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JP6995495B2 - 振動型アクチュエータの制御装置、駆動装置、撮像装置及び振動型アクチュエータの制御方法 - Google Patents

振動型アクチュエータの制御装置、駆動装置、撮像装置及び振動型アクチュエータの制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、振動型アクチュエータの制御装置、これを用いる駆動装置、撮像装置及び振動型アクチュエータの制御方法に関する。
非電磁駆動式のアクチュエータとして、振動体と被駆動体とを加圧接触させ、振動体に励起した振動により振動体と被駆動体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータが知られている。振動体は、例えば、弾性体と、弾性体に接合されている圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子と、を有する。振動型アクチュエータでは、電気-機械エネルギー変換素子に交流の駆動電圧を印加することにより振動体に高周波振動を発生させ、発生した振動エネルギーを振動体と被駆動体との相対移動という機械運動として取り出す。
振動型アクチュエータによって駆動対象物を高速に加減速して駆動する場合、駆動対象物を所望の位置で精度良く停止することが求められることがある。
特許文献1には、振動型アクチュエータのフィードバック制御を行いながら、高速送り制御と位置決め制御との2つの制御を切換えることによって、駆動対象物の位置決め精度を向上することが記載されている。具体的には、特許文献1には、高速送り制御によって駆動対象物を目標位置に向かって移動し、駆動対象物が目標位置近傍に到達すると、発振器の周波数を選択的に切替えて電圧制御によって減速して位置決めを行う。これにより、目標位置近傍において、高速送り制御よりも精密な位置決め制御が行われるため、駆動対象物の停止精度を向上することができる。
特開2002-14272号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような制御では、振動体と被駆動体との摩擦接触部の状態が急激に変化して速度の変動が発生することがある。そのため、減速時の振動型アクチュエータの速度が大きく変化してしまい、減速における速度変化が不安定で、駆動対象物が目標位置に到達する前に駆動が停止したり、目標位置で十分に減速できなかったりする恐れがある。そのため、例えば、目標位置に配置されている当接部材に駆動対象物が勢いよく衝突し、駆動対象物が移動方向と反対側に戻って目標位置と異なる位置で停止してしまうことがある。このように、従来の方法では、十分な停止精度を得られないことがある。
上述の課題に鑑み、本発明は、振動型アクチュエータの制御装置において、減速制御の際の速度変化を従来よりも低減することを目的とする。
本発明の一側面としての駆動装置は、電気-機械エネルギー変換素子を備える振動体を有し、前記電気-機械エネルギー変換素子に交流信号を印加することにより前記振動体に振動を励起し、前記振動によって前記振動体と接触している被駆動体と前記振動体とが相対移動する振動型アクチュエータの駆動を制御する制御装置であって、前記振動型アクチュエータを減速する場合、減速を開始する減速開始位置で、前記交流信号の周波数である駆動周波数を前記振動型アクチュエータを起動するときの前記駆動周波数である起動周波数より低い直前の前記駆動周波数から前記起動周波数より高い周波数に変更してから、前記駆動周波数を制御することにより、前記振動型アクチュエータを減速し、且つ、前記振動型アクチュエータを減速しているときは、前記交流信号の電圧を固定することを特徴とする。
本発明の一側面としての駆動装置によれば、減速制御の際の駆動速度を従来よりも低減することができる。
実施形態の駆動装置の構成を説明するブロック図。 実施形態の制御装置における制御量決定部の構成を説明するブロック図。 実施形態の制御装置における周波数制御部の構成を説明するブロック図。 図4(a)は、振動型アクチュエータに印加する交流電圧の駆動周波数とモータ速度との関係を説明する図。図4(b)は、残角度と周波数シフト量を説明する図。 図5(a)は、メインミラーを回転駆動した場合の位置と指令速度の関係を示す図。図5(b)は、メインミラーの状態を説明する図。 実施形態の制御装置が振動型アクチュエータを駆動する場合のタイミングチャート。 従来の制御装置が振動型アクチュエータを駆動する場合のタイミングチャート。 実施形態の駆動方法を説明するフローチャート。 振動型アクチュエータを駆動してメインミラーを端部aと端部bの間で往復移動した場合の、回転角と速度の時間変化を示す図。 実施形態の振動型アクチュエータの構成を説明する模式図。 実施形態の撮像装置の構成を説明する模式図。 実施形態の駆動部の構成を説明するブロック図。
本実施形態の駆動装置20について、図1を参照して説明する。図1は、駆動装置20の構成を説明するブロック図である。駆動装置20は、図11に示す撮像装置30において、撮像装置30のミラーを、撮影光軸上に侵入する位置と撮影光軸上から退避する位置との移動に用いられる。撮像装置30は、デジタル一眼レフカメラである。
駆動装置20は、振動型アクチュエータ23と、制御装置21とを有する。振動型アクチュエータ23は、制御装置21から電気-機械エネルギー変換素子に交流信号を印加することにより振動体6に振動を励起する。そして、励起された振動によって振動体6と被駆動体117とが相対移動することにより、振動型アクチュエータ23と接続している駆動対象物33に駆動力を与えるモータである。
従来、ミラーの駆動は、ばねチャージ式又は電磁モータ駆動方式等で行っていた。しかし、カメラによる撮影時のコマ速の高速化に伴い、ミラーの駆動速度を従来よりも速くしたい場合、従来の駆動方式では、ミラーの駆動速度を速くするとミラーが端部に到達する際に十分にブレーキが効かないことがある。その結果、端部に配置されている当接部材である位置決めダボにミラーが高速に衝突する恐れがある。また、ギヤのバックラッシやリンク部のガタによって制御性が低下してしまう。これに対し、振動型アクチュエータである駆動装置20を用いれば、その摩擦駆動の特徴を活かしてミラーの急加速及び急減速を行う事ができる。さらに、本実施形態の駆動装置21を用いれば、ミラーを高速に移動してから安定して減速させることができ、移動範囲の端部で従来よりも高精度に停止できる。
[撮像装置の構成]
撮像装置30の構成について、図11(a)、図11(b)を参照して説明する。図11(a)は、撮影レンズを外した状態の撮像装置30を、被写体側より見た模式図である。カメラ本体31内には、不図示の撮影レンズを通過した撮影光束が導かれるミラーボックス32が設けられており、ミラーボックス32内にミラーが配置されている。ミラーは、メインミラー(クイックリターンミラー)33及びサブミラー35を含む。不図示の撮像部は、撮影レンズを通過した撮影光軸上に設けられている。
図11(b)は、カメラ本体31の構造を説明するカメラ本体31の断面の模式図である。カメラ本体31の撮像部には、受光した被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOSセンサ等の受光素子である撮像素子36が設けられている。
