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JP6749406B2 - オベチコール酸およびその誘導体の調製方法 - Google Patents

オベチコール酸およびその誘導体の調製方法 Download PDF

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Description

ファルネソイドX受容体(FXR)は、胆汁酸ホメオスタシスを制御する胆汁酸センサーとして機能する核内受容体である。FXRは、様々な器官で発現し、多くの疾患および病態、例えば、肝疾患、肺疾患、腎疾患、腸疾患および心疾患など、ならびにグルコース代謝、インスリン代謝および脂質代謝を含む生物学的プロセスの調整に関与することが示されている。
多くの胆汁酸誘導体はFXRアゴニストであり、FXR介在性の疾患および病態を調整することができる。オベチコール酸(すなわち、OCA、6−エチルケノデオキシコール酸または6−ECDCA)は、強力なFXRアゴニスト活性を有する。OCAの種々の合成方法は、例えば、国際公開第2002/072598号パンフレット、国際公開第2006/122977号パンフレットにおいて、最近では国際公開第2013/192097号パンフレットにおいて記載されている。しかし、高い収率、低いコスト、および良好な安全性プロファイルでOCAおよびその誘導体を調製することができる改良型プロセスのニーズが依然としてある。本願はそのようなニーズに対処するものである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
オベチコール酸(OCA):


またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:


(式中、PGは、保護基である)と、
化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:


とを含む方法。
(項目2)
化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:


(式中、PGは、保護基である)を含む方法。
(項目3)
前記アルキル化剤が、ハロゲン化アルキル、トシル酸アルキル、メシル酸アルキル、スルホン酸エステル、アルキルオキソニウム塩、硫酸ジアルキル、炭酸ジアルキルおよびテトラアルキルアンモニウム塩から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記アルキル化剤がハロゲン化アルキルである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記ハロゲン化アルキルが臭化エチルまたはヨウ化エチルである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記アルキル化が非プロトン性溶媒中で行われる、項目1または2に記載の方法。
(項目7)
前記非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記アルキル化が脱プロトン化剤の存在下で行われる、項目1または2に記載の方法。
(項目9)
前記脱プロトン化剤が、C 〜C アルコキシド、金属水酸化物および金属水素化物から選択される、項目8に記載の方法。
(項目10)
化合物1がアルキル化される前に化合物1を脱プロトン化するステップをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
(項目11)
前記脱プロトン化剤が、C 〜C アルコキシド、金属水酸化物および金属水素化物から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記C−6位の前記炭素原子のアルキル化後に化合物1を脱保護するステップをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
(項目13)
C−3位のヒドロキシル基を脱保護するステップを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
C−24位のカルボン酸基を脱保護するステップをさらに含み、前記C−3位の前記ヒドロキシル基の前記保護基がテトラヒドロピラニルまたはベンジルではない、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記C−3位の前記ヒドロキシル基および前記C−24位の前記カルボン酸基を脱保護するステップを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:


(式中、PGは、保護基である)と、
化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:


とを含む方法。
(項目17)
前記保護基が、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、ピバロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、エトキシエチルエーテル(EE)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシトリチル(MMT)およびシリルエーテルから選択される、項目1、2または16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記保護基がTMSまたはTBDMSである、項目17に記載の方法。
(項目19)
C−24位のカルボン酸基を保護するステップをさらに含み、前記C−3位の前記ヒドロキシル基の前記保護基がテトラヒドロピラニルまたはベンジルではない、項目16に記載の方法。
(項目20)
オベチコール酸(OCA):


またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:


(式中、PGは、保護基である)と、
化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:


と、
化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:


とを含む方法。
(項目21)
前記還元が、化合物2を金属水素化物で処理するステップを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記還元が−20℃より高い温度で行われる、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記還元が約−10℃〜約50℃の温度で行われる、項目22に記載の方法。
(項目24)
6α−エチル−3α,7α−23−トリヒドロキシ−24−ノル−5β−コラン−23−スルフェート(化合物9):


またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製するステップをさらに含み、前記ステップが、
OCAをエステル化して化合物4を形成するステップ:


と、
化合物4を変換して化合物5を形成するステップ:


と、
化合物5を変換して化合物6を形成するステップ:
と、
化合物6を変換して化合物7を形成するステップ:


と、
化合物7を変換して化合物8を形成するステップ:


と、
化合物8を変換して化合物9を形成するステップ:


とを含む、項目1に記載の方法。

本願は、オベチコール酸(OCA)およびその誘導体を調製する方法に関する。一態様において、本願は、C−6位の直接アルキル化により、オベチコール酸(OCA):

またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法に関する。
具体的には、本願は、OCAまたはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:

とを含む方法に関する。
本願はまた、化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)を含む方法にも関する。
本願はまた、化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

とを含む方法にも関する。
本願はまた、OCAまたはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

と、
化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:

とを含む方法にも関する。
本願はまた、6α−エチル−3α,7α−23−トリヒドロキシ−24−ノル−5β−コラン−23−スルフェート(化合物9):

またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
OCAをエステル化して化合物4を形成するステップ:

と、
化合物4を変換して化合物5を形成するステップ:

と、
化合物5を変換して化合物6を形成するステップ:

と、
化合物6を変換して化合物7を形成するステップ:

と、
化合物7を変換して化合物8を形成するステップ:

と、
化合物8を変換して化合物9を形成するステップ:

とを含む方法にも関する。
調製方法
本願は、OCAまたはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:

とを含む方法を提供する。
本願はまた、化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

を含む方法にも関する。
一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル(例えば、ハロゲン化エチル)、トシル酸アルキル(例えば、トシル酸エチル)、メシル酸アルキル(例えば、メシル酸エチル)、スルホン酸エステル(例えば、スルホン酸エチルエステル)、アルキルオキソニウム塩(例えば、EtO・BF)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジエチル)、炭酸ジアルキル(例えば、炭酸ジエチル)およびテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラエチルアンモニウム塩)から選択される。一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化アルキルである。一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化エチル(Et−X)(式中、Etは、エチルであり、Xは、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)である)である。一実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化エチルまたはヨウ化エチルである。一実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化エチルである。一実施形態では、アルキル化は、非プロトン性溶媒中で行われる。一実施形態では、非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から選択される。一実施形態では、非プロトン性溶媒は、THF、MTBE、トルエンおよびDMFから選択される。
一実施形態では、アルキル化は、脱プロトン化剤の存在下で行われる。一実施形態では、脱プロトン化剤は、C〜Cアルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソ−プロポキシド、ブトキシド、イソ−ブトキシド、tert−ブトキシド、ペントキシド、イソ−ペントキシド、tert−ペントキシドおよびヘキシルオキシド)、金属水酸化物および金属水素化物から選択される。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属C〜Cアルコキシド、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシドおよびカリウムtert−ペントキシドなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどである。当業者は、いずれの金属水素化物が還元剤ではなく脱プロトン化剤として機能するかを識別するであろう。
一実施形態では、脱プロトン化剤は、LDAである。一実施形態では、化合物1の溶液を、−30℃より低い温度の、LDAを含む溶液に入れる。一実施形態では、化合物1およびLDAを含む溶液を、アルキル化剤を含む溶液に入れる。一実施形態では、溶液中のアルキル化剤は、ハロゲン化アルキル(例えば、ハロゲン化エチル)、トシル酸アルキル(例えば、トシル酸エチル)、メシル酸アルキル(例えば、メシル酸エチル)、スルホン酸エステル(例えば、スルホン酸エチルエステル)、アルキルオキソニウム塩(例えば、EtO・BF)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジエチル)、炭酸ジアルキル(例えば、炭酸ジエチル)およびテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラエチルアンモニウム塩)から選択される。
一実施形態では、本方法は、化合物1がアルキル化される前に化合物1を脱プロトン化するステップをさらに含む。一実施形態では、化合物1のC−6位が脱プロトン化される。一実施形態では、化合物1が塩基で脱プロトン化される。一実施形態では、脱プロトン化剤は、C〜Cアルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソ−プロポキシド、ブトキシド、イソ−ブトキシド、tert−ブトキシド、ペントキシド、イソ−ペントキシド、tert−ペントキシドおよびヘキシルオキシド)、金属水酸化物および金属水素化物から選択される。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属C〜Cアルコキシド、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシドおよびカリウムtert−ペントキシドなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどである。
一実施形態では、本方法は、C−6位の炭素原子のアルキル化後に化合物1を脱保護するステップをさらに含む。一実施形態では、本方法は、C−3位のヒドロキシル基を脱保護するステップをさらに含む。一実施形態では、本方法は、C−24位のカルボン酸基を脱保護するステップをさらに含み、この場合、C−3位のヒドロキシルの保護基はテトラヒドロピラニルではない。一実施形態では、本方法は、C−24位のカルボン酸基を脱保護するステップをさらに含み、この場合、C−3位のヒドロキシルの保護基はベンジルではない。一実施形態では、脱保護は、酸性条件または塩基性条件下で行われる。一実施形態では、脱保護は、HClなどの酸を使用する酸性条件下で行われる。一実施形態では、脱保護は、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)および炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)などの塩基を使用する塩基性条件下で行われる。
一実施形態では、本願の方法は、KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)
をさらに含む。
一実施形態では、本願の方法は、C−3位のヒドロキシル基の保護に加えて、C−24位のカルボン酸基を保護するステップをさらに含む。
保護基は、アルキル化条件下で安定/非反応性である(例えば、アルキル化剤に非反応性の)任意の保護基とすることができる。一実施形態では、保護基は、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、ピバロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、エトキシエチルエーテル(EE)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシトリチル(MMT)およびシリルエーテルから選択される。一実施形態では、シリルエーテルは、トリメチルシリルエーテル(TMS)、トリエチルシリルエーテル(TES)、トリイソプロピルシリルエーテル(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS)およびtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)から選択される。一実施形態では、保護基は、TMSおよびTBDMSから選択される。一実施形態では、保護基は、アルキルオキシカルボニルである。一実施形態では、アルキルオキシカルボニル保護基は、C〜Cアルキルオキシカルボニルである。一実施形態では、保護基は、任意選択により置換されたベンジルオキシカルボニルである。
別の実施形態では、本願の方法は、C−6位の炭素原子のアルキル化後にC−24位のエステル基を除去するステップをさらに含む。一実施形態では、C−24位のエステル基を除去するステップは、エステル基を塩基中で処理するステップを含む。一実施形態では、塩基は、金属水酸化物である。一実施形態では、金属水酸化物は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
一実施形態では、本願の方法は、化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:

をさらに含む。
一実施形態では、還元は、化合物2を金属水素化物で処理するステップを含む。一実施形態では、金属水素化物は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。当業者は、いずれの金属水素化物が脱プロトン化剤ではなく還元剤として機能するかを識別するであろう。
一実施形態では、本願の方法は、−20℃より高い温度で行われる。一実施形態では、本願の方法は、約−10℃〜約50℃の温度で行われる。
一実施形態では、本願は、化合物2またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
a)KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
b)化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

とを含む方法を提供する。
一実施形態では、ステップa)およびステップb)は、それぞれ上に詳細に記載されているとおりである。
一実施形態では、本願は、OCAまたはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
a)KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:

(式中、PGは、保護基である)と、
b)化合物1のC−6位の炭素原子をアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:

と、
c)化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:

とを含む方法を提供する。
一実施形態では、ステップa)、ステップb)およびステップc)は、それぞれ上に詳細に記載されているとおりである。
一実施形態では、本願の方法は、以下のスキーム1:

に示されている。
スキーム1において、化合物2は、出発材料KLCAを用いて3ステップの合成プロセスを通して調製される。KLCAのC−3位ヒドロキシおよび任意選択によりC−24位カルボン酸を保護基で保護して化合物1を形成する。化合物1を塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)より反応性の低い塩基、例えばtert−ブチル酸塩またはアミル酸塩など)に接触させて、C−6位の炭素原子を選択的に脱プロトン化する。ハロゲン化エチルまたは均等なアルキル化剤で化合物1をアルキル化してから、脱保護ステップを行って化合物2を製造する。
一実施形態では、本願の方法は、以下のスキーム2:

に示されている。
スキーム2において、化合物2は、化合物1から、アルキル化と、それに続く6−βエチル中間体(化合物3)の塩基仲介による異性化によって調製される。化合物1を塩基に接触させて、C−6位の炭素原子を選択的に脱プロトン化する。ハロゲン化エチルまたは均等なアルキル化剤で化合物1をアルキル化してから、脱保護ステップを行って化合物3を製造する。化合物3を金属水酸化物などの塩基で処理して化合物2を製造する。一実施形態では、金属水酸化物は、水酸化ナトリウムである。別の実施形態では、上記のアルキル化/異性化反応は、2段階で行われる(化合物1から出発)。最初にアルキル化を行い、次いで2番目に、反応混合物を約100℃に加熱し(C−6位をβ配置からα配置へ異性化するため)、次いで20℃〜約40℃に冷却する。異性化が完了するまで反応混合物を加熱する。
本願のプロセスは、以前に開示された、例えば、国際公開第2002/072598号パンフレットおよび国際公開第2006/122977号パンフレット、最近では国際公開第2013/192097号パンフレットにあるようなプロセスの改良である。例えば、国際公開第2013/192097号パンフレットは、以下のスキームA:

