JP7128077B2 - 表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
そしてこれらの包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施す印刷が行われる。
印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的としたポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている(例えば、特許文献1参照)。
1.顔料、バインダー樹脂、水性媒体を含有する表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物であって、さらに、アニオン系界面活性剤をインキ組成物中に0.1~1.0質量%含有する表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
2.アニオン系界面活性剤が、リン酸エステル系界面活性剤である1.記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
3.バインダー樹脂が、酸価10~100mgKOH/g、ガラス転移温度-30~150℃のアクリル系エマルジョンであり、これをインキ中に固形分で5~30質量%含有する1.又は2.に記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
4.アクリル系エマルジョンが、アクリルエマルジョン、スチレン・アクリルエマルジョン、アクリル・マレイン酸エマルジョン及びスチレン・アクリル・マレイン酸エマルジョンから選ばれる少なくとも1種である3.に記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
5.バインダー樹脂として、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有する1.~4.のいずれかに記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
<顔料>
本発明において使用できる顔料としては、印刷インキにおいて一般的に用いられている各種無機顔料及び/又は有機顔料等を使用できる。
無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。
有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
本発明における顔料の含有量は、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物中に0.5~40.0質量%が好ましい。表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物中の顔料の含有量が上記の範囲より少なくなると、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物としての着色力が低下し、上記の範囲より多くなると、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の粘度が高くなり、印刷物が汚れやすくなる。
(水性樹脂エマルジョン)
バインダー樹脂として使用する水性樹脂エマルジョンとしては、酸価が10~100mgKOH/gで、揮発性塩基性化合物で酸価の一部又は全てを中和した酸基含有水性樹脂エマルジョンであるものが好ましい。
酸基含有水性樹脂エマルジョンとしては、アクリルエマルジョン、スチレン・アクリルエマルジョン、アクリル・マレイン酸エマルジョン及びスチレン・アクリル・マレイン酸エマルジョンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
具体的には、カルボキシル基を有する水溶性樹脂を高分子乳化剤として、水性溶媒中でエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる酸基含有水性樹脂エマルジョンである。
本発明中の酸基含有水性樹脂エマルジョンを得るための、カルボキシル基を有する水溶性樹脂は、i成分:ラジカル重合性二重結合を有するカルボン酸および/または酸無水物を2~50質量%、ii成分(必要に応じて使用される):ラジカル重合性二重結合を有するケトン化合物および/またはアルデヒド化合物を0~5質量%、およびiii成分:iおよびii成分を除くラジカル重合性二重結合を有する化合物を50~98質量%共重合して得られ、アルカリ水溶液に溶解可能な共重合体樹脂である。なお、ここでは、i、iiおよびiii成分を合わせてI成分と称する。
これらのラジカル重合性二重結合を有するカルボン酸および/または酸無水物の中でも、得られる高分子乳化剤の乳化能の点から、モノカルボン酸、特にアクリル酸またはメタクリル酸の使用が好適である。
また、ii成分のラジカル重合性二重結合を有するアルデヒド化合物とは、分子中に少なくとも1つ以上のアルド基を有するラジカル重合性化合物であって、アクロレイン、ホルミルスチロール、アルカナール(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
・(メタ)アクリル酸誘導体:(メタ)アクリル酸の炭素原子数が1~18のアルキルエステル、炭素原子数が1~18のアルキルアミド、炭素原子数が2~4のヒドロキシアルキルエステル等で、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、ブチル(メタ)アクリルアミド、ヘキシル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
・マレイン酸誘導体:マレイン酸の炭素原子数が1~18のジアルキルエステル、炭素原子数が1~18のジアルキルアミド、炭素原子数が2~4のジヒドロキシアルキルエステル等で、具体的には、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジブチルマレート、ジオクチルマレート、ビス-2-ヒドロキシエチルマレート、マレイン酸ジメチルアミド、マレイン酸ジエチルアミド、マレイン酸ジブチルアミド等を挙げることができる。
ここでi成分の使用量が前記範囲より少ない場合は、カルボキシル基を有する水溶性樹脂がアルカリ水溶液中で充分な溶解性が得られない可能性があり、乳化重合の安定性、さらに重合物の分散安定性が低下する可能性があると共に、得られる表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の流動性も不良となる場合がある。一方、前記範囲を超える場合は、耐水性、印刷適性が低下して好ましくない場合がある。
また、ii成分の使用量が前記範囲を超える場合は、得られた表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物が、経時での増粘・固化、印刷適性の低下を起こす可能性がある。
ここで、使用可能な有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系、低級アルコール系、グリコールおよびその誘導体等を挙げることができ、一方、使用可能な重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、ベンゾイルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類、また、必要に応じて還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤を挙げることができる。
またこのカルボキシル基を有する水溶性樹脂の酸価は20~300mgKOH/gが好ましい。酸価が20mgKOH/g未満ではアルカリ水溶液中での充分な溶解性が得られず、一方300mgKOH/gを超えると、得られる表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の耐水性、印刷適性が低下する傾向がある。
ここで、iv成分としては、上記ii成分として示したラジカル重合性二重結合を有するケトンおよびアルデヒド化合物を挙げることができる。
これらのv成分の中でも、水性樹脂エマルジョンの分散性、得られる表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の性能から、(メタ)アクリル酸誘導体、スチレン系化合物が好ましい。
ここで、iv成分の使用量が30質量%を超える場合は、経時での増粘・固化、印刷適性の低下が起こり得るので好ましくないことがある。
ここで、I成分の質量比率が20/80より低くなると、インキの再溶解性、流動性や保存安定性が低下する可能性があり、一方、80/20より高くなるとインキの耐水性等が低下する可能性がある。
ここで、アルカリ可溶性樹脂を水中に溶解させるために使用するアルカリ性物質としては、後述する揮発性塩基性化合物を使用する。なお、アルカリ性物質の使用量としては、アルカリ可溶性樹脂の中和量の100~120%程度が最も適量であり、使用量が100%より少なくなるに従ってアルカリ可溶性樹脂の溶解性が低下傾向を示し、一方、120%より多くしたとしても、溶解性がさらに良好となることはない。
また、重合開始剤としては前記のアルカリ可溶性樹脂を製造するために使用する重合開始剤を使用することができる。
また、酸基を含有するアクリルエマルジョン、スチレン・アクリルエマルジョン、アクリル・マレイン酸エマルジョン及びスチレン・アクリル・マレイン酸エマルジョンであることが好ましい。エマルジョン中の樹脂固形分は20~60質量%である。
これらの樹脂が樹脂エマルジョンであるときの酸価は10~100mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは20~90mgKOH/g、さらに好ましくは30~70mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満であると、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の水性溶媒への分散性が不足する可能性がある。一方、酸価が100mgKOH/gを超えると、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の安定性が損なわれる可能性がある。
また本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物中の水性樹脂エマルジョンの含有量としては、固形分として5~30質量%であることが好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。
なお、これらの樹脂エマルジョンとしては、コアシェル型でも良く、そうでなくてもよい。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物には、顔料を分散させるために水溶性アクリル樹脂を含有することが好ましい。
水溶性アクリル樹脂としては、酸基の一部又は全部が揮発性塩基性化合物により中和されてなるアルカリ可溶性樹脂を使用することができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂を構成する単量体成分は、カルボキシル基を有する単量体、顔料との吸着性を向上させるための疎水性基を含有する単量体、及び重合可能な他の単量体からなる。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、シトラコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル等を使用できる。
顔料との吸着性を向上させるための疎水性基を含有する単量体としては、好ましくは、炭素数6~20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、なかでも、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシステアリル(メタ)アクリレート等がより好ましく、さらに、スチレン系単量体として、スチレン、α-スチレン、ビニルトルエン等を使用できる。
重合可能な他の単量体としては、アルカリ可溶性樹脂の性質を損なわない範囲にて使用できる単量体であり、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を使用できる。
前記アルカリ可溶性樹脂の酸価は40~250mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは70~250mgKOH/gである。酸価が40mgKOH/g未満であると、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の水性溶媒への溶解性が不足する可能性がある。一方、酸価が250mgKOH/gを超えると、親水性が高くなり過ぎるため、貯蔵安定性、耐水性が低下する可能性がある。
アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、通常重量平均分子量が3,000~200,000であるのが好ましく、より好ましくは5,000~50,000である。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000未満の場合には顔料の分散安定性や得られる印刷物の耐擦過性が低下する傾向にあり、一方200,000を超えると、粘度が高くなるため好ましくない。
アルカリ可溶性樹脂の配合量は、上記記載の顔料100質量部に対して10~100質量部が好ましい。
なお、水溶性アクリル樹脂を使用するかわりに、顔料分散剤を使用することも可能である。
本発明における揮発性の塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、モノエタノールアミン等が例示でき、中でもアンモニアが好ましい。性能が低下しない範囲で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジアザビシクロオクタン等の不揮発性アミン化合物も併用することが可能である。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置にWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムにPLgel 5μm MIXED-D(Agilent Technologies社製)を使用してクロマトグラフィーを行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物には、耐熱性向上のためにアニオン性界面活性剤を含有させる。
アニオン性界面活性剤としてはリン酸塩系界面活性剤、アルケニルコハク酸系界面活性剤、タウリン系界面活性剤等を採用できる。
リン酸塩系界面活性剤としては、リン酸エステル系界面活性剤が好ましく、プライサーフAL、プライサーフDB-01、プライサーフA219B、プライサーフA208B、プライサーフ212C(第一工業製薬)を使用することができる。リン酸塩系界面活性剤と共に、アルケニルコハク酸系界面活性剤及び/又はタウリン系界面活性剤等を併用できる。
アルケニルコハク酸又はその塩としては、アルケニルコハク酸(星光PMC)、アルケニルコハク酸ジカリウム(花王)を使用できる。
その他に、N-アシルタウリン塩(日光ケミカルズ)、LMT(N-ラウロイルメチルタウリンNa)、MMT(N-ミリストイルメチルタウリンNa)、SMT(N-ステアロイルメチルタウリンNa)、PMT(N-パルミトイルメチルタウリンNa)、N-アシルサルコシン、N-オレオイルサルコシン(日光ケミカルズ)、N-アシルグリシンを使用することもできる。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物におけるアニオン性界面活性剤の配合量としては、好ましくは0.1~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3~0.5質量%である。
このようなアニオン性界面活性剤を配合することにより、耐熱性を向上させることができるので、ヒートシール耐性を強くすることができる。配合量が0.1質量%未満であると、十分な添加効果を得られない可能性があり、配合量が1.0質量%を超えると、耐水性及びトラッピング性が低下する可能性がある。
また、本発明におけるアニオン性界面活性剤による効果を阻害しない範囲において、カチオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を配合することもできる。
水性媒体として、水と共に使用される水溶性有機溶媒としては、例えば、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記モノアルコール類としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノニルアルコール、n-デカノール、またはこれらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1~6のアルコールを使用できる。
上記多価アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等を使用できる。
上記多価アルコールの低級アルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等を使用できる。
上記水溶性有機溶媒の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物の含有量としては、極力少なくすることが好ましく、配合しないこともできる。
しかしながら配合する際の含有量は、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物中0~10.0質量%が好ましく、さらに好ましくは0~5.0質量%である。10.0質量%を超えるときには乾燥不良や耐ブロッキング性が低下する。
その他、インキ性能の必要性に応じて、かつ本発明による効果を阻害しない範囲で、耐ブロッキング剤、消泡剤、静電気防止剤等の各種添加剤を含有させる事もできる。また、耐水耐摩擦性等の塗膜物性を向上させるためにヒドラジン化合物又はカルボジイミド化合物を含有させることも可能である。
前記の各種材料を使用して、表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物を製造する方法としては、顔料、バインダー樹脂、アニオン性界面活性剤、水性溶媒、及び必要に応じて顔料分散剤を混合して混練し、さらに架橋剤等の所定の材料の残りを添加、混合する方法が一般的である。
以上の方法により得られる表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物は、フレキソ印刷方式又はグラビア印刷方式によって、プラスチックフィルムに印刷することができる。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物が印刷されるプラスチックフィルムとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等の各種プラスチックフィルムが挙げられ、特にコロナ放電処理等の表面処理されたものがより好適である。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物は、上述の顔料、水溶性アクリル樹脂、水性媒体の各種材料を従来一般的に使用されている各種の分散・混練装置を使用し製造した後、水性樹脂エマルジョン、アニオン性界面活性剤、水性媒体を加え撹拌混合することにより得ることができる。
上記表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物を使用し、フレキソ印刷方式によって、基材フィルムに印刷することによりフレキソ印刷物を得ることができる。
本発明の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物を用いて印刷する対象の基材フィルムとしては特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のポリエステルフィルム、ナイロン、ビニロンといった各種印刷用樹脂フィルムが使用できる。
AV100mgKOH/g、Tg107℃、Mw11000、
アンモニア中和、固形分28質量%
エマルジョン樹脂A:スチレンアクリル樹脂エマルジョン
AV62mgKOH/g、Tg7℃
エマルジョン樹脂B:アクリル樹脂エマルジョン
AV42mgKOH/g、Tg-24℃
エマルジョン樹脂C:スチレンアクリル樹脂エマルジョン
AV87mgKOH/g、Tg117℃
<印刷物の製造>
表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物(実施例Y1~Y10、比較例Y1~Y3、実施例B1~B4、比較例B1~B3)、フィルムの処理面にフレキソ印刷機を利用し、下記条件で印刷、乾燥させて、印刷物を得た。得られた印刷物を用いて、基材密着性、耐熱性、耐水耐摩擦性の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示す。
(印刷方法・印刷条件)
フィルム:OPP(コロナ放電した二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡製
P-2161、厚さ25μm)
印刷時部屋の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :フレキソ印刷機
塗工速度:150m/min
刷版 :ベタ版
乾燥温度:55℃
印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いから、密着性を評価した。
A:印刷皮膜がフィルムから全く剥離しない
B:印刷皮膜の面積比率として、20%未満がフィルムから剥離した
C:印刷皮膜の面積比率として、20%以上、50%未満がフィルムから剥離した
D:印刷皮膜の面積比率として、50%以上がフィルムから剥離した
実施例、比較例の各表刷り印刷物の印刷面に、80~250℃の熱傾斜を有する熱板を備えたヒートシール試験機を用いて、印刷面とアルミ箔を2.0kg/cm2の圧力で、
1秒間押圧した。
印刷面のインキがアルミ箔に転移する最低温度から耐熱性を評価した。
A:200℃以上のもの
B:160℃以上、200℃未満のもの
C:140℃以上、160℃未満のもの
D:140℃未満のもの
印刷面に、摩擦子に水に浸漬したカナキンを用い、学振試験機(大栄科学精機製作所)にて荷重200gで100回往復し、インキの脱落した度合いから耐水耐摩擦性を評価した。
A:インキの脱落がない
B:インキが20%未満の範囲で脱落する
C:インキが20%以上50%未満の範囲で脱落する
D:インキが50%以上の範囲で脱落する
Claims (4)
- 顔料、バインダー樹脂、水性媒体を含有する表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物であって、さらに、アニオン系界面活性剤としてリン酸エステル系界面活性剤及び/又はタウリン系界面活性剤をインキ組成物中に0.1~1.0質量%含有する表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
- バインダー樹脂が、酸価10~100mgKOH/g、ガラス転移温度-30~150℃のアクリル系エマルジョンであり、これをインキ中に固形分で5~30質量%含有する請求項1に記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
- アクリル系エマルジョンが、アクリルエマルジョン、スチレン・アクリルエマルジョン、アクリル・マレイン酸エマルジョン及びスチレン・アクリル・マレイン酸エマルジョンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
- バインダー樹脂として、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有する請求項1~3のいずれかに記載の表刷りフィルム用水性印刷インキ組成物。
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