Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP7280595B2 - 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム - Google Patents

真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP7280595B2
JP7280595B2 JP2019030516A JP2019030516A JP7280595B2 JP 7280595 B2 JP7280595 B2 JP 7280595B2 JP 2019030516 A JP2019030516 A JP 2019030516A JP 2019030516 A JP2019030516 A JP 2019030516A JP 7280595 B2 JP7280595 B2 JP 7280595B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal conductivity
vacuum
value
internal pressure
vacuum insulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019030516A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020134394A (ja
Inventor
秀哉 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Fiber Glass Co Ltd filed Critical Asahi Fiber Glass Co Ltd
Priority to JP2019030516A priority Critical patent/JP7280595B2/ja
Publication of JP2020134394A publication Critical patent/JP2020134394A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7280595B2 publication Critical patent/JP7280595B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Examining Or Testing Airtightness (AREA)
  • Thermal Insulation (AREA)

Description

本発明は、住宅やプラントの外壁等に使用される真空断熱材の長期的な内圧計測から測定データを取得して、一定期間の測定データから熱伝導率、内圧についての長期性能変化を表す性能評価値を算出して、当該性能評価値に基づいて住宅やプラントの外壁等に施工した真空断熱材の数年後の断熱性能変化を予測するシステム及びプログラム(以下、「断熱性能変化予測システム等」)に関する。具体的には、真空断熱材の現在の断熱性能や交換タイミングをアラート等で顧客や施工業者等に通知することに適した、真空断熱材の断熱性能変化予測システム等に関する。
真空断熱材は、発泡スチロールよりも断熱性能の高い断熱材として冷蔵庫、魔法瓶、住宅やプラントの外壁等の様々な分野に多用されている。この真空断熱材は、例えば、内部に多くの空隙をもつ多孔体からなる芯材に、芯材を封入する袋状のガスバリア性フィルムを被せて減圧し、ガスバリア性フィルムの開口部を熱溶着(ヒートシール)し、ガスバリア性フィルムの外側に外層を設けて構成することができる。
一般に、住宅やプラントの外壁等に施工した真空断熱材は、長期的に運用することで経年劣化が進行し、外部から空気等のガスが長い時間をかけて徐々に内部に流入して、ガスの流入による断熱性能が低下する。そのため、真空断熱材内に温度センサ、真空センサ等を設けて、長期に渡って真空断熱材の性能をモニタリングして、真空断熱材の性能変化を検出する装置等が従来技術として提案されている。
例えば、特許第4641565号公報(特許文献1)に記載の真空断熱パネルは、芯材にガスバリア性の外皮材を被せ、周辺の温度の計測が可能な温度センサ部、温度センサ部による計測結果を無線通信可能な通信部、及びバッテリーが外皮材の内側に配置されるように構成されている。また、特開2012-136254号公報(特許文献2)に記載の真空断熱パネルは、断熱材をガスバリア性フィルムで覆い、内部を真空にした断熱パネルにおいて、外皮材の内側に少なくとも真空センサと、真空センサで検知した真空データを外部に送信可能な通信部と、バッテリーを設けられている。
これら従来技術の真空断熱材(真空断熱パネル)は、内蔵されたセンサによって、真空断熱材の真空度や、周辺の温度を計測することができ、無線通信によって測定データを外部機器に送信し、当該測定データを受信した外部機器において真空断熱材の断熱性能をモニタリングすることができる。それによって、当該外部機器を使用する顧客や施工業者等が、センサによる計測時点での真空断熱材の性能を知ることができる。
特許第4641565号公報 特開2012-136254号公報
しかしながら、上記従来例による真空断熱材のモニタリングでは、センサから得られる温度、真空(内圧)等の各種計測値に基づいて、単に計測時点での真空断熱材の断熱性能が低下しているか否かを判断できるに過ぎず、真空断熱材から得られる計測値の変化を時系列的に考慮して、数年後の真空断熱材の断熱性能変化を予測することは困難であった。
そこで、本発明では、定期的に真空断熱材の内蔵センサから測定データを取得し、測定日時と共に時系列的に記憶装置に蓄積し、蓄積された測定データから内部の圧力値(内圧値)を算出して、最新の内圧値と、過去の内圧値との差分を、それらの内圧値に対応する測定データの計測間隔(例えば、最新の測定データを蓄積した日と過去の測定データを蓄積した日との差分である日数)で割って、性能評価値の一例である圧力勾配を算出することで、算出した圧力勾配に基づいて、真空断熱材の数年後又はそれ以降の断熱性能の変化を予測して、真空断熱材の交換タイミングや現在の断熱性に関するアラートを、真空断熱材の長期的な断熱性能の変化を監視する者(施工業者、製造メーカー等)へ提示することが可能な断熱性能変化予測システム等を提供する。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの1つの実施形態として、芯材と、前記芯材を覆うガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムの外側に設けられた外層とを含み、内部を減圧密封した真空断熱材の前記外層よりも内側に設けられた小型無線真空計であって、圧力センサと、前記圧力センサにより計測された測定データを送信する送信ユニットとを少なくとも含む小型無線真空計から取得した測定データを記憶する記憶部と、
前記測定データから、前記圧力センサによる計測時点での前記真空断熱材の内部圧力を示す内圧値を求め、前記内圧値と、前記真空断熱材の過去の内部圧力を表す過去内圧値との内圧差分を算出し、単位時間当たりの前記内圧差分の変化量を表す圧力勾配値を取得する圧力勾配計算部と、
予め指定された指定期間が経過した場合の前記真空断熱材の断熱性能を、前記圧力勾配値から換算された熱伝導率に基づいて判定する性能判定部と、