に示されるステップを含む、OCAを作製するプロセスを記載している。
スキームAにおいて、化合物A−5は、出発材料7−ケトリトコール酸(KLCA)を用いて5ステップの合成プロセスを通して調製される。ステップ1では、KLCAのメタノール溶液を、触媒試薬として硫酸を用いて加熱することにより、KLCAをエステル化してメチルエステル、化合物A−1を形成する。化合物A−1を単離して収率92%を得る。ステップ2では、トリメチルシリルクロリド(TMS−Cl)の存在下において化合物A−1をリチウムジ−イソプロピルアミド(LDA)で処理して、C−3位にTMS−エーテルおよびC−7位にシリルエノールエーテルの両方を有する化合物A−2を生成させる。ステップ3では、化合物A−2を濃縮し(例えば、共沸蒸留して水を除去し、次いで濃縮して油にする)、ジクロロメタン(DCM)に溶解し、アセトアルデヒドと混合し、次いで、予冷した(−60〜−65℃)BF−ACN錯体のDCM溶液に添加する。混合物を20℃に加温して化合物A−3を形成する。ステップ4では、化合物A−3を含有する溶液を濃縮し、メタノールに溶解し、加水分解(例えば、NaOH水溶液中で)する。溶液を酸性化し、抽出し、酢酸エチルから結晶化させて化合物A−4を生成させる(収率53%、3ステップ)。任意選択により、化合物A−4をエタノールから再結晶化させて純度を高める。しかし、再結晶すると大幅な収率低下が生じる。ステップ5では、化合物A−4に水素付加して化合物A−5を形成し、これを酢酸n−ブチルから結晶化させた後に単離して収率62%を得る。
スキームAに記載されたプロセスは、OCAを調製するための以前の方法よりも種々の利点をもたらしたが、以下の理由により、OCAを大規模に作製するには理想的でない場合がある。
(1)化合物A−2を調製するステップ2では、過剰なLDAが使用される。LDAはきわめて高価であるだけでなく、C−23位を脱プロトン化し得る強塩基でもあり、このため、意図しない不純物が形成される。
(2)ステップ2はまた、標準的な工場の冷却条件の下限値で行われる必要もあり、したがって特殊な極低温が必要な場合がある。
(3)さらに、化合物A−2から水を除去するために共沸蒸留が使用されるが、これには過剰量のTHF、工程所要時間および製造費の増加が必要であるだけなく、大規模製造環境に理想的でない。
(4)ステップ3で使用されるDCMは、規制/環境問題のため、大規模製造に理想的な溶媒ではない。
(5)さらに、ステップ3で、発熱性であるにもかかわらず化合物A−2を添加することは、化合物A−2が分解して化合物A−1になるのを防止するために、可能な限り迅速に終了しなければならない。
(6)加えて、BF−アセトニトリル錯体は、−10℃で結晶化することが知られている。アセトアルデヒドを化合物A−2に確実に迅速に添加するために、適正な量のBFが溶液状で利用可能でなければならない。しかし、BF−アセトニトリルは経時で結晶化する傾向があり、難溶性である。したがって、BF−アセトニトリル結晶の粉砕または破砕が必要であり、工程所要時間および製造費が増加する。
本願の方法は、以前に記載されたプロセスと比較して複数の改良点を提供する。一実施形態では、本願の方法はステップ数が少ないため、収率が増加する。一実施形態では、本願の方法は、OCAまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の収率で製造する。一実施形態では、本願の方法は、OCAを、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の収率で製造する。
一実施形態では、本願の方法は、実質的に純粋なオベチコール酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を製造する。本明細書で使用する「純度」という用語は、当技術分野で広く使用される分析方法(例えば、HPLC)に基づくオベチコール酸の量を指す。純度とは、化合物の「有機」純度に基づくものであり、水、溶媒、金属、無機塩などのいずれの量の測定値も含まない。一実施形態では、HPLCのピーク下面積を比較することにより、オベチコール酸の純度を標準試料の純度と比較する。一実施形態では、既知の純度基準はオベチコール酸標準試料である。一実施形態では、オベチコール酸の純度は約96%より高い。一実施形態では、オベチコール酸の純度は約98%より高い。例えば、オベチコール酸の純度は、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。例えば、オベチコール酸の純度は、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。例えば、オベチコール酸の純度は、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。例えば、オベチコール酸の純度は、98.5%、99.0%または99.5%である。一実施形態では、純度はHPLCで測定される。
別の実施形態では、本願の方法により調製されるオベチコール酸の純度は、水、硫酸灰分、残留溶媒の量、ならびに他の不純物含量、例えば、6−エチルウルソデオキシコール酸、3α−ヒドロキシ−6α−エチル−7−ケト−5β−コラン−24−酸、6β−エチルケノデオキシコール酸、3α,7α−ジヒドロキシ−6−エチリデン−5β−コラン−24−酸、ケノデオキシコール酸および3α(3α,7α−ジヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オイルオキシ)−7α−ヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−酸などの量を100%から減算した純度を有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約10%未満の水、約9%未満の水、8%未満の水、7%未満の水、6%未満の水、5%未満の水、4%未満の水、3%未満の水、2%未満の水または1%未満の水を含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、0.15%以下の6−エチルウルソデオキシコール酸および3α,7α−ジヒドロキシ−6−エチリデン−5β−コラン−24−酸を含有する。一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約0.07%未満、約0.06%未満または約0.05%未満の6−エチルウルソデオキシコール酸および3α,7α−ジヒドロキシ−6−エチリデン−5β−コラン−24−酸を含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、0.15%以下(NMT)の3α−ヒドロキシ−6α−エチル−7−ケト−5β−コラン−24−酸を含有する。一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約0.07%未満、約0.06%未満または約0.05%未満の3α−ヒドロキシ−6α−エチル−7−ケト−5β−コラン−24−酸を含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、0.15%以下(NMT)の6β−エチルケノデオキシコール酸を含有する。一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約0.07%未満、約0.06%未満または約0.05%未満の6β−エチルケノデオキシコール酸を含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、3%以下(NMT)のケノデオキシコール酸(CDCA)を含有する。一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約1%未満、約0.3%未満または約0.2%未満のCDCAを含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、4%以下(NMT)のCDCAおよび6−エチルウルソデオキシコール酸を含有する。
一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、1.5%以下(NMT)の3α(3α,7α−ジヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オイルオキシ)−7α−ヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−酸を含有する。一実施形態では、本願の方法に従って調製されるオベチコール酸は、約1%未満、約0.07%未満、約0.06%未満または約0.05%未満の3α(3α,7α−ジヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−オイルオキシ)−7α−ヒドロキシ−6α−エチル−5β−コラン−24−酸を含有する。
本願は、安全な高純度のオベチコール酸の合成方法であって、オベチコール酸を大規模に製造する方法を提供する。一実施形態では、オベチコール酸は工業規模プロセスで製造される。一実施形態では、本願の方法は、高収率(>80%)で不純物が限定的であるオベチコール酸を製造する。
本願はまた、6α−エチル−3α,7α−23−トリヒドロキシ−24−ノル−5β−コラン−23−スルフェート(化合物9):

またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
a)OCAをエステル化して化合物4を形成するステップ:

と、
b)化合物4を変換して化合物5を形成するステップ:

と、
c)化合物5を変換して化合物6を形成するステップ:

と、
d)化合物6を変換して化合物7を形成するステップ:

と、
e)化合物7を変換して化合物8を形成するステップ:

と、
f)化合物8を変換して化合物9を形成するステップ:

とを含む方法にも関する。
一実施形態では、本方法は、化合物9のナトリウム塩:

