JP6994169B2 - 複合容器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、複合容器10Aは、内側に位置する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられ、その表面に熱転写印字部44を有するプラスチック製部材40とを備えている。
容器本体10は、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12の下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
上記した樹脂材料の中でも、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の着色剤を含んでいても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、これら着色剤を含まず、無色透明であることが好ましい。
プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。また、図1に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
プラスチック製部材40表面が有する熱転写印字部には、各種キャラクタ、花柄、動物柄ような模様、筋状、点状、幾何学的形状、図形等の模様、点字を含む文字情報等の画像が形成されている。
また、この熱圧着部がねじられた、ねじり部80を有するプラスチック製部材40aをブロー成形したものである場合、このプラスチック製部材40は、ねじり部を有する。
これにより、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止することができると共に、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。
このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、MXD-6およびEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)が挙げられる。
この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性を高めることができる。
このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが挙げられる。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm~50μm程度とすることができる。
プラスチック製部材40の容器本体10からの分離(剥離)の方法としては、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。
別の態様においては、複合容器10Aを粉砕した後、熱水に浸け、熱収縮性プラスチック製部材40と、容器本体10との比重の差を利用し、熱収縮性プラスチック製部材40を分離回収することができる。また、熱収縮性プラスチック製部材40は熱収縮性を有しているため熱水中において、容器本体10から容易に剥離することができる。
上記のような方法により、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
プラスチック製部材40の比重を上記のようにすることで、プラスチック製部材40を容器本体10から水中において容易に分離することができる。
また、このとき、容器本体10の比重は、1超であることが好ましく、1.2超であることがより好ましい。
本発明の複合容器10Aの製造方法は、
プリフォーム10aおよびプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材40aを備える複合プリフォーム70を準備する工程と、
複合プリフォーム70を、ブロー成形金型内においてブロー成形し、容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられるプラスチック製部材40とを備える複合容器10Aを得る工程と
プラスチック製部材40表面に熱転写印字部44を形成する工程と、を含んでなる。
図3に示すように、本発明の複合プリフォーム70は、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えるプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材40aとを備えてなる。
また、射出成形により2層以上の多層プリフォーム10aを作製することにより、容器本体10を2層以上の多層成形ボトルとすることができる。
例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)を含んでなる層として、3層以上からなるプリフォーム10aを成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性などを有する多層成形ボトルを得ることができる。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂などを用いても良い。
図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図4(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。
また、図4(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製された、無底円筒形状のものであっても良い。
図4(b)および(c)に示されるプラスチック製部材40aの場合、後述するようにプラスチック製部材40aが余白部80aを有するように構成し、この余白部80aを熱圧着することができる。これにより、図4(b)および(c)に示されるプラスチック製部材40aであっても、有底円筒形状のプラスチック製部材40aとすることができる。熱圧着後の余白部80の形状は特に限定されるものではなく、図5に示されるように任意の形状とすることができる。
ブロー成形後において、容器本体と、プラスチック製部材40との間に入り込む空気が少ない、即ち、密着性が高いという観点からは、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであることが好ましい。
プラスチック製部材40aが収縮する作用を有する場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
成形方法としては、例えば、深絞り成形、または樹脂シートをチューブ状に成形し、その端部を融着、または接着する方法などが挙げられる。
また、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂シートを、上記した接着剤を介して積層させた積層樹脂シートを成形することにより得ることができる。
上記樹脂シートは、市販品を用いてもよいし、従来公知の方法により製造することができる。本発明においては、押出成形により製造することが好ましく、押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われることが好ましい。
(1)まず樹脂材料51を加熱溶融し、ダイ52からチューブ状に押し出し、チューブ状パリソン53を形成させ、
(2)次いで、図6(b)に示すように、例えば2分割の金型54によりチューブ状パリソン53を挟み込み、
(3)次いで、図6(c)に示すように、吹き込みノズル55よりチューブ状パリソン53内に空気を吹き込み、チューブ状パリソン53を金型54に合わせて成形し、冷却、型開き、取り出しを順次行うことにより、図6(d)に示すような有底円筒形状のプラスチック製部材40aを得ることができる(ダイレクトブロー成形)。
