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JP6990190B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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JP6990190B2 JP2018545005A JP2018545005A JP6990190B2 JP 6990190 B2 JP6990190 B2 JP 6990190B2 JP 2018545005 A JP2018545005 A JP 2018545005A JP 2018545005 A JP2018545005 A JP 2018545005A JP 6990190 B2 JP6990190 B2 JP 6990190B2
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Description

本発明は、セルロース系繊維を含有するゴム組成物の製造方法に関する。
ゴムとセルロース系繊維を含むゴム組成物は優れた機械強度を有することが知られている。例えば、特許文献1には平均繊維径が0.5μm未満の短繊維の水分散液とゴムラテックスとを撹拌混合し、その混合液から水を除去して得られるゴム/短繊維のマスターバッチが記載されている。当該文献には、平均繊維径が0.5μm未満の短繊維を水中でフィブリル化させた分散液とゴムラテックスを混合して乾燥させることにより短繊維をゴム中に均一に分散させることが記載されている。また、このゴム/短繊維のマスターバッチからゴム補強性と耐疲労性のバランスに優れるゴム組成物を製造できることも記載されている。しかしながら、一般にゴムとセルロース系繊維とは相溶性が低いため、ゴムとセルロース系繊維を含むゴム組成物の強度は不十分であった。そこで、相溶性を向上させるためにシランカップリング剤を使用すること、及びセルロース繊維に長鎖アルキル基を導入することが検討されている(例えば特許文献2、3)。
特開2006-206864号公報 特開2009-191198号公報 特開2014-125607号公報
しかし、特許文献2及び3に記載の方法に使用する試薬は高価であるという問題がある。さらにこれらの方法は反応率が低く、十分な強度改善効果が得られないという問題がある。
本発明は、ゴムとセルロース系繊維の相溶性が良好であり、十分な補強性を発揮し得るゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の〔1〕~〔6〕を提供する。
〔1〕クロロプレンゴム及びセルロース系繊維を含有する混合液に、2価又は3価の金属塩、あるいは、2価又は3価の金属塩及び酸を添加して、ゴム成分を凝固させる工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
〔2〕金属塩が、カルシウム塩である、〔1〕に記載のゴム組成物の製造方法。
〔3〕酸が、酢酸又は硫酸である、〔1〕又は〔2〕に記載のゴム組成物の製造方法。
〔4〕セルロース系繊維が、酸化セルロースファイバー、カルボキシメチル化セルロースファイバー及びカチオン化セルロースファイバーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
〔5〕セルロース系繊維の長さ加重平均繊維長が50~2000nmである、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
〔6〕セルロース系繊維の長さ加重平均繊維径が2~500nmである、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
本発明によれば、ゴムとセルロース系繊維の相溶性が良好であり、十分な補強性を発揮し得るゴム組成物を提供できる。
本発明は、クロロプレンゴムとセルロース系繊維を含む混合液に金属塩あるいは金属塩及び酸を添加し、クロロプレンゴムを凝固させる工程(凝固工程)を含む、ゴム組成物の製造方法に関する。この方法で製造されたゴム組成物は、ゴムとセルロース系繊維の相溶性が良好であり、十分な補強性を発揮し得、大きなひずみを与えた場合でも補強性が維持され得る。なお、本発明の効果は、クロロプレンゴムとセルロース系繊維を含むゴム組成物に特異的に発現する。
<1.凝固工程>
本発明において、凝固(凝固法)とは、ゴム成分を含む懸濁液(分散液)等の液に酸あるいは金属塩の添加により、ゴム成分を凝集させ、その結果としてゴム成分を分離(固液分離)させる処理(工程、方法)である。
凝固工程は、クロロプレンゴムとセルロース系繊維とを混合し、これらを含む混合液を得ること、及び、前記混合液に金属塩を、若しくは、酸又は金属塩を、添加すること、を含む。
<1.1.金属塩>
凝固に用いる金属塩は、2価又は3価の金属塩が好ましい。2価又は3価の金属イオンがクロロプレンゴムとセルロース系繊維の相溶性向上に寄与し、ゴム組成物の補強性を向上できると推測される。2価又は3価の金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等のカルシウム塩、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩が挙げられ、カルシウム塩及びマグネシウム塩が好ましく、カルシウム塩がより好ましく、塩化カルシウムがさらに好ましい。カルシウムイオンは、クロロプレンゴムとセルロース系繊維の相溶性向上及びゴム組成物の補強性向上への寄与率が高いと推測される。金属塩は、1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
金属塩の混合液への添加量は特に限定されないが、全混合液中での金属塩の濃度が、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上となるよう調整すればよい。上限は特に限定されないが、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下である。従って、前混合液中での金属塩の濃度は、好ましくは0.1~3.0重量%、より好ましくは0.3~2.0重量%となるよう調整すればよい。
<1.2.酸>
凝固に用いる酸は、有機酸及び無機酸のいずれを用いることもできる。有機酸としては、ギ酸、酢酸などが好ましい。無機酸としては、硫酸、塩酸、炭酸などが好ましい。中でも酢酸、硫酸がより好ましい。酸の添加条件は金属塩の種類により異なるが一般に、酸添加後の混合液中のpHが好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4.0以上となるよう調整すればよい。上限は特に限定されないが、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.0以下、さらにより好ましくは5.0以下である。従って、pHが好ましくは3.0~8.0、より好ましくは3.5~7.0、さらに好ましくは4.0~7.0、4.0~6.0、又はpH4.0~5.0となるように調整すればよい。酸は1種又は2種以上の組み合わせでもよい。
凝固においては、金属塩を添加して行うこと、又は金属塩の添加と酸の添加の両方を行うことが好ましく、2価又は3価の金属塩を添加して行うこと、又は2価又は3価の金属塩の添加と酸の添加の両方を行うことがより好ましい。金属塩の添加と酸の添加の両方を行う場合、金属塩の添加と酸の添加の時期は特に限定されないが、金属塩を添加後に酸を添加することが好ましい。
<1.3.セルロース系繊維>
本発明において、セルロース系繊維は、ミクロンオーダーの繊維径を有するセルロース繊維又は当該セルロース繊維を必要に応じ化学変性した後で解繊して得たナノオーダーの繊維径を有するセルロースナノファイバーでもよい。
セルロース繊維の由来は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物が挙げられる。植物由来のセルロース繊維としては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。本発明で用いるセルロース繊維の原料は、これらのいずれか又は組合せでもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
セルロース繊維の平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は、通常30~60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は、通常10~30μm程度である。一般的な精製を経た、針葉樹クラフトパルプ及び広葉樹クラフトパルプ以外のパルプの平均繊維径は、通常50μm程度である。例えばチップ等の数cm大の材料を精製した原料を用いる場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、平均繊維径を50μm程度に調整してセルロース繊維を得ることが好ましい。
セルロース系繊維(例えば、セルロースナノファイバー)の平均繊維径は、長さ加重平均繊維径にして通常2~500nm程度であるが、好ましくは2~50nmである。平均繊維長は長さ加重平均繊維長にして50~2000nmが好ましい。長さ加重平均繊維径及び長さ加重平均繊維長(以下、単に「平均繊維径」、「平均繊維長」ともいう)は、原子間力顕微鏡(AFM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察して求められる。セルロース系繊維(例えば、セルロースナノファイバー)の平均アスペクト比は、通常10以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出できる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
以下、セルロースナノファイバーの製造方法について説明する。便宜上、セルロースナノファイバーの原料となるセルロース繊維を「セルロース原料」ともいう。
[変性]
セルロース原料は、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性を行うことが可能である。本発明では、化学変性がなされたセルロース原料およびなされていないセルロース原料のいずれもセルロース系繊維として使用できる。化学変性されたセルロース原料を用いると繊維の微細化が十分に進んで均一な繊維長及び繊維径のセルロースナノファイバーが得られるので、ゴムと複合化した際に十分な補強効果を発揮し得る。よって、セルロース系繊維としては、化学変性を経て得られるセルロース系繊維が好ましい。化学変性としては、例えば、酸化、エーテル化、リン酸化、エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化などが挙げられる。中でも、酸化(カルボキシル化)、エーテル化、カチオン化、エステル化が好ましい。以下、化学変性について説明する。
[酸化]
本処理によって得られる酸化セルロース又はセルロースナノファイバー中のカルボキシル基の量は、絶乾重量に対して、好ましくは0.5mmol/g以上、より好ましくは0.8mmol/g以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上である。当該量の上限は、好ましくは3.0mmol/g以下、より好ましくは2.5mmol/g以下、さらに好ましくは2.0mmol/g以下である。従って、当該量は0.5~3.0mmol/gが好ましく、0.8~2.5mmol/gがより好ましく、1.0~2.0mmol/gがさらに好ましい。なお、酸化セルロースのカルボキシル基量と、当該酸化セルロースから得られる酸化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量は、通常、同値である。
酸化方法は特に限定されないが、一例として、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物及びこれらの混合物からなる群より選択される物質との存在下で、酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N-オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物である。ニトロキシルラジカルとしては例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)が挙げられる。N-オキシル化合物は、目的の酸化反応を促進する化合物であればよく、特に限定されない。N-オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下がさらに好ましい。従って、N-オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01~10mmolが好ましく、0.01~1mmolがより好ましく、0.02~0.5mmolがさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。当該量の上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下がさらに好ましい。従って、臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1~100mmolが好ましく、0.1~10mmolがより好ましく、0.5~5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、これらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。中でも、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸又はその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがさらに好ましい。酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上がさらに好ましい。当該量の上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下がさらに好ましい。従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5~500mmolが好ましく、0.5~50mmolがより好ましく、1~25mmolがさらに好ましく、3~10mmolが特に好ましい。N-オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましく、上限は40molが好ましい。従って、酸化剤の使用量はN-オキシル化合物1molに対して1~40molが好ましい。
酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件でも酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。当該温度の上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、反応温度は4~40℃が好ましく、15~30℃程度、すなわち室温でもよい。反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。pHの上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8~12、より好ましくは10~11程度である。通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱いの容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
酸化における反応時間は、酸化の進行程度に従って適宜設定でき、通常は0.5時間以上であり、その上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5~6時間、例えば0.5~4時間程度である。酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン酸化が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m3以上が好ましい。上限は、250g/m3以下が好ましく、220g/m3以下がより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50~250g/m3が好ましく、50~220g/m3がより好ましい。オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。オゾン添加量の上限は、通常30重量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1~30重量%が好ましく、5~30重量%がより好ましい。オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上であり、上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、0~50℃が好ましく、20~50℃がより好ましい。オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上であり、上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1~360分程度であり、30~360分程度が好ましい。オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
オゾン処理されたセルロースに対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。追酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作製し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。酸化セルロースナノファイバーに含まれるカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整できる。
カルボキシル基量の測定方法の一例を以下に説明する。酸化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出できる。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又はセルロースナノファイバー〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕
酸化後の生成物は、脱塩処理に供されてもよい。脱塩とは、反応生成物(塩型)に含まれる塩(カルボキシレート基のカウンターカチオンであり、例えば、ナトリウム塩)をプロトンに置換し酸型とすることを意味する。脱塩処理により、反応生成物中に導入されたカルボキシレート基のカウンターカチオンをプロトン置換し、酸型カルボキシ基変性セルロース繊維を得ることができる。脱塩は、後述の解繊処理の前後の何れかの時点で行い得る。酸化後の脱塩方法としては、例えば、系内を酸性に調整する方法や酸化セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる方法が挙げられる。系内を酸性に調整する場合、系内のpHは、好ましくは2~6、より好ましくは2~5、さらに好ましくは2.3~5に調整される。酸性に調整するには、通常は酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、蟻酸等の有機酸)が用いられる。酸の添加後には、適宜洗浄処理を行ってもよい。陽イオン交換樹脂は、対イオンがH+である限り、強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。酸化セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる際の両者の比率は、特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行うとの観点から適宜設定し得る。接触後の陽イオン交換樹脂の回収は、吸引ろ過等の常法により行えばよい。
[エーテル化]
エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
カルボキシメチル化により得られるカルボキシメチル化セルロース又はセルロースナノファイバー中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。当該置換度の上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下又は0.30以下がさらに好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01~0.50が好ましく、0.05~0.40がより好ましく、0.10~0.35又は0.10~0.30がさらに好ましい。なお、カルボキシメチル化セルロースのカルボキシル基量と、当該カルボキシメチル化セルロースから得られるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量は、通常、同値である。
カルボキシメチル化方法は特に限定されないが、例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。当該反応には、通常、溶媒が使用される。溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば低級アルコール)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブチルアルコールが挙げられる。混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常は60重量%以上又は95重量%以下であり、60~95重量%が好ましい。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3重量倍である。当該量の上限は特に限定されないが20重量倍である。従って、溶媒の量は3~20重量倍が好ましい。
マーセル化は通常、発底原料とマーセル化剤を混合して行う。マーセル化剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。マーセル化剤の使用量は、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5倍モル以上が好ましく、1.0倍モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上がさらに好ましい。当該量の上限は、通常20倍モル以下であり、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましい。従って、マーセル化剤の使用量0.5~20倍モルが好ましく、1.0~10倍モルがより好ましく、1.5~5倍モルがさらに好ましい。
マーセル化の反応温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上であり、上限は通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。従って、反応温度は通常0~70℃、好ましくは10~60℃である。反応時間は、通常15分以上、好ましくは30分以上である。当該時間の上限は、通常8時間以下、好ましくは7時間以下である。従って、反応時間は、通常は15分~8時間、好ましくは30分~7時間である。
エーテル化反応は通常、カルボキシメチル化剤をマーセル化後に反応系に追加して行う。カルボキシメチル化剤としては例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムが挙げられる。カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料のグルコース残基当たり通常は0.05倍モル以上が好ましく、0.5倍モル以上がより好ましく、0.8倍モル以上がさらに好ましい。当該量の上限は、通常10.0倍モル以下であり、5倍モル以下が好ましく、3倍モル以下がより好ましい。従って、当該量は好ましくは0.05~10.0倍モルであり、より好ましくは0.5~5倍モルであり、さらに好ましくは0.8~3倍モルである。反応温度は通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。従って反応温度は通常30~90℃、好ましくは40~80℃である。反応時間は、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上であり、その上限は、通常は10時間以下、好ましくは4時間以下である。従って反応時間は、通常は30分~10時間であり、好ましくは1時間~4時間である。カルボキシメチル化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法による。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えて調製した硝酸メタノール液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を酸型カルボキシメチル化セルロースにする。3)酸型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで酸型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’-(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(酸型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:酸型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
カルボキシメチル化後の生成物は、脱塩処理に供されてもよい。脱塩とは、酸化後の脱塩と同様、反応生成物(塩型)に含まれる塩(カルボキシレート基のカウンターカチオンであり、例えば、ナトリウム塩)をプロトンに置換し酸型とすることを意味する。脱塩は、後述の解繊処理の前後の何れかの時点で行い得る。カルボキシメチル化後の脱塩方法としては例えば、カルボキシメチル化セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる方法が挙げられる。陽イオン交換樹脂は、対イオンがH+である限り、強酸性イオン交換樹脂及び弱酸性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。カルボキシメチル化セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる際の両者の比率は、特に限定されず、当業者であれば、プロトン置換を効率的に行うとの観点から適宜設定し得る。一例を挙げると、陽イオン交換樹脂添加後のカルボキシメチル化セルロース水分散液のpHが好ましくは2~6、より好ましくは2~5となるように、比率を調整できる。接触後の陽イオン交換樹脂の回収は、吸引ろ過等の常法により行えばよい。
[カチオン化]
カチオン化により得られるカチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等のカチオン、又は該カチオンを有する基を分子中に含んでいればよい。カチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウムを有する基を含むことが好ましく、四級アンモニウムを有する基を含むことがより好ましい。
カチオン化の方法は特に限定されないが例えば、セルロース原料にカチオン化剤と触媒を水又はアルコールの存在下で反応させる方法が挙げられる。カチオン化剤としては例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト(例:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムハイドライト)又はこれらのハロヒドリン型などが挙げられ、これらのいずれかを用いることで、四級アンモニウムを含む基を有するカチオン化セルロースを得ることができる。触媒としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属が挙げられる。アルコールとしては例えば、炭素数1~4のアルコールが挙げられる。カチオン化剤の量は、好ましくはセルロース原料100重量%に対して5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。当該量の上限は通常800重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。触媒の量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上である。当該量の上限は通常70重量%以下であり、好ましくは30重量%以下である。アルコールの量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して50重量%以上であり、より好ましくは100重量%以上である。当該量の上限は通常50000重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。
カチオン化の際の反応温度は通常10℃以上、好ましくは30℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、通常10分以上であり、好ましくは30分以上であり、上限は通常は10時間以下、好ましくは5時間以下である。カチオン化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カチオン化セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、カチオン化剤の添加量、水又はアルコールの組成比率によって調整できる。カチオン置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を示す。すなわちカチオン置換度は、「導入された置換基のモル数をグルコピラノース環の水酸基の総モル数で割った値」として定義される。純粋セルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、カチオン置換度の理論最大値は3(最小値は0)である。
カチオン化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。当該置換度の上限は、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましい。従って、カチオン置換度は0.01~0.40が好ましく、0.02~0.30がより好ましく、0.03~0.20がさらに好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊できる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.01以上であることにより、十分にナノ解繊できる。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.40以下であることにより、膨潤又は溶解を抑制でき、これにより繊維形態を維持でき、ナノファイバーとして得られない事態を防止できる。なお、カチオン化セルロースのカルボキシル基量と、当該カチオン化セルロースから得られるカチオン化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量は、通常、同値である。
グルコース単位当たりのカチオン置換度の測定方法の一例を以下に説明する。試料(カチオン化セルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN-10(三菱化学株式会社製)で窒素含有量を測定する。例えば、カチオン化剤として3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた場合、次式によりカチオン置換度が算出される。ここでいうカチオン置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値である。
カチオン置換度=(162×N)/(1-116×N)
N:カチオン化セルロース1gあたりの窒素含有量(mol)
[エステル化]
エステル化の方法は特に限定されないが、例えばセルロース原料に対し後述する化合物Aを反応させる方法が挙げられる。セルロース原料に対し化合物Aを反応させる方法としては、例えば、セルロース原料に化合物Aの粉末又は水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーに化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高まり、かつエステル化効率を高め得ることから、セルロース原料又はそのスラリーに化合物Aの水溶液を混合する方法が好ましい。
化合物Aとしては例えば、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、これらのエステル等が挙げられる。化合物Aは、塩の形態でもよい。上記の中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由から、リン酸系化合物が好ましい。リン酸系化合物は、リン酸基を有する化合物であればよく、例えば、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。用いられるリン酸系化合物は、これらの1種あるいは2種以上の組み合わせでもよい。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましい。また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから、エステル化においてはリン酸系化合物の水溶液を用いることが好ましい。リン酸系化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率を高める観点から7以下が好ましく、パルプ繊維の加水分解を抑える観点から3~7がより好ましい。
エステル化の方法としては例えば、以下の方法が挙げられる。セルロース原料の懸濁液(例えば、固形分濃度0.1~10重量%)に化合物Aを撹拌しながら添加し、セルロースにリン酸基を導入する。化合物Aがリン酸系化合物の場合、セルロース原料100重量部に対して化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。これにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上できる。当該量の上限は、500重量部以下が好ましく、400重量部以下がより好ましい。これにより、化合物Aの使用量に見合った収率を効率よく得ることができる。従って、0.2~500重量部が好ましく、1~400重量部がより好ましい。
セルロース原料に対し化合物Aを反応させる際、さらに化合物Bを反応系に加えてもよい。化合物Bを反応系に加える方法としては例えば、セルロース原料のスラリー、化合物Aの水溶液、又はセルロース原料と化合物Aのスラリーに、添加する方法が挙げられる。化合物Bは特に限定されないが、塩基性を示す化合物が好ましく、塩基性を示す窒素含有化合物がより好ましい。「塩基性を示す」とは通常、フェノールフタレイン指示薬の存在下で化合物Bの水溶液が桃~赤色を呈すること、又は化合物Bの水溶液のpHが7より大きいことを意味する。塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。この中でも低コストで扱いやすい点で、尿素が好ましい。化合物Bの添加量は、2~1000重量部が好ましく、100~700重量部がより好ましい。反応温度は0~95℃が好ましく、30~90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常1~600分程度であり、30~480分が好ましい。エステル化反応の条件がこれらのいずれかの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率を向上させることができる。
セルロース原料に化合物Aを反応させた後、通常はエステル化セルロース懸濁液が得られる。エステル化セルロース懸濁液は必要に応じて脱水される。脱水後には加熱処理を行うことが好ましい。これにより、セルロース原料の加水分解を抑えることができる。加熱温度は、100~170℃が好ましく、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下(さらに好ましくは110℃以下)で加熱し、水を除いた後100~170℃で加熱処理することがより好ましい。
リン酸エステル化セルロースにおいては、セルロース原料にリン酸基置換基が導入されており、セルロース同士が電気的に反発する。そのため、リン酸エステル化セルロースは容易にナノ解繊できる。リン酸エステル化セルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上が好ましい。これにより、十分な解繊(例えばナノ解繊)が実施できる。当該置換度の上限は0.60が好ましい。これにより、リン酸エステル化セルロースの膨潤又は溶解を防止し、ナノファイバーが得られない事態を防止できる。従って当該置換度は0.001~0.60が好ましい。なお、リン酸エステル化セルロースのカルボキシル基量と、当該リン酸エステル化セルロースから得られるリン酸エステル化セルロースナノファイバーのカルボキシル基量は、通常、同値である。
リン酸エステル化後の生成物は、脱塩処理に供されてもよい。脱塩とは、酸化後の脱塩及びカルボキシメチル化後の脱塩と同様、反応生成物(塩型)に含まれる塩(例えば、ナトリウム塩)をプロトンに置換し酸型とすることを意味する。脱塩は、後述の解繊処理の前後の何れかの時点で行い得る。リン酸エステル化後の脱塩方法としては例えば、リン酸エステル化セルロースを陽イオン交換樹脂と接触させる方法が挙げられる。
リン酸エステル化セルロースは、煮沸後冷水で洗浄する等の洗浄処理を行うことが好ましい。これにより解繊を効率よく行うことができる。
[解繊]
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に化学変性を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。解繊処理は1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。なお、解繊処理は、通常、物理的解繊である。
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できることが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加できかつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。
解繊をセルロース原料の分散体に対して行う場合、分散体中のセルロース原料の固形分濃度は、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的になり得る。当該濃度の上限は通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。これにより流動性を保持できる。
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
セルロース系繊維は、上述の化学変性を経て得られるセルロースナノファイバーを少なくとも1種含むことが好ましく、酸化セルロースファイバー、カルボキシメチル化セルロースファイバー及びカチオン化セルロースファイバーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
セルロースナノファイバーは、その製造工程において、化学変性、及び通常行われる解繊処理以外の処理を経ていてもよい。斯かる処理としては例えば、ろ過処理、短繊維化処理及びこれらのうち2以上の組み合わせが挙げられる。
[ろ過処理]
ろ過処理を行う時期は特に限定されないが、通常、解繊処理後であり、解繊処理後の変性セルロースの分散液(例、水分散液等の水系分散液)に対し行えばよい。これにより、不十分な解繊処理に起因して残存する異物(例、未解繊繊維)を除去できる。さらに、変性セルロース繊維をゴム組成物の製造に用いる場合、残存する異物を起点としたゴム組成物の破断及びこれによる問題(例、ゴム組成物の強度低下)を抑制できる。
ろ過処理としては、例えば、加圧ろ過処理、減圧ろ過処理が挙げられる。加圧ろ過処理及び減圧ろ過処理における圧力条件(差圧)は特に限定されないが、例えば、0.01MPa以上であり、好ましくは0.01~10MPaである。差圧が0.01MPa以上であることにより、十分なろ過処理量を得るために行う分散液の希釈を省略できる(希釈は、その後の工程を考慮すると行わないことが好ましい)。差圧が0.01~10MPaであることにより、分散液中の変性セルロース繊維の濃度又は分散液の粘度が高い場合にも、十分なろ過処理量を得ることができ。ろ過の際の変性セルロース繊維の濃度は、通常、0.1~5質量%であり、好ましくは0.2~4質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。
ろ過処理には通常、ろ過装置を用いる。ろ過装置は特に限定されないが、例えば、ヌッチェ型、キャンドル型、リーフディスク型、ドラム型、フィルタープレス型、ベルトフィルター型等のタイプのろ過装置が挙げられる。ろ過処理量は特に限定されないが、1時間当たり10L/m2以上が好ましく、100L/m2以上がより好ましい。
ろ過処理に用いるろ材としては、例えば、金属繊維、セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ガラス、コットン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、これらの組み合わせ等の素材からなるフィルター;メンブレンフィルター;ろ布;金属粉等の素材を焼結させてなるフィルター;又はスリット状フィルターが挙げられる。これらの中で、金属繊維からなるフィルター、メンブレンフィルターが好ましい。
ろ材の平均孔径は、ろ過助剤を併用する場合、特に限定されない。一方、ろ過助剤を併用しない場合、ろ材の平均孔径は、好ましくは0.01~100μm、より好ましくは0.1~50μm、さらに好ましくは1~30μmである。平均孔径が0.01μm以上であることにより、ろ過速度が十分となり得る。一方、100μm以下であることにより、異物を十分に捉えることができ、ろ過効果が得られやすくなる。
ろ過処理の際には、必要に応じて、ろ過助剤を用いてもよい。ろ過助剤を用いるろ過処理(助剤ろ過処理)においては、ろ材上に形成されたろ過層をろ過助剤を用いて取り除くことができるので、ろ材の目詰まりを容易に解消でき、連続的なろ過処理を行える。ろ過助剤の平均粒子径は、好ましくは150μm以下、より好ましくは1~150μm、さらに好ましくは10~75μm、さらにより好ましくは15~45μm、とりわけ好ましくは25~45μmである。平均粒子径が1μmを超えることにより、ろ過速度の低下が抑制され得る。平均粒子径が150μm未満であることにより、異物を十分に捉えることができ、ろ過処理を効率よく行い得る。
ろ過助剤の形状は特に限定されないが、例えば、略球形(例、珪藻土)、略棒状(例、粉末セルロース)等の略粒状が挙げられる。ろ過助剤の平均粒子径の測定は、その形状に拘らず、JIS Z8825-1に準拠したレーザー回折式測定器により行い得る。
助剤ろ過処理の形式は特に限定されないが、例えば、ろ材の上にろ過助剤の層を形成するプレコートろ過、ろ過助剤を変性セルロース繊維の分散液に添加し得られる混合物をろ過するボディーフィードろ過、両者の組み合わせが挙げられる。これらのうち、両者の組み合わせが好ましい。これにより、ろ過処理量が向上し、良好な品質のろ液を得ることができる。助剤ろ過処理は、異なるろ過助剤を用いる2以上のろ過工程からなる多段処理であってもよい。多段処理の場合、少なくともいずれかのろ過工程が加圧ろ過処理又は減圧ろ過処理が好ましい。
ろ過助剤は特に限定されず、例えば、無機化合物、有機化合物が好ましい。ろ過助剤の好ましい例としては、珪藻土、粉末セルロース、パーライト、活性炭が挙げられる。
珪藻土とは、主に珪藻の殻からなる軟質の岩石又は土壌をいい、シリカを主成分とする。アルミナ、酸化鉄、アルカリ金属の酸化物等の、シリカ以外の成分を含んでいてもよい。珪藻土は、通常は多孔質で高い空隙率を有している。珪藻土のケーク嵩密度は、0.2~0.45g/cm3程度が好ましい。珪藻土は、焼成品、融剤焼成品が好ましい。珪藻土の由来は特に限定されないが、淡水産珪藻土が好ましい。珪藻土としては、例えば、セライト社製のセライト(登録商標)、イーグルピッチャーミネラルズ社製のセラトム(登録商標)が挙げられる。
粉末セルロースは、粉末状のセルロースであり、その形状は通常、棒軸状粒子である。粉末セルロースの製法は特に限定されないが、例えば、木材パルプを酸加水分解処理し非結晶部分を除去後、粉砕、篩分けする方法、精選パルプを酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製かつ乾燥し、粉砕、篩分けする方法が挙げられる。粉末セルロースは、結晶性又は微結晶性セルロースであり得、一定の粒径分布を有することが好ましい。粉末セルロースのセルロース重合度は、好ましくは100~500程度である。X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は、好ましくは70~90%である。レーザー回折式粒度分布測定装置による粉末セルロースの体積平均粒子径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。これにより、ろ過後の流動性に優れる変性セルロース繊維を得ることができる。粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙社製のKCフロック(登録商標)、旭化成ケミカルズ社製のセオラス(登録商標)、FMC社製のアビセル(登録商標)が挙げられる。
ろ過後の変性セルロース繊維の分散液の異物面積比率は、25%以下が好ましい。異物面積比率は、以下の方法で算出される。まず、変性セルロース繊維の分散液に表面張力調整剤を添加した後に薄膜化する。当該薄膜の両面に、一対の偏光板を互いに偏光軸が直交するように配置する。一方の偏光板側から光を照射し、他方の偏光板側から透過画像を取得する。当該画像を画像解析して異物面積を特定し、変性セルロース繊維絶乾質量1gあたりの異物面積比率を算出する。ろ過後の変性セルロース繊維分散液は、当該評価方法において25%以下の異物面積比率を有することが好ましい。異物面積比率は分散性の指標であり、当該比率が25%以下であることにより、良好な分散性を有するものとなる。
[短繊維化処理]
短繊維化処理とは、処理前のセルロース鎖を適宜切断する(短繊維化する)処理であり、例えば、紫外線照射処理、酸化分解処理、加水分解処理、及びこれらのうち2以上の組み合わせが挙げられる。短繊維化処理は、加水分解処理、又は加水分解処理と他の処理の組み合わせが好ましい。
短繊維化処理の前に、セルロース繊維を洗浄する洗浄処理を行うことが好ましい。これにより副反応を抑制できる。洗浄処理の条件は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。
加水分解処理としては例えば、セルロース繊維に酸を添加してセルロース鎖を加水分解する酸加水分解処理、セルロース繊維にアルカリを添加してセルロース鎖を加水分解するアルカリ加水分解処理が挙げられる。加水分解処理の反応媒体は、通常は水である。これにより、副反応を抑制できる。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸が挙げられる。加水分解処理は、セルロース繊維の分散液(例、水等の水系分散媒への分散液)に対して行うことが好ましい。これにより、加水分解反応を効率よく行なうことができる。分散液中のセルロース繊維濃度は、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。
酸加水分解処理の条件は、酸がセルロース分子の非晶部に作用し得るような条件であればよいが、例を挙げると以下のとおりである。酸の添加量は、セルロース繊維の絶乾質量に対して、0.01~0.5質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましい。酸の添加量が0.01質量%以上であると、セルロース繊維の加水分解を進行でき、ナノファイバー化の効率を向上できる。当該添加量が0.5質量%以下であると、セルロース繊維の過度の加水分解を防ぐことができ、セルロース繊維の収率の低下を抑制できる。
酸加水分解処理時の分散媒のpH値は、2.0~4.0が好ましく、2.0以上3.0未満がより好ましい。pH値の調整は、例えば、酸添加量の調整によって行い得る。例えば、分散媒中にアルカリが残存している場合、酸添加量を増量すればよい。反応温度は、例えば、70~120℃であり、反応時間は、例えば1~10時間である。酸加水分解処理後、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して中和することが好ましい。これにより、ナノファイバー化を効率よく行なうことができる。
アルカリ加水分解処理の条件は、特に限定されないが、例を挙げると以下のとおりである。反応液のpH値は、8~14が好ましく、9~13がより好ましく、10~12がさらに好ましい。pH値が8以上であることにより、加水分解が進行し、セルロース繊維の短繊維化を十分に進め得る。一方、pH値が14以下であることにより、加水分解後のセルロース繊維の着色、透明性低下を抑制し得る。pH値の調整は、アルカリの添加によればよく、用いるアルカリは通常は水溶性であり、製造コストの観点から好ましくは水酸化ナトリウムである。
アルカリ加水分解処理の際には、助剤(例、酸化剤、還元剤)を用いることが好ましい。アルカリ性溶液中でカルボキシ基を有するセルロース繊維を加水分解すると、β脱離の際に二重結合が生成することに起因して、セルロース繊維が黄色に着色し透明性が低下するおそれがあり、その結果適用技術が制限されるおそれがある。しかし、助剤を用いることにより、二重結合を酸化又は還元し、着色及び透明性の低下が抑制され得る。助剤は、アルカリ性領域で活性を有するものであればよい。助剤の添加量は、反応効率の観点から、絶乾したセルロース繊維に対し0.1~10質量%が好ましく、0.3~5質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。
酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩が挙げられる。中でも、酸化剤は、ラジカルを発生し難い、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸塩が好ましく、過酸化水素がより好ましい。酸化剤は1種単独で、2種以上を組み合わせて使用し得る。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ハイドロサルファイト、亜硫酸塩が挙げられる。還元剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加水分解処理の反応温度は、特に限定されないが、低温では加水分解が不十分となりその結果短繊維化が不十分となるおそれがあり、高温では加水分解後のセルロース繊維が着色するおそれがある。このような問題点を抑制し反応効率を向上できることから、40~120℃が好ましく、50~100℃がより好ましく、60~90℃がさらに好ましい。加水分解処理の反応時間は、0.5~24時間が好ましく、1~10時間がより好ましく、2~6時間がさらに好ましい。
反応効率の観点から、アルカリ性溶液中のセルロース繊維の濃度は、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。
紫外線照射処理は、セルロース繊維に紫外線を照射する処理である。紫外線照射によりセルロース繊維が短繊維化される理由は、次のように推察される。紫外線はセルロースやヘミセルロースに直接作用して低分子化を引き起こしセルロース鎖を短繊維化できる。
紫外線の波長は、好ましくは100~400nm、より好ましくは100~300nmであり、さらに好ましくは、135~260nmである。波長135~260nmの紫外線を用いることにより、セルロースやヘミセルロースに直接作用し低分子化を容易に引き起こすことができる。
紫外線を照射する光源としては、100~400nmの波長領域の光を照射できればよく、例えば、キセノンショートアークランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプが挙げられる。これらの光源は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。2種以上の光源の組み合わせは、波長特性の異なる複数の光源の組み合わせが好ましい。これにより、異なる波長の紫外線が同時に照射されることによりセルロース鎖やヘミセルロース鎖における切断箇所を増加できる。
紫外線照射を行う際、通常はセルロース繊維分散液を収容する容器を用いる。例えば、300~400nmの紫外線を用いる場合、硬質ガラス製の容器を用いてもよい。300nmより短波長の紫外線を用いる場合、紫外線をより透過させる石英ガラス製の容器を用いてもよい。容器の光透過反応に関与しない部分の材質については、用いる紫外線の波長に対して劣化の少ない材質の中から適切に選定すればよい。
紫外線を照射する際の分散液中のセルロース繊維の濃度は、好ましくは0.1~12質量%、より好ましくは0.5~5質量%、さらに好ましくは1~3質量%である。カルボキシメチル化セルロースの濃度が0.1質量%以上であると、エネルギー効率を高めることができる。セルロース繊維の濃度が12質量%以下であると、紫外線照射装置内でのセルロース繊維の流動性が良好となり、反応効率を高めることができる。
紫外線を照射する際の温度は、好ましくは20~95℃、より好ましくは20~80℃、さらに好ましくは20~50℃である。温度が20℃以上であると、光酸化反応の効率が高まるため好ましい。温度が95℃以下であると、カルボキシメチル化セルロースの品質の悪化等の悪影響のおそれがなく、また反応装置内の圧力が大気圧を超えるおそれもなくなり、耐圧性を考慮した装置設計を行なう必要性がなくなるため好ましい。
紫外線を照射する際のpH値は特に限定されないが、プロセスの簡素化を考えると中性領域、例えば、pH値は6.0~8.0程度が好ましい。
セルロース繊維が受ける紫外線量は、必要に応じて制御できる。制御方法としては例えば、照射反応装置内でのセルロース繊維の滞留時間の調節、照射光源のエネルギー量の調節、照射装置内のセルロース繊維の濃度の調整(例、水希釈による調整、空気又は窒素等の不活性気体のセルロース繊維への吹き込みによる調整)が挙げられる。滞留時間、濃度をどの程度に制御するかは、目標とする紫外線照射後のセルロース繊維の品質(繊維長やセルロース重合度等)に応じて、適宜設定できる。
紫外線照射処理は、酸素、オゾン、過酸化物(過酸化水素、過酢酸、過炭酸Na、過ホウ酸Na等)等の助剤の存在下で行なうと、光酸化反応の効率が高まるため、好ましい。
135~242nmの波長領域の紫外線を照射する場合、光源周辺の気相部(光源周辺部)に存在する空気からオゾンが生成する。このように副次的に生成したオゾンを紫外線照射処理の助剤として利用できる。これにより、系外からのオゾン供給量を低減できるか、又は供給を省略できる。光源周辺部に存在する空気から精製したオゾンを紫外線照射処理の助剤として利用する方法は特に限定されないが、例えば、光源周辺部に連続的に空気を供給する一方で、生成するオゾンを連続的に抜き出し、この抜き出したオゾンをセルロース繊維へ注入する方法が挙げられる。光源周辺部に酸素を供給することにより、より大量のオゾンを系内に発生でき、発生したオゾンを光酸化反応の助剤として使用することもできる。
紫外線照射処理は、複数回繰り返してもよい。繰り返しの回数は、目標とするセルロース繊維の品質等の条件に応じて適宜設定できる。例えば、紫外線の波長が100~400nm、好ましくは135~260nmの場合、好ましくは1~10回、より好ましくは2~5回である。1回あたりの照射時間は、好ましくは0.5~10時間、より好ましくは0.5~3時間である。
酸化分解処理は、通常、過酸化水素とオゾンを併用して行う。オゾンは、空気又は酸素を原料としてオゾン発生装置を用いて公知の方法で発生できる。オゾンの添加量(質量換算)は、セルロース繊維の絶乾質量に対して、0.1~3倍が好ましく、0.3~2.5倍がより好ましく、0.5~1.5倍がさらに好ましい。0.1倍以上であると、セルロースの非晶部を十分に分解できる。3倍以下であると、セルロースの過度の分解を抑制でき、セルロース繊維の収率の低下を防ぐことができる。過酸化水素の添加量(質量換算)は、セルロース繊維の絶乾質量の0.001~1.5倍が好ましく、0.1~1.0倍がより好ましい。0.001倍以上であると、オゾンと過酸化水素との相乗作用が発揮され得る。1.5倍以下であれば十分に酸化分解が進行し得、コストを抑えることができる。
酸化分解処理の条件(例えば、pH、温度)は特に限定されないが、オゾン及び過酸化水素を用いる場合は、以下のとおりである。pH値は、好ましくは2~12、より好ましくは4~10、さらに好ましくは6~8であり、温度は、好ましくは10~90℃、より好ましくは20~70℃、さらに好ましくは30~50℃であり、反応時間は、好ましくは1~20時間、より好ましくは2~10時間、さらに好ましくは3~6時間である。これにより良好な反応効率にて処理を実施できる。
酸化分解処理に用いる装置は、公知の装置であればよい。装置としては例えば、反応室、攪拌機、薬品注入装置、加熱器、及びpH電極を備える通常の反応器が挙げられる。
オゾン及び過酸化水素を用いる酸化分解処理後に解繊処理を行うと、水溶液中に残留するオゾン及び過酸化水素が、解繊工程においても有効に作用し得るため、セルロース繊維の短繊維化が一層促進され得る。
<1.4.混合に供されるセルロース系繊維の形態>
凝固工程において混合液を調製する際、ゴム成分と混合されるセルロース系繊維の形態は特に限定されない。前記形態としては、例えば、セルロース系繊維が分散媒に分散した分散液、当該分散液の乾燥固形物、当該分散液の湿潤固形物が挙げられる。分散液におけるセルロース系繊維の濃度は、分散媒が水である場合は、通常0.1~5%(w/v)である。分散媒が水の他にアルコール等の有機溶媒を含む場合、前記濃度は、通常0.1~20%(w/v)である。湿潤固形物とは、前記分散液と乾燥固形物との中間の態様の固形物である。前記分散液を通常の方法で脱水して得た湿潤固形物中の分散媒の量はセルロース系繊維に対して5~15重量%が好ましいが、液状媒体の追加又はさらなる乾燥により分散媒の量は適宜調整できる。
また、前記形態としては、例えば、セルロース系繊維と水溶性高分子溶液との混合液、混合液の乾燥固形物、混合液の湿潤固形物も挙げられる。当該混合液及び乾燥固形物における液状媒体の量は、前述の湿潤固形物の分散媒の量の範囲であってよい。水溶性高分子としては例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩(例えば、ポリアクリル酸ソーダ)、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、グァーガム、及びコロイダルシリカ、並びにこれらの混合物が挙げられる。この中でも溶解性の点から、カルボキシメチルセルロース及びその塩が好ましい。
前記乾燥固形物及び湿潤固形物は、セルロース系繊維の分散液又はセルロース系繊維と水溶性高分子の混合液を乾燥して調製できる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、スプレードライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、又は真空乾燥が挙げられる。乾燥装置としては例えば、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置、回分式の乾燥装置(例えば、箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、又は撹拌乾燥装置)が挙げられる。これらの乾燥装置は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組合せて用いてもよい。ドラム乾燥装置は、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給できるのでエネルギー効率が高く、かつ必要以上に熱を加えずに直ちに乾燥物を回収できるので好ましい。
<1.5.ゴム成分>
本発明においてはゴム成分としてクロロプレンゴムを用いる。クロロプレンゴム(CR)は、天然ゴム(NR)の構造に類似した結晶性を示す。クロロプレンゴムは、耐熱性、耐油性、耐オゾン性、耐薬品性、耐疲労性、難燃性、耐候性、接着性など様々な特性をバランスよく満たしていることを特徴とする。
本発明において、所望の効果を阻害しない範囲で、クロロプレンゴムと他のゴム成分を併用できる。他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム、塩素化天然ゴム、水素化天然ゴム、クロロスルホン化天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱タンパク天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)が挙げられる。
クロロプレンゴム及び必要に応じて用いられるゴム成分とセルロース系繊維との混合の形態は特に限定されない。例えば、セルロース系繊維の分散液、該分散液の乾燥固形物、又は当該分散液の湿潤固形物と、クロロプレンゴム及び必要に応じて用いられるゴム成分(固形物)又はその分散液とを混合する形態が挙げられる。これらのうち、セルロース系繊維の分散液とクロロプレンゴム及び必要に応じて用いられるゴム成分の分散液とを混合する形態が好ましい。
<1.6.添加量>
混合液調製の際のセルロース系繊維の添加量は、ゴム成分(他のゴム成分を含む場合、クロロプレンゴムと他のゴム成分の合計)100重量%に対して1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましい。これにより得られるゴム組成物の引張強度の向上効果が十分に発現し得る。上限は、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下が更に好ましい。これにより、製造工程における加工性を保持することができる。従って、1~50重量%が好ましい。
<2.固液分離工程(脱水工程)、水洗工程>
本発明の製造方法は、固液分離工程及び水洗工程からなる群より選ばれる少なくとも1つの工程を更に含むことが好ましく、両工程を更に含むことがより好ましい。これにより、ゴム組成物中の不純物の含有量を低下でき、ゴム組成物の強度を向上させることができる。固液分離工程と水洗工程の態様は、固液分離と水洗のセットを2回以上繰り返す態様が好ましい。
固液分離工程(脱水工程)は、凝固工程にて得られる凝固したゴム成分を含む混合液を固液分離する工程である。そのため、固液分離工程を行う時期は、通常は、凝固工程の後である。固液分離は、ろ材を用いて行うことが好ましい。ろ材としては、例えば、金属繊維、セルロース、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ガラス、コットン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド等の素材からなるフィルター、メンブレン、ろ布、金属粉を焼結させてなるフィルター、またはスリット状フィルターが挙げられる。これらの中でも、ナイロンフィルターが好ましい。ろ材の好ましい平均孔径は、好ましくは0.01~100μmであり、より好ましくは0.1~50μmであり、さらに好ましくは1~30μmである。
水洗工程は、固液分離工程で得られる固相を洗浄する工程である。
<3.乾燥工程>
本発明の製造方法は、乾燥工程を更に含んでもよい。これにより、水分量の少ないマスターバッチを得ることができる。乾燥工程は、凝固工程により得られる処理液、又は、その後必要に応じて行われる固液分離工程及び洗浄工程により得られる処理液を、加熱による乾燥に供する工程である。加熱温度、加熱時間等の条件は特に限定されない。加熱温度は、40℃以上が好ましい。上限は100℃未満が好ましい。加熱時間は、1時間以上が好ましい。上限は24時間以下が好ましい。加熱の条件を上記範囲とすることで、ゴム成分に対するダメージを抑えることができる。加熱は、オーブン等の乾燥機を用いて行えばよい。
<4.メチレンアクセプター化合物及び/又はメチレンドナー化合物添加工程>
本発明の製造方法は、メチレンアクセプター化合物及び/又はメチレンドナー化合物添加工程を更に含んでもよい。
メチレンアクセプター化合物とは通常、メチレン基を受容でき、かつ、メチレンドナー化合物と混合して加熱することにより硬化反応し得る化合物である。メチレンアクセプター化合物としては例えば、フェノール、レゾルシノール、レゾルシン、クレゾールなどのフェノール化合物及びその誘導体、レゾルシン系樹脂、クレゾール系樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂としては例えば、上記フェノール化合物及びその誘導体とホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド化合物との縮合物が挙げられる。フェノール樹脂は、縮合の際の触媒によりノボラック樹脂(酸性触媒)、レゾール樹脂(アルカリ性触媒)に分類できるが、本発明においてはいずれを使用してもよい。フェノール樹脂は、オイル又は脂肪酸で変性されていてもよい。オイル及び脂肪酸としては例えば、ロジン油、トール油、カシュー油、リノール酸、オレイン酸、リノレイン酸などが挙げられる。
メチレンドナー化合物とは通常、メチレン基を供与でき、かつ、メチレンアクセプター化合物と混合して加熱することにより硬化反応し得る化合物である。メチレンドナー化合物としては例えば、ヘキサメチレンテトラミン、メラミン誘導体が挙げられる。メラミン誘導体としては例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチルメラミン、ペンタメトキシメチロールメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス-(メトキシメチル)メラミンが挙げられる。
メチレンアクセプター化合物とメチレンドナー化合物の組み合わせとしては例えば、クレゾール、クレゾール誘導体又はクレゾール系樹脂とペンタメトキシメチルメラミンとの組み合わせ、レゾルシン、レゾルシン誘導体又はレゾルシン系樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの組み合わせ、カシュー変性フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの組み合わせ、フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの組み合わせが挙げられる。中でもクレゾール、クレゾール誘導体又はクレゾール系樹脂とペンタメトキシメチルメラミンとの組み合わせ、レゾルシン、レゾルシン誘導体又はレゾルシン系樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの組み合わせが好ましい。
メチレンアクセプター化合物の添加量は、ゴム成分100重量%に対して0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、1.3重量%以上がさらに好ましく、1.5重量%以上がさらにより好ましい。これにより引張強度の向上効果が十分に発現し得る。上限は、50重量%以下が好ましく、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。これにより、製造工程における加工性を保持できる。従って、0.5~50重量%が好ましく、1.0~50重量%又は1.0~20重量%がより好ましく、1.3~20重量%がさらに好ましく、1.5~10重量%がさらにより好ましい。
メチレンドナー化合物の添加量は、メチレンアクセプター化合物100重量%に対して10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、25重量%以上がさらに好ましい。これにより引張強度の向上効果が十分に発現し得る。上限は、100重量%以下が好ましく、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がさらに好ましい。これにより、製造工程における加工性を保持できる。従って、10~100重量%が好ましく、20~90重量%がより好ましく、25~85重量%がさらに好ましい。
本工程を行う時期は、凝固工程の途中又は後のいずれでもよい。例えば、クロロプレンとセルロース系繊維との混合液を調製する際にこれらと共にメチレンアクセプター化合物/メチレンドナー化合物を混合する態様;乾燥工程後に得られるマスターバッチにメチレンアクセプター化合物/メチレンドナー化合物を添加する態様が挙げられる。
<5.混合工程>
混合工程は、凝固工程後の(必要に応じて他の工程を経て得られる)処理物(マスターバッチ)をそのまま、又は必要に応じて任意成分を添加して、混合する工程である。混合の際の(例えば、素練り及び混練りの際の)の温度は、常温程度(例えば、15~30℃程度)でもよいが、ゴム成分が架橋反応しない程度に高温に加熱してもよい。例えば140℃以下、より好ましくは120℃以下である。また下限は40℃以上、好ましくは60℃以上である。従って加熱温度は、40~140℃程度が好ましく、60~120℃程度がより好ましい。
任意成分としては例えば、補強剤(例えば、カーボンブラック、シリカ等)、シランカップリング剤、硫黄、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤、着色剤、素練り促進剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤(例えば、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂等)、発泡剤、充填剤(カーボンブラック、シリカ等)、カップリング剤、粘着剤(例えば、マクロン樹脂、フェノール、テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体等)、分散剤(例えば、脂肪酸等)、接着増進剤(例えば、有機コバルト塩等)、滑剤(例えば、パラフィン、炭化水素樹脂、脂肪酸、脂肪酸誘導体等)などゴム工業で使用され得る配合剤が挙げられる。このうち硫黄、加硫促進剤が好ましい。加硫促進剤としては例えば、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)が挙げられる。任意成分は1種でもよいし、2種以上でもよい。
任意成分の添加時期は特に限定されない。硫黄及び加硫促進剤の添加時期は、メチレンアクセプター化合物及び/又はメチレンドナー化合物の添加時期より後が好ましい。メチレンアクセプター化合物及び/又はメチレンドナー化合物添加工程を混合工程の途中に行う場合、硫黄及び加硫促進剤を添加せずにメチレンアクセプター化合物とメチレンドナー化合物を含む材料を混合して素練りを開始し、その後に、硫黄及び加硫促進剤を追加してさらに素練り及び混練りを行うことが好ましい。これにより、メチレンアクセプター化合物とメチレンドナー化合物が加熱により予備的に縮合し、その縮合物とゴム成分及びセルロース系繊維との相互作用が効果的に発揮され得る。
硫黄の添加量は、ゴム成分に対し1.0重量%以上が好ましく、1.5重量%以上がより好ましく、1.7重量%以上がさらに好ましい。上限は、10重量%以下が好ましく、7重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
加硫促進剤の添加量は、ゴム成分に対し0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.4重量%以上がさらに好ましい。上限は、5重量%以下が好ましく、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がさらに好ましい。
混合工程では、混合終了後に、必要に応じて成形を行ってもよい。成形装置としては、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等が挙げられ、最終製品の形状、用途、成形方法に応じて適宜選択すればよい。
混合工程では、混合終了後に、好ましくは成形後に、加熱する(加硫、架橋)ことが好ましい。これによりゴム組成物を効果的に補強できる。メチレンアクセプター化合物及び/又はメチレンドナー化合物を添加する場合、これらの化合物が加熱により縮合反応して三次元網状構造体を形成し、この構造体がゴム成分及びセルロース系繊維とそれぞれ相互作用するため、ゴム組成物をより効果的に補強できる。加熱温度は、150℃以上が好ましく、上限は200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。従って、150~200℃程度が好ましく、150~180℃程度がより好ましい。加熱装置としては例えば、型加硫、缶加硫、連続加硫等の加硫装置が挙げられる。
混合工程においては最後(最終製品とする前)に、必要に応じ仕上げ処理を行ってもよい。仕上げ処理としては例えば、研磨、表面処理、リップ仕上げ、リップ裁断、塩素処理などが挙げられ、これらの処理のうち1つのみを行ってもよいし2つ以上の組み合わせでもよい。
<6.ゴム組成物の用途>
本発明の製造方法により得られるゴム組成物の用途は、特に制限されず、例えば、自動車、電車、船舶、飛行機、ベルトコンベア等の輸送機器;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品;携帯電話等の移動通信機器;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品;建築材;文具等の事務機器、容器、コンテナーが挙げられる。これら以外でも、ゴムや柔軟なプラスチックが用いられている部材への適用が可能であり、産業用ベルトへの適用が好適である。産業用ベルトとしては例えば、フラットベルト、コンベアベルト、コグドベルト、Vベルト、リブベルト、丸ベルトが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1> 酸化セルロースナノファイバーの製造(1)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(酸化(カルボキシル化)セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。
<製造例2> 酸化セルロースナノファイバーの製造(2)
製造例1の酸化セルロースの5%(w/v)スラリーを調製し、30%(w/v)過酸化水素水を酸化セルロースの固形分に対して2%(有効成分換算)添加し、1M水酸化ナトリウムでpHを12に調整した。このスラリーを80℃で、2時間加水分解処理した。その後、ガラスフィルターで濾過し、十分に水洗した。加水分解した5%(w/v)酸化セルロースのスラリーを超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理し、酸化セルロースナノファイバー分散液を得た。平均繊維径は5nm、アスペクト比は60であった。
<製造例3> カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造
パルプを混ぜることができる撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g(発底原料の無水グルコース残基当たり2.25倍モル)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算、パルプのグルコース残基当たり1.5倍モル)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。これを水で固形分濃度1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊しカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを得た。平均繊維径は15nm、アスペクト比は50であった。
<製造例4> カチオン化セルロースナノファイバーの製造
パルプを攪拌できるパルパーに、パルプ(NBKP、日本製紙製)を乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥重量で24g加え、パルプ固形濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、カチオン化剤として3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを200g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカチオン置換度0.05のカチオン変性されたパルプを得た。これを固形分濃度1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で2回処理した。平均繊維径は25nm、アスペクト比は50であった。
なお、上記製造例におけるカルボキシル基量、カルボキシメチル置換度、カチオン置換度は、上段にて説明した方法により測定された。
<実施例1>
製造例1で得られた酸化セルロースナノファイバーの固形分濃度0.5%水分散液1000gとクロロプレンゴムラテックス固形分濃度10%懸濁液1000gを混合して、ゴム成分:変性セルロースナノファイバーの重量比が100:5となるようにし、TKホモミキサー(6000rpm)で30分間攪拌した。この混合液を、スリーワンモーター(150~300rpm)で攪拌しながら10%塩化カルシウムを、全混合液中の濃度が0.5%となるように添加し、目開き5μmのナイロンメッシュで固液分離した後、70℃の加熱オーブン中で10時間乾燥させることにより、マスターバッチを得た。このマスターバッチ168gをオープンロール(関西ロール株式会社製)にて、60℃で5分間混練した。次に、ステアリン酸をゴム成分に対し0.5重量%、酸化亜鉛をゴム成分に対し6重量%)、硫黄をゴム成分に対し3.5重量%、加硫促進剤(BBS、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)をゴム成分に対し0.7重量%加え、オープンロール(関西ロール株式会社製)を用い、60℃で10分間混練して、未加硫のゴム組成物のシートを得た。このシートを、金型にはさみ、160℃で15分間プレス加硫することにより、厚さ2mmの加硫ゴム組成物のシートを得た。これを所定の形状の試験片に裁断し、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に従い、補強性の一つである引張強度(50%引張応力(M50)、100%引張応力(M100)、300%引張応力(M300)、及び破断強度)を測定した。結果を表1に示す。各々の数値が大きい程、加硫ゴム組成物が良好に補強されており、ゴムの機械強度に優れることを示す。
<実施例2>
凝固後に目開き5μmのナイロンメッシュで固液分離した後、得られた固形物を水洗し、再度目開き5μmのナイロンメッシュで固液分離して固形物を回収した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
製造例2で得られた酸化セルロースナノファイバーを用いた以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
凝固剤を塩化マグネシウムとした以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
凝固剤を硫酸アルミニウムとした以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
塩化カルシウムを、全混合液中の濃度が0.3%となるように添加し、その後5重量%酢酸を混合液中のpHが5となるまで添加した以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
塩化カルシウムを、全混合液中の濃度が0.3%となるように添加し、その後5重量%硫酸を混合液中のpHが5となるまで添加した以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
製造例1で得られた酸化セルロースナノファイバーをゴム成分100部に対して重量比で20部配合した以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
凝固後に目開き5μmのナイロンメッシュで固液分離した後、得られた固形物を水洗し、再度目開き5μmのナイロンメッシュで固液分離して固形物を回収した以外は実施例8と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
製造例3で得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーを用いた以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例11>
製造例4で得られたカチオン化セルロースナノファイバーを用いた以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
マスターバッチ168gをオープンロールを用い60℃で10分間混練する代わりに、マスターバッチ168gに対し、レゾルシンをゴム成分に対し1.3重量%、ヘキサメチレンテトラミンをゴム成分に対し0.8重量%を添加し、オープンロール(関西ロール株式会社製)にて、60℃で10分間混練した以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
凝固処理を実施しなかった以外は実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
凝固処理を実施しなかった以外は実施例3と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
凝固剤を塩化ナトリウムとした以外は実施例1と同様の方法で行った。本凝固剤では凝固がうまく進まず、評価サンプルの作製が困難であったため、引張強度の測定結果は得られなかった。結果を表1に示す。
<比較例4>
凝固処理を実施しなかった以外は実施例10と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例5>
凝固処理を実施しなかった以外は実施例11と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例6>
セルロースナノファイバーを配合しなかった以外は実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
<比較例7>
凝固処理を実施しなかった以外は比較例6と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
Figure 0006990190000001

Claims (6)

  1. クロロプレンゴム及びセルロース系繊維を含有する混合液に、2価又は3価の金属塩、あるいは、2価又は3価の金属塩及び酸を添加して、ゴム成分を凝固させる工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
  2. 金属塩が、カルシウム塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 酸が、酢酸又は硫酸である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. セルロース系繊維が、酸化セルロースファイバー、カルボキシメチル化セルロースファイバー及びカチオン化セルロースファイバーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. セルロース系繊維の長さ加重平均繊維長が50~2000nmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. セルロース系繊維の長さ加重平均繊維径が2~500nmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
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