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JP7281066B2 - 電気エネルギーを熱として貯蔵するためのエネルギー蓄積器及び該目的のための方法 - Google Patents

電気エネルギーを熱として貯蔵するためのエネルギー蓄積器及び該目的のための方法 Download PDF

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Description

本発明の第1の態様は、請求項1の前文に記載の熱エネルギーの形態で電気エネルギーを貯蔵することが可能なエネルギー蓄積器に関する。
第2の態様において、本発明は、請求項15の前文に記載の、電気エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵し、熱エネルギーを出力することが可能なエネルギー蓄積器を動作させる方法に関する。
電気エネルギーのエネルギー蓄積器は経済的に非常に重要である。詳細には、太陽エネルギー及び風力エネルギーの収集の増加により、電気エネルギーの生産量が経時的に大きく変動する。これにより、一時的にかなり余剰の電気エネルギーが生じるが、現時点では効率的に貯蔵できない、或いは、ごく一部しか貯蔵できない。電気化学的蓄積器(バッテリー)は、高コストにもかかわらず、少量の貯蔵容量を提供するのみである。大量のエネルギーは熱として貯蔵することが可能である。そのようなエネルギー蓄積器は、経済的に増加している再生エネルギー源の使用において決定的な役割を果たすことが期待されている。エネルギー蓄積器の貯蔵容量を、一国の電気エネルギーの総生産量における太陽エネルギー及び風力エネルギーの割合とともに増加する必要がある。
一般的なエネルギー蓄積器は、例えば欧州特許出願第3139108号公報又は欧州特許出願第3139107号公報において出願人によって記載されている。電気エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵するための一般的なエネルギー蓄積器は、
・電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気ヒーター
・電気ヒーターの熱エネルギーを貯蔵する蓄熱器
・蓄熱器から熱エネルギーを出力する熱交換器
を備える。
電気エネルギーを熱エネルギーの形態で貯蔵することができ、熱エネルギーを出力することができるエネルギー蓄積器を作動させる方法は、同様に少なくとも以下のステップを含む。
・電気ヒーターにより電気エネルギーを熱エネルギーへ変換すること
・蓄熱器を用いて電気ヒーターの熱エネルギーを貯蔵すること
・熱交換器を用いて蓄熱器の熱エネルギーを出力すること
蓄熱器は、例えば常温から金属体の融点付近の温度(例えば600℃)まで、熱エネルギーを貯蔵するための広い温度範囲にわたって加熱される金属体であってもよい。このような激しい温度変化により、金属体に大きな熱膨張が生じる。熱膨張は、エネルギー蓄積器の隣接する部品の機械的応力を生じさせる可能性がある。従来のエネルギー蓄積器の課題は、いかにして部品の熱膨張による応力を低コストでとりわけ単純な設計で制限するかということにある。
本発明の目的は、熱応力がとりわけ小さく、同時に構造がとりわけ費用効率が高く、効率的なエネルギー貯蔵及び出力を可能にするエネルギー蓄積器を提供することであると考えることができる。さらに、エネルギー蓄積器を作動させるための対応する方法が記載されるものとする。
この目的は、請求項1の特徴を有するエネルギー蓄積器及び請求項15の特徴を有する方法により達成される。
本発明のエネルギー蓄積器及び方法の好適な変形例は従属請求項の主題であり、以下で説明する。
本発明によれば、上記エネルギー蓄積器は少なくとも以下を含む。
・直立して配置された、電気ヒーターの熱エネルギーを貯蔵するための複数の金属棒
・ベース
・複数の支持ユニットであって、各支持ユニットは金属棒のうち1つを支持し、ベースに連結/接続されているもの
本発明によれば、上記のような方法において、蓄熱器は少なくとも以下を備える。
・直立して配置された、電気ヒーターの熱エネルギーを貯蔵するための複数の金属棒
・ベース
・複数の支持ユニットであって、各支持ユニットは金属棒のうち1つを支持し、ベースに連結/接続されているもの
本発明の設計により熱膨張の効果は有利に小さい。従来技術では、例えば金属板のように、大きな物体が蓄熱器として通常用いられる。このような板において、水平方向、つまり重力方向に対して横方向又は垂直方向の膨張が問題になる場合がある。本発明の設計では、複数の金属棒で蓄熱器を形成することにより利点が生じる。金属棒は、直立して、つまり垂直方向又は重力方向に配置された縦軸を有する。好ましくは、金属棒は上方において自由である、つまり、保持又は固定されておらず、重力方向における熱膨張が問題とならない。金属棒の直径は重力方向における長さよりもかなり小さく、例えば、長さが直径の少なくとも5倍又は少なくとも10倍であるため、水平方向における膨張は小さい。金属棒が角のある断面を有する場合、直径は、断面における最大寸法であるとみなされてもよい。金属棒は互いに間隔を置いて配置されるので、金属棒を加熱すると熱膨張によって金属棒の間の空間が減少するのみであるが、断面方向の全体寸法、つまり、最も外側の金属棒又は互いに最も離れた金属棒で囲まれる領域は、熱膨張に関わらず基本的に一定である。これは、金属棒を(支持ユニットを介して)保持するベースにとって特に重要である。金属棒が熱膨張する場合、ベースは機械的応力にさらされないか、殆ど機械的応力にさらされない。ベースの熱膨張には支持ユニットが関係する。支持ユニットは、金属棒がベースと直接接触する場合と比較して、金属棒によってベースがより小さい程度によりゆっくり加熱されるように、金属棒からベースを少なくとも部分的に隔離する。従来技術の設計では、特にベースの熱膨張は非常に問題である。
金属棒とベースの間に支持ユニットを用いることにより、支持ユニットの非常に簡単な設計が可能になり、質量とコストを低く抑えることができる。さらに、金属棒は非常にコスト効率よく製造することができる。金属棒は、ロッド又はビレットとも言う。支持ユニットとの接触を除き、金属棒は空間内に自由に立つので、金属棒の形状及び寸法の公差をより大きくすることができる。さらに、金属棒を形成するためのフライス加工工程は殆ど又は全く必要ない。他の形態では、詳細には、蓄熱器が電気加熱ユニット又は熱交換チューブに直接接続する場合、フライス加工又は成形のコストはかなり高くなり、蓄熱器の材料コストをはるかに上回る可能性がある。
金属棒又はロッドは、原理上任意の断面形状を有する円筒状を有してもよい。例えば、断面が円形又は矩形であってもよく、この場合、容易に製造することができる。金属棒は、熱エネルギーを貯蔵する機能を有する蓄熱器の一部をなす。つまり、作動中にエネルギー蓄積器が受け取る熱エネルギーの少なくとも60%又は少なくとも80%が金属棒に貯蔵され、エネルギーの残りの部分は、例えば支持ユニット又は熱交換器に分配される。或いは、金属棒の熱容量は、蓄熱器全体の熱容量の少なくとも60%又は少なくとも80%であってもよい。
金属棒からベースへの熱伝達を低く抑えるために、金属棒はベースから間隔を置いて配置されてもよい、つまり、金属棒はベースに直接接触しない。接触はそれぞれの支持ユニットを介してのみであることが好ましい。支持ユニットの材料の熱伝達係数は、金属棒の材料の熱伝達係数よりも小さいことが好ましい。例えば、ステンレス鋼が支持ユニットに用いられてもよく、別の鋼、つまり、ステンレス鋼ではない鋼が金属棒に用いられてもよい。各金属棒は、好ましくは、それぞれの支持ユニットによって支持され、したがって、各支持ユニットは、1つの金属棒を正確に保持する。支持ユニットは、好ましくは一体化された物体からなり、これにより、熱膨張の影響が問題となることが少なくなる。したがって、支持ユニットは、(上述のとおり)金属棒の熱伝達係数よりも小さい熱伝達係数を有する均質な材料からなり、金属棒も均質な材料で形成された一体化された物体であることが好ましい。しかしながら、或いは、互いに直接接続され、したがって複数の金属棒を保持する台座を形成する支持ユニットも実現可能である。この場合、複数の金属棒が1つの支持ユニットによって保持されるか、複数の支持ユニットが1つの金属棒を支持する機能を有していてもよい。
金属棒の材料は、好ましくは支持ユニット又はベースの比熱容量よりも大きく、好ましくは高い比熱容量を有する。
支持ユニットによってベースから金属棒を分離することで、ベース及びベースのすぐ隣の各支持ユニットの部品の加熱が低減されるので、ベースでの熱膨張は問題にならない。さらに、支持ユニットの材料及びベースの材料は、それらの熱膨張係数が最大で10%、好ましくは最大で5%異なるように選択されてもよい。対照的に、金属棒は実質的に自由に膨張できるので、金属棒の熱膨張係数の正確な値はあまり重要ではない。したがって、金属棒、支持ユニット及びベースの材料は、支持ユニット及びベースの材料の熱膨張係数が金属棒及びベースの材料の熱膨張係数よりも近くなるように選択されてもよい。
熱膨張係数は、1℃、詳細には20℃から21℃までの温度上昇による長さの変化として理解されてもよい。
ベースは基礎領域を規定し、基礎領域の上で金属棒が支持ユニットによって保持されてもよい。基礎領域の幅と長さは、少なくとも金属棒が及ぶ/で覆われている領域と同じ程度に大きくてもよい。これにより、安全な台座が確保される。ベースは、金属棒の互いに対する特定の距離及び配置を確保するために硬質体で構成されていてもよく、これは、金属棒に対する熱交換器及び電気ヒーターの正確な配置に関連してもよい。ベースは、詳細には、コンクリートで構成されていても、コンクリートを含んでいてもよい。支持ユニットは、好ましくはベースに囲まれている又は埋め込まれており、詳細にはコンクリートで保持され、安全で費用効率の高い台座を提供する。
各支持ユニットは、パイプ(正確には1つのパイプ)であってもよく、1つ又は複数のパイプを備えていてもよい。パイプは中空であってもよく、この場合、パイプの質量はより小さく、ベースへの熱伝達は低減される。しかし、パイプは、中空ではないロッドによって形成されてもよい。パイプは、保持する金属棒よりも断面積が小さくてもよい。これにより、ベースへの熱伝達も低減される。
パイプの下端はベース内又はベースに固定され、好ましくはコンクリートに埋め込まれる。パイプの上端は受け開口部内に延びてもよく、各金属棒がそれぞれの下端に受け開口部を備えて、各金属棒がパイプ(又はより一般的には、受け開口部内に突出する支持ユニット)によって支持されてもよい。受け開口部の断面は、詳細には常温又は20℃で隙間が形成されるように、パイプの上端の断面よりも大きくてもよい。金属棒の熱膨張係数がパイプの熱膨張係数よりも大きい場合、隙間は、金属棒が熱膨張したときにパイプが損傷しないことを確実にするかもしれない。さらに確実に支持するために、受け開口部は十分に深く、詳細には受け開口部の直径の少なくとも3倍、好ましくは少なくとも4倍の深さを有する。熱膨張が異なるので、金属棒を単に支持ユニット(詳細には、その受け開口部)に配置し、それをさらに固定しない、詳細には、ねじ止めしたり溶接したりしないことが好ましい場合がある。或いは、加熱時にパイプ上の金属棒の圧力を増加させる隙間を取り除いてもよい。
金属棒をその受け開口部及び支持ユニットの突出するパイプの上に保持することで、各金属棒の外周が自由であり、支持ユニットに接触しないことが可能である。したがって、有利には、金属棒は、例えば支持ユニットで応力が発生することなく、自由に外側に膨張してもよい。金属棒の外周は受け開口部での内周よりも大きいので、外周での熱膨張はより重要で、外周に隣接する支持ユニットに関してより深刻な問題を生じさせる可能性があった。
多数の、例えば少なくとも20又は30の金属棒を同じベース上に互いに隣接して配置してもよい。金属棒は、互いに隣接する複数の列に配置されてもよく、互いに平行な縦軸に沿って配置されてもよい。
効率的な熱伝達のために、金属棒は互いに近接して立設されることが好ましい場合がある。このようにして、電気ヒーターから放出された熱放射の大部分が金属棒に衝突する。さらに、近接配置により、複数の金属棒に対して同時に熱交換パイプを使用することが容易になる。それにもかかわらず、金属棒間の距離はそれらの熱膨張を考慮に入れることが望ましい。したがって、1つの列の隣接する金属棒の距離は、20℃から溶融温度よりも100℃低い温度まで加熱された場合に列の方向において隣接する金属棒に生じる熱膨張よりも大きくてもよく、この距離は、前述の熱膨張の5倍より小さくてもよい。金属棒又は支持ユニットの溶融温度よりも100℃低い範囲の温度により、作動中に十分に大きな安全マージンが与えられるため、融解は生じない。さらに、金属棒間の望ましくない接触は、広い温度範囲にわたって生じない。或いは、上記の熱膨張は、20℃から蓄熱器の作動で使用される温度範囲の上限まで加熱するために規定されてもよい。
