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JP7276176B2 - 真空成形内装部品 - Google Patents

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JP7276176B2
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Description

本発明は、真空成形内装部品に関し、詳しくは、表皮材が接着される基材の厚肉部の表面に複数の突起リブ(以下、「キャビリブ部」という)が凹溝を隔てて形成された真空成形内装部品に関する。
例えば、車両の内装部品では、真空成形することによって、柔らかいクッション層を有する表皮材を所定の形状に賦形された基材の表面に貼着して形成された真空成形内装部品が採用されている。この真空成形内装部品では、基材の裏面側に他の部品を取り付ける取付座が、基材の裏面側に突出して形成されることがある。その場合、取付座が形成された箇所では、基材の肉厚が一般部より厚くなるので、成形時に基材の表面にヒケが生じやすく、そのヒケによって基材に貼着された表皮材の外観品質が低下することがあった。
そのため、基材の厚肉部における表面のヒケを低減させる技術が、例えば、特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1には、図8に示すように、表皮層101とクッション層102を貼り合わせた合成樹脂シート103を真空成形によって基材104と一体化した真空成形品において、前記基材104の厚肉部104aに、先端が前記合成樹脂シート103を貼り付ける面と略同一である複数の突起(キャビリブ部)105を略同幅の凹溝106を隔てて設けた真空成形品100が開示されている。上記真空成形品100によれば、基材104における突起(キャビリブ部)105を、基材104の一般部の肉厚と同程度に形成することによって、基材104の表面に生じるヒケを低減できる。
特開平7-329178号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された真空成形品100では、以下の問題があった。すなわち、図9(A)に示すように、合成樹脂シート103は、所定の温度に加熱され、柔らかいクッション層102が基材104の表面に接着される。そのため、図9(B)に示すように、図示しない真空成形型を閉じて、合成樹脂シート103を真空吸引しながら基材104の表面に押圧して接着させる際、クッション層102の一部102aが、基材104の凹溝106内に侵入することになる。また、図9(C)に示すように、合成樹脂シート103が基材104の表面に接着され、冷却されると、クッション層102が収縮する。このとき、基材104の凹溝106内に侵入したクッション層102の一部102aは、基材104の一般部に接着されたクッション層102bより多く収縮する。さらに、図9(D)に示すように、真空成形型を開いた際、基材104の凹溝106内に侵入したクッション層102の一部102aは、基材104の一般部に接着されたクッション層102bより復元力が弱い。そのため、複数の突起(キャビリブ部)105を設けた箇所において、合成樹脂シート(表皮材)103が部分的に凹んで見えるヒケ部HKが形成され、突起(キャビリブ部)105の無い一般部の合成樹脂シート(表皮材)103とヒケ部HKとの境界線HKLが目立って、外観不良となるという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケを目立ちにくくして、外観品質を向上できる真空成形内装部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る真空成形内装部品は、次のような構成を有している。
(1)表皮層とクッション層とからなる表皮材が表面に貼着された基材を備え、当該基材の厚肉部に、複数のキャビリブ部が凹溝を隔てて形成された真空成形内装部品であって、
前記基材の前記キャビリブ部と前記凹溝とを囲むキャビリブ外周部には、当該キャビリブ外周部と隣接する前記基材の一般部の表面より、裏面側に所定の幅で僅かに窪んで形成された肉盗み部を備えたことを特徴とする。
本発明においては、基材のキャビリブ部と凹溝とを囲むキャビリブ外周部には、当該キャビリブ外周部と隣接する基材の一般部の表面より、裏面側に所定の幅で僅かに窪んで形成された肉盗み部を備えたので、肉盗み部の表面に貼着されたクッション層の復元後の厚さを、キャビリブ外周部と隣接する基材の一般部の表面に貼着されたクッション層の復元後の厚さより、窪み量の分だけ僅かに小さくさせることができる。一方、クッション層の一部が凹溝に侵入するので、キャビリブ部が形成された箇所に貼着されたクッション層の復元後の厚さは、肉盗み部の表面に貼着されたクッション層の復元後の厚さより、小さくなる。
そのため、キャビリブ部が形成された箇所に貼着された表皮材が部分的に凹んで見えるヒケ部と、キャビリブ部の無い一般部に貼着された表皮材との境界を、肉盗み部に貼着された表皮材によって緩やかな曲面にして、暈すことができる。その結果、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケを目立ちにくくさせることができる。
