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JP6788570B2 - 原子炉圧力容器の解体方法 - Google Patents

原子炉圧力容器の解体方法 Download PDF

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本発明は、原子炉圧力容器の解体方法に関する。
原子力プラントの解体方法に関し、下記特許文献1の要約書には、「原子力プラントの解体方法は、原子炉容器から燃料を取り出して燃料貯蔵プールに貯蔵するステップと、前記燃料貯蔵プールから前記燃料を搬出するステップと、前記原子炉容器からの前記燃料の取出し後、前記原子炉容器の上方に位置するとともに水が貯留された作業用プールに前記原子炉容器内の炉内構造物を取り出し、前記作業用プールに貯留された前記水の中で前記炉内構造物を解体するステップと、解体された前記炉内構造物を前記作業用プールから搬出するステップと、前記炉内構造物の前記作業用プール外への搬出後、前記作業用プールの前記水を抜くステップと、を備え、前記炉内構造物の取出し及び解体作業は、前記燃料貯蔵プールからの前記燃料の搬出完了前に開始する。」と記載されている。
特開2017−67728号公報
上記特許文献1には、原子炉圧力容器に収納されている炉内構造物の解体方法について記載されているが、原子炉圧力容器自体の解体方法については特に記載されていない。しかし、原子炉圧力容器は、燃料からの放射線によって放射化するため、その解体にあたっては、作業員の被ばくを抑制することが望ましい。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、作業員の被ばくを抑制できる原子炉圧力容器の解体方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の原子炉圧力容器の解体方法は、略円筒状の原子炉圧力容器を設置したリアクターウェルと、物品の通路であるゲートを形成した仕切壁を隔てて前記リアクターウェルに隣接するプールと、作業員が作業を行うオペレーションフロアと、を備えた原子力施設において、前記ゲートを横方向に拡張するゲート拡張工程と、前記原子炉圧力容器を輪切り切断して、輪切り切断片を得る輪切り工程と、前記輪切り切断片を、前記オペレーションフロアのフロアレベルよりも低い位置まで吊り上げる吊上げ工程と、前記輪切り切断片の高さを、前記フロアレベルよりも低い位置に維持しつつ、前記輪切り切断片を前記リアクターウェルから前記プールまで移動する移動工程と、前記プールにおいて前記輪切り切断片を細断する細断工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、作業員の被ばくを抑制できる。
本発明の一実施形態の原子炉圧力容器解体方法に適用される原子力施設の縦断面図である。 本実施形態の解体方法の手順を示すフローチャートである。 本実施形態の解体方法を適用中の原子力施設の縦断面図である。 比較例の解体方法の手順を示すフローチャートである。 比較例の解体方法を適用中の原子力施設の縦断面図である。
〈原子力施設1の構成〉
図1は、原子力施設1(例えば原子力発電所)の縦断面図であり、該原子力施設1は、本発明の一実施形態による原子炉圧力容器解体方法に適用される
図1において、原子力施設1は、リアクターウェル32と、ドライヤセパレータプール34(プール)と、使用済燃料貯蔵プール36(プール)と、原子炉圧力容器10と、クレーン14と、オペレーションフロア26と、を備えている。
本実施形態における原子炉圧力容器10は、沸騰水型原子炉であり、上下端を閉塞した略円筒状に形成されている。原子炉圧力容器10は、その内部にドライヤ11、セパレータ12、燃料13等を収納する。リアクターウェル32は、その内部に原子炉圧力容器10を収納する構造物である。ドライヤセパレータプール34は、原子炉圧力容器10の燃料交換時等に、リアクターウェル32から取り外したドライヤ11、セパレータ12等を収納するためのプールである。
オペレーションフロア26は、作業員が各種作業を行うフロアである。オペレーションフロア26の地上からの高さをフロアレベルHFと呼ぶ。クレーン14は、オペレーションフロア26の上方に設けられ、リアクターウェル32、ドライヤセパレータプール34および使用済燃料貯蔵プール36の間で、種々の物品を運搬する。例えば、クレーン14は、リアクターウェル32から取り外したドライヤ11、セパレータ12等の各種機器をドライヤセパレータプール34に運搬する。また、クレーン14は、原子炉圧力容器10から取り出した使用済燃料を使用済燃料貯蔵プール36に運搬する。
リアクターウェル32と、ドライヤセパレータプール34との間は、フロアレベルHFの高さまで仕切壁39で仕切られ、この仕切壁には、上方向に開口するように略U字状に切り欠いた第1ゲート40(ゲート)が形成されている。この第1ゲート40(ゲート)は、少なくとも原子炉圧力容器10の運転中は、第1封鎖部材42によって封鎖される。また、リアクターウェル32と、使用済燃料貯蔵プール36とは、フロアレベルHFの高さまで他の仕切壁43で仕切られ、この仕切壁には、上方向に開口するように略U字状に切り欠いた第2ゲート44が形成されている。この第2ゲート44も、少なくとも原子炉圧力容器10の運転中は、第2封鎖部材46によって封鎖される。