前記性能判定部による判定結果に応じた通知を行う通知部と
を含み、
前記性能判定部は、前記熱伝導率が予め指定された指定熱伝導率以上となるか否かを判定し、
前記通知部は、前記性能判定部において前記熱伝導率が前記指定熱伝導率以上と判定された場合に、前記真空断熱材の交換を促す通知を行うこと
を特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記圧力勾配値は、後述する数式(1)によって算出されることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記熱伝導率は、後述する数式(2)によって算出されることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、後述する数式(2)中の前記交換時期を表す値 t は、前記予め指定された指定期間の値であることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、交換時期は、後述する数式(3)によって算出されることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、後述する数式(3)中の λcop は、前記予め指定された指定熱伝導率の値であることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記通知部は、前記真空断熱材の熱伝導率が前記指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知することを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記通知部は、前記性能判定部において前記熱伝導率が前記指定熱伝導率未満と判定された場合に、前記指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知することを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記性能判定部は、さらに、前記熱伝導率λcopの現在値と、前記性能判定部により過去に取得された1以上の過去値との相関係数が、予め指定された指定相関係数以上となるか否かを判定し、
前記通知部は、前記性能判定部において前記相関係数が前記指定相関係数未満と判定された場合に、前記真空断熱材の交換を促す通知又は異常を知らせる警告の通知を行うことを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測システムの好ましい実施形態として、前記相関係数は、前記熱伝導率λcopの前記現在値をXとし、前記過去値をYとして、後述する数式(4)によって算出されることを特徴とする。
本発明に係る断熱性能変化予測プログラムの1つの実施形態として、コンピュータを前記断熱性能変化予測システムとして機能させることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態に係る断熱性能変化予測システムは、真空断熱材の内蔵センサを用いた定期的なモニタリングにより、真空断熱材の最新の内圧値と過去の内圧値との差分を、過去から最新に至るまでのモニタリング日数で割って圧力勾配を算出する圧力勾配計算部を備えたことで、算出した圧力勾配に基づいて、真空断熱材の数年後又はそれ以降の断熱性能の変化を予測することが可能となる。また、本発明の1つの実施形態に係る断熱性能変化予測システムは、予測された断熱性能の変化に基づいて、真空断熱材の交換タイミングや現在の断熱性に関するアラートを、真空断熱材の長期的な断熱性能の変化を監視する者(施工業者、製造メーカー等)へ提示することも可能となる。
真空断熱材をモニタリングするためのシステム構成例を示す図である。 モニタリングの対象となる真空断熱材に含まれる小型無線真空計の部品構成を示すブロック図である。 断熱性能変化予測システムとして機能するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る断熱性能変化予測システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。 断熱性能変化予測システムの表示画面の一例を示す図である。 小型無線真空計内の圧力センサから取得した出力値を圧力の値に換算する処理の流れを示すフローチャートである。 小型無線真空計内の圧力センサと真空断熱材の内部圧力との関係を示すグラフである。 グラスウール芯材を含む真空断熱材の熱伝導率と真空断熱材との内部圧力との関係を示すグラフである。 図8及び図9に示すグラフを重ねて示したグラフである。 指定期間が経過した場合の真空断熱材の断熱性能を圧力勾配値から換算された熱伝導率に基づいて判定する処理の流れを示すフローチャートである。 真空断熱材の内部圧力と期間(日数)との関係(圧力勾配)を示すグラフである。
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、真空断熱材をモニタリングするためのシステム構成例を示す図である。小型無線真空計10は、真空断熱材20の中に設けられ、真空断熱材20の内部圧力を示す内圧値を算出するための測定データを、インターネット等のネットワークNを介してサーバ30に送信することができる。
小型無線真空計10は、携帯端末(外部の受信ユニット)(図示せず)に無線通信で測定データを送信して、携帯端末がネットワークNを介して測定データをサーバ30に送信することができる。また、小型無線真空計10は、Wi-Fi等で直接ネットワークに接続して、測定データの送信先として予め設定されたサーバ30に測定データを送信することもできる。端末40は、ネットワークNを介してサーバ30に接続し、真空断熱材の数年後又はそれ以降の断熱性能の変化の予測結果に基づいて真空断熱材の交換タイミングや現在の断熱性に関する通知(アラート)等を受け取り、画面に表示することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る真空断熱材に含まれる小型無線真空計の部品構成を示すブロック図である。小型無線真空計10は、圧力センサ1と、オペアンプ2と、A/Dコンバータ3と、CPU・無線送信ユニット4と、温湿度センサ・内部時計5と、充電ユニット6と、DC/DCコンバータ7と、バッテリー8とを含むことができる。
圧力センサ1は、真空断熱材内部の圧力を測定し、圧力センサ1に接続されたオペアンプ2は、測定された圧力値のアナログ信号を増幅することができる。オペアンプ2に接続されたA/Dコンバータ3は、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、A/Dコンバータ3に接続されたCPU・無線送信ユニット4は、デジタル信号を受け取り、受け取ったデジタル信号を測定データとして、1GHz未満のサブギガ帯無線又は2.4GHz帯無線又は5GHz帯無線によって外部の受信ユニット(図示せず)に送信することができる。