よって、本発明によれば、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケを目立ちにくくして、外観品質を向上できる真空成形内装部品を提供することができる。
(2)(1)に記載された真空成形内装部品において、
前記肉盗み部は、前記基材のデザイン上の折り曲げ線から所定距離だけ離間した範囲で形成されていることを特徴とする。
本発明においては、肉盗み部は、基材のデザイン上の折り曲げ線から所定距離だけ離間した範囲で形成されているので、基材のデザイン上の折り曲げ線近傍に貼着された表皮材の外観品質に対する肉盗み部の影響を回避させることができる。一方、基材のデザイン上の折り曲げ線近傍では、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケ部の境界線は、デザイン上の折り曲げ線によって目立ちにくくなる。そのため、基材のデザイン上の折り曲げ線近傍に貼着された表皮材に対して、基材のキャビリブ部が形成された箇所における肉盗み部による影響を回避させつつ、表皮材のヒケを目立ちにくくして、外観品質をより一層向上できる。
(3)(1)又は(2)に記載された真空成形内装部品において、
前記肉盗み部の表面には、前記基材に形成された真空吸引孔と前記凹溝とを連通する第1通気溝が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、肉盗み部の表面には、基材に形成された真空吸引孔と凹溝とを連通する第1通気溝が形成されているので、表皮材によって封止された凹溝内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第1通気溝を介して外気に放出することができる。また、第1通気溝は、肉盗み部の表面に形成したので、基材に表皮材を貼着させるときには、真空成形型で押圧されたクッション層によって第1通気溝を一時的に閉塞することができ、凹溝に対する第1通気溝からの真空吸引を規制して、凹溝内に侵入するクッション層の拡大を防止できる。そのため、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケ量の増加を防止しつつ、凹溝内の空気の膨張に基づく表皮材の変形を回避させることができる。
(4)(3)に記載された真空成形内装部品において、
前記キャビリブ外周部の内縁から前記基材の裏面側に起立する縦壁部に対する前記キャビリブ部の交差部には、前記基材の表面側で前記凹溝同士を連通させる第2通気溝が形成されていることを特徴とする。
本発明においては、キャビリブ外周部の内縁から基材の裏面側に起立する縦壁部に対するキャビリブ部の交差部には、基材の表面側で凹溝同士を連通させる第2通気溝が形成されているので、表皮材によって封止された複数の凹溝内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第2通気溝を経由して特定の凹溝内に集合させた後、第1通気溝を介して外気に放出することができる。そのため、複数の凹溝に対して、肉盗み部に形成する第1通気溝の数量を最小化でき、第1通気溝による表皮材の外観不良を抑制できる。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載された真空成形内装部品において、
前記肉盗み部の窪み量は、真空成形前における前記クッション層の厚さの1/20~1/10倍程度の大きさに形成され、前記肉盗み部の幅は、前記窪み量の50~150倍程度の大きさに形成されていることを特徴とする。
本発明においては、肉盗み部の窪み量は、真空成形前におけるクッション層の厚さの1/20~1/10倍程度の大きさに形成され、肉盗み部の幅は、窪み量の50~150倍程度の大きさに形成されているので、肉盗み部の表面に貼着されたクッション層の復元後の厚さを、キャビリブ外周部と隣接する基材の一般部の表面に貼着されたクッション層の復元後の厚さより、窪み量に比例して、緩やかな傾斜をもって1/20~1/10程度小さくさせることができる。
そのため、キャビリブ部が形成された箇所に貼着された表皮材が部分的に凹んで見えるヒケ部と、キャビリブ部の無い一般部に貼着された表皮材との間で、明確な境界線を無くして、両者をより一層緩やかな曲面で繋ぐことができ、表皮材のヒケ部をより一層目立ちにくく暈すことができる。
本発明によれば、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケを目立ちにくくして、外観品質を向上できる真空成形内装部品を提供することができる。