を調製するステップをさらに含む。
ステップa)は、OCAをエステル化して化合物4を形成することを伴う。一実施形態では、反応は、メタノール中で行われる。別の実施形態では、反応は、酸で触媒される。一実施形態では、酸は、p−トルエンスルホン酸である。一実施形態では、酸は、硫酸またはメタンスルホン酸である。一実施形態では、エステル化は、約55℃〜約85℃の温度、例えば、55℃、65℃、75℃および85℃で、ならびにその間の任意の温度上昇において行われる。
ステップb)は、グリニャール反応を行い、ジフェニルカルビノール中間体を形成することによって化合物5を得ることを伴う。一実施形態では、最初に化合物4をフェニルマグネシウムブロミドに接触させてジフェニルカルビノール中間体を得る。別の実施形態では、フェニルマグネシウムブロミド対化合物4のモル比は、約6:1である。別の実施形態では、フェニルマグネシウムブロミド対化合物4のモル比は、約5:1である。一実施形態では、反応は、非プロトン溶媒中で行われる。一実施形態では、非プロトンは、テトラヒドロフランである。一実施形態では、ジフェニルカルビノール中間体の形成後に酸が反応に添加される。一実施形態では、酸は、p−トルエンスルホン酸である。一実施形態では、反応は、約50℃〜約90℃の温度、例えば、50℃、60℃、70℃、75℃、80℃および90℃ならびにその間の任意の温度上昇において行われる。
ステップc)は、化合物5のC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物6を得ることを伴う。一実施形態では、化合物5が無水酢酸に接触される。一実施形態では、無水酢酸対化合物5のモル比は、約2:1である。別の実施形態では、モル比は、約1.66である。一実施形態では、反応は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)で触媒される。別の実施形態では、ピリジンが反応に添加される。別の実施形態では、反応は、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン中で行われる。一実施形態では、反応は、30℃未満の温度で行われる。
ステップd)は、化合物6の二重結合を酸化的開裂し、C−7位のヒドロキシル基を酸化して化合物7を得ることを伴う。一実施形態では、化合物6がRuCl、NaIOおよび酸に接触れせる。一実施形態では、化合物6対RuClのモル比は、約18:1〜約22:1である。一実施形態では、化合物6対RuClのモル比は、約19:1〜約21:1である。別の実施形態では、化合物6対RuClのモル比は、約20:1である。一実施形態では、酸は、HSO、HCl、HClOおよびHIOから選択される。一実施形態では、酸は、2N HSOである。別の実施形態では、酸は、2N HClである。一実施形態では、化合物6対酸のモル比は、約2:1〜約6:1である。一実施形態では、化合物6対酸のモル比は、約3:1〜約5:1である。別の実施形態では、化合物6対酸のモル比は、約4:1である。一実施形態では、反応は、約−10℃〜約10℃の温度で行われる。別の実施形態では、温度は、約−5℃〜約5℃である。別の実施形態では、温度は、約0℃である。一実施形態では、反応は、溶媒混合物中で行われる。一実施形態では、溶媒混合物は、1種の極性プロトン性溶媒および2種の極性非プロトン性溶媒を含む。一実施形態では、極性プロトン性溶媒は、HOである。一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、アセトニトリルおよび酢酸エチルである。一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、アセトニトリルおよびクロロホルムである。一実施形態では、溶媒混合物は、HO/酢酸エチル/アセトニトリルである。一実施形態では、HO対酢酸エチル対アセトニトリルの比は、体積比で約1:1:1〜約1:3:2である。別の実施形態では、比は、体積比で約1:1.5:1〜約1:2.5:1.5である。別の実施形態では、比は、体積比で約1:2:1.5である。
ステップe)は、化合物7のC−23位カルボン酸およびC−7位カルボニル基を還元して化合物8を得ることを伴う。一実施形態では、化合物7がクロロギ酸エステル、塩基および還元剤に接触される。一実施形態では、クロロギ酸エステルは、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピルまたはクロロギ酸t−ブチルである。一実施形態では、クロロギ酸エステルは、クロロギ酸イソブチルである。一実施形態では、塩基は、トリエチルアミンである。一実施形態では、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムである。一実施形態では、反応は、極性非プロトン性溶媒中で行われる。一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランである。一実施形態では、反応は、約−10℃〜約10℃の温度で行われる。実施形態では、温度は、約−5℃〜約5℃である。別の実施形態では、温度は、約0℃である。
ステップf)は、化合物8のC−23位のヒドロキシル基を硫酸化し、C−3位のヒドロキシル基を脱保護して化合物9を得ることを伴う。一実施形態では、硫酸化は、三酸化硫黄、クロロスルホン酸またはスルファミン酸で行われる。一実施形態では、硫酸化は、三酸化硫黄錯体で行われる。一実施形態では、三酸化硫黄錯体は、三酸化硫黄ピリジン、三酸化硫黄ジオキサンおよび三酸化硫黄トリメチルアミンから選択される。一実施形態では、三酸化硫黄錯体は、三酸化硫黄ピリジンである。
一実施形態では、反応混合物が塩基および極性プロトン性溶媒で処理されて化合物9のナトリウム塩を形成する。一実施形態では、極性プロトン性溶媒は、CHOHである。一実施形態では、塩基は、NaOHである。一実施形態では、塩基は、NaOHの10%(w/w)CHOH溶液である。
本願は、スキーム3に記載の式IIIの化合物を調製する方法にさらに関する。

式中:
Aは、

(式中、「*」で印をつけた炭素原子は、Aが結合している炭素原子に結合している)、オキサジアゾロニルまたはイソオキサゾロニルであり、
nは、0、1または2であり、
、RおよびRは、互いに独立に、HまたはOHであり、
は、(CRC(O)OH、(CROH、(CROSOH、(CRSOH、C(O)NHR、テトラゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾロニル、または任意選択によりNHS(O)−(C〜C)アルキルで置換されているチアゾリジン−ジオニルであり、
およびRは、互いに独立に、H、ハロゲン、OH、または任意選択によりOHもしくはハロゲンで置換されているアルキルであり、
は、OH、(CHOHまたは(CHOSOHであり、
pは、1または2であり、および
PGは、保護基である。
概括的には、式Iの化合物をアルキル化剤で処理して式IIの化合物を形成し、これをさらに当技術分野において公知の方法で式IIIの化合物に変換する。一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル(例えば、ハロゲン化エチル)、トシル酸アルキル(例えば、トシル酸エチル)、メシル酸アルキル(例えば、メシル酸エチル)、スルホン酸エステル(例えば、スルホン酸エチルエステル)、アルキルオキソニウム塩(例えば、EtO・BF)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジエチル)、炭酸ジアルキル(例えば、炭酸ジエチル)およびテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラエチルアンモニウム塩)から選択される。一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化アルキルである。一実施形態では、アルキル化剤は、ハロゲン化エチル(Et−X)(式中、Etは、エチルであり、Xは、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)である)である。一実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化エチルまたはヨウ化エチルである。一実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化エチルである。一実施形態では、アルキル化は、非プロトン性溶媒中で行われる。一実施形態では、非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から選択される。一実施形態では、非プロトン性溶媒は、THF、MTBE、トルエンおよびDMFから選択される。
一実施形態では、アルキル化は、脱プロトン化剤の存在下で行われる。一実施形態では、脱プロトン化剤は、C〜Cアルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソ−プロポキシド、ブトキシド、イソ−ブトキシド、tert−ブトキシド、ペントキシド、イソ−ペントキシド、tert−ペントキシドおよびヘキシルオキシド)、金属水酸化物および金属水素化物から選択される。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属C〜Cアルコキシド、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシドおよびカリウムtert−ペントキシドなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどである。一実施形態では、脱プロトン化剤は、金属水素化物、例えば、水素化ナトリウムおよび水素化カリウムなどである。当業者は、いずれの金属水素化物が還元剤ではなく脱プロトン化剤として機能するかを識別するであろう。
一実施形態では、式IIIの化合物は、



からなる群から選択される。
経口製剤および投与
本願は、経口投与するための本発明の化合物を提供する。一実施形態では、製剤は、FXR介在性の疾患および病態を予防および処置するための経口投与に関する。
経口投与に好適な製剤は、錠剤、カプセル剤、カシェ剤(薬剤師が薬物を提供するために使用するウエハカプセル剤)、トローチ剤など、各々が所定量の本発明の化合物を含有する別個の単位として、散剤もしくは顆粒剤として、水性もしくは非水性液中の溶液剤もしくは懸濁剤として、または水中油もしくは油中水の乳剤として提供され得る。
本願の製剤は、任意の好適な方法によって(通常、本発明の化合物を液体もしくは微粉化固体担体またはその両方と必要な割合で均一および均質に混合し、次いで必要に応じて、得られた混合物を所望の形状に成形することによって)調製することができる。
例えば、錠剤は、粉末または顆粒の本発明の化合物と、1種または複数種の任意選択の成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤または界面活性分散剤などとを含む均質混合物を圧縮することにより、または粉末化活性成分と不活性液体希釈剤との均質混合物を鋳型成形することにより調製することができる。
例えば、対象の体重(例えば、約30kg〜約70kgのヒト)に基づく標的用量レベルに到達させるために、1つまたは複数の錠剤を投与してもよい。
上記で具体的に述べた成分に加えて、本願の経口製剤は、対象の製剤のタイプに配慮した上で、薬学分野の当業者に公知の他の薬剤を含んでもよい。経口製剤は、好適な香味剤を含んでもよい。
一実施形態では、本願は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体の医薬製剤であって、本発明の化合物が本願のプロセスによって製造される医薬製剤に関する。別の実施形態では、製剤は、経口投与される。
一実施形態では、製剤は錠剤形態である。別の実施形態では、製剤は、本発明の化合物と、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、コーティング材料およびコロイド状二酸化ケイ素から選択される1種または複数種の成分とを含む。一実施形態では、コーティング材料は、Opadry(登録商標)コーティング材料である。
本明細書で使用するすべてのパーセンテージおよび比率は、別段の指定がない限り、重量またはモル当量によるものである。パーセント二量体不純物は、一般的に分析用HPLCで定量されるように、面積パーセントベースで計算される。
医薬組成物
本発明の化合物は、種々の医療目的に有用である。本発明の化合物は、FXR介在性の疾患および病態を予防または処置する方法において使用することができる。一実施形態では、疾患または病態は、胆道閉鎖症、胆汁うっ滞性肝疾患、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、進行性線維症による肝損傷、肝線維症、ならびにアテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、高コレステロール血症および高脂血症を含む心血管疾患から選択される。一実施形態では、本発明の化合物は、トリグリセリドを低下させ、および/またはHDLを上昇させる方法において使用することができる。本発明の化合物の他の効果として、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビリルビン、ALT、ASTおよび/またはGGTを低下させることが含まれる。一実施形態では、本願は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、本発明の化合物が本願の方法によって製造される医薬組成物に関する。
一実施形態では、化合物または医薬組成物は、経口で、非経口でまたは局所的に投与される。一実施形態では、化合物または医薬組成物は、経口投与される。
一実施形態では、本願は、胆汁うっ滞性病態に罹患している対象の線維症を阻害する方法であって、対象に有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、本発明の化合物が本願の方法によって製造される、方法に関する。一実施形態では、本願は、胆汁うっ滞性病態に罹患していない対象の線維症を阻害する方法であって、対象に有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、本発明の化合物が本願の方法によって製造される、方法に関する。一実施形態では、阻害しようとする線維症は、FXRが発現する器官で生じる。
一実施形態では、胆汁うっ滞性病態は、アルカリホスファターゼ、7−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、および5’ヌクレオチダーゼの血清レベルが異常に上昇するものと定義される。別の実施形態では、胆汁うっ滞性病態は、少なくとも1つの臨床症状を生じさせるものとしてさらに定義される。別の実施形態では、症状は、かゆみ(そう痒)である。別の実施形態では、線維症は、肝線維症、腎線維症および腸線維症からなる群から選択される。別の実施形態では、胆汁うっ滞性病態は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、薬物性胆汁うっ滞、遺伝性胆汁うっ滞および妊娠性肝内胆汁うっ滞からなる群から選択される。別の実施形態では、対象は、原発性肝臓および胆道がん、転移性がん、敗血症、持続的完全静脈栄養、嚢胞性線維症ならびに肉芽腫性肝疾患からなる群から選択される疾患または病態を伴う胆汁うっ滞性病態に罹患していない。
一実施形態では、対象は、B型肝炎;C型肝炎;寄生虫性肝疾患;移植後の細菌、ウイルスおよび真菌感染症;アルコール性肝疾患(ALD);非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD);非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);メトトレキサート、イソニアジド、オキシフェニスタチン、メチルドパ、クロルプロマジン、トルブタミドまたはアミオダロンにより誘発される肝疾患;自己免疫性肝炎;サルコイドーシス;ウィルソン病;ヘモクロマトーシス;ゴーシェ病;III、IV、VI、IXおよびX型糖原病;α−アンチトリプシン欠損症;ツェルウェーガー症候群;チロシン血症;果糖血症;ガラクトース血症;バッド・キアリ症候群、静脈閉塞症または門脈血栓症を伴う血管障害;および先天性肝線維症からなる群から選択される疾患を伴う肝線維症を有する。
一実施形態では、対象は、クローン病、潰瘍性大腸炎、照射後大腸炎および顕微鏡的大腸炎からなる群から選択される疾患を伴う腸線維症を有する。
一実施形態では、対象は、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎および多発性嚢胞腎疾患からなる群から選択される疾患を伴う腎線維症を有する。
定義
本明細書で使用する場合、「本発明の化合物」とは、オベチコール酸(OCA)、6α−エチル−3α,7α−23−トリヒドロキシ−24−ノル−5β−コラン−23−スルフェート(化合物9)またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を指す。
本明細書で使用する場合、「アルキル」とは、飽和および不飽和の脂肪族基を指す。飽和脂肪族基として、以下に限定されるものではないが、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、シクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキルで置換されたシクロアルキル基、およびシクロアルキルで置換されたアルキル基が挙げられる。一定の実施形態では、直鎖または分岐鎖のアルキルは、その骨格に6個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖ではC〜C、分岐鎖ではC〜C)。一部の例では、直鎖または分岐鎖のアルキルは、その骨格に4個以下の炭素原子を有する。さらに、シクロアルキルは、その環構造中に3〜8個の炭素原子を有することができる。不飽和脂肪族基として、アルケニル基(例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルおよび3−ブテニル)ならびにエチル、プロピルおよびアリルまでの、アルキニル基(例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニルおよび5−ブタ−1−エン−3−イニル)が挙げられる。
「処置すること」には、病態、疾患、障害などの改善になる任意の効果、例えば、減少、縮小、調節または除去が含まれる。疾患状態を「処置すること」または疾患状態の「処置」には、疾患状態の阻害、すなわち疾患状態またはその臨床症状の発症の抑止;または疾患状態の緩和、すなわち、疾患状態もしくはその臨床症状の一時的退行もしくは永続的退行の誘起が含まれる。
疾患状態を「予防すること」には、疾患状態に曝されているかまたは疾患状態になりやすい場合があるが、疾患状態の症状を依然として経験せずまたは表していない対象において、疾患状態の臨床症状が発症しないようにすることが含まれる。
「疾患状態」とは、任意の疾患、障害、病態、症状または徴候を意味する。
本明細書で使用する場合、「約」または「およそ」などの用語は、数値と一緒に使用されると、その用語が指すまたは関連する数値より大きい数値の範囲も小さい数値の範囲も含み得る。例えば、その範囲は、その用語が指すまたは関連する数値より10%小さい〜10%大きい、9%小さい〜9%大きい、8%小さい〜8%大きい、7%小さい〜7%大きい、6%小さい〜6%大きい、5%小さい〜5%大きい、4%小さい〜4%大きい、3%小さい〜3%大きい、2%小さい〜2%大きい、または1%小さい〜1%大きい数値を含むことができる。例えば「約5」は、4.5〜5.5、4.55〜5.45、4.6〜5.4、4.65〜5.35、4.7〜5.3、4.75〜5.25、4.8〜5.2、4.85〜5.15、4.9〜5.1または4.95〜5.05の数値を含むことができる。
「有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、適切な用量を投与すると救急治療効果または長期治療効果を生じさせる、本発明の化合物(例えばFXR−活性化リガンド)の量を指す。その効果には、疾患/病態(例えば、肝臓、腎臓または腸の線維症)および関連する合併症の、症状、徴候および基礎病理の、何らかの検出可能な程度までの予防、補正、阻害または回復が含まれる。
「治療有効量」とは、疾患を処置するために哺乳動物に投与される場合、疾患に対してそのような処置を施すのに十分である本発明の化合物の量を意味する。「治療有効量」は、疾患およびその重症度、ならびに処置しようとする哺乳動物の齢、体重などに依存して変動するであろう。
治療有効量の本発明の化合物は、ヒトまたは動物に投与するために薬学的に許容される担体と一緒に製剤化することができる。したがって、本発明の化合物またはその製剤は、有効量の化合物を提供するために、例えば、経口、非経口または局所経路で投与することができる。別の実施形態では、本願に従って調製される本発明の化合物は、医療器具、例えばステントを被覆またはそれに含浸させるために使用することができる。
本願はまた、同位体標識した本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体も包含し、これらは、自然界で最もよく見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって1つまたは複数の原子が置換されているという事実以外には、本願およびそれ以降に記載のものと同一である。本発明の化合物に組み入れることができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、フッ素の同位体、例えば、H、11C、14Cおよび18Fなどが挙げられる。