CPU・無線送信ユニット4の周波数帯は、無線送信可能な周波数帯であれば、どれでも選択が可能であるが、送信距離の問題から1GHz以下範囲が好ましい。920MHz帯はISMバンド帯を利用しており、1回の送信にかかる消費電力も大きい。しかしながら、920MHz帯は2.4GHz帯に比べて、回折性が高いので障害物を回りこんで通信することができ、電波の到達距離も長いことから、真空断熱材の外層表面から数mの送信が可能である。
一方、BLE(Bluetooth Low Energy)通信を含む2.4GHz帯の通信方法では、消費電力は少ないが、電波の到達距離は、一般的な真空断熱材の外層表面から5cm程度である。壁内部に真空断熱材を設置した場合の計測が難しいが、壁厚の薄い所や、壁から真空断熱材の表面が剥き出しである場合に用いることができる。
外部の受信ユニットは、測定データの受信時に測定電圧を記録し、既知の校正値(電圧/圧力)の変換値から圧力値に変換することができ、変換で出力される圧力値は、例えば、受信ユニット(サーバ)で実行されるプログラムによって計算される。
圧力センサ1は、微小電気機械システム(MEMS)で形成された熱電対型真空センサを用いることができる。また、圧力センサ1は、MEMSで形成された熱電対型真空センサを用いることもできる。
CPU・無線送信ユニット4に接続された温湿度センサ・内部時計5は、例えば、I2C通信等のシリアル通信で直接CPUに信号を送信することができる。CPU・無線送信ユニット4は、温湿度センサ・内部時計5からの信号を無線で外部の受信ユニットに送信することができる。なお、温湿度センサについては無くても、圧力センサ1により真空断熱材の内側の圧力を測定することが可能な為、必要がない場合には、小型無線真空計10の構成に含めなくてもよい。つまり、温湿度センサは、真空断熱材の内部に侵入する水蒸気圧の問題を確認する等の必要な場合に応じて、小型無線真空計10に含めることができる。さらに、各種分子種(二酸化炭素、一酸化炭素、酸素、VOC等)を計測するセンサも小型無線真空計10に含めることができる。すなわち、小型無線真空計10は、温度センサ、湿度センサ、各種分子種を計測するセンサ及び内部時計のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。
CPU・無線送信ユニット4に接続されたバッテリー8は、CPU・無線送信ユニット4及び該ユニットに電気的に接続されたその他の部品(素子)に電力を供給することができる。また、バッテリー8は、DC/DCコンバータ7を介して充電ユニット6に接続され、充電ユニット6は、バッテリー8を充電するための電力を供給することができる。DC/DCコンバータ7は、充電ユニット6から得られる電圧を、バッテリー8の充電に必要な電圧に変換することができる。
なお、DC/DCコンバータ7は、本来、小型無線真空計10のバッテリー8の充電に必須ではない。DC/DCコンバータ7は、真空断熱材の金属性ガスバリア性フィルムを介して充電を行う際に、誘電加熱が引き起こされることが原因で生じ得る誘電損失の影響を最小限にするための構成である。つまり、このような誘電加熱が引き起こされると、必要な電力を供給することが困難となるため、DC/DCコンバータ7を用いることで、必要な電圧まで昇圧することが可能となる。
より高電圧をかけると真空断熱材表面での発熱が大きくなり、樹脂と金属層から成るガスバリア性フィルムを破損又は樹脂膜を溶解してしまう可能性がある。そうした場合、真空断熱材は、真空を維持できなくなり、断熱性が大きく損なわれてしまう。よって、DC/DCコンバータ7を介してセンサを駆動させることは、真空断熱材の内部で運用する際により好ましい構成である。
充電ユニット6は、充電機構としてペルチェ素子又は非接触給電用のコイルを採用することができる。充電ユニット6の充電機構としてペルチェ素子を用いた場合には、ペルチェ素子に熱が加えられることで、ゼーベック効果により生じた電力を、DC/DCコンバータ7を介してバッテリー8に供給することができる。例えば、バッテリー8として、85mAhの小型リチウムイオンポリマー(LiPo)バッテリーを採用した場合には、充電ユニット6のペルチェ素子に80℃の熱を約5分間加えることで、当該小型LiPoバッテリーの充電を完了することができる。80℃の熱を約5分間加える程度であれば、真空断熱材にはほぼダメージを与えずに充電することができる。
充電ユニット6は、充電機構として非接触給電用のコイルを用いた場合、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式によって生じた電力を、DC/DCコンバータ7を介してバッテリー8に供給することができる。例えば、電磁誘導方式の場合、充電ユニット6には受電側コイルが含まれ、真空断熱材の外部の充電器等に含まれる送電側コイルと、受電側コイルとの間で発生する誘電磁束を利用して生じた電力を充電ユニット6で受け取ることができる。
また、電界共鳴方式の場合、受電側コイルは受電側共振回路に含まれ、送電側コイルは送電側共振回路に含まれる。充電器送電側共振回路に含まれる送信側コイルに電流が流れることにより発生した磁場の振動が、同じ周波数で共振する受電側共振回路に含まれる受信側コイルに伝わることで、磁界共鳴させて生じた電力を充電ユニット6で受け取ることができる。
小型無線真空計10は、真空断熱材の減圧密閉された内部に設けられる。真空断熱材は、芯材と、該芯材を覆うガスバリア性フィルムと、該ガスバリア性フィルムの外側に設けられた外層とを含み、小型無線真空計10は、真空断熱材の外層よりも内側、好ましくは、ガスバリア性フィルムの内側に含まれる。
このように、小型無線真空計10は、外部電源との電気的な接続なしにバッテリーを充電できる充電機構を含む充電ユニットを設けたことで、小型無線真空計10が真空断熱材に内蔵されても、長期的な運用に耐え得る十分な電力を継続して供給することができる。
真空断熱材の芯材としては、真空断熱材分野で用いられているものを特に制限なく用いることができる。具体例としては、連続気泡硬質ポリウレタンフォーム、無機繊維、有機繊維、無機粉体、エアロゲル等を使用することができる。ハンドリング、断熱性の観点から、シート状に形成された無機繊維が好ましい。無機繊維としては、ガラス繊維、アルミナやシリカ等のセラミック繊維、スラグウール繊維、ロックウール繊維等が挙げられる。これらの中では、断熱性、成形加工性等の観点から、ガラス繊維が好ましい。なお、芯材の耐熱性を向上させるため、ステンレス鋼、クロム-ニッケル系合金、高ニッケル合金、高コバルト合金等の耐熱性金属繊維を少量混合することもできる。芯材は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
本発明の一実施形態に係る真空断熱材において、吸着剤が芯材と共に袋状のガスバリア性フィルムに封入されてもよい。吸着剤は、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素等のガス、及び/又は水分を吸着する物質である。吸着剤としては、酸化カルシウム、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化バリウム、バリウム-リチウム合金又はこれらの混合物等が挙げられる。ガス吸着性能及び生産性の観点から、酸化カルシウムが好ましい。吸着剤は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