第1ゲート40は、第1封鎖部材42を開けた際に、リアクターウェル32から取り外したドライヤ11、セパレータ12等が通過できるように、その寸法が設定されている。ドライヤ11、セパレータ12等は、一般的には放射能によって汚染され、または放射化しているが、これらの機器は、第1ゲート40を介して、オペレーションフロア26よりも低い高さで運搬される。これにより、オペレーションフロア26で作業する作業員の被ばくを抑制することができる。第2ゲート44は、第2封鎖部材46を開けた際に、使用済燃料が通過できるように、その寸法が設定されている。従って、使用済燃料も、オペレーションフロア26よりも低い高さで運搬される。
〈本実施形態による原子炉圧力容器10の解体方法〉
原子炉圧力容器10が寿命を迎えたとき、原子炉圧力容器10は解体される。図2は、本実施形態の解体方法の手順を示すフローチャートである。図3は、本実施形態の解体方法を適用中の原子力施設1の縦断面図である。
図2に示す解体方法が実行される前に、図1に示すドライヤ11、セパレータ12等は、解体される。これらの機器は、ゲート拡張工事(詳細は後述する)を行わなくても、ドライヤセパレータプール34等に搬送できるためである。また、図2に示す解体方法が実行される前に、ドライヤセパレータプール34および使用済燃料貯蔵プール36からは水が抜かれている。
図2のステップS1(ゲート拡張工事)においては、第1封鎖部材42(図1参照)が取り除かれ、第1ゲート40の拡張工事が行われる。すなわち、リアクターウェル32とドライヤセパレータプール34との間の仕切壁39のうち、第1ゲート40の横方向に存在していた部分が撤去される。これにより、第1ゲート40の幅は、少なくとも原子炉圧力容器10の外径よりも大きくされる。
次のステップS2においては、クレーン14等の機材が点検され、各エリアのエリア整備が行われる。
次のステップS4においては、原子力施設1に切断装置22およびテーブル20(図3参照)が搬入される。切断装置22は、原子炉圧力容器10を輪切り切断する装置であり、テーブル20は、輪切り切断した輪切り切断片24をさらに細断する作業台である。
次のステップS6においては、原子炉格納容器(図示せず)の上部部材(図示せず)が撤去される。
次のステップS8では、先に原子力施設1に搬入された切断装置22等が、図3に示すように、原子炉圧力容器10に設置される。また、テーブル20も、図3に示すように、ドライヤセパレータプール34に設置される。
次のステップS10では、原子炉圧力容器10の上部に設けられている各種上部部材(図示せず)が撤去される。
次のステップS12では、原子炉圧力容器10に接続されている各種ノズル・配管部(図示せず)が切断される。
次のステップS14では、原子炉圧力容器10が輪切り切断される。これにより、略円環状の輪切り切断片24(図3参照)が切り出される。
次のステップS16では、クレーン14によって輪切り切断片24を吊持し、該輪切り切断片24をオペレーションフロア26のフロアレベルHFよりも低い位置まで吊り上げる。図3に示す輪切り切断片24の高さは、このステップS16が実行された状態の高さの一例である。
次のステップS18では、クレーン14によって、輪切り切断片24を、リアクターウェル32の位置からドライヤセパレータプール34の位置まで移動する。より詳細には、輪切り切断片24を、テーブル20の上方に位置させる。輪切り切断片24の移動における移動ルートRT1は、オペレーションフロア26のフロアレベルHFよりも輪切り切断片24の上端部が低い位置を維持するように設定される。
次のステップS20では、クレーン14によって、輪切り切断片24をテーブル20まで降下させ、テーブル20の上面に設置する。
次のステップS22では、テーブル20において、図示せぬ溶接装置等によって輪切り切断片24を細断する。細断によって得られた細断片は、保管容器に収納され、原子力施設1の外部に搬出される。
次のステップS24では、原子炉圧力容器10が未だリアクターウェル32に残存しているか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると、作業はステップS14に戻り、原子炉圧力容器10が再び輪切り切断される。
以後、原子炉圧力容器10が輪切り切断されつつリアクターウェル32から撤去されるまで、ステップS14〜S22の作業が繰り返される。そして、原子炉圧力容器10がリアクターウェル32から撤去されると、図2における作業が終了する。
〈比較例〉
次に、本実施形態の効果を明らかにするため、比較例について説明する。本比較例において、対象となる原子力施設1は、図1に示したものと同様である。図4は、比較例の解体方法の手順を示すフローチャートであり、図5は、比較例の解体方法を適用中の原子力施設1の縦断面図である。
図4に示すように、本比較例においては、上述した実施形態におけるステップS1(図2、ゲート拡張工事)は実行されず、ステップS2の作業(レーン14等の機材の点検、各エリアのエリア整備)が実行される。
以下、ステップS4〜S14の作業内容は、上記実施形態のものと同様であり、ステップS14において原子炉圧力容器10が輪切り切断され、これにより、略円環状の輪切り切断片24(図5参照)が切り出される。
次のステップS36では、クレーン14によって輪切り切断片24を吊持し、該輪切り切断片24をオペレーションフロア26のフロアレベルHFよりも高い位置まで吊り上げる。図5に示す輪切り切断片24の高さは、このステップS36が実行された状態の高さの一例である。
