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JP7265263B2 - 蛍光顕微鏡のための傾斜照明系 - Google Patents

蛍光顕微鏡のための傾斜照明系 Download PDF

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Description

優先権主張
本願は、2016年9月9日に出願された米国仮特許出願第62/385,460号に基づく利益を主張し、その開示全体を本明細書に引用により援用する。
技術分野
本明細書は、概して蛍光顕微鏡に関し、より具体的には蛍光顕微鏡のための傾斜照明系に関する。
背景
蛍光顕微鏡は、現代の細胞生物学者のスイス・アーミーナイフとなるに至っている。生物学者は、蛍光顕微鏡を用いて、細胞内構造および細胞間構造のダイナミクスを可視化し測定することができる。従来は、高強度の単色光が、対物レンズを通して試料を照射し、レンズから出た円錐形の光の内部にある蛍光色素(フルオロフォア(fluorophore))を励起させる。蛍光色素は(詳しく説明されているメカニズムによって)光を発する。この光は対物レンズによって集められ、励起光を取り除くフィルタを通して検出器に送られる。この「落射照明」という形態の欠点は、蛍光色素から焦点面の外側に発せられた光が像に寄与し、焦点情報を混乱させることである。数十年前に共焦点顕微鏡法が登場し、ピンホールを使用して焦点位置以外の光を取り除くことにより、この問題を軽減した。残る問題は、落射照明であろうと共焦点照明であろうと高強度の励起光が必要なことである。高い強度は高いエネルギを生体試料に送り、ダメージを組織に与える(光毒性)とともに蛍光色素自身にも与える(光退色)。光退色と光毒性とは、化学的に相互関係がある2つの現象であるため、一方を減じると他方も減じる。
光シート顕微鏡法(Light Sheet Microscopy)(LSM)は、励起による光ダメージという問題の解決策として、試料の部分的照射を利用する。LSMは15年にわたって存在しているが、その間、さまざまな実装が現れ、それらはすべて、直交配置された2種類の対物型レンズ素子の使用に基づいて、1)光のシートで試料を照射し、2)検出焦点を照射シート上に位置決めする。この形態は一般的に、試料の載置条件が複雑で、照射シートを結像するには十分に長い作動距離を取って低開口数(NA)の検出対物レンズを使用しなければならない。LSMの正味の効果は減じられるまたは焦点外励起はない。そのため、焦点面内の蛍光色素の信号対雑音比は高くなる。この高い信号対雑音比により、より低い励起エネルギを使用することができるので、従来の光学形態において生じる光ダメージを減じることができる。これらの特徴によって、他のどの蛍光顕微鏡法の方式よりも、極めて高い時間分解能(毎秒30フレーム以上)と、非常に長いイメージング期間(ダメージを伴うことなく数千露光)とが可能になる。
これらの利点は犠牲を伴わずに得られる訳ではなく、このイメージング形態では、照射対物レンズと検出対物レンズとの交点の適当な位置で試料を保持する必要があり、この位置は、レンズの前側素子から最低1mmの位置である。これらの基準を満たすために必要な比較的低いNAは、LSM画像の本来の解像度を制限することになる。像は、取得後に計算手段を用いて再構築しなければならないことが多く、結果としてある程度の画素補間がなされる。ある機器が、これらの問題を、高NA対物レンズと従来の取得とを用いることによって幾分克服しているが、この技術は、マイクロミラーを試料の隣に正確に位置決めしなければならず、極めて正確なビーム操作を要する。
したがって、現在利用できるLSM設計を、この種の顕微鏡を平均的なウェットラボ生物学者にとってより使い易いものにするために、発展させる必要がある。
概要
本明細書は、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングするためのシステム、および蛍光顕微鏡のための照明系に関する。この照明系は、傾斜させたシートを用い、干渉パターンによって視野を拡大させることにより、既存の高開口数(NA)(1.4以上)の対物レンズを活用することができる。この光シート顕微鏡は、側方干渉傾斜励起(Laterally Interfering, Tilted Excitation)を利用することにより、生体内の生体蛍光色素をイメージングすることができる。よって、この顕微鏡は、場合によってはLITE顕微鏡と呼ぶことがある。LITEは、(対物レンズのNAによって決まる)本来の回折限界分解能を提供することができ、水性の載置条件にも適合し、既存の直立または倒立顕微鏡スタンド上で実現することができる。像の逆重畳によって分解能を高めることができるが、LITEの場合、像を再構成する必要はない。LITE顕微鏡により、生物学者は、カバースリップ面上でイメージングすることで、LSMの光ダメージが少ないという特性の恩恵を受けることができる。
いくつかの例において、システムはシリンドリカルレンズを備える。シリンドリカルレンズは、コリメートされた光ビームから光シートをシリンドリカルレンズの焦線に形成するように成形されている。このシステムはまた、シリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することによって光シートの回折限界長さを増大させるように成形されたフォトマスクと、試料の傾斜照明のために、コリメートされた光ビームの伝搬軸が対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、シリンドリカルレンズおよびフォトマスクを対物レンズのイメージング軸に対して傾斜させるための構造体とを備える。