本実施形態に係る真空成形内装部品の一実施例である自動車のインストルメントパネルを形成する手順を示す概略斜視図であって、(A)は表皮材を形成する表皮材形成ステップを示し、(B)は基材を形成する基材形成ステップを示し、(C)は表皮材を基材に真空成形によって貼着させる真空成形ステップを示す。 図1(B)に示すA部の詳細斜視図である。 図2に示すC-C断面図である。 図2に示すD-D断面図である。 図2に示すE-E断面図である。 図1(B)に示すB部の詳細斜視図である。 図1(C)に示す真空成形ステップにおいて形成される真空成形内装部品の部分断面図であって、(A)は表皮材を基材に貼着する前の状態を示し、(B)は表皮材を基材の表面に貼着させた後の状態を示す。 特許文献1に開示された真空成形品の断面図であって、(A)は真空成形品の要部断面図を示し、(B)は(A)に示すX-X断面図を示す。 図8に示す真空成形品において、基材の厚肉部の表面に表皮材を真空成形によって貼着させる過程を表す断面図であって、(A)は表皮材を基材に貼着させる前の状態を示し、(B)は真空成形型を閉じて、表皮材を基材に押圧した状態を示し、(C)は基材に貼着させた表皮材を押圧したまま冷却させた状態を示し、(D)は真空成形型を開いて、表皮材のクッション層が復元した状態を示す。
次に、本発明に係る実施形態である真空成形内装部品について、図面を参照して詳細に説明する。具体的には、本真空成形内装部品の成形手順を簡単に説明した上で、その特徴的な構造である基材のキャビリブ部が形成された箇所について詳細に説明する。また、本真空成形内装部品において、基材のキャビリブ部が形成された箇所における表皮材のヒケを目立ちにくくできた作用効果を説明する。
<本真空成形内装部品の成形手順>
まず、本真空成形内装部品の成形手順を、図1を用いて簡単に説明する。図1に、本実施形態に係る真空成形内装部品の一実施例である自動車のインストルメントパネルを成形する手順を示す概略斜視図を示す。図1(A)に、表皮材を形成する表皮材形成ステップを示し、図1(B)に、基材を形成する基材形成ステップを示し、図1(C)に、表皮材を基材に真空成形によって貼着させる真空成形ステップを示す。
本真空成形内装部品10の成形手順は、図1(A)に示すように、表皮材1を形成する表皮材形成ステップ<S1>と、図1(B)に示すように、基材2を形成する基材形成ステップ<S2>と、図1(C)に示すように、表皮材形成ステップ<S1>で形成した表皮材1を、基材形成ステップ<S2>で形成した基材2の表面21に、真空成形によって貼着させて、真空成形内装部品10を形成する真空成形ステップ<S3>とを備えている。
具体的には、図1(A)に示すように、表皮材形成ステップ<S1>にて、表面側の延性に優れた表皮層11と裏面側の柔らかなクッション層12とで構成された表皮材1を所定の大きさに切断する。表皮層11は、例えば、0.5~0.8mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)製である。クッション層12は、例えば、3~4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)製である。クッション層12の裏面には、接着剤が塗布されている。また、表皮材1は、延性を高めるため、所定の温度(例えば、150~200℃程度)に加熱されている。
また、図1(B)に示すように、基材形成ステップ<S2>にて、所定の形状に賦形された基材2を、射出成形等によって形成する。基材2には、厚肉部22を複数備え、各厚肉部22には、複数のキャビリブ部23が凹溝24を隔てて形成されている。基材2は、例えば、ポリプロピレン(PP)等のような合成樹脂製である。また、基材2には、表皮材1を真空吸引する複数の真空吸引孔27が分散して形成されている。
また、図1(C)に示すように、真空成形ステップ<S3>にて、表皮材1を基材2の表面21に被せた状態で、図示しない真空成形型を閉じて、基材2の裏面側から真空吸引することによって、表皮材1を基材2の表面21に貼着させて、真空成形内装部品10を形成する。なお、表皮材1の表面側から真空吸引して、表皮材1の表皮層11にシボ模様を形成しても良い。ここでは、本真空成形内装部品10は、車両に搭載されるインストルメントパネルであるが、必ずしも、これに限る必要はない。なお、図1(C)に示す矢印は、本真空成形内装部品10が車両に搭載されたときの、前後、左右、上下の方向を示す。
<本真空成形内装部品の特徴的な構造とその効果>
次に、本実施形態に係る真空成形内装部品の特徴的な構造である基材のキャビリブ部が形成された箇所とその表皮材のヒケに対する効果について、図1~図7を用いて説明する。図2に、図1(B)に示すA部の詳細斜視図を示す。図3に、図2に示すC-C断面図を示す。図4に、図2に示すD-D断面図を示す。図5に、図2に示すE-E断面図を示す。図6に、図1(B)に示すB部の詳細斜視図を示す。図7に、図1(C)に示す真空成形ステップにおいて形成される真空成形内装部品の部分断面図を示し、図7(A)に、表皮材を基材に貼着する前の状態を示し、図7(B)に、表皮材を基材の表面に貼着させた後の状態を示す。
図1~図7に示すように、本真空成形内装部品10は、表皮層11とクッション層12とからなる表皮材1が表面21に貼着された基材2を備え、当該基材2の厚肉部22に、複数のキャビリブ部23が凹溝24を隔てて形成されている。また、基材2のキャビリブ部23と凹溝24とを囲むキャビリブ外周部25、25Bには、当該キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261より、裏面側に所定の幅w1で僅かに窪んで形成された肉盗み部25N、25BNを備えている。また、キャビリブ部23の上端面231は、一般部26の表面261と略同一の高さに形成されている。
