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JP6994169B2 - 複合容器およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、容器本体およびプラスチック製部材を備える複合容器に関する。より具体的には、容器本体と、表面に熱転写印字部を有するプラスチック製部材とを備える複合容器、並びにその製造方法に関する。
近時、内容液を収容する容器として、プラスチック製の容器が一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。
このような内容液を収容するプラスチック製容器は、金型内においてプリフォームを、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。
ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。
本出願人は、先の出願(特開2015-128858号公報)において、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な、容器本体およびプラスチック製部材を備えてなる複合容器を提案している。
特開2015-128858号公報
上記した複合容器が備えるプラスチック製部材の表面には、印刷を施すことにより、様々な模様や文字情報等の画像を形成することができるが、消費者の嗜好の多様性から、中間調の色再現性や階調性に優れ、フルカラー写真に匹敵する高品質の画像形成が求められている。
本発明の解決しようとする課題は、表面に中間調の色再現性や階調性に優れる画像が形成されたプラスチック製部材を備える複合容器、およびその製造方法を提供することである。
本発明の複合容器は、容器本体と、容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備え、プラスチック製部材が、その表面に熱転写印字部を有することを特徴とする。
本発明の複合容器の製造方法は、プリフォームおよび前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材を備える複合プリフォームを準備する工程と、複合プリフォームを、ブロー成形金型内においてブロー成形し、容器本体と、容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備える複合容器を得る工程と、複合容器が備えるプラスチック製部材の表面に熱転写印字部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
上記態様においては、熱転写印字部の形成が、基材および色材層を備える熱転写シートの色材層側を、複合容器が備える前記プラスチック製部材と重ね合わせ、次いで、熱転写シートを色材層側とは反対の側から、加熱ローラーを用いて加熱し、色材層に含まれる染料をプラスチック製部材上へ熱転写させることにより行われることが好ましい。
上記態様においては、加熱ローラーによる加熱温度が、80℃以上、200℃以下であることが好ましい。
上記態様においては、熱転写印字部の形成が、複合容器に内容物を充填し、キャッピングした後に行われることが好ましい。
上記態様においては、熱転写印字部の形成が、複合容器に内圧をかけた状態で行われることが好ましい。
本発明によれば、表面に中間調の色再現性や階調性に優れる画像が形成されたプラスチック製部材を備える複合容器を提供することができる。
図1は、本発明の複合容器10Aの部分垂直断面図である。 図2は、図1に示す複合容器のII-II線水平断面図である。 図3は、複合プリフォーム70の部分垂直断面図である。 図4(a)~(c)は、各種プラスチック製部材40aを示す斜視図。 図5は、熱圧着した余白部の形状を表す図である。 図6は、プラスチック製部材40aの作製方法の一実施形態を示す概略図である。 図7は、プラスチック製部材40aの作製方法の一実施形態を示す概略図である。 図8は、プリフォーム10aをプラスチック製部材40aに嵌め込んだ状態を表す垂直断面図である。 図9は、プラスチック製部材40aの一端を熱圧着した複合プリフォーム70を表す垂直断面図である。 図10は、ねじり部80を形成した複合プリフォーム70の正面図である。 図11は、複合容器10Aの作製方法の一実施形態を示す概略図である。 図12は、熱転写印字部44の形成方法の一実施形態を示す概略図である。
複合容器10A
図1に示すように、複合容器10Aは、内側に位置する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられ、その表面に熱転写印字部44を有するプラスチック製部材40とを備えている。
容器本体10
容器本体10は、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12の下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば容器本体10の内容量が500mLであって、容器本体10の重量が20gである場合は50μm~250μm程度にすることができる。また、容器本体10の内容量が500mLであって、容器本体10の重量が35gである場合、50μm~350μm程度にすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
容器本体10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、アイオノマー樹脂やこれらをブレンドしたもの等の樹脂材料を含んでなることができる。
上記した樹脂材料の中でも、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、プリフォーム10aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の着色剤を含んでいても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、これら着色剤を含まず、無色透明であることが好ましい。
