン系エラストマー(A)と脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量比は、質量比で[スチレン系エラストマー(A)]:[脂環式骨格含有樹脂(B)]=5:95~95:5であることが好ましく、[スチレン系エラストマー(A)]:[脂環式骨格含有樹脂(B)]=10:90~90:10であることがより好ましい。含有量比がこの範囲にあると、湿熱はんだ耐熱性の高い改善効果が得られる。
脂環式骨格含有樹脂(B)としては、脂環式骨格を有する化合物(b)を単量体単位として含む重合体、換言すれば、飽和又は不飽和環式炭化水素骨格を有する化合物(b)から誘導された構造単位を含む重合体が挙げられる。該重合体は単独重合体であっても、共重合体であってもよい。上記化合物(b)がスチレンやノルボルネン等の不飽和環式炭化水素骨格を有する化合物(b)である場合、脂環式骨格含有樹脂(B)の脂環式骨格は、該化合物(b)の重合反応又は水素付加反応により生成する。脂環式骨格含有樹脂(B)は、脂環式骨格を主鎖及び側鎖の少なくとも一方に有するものであってよく、好ましくは、オレフィン系重合体等の鎖式炭化水素鎖の主鎖及び/又は側鎖に脂環式骨格を有し、樹脂単体で熱可塑性を示し、非晶性であるものが挙げられる。脂環式骨格含有樹脂(B)は後で説明するエポキシ樹脂(C)を包含するものではない。
酸変性された脂環式骨格含有樹脂は、未変性脂環式骨格含有樹脂に由来する部分と、変性剤に由来するグラフト部分とを有する樹脂であり、好ましくは、未変性脂環式骨格含有樹脂の存在下にα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体を含む変性剤をグラフト重合することにより得ることができる。グラフト重合による変性脂環式骨格含有樹脂の製造は、公知の方法で行うことが可能であり、製造の際にはラジカル開始剤を用いてもよい。上記変性脂環式骨格含有樹脂の製造方法としては、例えば、未変性脂環式骨格含有樹脂をトルエン等の溶剤に加熱溶解し、上記変性剤及びラジカル開始剤を添加する溶液法や、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機等を使用して未変性脂環式骨格含有樹脂、変性剤及びラジカル開始剤を溶融混練する溶融法等が挙げられる。未変性脂環式骨格含有樹脂、変性剤及びラジカル開始剤の使用方法は、特に限定されず、これらを、反応系に一括添加しても、逐次添加してもよい。上記変性脂環式骨格含有樹脂を製造する場合には、α,β-不飽和カルボン酸のグラフト効率を向上させるための変性助剤、樹脂安定性の調整のための安定剤等を更に使用することができる。
CH2=CR1COOR2 (2)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭化水素基である。)
次に、上記接着剤組成物のもう一つの成分であるエポキシ樹脂(C)について説明する。エポキシ樹脂は(C)は、上記カルボキシル基含有スチレン系エラストマー(A)及び/又は上記カルボキシル基含有脂環式骨格含有樹脂(B)中のカルボキシ基と反応し、被着体に対する高い接着性や、接着剤硬化物の耐熱性を発現させる成分である。
上記エポキシ樹脂の中でも、グリシジルアミノ基を有しないエポキシ樹脂が好ましい。接着剤層付き積層体の貯蔵安定性が向上するからである。また、電気特性に優れた接着剤組成物が得られることから、脂環骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂がより好ましい。
本発明に係る接着剤組成物は、スチレン系エラストマー(A)、脂環式骨格含有樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)を含有し、周波数1GHzで測定した接着剤硬化物の誘電率(ε)が2.5未満であることを特徴としている。当該誘電率が2.5未満であれば、FPC関連製品への利用に好適である。また、周波数1GHzで測定した接着剤硬化物の誘電正接(tanδ)が、0.01未満であることが好ましい。当該誘電正接が0.01未満であれば、電気特性に優れるFPC関連製品を製造することができる。誘電率及び誘電正接は、接着剤組成物中のスチレン系エラストマー(A)、脂環式骨格含有樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)の割合に応じて調整できるので、用途に応じて、種々の構成の接着剤組成物を設定することができる。なお、誘電率及び誘電正接の測定方法は後述する。
本発明に係る接着剤組成物は、スチレン系エラストマー(A)、脂環式骨格含有樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)を含有し、スチレン系エラストマー(A)及び脂環式骨格含有樹脂(B)の少なくとも一方がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有するため、温度40℃及び湿度90%にて12時間加湿処理した後のはんだ耐熱性の温度を高めることができ、好ましくは240℃以上にすることができる。スチレン系エラストマー(A)又は脂環式骨格含有樹脂(B)の両方がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有する場合は、上記はんだ耐熱性の温度をより高めることができ、特に、スチレン系エラストマー(A)と脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量比[スチレン系エラストマー(A)]:[脂環式骨格含有樹脂(B)]を5:95~95:5とした場合は、上記はんだ耐熱性の温度を240℃以上にすることができる。
上記接着剤組成物には、スチレン系エラストマー(A)、脂環式骨格含有樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)に加えて、スチレン系エラストマー(A)及び脂環式骨格含有樹脂(B)以外の他の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、粘着付与剤、難燃剤、硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤、熱老化防止剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、顔料、及び溶媒等を、接着剤組成物の機能に影響を与えない程度に含有することができる。
硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂(C)100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、5~70質量部であることがより好ましい。
ロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトシキシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イミダゾールシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;ジルコニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱老化防止剤の含有量は、上記スチレン系エラストマー(A)及び上記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量の合計100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。この含有量が上記範囲内であることにより、電気特性及び耐熱性を向上させることができる。
本発明によれば、本発明の接着剤組成物からなる接着剤層と、該接着剤層の少なくとも一方の面に接する基材フィルムとを備えた接着剤層付き積層体が得られ、前記接着剤層がBステージ状であることが好ましい。ここで、接着剤層がBステージ状であるとは、接着剤組成物の一部が硬化し始めた半硬化状態をいい、加熱等により、接着剤組成物の硬化が更に進行する状態をいう。
前記溶媒を除去するときの乾燥温度は、40~250℃であることが好ましく、70~170℃であることがより好ましい。乾燥温度が40℃以上であることにより、溶剤の残存による電気特性の悪化を防止し易くなり、250℃以下であることにより、Bステージ状の接着剤層を得易くなる。乾燥は、接着剤組成物が塗布された積層体を、熱風乾燥、遠赤外線加熱、及び高周波誘導加熱等がなされる炉の中を通過させることにより行われる。
なお、必要に応じて、接着剤層の表面には、保管等のため、離型性フィルムを積層してもよい。前記離型性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコーン離型処理紙、ポリオレフィン樹脂コート紙、ポリメチルペンテン(TPX)フィルム、フッ素系樹脂フィルム等の公知のものが用いられる。
上記基材フィルム及び接着剤層の厚さは用途により選択されるが、電気特性を向上させるために基材フィルムはより薄くなる傾向にある。一般的に基材フィルムの厚さが薄く、接着剤層の厚さが厚くなると、接着剤層付き積層体に反りが生じやすくなり、作業性が低下するが、本発明の接着剤層付き積層体は、基材フィルムの厚さが薄く、接着剤層の厚さが厚い場合でも、積層体の反りがほとんど生じない。本発明の接着剤層付き積層体において、接着剤層の厚さ(A)と、基材フィルムの厚さ(B)との比(A/B)は、1以上、10以下であることが好ましく、1以上、5以下であることがより好ましい。更に、接着剤層の厚さが、基材フィルムの厚さより厚いことが好ましい。
また、上記H/Lの下限値は、Hが0である場合、すなわち0である。
また、上記積層体の接着剤層を硬化させた後、周波数1GHzで測定した接着剤層付き積層体の誘電率(ε)が2.2以上であり、かつ、該誘電正接(tanδ)が0以上であることが好ましい。
本発明によれば、フレキシブル銅張積層板は、上記接着剤層付き積層体を用いて、基材フィルムと銅箔とを貼り合わせることにより得られる。即ち、得られたフレキシブル銅張積層板は、基材フィルム、接着層及び銅箔の順に構成される。なお、接着層及び銅箔は、基材フィルムの両面に形成されていてもよい。本発明の接着剤組成物は、銅を含む物品との接着性に優れるので、本発明により得られるフレキシブル銅張積層板は、一体化物として安定性に優れる。
本発明によれば、上記接着剤層付き積層体を用いて、基材フィルムと銅配線とを貼り合わせることにより、フレキシブルフラットケーブルが得られる。即ち、得られたフレキシブルフラットケーブルは、基材フィルム、接着層及び銅配線の順に構成されたものである。なお、接着層及び銅配線は、基材フィルムの両面に形成されていてもよい。本発明の接着剤組成物は、銅を含む物品との接着性に優れるので、本発明により得られるフレキシブルフラットケーブルは、一体化物として安定性に優れる。
(1)重量平均分子量
下記の条件で、GPC測定を行い、スチレン系エラストマー(A)及び脂環式骨格含有樹脂(B)のMwを求めた。Mwは、GPCにより測定したリテンションタイムを標準ポリスチレンのリテンションタイムを基準にして換算した。
装置:アライアンス2695(Waters社製)
カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ-H 2本、TSKgel SuperHZ2500 2本、(東ソー社製)
カラム温度: 40℃
溶離液: テトラヒドロフラン 0.35ml/分
検出器: RI
スチレン系エラストマー(A)又は脂環式骨格含有樹脂(B)1gをトルエン30mlに溶解し、京都電子工業社製自動滴定装置「AT-510」にビュレットとして同社製「APB-510-20B」を接続したものを使用した。滴定試薬としては0.01mol/Lのベンジルアルコール性KOH溶液を用いて電位差滴定を行い、樹脂1gあたりのKOHのmg数を算出した。
厚さ38μmの離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、その一方の表面に、脂環式骨格含有樹脂(B)の有機溶剤溶液を、ロ-ル塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置して、90℃で3分間乾燥させて厚さ25μmの被膜を形成し、ボンディングシートを得た。次に、得られた積層フィルムからPETフィルムを剥がして、これをガラス転移温度測定用の試験片とした。この試験片を、動的粘弾性測定装置「EXSTAR DMS6100」(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)により、昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件にて、引張モードで測定に供した。得られた曲線の損失正接の最大値をガラス転移温度(Tg)とした。