いくつかの例において、方法は、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズの向きを、コリメートされた照明器からのコリメートされた光ビームが伝搬軸に沿って伝搬しシリンドリカルレンズの湾曲面に当たって光シートをシリンドリカルレンズの焦線に形成するように、定めることを含む。この方法は、コリメートされた光ビームの伝搬軸が対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを対物レンズに対して傾斜させることを含む。この方法は上記光シートを用いて試料を照射することを含む。この方法は、対物レンズを通して試料をイメージングすることを含む。
いくつかの例において、照明系はシリンドリカルレンズを備える。シリンドリカルレンズは、コリメートされた光ビームから光シートをシリンドリカルレンズの焦線に形成するように成形されている。この照明系はまた、シリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することによって光シートの回折限界長さを増大させるように成形されたフォトマスクと、試料の傾斜照明のために、コリメートされた光ビームの伝搬軸が対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、シリンドリカルレンズおよびフォトマスクを対物レンズのイメージング軸に対して傾斜させるための構造体とを備える。
LITEシート生成装置の一例の等角図を示す。 システムを示す図であり、コリメートされた入射レーザと、装置を通過した後に生成される集束されたレーザとを含む。 LITEシート生成装置の一例の側方角度、コリメートされた光および集束された光、ならびに試料対物レンズを示す図である。 フォトマスクの一例の全体の正面図を示す。 フォトマスクから回折限界線まで生成された干渉パターンを集束させるために使用される非球面シリンドリカルレンズの一例の正面図をその寸法とともに示す。 顕微鏡対物レンズの一例に対するコリメートされ集束されたレーザの一例の全体の、遮るものがない側面図を示す。 顕微鏡対物レンズの一例に対するコリメートされ集束されたレーザの全体の、遮るものがない上面図を示す。 対物レンズの一例のFOVに対する干渉傾斜光シートの一例の寸法を示すために、図7の上面図を拡大したものを示す図である。 傾斜LITEシートの一例および対物レンズのFOVの一例の側面図を示す。 所望のイメージング対物レンズの被写界深度(DOF)と、LITEをこの対物レンズに対して使用するための光シートの理想的な最小幅(w)との関係をグラフで示す図である。 図11におけるDOF対wのグラフのサブセットを示す図である。 理想的なシート幅のシートを生成するためのLITEセットアップにおいて必要な、理想的なシート幅wと対応する傾斜角θとの関係をグラフで示す図である。 非回折シート長さに対するシート幅の関係をグラフで示す図である。 マウントチャンバの一例を示す図である。 マウントチャンバの一例を示す図である。 マウントチャンバの一例を示す図である。 蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法の一例のフロー図である。
説明
本明細書は、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングするためのシステム、および、蛍光顕微鏡のための照明系について説明する。以下の記載は、いくつかの方法およびシステムに関する研究について説明し、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法およびシステムに関するさらに他の例および詳細を提供する。
図1は、一例としてのLITEシート生成装置100の等角図を示す。装置100は、50mmの非球面シリンドリカルレンズ104の真隣に配置されたフォトマスク102を含む。図1は、ある配置例においてシート生成装置100に対して配置された顕微鏡イメージング対物レンズ106を含むシステムにおける装置100を示している。たとえば、対物レンズ106は、作動距離0.17mmのNikon 60X WI 1.20NA対物レンズであってもよい。
図2はこのシステムを示す図であり、コリメートされた入射レーザ108と、装置100を通過した後に生成される集束されたレーザ110とを含む。レーザ108は、ガウス強度プロファイルを有するコリメートされコヒーレントで径方向において対称のレーザ(可変波長)であり、フォトマスク102の平面ベクトルに対して180°の角度で伝搬する。一般的に、レーザ108は、フォトマスク102における外側フォトマスクスリットの間隔よりも大きい1/e幅を有していなければならない。この具体的なケースにおいて、レーザ108の1/e幅は5.2mmであり、波長は488nmである。この具体例におけるフォトマスクの寸法については図4を参照しながらさらに説明する。
図3は、一例としてのLITEシート生成装置100の側方角度、コリメートされた光108および集束された光110、ならびに試料対物レンズ106を示す図である。この側面からの図は、対物レンズ106のイメージング面に対する装置100および光108の傾斜を強調している。(図4に示される)特定のスリット寸法とシリンドリカルレンズ104のNAを用い、集束光110の半角に一致させるために、θを3.284°となるように設計する。このようにθを設計すると、光が遮られることなく、対物レンズ106内の視野(field of view)(FOV)の中心の上方に集束光110を十分に集束させることができる。集束光100の最下部は、集束しつつも対物レンズ106のイメージング面に対して平行である。