メインミラー33及びサブミラー35は、撮影者がファインダ接眼窓34から被写体像を観察するために撮影光軸に対して45°の角度で配置される状態と、光を撮像素子36の方向へ導くために撮影光軸から退避した位置に配置される状態と、を取り得る。すなわち、メインミラー33及びサブミラー35は、撮影光軸上に侵入する位置と撮影光軸上から退避する位置とを移動可能に構成されている。
カメラによる撮影時のコマ速を上げるためには、メインミラー33及びサブミラー35を高速に往復動作して、上述の2つの状態を高速に切り換える必要がある。本実施形態では、駆動装置20を用いてメインミラー33及びサブミラー35を移動範囲内で移動することにより、メインミラー33及びサブミラー35を高速に往復動作して、上述の2つの状態を切り替える。すなわち、メインミラー33及びサブミラー35は、駆動装置20で駆動される駆動対象物である。以降の説明では、駆動装置20の駆動対象物であるメインミラー33及びサブミラー35を、単にミラーと呼ぶことがある。
本実施形態では、メインミラー33の駆動軸上に、駆動装置20の振動型アクチュエータ23の出力軸10が連結しており、振動型アクチュエータ23の回転駆動力によってメインミラー33を往復駆動する。サブミラー35は、リンク機構を介してメインミラー33と連結され、一体となって回転動作する。
なお、メインミラー33の駆動軸と振動型アクチュエータ23とは、直接連結していてもよいし、ギヤ又はリンク機構等を介して連結していてもよい。なお、本実施形態では、メインミラー33と振動型アクチュエータ23とが接続しているが、これに限らず、サブミラー35と振動型アクチュエータ23とが直接、あるいは、ギヤ又はリンク機構等を介して接続していてもよい。
ミラーボックス32内には、メインミラー33が、撮影光軸に対する上述の2つの状態で停止するように、メインミラー33の移動範囲の両端部に、メインミラー33を突き当てて当接させる第1の当接部材37a、第2の当接部材37bを有する。
駆動装置20の振動型アクチュエータ23は、駆動力を発生し、その駆動力によりメインミラー33及びサブミラー35を移動範囲内で移動させる。撮像装置30は、第1の当接部材37aと接して静止状態であるメインミラー33を加速し、第2の当接部材37b側に移動させた後に減速して第2の当接部材37bで停止させる。これをミラーアップ動作と呼ぶ。また、撮像装置30は、第2の当接部材37bと接して静止状態であるメインミラー33を加速し、第2の当接部材37b側に移動した後に減速して第1の当接部材37aで停止させる。これをミラーダウン動作と呼ぶ。撮像装置30は、振動型アクチュエータ23の駆動力を制御して、ミラーアップ動作とミラーダウン動作とを交互に行うことにより、メインミラー33を移動範囲内で高速に往復動作させる。
本実施形態の撮像装置30は、ミラーアップ動作又はミラーダウン動作を行う場合、目標停止位置である移動範囲の端部手前から減速を開始する。減速制御は、制御装置21が、振動型アクチュエータ23に印加する交流信号の電圧を固定した状態で、交流信号の周波数を制御することによって行われる。具体的には、メインミラー33が移動範囲の端部手前から減速を開始する際に、まず、減速を開始する減速開始位置で、振動型アクチュエータ23に印加する交流信号の周波数(駆動周波数)を起動周波数f0より高域側にシフトさせて強いブレーキ力を与える。その後、交流信号の駆動周波数を用いて振動型アクチュエータ23の駆動速度を制御する。
従来の制御方法では、移動する対象物が当接部材に突き当たる衝撃を避けるために、駆動電圧を下げることで高速にモータを減速させる。しかし、駆動電圧を下げることでブレーキ力を得る場合、減速時の速度が大きく変動してしまい、精度を確保することが難しくなる。例えば、ブレーキが強く効き過ぎると当接部材の手前でミラーが停止してしまい、停止精度を確保できなくなる。また、本実施形態の撮像装置30において、メインミラー33が当接部材に確実に突き当たるように減速させた場合、十分に減速できずに高速に当たってしまう恐れがある。これにより、モータ停止後もミラーのバウンドが続いてしまう事や、メインミラー33が当接部材37a、37bと衝突して戻ってきた状態で停止してしまう恐れがある。
これに対し、本実施形態の駆動装置20は、ミラーの減速時に、まず、振動型アクチュエータ23の駆動周波数を、起動周波数をまたいで瞬時に高域側にシフトさせることにより、駆動速度が急減速して強いブレーキ力を与えることができる。その後、駆動装置20は、駆動電圧を固定した状態で駆動周波数のPID制御を行いながら振動型アクチュエータ23の駆動を停止する。減速期間において、駆動電圧を固定しておくことにより、減速時に、従来よりも安定した速度制御を行うことができ、駆動対象物であるミラーを従来よりも安定して減速することができる。そのため、駆動対象物であるミラーを端部a、bで従来よりもばらつきなく、精度よく停止させることができる。
また、ミラーが端部a、bに移動した後、ミラーの振動が許容範囲に収まるまで待機してから撮像動作を行う必要がある。本発明は端部a、bに到達時のミラー速度を安定して制御でき、ミラーの振動を低減できるので許容範囲に収まるまでの時間を短くすることができる。そのため、カメラによる撮影時のコマ速を向上することができる。制御装置21の構成及び制御方法の詳細については後述する。
[駆動装置の構成]
<振動型アクチュエータ>
振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6、被駆動体117及びセンサ相111を有する棒状振動型アクチュエータである。振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6の摩擦部に円運動又は楕円運動を発生させ、摩擦部に圧接した被駆動体117を相対的に回転させる超音波モータである。振動型アクチュエータ23は、例えば、カメラに設けられたミラー、シャッター、レンズなどを駆動するためのアクチュエータとして用いられる。センサ相111は、振動体6の振動状態を電気的に検出する。
振動型アクチュエータ23の構成について、図10を参照して説明する。図10は、振動型アクチュエータ23の構成を説明する模式図である。
図10(a)において、振動型アクチュエータ23は、棒状の振動体6と、振動体6の摩擦部と加圧接触している回転体5と、を有する。
振動体6は、摩擦部とくびれ部と挟持部とが一体に形成されている2つの振巾拡大部材1、電気-機械エネルギー変換素子である圧電素子2、圧電素子2に電力を供給するためのフレキシブルプリント基板12、及びこれらの部材を支える支持部材3、を有する。2つの振巾拡大部材1は、圧電素子2、フレキシブルプリント基板12及び支持部材3を挟持固定しており、これにより棒状の振動体6が構成される。
振動型アクチュエータ23の内径部には軸受7が圧入されており、出力軸10に対して振動体6の位置決めをしている。そして、圧電素子2に加えた電圧により、振動体6は2つの曲げ振動を合成して両端部に首ふり運動を生じる。この首ふり運動により、両端部の摩擦部の摩擦摺動面には円又は楕円運動を発生する。