厚さ38μmの離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、その一方の表面に、表1に記載の液状接着剤組成物を、ロ-ル塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置して、90℃で3分間乾燥させて厚さ25μmの被膜(接着性層)を形成し、ボンディングシートを得た。次に、厚さ62μmの片面銅張積層板(LCPフィルム50μm、圧延銅箔12μm)を用意し、LCP表面と前記ボンディングシートの接着剤層とを面接触するように重ね合わせ、温度150℃、圧力0.4MPa、及び速度0.5m/分の条件でラミネ-トを行い、接着剤層付き片面銅張積層板を得た。その後、厚さ35μmの圧延銅箔と、接着剤層付き片面銅張積層板の接着剤層とを面接触するように重ね合わせ、温度150℃、圧力0.4MPa、及び速度0.5m/分の条件でラミネ-トを行った。次いで、この積層体(片面銅張積層板/接着剤層/銅箔)を温度180℃、及び圧力3MPaの条件で30分間加熱圧着し、フレキシブル銅張積層板Aを得た。このフレキシブル銅張積層板Aを切断して、所定の大きさの接着試験片を作製した。
接着性を評価するために、JIS C 6481「プリント配線板用銅張積層板試験方法」に準拠し、温度23℃及び引張速度50mm/分の条件で、各接着試験片の銅箔をLCPフィルムから剥がすときの90゜はく離接着強さ(N/mm)を測定した。測定時の接着試験片の幅は10mmとした。
JIS C 6481「プリント配線板用銅張積層板試験方法」に準拠し、次の条件で試験を行った。フレキシブル銅張積層板Aを20mm角に裁断し試験片を作製した。その後、試験片について40℃、90%、12hrの湿熱負荷処理を行った。その後、リフローシミュレーターに片面銅張積層板の面を上にして試験片を投入し、接着試験片表面の発泡が見られる温度を観察した。
<評価基準>
○:260℃以上
△:240~260℃
×:240℃以下
フレキシブル銅張積層板Aについて、ESI社製UV-YAGレーザー Model5335を使用し、銅張積層板から接着剤層と圧延銅箔の境界までビア加工を行った。その後、ビア部の断面を光学顕微鏡にて観察し、接着剤層のケズレ長さを測定した。
<評価基準>
○:ケズレ長さ10μm以下
×:ケズレ長さ10μm以上
厚さ38μmの離型ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、その一方の表面に、表1に記載の液状接着剤組成物を、ロ-ル塗布した。次いで、この塗膜付きフィルムをオーブン内に静置して、90℃で3分間乾燥させて厚さ50μmの被膜(接着性層)を形成し、ボンディングシートを得た。次に、このボンディングシートをオーブン内に静置して、180℃、30min加熱処理をした。その後、前記離型フィルムを剥がして、試験片(150×120mm)を作製した。誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)は、ネットワークアナライザー85071E-300(アジレント社製)を使用し、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)で、温度23℃、周波数1GHzの条件で測定した。
(1)スチレン系エラストマーa1
旭化成ケミカルズ社製の商品名「タフテックM1913」(マレイン酸変性スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体)を用いた。この共重合体の酸価は10mgKOH/gであり、スチレン/エチレンブチレン比は30/70であり、重量平均分子量は15万である。
旭化成ケミカルズ社製の商品名「タフテックH1041」(スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体)を用いた。この共重合体の酸価は0mgKOH/gであり、スチレン/エチレンブチレン比は30/70であり、重量平均分子量は15万である。
(3)オレフィン系エラストマー
メタロセン触媒を重合触媒として製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン-エチレンランダム共重合体100質量部、無水マレイン酸1.0質量部、メタクリル酸ラウリル0.5質量部及びジ-t-ブチルパーオキサイド0.8質量部を、シリンダー部の最高温度を170℃に設定した二軸押出機を用いて混練反応した。その後、押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去して、変性オレフィン系エラストマーを製造した。この変性オレフィン系エラストマーは、重量平均分子量が15万、酸価が10mgKOH/gであった。
(1)脂環式骨格含有樹脂b1
環状オレフィン樹脂(日本ゼオン製 商品名「ゼオノア1060R」100質量部を、4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン400質量部に加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、無水マレイン酸8質量部とラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド3質量部をそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥して脂環式骨格含有樹脂b1を得た。脂環式骨格含有樹脂b1は、酸価10mgKOH/g、Tg=100℃であった。