図4は、一例としてのフォトマスク102の全体の正面図を示し、クロム(ハッチング)および透明部分(白色)という特徴を強調している。一般的に、フォトマスクは、干渉する回折限界光シートをシリンドリカルレンズの焦線に生成するために、互いに平行で、コリメートされた入射レーザに対して直交し、シリンドリカルレンズ104の非集束軸に対して平行になるように配置された、4つの開口スリットを有していなければならない。スリットの幅および配置は、「Golub et al. in 2015 (Golub I, Chebbi B, and Golub J. (2015) “Toward the optical “magic carpet”: reducing the divergence of a light sheet below the diffraction limit.” Opt. Lett. 40 (21), 5121-24」に記載のシリンドリカルレンズの仕様に適合させたものである。図2におけるレーザ108の1/e幅の一例(5.2mm)は、フォトマスク102の透明開口全体(4.4588mm)を満たす。透明基板は石英ガラス、クロム面は酸化鉄である。
図5は、フォトマスク102から回折限界線まで生成された干渉パターンを集束させるために使用される一例としての非球面シリンドリカルレンズ102の正面図をその寸法とともに示す。この特定のレンズは、ThorLabsによって設計および製造されたものである(部品番号:AYL5040-A)。使用されているガラスはS-LAH64(780nmに対してn=1.777)であり、レンズのフルNAは0.50である。この特定のレンズを使用した理由は、そのNAが大きいこと、およびその球面収差補正にある。これは、より正確に、1次元の干渉パターンを、レンズの焦線における回折限界シートに集束させる。
図6は、一例としての顕微鏡対物レンズ106に対する、一例としてのコリメートされ108集束された110レーザの全体の、遮るものがない側面図を示す。図6における集束光110の描写では4本のゼロ次回折ビームしか示されていないが、これらの真の鉛直強度プロファイルはGolub et. al, 2015に記載されている。側方から見ると、集束光シートは回折限界スポットのように見える。
図7は、一例としての顕微鏡対物レンズ106に対するコリメートされ108集束された110レーザの全体の、遮るものがない上面図を示す。上から見ると、集束された光シートは回折限界線のように見える。
図8は、一例としての対物レンズのFOV114に対する一例としての干渉傾斜光シート112の寸法を示すために、図7の上面図を拡大したものを示す。対物レンズ106は、直径0.430mmのFOVを有する。レーザ108は1次元のみに集束するので、未集束幅(5.2mm)は、一定のままであり、入射レーザの1/e幅によって決まる。
図9は、一例としての傾斜LITEシート112および一例としての対物レンズFOV114の、図7における図の側面図(同一倍率)の側面図を示す。理論上のシート厚さ(5.8μm)は、回折限界であり、一般的なレンズの式 w=2nλ/(Π・NA)に従って計算した。シートが最小厚さを保ち回折していない部分の軸方向距離である、干渉光シートの被写界深度(depth of field)(DOF)は、シリンドリカルレンズのみを通して集束された従来のガウスビームの被写界深度(およそ100μm)よりも長い。その理由は、図4に示すフォトマスク102のパターンから発生する干渉パターンにある。シートは、角度θをなして傾斜しているにも関わらず、試料対物レンズのFOVの中心を覆っており、任意の仮想顕微鏡対物レンズのFOVの内部に載置された蛍光試料の光シートによるイメージングが可能である。
図10は、 所望のイメージング対物レンズの被写界深度(DOF)と、LITEをこの対物レンズに対して使用するための光シートの理想的な最小幅(w)との関係をグラフで示す図である。一般的な5つの蛍光色素に対応する5本の曲線が示されている。基本的な関係は、対物レンズの被写界深度の増加に伴ってシート幅が線形に増加するという関係である。対物レンズのDOFが10μmを超えると、この関係は線形漸近線に近づく。より簡単に言うと、DOFが大きい対物レンズの場合、理想的なシート幅は、被写界深度により近づくことができる。このグラフのサブセット(0.4μm<DOF<4μm)が図11に示される。なお、対物レンズのDOFは、発せられた光の波長の増加に伴って増大する。そのため、波長がより長い光子を放出する蛍光色素をイメージングするには、より厚いシートを形成する必要がある。理論上は、すべてのDOF対w曲線は起点まで延びる。しかしながら、ここでは、1.49NA 100X 油浸対物レンズから見たときの曲線として、それらの実際の最小値から始まる曲線を描いている。図11ではこれらの最小値の差を強調している。
図11は、図11におけるDOF対wのグラフのサブセットである。被写界深度が0.5μmと2μmとの間である対物レンズをより適切に強調するために、DOFを対数目盛で示している。各試料蛍光色素に対する各曲線の始まりは、実際の最小DOF(およびその対応する最小シート幅)である。経験的に、実際の最小値を、1.49NA 100X 油浸対物レンズの被写界深度に定める。各曲線の最初のポイントから、異なる蛍光色素に基づいてDOFおよびw双方がどのように変化するかは明らかである。
図12は、理想的なシート幅のシートを生成するためのLITEセットアップにおいて必要な、理想的なシート幅wと対応する傾斜角θとの関係をグラフで示す。読者が図10および図11から理想的な幅を特定すると、この図面のグラフが役に立つ。wが特定されると、この図面のグラフを用いて集束する光シートの半角がどのようになるかを特定する。この半角θは、照明径路を(対物レンズの表面に対して(図3参照))傾斜させる理想的な角度である。図11および図12と同様、5つの試料蛍光色素を示し、曲線はその実際の最小値に制限した。図面における括弧内の波長は、蛍光色素のピーク励起波長に対応する。
図13は、非回折シート長Lに対するシート幅wの関係をグラフで示す。この図面のグラフは、wに対してLがどのように指数関数的に増加するかを示している。示されている2本の曲線は、最初にGolub et al. 2015に記載されたように、シリンドリカルレンズ(L)およびシリンドリカルレンズ-フォトマスクシステム(L’)のみを用いて生成したシート長の差を表している。簡潔にするために、セットアップ例(図1~図9)においてEGFP蛍光色素を励起させるために使用する、488nmレーザのシート幅および長さのみを示している。各種蛍光色素に対するその他の波長のグラフは、同じ傾向を示し、非回折シート長は、干渉パターンの生成によって増加する。
図14A~図14Cはマウントチャンバの一例を示す。マウントチャンバは、ガラスカバースリップと、ガラスカバースリップ内の、各々が生体試料を受ける大きさに定められ、水平方向において直線状に並んだ孔のアレイと、ガラスカバースリップを覆うための光学的に透明な基板とを含む。光学的に透明な基板は、互いに直交する第1および第2の平坦面を有する。孔の形状は適切な任意の形状、たとえば立方体形状であってもよい。光学的に透明な基板は、適切な何らかの光学的に透明な材料、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)で形成することができる。一般的に、任意の適切なマウントチャンバを、本明細書に記載の蛍光顕微鏡システムに使用することができ、たとえば、水が充填されたガラス壁のチャンバを使用することができる。
図14Aはマウントチャンバの上面図である。励起光シートは、光学的に透明な基板により、ガラスカバースリップに垂直な第1の平坦面を通して集束される。発光された蛍光は、試料をイメージングするために、ガラス面に平行な第2の平坦面を通してマウントチャンバから遠ざかるように導かれる。図14Bはマウントチャンバの底面図である。図14Cは孔のアレイを示すマウントチャンバの拡大図である。PDMS(ポリジメチルシロキサン)は、一例としてのマウントチャンバを作製するために使用される有機ポリマーである。PDMSはCorningから入手できる。
図15は、一例としての、蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法1500のフロー図である。この方法1500は、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズの向きを、コリメートされた照明器からのコリメートされた光ビームが伝搬軸に沿って伝搬しシリンドリカルレンズの湾曲面に当たって光シートをシリンドリカルレンズの焦線に形成するように、定めることを含む(1502)。方法1500は、コリメートされた光ビームの伝搬軸が対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを対物レンズに対して傾斜させることを含む(1504)。方法1500は、上記光シートを用いて試料を照射することを含む(1506)。方法1500は、対物レンズを通して上記試料をイメージングすることを含む(1508)。
いくつかの例において、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを傾斜させることは、シリンドリカルレンズから出た集束する光ビームの最下部が対物レンズのイメージング面に対して平行に伝搬するように、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを、集束する光ビームの半角だけ傾斜させることを含む。対物レンズの開口数は1.4以上であってもよい。
方法1500は、上記光シートが対物レンズの視野にわたって回折限界となるように、コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを構成することを含み得る。コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズを構成することは、コリメートされた照明器とシリンドリカルレンズとの間においてシリンドリカルレンズの主平面にフォトマスクを配置することを含み得る。フォトマスクは、シリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することによって光シートの回折限界長さを長くするように成形された4スリットフォトマスクを含み得る。コリメートされた照明器は、径方向に対称なガウスビームを発するレーザ光源と、コリメータとを含む。コリメートされた照明器の向きを定めることは、径方向に対称なガウスビームのビームウエストが、4スリットフォトマスクのスリットの開口全体以上の値まで拡大されるように、レーザ光源およびコリメータの向きを定めることを含み得る。
いくつかの例において、試料をイメージングすることは、標準的な直立型または倒立型のリサーチグレード顕微鏡内の既存の光路を利用して試料を目またはカメラで観察することを含む。方法1500は、ガラスカバースリップの、水平方向に直線状に並んだ孔のアレイのうちの1つの孔に試料を置き、互いに直交する第1の平面と第2の平面とを有する光学的に透明な基板でガラスカバースリップを覆い、上記第1の平面がカバーガラスに平行で第2の平面がカバーガラスに垂直になるように、対物レンズのカバーガラス上にマウントチャンバを配置することを含み得る。
1.照明
一般的なLITEセットアップの場合、コリメートされた照明器を用いて、ガウス強度プロファイルを有する、径方向に対称でコヒーレントなビームを生成する。FC/APCファイバ結合レーザ出力が4つの波長を有する(405、488、561、および650nm、その他の波長および/または光学的ファイバ結合レーザ発射を使用できる)、Agilent社のモノリシックレーザコンバイナ(Monolithic Laser Combiner)400(MLC400)を選択した。4つのレーザ光源は、ガウス強度プロファイルを有する径方向に対称でコヒーレントなビームを送るために予め直線状に並べられた固体光源である。4つのレーザの、ファイバの後の最大出力は、波長が大きくなる順で、18、52、55,および37mWである。この照明器選択の根本的理由は、MLC400が、生体内の各種蛍光色素を励起させるのに適した波長の、向きが予め調整された単色から4色のビームを提供することにある。加えて、その出力は安全性のためにファイバ結合されており、照明器は、DAQボードインターフェイスを介してアナログ制御できる。簡潔にするために、図1~図9では主に(EGFPを)488nmで励起する単色としてのセットアップを説明している。