本発明に用いられるガスバリア性フィルムは、ガスバリア性を有するフィルムであれば特に制限はないが、シール層及びガスバリア層を積層したものが好ましく、芯材に接する側から順にシール層、ガスバリア層及び1層以上の樹脂フィルム層を積層したものがより好ましい。ガスバリア性フィルムの厚さは、特に制限はないが、通常50~200μmであり、好ましくは60~180μmである。
ガスバリア層は、ガスを透過しない層であり、真空断熱材の真空度の低下を防ぐ観点から用いられる。ガスバリア層としては、金属箔や、樹脂フィルム上に蒸着膜を形成した蒸着フィルム等が挙げられる。蒸着フィルムは、蒸着法、スパッタ法等により、基材上に蒸着膜を形成することにより得られる。ガスバリア性及び経済的観点から、金属箔及び蒸着材料のいずれにおいても、好ましくは、アルミニウムが用いられる。
蒸着フィルムの基材となる樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、アクリル酸エステルとメチルメタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルを部分ケン化した物等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から製造されるフィルムが用いられる。
ガスバリア層の厚さは特に制限はないが、金属箔の場合は、1~60μmであり、好ましくは5~30μmである。厚さが1μm以上であれば、金属箔の強度が高く、ピンホールの形成等が抑えられる。蒸着フィルムの場合は、ガスバリア層の厚さは、10~60μm、好ましくは12~30μmであり、そのうち蒸着膜の厚さは、0.2~3.0μm、好ましくは0.5~2.0μmである。蒸着膜の厚さが0.2μm以上であればガスバリア性を発揮でき、3.0μm以下であれば蒸着膜形成の技術的な困難さは大きくはない。ガスバリア層に用いられる金属箔や蒸着フィルムは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
シール層は、加熱により融着可能な樹脂である。熱融着可能な樹脂であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアクリロニトリル、PET、エチレン-ビニルアルコール共重合体、又はそれらの混合体からなるフィルム等を用いることができる。好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体が用いられる。ポリエチレンは、0.90~0.98g/cm3の密度のものが好ましい。ポリプロピレンは、0.85~0.95g/cm3の密度のものが好ましい。シール層の厚さは特に制限はないが、通常10~100μmであり、好ましくは25~60μmである。シール層に用いられる樹脂は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
樹脂フィルム層は、ガスバリア層を保護する目的で、ガスバリア層上に任意に設けられる層である。樹脂フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、メタキシリレンジアミン・アジピン酸縮合体等のポリアミド樹脂;ポリビニルアルコール、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート、アクリル酸エステルとメチルメタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂から製造されるフィルムが用いられる。好ましくは、PET、ナイロン6又はナイロン66である。これらの樹脂フィルムには、有機質、無機質のフィラーを添加することもできる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。樹脂フィルム層には、ガスバリア性フィルムのガスバリア性能を更に向上させるために、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルアルコール等のビニルモノマーを重合、共重合させて得られるガスバリア性樹脂を塗布したり、積層したり、それらの粒子を樹脂フィルム層中に混合分散させることもできる。樹脂フィルム層の厚さは特に制限はないが、通常5~40μmであり、好ましくは10~30μmである。樹脂フィルム層に用いられる樹脂は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
ガスバリア性フィルムは、袋状に形成される。袋状とは、中に芯材及び吸着剤を入れられる形状である。ガスバリア性フィルムを袋状に形成する工程には、特に制限はない。例えば、ガスバリア性フィルムがシール層有する場合に、互いのシール層が接するように2枚のガスバリア性フィルムを重ねて、芯材及び吸着剤を納める部位の周りを、芯材及び吸着剤の挿入のための開口部を残して熱融着することにより、ガスバリア性フィルムを袋状に形成してもよい。
本発明に用いられる真空断熱材用ガスバリア性フィルムの外層には紙及び/又は不織布を積層することができる。紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着させて製造した物である。有機繊維及び無機繊維のいずれも紙の材料として使用し得る。紙の材料となる有機繊維としては、例えば、植物由来の繊維、合成繊維等があり、紙の材料となる無機繊維は、例えば、鉱物、金属からなる繊維、合成繊維等がある。不織布とは、繊維シート、ウェブまたはバットで、線が一方向またはランダムに配向しており、交流、及び/又は融着、及び/又は接着によって繊維間が結合されたものである。有機繊維及び無機繊維のいずれも不織布の材料として使用し得る。
不織布の材料となる有機繊維は天然繊維及び化学繊維を含み、天然繊維としては綿、羊毛、フェルト、麻、パルプ、絹等があり、化学繊維としてはレーヨン、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維、アセテート等がある。不織布の原料となる無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維等がある。好ましい材料は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンである。紙及び不織布は公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
外層の厚さは、0.01mm~3mmであり、好ましくは0.03~0.5mmである。外層の目付は特に制限はないが、好ましくは10~200g/m2であり、より好ましくは20~100g/m2である。
外層は、例えば、ラミネートによって、ガスバリア性フィルムの、芯材と接しない側(真空断熱材の外側)に接着される。ラミネートの方法としては、ドライラミネート、押し出しラミネート、ホットメルトラミネート、ウェットラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。
真空断熱材の形状は、例えば、板状である。板状とは、薄く平たい形状を言い、対向する2つの面及びこれら2つの面を接続する側周面を有する。外層は、板状の真空断熱材の少なくとも片面の一部を覆っており、好ましくは、使用する際に熱源側に配置される面の縁を枠状に覆っている。外層は、好ましくは真空断熱材の側周面も覆っており、より好ましくは真空断熱材の全面(すなわち、両面及び側周面)を覆っている。また、複数の真空断熱材を組み合わせて用いる場合には、真空断熱材同士の継ぎ目部分における熱の漏洩を防ぐために、側周面を外層で覆うことが有利である。