旭化成製「タフテックH1041」(スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体)100質量部に対して、シクロヘキサン400質量部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル-アルミナ触媒(日揮化学社製)7質量部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間水素化反応させた。その後、水素化触媒を除去し、酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ製「イルガノックス1010」)を0.5質量部添加して溶解させた。次いで、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットを回収した。そして得られたスチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体の水素化物100質量部に対して、無水マレイン酸4質量部、ジクミルパーオキシド2質量部、tert-ブチルベンゼン230質量部を配合し、オートクレーブ中にて135℃、6時間反応を行った後、多量のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、濾別して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、脂環式骨格含有樹脂b2を得た。脂環式骨格含有樹脂b2は、酸価10mgKOH/mg、Tg=70℃であった。
日本ゼオン製 商品名「ゼオネックス330R」を使用した。本製品は、酸価0mgKOH/g、Tg=120℃であった。
4-1.エポキシ樹脂
(1)エポキシ樹脂c1
DIC社製 商品名「EPICLON HP-7200」(ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂)を用いた。
(2)エポキシ樹脂c2
DIC社製 商品名「EPICLON N-655EXP」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)を用いた。
(1)硬化促進剤
四国化成社製 商品名「キュアゾールC11-Z」(イミダゾール系硬化促進剤)を用いた。
(2)熱老化防止剤
ADEKA製 商品名「アデカスタブ AO-60」を用いた。
(3)紫外線吸収剤
BASF製 商品名「Uvinul3049」を用いた。
メチルシクロヘキサン250質量部、トルエン250質量部、及びメチルエチルケトン50質量部を混合して用いた。
撹拌装置付き1000mlフラスコに、上記の原料を表1に示す割合で添加し、室温下で6時間撹拌して溶解することにより、液状接着剤組成物を調製し評価した。結果を表1に示す。
上記接着剤組成物を用いて、接着剤層付き積層体を製造し評価した。結果を表1に示す。
Claims (13)
- スチレン系エラストマー(A)と、脂環式骨格含有樹脂(B)と、エポキシ樹脂(C)とを含有し、前記脂環式骨格含有樹脂(B)は脂環式骨格を主鎖及び側鎖の少なくとも一方に有するものであり、前記スチレン系エラストマー(A)及び前記脂環式骨格含有樹脂(B)のうち少なくとも前記脂環式骨格含有樹脂(B)がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、該脂環式骨格含有樹脂(B)の酸価が、0.1~50mgKOH/gであり、硬化物の誘電率が、2.5未満であることを特徴とする接着剤組成物。
- 前記スチレン系エラストマー(A)及び前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量の合計が、接着剤組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であり、
前記エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記スチレン系エラストマー(A)及び前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量の合計100質量部に対して1~20質量部である、請求項1に記載の接着剤組成物。 - 前記スチレン系エラストマー(A)と前記脂環式骨格含有樹脂(B)の含有量比が、質量比で[スチレン系エラストマー(A)]:[脂環式骨格含有樹脂(B)]=5:95~95:5である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
- 前記スチレン系エラストマー(A)がカルボキシル基及び/又はその誘導体を含有し、該スチレン系エラストマーの酸価が、0.1~50mgKOH/gである請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記スチレン系エラストマー(A)が、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレンプロピレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体、及びスチレン-エチレンプロピレン-スチレンブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 前記脂環式骨格含有樹脂(B)が、側鎖に脂環式骨格を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 周波数1GHzで測定した前記硬化物の誘電正接が、0.01未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 温度40℃及び湿度90%にて12時間加湿処理した後のはんだ耐熱性の温度が260℃以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- さらに、紫外線吸収剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- フレキシブル銅張積層板用である、請求項1~9のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- フレキシブルフラットケーブル用である、請求項1~9のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて得られた接着性層が、ポリイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TPXフィルム、及びフッ素系樹脂フィルムより選択される1種のフィルムの少なくとも片面に形成されてなることを特徴とするカバーレイフィルム。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用いて得られた接着性層が、離型性フィルムの少なくとも片面に形成されてなることを特徴とするボンディングシート。
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