熱交換器は、流体が運ばれる又はポンプで送られる複数の熱交換チューブを備えてもよい。流体は、例えば水であってもよい。より一般的には、液体又は蒸気のいずれかを流体として使用してもよい。熱交換チューブは、金属棒の間に延び、金属棒から間隔を置いて配置されてもよい。したがって、金属棒の熱放射によって、金属棒から熱交換チューブ及びその中に含まれる流体への熱伝達が生じる。さらに、特定の熱伝達は、金属棒及び熱交換チューブの間の気体によって、つまり、加熱された気体の対流空気流によって行われる。しかし、金属棒及び熱交換チューブを直接連結する固体物体内の熱伝導による熱伝達は生じない。
電気ヒーターは、金属棒の間に配置され、金属棒から間隔を置いて配置された複数の加熱素子を備えてもよい。熱は、熱交換チューブへの上記の熱伝達と同様に、加熱素子から金属棒に伝達される。
熱交換チューブ及び/又は加熱素子は、金属棒に対して移動可能に配置されて、それらの間の熱膨張の変化を可能にしてもよい。この目的のため、熱交換チューブも加熱素子も、金属棒又は支持ユニットと接続又は固定連結されない。熱交換チューブ及び/又は加熱素子は、ベースがわずかにしか熱膨張しないため、原理上ベースに接続されてもよい。熱交換チューブ及び/又は加熱素子の熱膨張が問題にならないようにするため、それらは移動可能に支持される又は吊り下げられることが好ましく、その吊り下げ部は金属棒又は支持ユニットに接続されない。吊り下げ部は、ベース又はベースに強固に接続されていない支持部に固定されてもよい。
金属棒は複数の列に配置されてもよく、詳細には、チェス盤のようなパターンを形成してもよい。しかし、金属棒の隣接する列の間の列距離は1つの列内の隣接する金属棒の距離よりも大きいことが好ましい場合がある。このようにして、列の間に自由空間が形成され、熱交換器又は電気ヒーターが自由空間に配置されてもよい。熱交換チューブは金属棒の幾つかの列の間に配置され、加熱素子は金属棒の他の列の間に配置されてもよい。熱交換チューブと加熱素子を自由空間に交互に、つまり次の順序で配置することが好ましい場合がある:金属棒の列、加熱素子、金属棒の列、熱交換チューブ、金属棒の列、加熱素子など。熱交換チューブは金属棒の列の間に水平に又は10%未満傾斜して延設されてもよい。したがって、熱交換チューブは複数の金属棒に対して垂直又は80°~100°の角度である。このようにして、熱交換パイプは複数の金属棒に沿って延び、これらの金属棒の全てから熱エネルギーを受け取る。
各場合において、複数の熱交換チューブが上下に並べられ、異なる高さの層に互いに間隔を置いて配置されてもよい。したがって、熱交換チューブは、隣接する金属棒の高さにわたって放出される熱エネルギーを受け取る。例えば、熱交換チューブが配置される高さの層は、金属棒の高さの少なくとも70%に及んでもよい。ポンプはそれぞれの高さの層ごとに設けられてもよいし、或いは、複数の高さの層の熱交換チューブが単一のポンプが接続された分流器を介して供給されてもよい。金属棒から熱を均一に抽出するため、詳細には、1つ又は複数のポンプが熱交換チューブを介して流体を運ぶために設けられ、上下に並べられた熱交換チューブ内で流体の流れ方向が互いに反対になるように配置されてもよい。したがって、上下に並べられた熱交換チューブは平行に延び、流れ方向は、上下に並べられた熱交換チューブ内で互いに反対方向であってもよい。
熱交換器は、金属棒の間に延設された熱交換チューブを備える必要はない。その代わり、熱交換器の熱伝達媒体が金属棒の間を自由に流れ、金属棒に接触してもよい。熱交換器は換気装置を備え、換気装置を介して熱伝達媒体としての気体が金属棒に沿って運ばれてもよい。換気装置は、例えばコンプレッサーやファンなど、気体を加速することができる任意のユニットを備えると理解されてもよい。電気ヒーターと蓄熱器を囲む、詳細には気密のケーシングが設けられてもよい。熱交換器は、ケーシングの下部領域、詳細には金属棒の下の領域に入口パイプを備え、ケーシングの下部領域に加熱される気体を導入してもよい。熱交換器は、ケーシングの上部領域に出口パイプを備え、ケーシングの上部領域から加熱された気体を出力してもよい。より一般的には、上部領域及び下部領域は、上部領域が下部領域の上にあると理解されてもよい。しかし、入口パイプによって形成されるケーシング内への気体入口が金属棒の下にあり、流入する気体がまず支持ユニットに到達する場合、支持ユニットが比較的冷たい気体によって冷却される。これは、ベースの温度上昇とこれにより生じる熱膨張を低減するのに有利である。出口パイプ、つまりケーシングからの気体出口は、金属棒の上に有利に配置されてもよい。これは、ケーシングを通る気体の均一な流れにとって有利である。ケーシングは、金属棒の上に、流れに対する障害物が実質的にない自由空間を提供し、基本的に均一な圧力がここに存在する。金属棒は互いに近接しているので、流れの障害として機能する/圧力低下を生じさせるスロットルとして機能する。さらに、支持ユニットは、金属棒よりも互いに間隔を置いて配置されており基本的に共通の圧力を有する下部領域を形成する。略均一な圧力を有するこの下部領域に気体が供給されると、金属棒の上の空間への上側への圧力が金属棒に起因して降下し、金属棒の上の空間に略均一な圧力が存在する。これは、ケーシングの気体入口の近くだけでなく、全ての金属棒の間で気体が略均一に上昇することを意味する。したがって、気体入口と気体出口の配置は、全ての金属棒からそれらを通過する気体への均一な熱出力を得るために重要である。
熱交換器は、気体が循環する閉回路を形成してもよい。好ましくは、気体として、不活性気体又は気体混合物が使用されてもよい。これは、詳細には、酸素を含まない気体混合物として理解されてもよい。これにより、金属棒と電気ヒーターの腐食の危険性が低減される。
熱交換器の閉回路には、第2の流体回路に熱エネルギーを放出する第2の熱交換器が設けられてもよい。好ましくは、熱交換器の換気装置は、ケーシングの外側に配置されて、ケーシング内の高温にさらされないようにしてもよい。したがって、好ましくは、換気装置は第2の熱交換器と入口パイプの間に配置される。