回転体5は、振動体6と加圧接触する被駆動体117である。回転体5にはプレス加工により作製されたステンレス鋼製の段付き摩擦部材4が接着剤、ろう付けあるいは溶接により接合されている。摩擦部材4の端面は加圧バネ11により、摩擦摺動面に圧接されている。そのため、振動体6の摩擦部に発生した円又は楕円運動により、回転体5と振動体6とが相対的に移動する。本実施形態では、回転体5が回転する構成である。
回転体5の回転力は、回り止めを介して出力軸10に伝えられる。加圧バネ11による反力は2つの加圧受け部材8で受けている。加圧受け部材8と出力軸10及び回り止めは接着剤にて接合されているため回転体5の回転力は確実に出力軸10に伝達される。なお、接着剤の代わりにレーザ等によるスポット溶接やろう付けで接合してもよい。出力軸10はケース側軸受け9に支持されている。ケースは、2つの部材13、14に分離されていて、振動体6全体を支持する支持部材3をはさみ込んで固定している。
本実施形態では、ミラー駆動軸と振動型アクチュエータ23の出力軸10とを連結させることにより、撮像装置30のミラーを回転動作させる。その際、ミラーの回転位置及び速度は、図10(c)に示す出力軸10上に取付けられた円板スケール1001の反射光を対向する光学センサ1002を用いて検出される。
以降、図1を参照して、駆動装置20の構成を説明する。
<位置検出部>
位置検出部150は、被駆動体117の位置を取得する位置センサである。位置検出部150としては、回転又はリニアエンコーダ等が用いられる。位置検出部150での検出結果は、制御装置21の相対位置取得部109及び相対速度取得部113に送られる。
<制御装置>
制御装置21は、振動型アクチュエータ23の駆動を制御する。具体的には、制御装置21は、圧電素子2にA相、B相の交流電圧を印加することにより、振動型アクチュエータ23を駆動する。その際、制御装置21は、圧電素子2に印加する複数の交流電圧の周波数、電圧及び位相差の少なくとも1つを調整することにより、回転体5の速度、つまり、振動型アクチュエータ23が発生する駆動力を制御する。振動型アクチュエータ23の駆動力を制御することにより、駆動対象物であるミラーの移動速度及び移動方向等を制御することができる。
制御装置21の構成について、図1を参照して説明する。なお、以降の説明において、「振動型アクチュエータ23を駆動する」とは、振動体6に励起する2つの曲げ振動を制御することにより、被駆動体117と振動体6との相対的な位置、速度を制御することを指す。また、以下の説明では、便宜上、振動体6は不図示の固定手段に固定されており、制御装置21は、被駆動体117を移動体として振動体6に対して移動させるように振動型アクチュエータ23を駆動するものとして説明を行う。
制御装置21は、指令部110、相対速度取得部113、制御量決定部120、及び駆動部140を有する。
指令部110は、例えば、CPUやPLD(ASICを含む)、ROM、RAM、A/D変換器等の各種の電子デバイス、電気部品を有し、振動型アクチュエータ23の駆動を制御するための情報を含む信号を生成する。指令部110は、指令値決定部101、位置比較部102、位置指令生成部118及び相対位置取得部109を有する。
位置指令生成部118は、ミラー32の目標位置を出力する。相対位置取得部109は、位置検出部150の検出結果としての出力信号に基づき、被駆動体117の相対位置を取得する。
位置比較部102は、位置指令生成部118から出力された目標位置と、相対位置取得部109で取得した相対位置と、の偏差を逐次算出する演算部である。本実施形態ではミラーを回転駆動するため、位置比較部102は、目標位置としての目標回転角と検出されたミラーの回転角との偏差を取得する。例えば、ミラーを第1の当接部材37aと接している状態から第2の当接部材37bと接する位置まで移動する場合、第1の当接部材37aから第2の当接部材37bに到達するために必要な回転角から、ミラーの回転角を引いた偏差を残角度として用いる。位置比較部102で取得された偏差は指令値決定部101と周波数制御部103に送られる。
指令値決定部101は、取得した偏差に基づいて、速度、電圧及び駆動方向等の情報を有する各指令値を取得し、信号を出力する。なお、指令値決定部101は、本実施形態のように偏差を用いて各指令値を決定する構成に限らず、ミラーの回転角又は駆動対象物の移動速度、モータの回転速度等を用いて各指令値を取得する構成でもよい。残角度等の偏差を用いる構成は、より精度の高い制御を行うことができるため好ましい。
本実施形態では、振動型アクチュエータを用いてミラーを回転する構成となっているが、振動型アクチュエータを用いて駆動対象物を並進移動する構成も考えられる。その場合は、指令値決定部101は、目標位置から駆動対象物までの距離を引いた値(残距離)を偏差として用いて各指令値を取得する、又は、上述にように駆動対象物の移動距離又は移動速度、モータの回転速度等を用いて各指令値を取得すればよい。
相対速度取得部113は、位置検出部150からの出力信号に基づき、被駆動体117の相対速度を取得する。
制御量決定部120は、周波数制御部103と、電圧制御部104と、位相差制御部105と、を有する。制御量決定部120は、指令部110からの信号と、ミラーの目標位置までの偏差(残偏差)と、相対速度等に基づいて、振動型アクチュエータ23に印加する複数の交流信号の周波数、電圧及び位相差の制御量を決定する。具体的には、周波数制御部103が交流信号である交流電圧の周波数を、電圧制御部104が交流信号のデューティ比を、位相差制御部105が複数の交流信号同士の位相差を決定する。
制御量決定部120の構成について、図2を参照して説明する。図2は、制御装置21における制御量決定部120の構成を説明するブロック図である。
周波数制御部103は、指令値決定部101からの指令速度と相対速度取得部113からの相対速度との差(速度偏差)を用いて、ミラーが指令された速度で移動するように、振動型アクチュエータ23に印加する複数の交流信号の周波数を制御する。具体的には、指令値決定部101からの速度指令と、相対速度取得部113からの相対速度を用いて速度偏差が算出され、周波数制御部103に入力される。速度偏差は後述のLPF(ローパスフィルタ)121、PID演算部(偏差演算部)122で演算される。一方で、シフト量制御部1が、位置比較部102からの残角度を用いて周波数シフト量(以下、単に「シフト量」と呼ぶ)を取得する。PID演算量(偏差演算量)とシフト量が変換部123に入力され、それらを加算して得られた制御量を駆動周波数として駆動部140へ出力される。
周波数制御部103の構成について、図3を参照して説明する。図3は、周波数制御部103の構成を説明するブロック図である。周波数制御部103は、LPF121と、PID演算部122と、変換部123と、シフト量制御部124と、を有する。
LPF121は、指令値決定部101からの速度指令と、相対速度取得部113からの相対速度を用いて算出された速度偏差を取得し、取得した速度偏差の高域のノイズをカットする。LPF121からの出力信号は、PID演算部122に入力される。PID演算部122は、積分器301と微分器302とを有し、比例ゲイン(P)と積分ゲイン(I)と微分ゲイン(D)との各乗算結果が加算され、周波数ゲイン(F)が乗算される。
