JP7151259B2 - 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents
1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7151259B2 JP7151259B2 JP2018148841A JP2018148841A JP7151259B2 JP 7151259 B2 JP7151259 B2 JP 7151259B2 JP 2018148841 A JP2018148841 A JP 2018148841A JP 2018148841 A JP2018148841 A JP 2018148841A JP 7151259 B2 JP7151259 B2 JP 7151259B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reaction
- chcl
- compound
- chloro
- hydrogen fluoride
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、略称として、ハイフン(-)より後ろの数字およびアルファベット小文字部分だけ(例えば、「HCFO-1233yd」においては「1233yd」)を用いる場合がある。
本発明は、1233ydの新規な製造方法の提供を課題とする。
(2) 触媒の存在下にて反応を行う、(1)に記載の製造方法。
(3) 50℃以上の条件下にて反応を行う、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4) Yが後述する式(3)で表される基である、(1)~(3)のいずれかに記載の製造方法。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1233ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体およびE体から選ばれる少なくとも1種を示し、より具体的には、Z体もしくはE体、または、Z体とE体の任意の割合の混合物を示す。化合物名や化合物の略称の後ろに(E)または(Z)を付した場合には、それぞれの化合物の(E)体または(Z)体を示す。例えば、1233yd(Z)はZ体を示し、1233yd(E)はE体を示す。
Yは、式(2)で表される基または式(3)で表される基を表し、なかでも1233ydの選択率が高く、副生物の生成が少ない点から、式(3)で表される基が好ましい。式(2)および式(3)中、*は結合位置を表す。
式(2) *-CFZ1-CHClZ2
式(3) *-CF=CHCl
Z1およびZ2のうち一方は水素原子を表し、Z1およびZ2のうち他方は塩素原子を表す。
つまり、Yが式(2)で表される基である場合、化合物1は式(1-2)で表される化合物で表され、Yが式(3)で表される基である場合、式(1-3)で表される化合物で表される。
式(1-2) CHClX-CFZ1-CHClZ2
式(1-3) CHClX-CF=CHCl
式(1-2)の具体例としては、CHClF-CHF-CHCl2、CHClF-CClF-CH2Cl、CHCl2-CHF-CHCl2(HCFC-241ea)、CHCl2-CClF-CH2Cl(HCFC-241ba)が挙げられる。
式(1-3)の具体例としては、CHClF-CF=CHCl、CHCl2-CF=CHCl(HCFO-1231yd)が挙げられる。
化合物1は、公知の方法により合成できる。例えば、241baは、CH2ClCFClCH2Clを塩素と反応させることにより製造できる(米国特許第8063257号公報)。
反応器の材質の具体例としては、ガラス、鉄、ニッケル、ステンレス鋼が挙げられる。
金属触媒の具体例としては、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化クロムなどの金属酸化物や、アンチモン、スズ、タリウム、鉄、チタン、タンタルなどの金属ハロゲン化物が挙げられる。上記金属触媒を、活性炭や金属酸化物などの担体に担持させてもよい。
なお、触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、副生物の抑制や触媒失活の抑制に有効である点から、反応においてN2などの不活性ガスを用いてもよい。
気相反応における反応温度は、反応活性および1233ydの選択率の点から、50℃以上が好ましく、50~700℃がより好ましく、50~600℃がさらに好ましく、50~400℃が特に好ましい。
なお、気相反応の場合、原料である化合物1をプレヒートした後、反応に供してもよい。プレヒートの温度は、原料を効率的に気化する点から、80~400℃が好ましく、150~400℃がより好ましい。
なお、上記反応温度は使用される触媒に応じて好適な範囲が調整され、例えば、Cr2O3のようなクロムベースの酸化物触媒を用いる場合、反応温度は200~600℃が好ましく、250~500℃がより好ましく、FeCl3を活性炭に担持させた鉄ベースの触媒を用いる場合、反応温度は80~300℃が好ましく、100~250℃がより好ましい。
気相反応における反応系の圧力は、0~0.2MPaであることが好ましい。
気相反応における反応時間は、反応収率および製造効率の点から、1~6000秒間が好ましく、10~1500秒間がより好ましい。なお、反応時間は、反応器内での原料の滞留時間を意味する。
液相反応における反応温度は、反応収率および1233ydの選択率の点から、20℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
液相反応における反応時間は、反応収率および製造効率の点から、0.5~50時間が好ましく、1~10時間がより好ましい。なお、反応時間は、反応器内での原料の滞留時間を意味する。
液相反応の場合の反応時間は、反応収率および製造効率の点から、0.1~100時間が好ましく、1~20時間がより好ましい。なお、反応時間は、反応器内での原料の滞留時間を意味する。
液相反応は、必要に応じて、溶媒の存在下にて実施してもよい。溶媒としては、フッ化水素に不活性な化合物であればよく、例えばCF3(CF2)nCF3(ただし、式中nは、3~6の整数を表す。)で表される炭素数5~8の直鎖パーフルオロアルキル化合物等が挙げられる。
化合物1とフッ化水素との反応により、目的物である1233ydの他に1,3-ジクロロ-2,3-ジフルオロプロペン(HCFO-1232yd)等が副生物として得られる。上記反応により得られた生成物を、蒸留等の公知の方法により精製することによって1233ydが得られる。