一実施形態において、容器本体10は、上記した樹脂材料等を射出成形して製作したプリフォーム10aを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。
容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
容器本体10は、例えば満注容量が100mL~2000mLのボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L~60Lの大型のボトルであっても良い。
プラスチック製部材40
プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。また、図1に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
プラスチック製部材40は、プラスチック製部材40aを、後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設け、プリフォーム10aの外側に密着させた後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形することにより得ることができる。
図1に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けることができる。このような構成とすることにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
また、本発明の複合容器10Aが備えるプラスチック製部材40は、その表面に熱転写印字部を有することを特徴とする(図1参照)。
プラスチック製部材40表面が有する熱転写印字部には、各種キャラクタ、花柄、動物柄ような模様、筋状、点状、幾何学的形状、図形等の模様、点字を含む文字情報等の画像が形成されている。
また、後述するように、プラスチック製部材40が、余白部80aを熱圧着した、熱圧着部を有するプラスチック製部材40aをブロー成形したものである場合、このプラスチック製部材40は、熱圧着部を有する。
また、この熱圧着部がねじられた、ねじり部80を有するプラスチック製部材40aをブロー成形したものである場合、このプラスチック製部材40は、ねじり部を有する。
プラスチック製部材40は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、MXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂などの樹脂材料を含むことが出来る。
一実施形態において、プラスチック製部材40は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する樹脂材料を含んでなることができる。
これにより、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止することができると共に、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。
このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、MXD-6およびEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)が挙げられる。
一実施形態において、プラスチック製部材40は、容器本体10を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い樹脂材料(熱伝導性の低い樹脂材料)を含んでいることができる。
この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性を高めることができる。
このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが挙げられる。
また、プラスチック製部材40は、その特性が損なわれない範囲において、主成分である上記樹脂材料以外にも、各種の添加剤を含んでなることができる。添加剤としては、例えば、可塑剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
また、プラスチック製部材40は、単層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm~50μm程度とすることができる。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から分離(剥離)して除去することができる。
プラスチック製部材40の容器本体10からの分離(剥離)の方法としては、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。
別の態様においては、複合容器10Aを粉砕した後、熱水に浸け、熱収縮性プラスチック製部材40と、容器本体10との比重の差を利用し、熱収縮性プラスチック製部材40を分離回収することができる。また、熱収縮性プラスチック製部材40は熱収縮性を有しているため熱水中において、容器本体10から容易に剥離することができる。
上記のような方法により、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
プラスチック製部材40は、比重が1未満であることが好ましく、0.97未満であることがより好ましい。
プラスチック製部材40の比重を上記のようにすることで、プラスチック製部材40を容器本体10から水中において容易に分離することができる。
また、このとき、容器本体10の比重は、1超であることが好ましく、1.2超であることがより好ましい。
複合容器10Aの製造方法
本発明の複合容器10Aの製造方法は、
プリフォーム10aおよびプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材40aを備える複合プリフォーム70を準備する工程と、