作動中、蓄熱器の温度は大きく変化し、充電状態に応じて、例えば20℃又は600℃であってもよい。したがって、熱伝達媒体としての気体の温度は、蓄熱器の充電状態にかなり依存する。高い気体温度で空気又は気体の圧力が高過ぎることは避ける必要がある。この目的のため、熱交換器の閉回路は、圧力に伴い増加するサイズを有する膨張容積を備えてもよい。これは、例えば、任意に付勢されることが可能な可動壁を介して達成されてもよい(例えば、ばねが、閉じ込められた気体に対して可動壁を押してもよい)。気体温度が上昇すると、気体の圧力が上昇することで可動壁が移動されるため、気体温度が上昇しても気体の圧力が過度に高くなることはない。
金属棒の列の間の加熱素子は、金属棒の高さの少なくとも70%に相当する高さに及んでもよく、金属棒の隣接する列の長さ全体にわたって延びる長さに及んでもよい。これにより、金属棒がかなり均一に加熱される。
加熱素子は、電気エネルギーをかなり完全に、例えば少なくとも80%熱エネルギーに変換する限り、原理上任意に設計されてもよい。加熱素子は、詳細には、抵抗原理に従って機能してもよい、つまり、電流が加熱素子を介して流れ、それらの電気抵抗に起因して加熱素子を加熱してもよい。加熱素子は、例えば、らせん状又は蛇行状に伸びる金属棒又は金属板の残りの部分が曲がりくねった形状、つまり、蛇行レーン又は蛇行形状を有するように隙間又は間隔がフライス加工された又は他の手段によって(例えばレーザー切断によって)設けられた金属板を備えてもよい。例えば鋼などの金属の電気抵抗は金属を加熱するために用いられる。この目的のため、蛇行レール又はレーンには、電圧が印加されることが可能な電気端子が設けられてもよい。
蓄熱器の2列の金属棒の間に、上記のような単一の加熱素子が配置されてもよい。
金属板が直立するように、つまり、板形状の長辺(最短寸法(金属板の厚さ/強度とも言う)の方向ではない)が金属棒の長手方向に揃えて配置されるように、板状の加熱素子が蓄熱器の金属棒の列の間に配置されてもよい。直立配置により、金属板から放出される熱エネルギーの大部分が蓄熱器の金属棒に到達する一方、金属板の細い側面で放出されるごく少量の熱放射は、金属棒が配置されていない他の方向に放射される。
高出力レベル、例えば最大8MWが、加熱素子を介してエネルギー蓄積器に供給されてもよい。
曲がりくねった形状の加熱素子の設計では、その変形(例えば、加熱素子の重さ又は熱膨張に起因する)によって、曲がりくねった形状の隣接する部分が互いに接触することを防ぐ必要がある。この目的のため、曲がりくねった形状の部分と接続され、これらを互いに規定された関係で保持する保持棒が使用されてもよい。蛇行形状のレール(すなわち、列又はロッド部)は、曲がりくねった形状の部分とみなされてもよい。好ましくは、各レールは、重力の方向(金属棒に平行)に延びて、複数のレール部分が水平方向に互いに隣接する。これは、金属板の安定性、吊り下げ及び固定にとって重要である。例えば穴又は突起のような各保持部が、異なる、詳細には全ての蛇行レールの部分の上部及び/又は下部領域に形成されることが好ましい場合がある。上部領域又は下部領域の保持部に対して、保持部に対応する位置に固定形状(保持機能)を有する1つ又は複数の保持棒が設けられ、固定形状は保持部と係合する。保持部が穴又は凹部として形成される場合、固定形状は突起又はフックとして形成されてもよく、或いは、その逆にであってもよい。このようにして、金属板が保持されて、蛇行する棒の部分の間の距離が確保されてもよい。詳細には、上部領域の保持部と接続される保持棒が設けられ(したがって、保持棒は水平に延びる)、一方、第2の保持棒は下部領域の保持部と接続され、水平に延びてもよい。
保持棒は、少なくともその表面で電気的に絶縁されており、蛇行レーンの間及び金属板と隣接する要素(例えば蓄熱器)の間での望ましくない電気接触を回避する。
各加熱素子用に、水平方向で見て各加熱素子の中央領域に位置する吊り下げ部が設けられてもよく、この水平方向における加熱素子の外側領域は自由であり(つまり、これらの位置に吊り下げ部は設けられない)、水平方向における加熱素子の熱膨張を可能にする。各加熱素子の下側が空中に自由に保持されて(したがって、その下に位置するベースに対して間隔を置いて)、縦方向における加熱素子の熱膨張を可能にしてもよい。吊り下げ部は、蓄熱器の1つ又は複数の中央の金属棒に接続されてもよい、つまり、加熱素子は、蓄熱器の1つ又は複数の金属棒によって保持されてもよい。ここで「中央」とは、金属棒の列の中央を指すと理解されてもよい。
或いは、加熱素子の中央の吊り下げ部をベースに接続することも可能である。これにより、加熱素子は自由に上方及び水平方向に熱膨張することができる。しかし、この場合、ベースへの熱伝達が大きくなり、ベースの熱膨張がより問題となる可能性がある。したがって、加熱素子の吊り下げ部が、ベースへの熱伝達を制限するため、金属棒に又はベースに接続されていない台座に接続することが好ましい場合がある。
電気ヒーター又はその吊り下げ部の設計は、蓄熱器の上記設計とは独立して、つまり、金属棒、支持ユニット及びベースとは独立して実施されるような独立した発明概念としてみなされてもよい。
電気ヒーター、蓄熱器及び熱交換器を備えるエネルギー蓄熱器といった表現は、少なくとも1つの電気ヒーター、少なくとも1つの蓄熱器及び少なくとも1つの熱交換器が設けられるように理解されてもよい。
本発明の方法の変形例は、任意の特徴として記載されるエネルギー蓄積器の特徴の意図される用途から生じる。
本発明のさらなる利点及び特徴を添付の概略図を参照して以下に説明する。
本発明のエネルギー蓄積器の蓄熱器の概略斜視図である。 本発明のエネルギー蓄積器の概略断面図である。 本発明のエネルギー蓄積器の概略縦断面図である。 本発明のエネルギー蓄積器の蓄熱器の部品の斜視図である。 本発明のエネルギー蓄積器の蓄熱器の部品の切断図である。 本発明のエネルギー蓄積器のさらなる例示的な実施形態である。 本発明のエネルギー蓄積器の別のさらなる例示的な実施形態である。 図6又は図7のエネルギー蓄積器の水平切断図である。 本発明のエネルギー蓄積器の加熱素子である。 本発明のエネルギー蓄積器の加熱素子の電気接点である。 本発明のエネルギー蓄積器の加熱素子である。
類似の同様に作用する部品は、図面において共通の参照符号で示す。
図1は、本発明のエネルギー蓄積器の例示的な実施形態の蓄熱器20の概略斜視図を示す。