トリチウム化、すなわちH同位体、および炭素−14、すなわち14C同位体は、調製および検出が容易であるため、特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHなどのより重い同位体で置換すると、代謝安定性が高まることから生じる一定の治療上の利点(例えば、in vivo半減期の延長または必要投与量の減少)を得ることができ、このため、状況によってはこの置換が好ましい場合がある。本発明の同位体標識化合物は、一般に、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いて、本顔のスキームおよび/または実施例に開示されている手順を実行することによって調製することができる。一実施形態では、本発明の化合物は、同位体標識されていない。一実施形態では、本発明の重水素化した化合物は、生物学的分析アッセイに有用である。別の実施形態では、本発明の化合物は、放射標識されている。
「幾何異性体」とは、二重結合周囲の回転障害によって生じるジアステレオマーを意味する。これらの立体配置は、シスおよびトランス、またはZおよびEの接頭辞がつくことによってその名称が異なり、これは、カーン・インゴルド・プレローグ測に従い、分子内で基同士が二重結合の同側または逆測にあることを示す。
「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。本発明の化合物には、結晶性固体状態で固定モル比の溶媒分子を捕捉する傾向があり得、このようにして溶媒和物が形成される。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物である。溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、水の1つまたは複数の分子と、その中で水がそのHOとしての分子状態を保持している物質の1つとの組合せによって形成され、このような組合せにより、1種または複数種の水和物を形成することが可能となる。加えて、本願の化合物、例えば本化合物の塩は、水和もしくは非水和(無水)形態でまたは他の溶媒分子との溶媒和物として存在することができる。水和物の非限定的な例として、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の非限定的な例として、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
「互変異性体」は、その構造が原子の配置において著しく異なるが、高速平衡状態で存在する化合物を指す。本願の化合物は、様々な互変異性体として示し得ることが理解されるべきである。本発明の化合物および本願の合成中間体が互変異性型を有する場合、すべての互変異性型が本願の範囲内にあることが意図され、本発明の化合物の命名は、いずれの互変異性体型も排除するものではないことも理解されるべきである。本発明の化合物および本願の合成中間体は、ケト−エノールを含むいくつかの互変異性型で存在することができる。例えば、ケト−エノール互変異性では、電子と水素原子との同時移動が起こる。互変異性体は、溶解した互変異性セットの混合物として存在する。固体形態では、通常、1つの互変異性体が優勢である。1つの互変異性体が記載されている場合でも、本願は、本化合物のすべての互変異性体を含む。
「医薬組成物」とは、本発明の化合物を、対象への投与に好適な形態で含有する製剤である。一実施形態では、医薬組成物は、バルクまたは単位剤形である。投与を容易にし、投与量を均一にするために、組成物を投薬単位形に製剤化することが有利であり得る。投薬単位形とは、本明細書で使用する場合、処置されることになる対象への単位投与量として適した物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性な試薬を含有する。本願の投薬単位形の仕様は、活性な試薬に独自の特徴、達成されるべき特定の治療効果、および各個体を処置するためのそのような活性剤の調合に関する技術分野に固有の制限によって決定され、これらに直接的に依存する。
単位剤形は、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エアゾール吸入器の単一ポンプ、またはバイアルを含む種々の形態のいずれかである。組成物の単位用量中の本発明の化合物(例えば、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体の製剤)の量は有効量であり、関与する特定の処置に従って変動する。当業者は、患者の年齢および病態に依存して、投与量に慣例的な変更を加えることが必要な場合があることがわかるであろう。投与量は、投与経路にも依存することになる。経口、経肺、経直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、バッカル、舌下、胸膜内、くも膜下腔内、鼻腔内などを含む種々の経路が企図される。本願の化合物の局所投与または経皮投与用の剤形として、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤および吸入剤が挙げられる。一実施形態では、本発明の化合物は、滅菌条件下において、薬学的に許容される担体、および必要な任意の防腐剤、緩衝剤または噴射剤と混合される。
「対象」には、哺乳動物(例えば、ヒト)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコおよびトリなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマおよび家禽など)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットおよびトリなど)が含まれる。一実施形態では、対象は、ヒトである。一実施形態では、対象は、ヒト小児(例えば、約30kg〜約70kg)である。一実施形態では、ヒト小児は、葛西手術を受けており、出生時に胆管がないか、または出生時に胆管が完全に遮断されている場合、葛西手術によってヒト小児に機能的な胆管が効果的に付与される。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という表現は、健全な医学的判断の範囲内でヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症を起こさず、適切なリスク/ベネフィット比に相応する化合物、材料、組成物、担体および/または剤形を指す。
「薬学的に許容される添加剤」とは、概して安全であり、無毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましい医薬組成物を調製することにおいて有用である添加剤を意味し、獣医学での使用およびヒトの薬学的使用に許容可能な添加剤を含む。「薬学的に許容される添加剤」は、本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、このような添加剤の1種および複数種の両方を含む。
本発明の化合物を何ら製剤化せずに直接投与することが可能であるが、本発明の化合物は、通常、薬学的に許容される添加剤と本発明の化合物とを含む医薬製剤の形態で投与される。これらの製剤は、経口、バッカル、経直腸、鼻腔内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内および鼻腔内を含む種々の経路で投与することができる。本発明の化合物の経口製剤は、本明細書の「経口製剤および投与」という名称の部分でさらに記載されている。
一実施形態では、本発明の化合物は、経皮投与することができる。経皮投与するために、経皮送達用具(「貼付剤」)が必要な場合がある。このような経皮貼付剤は、本願の化合物を制御量で連続注入または非連続注入するために使用することができる。医薬品の送達のための経皮貼付剤の構築および使用は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,023,252号明細書を参照されたい。このような貼付剤は、連続的、パルス状、または要求に応じた医薬品送達のために構築され得る。
「線維症」とは、組織または器官における、過剰な線維性結合組織、例えば瘢痕組織の発達を伴う病態を指す。このような瘢痕組織の生成は、疾患、外傷、化学的毒性などによる器官の感染、炎症または損傷に反応して起こり得る。線維症は、肝臓、腎臓、腸、肺、心臓、その他を含む種々の異なる組織および器官において発症し得る。
「阻害すること」または「阻害」という用語は、本明細書で使用する場合、疾患または病態の発症または進行に対する任意の検出可能な正の効果を指す。このような正の効果には、疾患または病態の少なくとも1つの症状または徴候の開始の遅延または予防、症状または徴候の軽減または回復、および症状または徴候のさらなる悪化の遅延または予防が含まれ得る。
本明細書で使用する場合、「胆汁うっ滞性病態」とは、肝臓からの胆汁排出に障害があるかまたはそれが遮断される任意の疾患または病態を指し、これは肝臓内または胆管内で起こり得る。肝内胆汁うっ滞および肝外胆汁うっ滞は、胆汁うっ滞性病態の2つのタイプである。肝内胆汁うっ滞(肝臓の内側で起こる)は、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、敗血症(全身感染症)、急性アルコール性肝炎、薬物毒性、完全静脈栄養(静脈内に栄養補給される)、悪性病変、嚢胞性線維症および妊娠において最もよく見られる。肝外胆汁うっ滞(肝臓の外側で起こる)は、胆管腫瘍、狭窄、嚢胞、憩室、総胆管内の結石、膵炎、膵腫瘍または仮性嚢胞、および近傍の器官の腫瘤または腫瘍による圧迫によって引き起こされ得る。
胆汁うっ滞性病態の臨床症状および徴候として、かゆみ(そう痒)、疲労、皮膚または眼の黄疸、ある種の食物の消化不能、悪心、嘔吐、白色便、暗色尿および右上腹部痛が挙げられる。胆汁うっ滞性病態の患者は、患者の血清中の、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、5’ヌクレオチダーゼ、ビリルビン、胆汁酸およびコレステロールの各レベルの測定を含む一連の標準的な臨床検査試験に基づいて診断され、臨床的に経過観察され得る。一般に、患者は、アルカリホスファターゼ、GGTおよび5’ヌクレオチダーゼの3つすべての診断マーカーの血清レベルが異常に上昇していると考えられる場合、胆汁うっ滞性病態を有するものと診断される。これらのマーカーの正常な血清レベルは、試験プロトコルに依存して、検査室間および手順間である程度まで変動し得る。したがって、医師は、特定の検査室および試験手順に基づいて、マーカーの各々に対して、何の血液レベルが異常に上昇しているのかを判定することが可能である。例えば、胆汁うっ滞性病態に罹患している患者は、一般に、血中でアルカリホスファターゼが約125IU/Lを超え、GGTが約65IU/Lを超え、5’ヌクレオチダーゼが約17NILを超える。血清マーカーレベルに変動性があるため、胆汁うっ滞性病態は、かゆみ(そう痒)などの上記の症状の少なくとも1つに加えて、これら3種類のマーカーの異常なレベルに基づいて診断され得る。
「器官」という用語は、細胞および組織からなり、生体においていくつかの特定の機能を実行する、分化した構造体(心臓、肺、腎臓、肝臓などにおけるような)を指す。この用語はまた、機能を実行するかまたは活動に協力する身体の部分(例えば、眼、および視覚的な器官を構成する関連した構造体)を包含する。「器官」という用語は、完全な構造体に発達することが潜在的に可能である、分化した細胞および組織の任意の部分的構造(例えば、肝臓の葉または区域)をさらに包含する。
本明細書に引用している刊行物および特許文献は、すべてそのような刊行物または文献の各々が具体的におよび個別に参照により本明細書に援用されることを示すものとして、参照により本明細書に援用される。刊行物および特許文献の引用は、いずれかが関連する先行技術であると認めることを意図するものではなく、その内容または日付について何ら承認するものでもない。ここまで本願を書面の記載によって説明してきたが、当業者は、本願を種々の実施形態で実施し得ること、および上記の記載および下記の実施例は説明を目的とし、続く特許請求の範囲の限定ではないことを理解するであろう。
本明細書において、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、単数形は複数も含む。別段の定めがない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は、すべて本願が属する技術分野の当業者に広く理解されているものと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、本明細書が優先する。
実施例1:化合物1aの調製