複合プリフォーム70を、ブロー成形金型内においてブロー成形し、容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられるプラスチック製部材40とを備える複合容器10Aを得る工程と
プラスチック製部材40表面に熱転写印字部44を形成する工程と、を含んでなる。
複合プリフォーム70を準備する工程
図3に示すように、本発明の複合プリフォーム70は、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えるプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられるプラスチック製部材40aとを備えてなる。
プリフォーム10aは、図3に示すように、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、後述する容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
一実施形態において、口部11aは、加熱処理により結晶化され、白化状態にある。このように、白化された口部11aを備えるプリフォーム10aを用いて複合容器10Aを作製することにより、口部11aからの可視光線や紫外線の侵入を防止することができ、保管時における内容物の変質を防止することができる。
一実施形態において、プリフォーム10aは、上記した樹脂材料を従来公知の装置を使用して射出成形することにより製造することができる。
また、射出成形により2層以上の多層プリフォーム10aを作製することにより、容器本体10を2層以上の多層成形ボトルとすることができる。
例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)を含んでなる層として、3層以上からなるプリフォーム10aを成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性などを有する多層成形ボトルを得ることができる。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂などを用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
なお、上記方法により製造したものに限定されず、市販されるプリフォーム10aを使用してもよい。
図3に示すように、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図4(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。
また、図4(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製された、無底円筒形状のものであっても良い。
図4(b)および(c)に示されるプラスチック製部材40aの場合、後述するようにプラスチック製部材40aが余白部80aを有するように構成し、この余白部80aを熱圧着することができる。これにより、図4(b)および(c)に示されるプラスチック製部材40aであっても、有底円筒形状のプラスチック製部材40aとすることができる。熱圧着後の余白部80の形状は特に限定されるものではなく、図5に示されるように任意の形状とすることができる。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであっても良く、収縮する作用を有しないものであっても良い。
ブロー成形後において、容器本体と、プラスチック製部材40との間に入り込む空気が少ない、即ち、密着性が高いという観点からは、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用を有するものであることが好ましい。
プラスチック製部材40aが収縮する作用を有する場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、上記した樹脂材料などを含んでなる樹脂シートを成形することにより製造することができる。
成形方法としては、例えば、深絞り成形、または樹脂シートをチューブ状に成形し、その端部を融着、または接着する方法などが挙げられる。
また、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂シートを、上記した接着剤を介して積層させた積層樹脂シートを成形することにより得ることができる。
上記樹脂シートは、市販品を用いてもよいし、従来公知の方法により製造することができる。本発明においては、押出成形により製造することが好ましく、押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われることが好ましい。
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、図6(a)に示すように、
(1)まず樹脂材料51を加熱溶融し、ダイ52からチューブ状に押し出し、チューブ状パリソン53を形成させ、
(2)次いで、図6(b)に示すように、例えば2分割の金型54によりチューブ状パリソン53を挟み込み、
(3)次いで、図6(c)に示すように、吹き込みノズル55よりチューブ状パリソン53内に空気を吹き込み、チューブ状パリソン53を金型54に合わせて成形し、冷却、型開き、取り出しを順次行うことにより、図6(d)に示すような有底円筒形状のプラスチック製部材40aを得ることができる(ダイレクトブロー成形)。
本方法によれば、金型の設計を変更することにより、得られるプラスチック製部材40aの設計を変更することができ、プリフォーム10aとの密着性の高いプラスチック製部材40aを作製することができる。
一実施形態において、熱収縮性のプラスチック製部材40aは、以下のような方法により作製することができる。
まず、上記した樹脂材料等を、押出装置内で加熱溶融し、溶融した樹脂材料等をリングダイより連続的に押し出し、冷却することにより、未延伸の押出チューブ1に成形する(図7(a)参照)。なお、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂材料を共押し出しすることにより、作製することができる。