ここでは、基材2の厚肉部22は、略平坦に形成された基材2の裏面側に突出して形成され、本真空成形内装部品10の長手方向(車両の左右方向)に適宜の間隔をもって配置されている。厚肉部22の底面は、略矩形状の平坦面に形成され、図示しない空調用ダクトを溶着等によって接合する取付座221を構成している。また、複数のキャビリブ部23は、取付座221に対して車両の上下方向へ垂直状に起立し、基材2の樹脂成形型における型抜き方向に合わせて、車両の前後方向に平行に形成されている。キャビリブ部23同士を隔てる凹溝24は、上端が解放され、下端が取付座221によって閉塞されている。ここでは、キャビリブ部23の厚さd4は、凹溝24の幅d5と略同一に形成され、また、基材2の一般部26の厚さd2とも略同一に形成されているが、d2、d4、d5の大きさは、それぞれ異なっていても構わない。
また、図2に示すように、肉盗み部25Nは、略平坦に形成された基材2のキャビリブ外周部25の全周に亘って所定の幅w1で形成されている。ところが、図6に示すように、キャビリブ外周部25Bの近くにデザイン上の折り曲げ線2DLが形成されている場合には、肉盗み部25BNは、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DLから所定距離w2だけ離間した範囲で形成されていることが好ましい。上記所定距離w2が肉盗み部25BNの幅w1以下の場合、肉盗み部25BNは、略コの字状に形成されることになる。
図6に示すように、肉盗み部25BNを、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DLから所定距離w2だけ離間させることによって、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DL近傍に貼着された表皮材1の外観品質に対する肉盗み部25BNの影響を回避させることができるからである。また、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DL近傍では、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における表皮材1のヒケ部HKの境界線は、デザイン上の折り曲げ線2DLによって目立ちにくくなるからである。
また、図2、図6に示すように、肉盗み部25N、25BNの表面には、基材2に形成された真空吸引孔27と凹溝24とを連通する第1通気溝28が形成されていることが好ましい。この第1通気溝28を形成することにより、表皮材1によって封止された凹溝24内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第1通気溝28を介して外気に放出することができ、表皮材1の変形を回避し得るからである。
また、第1通気溝28は、肉盗み部25N、25BNの表面に形成したことによって、基材2に表皮材1を貼着させるときには、真空成形型で押圧されたクッション層12によって第1通気溝28を一時的に閉塞することができ、凹溝24に対する第1通気溝28からの真空吸引を規制して、凹溝24内に侵入するクッション層12の拡大を防止する効果を奏することもできる。
ここでは、第1通気溝28は、図5に示すように、上端の溝幅d7が1.1mm程度で、下端の溝幅d8が0.5mm程度で、溝側壁の上方への開き角θが1.5度程度で、溝側壁と肉盗み部25N、25BNとの交差部の曲面半径Rが0.3mm程度である略台形状断面の微少溝に形成されていることが好ましい。第1通気溝28が、上記略台形状断面の微少溝であることによって、基材2に貼着された表皮材1に対して、第1通気溝28によるヒケが生じるのを回避し易いからである。
また、図2、図4、図6に示すように、キャビリブ外周部25、25Bの内縁から基材2の裏面側に起立する縦壁部222に対するキャビリブ部23の交差部232には、基材2の表面側で凹溝24同士を連通させる第2通気溝29が形成されていることが好ましい。この場合、表皮材1によって封止された複数の凹溝24内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第2通気溝29を経由して特定の凹溝24内に集合させた後、第1通気溝28を介して外気に放出することができる。そのため、複数の凹溝24に対して、肉盗み部25N、25BNに形成する第1通気溝28の数量を最小化でき、第1通気溝28による表皮材1の外観不良をより一層抑制できる。
また、第2通気溝29は、キャビリブ部23の上端面231から交差部232に向けて徐々に深さを増すように形成されていることが好ましい。また、肉盗み部25N、25BNの表面に対する第2通気溝29の交差部232での溝深さd6は、0.3mm程度であることが好ましい。上記溝形状とすることによって、第2通気溝29による表皮材1の外観不良をより一層抑制できるからである。