図3は、断熱性能変化予測システムとして機能するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。なお、図中では、サーバ30のハードウェアに対応する符号には括弧を付すことなく記載し、端末40のハードウェアに対応する符号には括弧を付して記載する。
サーバ30は、例示的に、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなるメモリ33と、バス34と、入出力インターフェース35と、入力部36と、出力部37と、記憶部38と、通信部39と、を備えている。
CPU31は、メモリ33に記録されているプログラム、又は、記憶部38からメモリ33にロードされたプログラムにしたがって各種の処理を実行する。CPU31は、例えば、サーバ30を本発明の断熱性能変化予測システムとして機能させるためのプログラムを実行することができる。また、断熱性能変化予測システムの少なくとも一部の機能を、特定用途向け集積回路(ASIC)等でハードウェア的に実装することも可能である。
メモリ33には、CPU31が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU31及びメモリ33は、バス34を介して相互に接続されている。このバス34には、入出力インターフェース35も接続されている。入出力インターフェース35には、入力部36と、出力部37と、記憶部38と、通信部39と、が接続されている。
入力部36は、各種ボタン、タッチパネルあるいはマイク等で構成され、サーバ30の管理者等の指示操作に応じて各種情報を入力する。なお、入力部36は、サーバ30の他の各部を収容する本体とは独立した、キーボードやマウス等の入力装置により実現されてもよい。
出力部37は、ディスプレイやスピーカ等で構成されており、画像データや音楽データを出力する。出力部37が出力した画像データや音楽データは、ディスプレイやスピーカ等から、画像や音楽としてプレイヤが認識可能に出力される。
記憶部38は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
通信部39は、他の装置との間で行う通信を実現する。例えば、通信部39は、ネットワークNを介して、端末40との間で相互に通信を行う。
なお、サーバ30には、不図示であるがドライブを必要に応じて適宜設けられる。ドライブには、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等から構成されるリムーバブルメディアが適宜装着される。リムーバブルメディアには、ゲーム実行するためのプログラムや、画像データ等の各種データが格納される。ドライブによってリムーバブルメディアから読み出されたプログラムや、画像データ等の各種のデータは、必要に応じて記憶部38にインストールされる。
次に、端末40のハードウェアの構成について説明する。端末40は、図2に示すように、例示的に、CPU41と、メモリ43と、バス44と、入出力インターフェース45と、入力部46と、出力部47と、記憶部48と、通信部49と、を備えている。これら各部は、上述のサーバ30が備える、符号のみが異なる同名の各部と同等の機能を有している。従って、重複する説明を省略する。なお、端末40を、携帯型の装置として構成する場合には、端末40が備える各ハードウェアと、ディスプレイやスピーカとを一体の装置として実現するようにしてもよい。
(機能的構成)
図4は、本発明の一実施形態に係る断熱性能変化予測システムの機能的構成の一例を示すブロック図である。図4は、図3に示したサーバ30の機能的構成及び端末40の機能的構成のうち、断熱性能変化予測処理といった処理を実行するための機能的構成を示すブロック図である。
ここで、断熱性能変化予測処理とは、モニタリング対象の真空断熱材から時間的な間隔を空けて繰り返し取得した測定データを換算して得られた内部圧力の値(内圧値)の時系列的な変化に基づく指標(圧力勾配)を用いて、当該真空断熱材の長期的な断熱性能の変化を予測する処理である。具体的な処理の内容は、図5及び図6に記載のフローチャートの説明で後述する。
サーバ30は、断熱性能変化予測処理を実現するプログラムが実行される場合、図4に示すように、CPU31において、圧力勾配計算部311と、性能判定部312と、通知部313とが機能する。また、記憶部38の一部の記憶領域には、モニタリング対象の真空断熱材から取得した測定データを記憶する測定データ記憶部381と、測定データの値を真空断熱材の内部圧力の値(内圧値)に換算した内圧値記憶部382とが含まれる。
断熱性能変化予測処理による、端末40との通信は、サーバ30の通信部39と端末40の通信部49を利用して行われる。なお、図1に示されるように、サーバ30と端末40との間には、通信を実現するためのネットワークNが存在するが、図4ではこのネットワークNの図示を省略する。
測定データ記憶部381には、図1に示すように真空断熱材20の内部状態をモニタリングするために設けられた小型無線真空計10から取得した、圧力センサ1(図2参照)で計測された測定データを計測時刻と関連付けて蓄積される。圧力勾配計算部311は、圧力センサ1で計測された測定データから、圧力センサ1による計測時点での真空断熱材20の内部圧力を示す内圧値を求め、求めた内圧値を測定データ(及び/又は、計測時刻)と関連付けて内圧値記憶部382に格納することができる。
また、圧力勾配計算部311は、内圧値記憶部382を参照して、所定の計測時点での内圧値と、それよりも過去の真空断熱材の内部圧力の値を表す過去内圧値との内圧差分を算出し、単位時間当たりの内圧差分の変化量を表す圧力勾配値を取得する。圧力勾配値は、下記数式(1)によって算出される。
Figure 0007280595000001
ただし、ΔPa は、前記圧力勾配値であり、Pac は計測時点での前記真空断熱材の前記内圧値であり、Paa は Pac よりも過去に計測された前記過去内圧値であり、Day は Paa の計測時点から Pac の計測時点までの測定間隔を表す日数である。
性能判定部312は、予め指定された指定期間が経過した場合の真空断熱材の断熱性能を、圧力勾配値から換算された熱伝導率に基づいて判定することができる。熱導電率は、下記数式(2)によって算出される。数式(2)は真空断熱材の製造に用いる材料個別に予め λsr、λga 、P1/2 を取得しておく必要がある。
Figure 0007280595000002
ただし、λcop は真空断熱材の中央部の熱伝導率であり、λsr は雰囲気圧力である Pa が 1Pa 以下の時の芯材の固体及び放射熱伝導率であり、λga は乾燥空気の熱伝導率であり、P1/2 は芯材の大気圧下での熱伝導率の値と、真空下(1Pa以下)での熱伝導率の値を足して2で割った熱伝導率の時の雰囲気圧力値、t は、交換時期を表す値である。なお、交換時期を表す値 t は、予め指定された指定期間の値とすることができる。