2.ビーム調節
照明は通常、径方向に対称なガウスビームの1/eウエストが、カスタマイズされたフォトマスクのスリットの開口全体以上の値まで拡大されるように、レーザ光源を調節することを含む(下記の方法の3.を参照)。一般的にビームは調節後コリメートされた状態を保つはずである。この特定のセットアップにおいて、先ず、アクロマティックFiberPortコリメータ(Achromatic FiberPort Collimator)(ThorLabsから購入、部品番号:PAFA-X-4-A)を用いてMLC400のレーザ出力をコリメートさせる。これらの光学部品は、発散するファイバ結合4色ビームを、0.65mmの1/eウエストにコリメートする。方法のセクション3.におけるフォトマスクは、照射開口が4.4588mmなので、フォトマスクを完全に埋めるために、コリメートされたビームを元のビームウェスト(5.2mm)の8倍に拡大した。この拡大は、2つのアクロマティック二重レンズからなる基本的な2部品望遠レンズを用いて行った。第1のレンズ(ThorLabsから購入、部品番号:ThorLabs、部品番号:AC127-050-A-ML)は、400~700nmの反射防止コーティング(照射波長の範囲に一致)を有する、焦点距離50mmの1/2インチマウントアクロマティックダブレットである。第2のレンズ(ThorLabsから購入、部品番号:ThorLabs、部品番号:AC254-400-A-ML)は、同じ反射防止コーティングを有する、焦点距離400mmの1インチマウントアクロマティックダブレットである。よって、直径0.65mmのビームは、2つのアクロマティックダブレットの焦点距離の比により、8倍に球状拡大されて5.2mmとなった。望遠システムから出た後のコリメート状態を維持するために、ビームの伝搬軸に沿ってレンズ部品が直線状に並ぶよう綿密な注意を払った。
3.フォトマスク/シリンドリカルレンズシステム
従来、シリンドリカルレンズは、光シート顕微鏡法において、シリンドリカルレンズの焦線における非回折光「シート」を近似すべく、径方向に対称であるコリメートされたビームを1つの軸に沿って集束させるために使用されている。(シリンドリカルレンズの焦点体積内の)シートそのものは概ね、以下の3つの寸法を有する立方体プリズムとして定義することができる。3つの寸法は、シリンドリカルレンズの焦線においてシートが到達する、鉛直方向における最も薄い回折限界幅(w)、シートがその回折限界幅を維持する軸方向長さ(L)、および、集束されていないシートの水平方向の幅(b)である、よって、ライトシート全体の体積は、積w・L・bによって定められる。
シート幅wは以下の式1によって定められる。
Figure 0007265263000001
式1において、nはレーザをシートに集束させる媒体の屈折率、λはレーザの波長(単位μm)、NAeffはシリンドリカルレンズの有効開口数である。なお、NAeffは、報告されているシリンドリカルレンズのNAよりも小さくてもよい。なぜなら、NAeffは照射されるシリンドリカルレンズNAの割合に依存するからである。よって、ビーム径がシリンドリカルレンズNAよりも小さいと仮定すると、wは、シリンドリカルレンズに入射するコリメートされたビームの直径に反比例する。以下の2つの理由により、蛍光顕微鏡法ではシートはできる限り薄いことが好ましい。上記2つの理由とは、蛍光試料における焦点外励起/発光イベントを最小にするため、および、光退色および光毒性を防止するためである。しかしながら、シートの厚みの選択は、それが、式2のシート長さLと数学的に関わりがあるので、複雑になる。
Figure 0007265263000002
式2から、Lがwの二乗の増加に伴って増大することは明らかである。式2は図13に示されている。実際、これは、できる限り薄いシートが必ずしもイメージングにとって最良のシートではないことを意味する。なぜなら、シートが回折限界を維持する距離は、信号検出に使用されるほとんどの顕微鏡対物レンズの視野(FOV)を覆うには短すぎるからである。シートがFOV上で回折し始めた場合、蛍光試料の照射されたスライスは、光路に沿って厚みも強度も変化する。その結果、蛍光色素の発光に一貫性がなくなり、蛍光顕微鏡写真の定量分析が不可能になる。
所定のwを有するシートのLを増すために、ビームがレンズに入る前のシリンドリカルレンズの主平面に4スリットフォトマスクを置いた。このスリットの理論的設計は、Golub et al. in 2015 (Golub I, Chebbi B, and Golub J. (2015) “Toward the optical “magic carpet”: reducing the divergence of a light sheet below the diffraction limit.” Opt. Lett. 40 (21), 5121-24)に記載されている。この論文において、著者は、2つの余弦波の間のシリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することにより、シリンドリカルレンズに基づいた光シートの回折限界長さを伸ばす方法を説明している。これら2つの余弦波は、フォトマスクの外側の薄いスリットと内側の厚いスリットによって生成される。このセットアップでは、Golubのスリット(焦点距離152mmのシリンドリカルレンズに対して設計されたもの)の厚みを、光顕微鏡法に適している、選択した焦点距離40mmの非球面シリンドリカルレンズ(ThorLabsから購入、部品番号:AYL5040-A)のスケールにした。これらのスリットの正確な仕様は図4に示される。この干渉セットアップの光学的代償は、サイドローブの発生である。実際、これは、主要光シートの中心ピークの上方および下方に共面光シートを生成する。しかしながら、これらのスリットの間隔を経験的に選択することにより、中央シートの全レーザエネルギの80%を超えるエネルギを保持した。よって、サイドローブの和は、全エネルギの20%未満を占める。
一般的に、Golub et al.に詳述されているようにシリンドリカルレンズの焦点距離に対して同じ程度のスリット厚さを保つことは、中央シートの総エネルギを80%超に維持するのに役立ち得る。しかしながら、スリット幅を減じることによりサイドローブ内に逸れるエネルギがより多くなる場合は、wを一定に保ちつつLをさら増すことが可能である。図10~図13に示されるすべてのデータは、80%をの中央ローブエネルギを想定している。
Golub et al.に詳述されているように以下の式は、80%の中央ローブエネルギを想定している。式3は、修正された干渉シート長さを、シート幅の関数として説明する。
Figure 0007265263000003
図13は、Lとともに、L’とwとの関係をグラフで示す。これは、すべてのwに対してL’>Lであることを示している。ここでの特定のセットアップの場合、使用するフォトマスクは、中央ローブの厚さが5.8μm、長さが170μmのシートを生成する(図9)。
4.シート寸法およびパラメータの選択
シートの長さと幅とは共依存関係にあるので、以前の光シート蛍光顕微鏡は、標準の(またはカスタム)対物レンズを用いて、サイズが縮小されたシートを試料上に投射していた。その結果生じる構造では、ユーザによるイメージング対物レンズの選択が、シート上に焦点を合わせるための作動距離が十分に長い(1mm超)対物レンズに限定される。(上述の)1つの解決策は、試料の隣のマイクロミラーを用いて、イメージング対物レンズから発生する焦点面上にシートを投射する。しかしながら、この構成は、イメージング対物レンズからの距離が制限され、試料と対物レンズとの間の距離は、近すぎても(たとえば標準カバーガラス上)遠すぎてもいけない。ここでは、光シートからの蛍光信号をイメージングするための、高NA対物レンズを含む既存のどの顕微鏡対物レンズも事実上使用できる、新たな解決策を示す。好ましい対物レンズに対して光シートのどの幅および長さを使用するかを判断するための、所望の対物レンズに基づいてLITE顕微鏡照明器の理想的なセットアップを選択する段階的方法について詳述する。
有用なLITEセットアップを得るためには、視野体積(volume-of-view)VOVの外側の照射を最小に保ちつつ、対物レンズの有効なVOVを照射することが必要である。対物レンズのVOVは、2次元の視野(FOV)と1次元の被写界深度との積によって定めることができる。図10は、有効なイメージング体積全体を照射するための、対物レンズの有効なDOFと理想的なシート幅wとの関係を示す。ここでは、対物レンズの有効なFOVの直径が、対物レンズの全DOFの1/4であると想定する。FOVをイメージングするために使用するカメラは通常、対物レンズのFOVの中央四分円しか取得しないからである。対物レンズのDOFは、対物レンズによって集束される放出された蛍光の波長およびNAに基づいて変化する設定パラメータである。DOFは分光的に可変のパラメータであるので、DOFを、それぞれEBFP、ECFP、EGFP、EYFP、およびmCherryのピーク発光波長に対応する5つの発光波長448、475、507、527、および610nmにプロットした。
図10におけるDOFとwとの関係は、その作動距離が短いために高NA対物レンズに必要なカバーガラス面のより近くに光シートを投射する必要から得られたものである。事実上、シリンドリカルレンズからの干渉レーザの焦点は、カバーガラスの面の真上になるように投射される。このロジックを用いると、カバースリップのような平らな面の上に集束するビームを投射しつつ、標準的な作動距離(典型的には300μm未満)内に、高NA対物レンズに対して完全に平行な光シートを形成することは不可能である。この問題を解決するために、LITEの照明は、コリメートされたビーム、フォトマスク、およびシリンドリカルレンズを、対物レンズの面に対して傾斜させる(図3)。LITEにおける傾斜は、正確であるがカスタマイズ可能な角度(シリンドリカルレンズから出た後の集束するレーザの半角)で行われる。LITEセットアップをこの半角θで傾斜させることにより、集束するビームの最下部を、カバースリップからの干渉なしで、カバースリップ面に平行に伝搬させることができる。
光シートを対物レンズのFOVに対して傾斜させることは、他の光シートセットアップにおいて一般的ではない。しかしながら、傾斜が、対象とするFOVを完全に照射するのに必要な最小のθに保たれるのであれば、開口数、倍率、および被写界深度が広範囲にわたっているすべての対物レンズの場合、焦点外励起は(従来の照射と比較して)大幅に低減される。理想的なθの決定は、wが、θを決める、照射されるシリンドリカルレンズのNAの割合に依存するので、複雑になる。(結果として得られる励起された蛍光色素のピーク発光における有効なFOVおよびDOFによって定められる)対物レンズの有効なVOVを満たすために寸法Lおよびwの光シートを傾斜させる必要がある最大θの完全な数学的関係は、式4に示される。
Figure 0007265263000004
グラフを簡潔にするために、FOVに対するDOFの数学的依存性を、市販の多様な対物レンズから得た規定の値の経験的プロットによって近似した。図10および図11に示されるw対DOFの等式を得るために、回折限界シート幅を求めるために使用される基本的な等式から得たwに相当するものにθを代入した(式5)。
Figure 0007265263000005
選択した対物レンズに基づいて理想的な光シート幅を計算するために、以下に示される等式w=f(FOV,DOF,λ)(式6)を明確に導き出した。
Figure 0007265263000006
式6における定数(c~c)は、明確に導き出したwから得られる不変ファクタである。よって、2つの変数の関数w=f(FOV,DOF)が得られる。図10は、上述の5つの蛍光色素に対する5つの等式を示している。図10のグラフのサブセットは図11に示され、図11のx軸を対数目盛にすることにより、DOFが小さい(かつNAが大きい)場合の理想的なシート幅に対する、増加するDOFの効果を示している。このグラフでは、蛍光色素の5つの例各々の経験式w=f(FOV,DOF,λ)をプロットした。これらの式は、1.49NA 100X 油浸対物レンズ(Nikon)の場合の各蛍光色素の理論上の最小DOFで始まり、これは、すべての細胞生物学者にとってDOFの事実上の下限である。このDOFの下限は、上記対物レンズを使用した場合の各蛍光色素に対する理想的な最小シート幅に相当する。図10および図11のグラフは、EBFPと1.49NA 100X 油浸対物レンズ(DOF=0.444μm)またはmCherryと0.1NA 4X 乾式対物レンズ(DOF=65.0μm)といった、いかなる蛍光色素およびいかなるNAのいかなる対物レンズにも、LITEを使用できることを示している。1.49NA 100Xの場合のEBFP励起シートの理想的な幅を、上記非球面シリンドリカルレンズ(ThorLabs)を用いて生成できることには、注目する価値がある。
好ましい対物レンズに対する理想的なシート幅が決まると、LITEセットアップを傾斜させる角度を知る必要がある。理想的なwとθとの関係は図12に示されている。この場合も、試料蛍光色素に対する5つの試料励起波長が示されている。式5は、wとθとの正確な数学的関係を説明する。
5.検出
LITEイメージングを用いることにより、標準的な直立型または倒立型のリサーチグレード顕微鏡内の既存の光路を利用して、標本を目またはカメラで観察することができる。プロトタイプとして、インターライン型CCD(CoolSnap HQ2, Photometrics)またはsCMOS(Zyla 4.2, Andor)を使用した。像は、「自然のまま」であり、内挿回転や追加処理は不要である。これはその他いくつかのLSMソリューションと同様である。加えて、標準的な後処理技術すべてを適用可能であり、たとえば、分解能をさらに高めるには像の逆重畳が特に有用であろう。
考察
ここでは、LITEと名付けた、顕微鏡に依存しないLSMイメージングソリューションを示す。LITEイメージングは、他のLSMの利点を共有する。すなわち、焦点外励起、光退色、および光毒性が極めて少なく、像の捕捉が早い。LITEは、高NAの検出光学部品を使用するという点で、その他の技術とは異なる。高NAが有益な主な理由は2つある。空間分解能の増大と、検出効率(強度)の増大である。加えて、LITEイメージングにおける試料の調製は、ユーザがカバーガラス上に直接置くことができるので、簡単になる。しかしながら、照明径路は、シートを形成するビームが、(任意の形態の)光学的に均質な材料に、光学的に遮られていないその表面を通って入射し、標本においてシートが適切に形成されるようにしなければならない(図14A~図14C)。
LITE蛍光顕微鏡法は、酵母、C.エレガンス(C. elegans)、ヒトの組織培養細胞、および培養したタバコを含む、多様な蛍光試料に対して使用できることを確認した。これらのテストから、共通するLSMの人為構造である、励起の影がLITEイメージングにもあると判断した。しかしながら、試料チャンバの壁の凸凹または試料のその他の部分から生じる光学的障害を伴うことなく、照射シートに対して試料を提示する試料チャンバを使用することにより、影は大幅に低減される、または完全に取り除かれる。よって、他のLSM技術と同様、FOVの内部にはない試料によって励起光の径路が遮られないよう注意する必要がある。
要約すると、当該LITE顕微鏡は、標本の外側から、生物学者によって生物学者のために設計された新たなLSMソリューションである。主な2つの制約を考慮した。それらは、標本の載置と、高NAの検出対物レンズの使用である。これらの基準を満たすために、照射径路を犠牲にした。すなわち、シートを傾斜させ、結果として、FOVをわずかに「過剰照射」した。実際は、高NAによって得られる利得、および、試料の載置の容易さは、焦点外励起のほんのわずかの増加よりも、遙かに影響が大きいことを見出した。
具体的な例および特徴について説明してきたが、これらの例および特徴は、特定の特徴についてただ1つの例しか記載されていない場合であっても、本開示の範囲を制限することを意図したものではない。本開示に示される特徴は、特に明記されていない限り、限定を意図したものではなく例示を意図している。上記説明は、本開示の恩恵を受ける当業者にとって明白な、このような代替形、修正、および均等物をカバーすることを意図している。
本開示の範囲は、本明細書に(明示的または暗示的に)開示されている何らかの特徴もしくは特徴の組み合わせ、または開示されている特徴を一般化したものを、このような特徴または一般化が本明細書に記載の問題のうちのいずれかまたはすべてを緩和するか否かにかかわらず、含む。したがって、新たな請求項を、本願(または本願に基づく優先権を主張する出願)の手続き中に、このような特徴の組み合わせになるように作成することができる。特に、添付の請求項を参照すると、従属請求項の特徴は独立請求項の特徴と組み合わせることができ、各独立請求項の特徴は、何らかの適切なやり方で組み合わせることができ、それは、添付の請求項に記載の特定の組み合わせに限られない。

Claims (12)

  1. 蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングする方法であって、前記方法は、
    コリメートされた照明器およびシリンドリカルレンズの向きを、コリメートされた照明器からのコリメートされた光ビームが伝搬軸に沿って伝搬し前記シリンドリカルレンズの湾曲面に当たって光シートを前記シリンドリカルレンズの焦線に形成するように、定めるステップと、
    前記コリメートされた光ビームの伝搬軸が対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズを前記対物レンズに対して傾斜させるステップと、
    前記光シートを用いて試料を照射するステップと、
    前記対物レンズを通して前記試料をイメージングするステップとを含み、
    前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズを傾斜させるステップは、前記シリンドリカルレンズから出た集束する光ビームの最下部が前記対物レンズのイメージング面に対して平行に伝搬するように、前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズを、前記集束する光ビームの半角だけ傾斜させることを含み、
    前記対物レンズの開口数は1.4以上である、方法。
  2. 前記光シートが前記対物レンズの視野にわたって回折限界となるように、前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズを構成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズを構成するステップは、前記コリメートされた照明器と前記シリンドリカルレンズとの間において前記シリンドリカルレンズの主平面にフォトマスクを配置することを含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記フォトマスクは、前記シリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することによって前記光シートを長くするように成形された4スリットフォトマスクを含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記コリメートされた照明器は、径方向に対称なガウスビームを発するレーザ光源と、コリメータとを含む、請求項に記載の方法。
  6. 前記コリメートされた照明器の向きを定めるステップは、前記径方向に対称なガウスビームのビームウエストが、前記4スリットフォトマスクのスリットの開口全体以上の値まで拡大されるように、前記レーザ光源および前記コリメータの向きを定めることを含む、請求項に記載の方法。
  7. 前記試料をイメージングするステップは、標準的な直立型または倒立型のリサーチグレード顕微鏡内の既存の光路を利用して前記試料を目またはカメラで観察することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. ガラスカバースリップの、水平方向に直線状に並んだ孔のアレイのうちの1つの孔に前記試料を置き、互いに直交する第1の平面と第2の平面とを有する光学的に透明な基板で前記ガラスカバースリップを覆うことによってマウントチャンバを形成し、前記第1の平面が前記対物レンズのカバーガラスに平行で前記第2の平面が前記カバーガラスに垂直になるように、前記カバーガラス上に前記マウントチャンバを配置するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 蛍光顕微鏡法を用いて試料をイメージングするためのシステムであって、前記システムは、
    コリメートされた光ビームを伝搬軸に沿って伝搬させるように構成された、コリメートされた照明器と、
    前記伝搬軸に沿う前記コリメートされた光ビームの径路内のシリンドリカルレンズとを備え、前記シリンドリカルレンズは、前記シリンドリカルレンズの焦線に、前記コリメートされた光ビームから光シートを形成するように成形されており、前記システムはさらに、
    イメージング面を含む対物レンズを備え、
    前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズは、前記コリメートされた光ビームの伝搬軸が、前記対物レンズのイメージング軸に対して斜角をなすように、前記対物レンズに対して傾斜しており、
    前記コリメートされた照明器および前記シリンドリカルレンズは、前記シリンドリカルレンズから出た集束する光ビームの最下部が前記対物レンズのイメージング面に対して平行に伝搬するように、前記集束する光ビームの半角だけ傾斜しており、
    前記対物レンズの開口数は1.4以上である、システム。
  10. 前記コリメートされた照明器と前記シリンドリカルレンズとの間において、前記シリンドリカルレンズの主平面にあるフォトマスクを備える、請求項に記載のシステム。
  11. 前記フォトマスクは、前記シリンドリカルレンズの焦線に干渉パターンを生成することによって前記光シートを長くするように成形された4スリットフォトマスクを含む、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記コリメートされた照明器は、径方向に対称なガウスビームを発するレーザ光源と、コリメータとを含み、前記レーザ光源および前記コリメータは、前記径方向に対称なガウスビームのビームウエストが、前記4スリットフォトマスクのスリットの開口全体以上の値まで拡大されるように、構成されている、請求項11に記載のシステム。
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