また、図7に示すように、肉盗み部25N、25BNの窪み量d1は、真空成形前におけるクッション層12の厚さd3の1/20~1/10倍程度の大きさに形成されていることが好ましい。また、肉盗み部25N、25BNの幅w1は、窪み量d1の50~150倍程度の大きさに形成されていることが好ましい。この場合、肉盗み部25N、25BNの表面に貼着されたクッション層12の復元後の厚さを、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261に貼着されたクッション層12の復元後の厚さより、窪み量d1に比例して、緩やかな傾斜をもって1/20~1/10程度小さくさせることができる。そのため、クッション層12の一部12aが凹溝24内に侵入することによってキャビリブ部23が形成された箇所に貼着された表皮材1が部分的に凹んで見えるヒケ部HKと、キャビリブ部23の無い一般部26に貼着された表皮材1との間で、明確な境界線を無くして、両者をより一層緩やかな曲面YKで繋ぐことができ、上記ヒケ部HKをより一層目立ちにくく暈すことができる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る真空成形内装部品10によれば、基材2のキャビリブ部23と凹溝24とを囲むキャビリブ外周部25、25Bには、当該キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261より、裏面側に所定の幅w1で僅かに窪んで形成された肉盗み部25N、25BNを備えたので、肉盗み部25N、25BNの表面に貼着されたクッション層12の復元後の厚さを、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面に貼着されたクッション層12の復元後の厚さより、窪み量d1の分だけ僅かに小さくさせることができる。
一方、キャビリブ部23の上端面231は、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261と略同一の高さに形成されているので、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261に貼着されたクッション層12の復元後の厚さより大きくなることは回避できるが、クッション層12の一部12aがキャビリブ部23と略同幅の凹溝24に侵入するので、キャビリブ部23が形成された箇所に貼着されたクッション層12の復元後の厚さは、肉盗み部25N、25BNの表面に貼着されたクッション層12の復元後の厚さより、小さくなる。
そのため、キャビリブ部23が形成された箇所に貼着された表皮材1が部分的に凹んで見えるヒケ部HKと、キャビリブ部23の無い一般部26に貼着された表皮材1との境界を、肉盗み部25N、25BNに貼着された表皮材1によって緩やかな曲面YKにして、暈すことができる。その結果、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における表皮材1のヒケを目立ちにくくさせることができる。
よって、本実施形態によれば、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における表皮材1のヒケを目立ちにくくして、外観品質を向上できる真空成形内装部品10を提供することができる。
また、本実施形態によれば、肉盗み部25BNは、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DLから所定距離w2だけ離間した範囲で形成されているので、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DL近傍に貼着された表皮材1の外観品質に対する肉盗み部25BNの影響を回避させることができる。一方、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DL近傍では、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における表皮材1のヒケ部HKの境界線は、デザイン上の折り曲げ線2DLによって目立ちにくくなる。そのため、基材2のデザイン上の折り曲げ線2DL近傍に貼着された表皮材1に対して、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における肉盗み部25BNによる影響を回避させつつ、表皮材1のヒケを目立ちにくくして、外観品質をより一層向上できる。
また、本実施形態によれば、肉盗み部25N、25BNの表面には、基材2に形成された真空吸引孔27と凹溝24とを連通する第1通気溝28が形成されているので、表皮材1によって封止された凹溝24内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第1通気溝28を介して外気に放出することができる。また、第1通気溝28は、肉盗み部25N、25BNの表面に形成したので、基材2に表皮材1を貼着させるときには、真空成形型で押圧されたクッション層12によって第1通気溝28を一時的に閉塞することができ、凹溝24に対する第1通気溝28からの真空吸引を規制して、凹溝24内に侵入するクッション層12の拡大を防止できる。そのため、基材2のキャビリブ部23が形成された箇所における表皮材1のヒケ量の増加を防止しつつ、凹溝24内の空気の膨張に基づく表皮材1の変形を回避させることができる。