本発明に用いる真空断熱材は、製品にセンサを組み込む前に数式(2)によって熱伝導率と内部圧力の関係について把握しておく事が望ましい。測定の方法として、センサを組み込んだ真空断熱材の熱伝導率を熱流計法(JIS-1412 PartII)に基づいて計測し、その時の圧力から熱伝導率と圧力の関係式である数式(2)を取得する方法がある。
交換時期 は、下記数式(3)によって算出される。
Figure 0007280595000003
ただし、t は、交換時期を表す値であり、λcop は真空断熱材の中央部の熱伝導率であり、λsr は雰囲気圧力である Pa が 1Pa 以下の時の芯材の固体及び放射熱伝導率であり、λga は乾燥空気の熱伝導率であり、P1/2 は芯材の大気圧下での熱伝導率の値と、真空下(1Pa以下)での熱伝導率の値を足して2で割った熱伝導率の時の雰囲気圧力値である。なお、 λcop は、予め指定された指定熱伝導率の値とすることができる。
通知部313は、真空断熱材の熱伝導率が予め指定された指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知することができる。また、通知部313は、性能判定部312において真空断熱材の熱伝導率が指定熱伝導率未満と判定された場合に、指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知することもできる。さらに、通知部313は、性能判定部312において真空断熱材の熱伝導率が指定熱伝導率を超えていると判定された場合に、
アラートを通知することができる。例えば、通知部313は、通信部39を介して端末40のモニター等の出力部47に、性能判定部312の判定結果に応じて、真空断熱材の熱伝導率が指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を予測結果として表示すること、断熱性能の劣化を知らせるアラートを表示すること等ができる。
性能判定部312は、さらに、上述した数式(2)で算出された熱伝導率λcopの現在値と、性能判定部312により過去に取得された1以上の過去値との相関係数が、予め指定された指定相関係数以上となるか否かを判定することができる。相関係数は、熱伝導率λcopの現在値をXとし、過去値をYとして、下記数式(4)によって算出される。
Figure 0007280595000004
通知部313は、性能判定部312において相関係数が予め指定された指定相関係数未満と判定された場合に、真空断熱材の交換を促す通知又は異常を知らせる警告の通知を行うことができる。
端末40は、ブラウザプログラム411をCPU41によって実行することで、図5に示すような表示画面を出力部47に表示することができる。図5は、断熱性能変化予測システムの表示画面の一例を示す図である。例えば、校正結果代入欄では、小型無線真空計10の圧力センサ1の各種パラメータ(To:大気圧でのセンサ出力値、Tmax:真空状態でのセンサ出力値、P1/2:センサ出力値が半分になる時の圧力)の入力を受け付け、さらに、芯材の各種パラメータ(λsr:乾燥空気の熱伝導率、λga:大気圧下での熱伝導率、P1/2:真空下(1Pa以下)での熱伝導率の値を足して2で割った熱伝導率の時の雰囲気圧力値)の入力を受け付けることができる。このように圧力センサと芯材の校正結果の値を予め設定することができる。
図5に示す表示画面中の閾値入力欄では、真空断熱材の製造日の入力を受け付け、閾値として真空断熱材内部の熱伝導率、耐久年数の入力を受け付けることができる。端末40は、サーバ30で計算された断熱性能変化の予測した結果を、長期性能予測結果と判定として、表示画面上に、グラフ等の表示を行うことができる。予測結果が、閾値として予め指定した熱伝導率及び年数を超えていなければ、判定は良好(〇)を表示し、加えて交換時期(例えば、3年目以降)と表示することができる。
図6は、小型無線真空計内の圧力センサから取得した出力値を圧力の値に換算する処理の流れを示すフローチャートである。当該処理は、サーバ30の圧力勾配計算部311で実行される。まず、サーバ30の測定データ記憶部381に蓄積された、小型無線真空計10から取得した、圧力センサ1(図2参照)で計測された測定データを取得する(ステップS100)。次に、芯材のパラメータを取得する(ステップS101)。芯材のパラメータは図5に示した表示画面を介してユーザに入力させることができる。最後に、芯材のパラメータ及び測定データを圧力値に換算する(S102)。
測定データから圧力値への換算は、例えば、図5に示した表示画面を介してユーザによって入力された圧力センサ1の各種パラメータ(To:大気圧でのセンサ出力値、Tmax:真空状態でのセンサ出力値、P1/2:センサ出力値が半分になる時の圧力)を、理論計算式 y = Tmax/(1+x/(P1/2))-To に代入することで、換算することができる。理論計算式中のxは、内部圧力(Pa)であり、yは小型無線真空計10の圧力センサ1の測定データの出力値である。x軸を内部圧力(Pa)とし、y軸を圧力センサ1の出力値(マイクロ真空センサ出力値)として、グラフにプロットした結果を図7に示す。
また、図5に示した表示画面を介してユーザによって入力された芯材の各種パラメータ(λsr:乾燥空気の熱伝導率、λga:大気圧下での熱伝導率、P1/2:真空下(1Pa以下)、理論計算式 y = λsr + λga/(1+(P1/2)/x) に代入することで、換算することができる。理論計算式中のxは、内部圧力(Pa)であり、yは真空断熱材20の芯材(グラスウール)の熱導電率(mW/mK)である。x軸を内部圧力(Pa)とし、y軸を芯材の熱伝導率として、グラフにプロットした結果を図8に示す。図9は、図7及び図8に示すグラフを重ねて示したグラフである。
図10は、指定期間が経過した場合の真空断熱材の断熱性能を圧力勾配値から換算された熱伝導率に基づいて判定する処理の流れを示すフローチャートである。ステップS110では、サーバ30の圧力勾配計算部311が、記憶部38(測定データ記憶部381、内圧値記憶部382)に蓄積されたデータからΔPa(内圧-過去(初期)内圧/測定日数)を計算する。ΔPaの計算式は、上述した数式(1)に基づくものである。
ステップS111では、サーバ30の性能判定部312が、内圧と熱伝導率との関係式に基づいて指定期間の長期性能を計算する。具体的には、上述した数式(2)から(4)に基づいて、真空断熱材の交換時期、真空断熱材内部の熱伝導率を計算する。ステップS112では、性能判定部312は、計算された結果が、図5に示した表示画面を介して閾値としてユーザによって指定された熱伝導率(指定熱伝導率)を超えるか否かを判定する。指定熱伝導率を超える場合(S112の「はい」)、通知部313は、真空断熱材の交換を促す通知を行い(S113)、指定熱伝導率を超えない場合(S112の「いいえ」)、通知部313は予測される交換時期を端末40の画面(出力部47)に表示することができる。真空断熱材の交換時期の予測は、例えば、圧力勾配値の現在値と過去値との相関係数に基づいて判断することができる(上述した数式(3)及び(4))。
マイクロ真空センサを搭載した真空断熱材を、下記の表に示す環境下に静置させ、長期性能(熱伝導率の時間変化)を測定し、内部圧力から換算した性能と比較した。
Figure 0007280595000005