エネルギー蓄積器は、蓄熱器20に加えて、電気ヒーター(ここでは図示せず)を備え、電気エネルギーは、電気ヒーターを介して外部からエネルギー蓄積器に入力され、そこに貯蔵される。電気ヒーターは外部送電網に接続されてもよく、電気エネルギーが一時的に過剰供給されたときに常に電気エネルギーを消費するように作動されてもよい。電気ヒーターは電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。この熱エネルギーは、以下でさらに詳細に説明する蓄熱器20に伝達され、そこで一時的に貯蔵される。
エネルギー蓄積器から熱エネルギーを得るために、エネルギー蓄積器は図1に示されていない熱交換器を備える。熱交換器、より詳細には、熱交換器で運ばれる流体は、蓄熱器20によって加熱される。加熱された流体は運ばれて、詳細には加熱目的又は電気エネルギー生成のために使用されてもよい。したがって、加熱された流体又は加熱された流体によって加熱された別の作動流体を使用して、エンジン発電機ユニット又はタービン発電機ユニットを駆動して、電気エネルギーを生成してもよい。
蓄熱器20は、熱エネルギーを貯蔵するために加熱される複数の金属棒21を備える。金属棒21は直立して配置されている、つまり、その長手方向は地球の重力場の方向に平行である。各金属棒はそれぞれの支持ユニット23によって保持され、支持ユニット23は共通のベース25に固定されている。したがって、すべての金属棒21は、共通のベース25の上で支持されている。
金属棒21は、例えば少なくとも300℃又は少なくとも500℃の温度範囲にわたって、熱を貯蔵するために強く加熱される。特に大量のエネルギーを貯蔵するためには、温度範囲が大きいことが好ましい場合がある。このような大きな温度変化により、加熱された部品の熱膨張が重要になる。異なる材料は異なる熱膨張の影響を受けるため、原理上これらの部品間で応力又は損傷が発生する可能性がある。本発明によれば、この危険性は、蓄熱器の設計及びエネルギー蓄積器の他の部品の配置により最小限に抑えられる。
この目的のために、金属棒又は金属ロッド21のロッド状の設計及びそれらの直立配置が重要である。絶対値での最も強い熱膨張が長手方向において金属棒21に生じる。金属棒21をその下端でのみ保持することで、その他の部分で金属棒21が自由である一方で、隣接する部品に応力を生じさせることなく長手方向における膨張が可能である。直立配置により、金属棒を下端(又は原理上上端)でのみ保持することができる。例えば、水平配置とは対照的に、金属棒の複数の位置又は両端に支持ユニットを設ける必要はない。したがって、断面方向において、以下でさらに詳細に説明するように、詳細には金属棒が空気/気体によってのみこの方向において囲まれている場合、金属棒の熱膨張は問題にならない。また、金属棒の断面は比較的小さいため、断面における熱膨張は絶対値で小さい。
各支持ユニット23は金属棒21のうち1つを支持する。金属棒21と支持ユニット23の組み合わせが、図4の斜視図に示される。さらに、図5は、金属棒21と支持ユニット23の間の接続領域の縦切断図を示す。図示のように、支持ユニット23はロッド又はパイプ23によって形成されてもよい。パイプ23は金属棒21よりも小さい断面を有する。これは取り付け及び断熱に有用である。断面積が小さくなると、パイプ23からベースへの熱伝達が低減する。ベースは一体に又は自由空間なしで形成されてもよいため、ベースが金属棒よりもより小さい程度によりゆっくり加熱されることが重要である。
パイプ23の断面が小さいことは、金属棒21がその下端にパイプ23が内部に突出する受け開口部又は穴22を有する場合に有用である場合がある。このようにして、金属棒21は、溶接、ねじ止め、又は互いに固定接続されることなく、パイプ23に保持されてもよい。その代わり、金属棒21はパイプ23に着座し、異なる熱膨張は問題にならない。このように積み重ねるには、金属棒の直立配置が有利である。さらに、受け穴22内での支持は、金属棒21の外周が自由である、つまり、各金属棒21の円周面が空気に隣接している、又は詳細には支持ユニットに隣接していないという効果を有する。これにより、金属棒21の外周での異なる熱膨張による潜在的な問題が回避される。
図5に示唆されるように、受け穴22は、金属棒21の端部に向かってより広い又はより広くなる導入部を有してもよい。この導入部は、金属棒21とパイプ23を組み合わせるのを容易にする。導入部の後ろで、受け穴22の形状はパイプ23の形状に対応し、したがって、示された例では、円形又は原理上角のある断面を有する円筒状である。図5に示すように、金属棒21の下端から離れた受け穴22の閉鎖端はテーパー状であってもよい。この形状は、パイプ23の上端も端部に向かって小さくなる断面を有する場合に適しており、パイプ23を受け開口部22に挿入するのに役立つ。
パイプ23の長さは金属棒21の長さの20%~50%、好ましくは25%~45%に相当してもよい。ベースまでの距離を長くしてベースに対する特に優れた断熱性を得るため、パイプ23の長さは長いことが好ましい。しかし、パイプ23の機械的安定性はパイプの長さが長くなると低下する。そのため、パイプの長さが長い場合、パイプ23の断面サイズを大きく選択する必要があり、その結果、望ましくないがベースへの熱伝達が増加する。したがって、パイプ23の長さの理想的な範囲が存在し、それは保持される金属棒21に依存する。パイプの長さが金属棒の長さの20%より小さい場合、ベースまでの距離が非常に短いため、熱伝達が望ましくなく高くなる。パイプの長さが金属棒の長さの50%を超えると、必要なパイプの直径が大きくなるため、熱伝達が望ましくなく高くなる。
詳細には、上記の場合、金属棒の直径はパイプの直径の1.5~2.5倍であると規定してもよい。
図2を参照して、蓄熱器20とエネルギー蓄積器の他の部品との相互作用について以下説明する。図2はエネルギー蓄積器100を断面図(つまり、蓄熱器の金属棒の長手方向に垂直な切断面)で示す。この例では、金属棒21は矩形、好ましくは正方形の断面を有する。金属棒21は複数の列26、27、28に配置される。各列26、27、28内の隣接する金属棒21間の距離は、2つの隣接する列26と27の間又は27と28の間の距離よりも小さい。これにより、隣接する列26、27、28の間にそれぞれ自由空間が形成される。自由空間の1つ又は複数に、電気ヒーター10の各加熱素子が配置される。1つ又は複数の他の自由空間に、熱交換器30の熱交換チューブ31、32が配置されている。加熱素子又は熱交換チューブ31、32は金属棒21に接触しない。