p−トルエンスルホン酸および3,4−ジヒドロ−2H−ピランをKLCAのジオキサン溶液に添加する。混合物を室温で撹拌し、次いで溶液がpH約8〜9に到達するまでアンモニアのメタノール飽和溶液で処理する。溶媒を減圧下で留去する。得られた残渣をクロロホルムで抽出し、NaHCO飽和水溶液で洗浄する。NaSOで脱水し、溶媒を減圧下で留去してから、所望の生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
実施例2:化合物2の調製

カリウムtert−ブトキシドの無水THF溶液を約0℃まで冷却する。無水THFに溶解した化合物1aをこの溶液に滴加する。3時間後、無水THFに溶解した臭化エチルをゆっくりと添加し、この混合物を室温まで終夜加温した。溶媒を減圧下で留去し、10%HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄する。NaSOで脱水し、減圧下で蒸発させてから、粗製残渣を2N HClのEtOH溶液中で還流する。残渣を減圧下で蒸発させ、酢酸エチルで抽出し、NaHCOの飽和溶液で洗浄し、NaSOで脱水し、減圧下で蒸発させる。所望の生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
代替として、実施例2の臭化エチルは、適切な反応条件下において、均等なアルキル化剤、例えば、トシル酸エチル、メシル酸エチル、スルホン酸エチルエステル、EtO・BF、硫酸ジエチル、炭酸ジエチルまたはテトラエチルアンモニウム塩などに置き換えてもよい。実施例2のカリウムtert−ブトキシドは、適切な反応条件下において、均等な脱プロトン化剤、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシドおよびカリウムtert−ペントキシドなどに置き換えてもよい。
実施例3:OCAの調製