次いで、この未延伸の押出チューブの一端を溶着または接着することによって、押出チューブの一端を閉鎖する。
さらに、この一端が閉鎖された押出チューブ1を、押出チューブ1の外径よりも大きい内径を有する金型2内に配置する(図7(b)参照)。
次いで、押出チューブ1の他端にブロー装置3を配置(装着)する(図7(c)参照)。このとき、ブロー装置3は、押出チューブ1と、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。
続いて、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、この配置のまま加熱炉4に送り込み、加熱炉4の内部で70~150℃に加熱する(図7(d)参照)。加熱炉4としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいは押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。
次に、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱炉4から取り出し、ブロー装置3から押出チューブ1内にエアを噴出することにより、押出チューブ1の内面を加圧延伸する。これにより、押出チューブ1は、膨張し、金型2の内面形状に沿って拡径される(図7(e)参照)。
その後、ブロー装置3からエアを噴出した状態のまま、押出チューブ1を冷水中で冷却し、押出チューブを金型2から取り出す(図7(f)参照)。これを所望の大きさにカットすることにより熱収縮性のプラスチック製部材40aを得ることができる(図7(g)参照)。
また、一実施形態において、プラスチック製部材40aは、射出成形法によっても得ることができる。具体的には、まず、上記した樹脂材料などを含む混合物を加熱溶融する。次いで、加熱溶融した混合物を金型内に射出する。これを冷却し、金型内から取り出すことによっても、プラスチック製部材40aを得ることができる。
なお、上記方法により製造されたプラスチック製部材40aに限定されず、市販されるものを使用してもよい。
プラスチック製部材40aが、熱収縮性を有するものではない場合、複合プリフォーム70は、プリフォーム10aをプラスチック製部材40aへ嵌め込むことにより得ることができる。
プラスチック製部材40aが、熱収縮性を有するものである場合、複合プリフォーム70は、プリフォーム10aをプラスチック製部材40aへ嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aを加熱することにより得ることができる。
このとき、加熱方法は特に限定されず、赤外線や、温風等を用いて適宜行うことができる。加熱温度は、60℃以上、250℃以下であることが好ましく、80℃以上、150℃以下であることがより好ましい。なお、加熱温度とは加熱時の熱収縮性プラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
また、一実施形態において、プラスチック製部材40aが図4(b)および(c)に示されるようなチューブ状の形状有する場合、図8に示すように、プラスチック製部材40aに、プリフォーム10a(口部11aを除いた胴部30aの長さ)よりも長い部分(余白部80a)を設け、この余白部80aを熱圧着し、熱圧着部(図9の斜線部)を形成することができる。これにより、プリフォーム10aの底部30aをプラスチック製部材40aで覆うことができる。
熱圧着の方法は、特に限定されず、赤外線や、温風等により加熱された余白部を挟み込む等して、圧着することができるものであれば特に限定されず、例えば、金属製や耐熱性の樹脂製の器具(以下、場合により「圧着器具」という)を利用することができ、それらを組み合わせても良い。
圧着器具の表面は、平坦なものであってもよく、一部または全体に凹凸形状を有するものであっても良い。
圧着器具は、その表面に加熱機構を有していてもよい。これにより、余白部80aの圧着強度をより高めることができる。圧着器具表面の加熱温度は、例えば、100℃以上、250℃以下とすることが好ましい。また、プラスチック製部材40aの表面の良好な外観維持という観点から、圧着時間は5秒以下であることが好ましい。
圧着時の圧力は、50N/cm以上、1000N/cm以下が好ましく、100N/cm以上、500N/cm以下がより好ましい。
圧着時の熱収縮性プラスチック製部材40aの温度は、材質にもよるが80℃以上、200℃以下が好ましい。
また、熱圧着後の余白部80aは、所望により適当な長さにカットしてもよい。余白部を適当な長さ(例えば、2mm程度)にカットすることにより、複合容器とした際の底部の外観が良好となる。
さらに、一実施形態において、プラスチック製部材40aは、熱圧着された部分がねじられた、ねじり部80を備えていてもよい(図10参照)。
プラスチック製部材40aがねじり部80を備えることにより、プリフォーム10aの底部を覆うことができるだけではなく、ブロー成形後に複合容器10Aが備える容器本体10と熱収縮性プラスチック製部材40との間に気泡が発生してしまうことを防止することができると共に、ブロー成形時に加わる力によって、熱圧着した部分が剥がれてしまったり等、破損してしまうことを防止することができる。
ブロー成形工程
内面にプラスチック製部材40の表面に形成させる立体模様に対応する模様が、彫刻等により形成されているブロー成形金型内において、複合プリフォーム70を2軸延伸ブロー成形し、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させることにより、図1に示す複合容器10Aを得ることができる。
以下、図11(a)~(d)に基づいて、本発明の複合容器10Aの製造方法についてより詳しく説明する。
まず、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図11(a)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。
この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃以上、130℃以下であること好ましく、95℃以上、120℃以下であることがより好ましい。
加熱温度を上記数値範囲とすることにより、プラスチック製部材40aの白化等その表面に欠陥が発生してしまうことを防止しつつ、プラスチック製部材40aの表面に良好な凹凸を形成することができる。
また、この加熱は、赤外線や、温風等を発生する装置を用いて適宜行うことができる。
なお、加熱温度とは加熱時の熱収縮性プラスチック製部材40aの表面温度のことであり、赤外線や、温風等の照射温度のことではない。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図11(b)参照)。
また、一実施形態において、ブロー成形金型50は、互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図11(b)参照)。図11(b)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に、図11(c)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施されると同時にプラスチック製部材40aの表面に、金型内に形成された凹部、凸部に対応する凸部、凹部を有する立体模様が形成され、複合容器10Aが得られる。
この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
ブロー成形後、図11(d)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
熱転写印字部を44を形成する工程
一実施形態において、プラスチック製部材40表面の熱転写印字部44は、基材および該基材上に昇華性染料を含有する色材層(イエロー染料層、マゼンダ染料層、シアン染料層およびブラック染料層等)を備える熱転写シートを使用することにより形成することができる。
より具体的には、図12に示すように、熱転写シート60の色材層側を、プラスチック製部材40と重ね合わせ、次いで、熱転写シートを色材層側とは反対の側から、加熱部材70を用いて加熱し、色材層に含まれる染料をプラスチック製部材40上へ熱転写させることにより画像を形成することができる。
熱転写時における加熱部材の温度は、80℃以上、200℃以下であることが好ましく、100℃以上、180℃以下であることがより好ましい。
熱転写印字部44の形成は、複合容器10Aに内容物を充填し、キャッピングした後に行うことが好ましい。これにより、熱転写印字部44をより鮮明に形成することができる。
また、内容物の充填前に、熱転写印字部44の形成を行う場合は、複合容器10A内にエアーを入れて内圧をかけ、耐久性を向上させた状態で、熱転写印字部44の形成を行うことが好ましい。
熱転写シートが備える基材としては、熱転写の際に加えられる熱に耐えることのできる程度の耐熱性と染料層等を保持することができる程度の機械的強度を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルムおよびアイオノマーフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
色材層に含まれる染料は、特に限定されるものではなく、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、ピラゾロメチン、ビスピラゾロメチン、ピリドンメチン等のメチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、ピラゾロトリアゾールアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料およびキノフタロン系染料等が挙げられる。
他の実施形態において、プラスチック製部材40表面の熱転写印字部44は、基材および該基材上に受容層を備える転写箔を利用することにより形成することができる。
より具体的には、転写箔の受容層上に、上記した熱転写シートなどを用いて、画像などを形成し、次いで、この受容層を、プラスチック製部材と重ね合わせ、転写箔を受容層側とは反対の側から、加熱ローラーを用いて加熱し、受容層をプラスチック製部材40上へ熱転写させることにより画像を形成することができる(図示せず)。
転写箔を構成する基材としては、上記した樹脂シートを使用することができる。
また、受容層を形成するための材料としては、昇華性染料または熱溶融性インキなどの熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル系重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられる。

Claims (3)

  1. プリフォームおよび前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材を備える複合プリフォームを準備する工程と、
    前記複合プリフォームを、ブロー成形金型内においてブロー成形し、容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられるプラスチック製部材とを備える複合容器を得る工程と、
    前記複合容器が備える前記プラスチック製部材の表面に熱転写印字部を形成する工程と、を含み、
    前記熱転写印字部の形成が、内容物の充填前に、前記複合容器にエアーを入れて内圧をかけた状態で行われることを特徴とする、複合容器の製造方法。
  2. 前記熱転写印字部の形成が、基材および色材層を備える熱転写シートの色材層側を、前記複合容器が備える前記プラスチック製部材と重ね合わせ、次いで、前記熱転写シートを前記色材層側とは反対の側から、加熱ローラーを用いて加熱し、前記色材層に含まれる染料を前記プラスチック製部材上へ熱転写させることにより行われる、請求項に記載の複合容器の製造方法。
  3. 前記加熱ローラーによる加熱温度が、80℃以上、200℃以下である、請求項に記載の複合容器の製造方法。
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