一方で、シフト量制御部124が、位置比較部102からの残角度を用いてシフト量を出力する。シフト量制御部124は、判定部305とシフト量調整部304とを有する。判定部305は、残角度が所定値以下となったときに、その位置を減速開始位置として、減速を開始する指令を出力する。判定部305からの減速指令に基づき、シフト量調整部304では周波数のシフト量が制御周期毎に出力される。なお、シフト量は減速指令と同時に振動型アクチュエータ23が停止するまで固定値を出力してもよいし、残角度の変化に基づいて計算又は表等を用いて取得したシフト量を出力してもよい。
変換部123では、制御周期毎に、PID演算部122からのPID演算量及びシフト量制御部124からのシフト量が入力され、振動型アクチュエータ23を駆動する制御量の1つである周波数に変換される。具体的には、起動時に設定される初期周波数f0からPID演算量を減算し、さらにシフト量が加算される。その後、周波数リミット303で最大周波数と最少周波数を制限してから周波数を出力する。
以上のように、周波数制御部103は、駆動周波数を制御して、振動型アクチュエータ23の速度制御を行う。
図4(a)は、振動型アクチュエータ23にする交流信号の駆動周波数とアクチュエータの駆動速度との関係を説明する図であり、横軸が駆動周波数、縦軸が駆動速度である。振動型アクチュエータ23を、より短時間で高速側の2000rpmまで加速したい場合、起動時の周波数(起動周波数)は2000rpmを示す周波数になるべく近い周波数を用いることが望ましい。例えば、本実施形態では、起動周波数を71kHzに近い周波数にすることが望ましい。その際、滑らかに加速するには、起動周波数を71kHzより少し高域側に設定することが望ましい。例えば、最高速度2000rpmで制御を行う場合、起動周波数f0を71.5kHzとしてアクチュエータ23と起動することで、短時間で滑らかに最高速度まで加速することが可能となる。
本実施形態の制御装置21は、駆動対象物であるミラーが端部a、bに近づいて減速を行う場合には、起動周波数f0から離れた高域側の周波数を用いる。具体的には、減速を開始する減速開始位置で、駆動周波数を起動周波数f0及び直前の周波数より高域側の周波数にシフトする。この際、直前の周波数は起動周波数f0より低く、減速開始位置で起動周波数f0をまたいで周波数が瞬時に高域側にシフトされる好ましい。このような構成にすることにより、ブレーキ力を高め、短時間で従来よりも安定して減速を行うことができる。例えば、減速開始位置で、駆動周波数を73.5kHzにシフトする。速度偏差のPID演算量のみを用いた制御では、起動周波数f0を基準として緩やかに高域側に変更されるため、駆動周波数が瞬時に高域まで制御されることはなく、短時間での減速動作を行うことは容易でない。
図4(b)は、シフト量制御部124が出力するシフト量の例を説明する図であり、横軸が残角度、縦軸がシフト量である。残角度に応じてシフト量を制御して、減速時はPID演算量にシフト量を加算して制御することで、減速性能を向上することができる。シフト量は、減速開始位置におけるシフト量から変化させずに、直線401で示したように一定のシフト量を出力する方法が簡易的である。また、シフト量は、残角度に応じて変化するように制御することもできる。例えば、残角度に応じて線形に変化するようにシフト量を直線402のように変化させてもよいし、関数を用いて曲線403、404のように変化させてもよい。シフト量を線形あるいは曲線で変化させることにより、ブレーキ力を残角度に応じて自在に制御する事が可能となる。なお、減速開始位置で、駆動周波数を起動周波数よりも高域側にシフトした後は、シフト量を用いず、単に駆動周波数を高域側の周波数で一定にしてもよい。最もブレーキ力を必要とする減速開始時は、減速開始位置とする残角度(本実施形態では30度)となる位置において、シフト量を最大値Rfに設定することが望ましい。
ここで、例として、最大値Rfを2kHzに設定し、残角度に応じてシフト量が線形変化するように制御する場合について説明する。アクチュエータ23は、起動周波数f0である71.5kHzで起動され、最高速度に達するまで、71kHz付近でPID演算量に基づいて駆動される。そして、減速開始位置において、PID演算量にシフト量が加算されて73.5kHzまで瞬時に変更される。その後、駆動電圧を固定した状態で、PID演算量とシフト量とを加算した値に基づく駆動周波数のPID制御が行われる。目標位置に近づくに従ってシフト量は減少してき、目標位置ではシフト量は0kHzまで下がり、駆動周波数はf0になる。この際、制御装置21は、減速開始位置から目標停止位置までの減速期間において、駆動電圧は固定された状態で、周波数制御を行う。周波数制御部103は、駆動周波数を範囲Rs(駆動周波数の最小値以上最大値以下の範囲)で制御することになる。そのため、シフト量を用いずPID演算量だけで制御する駆動周波数の範囲(Rs-Rf)よりも広い範囲で制御されることになる。なお、上述の周波数ゲイン(F)は、駆動周波数とモータ速度との特性カーブの傾きである速度変化率を目安として設定するとよい。
なお、減速開始時に、起動周波数より低域側の周波数から、最小の駆動速度で移動可能な駆動周波数(これを最大周波数とする)に変更する場合に、もっともブレーキ力を得ることができる。最大周波数は、起動周波数よりも高域側の周波数である。減速開始位置で駆動周波数を高域側にシフトする場合、駆動周波数は最大周波数以下にすることが好ましい。がそのため、シフト量は、少なくとも直前の周波数と起動周波数の差より大きく、直前の周波数と最大周波数の差以下であることが好ましい。
電圧制御部104は、振動型アクチュエータに印加する交流信号のパルス幅を制御して、駆動電圧の振幅を制御する。本実施形態では、電圧制御部104は、周波数制御での安定した減速動作を実現するため、制御される周波数範囲Rsにて駆動対象物を安定して移動可能な駆動力を有する電圧に固定して制御を行う。なお、この固定される電圧は、起動時から一定であってもよいし、固定であれば所定電圧であってもよい。なお、本明細書における「電圧を固定」とは、駆動電圧の振幅を固定することである。駆動電圧の振幅を制御する手段としては、交流信号のパルス幅を制御する方法がある。
電圧制御部104は、パルス幅設定部125を有する。電圧制御部104は、指令値決定部101からの電圧指令に基づいて交流信号である交流電圧のパルス幅を変更する。パルス幅設定部125は、指令値決定部101からの電圧指令に基づいて交流信号のパルス幅を設定する。
位相差制御部105は、切替部127を有する。位相差制御部105は、指令値決定部101からの駆動方向指令に基づいて、振動型アクチュエータ23に印加する2相の交流信号の位相差を制御することで、振動体6と回転体5との相対移動方向を制御する位相差(+90/-90)切替部である。その結果、位相差制御部105は、モータの駆動方向、すなわちミラーの回転方向を切り換える。具体的には、位相差制御部105は、指令値決定部101から入力された駆動方向指令に基づいて、切替部127で位相差が+90度と-90度とで切り替えられる。切替部127からの位相差は、制御量として駆動部140へ出力される。
駆動部140は、交流信号生成部106及び昇圧回路107を有する。