また、本実施形態によれば、キャビリブ外周部25、25Bの内縁から基材の裏面側に起立する縦壁部222に対するキャビリブ部23の交差部232には、基材2の表面側で凹溝24同士を連通させる第2通気溝29が形成されているので、表皮材1によって封止された複数の凹溝24内の空気は、その温度が上昇して膨張したときには、第2通気溝29を経由して特定の凹溝24内に集合させた後、第1通気溝28を介して外気に放出することができる。そのため、複数の凹溝24に対して、肉盗み部25N、25BNに形成する第1通気溝28の数量を最小化でき、第1通気溝28による表皮材1の外観不良を抑制できる。
また、本実施形態によれば、肉盗み部25N、25BNの窪み量d1は、真空成形前におけるクッション層12の厚さd3の1/20~1/10倍程度の大きさに形成され、肉盗み部25N、25BNの幅w1は、窪み量d1の50~150倍程度の大きさに形成されているので、肉盗み部25N、25BNの表面に貼着されたクッション層12の復元後の厚さを、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261に貼着されたクッション層12の復元後の厚さより、窪み量d1に比例して、緩やかな傾斜で1/20~1/10程度小さくさせることができる。そのため、キャビリブ部23が形成された箇所に貼着された表皮材1が部分的に凹んで見えるヒケ部HKと、キャビリブ部23の無い一般部26に貼着された表皮材1との間で、明確な境界線を無くして、両者をより一層緩やかな曲面YKで繋ぐことができ、表皮材1のヒケ部HKをより一層目立ちにくく暈すことができる。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、本実施形態によれば、複数のキャビリブ部23は、厚肉部22の取付座221に対して車両の上下方向へ垂直状に起立し、キャビリブ部23の厚さd4は、凹溝24の幅d5と略同一に形成されているが、必ずしも、これに限らなくても良い。例えば、キャビリブ部23の厚さd4は、凹溝24の幅d5と異なっても良く、また、型抜きをスムーズに行う等のために、キャビリブ部23の上端部が基端部より多少薄肉化されていてもよい。
また、キャビリブ部23の上端面231は、キャビリブ外周部25、25Bと隣接する基材2の一般部26の表面261と略同一の高さに形成されているが、必ずしも厳密に同一である必要はない。表皮材1のヒケ量に応じて多少の調整は可能である。
本発明は、表皮材が接着される基材の厚肉部の表面に複数の突起リブ(キャビリブ部)が凹溝を隔てて形成された真空成形内装部品として利用できる。
1 表皮材
2 基材
2DL 折り曲げ線
10 真空成形内装部品
11 表皮層
12 クッション層
21 表面
22 厚肉部
23 キャビリブ部
24 凹溝
25、25B キャビリブ外周部
25N、25BN 肉盗み部
26 一般部
27 真空吸引孔
28 第1通気溝
29 第2通気溝
222 縦壁部
231 上端面
232 交差部
261 表面
d1 窪み量
d3 クッション層の厚さ
w1 幅

Claims (4)

  1. 表皮層とクッション層とからなる表皮材が表面に貼着された基材を備え、当該基材の厚肉部に、複数のキャビリブ部が凹溝を隔てて形成された真空成形内装部品であって、
    前記基材の前記キャビリブ部と前記凹溝とを囲むキャビリブ外周部には、当該キャビリブ外周部と隣接する前記基材の一般部の表面より、裏面側に所定の幅で僅かに窪んで形成された肉盗み部を備えたこと
    前記肉盗み部の窪み量は、真空成形前における前記クッション層の厚さの1/20~1/10倍程度の大きさに形成され、前記肉盗み部の幅は、前記窪み量の50~150倍程度の大きさに形成されていることを特徴とする真空成形内装部品。
  2. 請求項1に記載された真空成形内装部品において、
    前記肉盗み部は、前記基材のデザイン上の折り曲げ線から前記肉盗み部の幅より大きい距離だけ離間した範囲で形成されていることを特徴とする真空成形内装部品。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された真空成形内装部品において、
    前記肉盗み部の表面には、前記基材に形成された真空吸引孔と前記凹溝と連通する第1通気溝が形成されていることを特徴とする真空成形内装部品。
  4. 請求項3に記載された真空成型内装部品において、
    前記キャビリブ外周部の内縁から前記基材の裏面側に起立する縦壁部に対する前記キャビリブ部の交差部には、前記基材の表面側で前記凹溝同士を連通させる第2通気溝が形成されていることを特徴とする真空成形内装部品。
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