化合物2のNaOH水溶液中溶液を90℃に加熱し、水素化ホウ素ナトリウムと接触させる。混合物を冷却し、酢酸n−ブチルの存在下においてクエン酸水溶液で反応停止する。有機層を分離し、部分的に蒸発させて結晶化を誘導する。懸濁液を濾過し、固体を酢酸n−ブチルで洗浄してOCAを得る。
実施例4:化合物4の調製

p−トルエンスルホン酸一水和物をOCAのメタノール撹拌溶液に添加し、反応混合物を、OCAが完全に見えなくなるまで超音波処理し、これにはおよそ3時間かかる。溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を塩化メチレンに溶解し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液、水および塩水で洗浄する。まとめた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を減圧下で蒸発させて化合物4を得る。
実施例5:化合物5の調製

化合物4を、新たに蒸留したTHFに溶解し、得られた混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら加温する。1MフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を滴加し、得られた混合物を同じ温度で終夜撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、シクロヘキサンを添加する。反応混合物を濾過し、ゴム状固体の残渣を3N塩酸溶液とDCMとの混合物に溶解する。得られた混合物を30分間撹拌する。有機相を分離し、水性相をDCMで抽出する。まとめた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒を減圧下で蒸発させる。粗製残渣をDCM中に採り、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液、水、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で濃縮して化合物5を得る。
実施例6:化合物6の調製


無水酢酸、ピリジンおよび4−ジメチルアミノピリジンを、化合物5の新たに蒸留したTHF中撹拌溶液に添加する。反応混合物を室温で終夜保持する。反応混合物を水で希釈し、DCMで抽出する。まとめた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させて化合物6を得る。
実施例7:化合物7の調製

NaIOをHOおよび2N HSO中で撹拌する。15分後、反応混合物を0℃まで冷却し、RuClを添加する。反応混合物を、色が鮮黄色に変わるまで撹拌する。酢酸エチルおよびアセトニトリルを添加し、得られた反応混合物を5分間撹拌する。化合物6を反応混合物に0℃で添加し、化合物6が消費されるまで撹拌する。反応混合物を濾過し、HOに注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出する。まとめた有機層をNaの飽和溶液で洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、化合物7を白色固体として得る。
実施例8:化合物8の調製

トリエチルアミンを化合物7とクロロギ酸イソブチルとのTHF撹拌氷冷溶液に添加する。1時間後、反応混合物をアルゴン雰囲気中において減圧下で濾過する。得られた溶液を、小分けにして添加する水素化ホウ素ナトリウムで0℃において1時間処理する。反応混合物をHOで反応停止し、室温でさらに2時間撹拌し、3N塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。まとめた有機抽出物を塩水で洗浄し、無水NaSOで脱水し、減圧下で濃縮して化合物8を得る。
実施例9:化合物9(ナトリウム塩)の調製

化合物8を三酸化硫黄ピリジン錯体の乾燥ピリジン(60mL)懸濁液に添加し、窒素雰囲気下において室温で24時間反応させる。溶媒を蒸発させ、得られた残渣をメタノールに溶解し、NaOHの10%(w/w)MeOH溶液で処理する。反応混合物を終夜還流する。溶媒を蒸発させ、得られた白色固体をHO/MeOH溶液に溶解し、NaOHで活性化したDowex樹脂に通過させ、最初にHOで、次にHO/MeOHの溶液で溶離する。化合物9のナトリウム塩を含有する画分を蒸発乾固し、得られた固体を、逆相カラムRP−18(Lobar C)により、HO/MeOH混合物を移動相として使用して精製する。
均等物
当業者は、本明細書中に具体的に記載される具体的な実施形態に対する多くの均等物を、通常の実験に過ぎない実験を使用して認識するかまたは特定することが可能であろう。そのような均等物は、続く特許請求の範囲に包含されるものとする。

Claims (17)

  1. オベチコール酸(OCA)


    またはその薬学的な許容される塩、溶媒和物もしくはアミノ酸抱合体を調製する方法であって、
    化合物1のC−6位の炭素原子を脱プロトン化剤の存在下でアルキル化剤でアルキル化して化合物2を形成するステップ:


    (式中、PGは、保護基であり、前記脱プロトン化剤が、金属C 〜C アルコキシド、金属水酸化物および金属水素化物から選択される)と、
    化合物2のC−7位のケト基を還元してOCAを形成するステップ:


    とを含み、
    ここで、前記方法は、−20℃より高い温度で行われる、
    方法。
  2. 前記アルキル化剤が、ハロゲン化アルキル、トシル酸アルキル、メシル酸アルキル、スルホン酸エステル、アルキルオキソニウム塩、硫酸ジアルキル、炭酸ジアルキルおよびテトラアルキルアンモニウム塩から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルキル化剤がハロゲン化アルキルである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ハロゲン化アルキルが臭化エチルまたはヨウ化エチルである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記アルキル化が非プロトン性溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジエチルエーテルおよびメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 化合物1がアルキル化される前に化合物1を脱プロトン化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記C−6位の前記炭素原子のアルキル化後に化合物1を脱保護するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、さらに:
    KLCAのC−3位のヒドロキシル基を保護して化合物1を形成するステップ:


    (式中、PGは、保護基である)
    を含む方法。
  10. 前記保護基が、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、ピバロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、エトキシエチルエーテル(EE)、p−メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシトリチル(MMT)、アルキルオキシカルボニルおよびシリルエーテルから選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記シリルエーテルが、トリメチルシリルエーテル(TMS)、トリエチルシリルエーテル(TES)、トリイソプロピルシリルエーテル(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリルエーテル(TBDMS)およびtert−ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. C−24位のカルボン酸基を保護するステップをさらに含み、前記C−3位の前記ヒドロキシル基の前記保護基がテトラヒドロピラニルまたはベンジルではない、請求項に記載の方法。
  13. 前記還元が、化合物2を金属水素化物で処理するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記還元が−10℃〜50℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記脱プロトン化剤が、金属C〜Cアルコキシドである、請求項に記載の方法。
  16. 前記金属C〜Cアルコキシドが、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ペントキシドおよびカリウムtert−ペントキシドから選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項12に記載の方法であって、前記C−24位の前記カルボン酸基を脱保護するステップをさらに含み、ここで、前記C−3位の前記ヒドロキシル基の前記保護基がテトラヒドロピラニルまたはベンジルではない、方法。
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