電気ヒーター10の加熱素子は、隣接する列27、28の全長にわたって又は全長の少なくとも80%にわたって連続的に延びていてもよい。加熱素子は加熱されて熱放射が行われる。電気ヒーター10から金属棒21へ及び金属棒21から熱交換器又は熱交換チューブへの熱伝達は熱放射及びそれらの間の気体を介して行われ、加熱素子と金属棒21の間、又は、金属棒21と熱交換器30又は熱交換チューブ31、32の間には、熱が伝達されることが可能な接続体は設けられない。有利には、金属棒21、電気ヒーター10及び熱交換器30には、これら部品間に応力が生じることなく、作動中に互いに独立した異なる熱膨張が生じる可能性がある。
1つの列26の金属棒21間の距離は金属棒21の直径よりも小さい(又は列26の方向における金属棒の寸法よりも小さい)。このような短い距離では、電気ヒーター10から放出された熱放射はほぼ完全に金属棒21に衝突し、金属棒21の列27を通過するのはほんの僅かである。これは特に効率的な熱伝達にとって重要である。さらに、列26の金属棒から放出されて熱交換チューブ31を通過する熱放射は、次の列27の金属棒に衝突し、したがって放出された熱エネルギーは失われずに蓄熱器に残る。
電気ヒーター10の電気加熱素子は、電流が供給されて加熱される1つ又は複数の金属体で形成されてもよい。金属棒の異なる列の間に、各電気加熱素子が設けられてもよい。図2に示すように、列を横断する方向(つまり、異なる列の間の自由空間)において、電気加熱素子と熱交換チューブが交互に配置されてもよい。
本発明のエネルギー蓄積器100の縦断面図を図3に示す。ベース25は少なくとも金属棒の列と同じ長さであり、例えばコンクリートブロックとして一体に形成されてもよいことが分かる。パイプ23は、コンクリートブロック内又はコンクリートブロックの保持装置内に直接突出していてもよく、このようにして固定されてもよい。パイプ23の材料は、熱膨張係数がベースの材料の熱膨張係数から最大5%だけ逸脱するように選択される。各パイプ23は互いに独立してベース25に接続されてもよいし、パイプ23が互いに接続されてからベース25に共に取り付けられてもよい。
図3に示すように、複数の熱交換チューブ32~37は金属棒の同じ2列の間で上下に配置されている。このように熱交換チューブを上下に並べることにより、金属棒の全高さにわたって熱エネルギーを熱交換器に伝達することができる。好ましくは、最上部から最下部までの熱交換器パイプ32~37の距離は、金属棒21の高さ/長さの少なくとも80%に相当する。熱交換チューブ内の流体の流れ方向も示されている。流れ方向は、上下方向で互いに隣接する熱交換チューブ32、33で反対である。このようにして、金属棒の列全体でより均一な熱出力が得られる。
金属棒の異なる列の間で同じ高さで延びる異なる熱交換チューブ37が互いに接続されて、ポンプ38を共有してもよい。これにより、より均一な流体の流れ及びより均一な熱出力が可能なより単純な構成が得られる。
別の熱交換器パイプ33よりも高く配置された熱交換器パイプ34にさらに上へ、流体をポンプで送り込まなくてはならない。したがって、さらなる対策を講じなければ、熱交換器チューブの流量は熱交換器パイプの高さの増加に伴い減少する。この場合、金属棒の上部領域での熱出力は低くなるであろう。これを補償するために、上部領域の熱交換チューブ37には下部領域の熱交換チューブ32よりも強いポンプ圧が供給されてもよい。
複数の又は異なるポンプ38の代わりに、流体分配器を備えた通常のポンプを用いてもよい。共通のポンプと上記熱交換チューブの間のラインにおけるスロットルを介して、異なる圧力が提供されてもよい。
図6は、本発明のエネルギー蓄積器のさらなる例示的な実施形態を示す。このエネルギー蓄積器は熱交換器30の設計において上記の例とは異なる。この場合、熱交換器は、金属棒21又は加熱素子11の間に延びる熱伝達流体用のチューブを備えていない。その代わり、熱伝達流体は金属棒21に沿って自由に流れる。蓄熱器の金属棒21及び加熱素子11はケーシング40に囲まれており、ケーシング40は、断熱され、熱伝達流体のための部屋を提供してもよい(部屋は入口開口部と出口開口部を除いて気密である)。代替的に又は追加的に、熱伝達流体のための制限壁を形成する気体/空気案内壁41が設けられてもよい。空気案内壁41及び/又はケーシング40は、金属棒21及び加熱素子11の領域に加えて、金属棒21の下の下部領域及び金属棒21の上の上部領域も囲む。熱交換器30は、下部領域に通じる入口パイプと、上部領域に接続された出口パイプとを備えている。換気装置39は、気体を熱伝達流体として入口パイプを介して下部領域に運び、そこから気体は金属棒21及び加熱素子11に沿って上昇し、そこで加熱され、最終的に出口パイプから出る。出口パイプは、第2の熱交換器45に通じ、そこから熱がさらに流体回路46に出力される。第2の熱交換器45から、気体は換気装置39を介して再び入口パイプに到達する。熱交換器30のこの設計はケーシング40内で熱交換チューブを使用しないため、熱交換チューブの熱膨張の問題が回避される。さらに、下部領域における比較的冷たい気体(気体は金属棒21よりも冷たい)の導入は、支持ユニット23ひいてはベース25が冷却される又はあまり強く加熱されないという結果をもたらす。これは、ベース25の熱膨張に関して重要な利点である。
(互いに近接して配置され、流入気体のスロットルとして機能し、したがって圧力降下を引き起こす金属棒21及び加熱要素11と比較して)自由な上部領域と自由な下部領域を有するので、導入気体が金属棒21に沿って上昇する前に、下部領域における導入気体の均一な分配が行われる。有利には、高温のために材料応力が高くなるケーシング40内に必然的に配置される換気装置39又は気体を運ぶ他の手段なしで、金属棒21に沿った均一な流れを提供することができる。
図7は、図6の例示的な実施形態の変形例を示す。この場合、熱交換器30の閉回路は、密閉された空気の圧力の増加に伴い増加するサイズを有する膨張容積42を含む。膨張容積はこの目的のために可動壁43を備えてもよい。有利には、これにより、空気の温度上昇に起因する熱交換器30の圧力上昇が少なくとも部分的に補償される。膨張容積42は、ラインを介して熱交換器の容積の残りの部分と連結される可変容積を備えた容器を備えてもよい。ラインは、金属棒21の上流の熱交換器の容積の残りの部分に接続し、金属棒21によって加熱されたばかりの空気ではなく、第2の熱交換器45で冷却されたばかりの空気が、膨張容積42内に運ばれる。このようにして、膨張容積で未使用のままである熱エネルギーはより少量になり、全体の効率が向上する。或いは、ラインは、ケーシング40の上部領域に又は上部領域から第2の熱交換器45へのパイプに接続されてもよい。この場合、金属棒21で加熱されたばかりの空気が膨張容積42に導かれ、結果として生じる圧力補償は、蓄熱器20の温度に特に敏感に反応する。
図8は、図6又は図7のエネルギー蓄積器の水平切断図を示す。電気ヒーター10の加熱素子11のそれぞれは、金属棒21の2つの隣接する列26と27又は27と28の間に配置されている。ここで、金属棒21の列の間に熱交換チューブは配置されていない。
図9は、上記全ての例示的な実施形態で用いることができる加熱素子11の設計をより詳細に示す。加熱素子11は、残りの金属板が蛇行レーン12を形成するように隙間が切断された金属板を備える。隙間は、例えば、レーザー切断又はフライス加工によって形成され、蛇行レーン12が金属板の2つの長手寸法内で(図9の紙面内で延びる板厚である短手寸法内ではない)延びるように金属板を切断してもよい。蛇行レーン12の異なる端部又は部分には、電圧が印加される電気接点が設けられている(図示せず)。蛇行レーン12に沿って電流が流れ、金属の電気抵抗により金属板が加熱され、これは抵抗加熱又はオーム加熱とも言う。
金属板は作動中に常温から600℃以上に加熱されることがあるため、熱膨張の観点での金属板の安定性は重要である。詳細には、蛇行レーンの部分がゆがんで互いに接触することで、接触部で短絡が生じて、蛇行レーンの部分に電流が殆ど供給されず殆ど加熱されないようなことは、回避する必要がある。これを回避するため、1つ又は複数の支持棒/保持棒が金属板に取り付けられている。金属板は、例えば、金属板の上端に水平方向の列に配置されうる金属板の穴又は突起であるような保持部13を備える。詳細には、蛇行レーンのU字形の各曲がり部に保持部13が設けられてもよい。同様に、蛇行レーンのU字形の各曲がり部で、金属板の下部領域に保持部13が設けられることが好ましい。
図11に概略的に示される保持棒15は、保持要素16と保持部13の間の固定が可能であるように、保持部13に対応するように選択されうる保持要素16を備えていてもよい。保持棒15は、列の全ての保持部13に接続されている。図11の例では、上列の保持部13用の保持棒15が設けられ、下列の保持部13用に別の保持棒15が設けられている。これにより、蛇行レーンのU字型の各曲がり部での望ましくないゆがみが回避される。
保持棒15は、好ましくは、金属板の材料の熱膨張係数から最大10%だけ逸脱する熱膨張係数を有する1つ又は複数の材料からなる。これにより、熱膨張により生じる材料応力を低く抑えられる。保持棒15は、蛇行レーンの部分の間で電気接触がさらに生じるのを回避するため、少なくともその表面で電気的に絶縁されている。
保持棒15は、金属板の吊り下げも容易にする。温度が上昇した場合に保持棒及び金属板の水平方向の端部が自由に膨張可能なように、保持棒は、好ましくは、(水平方向において)中央領域から吊り下げてられてもよい。詳細には、加熱素子11が隣接する金属棒21によって保持されるように、中央領域での吊り下げは、各加熱素子11に隣接する列26、27、28、29の1つ又は複数の中央の金属棒21に接続されてもよい。好ましくは、加熱素子11は、その上部領域で、例えば上側の保持棒15で吊り下げられるのみで、その下端は空中に自由に吊り下がる。このようにして、下方向及び上方向への熱膨張も自由に可能である。
図10は、蛇行レーン12の電気接点を概略的に示す。3つの電気接点/端子L1、L2及びL3が設けられて、通常のグリッド電圧の3相を供給してもよい。これにより、送電網が均一に使用される。
本発明のエネルギー蓄積器の設計により、エネルギー蓄積器の部品の熱膨張が問題とならないことが、費用効率が高く安定した方法で実現される。同時に、エネルギーを効率的にエネルギー蓄積器に入力、貯蔵及び出力できる。

Claims (15)

  1. 電気エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵するエネルギー蓄積器であって、
    電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気ヒーター(10)と、
    前記電気ヒーターの前記熱エネルギーを貯蔵する蓄熱器(20)と、
    前記蓄熱器から前記熱エネルギーを出力する熱交換器(30)と、
    を備え、
    前記蓄熱器(20)は、
    直立して配置された、前記電気ヒーター(10)の熱エネルギーを貯蔵する複数の金属棒(21)と、
    ベース(25)と、
    複数の支持ユニット(23)と、
    を少なくとも備え、
    各支持ユニット(23)は前記金属棒(21)のうち1つのみを保持し、前記複数の支持ユニット(23)は前記ベース(25)に保持されていることを特徴とする、エネルギー蓄積器。
  2. 前記金属棒(21)は前記ベース(25)から間隔を置いて配置され、
    前記支持ユニット(23)の材料の熱膨張係数は前記金属棒(21)の材料の熱膨張係数よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー蓄積器。
  3. 前記ベース(25)は基領域を規定するコンクリートブロックであり、前記基礎領域の上で、前記金属棒(21)が前記支持ユニット(23)によって保持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエネルギー蓄積器。
  4. 各支持ユニット(23)はパイプである又はパイプを備え、
    前記パイプは支持された前記金属棒(21)よりも小さい断面を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  5. 各金属棒(21)は下端に受け開口部(22)を有し、
    前記支持ユニット(23)は前記受け開口部(22)内に突出して、前記金属棒(21)を保持し、
    各金属棒(21)の外周は自由であり前記支持ユニット(23)に接触しないことを特徴とする、請求項4に記載のエネルギー蓄積器。
  6. 前記金属棒(21)は互いに隣接する複数の列(26、27、28)に配置され、互いに平行な縦軸に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  7. 1つの列(26)の隣接する金属棒(21)間の距離は、隣接する金属棒(21)が20℃から溶融温度よりも100℃低い温度まで加熱された場合に、前記列(26)の方向において生じる膨張よりも大きく、
    前記距離は前記膨張の5倍よりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載のエネルギー蓄積器。
  8. 熱交換器(30)は金属棒(21)に沿って熱伝達媒体として気体を案内する換気装置(39)を備え、
    前記電気ヒーター(10)及び前記蓄熱器(20)を囲うケーシング(40)が設けられ、
    前記熱交換器(30)は前記ケーシング(40)の下部領域、詳細には前記金属棒(21)の下の領域に入口パイプを備え、前記ケーシング(40)の前記下部領域に加熱される気体を導入し、
    前記熱交換器(30)は前記ケーシング(40)の上部領域に出口パイプを備え、前記ケーシング(40)の前記上部領域から加熱された気体を出力し、
    前記熱交換器(30)は閉回路を形成し、前記閉回路内に気体として不活性気体又は気体混合物を備え、
    第2の熱交換器(45)は前記閉回路に配置され、熱エネルギーは前記第2の熱交換器(45)を介して第2の流体回路に出力され、前記熱交換器(30)の前記換気装置(39)は前記ケーシング(40)の外側、詳細には前記第2の熱交換器(45)と前記入口パイプの間に配置され、
    前記熱交換器(30)の前記閉回路は圧力の増加に伴い増加するサイズを有する膨張容積を備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  9. 前記熱交換器(30)は、前記金属棒(21)の間に延設され前記金属棒(21)から間隔を置いて配置された複数の熱交換チューブ(31-37)を備えることで、その間における熱膨張の変化を可能にし、且つ/又は、
    前記電気ヒーター(10)は、前記金属棒(21)の間に配置され前記金属棒(21)から間隔を置いて配置された複数の加熱素子(11)を備えることで、その間における熱膨張の変化を可能にすることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  10. 各加熱素子(11)用に吊り下げ部が設けられ、
    前記吊り下げ部は、水平方向で見て各加熱素子(11)の中央領域に位置することで、水平方向における前記加熱素子(11)の熱膨張を可能にし、
    各加熱素子(11)の下側は空中に自由に保持されることで、縦方向における前記加熱素子(11)の熱膨張を可能にすることを特徴とする、請求項9に記載のエネルギー蓄積器。
  11. 熱は前記加熱素子(11)から前記蓄熱器(20)の前記金属棒(21)に熱放射によって且つその間に位置する気体を介して伝達され、
    前記加熱素子(11)及び前記金属棒(21)の間には、熱が伝達されることが可能な接続体が設けられないことを特徴とする、請求項9又は10に記載のエネルギー蓄積器。
  12. 金属棒(21)の隣接する列(26、27)の間の列距離は1つの列内の隣接する金属棒(21)の距離よりも大きく、
    前記熱交換チューブ(31;32-37)は金属棒(21)の隣接する列の幾つか(26、27;28、29)の間に配置され、前記加熱素子(11)は金属棒(21)の隣接する他の列(27、28)の間に配置され、
    前記熱交換チューブは金属棒(21)の列の間に水平に又は10%未満傾斜して延設されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  13. 複数の熱交換チューブ(32-37)が上下に並べられ、異なる高さの層に互いに間隔を置いて配置されて、前記金属棒(21)の高さにわたって放出される熱エネルギーを受け取り、
    前記熱交換チューブ(31-37)を介して流体を運ぶ1つ又は複数のポンプ(38)が設けられ、隣接して上下に並べられた熱交換チューブ(32、33)内の流体の流れ方向が互いに反対になるように配置されたことを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  14. 各加熱素子(11)は、自由空間が形成される金属板を備えて、前記金属板は、電気端子を介して電圧が印可されることが可能な蛇行レーン(12)を形成し、蛇行レーン(12)は複数の部分で構成されており、
    各保持部(13)は前記蛇行レーンの複数の部分の各部分の上部及び/又は下部領域に設けられ、
    前記保持部(13)に対応する位置に保持要素(16)を備える1つ又は複数の保持棒(15)が設けられ、
    前記保持要素(16)は前記保持部(13)に接続することで、前記金属板を保持して、前記蛇行レーンの各部分の間の距離を確保し、
    前記保持棒(15)は少なくともその表面で電気的に絶縁され、
    各金属板は前記金属棒(21)の高さの少なくとも70%に相当する金属棒(21)の列の間の高さに及び、
    各金属板は前記金属棒(21)の隣接する列の列長さ全体にわたって延びる長さに及ぶことを特徴とする、請求項~13のいずれか一項に記載のエネルギー蓄積器。
  15. 電気エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵することができ、熱エネルギーを出力することができるエネルギー蓄積器を作動させる方法であって、
    電気ヒーター(10)により電気エネルギーを熱エネルギーへ変換することと、
    蓄熱器(20)を用いて前記電気ヒーター(10)の熱エネルギーを貯蔵することと、
    熱交換器(30)を用いて前記蓄熱器(20)の熱エネルギーを出力することと
    を含み、
    前記蓄熱器(20)は、
    直立して配置された、前記電気ヒーター(10)からの熱エネルギーを貯蔵する複数の金属棒(21)と、
    ベース(25)と、
    複数の支持ユニット(23)と、
    を少なくとも備え、
    各支持ユニット(23)は前記金属棒(21)のうち1つのみを保持し、前記複数の支持ユニット(23)は前記ベース(25)に保持されていることを特徴とする、方法。
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