次のステップS38では、クレーン14によって、輪切り切断片24を、リアクターウェル32の位置からドライヤセパレータプール34の位置まで移動する。より詳細には、輪切り切断片24を、テーブル20の上方に位置させる。本比較例においては、輪切り切断片24の移動における移動ルートRT2は、少なくとも第1ゲート40の箇所において、オペレーションフロア26のフロアレベルHFよりも高くなる。
輪切り切断片24をフロアレベルHFよりも高くする理由は、本比較例では、第1ゲート40の拡張工事を行っていないためである。すなわち、本比較例においては、第1ゲート40の幅は輪切り切断片24の幅よりも狭いままになっており、輪切り切断片24が第1ゲート40を通過できなくなっている。
以下、ステップS20〜S24の内容は、上記実施形態のものと同様である。すなわち、原子炉圧力容器10がリアクターウェル32から撤去されるまで、ステップS14,S36,S38,S20,S22の作業が繰り返され、原子炉圧力容器10がリアクターウェル32から撤去されると、図4における作業が終了する。
このように、本比較例においては、輪切り切断片24が第1ゲート40を通過できないため、輪切り切断片24をフロアレベルHFよりも高い位置まで吊り上げて移動させている。輪切り切断片24は、一般的には放射化しているため、本比較例は、オペレーションフロア26で作業する作業員の被ばく線量を増加させるという問題が生じる。
〈実施形態の効果〉
以上のように本実施形態によれば、ゲート(40)を横方向に拡張するゲート拡張工程(S1)と、原子炉圧力容器(10)を輪切り切断して、輪切り切断片(24)を得る輪切り工程(S14)と、輪切り切断片(24)を、オペレーションフロア(26)のフロアレベル(HF)よりも低い位置まで吊り上げる吊上げ工程(S16)と、輪切り切断片(24)の高さを、フロアレベル(HF)よりも低い位置に維持しつつ、輪切り切断片(24)をリアクターウェル(32)からプール(34)まで移動する移動工程(S18)と、プール(34)において輪切り切断片(24)を細断する細断工程(S22)と、を備えることを特徴とする。
これにより、輪切り切断片(24)の高さを、フロアレベル(HF)よりも低い位置に維持できるため、作業員の被ばくを抑制できる。
〈変形例〉
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記実施形態においては、原子炉圧力容器10として沸騰水型原子炉を適用したが、原子炉圧力容器10には、他の形式の原子炉、例えば加圧水型原子炉を適用してもよい。
(2)上述したステップS1においては、第1ゲート40を横方向に拡張したが、さらに、仕切壁39のうち第1ゲート40の下方の部分を撤去することにより、第1ゲート40を高さ方向に拡張してもよい。このように、第1ゲート40を高さ方向に拡張することにより、輪切り切断片24の高さを高くすることができる。これにより、原子炉圧力容器10の切断回数を削減でき、解体作業を迅速化できる。
(3)上記実施形態においては、輪切り切断片24をリアクターウェル32からドライヤセパレータプール34に移動したが、これに代えて、輪切り切断片24をリアクターウェル32から使用済燃料貯蔵プール36に移動させてもよい。その場合、ステップS1(図2、ゲート拡張工事)においては、第2ゲート44が拡張されることになる。ドライヤセパレータプール34および使用済燃料貯蔵プール36は、共にリアクターウェル32に近接配置されていることが多いため、他の空間を利用するよりも、原子炉圧力容器10の解体作業を迅速化できる。
1 原子力施設
10 原子炉圧力容器
14 クレーン
20 テーブル
22 切断装置
24 輪切り切断片
26 オペレーションフロア
32 リアクターウェル
34 ドライヤセパレータプール(プール)
36 使用済燃料貯蔵プール(プール)
40 第1ゲート(ゲート)
44 第2ゲート(ゲート)

Claims (3)

  1. 略円筒状の原子炉圧力容器を設置したリアクターウェルと、物品の通路であるゲートを形成した仕切壁を隔てて前記リアクターウェルに隣接するプールと、作業員が作業を行うオペレーションフロアと、を備えた原子力施設において、前記ゲートを横方向に拡張するゲート拡張工程と、
    前記原子炉圧力容器を輪切り切断して、輪切り切断片を得る輪切り工程と、
    前記輪切り切断片を、前記オペレーションフロアのフロアレベルよりも低い位置まで吊り上げる吊上げ工程と、
    前記輪切り切断片の高さを、前記フロアレベルよりも低い位置に維持しつつ、前記輪切り切断片を前記リアクターウェルから前記プールまで移動する移動工程と、
    前記プールにおいて前記輪切り切断片を細断する細断工程と、
    を備えることを特徴とする原子炉圧力容器の解体方法。
  2. 前記ゲート拡張工程は、前記ゲートを、横方向に加えて高さ方向にも拡張する過程である
    ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
  3. 前記プールは、ドライヤセパレータプールまたは使用済燃料貯蔵プールである
    ことを特徴とする請求項1に記載の原子炉圧力容器の解体方法。
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