交流信号生成部106は、制御量決定部120から出力された制御量に基づいて、2相の交流信号を生成する。具体的には、制御量決定部120から出力された制御量は、駆動部140の交流信号生成部106に入力され、交流信号生成部106は、制御量決定部120から入力された周波数、パルス幅、位相差の各制御量に基づいて、矩形波の交流信号を生成する。これにより、振動型アクチュエータ23に供給する駆動電圧VA、VBを生成するための交流信号(交流パルス信号)の周波数、パルス幅及び位相差が調整される。
交流信号生成部106は、例えば、CPUや関数発生器、スイッチング回路等を有する。交流信号生成部106は、生成した2相の交流信号を昇圧回路107へ出力する。
昇圧回路107は、交流信号生成部106から出力された交流信号を所定の電圧値に昇圧して、交流の駆動電圧VA、VBを生成する。生成した駆動電圧は、振動体6の圧電素子2に印加される。これにより、被駆動体117が振動体6により摩擦駆動され、被駆動体117を所定の方向に所定速度で回転させることができる。
上述の通り、被駆動体117の相対速度は位置検出部150と相対速度取得部113によって検出され、制御量決定部120にフィードバックされる。また、相対位置取得部109が位置検出部150の検出結果を用いて被駆動体117の相対位置を取得し、指令部110にフィードバックする。
駆動部140の構成について、図12(a)を参照して説明する。図12(a)は、本実施形態の駆動部140の構成を説明するブロック図である。なお、駆動部140において、圧電素子2に印加される駆動電圧VA、VBの生成に用いられる部分の構成は同じであるため、以降の説明では、駆動電圧VAの生成に用いられる部分について述べる。
交流信号生成部106は、パルス信号生成部165と、スイッチング回路160と、を有する。また、昇圧回路107は、コイル162と、トランス163と、を有する。なお、昇圧回路107の構成はこれに限らず、例えば、コイル162及びトランス163のどちらか一方のみを有する構成でもよい。
パルス信号生成部165は、制御量決定部120からの情報に基づいて、制御量決定部120からの情報に応じた位相差、周波数及びパルス幅の情報を有する矩形のA相パルス信号と、A相パルス信号とは位相が180度ずれたA相反転パルス信号を生成する。図12(a)に、パルス信号生成部165で生成されるパルス信号を示す。パルス信号生成部165で生成されたA相パルス信号及びA相反転パルス信号は、スイッチング回路160に入力される。
スイッチング回路160は、電源161から供給された直流電圧を入力されたパルス信号のタイミングでスイッチング動作させ、矩形波の交流信号を生成する。なお、パルス信号生成部165で生成されるパルス信号のパルス幅をデューティ比で表した場合、交流信号生成部106で生成される交流信号のパルス幅も同じデューティ比で表される。
交流信号生成部106から出力される交流信号は、昇圧回路107に入力されて所定の電圧値に昇圧されることでsin波の駆動電圧VAに変換され、圧電素子2の一方の電極(A相)に印加される。
なお、圧電素子2の他方の電極(B相)に印加される駆動電圧VBの生成に用いられるB相パルス信号は、A相パルス信号に対して、制御量決定部120から出力された位相差の情報に基づく所定の位相差を有するように生成される。B相反転パルス信号は、B相パルス信号とは位相が180度ずれるように生成される。sin波の駆動電圧VBは、駆動電圧VAと同様に生成される。
[振動型アクチュエータの駆動方法]
制御装置21による振動型アクチュエータ23の制御方法について、図5、図6、図7を参照して説明する。
以降の説明では、ミラーを端部aから端部bに回転移動する場合を例にとって、駆動方法についてより詳細に説明する。なお、メインミラー33を端部bから端部aに移動する場合も、駆動力の方向及びメインミラー33の移動方向が逆になる以外は以降の説明と同様の方法で制御できる。
メインミラー33を回転する場合、まず、制御装置21は、指令速度と検出速度の偏差を演算したPID演算量を用いて駆動周波数を出力する第1のステップ(S1)を行う。第1のステップ(S1)によって、振動型アクチュエータ23は、駆動対象物を目的位置まで駆動する駆動力を発生する。
具体的には、制御装置21は、目標位置に基づいて指令値決定部101からの電圧指令によって駆動パルスをONにし、電圧制御部104のパルス幅設定部125が起動時のパルス幅を設定する。これにより、振動型アクチュエータ23が、ミラーを端部b側に回転移動するための駆動力を発生する。ここでは、起動時のパルス幅を50%とし、目標位置A1を端部aから端部bまでの回転角である120degに設定する。起動周波数f0は71.5kHzに設定され、f0を基準に速度偏差のPID演算量を用いて振動型アクチュエータ23の駆動周波数が制御されることにより、最高速度までミラーは加速される。
位置比較部102は、目標位置と相対位置とを用いて目標位置までの残角度を取得する。残角度が減速開始位置として設定した設定値以下になると、指令値決定部101からの指令速度が残角度に応じて下がり、減速制御が行われる。以降の説明では、減速を開始する残角度の設定値をA2とする。減速開始位置に到達すると、制御装置21は、交流信号の駆動周波数を直前の駆動周波数及び起動周波数fより高くなるように制御する第2のステップ(S2)を行う。第2のステップ(S2)では、電圧制御部104が駆動電圧を所定電圧又は所定電圧以上に固定した状態で、周波数制御部103が、速度演算量(速度偏差のPID演算量)にシフト量を加算して駆動周波数を出力する。このような制御を行うことにより、振動型アクチュエータ23は、減速開始位置で、駆動周波数が直前の周波数及び起動周波数よりも高い周波数に制御される。その結果、振動型アクチュエータ23に瞬時にブレーキをかけてミラーは減速する。本実施形態では、周波数制御部103は、減速を開始する残角度の設定値A2を30degとする。
第2のステップ(S2)を行った後、制御装置21は、駆動電圧を固定した状態で、周波数制御部103がPID演算量にシフト量を加算して駆動周波数を出力することにより、周波数によって減速制御を行う第3のステップ(S3)を行う。制御装置21は、ミラーが設定位置に到達したら、振動型アクチュエータ23の駆動パルスをOFFにするように制御する。本実施形態では、制御装置21は、残角度が0degになった後も駆動力を発生させてミラーが第2の当接部材37bを押すように制御するが、これに限らず、残角度が0degになった時点で、電圧制御部104がパルス幅を0%に切り替えてもよい。
ここで、指令値決定部101が位置に応じて指令速度を変更する動作について、図5を参照して説明する。図5(a)は、メインミラーを回転駆動した場合の位置と指令速度の関係を示す図である。図5(a)に示したように、指令値決定部101は、位置比較部102からの残角度に基づいて、指令速度を制御する。
本実施形態は、ミラーの位置に応じて、加速域(131)、最高速域(132)、減速域(133)に分かれる。まず、加速域では、指令値決定部101は、指令速度を2000rpmまで曲線状に大きく(早く)なるように制御する。なお、ここでは駆動対象物の位置に応じて指令速度を大きくする例を挙げたが、例えば時間によって指令速度を大きくするなど、他の方法を用いてもよい。次に、最高速域では、指令値決定部101は、指令速度を2000rpmで一定に制御する。減速域では、指令値決定部101は、残角度に比例して指令速度を低く(遅く)する。具体的には、指令値決定部101は、減速を開始する残角度の設定値A2を30degとし、サンプリング毎に取得される残角度と設定値A2との比X(X=残角度/設定値)を算出し、これに最高速度2000rpmを乗算することで線形に指令速度を低くする。したがって、減速開始から目標位置に向かって2000rpmから0rpmになるよう指令速度が変化する。
図5(b)は、メインミラーの状態を説明する図である。図5(b)では、メインミラー33が移動を開始する残角度120degの状態(i)で、パルス幅が50%に設定され、指令速度と検出速度の偏差を演算したPID演算量を用いた周波数制御による速度制御が行われ、起動から最高速度までモータが加速される。残角度が減速開始位置としての設定値A2に到達した状態(ii)では、駆動電圧のパルス幅を50%に固定しながら、周波数制御部103がPID演算量にシフト量を加算して周波数を制御する。このように制御することにより速度制御が行われ、端部bまで駆動速度が減速される(iii)。
ここからは、周波数制御部103、電圧制御部104及び位相差制御部105のそれぞれの制御について、図6を参照して説明する。図6は、制御装置21が振動型アクチュエータ23を駆動する場合のタイミングチャートであり、図6(a)は横軸が時間、縦軸が回転角であり、図6(b)は横軸が時間、縦軸がパルス幅である。また、図6(c)は、横軸が時間、縦軸が周波数であり、図6(d)は横軸が時間、縦軸が速度である。
時刻t0に駆動が開始された振動型アクチュエータ23は、まず、加速域131で指令速度と検出速度の偏差を演算したPID演算量を用いた周波数制御によって加速を行う第1のステップ(S1)が行われる。具体的には、制御装置21によってモータ検出速度が指令速度に追従するように速度制御され、パルス幅を50%に維持したまま周波数制御部103がPID演算量を用いて周波数を低域側に変更する。これにより、メインミラー33が端部b側に回転移動する。メインミラー33は、周波数が低域側に制御されることにより2000rpmまで加速される。
メインミラーが端部b側に回転移動すると、時刻t1でモータの回転角が40degであることが検知される。時間t1からt2までは最高速域(132)であり、指令速度は2000rpmで略一定となり、第1のステップ(S1)を継続したPID演算量を用いた周波数制御によって速度制御される。
その後、時刻t2で、回転角が90deg、すなわち残角度が30degであることが検知されると、駆動装置21は、駆動電圧を固定した状態で、駆動周波数を高域にシフトする第2のステップ(S2)を行うように制御する。これにより、減速動作が開始される。その後、残角度に応じて指令速度を下げることにより、第3のステップ(S3)の速度制御が行われる。第2のステップ(S2)では、パルス幅50%に固定した上で、周波数制御部103がPID演算量にシフト量を加算して周波数を制御することにより、時刻t2で駆動周波数が大幅に高域側に変化する。減速域(133)では、パルス幅50%に固定した上で、残角度が小さくなるにつれて再び起動周波数f0(71.5kHz)に戻るように、周波数制御部103がPID演算量にシフト量を加算して周波数を制御する。時刻t2では大きなブレーキ力を得ることができ、時刻t2以降の制御により、目標位置まで移動する途中でミラーが停止しないように駆動力を得ることができる。
時刻t3で回転角が120degに到達し、指令速度は0rpmとなる。そこで、制御装置21は、振動型アクチュエータ23の停止整定制御を行う。本実施形態の停止整定制御では、制御装置21は、振動型アクチュエータ23にミラーを端部b側に押し当てるような駆動力を発生させ、ミラーが端部bに配置されている第2の当接部材37bを押す。整定中は、周波数制御部103は、起動周波数f0近傍で駆動周波数を制御する。このように、ミラーを端部bが第2の当接部材33を押すように制御することにより、ミラーと第2の当接部材33とがぶつかって発生した振動を小さくする期間を短くすることができる。
その後、時刻t4でメインミラー33の振動による位置変動が無くなると、電圧制御部104はパルス幅を0%に変更する。振動型アクチュエータ23に印加される駆動電圧はOFFされて、目標位置で無通電保持された状態となる。なお、時刻t3から時刻t4までの期間は、任意の決定することができ、またこの期間を設けず、上述のミラーを当接部材に押し付ける動作を行わなくてもよい。
上述のように、第2のステップ(S2)及び第3のステップ(S3)の減速動作によって、PID制御による減速時の追従性を確保しながら、シフト量の加算によって大幅なブレーキ力を得る事ができる。その結果、メインミラー33を従来よりも安定して減速でき、時刻t3で、端部bに配置されている第2の当接部材37bで従来よりも精度よく停止できる。このような構成にすることにより、メインミラー33が第2の当接部材37bに当たる衝撃によって発生する揺り戻しやバウンドを低減することができ、メインミラー33を精度よく停止させることができる。また、メインミラー33に振動が発生しても、振動がなくなるまでの時間を従来よりも短くすることができる。
なお、本実施形態では、第2のステップ(S2)及び第3のステップ(S3)において、電圧制御部104でのパルス幅を50%に固定している。これは、振動型アクチュエータ23に大きなブレーキ力を与えて減速する場合に、駆動電圧を制御して変化させると不安定になるためである。駆動電圧を下げると駆動速度は低下するが、振動型アクチュエータ23の摩擦接触部の状態が急激に変化するために駆動速度が変動してしまい、速度変化が不安定となる。また、振動型アクチュエータ23は駆動電圧が小さい領域で不感帯を有するため、不感帯との境界領域にて同様に速度が変動する。したがって、駆動電圧は、安定した駆動力が得られる領域内で固定するのが望ましく、パルス幅は最適には少なくとも20%以上、より好ましくは33%以上50%以下に固定する。
制御装置21による振動型アクチュエータ23の駆動方法について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の制御装置21が振動型アクチュエータ23の駆動方法の一例を説明するフローチャートである。制御装置21は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、図8のフローチャートの各処理は、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、制御装置21の各部の動作を制御することにより実現される。なお、図8には、周波数、電圧(パルス幅)、位相差、残角度等の値が記載されているが、これらは一例であり、記載の値に限定されない。
制御装置21は、振動型アクチュエータ23の駆動を開始すると、第1のステップ(S1)、第2のステップ(S2)及び第3のステップ(S3)をこの順に行う。
第1のステップ(S1)について詳細に説明する。最初に、振動型アクチュエータ23で駆動対象物であるミラーの目標位置が設定され、指令部110から速度、電圧、駆動方向の情報を有する指令値が出力される。指令値に基づいて周波数制御部103、電圧制御部104及び位相差制御部105のそれぞれに、起動初期値が設定される。駆動パルスがONされ、駆動部140から交流信号が振動型アクチュエータ23に印加され、駆動が開始される(ステップS101)。ここでは、起動初期値としてパルス幅50%、周波数71.5kHz、位相差+90degが設定される。
その後、モータが指令速度に追従するように、周波数制御部103は速度偏差のPID演算量に基づいて駆動周波数の制御を行う(ステップS102)。本実施形態では、周波数制御部103は、指令速度に基づき、モータ速度が2000rpmまで加速して略一定になるように周波数制御を行う。位置比較部102は、目標回転角と位置検出部150で検出される回転角とを用いて、残角度を制御周期毎に逐次検出する(ステップS103)。制御量決定部120は、残角度と減速開始角度とを比較し(ステップS104)、残角度が30degより大きい場合はステップS102の周波数制御を継続し、残角度が30deg以下になると第2のステップ(S2)を行う。なお、ここでは残角度が30degで減速動作を開始しているが、減速開始角度はこれに限らず、適宜設定できる。
第2のステップ(S2)では、まず、パルス幅を50%に固定した状態で減速動作を開始する(ステップS201)。周波数制御部103が、PID演算量にシフト量を加算したものを駆動周波数として出力する(ステップS202)。これにより、駆動電圧を固定した状態で、振動型アクチュエータ23のブレーキ力を大幅に高めることができるため、以降の減速制御において駆動速度の変化が従来よりも安定化する。
第3のステップ(S3)では、指令部110が、位置比較部102で制御周期毎に逐次検出された残角度に応じて、指令速度を変更するように制御する(ステップS301)。そして、周波数制御部103は、PID演算量にシフト量を加算したものを駆動周波数として出力することにより、減速動作を行う(ステップS302)。これにより、振動型アクチュエータ23のブレーキ力を大幅に高めながら、駆動電圧を一定としたことで安定したPID制御による安定した減速制御が可能となる。
続いて、相対位置取得部109が回転角を検出し、回転角が目標回転角以上か否かを判定する(ステップS303)。そして、ステップS204において、回転角が目標回転角以上であると判断した場合には、駆動部140の交流信号をOFFにする(ステップS401)。すなわち、制御装置21は、ミラーが目標位置へ到達したと判断して振動型アクチュエータ23の駆動が停止する。このとき、振動型アクチュエータ23は、印加される電圧がゼロの状態であっても、摩擦力によりトルクが発生しており、駆動対象物であるメインミラー33には保持トルクが与えられている。そのため、アクチュエータを駆動していなくてもメインミラー33を停止位置で維持することが可能であり、使用電力を低減することができる。ステップS303において、回転角が目標回転角に達していないと判断した場合には、ステップS301に戻る。
本実施形態の効果について、図9を参照して説明する。図9(b)は、本実施形態の制御装置21を用いて振動型アクチュエータ23を駆動してメインミラー33を端部aと端部bの間で往復移動した場合の、回転角と速度の時間変化を示す図である。なお、50往復移動時の回転角と速度を重ねて表示している。
比較のために、従来の制御装置を用いて振動型アクチュエータを駆動してメインミラーを往復移動した場合の回転角と速度の様子を図9(a)に示した。
ここで、従来の制御装置による振動型アクチュエータの駆動方法について、図7を参照して説明する。図7は、従来の制御装置を用いて振動型アクチュエータを駆動する場合のタイミングチャートである。ここでは、メインミラー33を端部aから端部bまでの回転角120degを回転して停止させる場合を例にとって説明する。図7(a)は横軸が時間、縦軸が回転角のタイミングチャート、図7(b)は横軸が時間、縦軸がパルス幅のタイミングチャート、図7(c)は横軸が時間、縦軸が周波数のタイミングチャートである。図7(d)は横軸が時間、縦軸が速度のタイミングチャートである。
従来の駆動装置は、時刻t0で振動型アクチュエータの駆動を開始し、時刻t0から時刻t2までの期間は、パルス幅は50%で周波数を制御することにより、モータの速度を制御する。その後、従来の駆動装置は、時刻t2でモータの回転角が90deg、すなわち残角度が30degであることを検知し、残角度に応じて駆動電圧のパルス幅を下げることにより、減速動作を行う。その際、従来の駆動装置は、駆動対象物であるミラーが、時刻t3に目標位置で停止するように振動型アクチュエータを制御する。
図9(a)及び図9(b)では、どちらも駆動開始から15ms~20msで端部aから端部bに、又は端部bから端部aにメインミラー33が到達している事がわかる。
図9(a)は、従来の駆動装置を用いた場合の結果であり、減速時の検出速度が、測定毎に異なっており、ばらつきが大きい。すなわち、駆動速度の変化が不安定である。これは、駆動電圧を短時間で下げてブレーキ力を与えて減速するため、摩擦接触部の状態が急激に変化して駆動速度が変動しやすいためであると考えられる。このように減速時の速度変動が大きいと、メインミラー33が端部に到達するまでの駆動期間のばらつき、当接部材に当たる駆動音のばらつきが生じる。
また、振動型アクチュエータは駆動電圧が小さい領域で不感帯を有するため、PID演算量を用いた電圧制御による速度制御を十分に行えなくなることがある。その結果、図7(d)に点線で示したように、モータ速度が過剰に減速して目標位置より手前でメインミラーが停止してしまったり、減速が十分に行われずに端部の当接部材にメインミラーが高速で衝突してしまったりする恐れもある。
これに対し、図9(b)では、減速時の駆動速度の変化のばらつきが図9(a)と比較して低減されており、メインミラー33が端部に到達するまでの駆動時間のばらつきが従来よりも小さくなっている。そのため、次のミラー回転動作に安定して移行できるため、カメラの連写性能の向上に貢献できる。
したがって、本実施形態の制御装置21によれば、駆動対象物を高速に移動しつつ、駆動速度の変化のばらつきを低減して、減速動作を従来よりも安定化することができる。結果として、本実施形態の制御装置21を有する駆動装置20を用いれば、従来よりも精度よく且つ高速に、駆動対象物を所望の位置で停止させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、振動型アクチュエータとして、棒状振動型アクチュエータを用いているが、制御装置21及び制御装置21による制御方法は、他の振動型アクチュエータ(超音波モータ)にも応用することができる。例えば、図10(b)に示すように、特開平5-211785公報に開示されている超音波モータが一例として挙げられる。この超音波モータは出力軸を有しておらず、外部への出力はギヤ17を介して行なう。これ以外にも、リニア駆動型超音波モータ及び円環型超音波モータ等にも適用できる。
また、上述の実施形態では、減速制御を行う場合に、シフト量を用いて周波数を出力しているが、減速開始位置で設定される周波数は予め設定された値にしてもよい。また、減速開始位置で周波数を高域側にシフトさせた後の制御についても、シフト量を変更してもしなくてもよいし、また、減速開始位置で設定した周波数を維持する構成でもよい。
6 振動体
21 制御装置
23 振動型アクチュエータ
117 被駆動体

Claims (20)

  1. 電気-機械エネルギー変換素子を備える振動体を有し、前記電気-機械エネルギー変換素子に交流信号を印加することにより前記振動体に振動を励起し、前記振動によって前記振動体と接触している被駆動体と前記振動体とが相対移動する振動型アクチュエータの駆動を制御する制御装置であって、
    前記振動型アクチュエータを減速する場合、減速を開始する減速開始位置で、前記交流信号の周波数である駆動周波数を、前記振動型アクチュエータを起動するときの前記駆動周波数である起動周波数より低い直前の前記駆動周波数から、前記起動周波数より高い周波数に変更してから、前記駆動周波数を制御することにより、前記振動型アクチュエータを減速し、且つ、前記振動型アクチュエータを減速しているときは、前記交流信号の電圧を固定する
    ことを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
  2. 前記駆動周波数は、起動及び加速から減速に至るまでの過程では、前記減速開始位置で最大となる
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  3. 前記直前の駆動周波数と、前記減速開始位置で変更された前記起動周波数より高い周波数と、の差は、前記直前の駆動周波数と、前記起動周波数と、の差より大きい
    ことを特徴とする1又は2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  4. 前記減速開始位置で変更された前記起動周波数より高い周波数は、前記振動型アクチュエータが駆動対象物を移動可能な駆動力を発生する最大周波数以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  5. 前記振動型アクチュエータを減速する場合、前記交流信号の電圧は、前記制御装置で制御される前記駆動周波数の範囲内において前記振動型アクチュエータが駆動対象物を移動可能な駆動力を発生する電圧である
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  6. 前記振動型アクチュエータを減速する場合、前記交流信号の電圧のパルス幅は、20%以上である
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  7. 前記振動型アクチュエータを減速する場合、前記交流信号の電圧のパルス幅は、33%以上50%以下である
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  8. 前記振動体と前記被駆動体との相対位置を取得する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  9. 前記振動体と前記被駆動体との相対速度を取得し、
    前記相対速度と指令速度との偏差に基づいて、前記駆動周波数を制御する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  10. 前記振動型アクチュエータを減速する場合、前記交流信号の電圧を固定した状態で、周波数制御部が、前記偏差、及び、目標停止位置と、前記振動体と前記被駆動体との相対位置と、の差のうち、前記偏差のみにより制御される場合の前記駆動周波数をシフトする周波数シフト量に基づいて制御する
    ことを特徴とする請求項9に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  11. 前記周波数シフト量は、前記目標停止位置と前記相対位置との差に応じて小さくなる
    ことを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  12. 前記振動型アクチュエータを減速する場合、前記指令速度は、目標停止位置と、前記振動体と前記被駆動体との相対位置と、の差に応じて小さくなる
    ことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  13. 前記周波数制御部は、
    前記偏差を用いて偏差演算量を出力する偏差演算部と、
    前記周波数シフト量を制御するシフト量制御部と、
    前記偏差演算量と前記周波数シフト量とを加算して前記駆動周波数を出力する変換部と、を有する
    ことを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  14. 前記振動型アクチュエータを用いて駆動対象物を回転する場合、前記制御装置は、前記駆動対象物が前記駆動対象物の移動範囲の端部に到達するまでの残角度が設定値以下になったら、減速制御を開始する
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  15. 前記振動型アクチュエータを用いて駆動対象物を並進移動する場合、前記制御装置は、前記駆動対象物が前記駆動対象物の移動範囲の端部に到達するまでの残距離が設定値以下になったら、減速制御を開始する
    ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
  16. 振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータを制御する、請求項1から15のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を有する
    ことを特徴とする駆動装置。
  17. 前記振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータを制御する、請求項1から15のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、
    前記振動型アクチュエータと接続している駆動対象物と、を有する
    ことを特徴とする駆動装置。
  18. 撮像素子と、
    撮影光軸上に侵入する位置と前記撮影光軸上から退避する位置とを移動可能なミラーと、
    前記ミラーを回転する駆動力を発生する振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータを制御する、請求項1から15のいずれか一項に記載の振動型アクチュエータの制御装置と、を有する
    ことを特徴とする撮像装置。
  19. 前記ミラーの位置を検出するセンサを更に有する
    ことを特徴とする請求項18に記載の駆動装置。
  20. 電気-機械エネルギー変換素子を備える振動体を有し、前記電気-機械エネルギー変換素子に交流信号を印加することにより前記振動体に振動を励起し、前記振動によって前記振動体と接触している被駆動体と前記振動体とが相対移動する振動型アクチュエータの駆動を制御する制御方法であって、
    前記振動型アクチュエータを減速する場合、
    減速を開始する減速開始位置で、前記交流信号の周波数である駆動周波数を、前記振動型アクチュエータを起動するときの前記駆動周波数である起動周波数より低い直前の前記駆動周波数から、前記起動周波数より高い周波数に変更するステップと、
    該ステップの後に、前記交流信号の電圧を固定した状態で前記駆動周波数を制御することにより前記振動型アクチュエータを減速するステップと、を行う
    ことを特徴とする制御方法。
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