得られる1233ydが1233yd(Z)と1233yd(E)との混合物である場合、1233yd(E)の質量に対する、1233yd(Z)の質量の比(1233yd(Z)/1233yd(E))は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、15以上が特に好ましい。上記比の上限は、通常、100である。
1233yd(Z)は1233yd(E)よりも化学的安定性が高いため、1233yd(Z)の質量の比(1233yd(Z)/1233yd(E))が上記下限値以上であれば、各種用途(例えば、洗浄剤、冷媒、熱媒体、発泡剤、溶剤)において使用しやすい。
不純物の具体例としては、1233ydの異性体である2-クロロ-1,3,3-トリフルオロプロペン(1233xe)、化合物1のフッ素化がさらに進行して生成する1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ye)が挙げられる。
生成物中における1233xeの含有量は、精製効率の点から、生成物全質量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。上記含有量の下限は、通常、0である。
以下の各種化合物の製造において、得られた生成物の組成分析はガスクロマトグラフ(GC)を用いて行った。カラムはDB-1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。
内径1/2インチ、長さ100cmのインコネル600製U字型反応管に、触媒としてクロミア(50mL)を充填し、窒素ガス(150NmL/min)を流しながら300℃まで昇温した。反応管内を大気圧に維持しながら、反応管通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、フッ化水素(68.3NmL/min)と窒素(34.1NmL/min)との混合ガスを流しながら、300℃で触媒をフッ素化して活性化した。反応管を300℃に加熱し、ガス化させた1,1,3,3-テトラクロロ-2-フルオロプロパン(CHCl2CHFCHCl2。241ea)(17.1NmL/min)と、フッ化水素(85.3NmL/min)とを供給し、反応させた。反応粗ガスは10質量%水酸化カリウム水溶液に流通した。3時間経過後、10質量%水酸化カリウム水溶液中に分離した有機層を回収し、ガスクロマトグラフを用いて、回収した有機層を分析した結果を表1に示す。
例1の原料を241eaから、1,1,2,3-テトラクロロ-2-フルオロプロパン(CHCl2CClFCH2Cl。241ba)に変更した以外は、例1と同様の手順で反応を行った。例2で得られた有機層のガスクロマトグラフによる組成分析の結果を、反応の条件などとともに表1に示す。
例1の原料を241eaから、1,3,3-トリクロロ-2-フルオロプロペン(CHCl2CF=CHCl。1231yd)に変更した以外は、例1と同様の手順で反応を行った。例3で得られた有機層のガスクロマトグラフによる組成分析の結果を反応の条件などとともに表1に示す。
原料転化率は、反応に使用した原料のモル量に対する、反応で消費された原料のモル量の割合(単位:%)を表す。
1233yd(Z)選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の1233yd(Z)のモル量の割合(単位:%)を表す。
1233yd(E)選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の1233yd(E)のモル量の割合(単位:%)を表す。
1232yd選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の1232yd(CHClFCF=CHCl)のモル量の割合(単位:%)を表す。
1231yd選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の1231yd(CHCl2CF=CHCl)のモル量の割合(単位:%)を表す。
その他選択率は、反応で消費された原料のモル量に対する、生成物中の上記成分(1233yd(Z)、1233yd(E)、1232yd、1231yd)以外の他の成分のモル量の割合(単位:%)を表す。
Claims (3)
- CHCl 2 -CHF-CHCl 2 、CHCl 2 -CClF-CH 2 Cl、または、CHCl 2 -CF=CHClとフッ化水素とを反応させて、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンを製造する、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法であって、
フッ素化されたクロミア、または、酸化クロムの存在下、前記反応を行う、製造方法。 - 50℃以上の条件下にて前記反応を行う、請求項1に記載の製造方法。
- CHCl 2 -CF=CHClとフッ化水素とを反応させて、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンを製造する、請求項1または2に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018148841A JP7151259B2 (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018148841A JP7151259B2 (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020023454A JP2020023454A (ja) | 2020-02-13 |
JP7151259B2 true JP7151259B2 (ja) | 2022-10-12 |
Family
ID=69618257
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018148841A Active JP7151259B2 (ja) | 2018-08-07 | 2018-08-07 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7151259B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017018412A1 (ja) | 2015-07-27 | 2017-02-02 | 旭硝子株式会社 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