芯材の各種パラメータ(λsr:雰囲気圧力であるPaが1Pa以下の時の芯材の固体及び放射熱伝導率、λga:大気圧下での熱伝導率、P1/2:真空下(1Pa以下)での熱伝導率の値を足して2で割った熱伝導率の時の雰囲気圧力値)は、下記の表に示すとおりである。
Figure 0007280595000006
上述した数式(2)に基づいて計算された熱伝導率λcop(「計算熱伝導率」ともいう)を求め、求められた熱伝導率λcopの値(現在値)と、過去に求めた値(過去値)との相関係数を上述した数式(4)に基づいて計算した。その結果を下記の表に示す。190日目に針孔で真空断熱材に穴をあけ、養生テープで穴をふさぎ、意図的に性能低下を引き起こした。
Figure 0007280595000007
図11は、真空断熱材の内部圧力と期間(日数)との関係(圧力勾配)を示すグラフである。このようなグラフは、長期性能予測結果として、図5に示した表示画面に表示することができる。図11に示すグラフから分かるとおり、内圧の時間変化は基本的には一定の割合で増加する。大きく性能が低下すると、上記表に示すとおり相関係数が大きく下がるため、次のような条件の際にアラートを出すようにすることができる。(1)過去4回の圧力測定結果から推定した性能が、ユーザの指示した性能(年数と熱伝導率)を超える場合、アラートを表示する。また、(2)相関係数が0.7を下回って、製品性能に問題が起きていると推定される場合、アラートを表示する。
(1)については、製品が自然と性能変化する過程で、「〇年後に性能が〇mW/mKになります」という通知を表示しますが、性能変化がユーザ(顧客)要求を超える場合にアラートを表示することができる。一方、(2)のように突発的に性能が変わる場合は、何らかしら製品に問題が起こっていると想定されるため、こちらも同様にアラートを出し、交換を示唆する指示を、断熱性能変化予測システムから提供することが可能となる。
以上のような構成により、本発明の1つの実施形態に係る断熱性能変化予測システムは、算出した圧力勾配に基づいて、真空断熱材の数年後又はそれ以降の断熱性能の変化を予測することが可能となり、また、予測された断熱性能の変化に基づいて、真空断熱材の交換タイミングや現在の断熱性に関するアラートを、真空断熱材の長期的な断熱性能の変化を監視する者(施工業者、製造メーカー等)へ提示することも可能となる。
本発明に係る真空断熱材は、熱エネルギーを効率的に利用するために住宅やプラントの外壁等に利用することができる。特に、真空断熱材の施工後に断熱性能を計測して、真空断熱材の長期的な運用・性能予測を行うことなどに利用することができる。
1 圧力センサ
2 オペアンプ
3 A/Dコンバータ
4 CPU・無線送信ユニット
5 温湿度センサ・内部時計
6 充電ユニット
7 DC/DCコンバータ
8 バッテリー
10 小型無線真空計
20 真空断熱材
30 サーバ
31 CPU
311 圧力勾配計算部
312 性能判定部
313 通知部
33 メモリ
34 バス
35 入出力インターフェース
36 入力部
37 出力部
38 記憶部
381 測定データ記憶部
382 内圧値記憶部
39 通信部
40 端末
41 CPU
411 ブラウザプログラム
43 メモリ
44 バス
45 入出力インターフェース
46 入力部
47 出力部
48 記憶部
49 通信部
N ネットワーク

Claims (8)

  1. 芯材と、前記芯材を覆うガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムの外側に設けられた外層とを含み、内部を減圧密封した真空断熱材の前記外層よりも内側に設けられた小型無線真空計であって、圧力センサと、前記圧力センサにより計測された測定データを送信する送信ユニットとを少なくとも含む小型無線真空計から取得した測定データを記憶する記憶部と、
    前記測定データから、前記圧力センサによる計測時点での前記真空断熱材の内部圧力を示す内圧値を求め、前記内圧値と、前記真空断熱材の過去の内部圧力を表す過去内圧値との内圧差分を算出し、単位時間当たりの前記内圧差分の変化量を表す圧力勾配値を取得する圧力勾配計算部と、
    予め指定された指定期間が経過した場合の前記真空断熱材の断熱性能を、前記圧力勾配値から換算された熱伝導率に基づいて判定する性能判定部と、
    前記性能判定部による判定結果に応じた通知を行う通知部と
    を含み、
    前記性能判定部は、前記熱伝導率が予め指定された指定熱伝導率以上となるか否かを判定し、
    前記通知部は、前記性能判定部において前記熱伝導率が前記指定熱伝導率以上と判定された場合に、前記真空断熱材の交換を促す通知を行うこと
    を特徴とする断熱性能変化予測システム。
  2. 前記圧力勾配値は、下記数式(1)によって算出されることを特徴とする請求項1に記載の断熱性能変化予測システム。
    Figure 0007280595000008
    ただし、ΔPa は、前記圧力勾配値であり、Pac は計測時点での前記真空断熱材の前記内圧値であり、Paa は Pac よりも過去に計測された前記過去内圧値であり、Day は Paa の計測時点から Pac の計測時点までの測定間隔を表す日数である。
  3. 前記熱伝導率は、下記数式(2)によって算出されることを特徴とする請求項2に記載の断熱性能変化予測システム。
    Figure 0007280595000009
    ただし、λcop は真空断熱材の中央部の熱伝導率であり、λsr は芯材の固体及び放射熱伝導率であり、λga は乾燥空気の熱伝導率であり、P1/2 は芯材の大気圧下での熱伝導率の値と、真空下(1Pa以下)での熱伝導率の値を足して2で割った熱伝導率の時の雰囲気圧力値、t は、交換時期を表す値であり、前記交換時期を表す値 t は、前記予め指定された指定期間の値である。
  4. 前記通知部は、前記真空断熱材の熱伝導率が前記指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知すること
    を特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の断熱性能変化予測システム。
  5. 前記通知部は、前記性能判定部において前記熱伝導率が前記指定熱伝導率未満と判定された場合に、前記指定熱伝導率に到達するまでの期間又は時間を通知すること
    を特徴とする請求項に記載の断熱性能変化予測システム。
  6. 前記性能判定部は、さらに、前記熱伝導率λcopの現在値と、前記性能判定部により過去に取得された1以上の過去値との相関係数が、予め指定された指定相関係数以上となるか否かを判定し、
    前記通知部は、前記性能判定部において前記相関係数が前記指定相関係数未満と判定された場合に、前記真空断熱材の交換を促す通知又は異常を知らせる警告の通知を行うこと
    を特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の断熱性能変化予測システム。
  7. 前記相関係数は、前記熱伝導率λcopの前記現在値をXとし、前記過去値をYとして、下記数式(4)によって算出されることを特徴とする請求項に記載の断熱性能変化予測システム。
    Figure 0007280595000010
  8. コンピュータを請求項1から7のいずれか1項に記載の断熱性能変化予測システムとして機能させることを特徴とする断熱性能変化予測プログラム。