本方法によれば、金型の設計を変更することにより、得られるプラスチック製部材40aの設計を変更することができ、プリフォーム10aとの密着性の高いプラスチック製部材40aを作製することができる。
まず、上記した樹脂材料等を、押出装置内で加熱溶融し、溶融した樹脂材料等をリングダイより連続的に押し出し、冷却することにより、未延伸の押出チューブ1に成形する(図7(a)参照)。なお、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂材料を共押し出しすることにより、作製することができる。
次いで、この未延伸の押出チューブの一端を溶着または接着することによって、押出チューブの一端を閉鎖する。
さらに、この一端が閉鎖された押出チューブ1を、押出チューブ1の外径よりも大きい内径を有する金型2内に配置する(図7(b)参照)。
次いで、押出チューブ1の他端にブロー装置3を配置(装着)する(図7(c)参照)。このとき、ブロー装置3は、押出チューブ1と、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。
続いて、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、この配置のまま加熱炉4に送り込み、加熱炉4の内部で70~150℃に加熱する(図7(d)参照)。加熱炉4としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいは押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。
次に、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱炉4から取り出し、ブロー装置3から押出チューブ1内にエアを噴出することにより、押出チューブ1の内面を加圧延伸する。これにより、押出チューブ1は、膨張し、金型2の内面形状に沿って拡径される(図7(e)参照)。
その後、ブロー装置3からエアを噴出した状態のまま、押出チューブ1を冷水中で冷却し、押出チューブを金型2から取り出す(図7(f)参照)。これを所望の大きさにカットすることにより熱収縮性のプラスチック製部材40aを得ることができる(図7(g)参照)。
このとき、加熱方法は特に限定されず、赤外線や、温風等を用いて適宜行うことができる。加熱温度は、60℃以上、250℃以下であることが好ましく、80℃以上、150℃以下であることがより好ましい。なお、加熱温度とは加熱時の熱収縮性プラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
熱圧着の方法は、特に限定されず、赤外線や、温風等により加熱された余白部を挟み込む等して、圧着することができるものであれば特に限定されず、例えば、金属製や耐熱性の樹脂製の器具(以下、場合により「圧着器具」という)を利用することができ、それらを組み合わせても良い。
圧着器具は、その表面に加熱機構を有していてもよい。これにより、余白部80aの圧着強度をより高めることができる。圧着器具表面の加熱温度は、例えば、100℃以上、250℃以下とすることが好ましい。また、プラスチック製部材40aの表面の良好な外観維持という観点から、圧着時間は5秒以下であることが好ましい。
プラスチック製部材40aがねじり部80を備えることにより、プリフォーム10aの底部を覆うことができるだけではなく、ブロー成形後に複合容器10Aが備える容器本体10と熱収縮性プラスチック製部材40との間に気泡が発生してしまうことを防止することができると共に、ブロー成形時に加わる力によって、熱圧着した部分が剥がれてしまったり等、破損してしまうことを防止することができる。
内面にプラスチック製部材40の表面に形成させる立体模様に対応する模様が、彫刻等により形成されているブロー成形金型内において、複合プリフォーム70を2軸延伸ブロー成形し、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させることにより、図1に示す複合容器10Aを得ることができる。
この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃以上、130℃以下であること好ましく、95℃以上、120℃以下であることがより好ましい。
加熱温度を上記数値範囲とすることにより、プラスチック製部材40aの白化等その表面に欠陥が発生してしまうことを防止しつつ、プラスチック製部材40aの表面に良好な凹凸を形成することができる。
また、この加熱は、赤外線や、温風等を発生する装置を用いて適宜行うことができる。
なお、加熱温度とは加熱時の熱収縮性プラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
一実施形態において、プラスチック製部材40表面の熱転写印字部44は、基材および該基材上に昇華性染料を含有する色材層(イエロー染料層、マゼンダ染料層、シアン染料層およびブラック染料層等)を備える熱転写シートを使用することにより形成することができる。
より具体的には、図12に示すように、熱転写シート60の色材層側を、プラスチック製部材40と重ね合わせ、次いで、熱転写シートを色材層側とは反対の側から、加熱部材70を用いて加熱し、色材層に含まれる染料をプラスチック製部材40上へ熱転写させることにより画像を形成することができる。
また、内容物の充填前に、熱転写印字部44の形成を行う場合は、複合容器10A内にエアーを入れて内圧をかけ、耐久性を向上させた状態で、熱転写印字部44の形成を行うことが好ましい。
より具体的には、転写箔の受容層上に、上記した熱転写シートなどを用いて、画像などを形成し、次いで、この受容層を、プラスチック製部材と重ね合わせ、転写箔を受容層側とは反対の側から、加熱ローラーを用いて加熱し、受容層をプラスチック製部材40上へ熱転写させることにより画像を形成することができる(図示せず)。
また、受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキなどの熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル系重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられる。
Claims (3)
- プリフォームおよび前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材を備える複合プリフォームを準備する工程と、
前記複合プリフォームを、ブロー成形金型内においてブロー成形し、容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備える複合容器を得る工程と、
前記複合容器が備える前記プラスチック製部材の表面に熱転写印字部を形成する工程と、を含み、
前記熱転写印字部の形成が、内容物の充填前に、前記複合容器にエアーを入れて内圧をかけた状態で行われることを特徴とする、複合容器の製造方法。 - 前記熱転写印字部の形成が、基材および色材層を備える熱転写シートの色材層側を、前記複合容器が備える前記プラスチック製部材と重ね合わせ、次いで、前記熱転写シートを前記色材層側とは反対の側から、加熱ローラーを用いて加熱し、前記色材層に含まれる染料を前記プラスチック製部材上へ熱転写させることにより行われる、請求項1に記載の複合容器の製造方法。
- 前記加熱ローラーによる加熱温度が、80℃以上、200℃以下である、請求項2に記載の複合容器の製造方法。
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