WO2018079726A1 (ja) | 2016-10-28 | 2018-05-03 | 旭硝子株式会社 | テトラフルオロプロペンの製造方法 |
-
2018
- 2018-08-07 JP JP2018148841A patent/JP7151259B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017018412A1 (ja) | 2015-07-27 | 2017-02-02 | 旭硝子株式会社 | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 |
WO2018079726A1 (ja) | 2016-10-28 | 2018-05-03 | 旭硝子株式会社 | テトラフルオロプロペンの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020023454A (ja) | 2020-02-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5498381B2 (ja) | フッ素化有機化合物を製造する方法 | |
JP2024105492A (ja) | フッ化有機化合物の製造方法 | |
KR101388042B1 (ko) | 통합된 HFC 트랜스-1234ze 제조 공정 | |
US10059647B2 (en) | Method for producing fluorinated organic compounds | |
JP5926488B2 (ja) | フッ素化されたオレフィンを生成するための方法 | |
RU2425822C2 (ru) | Способ получения тетрафторпропенов | |
JP5484820B2 (ja) | 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 | |
EP3173397A1 (en) | Method for producing fluorinated organic compounds | |
US20130131403A1 (en) | Method for producing fluorinated organic compounds | |
JP2014500858A (ja) | 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 | |
JP2011190272A (ja) | 1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造するためのプロセス | |
JP2011500695A (ja) | フッ素化されたオレフィンの合成のための方法 | |
JPWO2011162336A1 (ja) | 1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 | |
KR20180039665A (ko) | 클로로알칸의 신규 플루오린화 방법 | |
RU2545096C2 (ru) | Способ изготовления 2-хлор-3,3,3-трифторпропена в результате газофазного фторирования пентахлорпропана | |
JP5715177B2 (ja) | フッ素化有機化合物の製造方法 | |
KR102354556B1 (ko) | 하이드로클로로플루오로올레핀의 제조 방법 | |
JP5805812B2 (ja) | 統合hfcトランス−1234ze製造方法 | |
WO2018079726A1 (ja) | テトラフルオロプロペンの製造方法 | |
JP2021107328A (ja) | 含塩素プロペンの製造方法 | |
JP7151259B2 (ja) | 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法 | |
US10259761B2 (en) | Method for producing fluorinated olefins | |
KR20160113669A (ko) | 하이드로클로로플루오로올레핀의 제조 방법 | |
US20050020863A1 (en) | Method of making fluorinated propanes | |
WO2020218340A1 (ja) | ハイドロクロロフルオロカーボンの製造方法、1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロペンの製造方法、1-クロロ-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテンの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210209 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20210830 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20211125 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211207 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20220203 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220405 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220830 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220912 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7151259 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |