前掲の従来技術は、長尺搬送物の搬送用として開発されたものであるが、対象となる搬送物は極めて限定的なものであった。すなわち、前者(特許文献1)は、鉄筋の束を搬送するためのものであり、後者(特許文献2)は、ジェットエンジンのシャフトを搬送するためのものであった。
しかしながら、工業製品の製造工場であっても、上記のような特定部品を取り扱うことは稀であり、そのような特定部品以外の多種多様な部品を搬送することのほうが多く、その結果、台車にも汎用性が求められるものであった。この点について、前掲の従来技術では、汎用性に欠けるものとなっていた。また、前掲の従来技術は、平台車等の非駆動車輪による構成であるため、移動に際しては作業者らによる牽引力に頼る構成となっており、長尺搬送物(特に大型搬送物)は、それ自体が大重量であるため、駆動装置に連動した車輪によって容易に移動させることができる搬送用台車が切望されていた。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、長尺搬送物または大型搬送物を容易に搬送し得る汎用性のある搬送台車を提供することである。
そこで、搬送用台車にかかる本発明は、複数の台車構成部が連結手段を介して連結可能であり、連結によって一体的に構成される搬送用台車であって、個々の台車構成部は、少なくとも1つの車輪を有する車輪部と、該車輪部との間で相対的に昇降方向への移動が可能な昇降部とを備え、前記昇降部は、連結手段に対して連結可能な連結領域を備え、前記連結手段は、適宜面積を有する積載領域を備えるものであることを特徴とする。
上記構成によれば、複数の台車構成部が連結手段を介して一体化できる構成であるため、長尺搬送物または大型搬送物(以下、両者をまとめて搬送物と称する場合がある)よりも下位に連結手段を配置し、この連結手段に対して適宜位置から台車構成部を一体化させることにより、搬送物を積載する台車として機能させることができる。また、台車構成部は、車輪部に対し、相対的に昇降方向へ移動可能な昇降部を備えていることから、昇降部の昇降操作により、昇降部の連結領域を介して連結手段を昇降させることができる。さらに、連結手段が昇降部の連結領域を介して昇降可能であることから、当該連結手段を上昇させることにより、搬送物を積載した状態で支持することができる。このとき、相対的に車輪部が下降するため、当該車輪部の車輪が接地し、車輪を駆動させることにより搬送することができるものである。この状態において、一体化した搬送台車による搬送が可能となるのである。なお、連結手段は、離れた位置に配置される複数の荷台構成部の間において、これらを連結するものであり、その形状、長さまたは幅等を適宜変更することにより、多種多様の搬送物の搬送に用いることができる。
上記構成の搬送用台車にかかる本発明において、前記昇降部は、底部に複数の転動部材を備えるものであり、前記昇降部の昇降状態に応じて、該転動部材もしくは前記車輪のいずれか一方を選択的に、または該転動部材および該車輪の双方を接地可能とするように構成することができる。該転動部材もしくは前記車輪のいずれか一方を選択する場合には、該転動部材と前記車輪の接地状態を変更することができる。
このような構成によれば、昇降部を下降させて車輪部の車輪を接地させない場合、昇降部底部の転動部材が接地する状態とすることができる。この状態において、転動部材を転動させることにより台車構成部を自在に移動させることができる。転動部材は回転駆動力が付与されるものではないが、個別の台車構成部は比較的小型であるため、その移動のための外力は僅かなもので足りるものとなる。他方、昇降部は、前述のように上昇させることができることから、十分に昇降部を上昇させれば、転動部材は接地しない状態とし得るものであり、これとは逆に接地される車輪部の車輪を駆動させれば、当該車輪の駆動によって搬送が可能となる。さらに、昇降部の上昇位置を調整させれば、車輪部の車輪と、昇降部の転動部材とを、ともに接地させることも可能である。この場合には、車輪を駆動させることによって移動可能としつつ、搬送物の重量を車輪と転動部材とで分割支持させることができる。前記転動部材もしくは前記車輪のいずれか一方を選択する場合においては、前記転動部材と前記車輪の接地の状態を入れ替えることにより、転動部材による移動状態と、車輪による移動状態とを適宜変更することが可能となり、移動方向を任意に変化させることができる。これは、例えば建物内の狭隘部、車両やコンテナ内の限定幅のスペース等では、前記車輪による本来的な搬送方向への移動と、転動部材による他の方向への移動の選択的な変化が可能となり、狭隘部等における移動方向の微調整ができるものとなる。
上記構成の搬送用台車にかかる各発明において、前記車輪部は、前記車輪を支持する基部と、該基部に搭載され、前記車輪を回転駆動するための回転駆動発生部と、前記基部に搭載され、伸縮作動することにより前記昇降部に対する相対的な昇降方向への移動を駆動するための昇降駆動発生部とを備える構成とすることができる。
このような構成によれば、車輪部の基部には、車輪を回転駆動させるための回転駆動発生部と、昇降部を昇降させるための昇降駆動発生部とが搭載され、これらを作動させることにより、昇降部の上昇に伴う搬送物の支持と、車輪部の下降による車輪の接地と、車輪の駆動による搬送を可能にすることとなる。また、車輪部の基部は、車輪を支持するものであり、回転駆動発生部および伝達機構も基部に搭載されることから、車輪部は、基部によって一体化された構成となるものである。さらに、昇降駆動発生部も基部に搭載されるものであるが、昇降駆動発生部によって伸縮する作動部を設け、その作動部が昇降部に接続されることにより、車輪部との相対的な昇降移動が可能となる。
上記構成の搬送用台車にかかる各発明において、前記連結領域は、前記昇降部から水平方向に突出するフォーク状に形成されており、前記連結手段は、該連結領域の挿入が可能な挿入領域を備える構成とすることができる。
このような構成によれば、連結領域は連結手段との連結に供されるところ、この連結領域が昇降部から水平方向に突出されていることから、連結手段の挿入領域に連結領域を挿入することにより、容易に連結させることができる。また、連結領域をフォーク状に形成していることから、同時に複数の突起部によって連結手段と連結されることとなり、連結手段の水平状態が維持されることとなる。従って、複数の台車構成部によって一体的な台車を形成する際、いずれか一つの台車構成部において、連結領域により連結手段を連結させれば、当該連結手段は水平状態が維持されるため、他の台車構成部との連結は容易となる。
上記構成の搬送用台車にかかる各発明において、前記回転駆動発生部は、電動アクチュエータであって、このアクチュエータは、前記車輪部による進行方向に対する回転力をアシストするものであり、前記台車構成部は、該台車構成部に対して作用する操作力の有無および大きさを検知する操作用ハンドルを備えるものとすることができる。
このような構成によれば、複数の台車構成部が一体化して構成される搬送台車は、自走するものではなく牽引等(操作力)により移動するものとなり、その際に作用させる牽引力等(操作力)に対して電動アクチュエータの回転駆動力がアシスト力として機能することとなる。従って、搬送用台車の移動に際しては、操作用ハンドルに対して牽引力等の外力を作用させることにより、その外力の向きおよび大きさに応じたアシスト力を付与されつつ移動させることができる。特に、移動速度や移動方向の調整は、操作ハンドルに対して作用させる外力によって行うことができるため、感覚的な操作によって容易に搬送用台車を取扱いうことができる。なお、操作ハンドルは、作業者が直接操作するハンドルとしてもよいが、牽引用のロープ等を連結させ、当該牽引用ロープ等を牽引することによって操作できるようにしてもよい。
他方、搬送用台車の使用方法にかかる本発明は、前記に示したいずれかの搬送用台車を使用する方法であって、非駆動のキャスタを有する平台車に予め搬送物の一部を積載しておき、該搬送物よりも下方に前記連結手段を配置するとともに、該連結手段によって連結される少なくとも二つの台車構成部を配置し、それぞれの台車構成部の昇降部を上昇させて、搬送物の一部を連結手段の積載領域によって積載することにより、前記搬送物の重量を該台車構成部の車輪部によって支持させた状態とし、該車輪部を駆動することにより搬送物を移動させることを特徴とする。
上記構成によれば、搬送物は、予め平台車(非駆動のキャスタを有するもの)によって一部が積載された状態であることを前提としており、この状態の搬送物は、さらに前記構成の搬送用台車によって部分的に積載されることから、搬送時における搬送物は、全体として平台車と搬送用台車との双方によって積載された状態となる。そのため、上記積載状態において、搬送用台車の車輪を駆動すれば、搬送物全体を搬送方向へ誘導し、平台車はこれに従属するように移動させることができる。搬送方向の向きの変更についても、搬送用台車によって行うことができる。すなわち、個別に移動可能な複数の(少なくとも二つの)荷台構成部は、それぞれの車輪の回転速度(回転数)に差異を設けることが可能であり、人為的に回転速度(回転数)に差異を生じさせることにより、その差に応じて搬送用台車の進行方向を変更させることができる。なお、搬送物の一部とは、搬送物全体の体積面における一部である場合と、重量面における一部の場合がある。例えば、長尺搬送物を搬送する場合においては、その両端近傍を平台車に積載しておき、中央近傍を搬送用台車に積載するような状態があり得る。これは、体積面では、平台車に全体が積載された状態であるが、中央近傍を搬送用台車に積載させることにより、重量面では、それぞれが一部を積載している状態である。
また、搬送用台車の使用方法にかかる本発明は、前記に示した搬送用台車のうち、操作ハンドルを備える構成の搬送用台車についての使用方法であって非駆動のキャスタを有する平台車に予め搬送物の一部を積載しておき、該搬送物よりも下方に前記連結手段を配置するとともに、該連結手段によって連結される少なくとも二つの台車構成部を配置し、それぞれの台車構成部の昇降部を上昇させて、搬送物の一部を連結手段の積載領域によって積載することにより、前記搬送物の重量を該台車構成部の車輪部によって支持させた状態とし、前記操作ハンドルに対して進行方向への操作力を付与することによって前記車輪の回転に対するアシストを受けつつ搬送物を移動させることを特徴とする。
上記構成によれば、搬送物が平台車と搬送用台車との双方に積載された状態である点は前述と同様あるが、搬送用台車の車輪に対する駆動力の付与において異なる。すなわち、操作ハンドルに対して操作力を付与することにより、移動方向への一次的な牽引力等(外力)を作用させることにより、二次的にアシスト力の付与を受けて、その牽引力等を補助(アシスト)することができるのである。この場合、作業者は、搬送物の状態を観察しつつ感覚的に移動速度または移動方向を調整することができ、その移動の全てを作業者が発する外力に委ねることはなく、一部を電動アクチュエータによる駆動力によって補うことができるのである。
搬送用台車にかかる本発明によれば、基本的に分離した状態の台車構成部材は、一体化した搬送用台車として取り扱う必要がないこととなり、個別に台車構成部を移動させることができる。台車構成部を単位として移動可能であることから、個々の台車構成部を所望の位置まで移動し、その後に連結手段により連結することによって一体化すれば、結果的には任意の位置に搬送用台車を移動させたこととなる。従って、搬送物(特に長尺搬送物や大型搬送物)を搬送用台車に積載する際には、任意の位置において当該搬送物を積載させることができる。このように任意の位置で搬送物を積載させることにより、搬送物の形状や大きさに応じて適宜調整することが可能となるため、汎用性に優れた搬送用台車として使用することができる。そして、それぞれの台車構成部における車輪部の車輪が、回転駆動発生部によって駆動される構成とする場合、作業者による人的な牽引力等によることなく容易に移動させることができる。しかも、複数の台車構成部において、それぞれの車輪が個別に転動することから、車輪の回転速度(回転数)を容易に操作でき、回転速度(回転数)に差異を設けることにより、進行方向の変更も容易となる。この場合、回転駆動発生部が電動アクチュエータであり、このアクチュエータが車輪の転動をアシストするものである場合、当該アクチュエータの作動が操作ハンドルに対する操作力に応じたものであれば、上記の操作をさらに容易なものとすることができる。
また、搬送用台車にかかる本発明によれば、倉庫等内におけるいわゆる無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)等の様に、予め計画する搬送指示ルートの埋設等の設備工事を必要とせずに、また倉庫内のレイアウト変更に伴う前記設備工事の発生も無く、搬送物を移動させることができる。これは、すなわち搬送設備の導入にかかるコストの削減のみならず、搬送ルートの変更に伴う工場内等の改装工事のコスト削減に資するものとなる。
また、搬送用台車の使用方法にかかる発明によれば、搬送物の全体を当該搬送用台車に積載する必要がなく、一部を平台車に積載させた状態を維持しながら、通常の搬送台車のように使用することが可能となる。このとき、平台車は、搬送物の移動に伴って従属的に移動することから、移動状態の操作は搬送用台車のみで調整可能となり、また、搬送物の重量は平台車によっても支えられることとなることから、搬送用台車そのものに作用する荷重を軽減させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は、搬送用台車にかかる実施形態を示す図である。なお、図1は、台車構成部を連結手段から分離した状態を示し、図2は、連結手段を介して二つの台車構成部を連結した状態を示している。
本実施形態は、図1に示すように、複数(図は二つ)の台車構成部1,3と、連結手段5とを備える構成であり、荷台構成部1,3は連結手段5を介して連結可能となっている。いずれの台車構成部1,3についても同じ構成であり、車輪部10,30と昇降部20,40で構成され、昇降部20,40の底部近傍には、フォーク状の複数の突起(連結領域)21,22,41,42が水平方向に突設されている。また、連結手段5は、適宜面積を有する板状の本体部51と、その下部において、両側から台車構成部1,3のフォーク状突起(連結領域)21,22,41,42を挿入可能とする挿入領域52,53とが設けられている。
従って、フォーク状突起(連結領域)21,22,41,42を連結手段の挿入領域52,53に挿入することにより、図2に示すように、二つの台車構成部1,3を連結した搬送用台車を構成し得るものである。この連結状態において、連結手段5が二つの台車構成部1,3を連結するのであるが、この連結手段5は、両端を台車構成部1,3によって支持され、搬送物Xの積載を可能としている。すなわち、連結手段5が台車構成部1,3によって支持されることにより、連結手段5の本体部51は、適宜面積の表面を上向きとして安定した状態を維持することができ、これが積載領域として機能することとなる。このとき、フォーク状突起(連結領域)21,22,41,42は、挿入手段52,53に挿入されている程度の緩やかな連結状態であり、フォーク状突起(連結領域)21,22,41,42を抜き取ることにより、当該連結状態は容易に解除することができる。
ところで、挿入領域52,53は、フォーク状突起(連結領域)21,22,41,42を遊嵌できる程度に適宜空間を有して構成されている。これは、フォーク状突起(連結領域)21,22,41,42が遊嵌可能であることにより、上述のような緩やかな連結状態とする目的であるほかに、搬送時における連結状態の確保を目的としている。
すなわち、図示のように、車輪部10,30に設けられる車輪11,31の転動方向(台車構成部の進行方向)に対して、フォーク状突起21,22,41,42は略直交方向に突出して設けられている。これにより、台車構成部1,3が移動する際には、フォーク状突起21,22,41,42の側縁部が挿入領域52,53の内部壁面に当接する状態により、連結手段5に対して駆動力を伝達することを意図している。駆動力の伝達には、フォーク状突起21,22,41,42の表面(上面側)と、これに当接する挿入領域52,53の上面(連結手段の下面側)との摩擦抵抗による場合があることは周知である。しかし、例えば、搬送用台車を加減速する場合などは、搬送物の慣性力によって、相互間に横向きの異なる力が作用するため、フォーク状突起21,22,41,42の表面と挿入領域52,53の上面との摩擦抵抗を超える現象が生ずることも想定される。そこで、このような摩擦抵抗を超えるような横向きの力が作用する場合においても、連結手段5による連結状態が維持されるように、挿入領域52,53をフォーク状突起21,22,41,42が遊嵌できる程度に調整しているのである。このような構成により、上記のような緩やかな連結状態であっても、連結手段3を安定的に支持することにより、搬送物Xを本体部(積載領域)51に積載することが可能となるものである。
また、台車構成部1,3は、搬送用台車として一体化され、車輪11,31が接地する状態において、それぞれ単一の車輪11,31による片輪状態であるため、車輪11,31に対する回転モーメント(傾倒させるような荷重)が作用する。そのため、連結領域21,22,41,42をフォーク状とすることにより、適宜な長さにおいて挿入領域52,53に挿入でき、この挿入により、上記車輪11,31に作用する回転モーメントを抑えるようにしている。すなわち、フォーク状突起21,22,41,42が挿入領域52,53に挿入された状態で、連結手段5と平行な状態が保持されるのである。このとき、フォーク状突起21,22,41,42には、長さ方向に対する曲げ荷重が作用することとなるが、当該曲げ荷重に耐える程度の長さに調整されている。
なお、フォーク状突起21,22,41,42の形状は、上面側が平面である必要はなく、上述のように遊嵌できる状態であれば、他の形状であっても台車構成部1,3の移動による駆動力は伝達可能である。
また、詳細は後述するが、連結領域5を介して二つの台車構成部1,3が連結された状態においては、それぞれの台車構成部1,3の昇降部20,40を昇降させることにより、車輪部10,30に備えられている車輪11,31が接地する状態と接地しない状態との異なる形態とすることができる。そして、昇降部20,40の底部には、転動部材(旋回および転動可能なキャスタ)23a,23b・・・43a,43b・・・が設けられており、車輪11,31が接地しない状態において、上記転動部材23a,23b・・・43a,43b・・・を接地させて移動可能としている。
次に、台車構成部1,3の詳細について説明する。なお、二つの台車構成部1,3は、同じ構成であるため、一方の台車構成部1をもって説明することとし、図3および図4は、同じ台車構成部1を異なる向きから示すものである。
図3に示すように、台車構成部1は、大別すると車輪部10および昇降部20で構成されている。車輪部10は、フレームによって籠状に形成された基部12を本体部として、回転駆動発生部13およびこの回転駆動発生部13によって回転駆動される回転軸14が設けられている。車輪11は、回転軸14に連結されることにより、該回転軸14を介して基部12に支持される。また、基部12の昇降部側(車輪11とは反対側)には、昇降部20との間で相対的に昇降方向に移動するための昇降駆動発生部15,16が設けられている。
なお、回転駆動発生部13としては電動アクチュエータを使用することができるが、これに限定されるものではない。他方、昇降駆動発生部15,16としては油圧ジャッキまたは手動式のジャッキを使用することができるが、これらに限らず電動アクチュエータを使用してもよい。特に、昇降駆動発生部15,16は、搬送物Xの重量を支えながら連結手段5を含めて昇降させるため、大きい出力が要求されることから、例えば、200kg程度以下の場合は、電動アクチュエータとし、それを超える場合は油圧または手動式のジャッキを用いるなど、搬送物の重量(搬送許容重量)に応じて異なる構成としてもよい。
また、基部12には、上記の各駆動発生部13,15,16を作動させるために、電源または油圧発生装置等の動力源A,Bが適宜選択されて搭載され、さらに回転駆動力をえるために電動アクチュエータを用いる場合には、これに加えて制御部も搭載される。また、回転駆動発生部の下方には、当該回転駆動発生部13による回転数および回転方向を変換するためのギアボックスCが設けられている。
昇降部20は、少なくとも2本の柱フレーム24,25および少なくとも2本の横設フレーム26,27によって、全体として枠状に構成されており、前記連結領域21,22は、柱フレーム24,25の下端に設けられる構成となっている。全体として枠状としているのは、前述の車輪部10に搭載される昇降駆動発生部15,16を、この枠状の内側に配置するためである。従って、車輪部10,30に搭載された昇降駆動発生部15,16は、昇降部20を構成する上位の横設フレーム26の直下に配置され、当該昇降駆動発生部(例えば油圧ジャッキ)15,16により伸縮する作動部(例えば油圧シリンダのロッド部)17,18が、当該上位の横設フレーム26に連結されるのである。これにより、車輪部10,30と昇降部20,40とが、相対的な昇降方向への移動を可能にしつつ、一体的な台車構成部1,3を構成しているのである。
また、昇降部20,40は、柱フレーム24,25の下端に設けられた連結領域21,22に連続し、かつ、車輪部10に向かって突出する基部28,29を設けている。この基部28,29の底部には、一方に二個の前述のキャスタ23a,23b、他方に二個のキャスタ23c,24dが設けられている。これらのキャスタ23a〜23dは、いずれも旋回および転動が自在であり、合計4個のキャスタ23a〜23dにより、当該キャスタ23a〜23dを接地する際、自立した状態によって移動できるようになっている。
ところで、図4に示すように、車輪部10に設けられる昇降駆動発生部15,16は、車輪部10の基部12に設けられた隔壁部12Aの壁面に固着される設置台19に搭載されている。この昇降駆動発生部15,16を作動させることにより、作動部17,18を伸縮させることができるものである。前述のとおり、作動部17,18(厳密にはその先端)は、昇降部20の上位の横設フレーム26に連結されることから、作動部17,18の伸縮により、車輪部10の側の設置台19と、昇降部20の側の横設フレーム26との距離を伸張および短縮させるものであり、その距離の変化によって、相対的な昇降方向への移動を可能にするものである。
この昇降状態を詳述すれば、図5(a)に示すように、搬送用台車として使用しない場合、すなわち、台車構成部1が、他の台車構成部3などに連結せず、個別の状態となっている(自立している)場合には、前述のキャスタ23a〜23dのみを接地させている。この状態で、台車構成部1はキャスタ23a〜23dによって安定的に自立でき、かつ当該キャスタ23a〜23dの転動によって自在に移動させることができる。このような状態とするために、昇降部20を車輪部10に対して相対的に下降させているのであり、昇降部20を基準にすれば、車輪部10が、昇降部20に対して相対的に上昇した状態となっている。このような状態は、昇降駆動発生部15,16の作動により、作動部17,18を収縮させることによって可能となる。すなわち、操作部17,18を収縮させることにより、設置台19と横設フレーム26との距離H1を短縮させることができ、車輪部10と昇降部20の相対的な高さにおいて、車輪部10を上位に、昇降部20を下位に配置することができるのである。
他方、図5(b)および(c)に示すように、搬送用台車として使用する場合には、前述の連結手段5を介して他方の台車構成部3と連結させたうえで、車輪11を接地させるのである。このとき、昇降駆動発生部15,16の作動部17,18を延出させるのである。この作動部17,18の延出により、設置台19と横設フレーム26との距離H2は伸張し、車輪部10を基準とした場合、昇降部20は上昇することとなるのである。これを、昇降部20を基準とすれば車輪部10が下降することとなる。そして、適宜車輪部10が下降した時点で車輪11が接地することとなるのである(図5(b))。
引き続き作動部17,18を延出させる場合には、設置台19と横設フレーム26との距離H3はさらに伸張し、車輪11による接地状態は維持されつつ、昇降部20が上昇することとなるのである。そして、結果的には、キャスタ23a〜23dは接地しない状態となり、車輪11のみが接地した状態となる(図5(c))。なお、図5(c)には、一方の台車構成部1のみを示しているため、当該台車構成部1が不安定であるように思えるが、現実には、連結手段3を介して他の台車構成部3が連結されているため、二つの車輪11,31の接地によって安定するものである(図2参照)。
ところで、搬送用台車として使用する場合において、キャスタ23a〜23dを車輪11とともに接地させる状態とするか、全く接地させない状態とするかは、台車構成部1,3の安定性を考慮して決定されるものであるが、基本的には、複数の台車構成部1,3を連結した状態で安定していることから、キャスタ23a〜23dを接地させることなく使用に供されるものである。ただし、大重量の搬送物を支持する際には、キャスタ23a〜23dを同時に接地させることも可能である。
また、二つの台車構成部1,3を連結手段5によって連結する場合には、図6に示すように、一方の台車構成部1によって、まず連結手段5を連結しておき、この状態で当該台車構成部1を所定の位置(連結手段5を搬送物Xの下方)まで移動し、他方の台車構成部3は、搬送物Xの反対側から、連結領域41,42を連結手段5に対して挿入することにより、搬送物Xの下位において連結を完了させることができる。従って、本実施形態による搬送用台車は、予め搬送物Xが適宜な高さまで揚上された状態において使用するものである。また、一方の台車構成部1のみによって連結手段5を連結可能とするために、台車構成部1,3の連結領域は、二本以上の突起を有するフォーク状突起部21,22,41,42としているのである。
本実施形態は、上記のような構成であるから、個々の台車構成部1,3は、搬送台車として使用しない場合は、個別に自在に移動させることができるとともに、搬送用台車として使用する場合には、連結手段5を介して連結することにより一体化でき、一体化された状態において、車輪部10,30の各車輪11,31を接地することにより、当該車輪11,31による回転力により搬送させることができる。従って、長尺搬送物や大型搬送物の搬送に際しては、支持(積載)すべき場所を適宜選択しつつ、任意の位置において積載しつつ牽引力等を付与することができることから、形状および大きさ等の異なる搬送物に対しても使用できる汎用性を備え、かつその搬送を容易にするものである。
そこで、上記構成の搬送用台車の使用方法について以下に説明する。図7は、長尺搬送物Xを搬送する場合の使用方法を例示するものである。なお、図7(a)〜(c)は搬送の手順を示し、図7(d)は、搬送用台車を使用した搬送時における側面視の状態を示している。
まず、図7(a)に示されるように、予め、長尺搬送物Xは、その長手方向両端近傍Y,Zが平台車6,7に積載された状態としておき、当該搬送物Xを適宜高さに維持するのである。この状態は、クレーンやフォークリフト等を使用して揚上させた搬送物Xを平台車6,7の上に下降させた直後であることが一般的である。周知のとおり、平台車6,7は、搬送物Xを搬送するために使用されることから、上記のように、両端近傍Y,Zが平台車6,7に積載された状態においても搬送物Xを十分に移動することが可能である。しかしながら、一般的な平台車6,7は、平板状の積載部と、その下部のキャスタのみで構成されていることから、搬送物Xを搬送させるための牽引力等(移動のための動力)は、作業者が、搬送物Xを直接牽引する(または手押しする)ことが要求される。そのため、例えば、複数の板状の長尺物X1,X2を積層した搬送物Xのような場合には、最上層X2に牽引力(押圧力)を作用させることとなり、当該最上層X2のみが移動して、荷崩れの原因を招来させることがある。そこで、本発明においては、上記のような積載状態は不十分と評価するものであり、単に搬送物Xの一部を積載しているに過ぎないものとみなしている。
上記のような積載状態は、搬送物Xの一部が積載されたものであるから、前記搬送用台車によって、他の一部を積載して、搬送物Xの積載状態を十分なものとするのである。上述のように、搬送物Xの一部(両端近傍Y、Z)は平台車6,7に積載されていることから、両者6,7の中間領域においては、搬送物Xは適宜高さに維持されている。そこで、図7(b)に示すように、その搬送物Xの下位空間を利用して、当該搬送物Xの一部(例えば中央近傍)に台車構成部1,3を設置するのである。このときの設置方法は、既述のように(図6に示すように)、連結手段を予め一方の台車構成部1に連結しておき、搬送物Xの下方において、他方の台車構成部3をさらに連結するのである。なお、図7(b)では明確に図示されていないが、搬送物Xの短尺方向の両側に二つの台車構成部1,3が配置され、その中間に連結手段5が双方を連結する(搬送用台車として一体化した)状態となっているものである。
引き続き、図7(c)に示すように、昇降部20,40を上昇させることにより、相対的に下降する車輪部の車輪11,31を接地させ、キャスタ23,24が接地しない状態とするのである。このとき、図7(d)に示すように、連結手段5の積載領域は、搬送物Xの下部に当接し、当該搬送物Xを積載することができるのである。これが、積載領域による搬送物Xの一部を積載した状態である。なお、搬送用台車(積載領域)による搬送物Xの積載は、搬送台車単独で搬送物Xの全体を積載するものではなく、平台車6,7とともに重量を分散支持する状態で積載するものであり、そのために、昇降部20の上昇の程度は極めて限定的なものである。
このように、平台車6,7の中間領域に搬送用台車を設置することにより、長尺搬送物Xは、その一部(両端近傍Y,Z)が平台車6,7に積載され、また、一部(中央近傍)が搬送用台車(積載領域)に積載された状態となるのである。上述のように、搬送物Xの重量は、搬送用台車と平台車6,7とに分散支持された状態であるから、搬送用台車を移動させることにより、搬送物Xが移動し、これに伴って平台車6,7も従動することとなる。平台車6,7は一般的な構成のものが使用されるものであり、そのキャスタは旋回および転動が自在であるから、搬送用台車の移動方向および移動速度に追随するように、平台車6,7も移動することとなる。
なお、台車構成部(積載領域)による搬送物Xの一部の積載は、搬送物Xの中央近傍に限定されるものではなく、平台車6,7によって一部が積載された状態の搬送物Xであれば、その位置を任意に選択し得るものである。長尺搬送物Xにあっては、適宜箇所において、少なくとも二箇所を積載すれば、搬送物Xは適宜高さに維持させることができる。そこで、例えば、平台車6,7を両端近傍よりも内側に配置し、いずれか一方の先端近傍に搬送用台車を設置することも可能である。
また、二つの台車構成部1,3は、各1個の車輪11,31による片輪状態であり、この状態で車輪11,31に作用する回転モーメントの解消については、フォーク状突起と挿入領域との関係による旨を既に説明したが、さらに、図7(d)に示されているように、搬送物Xは、長尺搬送物であれば積層することにより嵩高な状態となり、また大型搬送物であれば、搬送物自体が嵩高であるため、台車構成部1,3の側面部(搬送物X側端面部)を搬送物Xに当接させるように配置する(図7(d)は当接せず間隙を有している)ことによって、上記回転モーメントを抑えてもよい。すなわち、上記回転モーメントは、台車構成部1,3に対して内向きに(搬送物Xの中央へ向かって)傾倒させる方向へ作用することから、搬送物Xの側部をストッパとして利用するのである。これは、搬送物Xの重量により、結果的に上記回転モーメントが変化するため、大重量の搬送物(すなわち十分な高さを有する)場合には、フォーク状突起による台車構成部1,3の姿勢維持と兼用させれば、上記回転モーメントによる台車構成部1,3の傾倒を防止する効果を発揮させることができるのである。
ところで、図7(d)に示されているように、搬送物Xの一部(中央近傍)を積載する搬送用台車は、両側に各一つの台車構成部1,3が配置された状態である。両台車構成部1,3は、それぞれ車輪11,31を備え、かつ個別に駆動力を付与する回転駆動発生部13,33を有している。そこで、両台車構成部1,3の回転駆動発生部13,33を同じ出力(回転数)で作動させるとき、搬送物Xは直進することとなり、両回転駆動発生部13,33の出力(回転数)に差異を設けることにより、旋回(向きの変更)が可能となる。このような回転駆動発生部の出力の調整は、当該回転駆動発生部13,33をサーボモータまたは電動アクチュエータ等の電動駆動装置によって構成することにより容易となる。これらの電動駆動装置に対する電圧値を制御することによって、結果的に出力を制御し得るからである。なお、電動駆動装置に対する出力の制御は、前述のように、車輪部10,30に制御部を搭載することとなり、この制御部によって制御されるものである。なお、制御部は、各台車構成部1,3に個別に搭載されることから、自走させる場合は、両制御部による制御状態の調整を要するが、回転力を補填するアシスト制御する場合には、外力に応じて個々の制御部により必要な出力に制御されるものとなる。
なお、長尺搬送物Xの移動状態について簡単に説明すれば、図8に示すように、搬送物Xの両側に配置される台車構成部1,3の車輪11,31が同じ回転数で駆動される場合は、図8(a)に示すように、直進(前進または後退)することができるが、いずれか一方のみを回転駆動させる場合、または、両者の回転数に差異を設ける場合には、図8(b)に示すように、回転数の少ない側の車輪を軸に旋回(方向変換)することとなる。このときの旋回(方向変換)に際しては、進行方向の前端を所定の進行方向に向けるとともに、後端側は逆向きに振れることとなる。
また、図9に示すように、平台車6,7の一方を搬送物Xの中央寄りに設置し、先端に搬送用台車を設置することより、当該搬送用台車が搬送物Xを牽引する状態となり、後端側の振れを解消してもよい。この場合、搬送物Xを後退させる場合には、押し出し状態となる。この押し出し状態においても、進行方向後部から押し出すことになるため、当該搬送用台車を大きく蛇行させることにより、前部の振れを抑えることができる。
上記実施形態における搬送用台車の使用方法によれば、第1に、個別の台車構成部が連結して一体的な搬送用台車が構成されることから、搬送物Xの一部が既に他の台車6,7によって積載されている場合において、その積載状態を維持しつつ、任意の位置で搬送物Xを積載することができる。また、第2に、搬送用台車による搬送物Xの積載は、その全部でなく一部であることから、他の台車6,7とともに重量を支持しつつ、移動方向を搬送用台車によって操作することが可能となる。そして、第3に、搬送用台車は、複数の台車構成部を備えることから、個別に車輪を駆動することにより、直進のみならず操舵(旋回)も可能となる。
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、これらの実施形態は、本発明の例示であって、本発明がこれらの実施形態に限定される趣旨ではない。従って、上記の実施形態における構成要素を変更し、または他の構成要素を追加することも可能である。
例えば、回転駆動発生部が電動アクチュエータである場合、図10(a)に示すように、各台車構成部1,3を構成する車輪部10,30の基部12に操作ハンドル8を設ける構成とすることができる。この操作ハンドル8の具体的構成としては、例えば、特開2017−094962号に開示されるものを使用することができる。操作ハンドル8を簡単に説明すれば、鉛直方向に立設した中心軸と、この中心軸に対して直交方向に移動可能な遊びを有して設けられた周辺部とで構成され、両者間の遊び部分には、圧力センサが配置されたものである。周辺部は、遊びの範囲で変位可能であるため、その周辺部の変位の圧力センサが感知し、周辺部の移動の有無および移動による圧力の大きさを検出するものである。そして、圧力センサによる検出値に基づいて、車輪11,31を連動させることにより、パワーアシスト機能を有する搬送用装置とするのである。すなわち、搬送のアシスト力は、圧力センサの検出値を操作ハンドル8に対する操作力とし、その外力の方向および大きさを演算することにより、所望の操作力に応じ、車輪に対する駆動力を付与するものである。
上記構成においては、さらに、図10(b)に示すように、牽引ロープ9を操作ハンドル8に取り付ける構成とすることも可能である。この牽引ロープ9は、操作力を操作ハンドル8に作用させるためのものであり、前方および後方への引張力を操作ハンドル8の周辺部に伝達するものである。牽引ロープ9による牽引方向を自在とするために、操作ハンドル8には円環状の規制部91を設けてもよい。また、この規制部91に対する牽引ロープ9の連結を緩やかな状態とすることにより、規制部91の範囲で連結位置を自在に変更することができる。そして、牽引ロープ9を長尺とし、牽引ロープ9の延出角度を進行方向に近似させれば、一人の作業者が両側の台車構成部に対して同時に操作力を作用させることも可能となる。
なお、回転駆動発生部として使用する電動アクチュエータは、上記のアシスト力を付与することに限らず、搬送用台車を自走させるための駆動力を付与させるものであってもよい。この場合、移動方向を操作するためのコントローラを別途用意し、無線によって操作させる構成としてもよい。さらには、回転駆動発生部を使用することなく、搬送用台車(台車構成部)を作業者が牽引または手押しする構成としてもよい。この場合、前記の操作ハンドル8を代用してもよく、牽引用ロープ9を代用してもよいが、手押し用のハンドルを設ける構成でもよい。
他方、昇降部を昇降するための昇降駆動発生部は、その昇降状態を調整するため、電動アクチュエータとし、制御部によって当該操作力を調整可能としてもよい。これに対し、昇降駆動発生部として油圧ジャッキ等を使用する場合には、油圧シリンダ等のロッド部が所定の範囲内で伸縮できるように構成することとなる。また、手動式のジャッキを使用する場合は、手動により昇降状態を調整してもよい。
さらに、上記実施形態では、連結手段として専用品による構成を示したが、図11に示すように、連結手段として一般的なパレット5を使用してもよい。本実施形態のように、台車構成部1,3に設けられる連結領域がフォーク状突起21,22,41,42であることから、一般的なパレット5を使用した場合に、フォークリフト用の挿入領域51,52を使用することができる。このようにパレット5を使用する場合には、搬送物がパレット5に積載されていれば、その積載物を移設することなく搬送することが可能となる。なお、一般的なパレット5は、挿入領域52,53がフォークリフトに合わせて、幅広に構成されていることがある。このようなパレット5を使用する場合には、余りのある空間部分を角材等で閉塞して使用してもよく、場合によっては、搬送時の加減速が緩やかとなるように移動させてもよい。
また、使用方法にかかる実施形態では、長尺搬送物についてのみ説明したが、大型搬送物についても使用できる。搬送物の底部に適当な面積を有するものであれば、当初二箇所を平台車に積載できれば、その後の使用方法は長尺搬送物の場合と同様である。さらに、図12に示すように、台車構成部は、二つに限らず、三つまたは四つでもよい。偶数個の場合は、搬送用台車を複数台構成することもできるが、一台の搬送用台車に対して複数の台車構成部を連結可能としてもよい。ただし、この場合には、連結手段5における挿入領域52a,52b,53a,53bを複数設けることが必要となる。
なお、図示は省略するが、台車構成部1,3に設けられるキャスタ23,43は、設けない構成であってもよい。このキャスタ23,43は、台車構成部1,3を個別に移動させるためのものであり、一体化させた搬送用台車によって搬送物を搬送する際には、原則的に使用されないものである。従って、個々の台車構成部1,3を移動させる際には、平台車によって代用してもよいものである。
また、図示は省略するが、台車構成部の昇降駆動により個々の台車構成部1,3における昇降量を調整し、両者の昇降部20,40を相対的に異なる高さで使用することもできる。このような使用方法の場合には、搬送路面に段差が存在する場合であっても、当該段差に応じて、昇降部20,40の高さを調整することで、段差変化での腹擦り防止にも対応できる。
更に、連結手段5は、その本体部(積載領域)51が平滑な平面である必要はなく、傾斜し(傾斜型連結手段)、または段差を有する(段差型連結手段)などの各種の特殊形状の本体部(積載領域)51を形成してもよい。このような構成の場合には、例えば、図12(b)に例示する4台の台車構成部1a,1b,3a,3bを傾斜型連結手段や段差型連結手段等によって連結し、各台車構成部の昇降量を調整する(相対的に差異を設ける)ことにより、傾斜を有する貨物、段差を有する貨物等を水平状態で移動させることができる。