JP2019030516A 2019-02-22 2019-02-22 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム Active JP7280595B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019030516A JP7280595B2 (ja) 2019-02-22 2019-02-22 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019030516A JP7280595B2 (ja) 2019-02-22 2019-02-22 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020134394A JP2020134394A (ja) 2020-08-31
JP7280595B2 true JP7280595B2 (ja) 2023-05-24

Family

ID=72278392

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019030516A Active JP7280595B2 (ja) 2019-02-22 2019-02-22 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7280595B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008223922A (ja) 2007-03-14 2008-09-25 Sharp Corp 真空断熱材
JP2012180903A (ja) 2011-03-01 2012-09-20 Heiji Aota 折り曲げ断熱パネルとそれを使用した断熱容器
CN103245690A (zh) 2012-02-01 2013-08-14 三星电子株式会社 热绝缘性能测量设备以及使用该设备的测量方法
JP2015513327A (ja) 2012-02-03 2015-05-07 カラロン グローバル リミテッド 真空断熱パネル品質管理システムおよび同システムを用いた方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0259492A4 (de) * 1986-01-30 1989-11-09 Vnii Ispytatel Med Tech Polyurethanschaumzubereitung für traumatologische immobilisierungen.
JPH1123409A (ja) * 1997-06-30 1999-01-29 Nepiyuu Giken:Kk 空缶もれの判定方法ならびにその装置
JPH11304633A (ja) * 1998-04-21 1999-11-05 Matsushita Electric Works Ltd エアーリーク検出装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008223922A (ja) 2007-03-14 2008-09-25 Sharp Corp 真空断熱材
JP2012180903A (ja) 2011-03-01 2012-09-20 Heiji Aota 折り曲げ断熱パネルとそれを使用した断熱容器
CN103245690A (zh) 2012-02-01 2013-08-14 三星电子株式会社 热绝缘性能测量设备以及使用该设备的测量方法
JP2015513327A (ja) 2012-02-03 2015-05-07 カラロン グローバル リミテッド 真空断熱パネル品質管理システムおよび同システムを用いた方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020134394A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6961447B2 (ja) 真空断熱材
Wang Self‐powered nanosensors and nanosystems
KR101799743B1 (ko) 복수의 안테나, ic 및/또는 감지 요소를 갖는 태그 조립체
US9385560B2 (en) Methods, devices and systems for self charging sensors
WO2013140816A1 (ja) 真空断熱材およびこれを用いた断熱筐体
JP2014515704A (ja) 電気活性層を有する多層複合材料
US8549927B2 (en) Device and method to sense battery internal state
US11961384B2 (en) Device for sensing the activity of people or the status of infrastructures or objects influenced by people
JP7280595B2 (ja) 真空断熱材の性能変化予測システム及びプログラム
CN110024023B (zh) 防音结构
WO2009138955A2 (en) Indoor child monitoring system
TW201625941A (zh) 含吸收材料之磁力共振器感測器
CN110474086A (zh) 方便进行声学检测的电池组、其制备方法和检测方法
JP2012180903A (ja) 折り曲げ断熱パネルとそれを使用した断熱容器
JP6192554B2 (ja) 真空断熱材の製造方法
JP2003302290A (ja) 温度測定用データキャリア、その製造方法、温度測定方法および温度測定システム
JP2006118559A (ja) 真空断熱材、真空断熱材の断熱性能確認方法、断熱容器、並びに、断熱容器利用システム
WO2015140394A1 (en) An apparatus and associated methods
US10228319B2 (en) Systems and methods for magneto-mechanical resonator sensors
TW201625907A (zh) 含質量散佈通道之磁力共振器感測器
JP2004258968A (ja) 警報器
US20220291070A1 (en) System and method for monitoring and responding to sensed environmental events and sensors therefor
WO2020213357A1 (ja) 真空断熱材
KR20240006673A (ko) 극저온 저장 컨테이너, 폐쇄 요소 및 제작 방법
JP7426626B2 (ja) 真空断熱体の管理システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230406

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7280595

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150