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JP6610595B2 - 車両用ピラー構造 - Google Patents

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JP6610595B2
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Description

本発明は、車両用ピラー構造に関する。
下記特許文献1には、車両用ピラー構造が開示されている。この車両用ピラー構造では、フロントピラーインナパネルと、これと対向して設けられたフロントピラーフレームとを有しており、このフロントピラーインナパネルとフロントピラーフレームとで透明部材が保持されている。フロントピラーインナとフロントピラーフレームとには、板厚方向に貫通された開口が形成されており、運転者はこの開口から透明部材を介してフロントピラーの向こう側の対象物を確認することができる。
特開2006−273057号公報
しかしながら、特許文献1に開示された車両用ピラー構造は、車両用ピラーに開口が形成されているため、車両用ピラーの曲げ剛性が低下する可能性がある。したがって、曲げ剛性を確保するために開口を小さくして車両用ピラーを閉断面構造にすることが考えられる。閉断面構造にする場合、対向するフロントピラーインナパネルとフロントピラーフレームとを接合する際に接合に必要な面積を有する平坦面を確保するため、フロントピラーインナパネルとフロントピラーフレームとに車両用ピラーの外側へ突出されたフランジをそれぞれ形成する必要があるが、このフランジが運転者の視界を一部遮る可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、車両運転時に広い視界を確保できると共に車両用ピラーの剛性を向上させることができる車両用ピラー構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、略車両上下方向に沿って延設されている第1柱と、前記第1柱に対して所定の間隔を空けて配置されかつ略車両上下方向に沿って延設されている第2柱と、を含んで構成される車両用ピラーの一部を構成すると共に、略車両上下方向を長手方向として延設されているピラーアウタパネルと、前記車両用ピラーの他の一部を構成すると共に、略車両上下方向を長手方向として延設されかつ前記ピラーアウタパネルと対向して設けられているピラーインナパネルと、前記ピラーアウタパネル及び前記ピラーインナパネルのいずれか一方の短手方向の端部が前記ピラーアウタパネル及び前記ピラーインナパネルのいずれか他方が備えている平坦面に突き当てられて溶接されている溶接部と、を有している。
請求項1に記載の発明によれば、略車両上下方向に沿って延設されている第1柱と、第1柱に対して所定の間隔を空けて配置されかつ略車両上下方向に沿って延設されている第2柱とを含んで構成される車両用ピラーの一部を構成すると共に略車両上下方向を長手方向として延設されているピラーアウタパネルと、車両用ピラーの他の一部を構成すると共に略車両上下方向を長手方向として延設されかつピラーアウタパネルと対向して設けられているピラーインナパネルとを有している。このピラーアウタパネルとピラーインナパネルとは、いずれか一方の短手方向の端部がいずれか他方が備えている平坦面に突き当てられて溶接された溶接部を介して接合されている。したがって、溶接部により、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面構造が形成できると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。
ここで、「平坦面」とは、ピラーアウタパネル及びピラーインナパネルのいずれか他方の面内方向における平らな面をいい、ピラーアウタパネル及びピラーインナパネルのいずれか一方の突き当てへの影響を無視できる程度であれば、平坦面に若干の凹凸形状や湾曲形状が含まれていてもよい。
請求項2に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、請求項1に記載の発明において、前記車両用ピラーは、前記第2柱の上端部が前記第1柱の上端部と連結されかつ前記第2柱の下端部が前記第1柱の下端部と連結されていると共に、前記第1柱と前記第2柱との間に架け渡され、運転席側から見て車両外部が視認可能な透明部材と、を有しており、前記第1柱及び前記第2柱の少なくとも一方は前記溶接部により接合された前記ピラーインナパネルと前記ピラーアウタパネルとにより構成されている。
請求項2に記載の発明によれば、車両用ピラーにおける第1柱と第2柱とは、上端部同士及び下端部同士が連結されている。つまり、車両用ピラーは、第1柱と第2柱とを含んで構成された略矩形枠形状とされている。したがって、車両の運転席に着席した運転者が車両用ピラーの枠内部から第1柱と第2柱とに架け渡された透明部材を通して車両外部を視認することができる。これにより、車両運転時に広い視界を得ることができる。
ここで、第1柱及び第2柱の少なくとも一方は、ピラーインナパネルとピラーアウタパネルとにより構成されている。このピラーアウタパネルとピラーインナパネルとは、いずれか一方の短手方向の端部がいずれか他方の平坦面に突き当てられて溶接された溶接部により接合されている。したがって、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面が形成されると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。つまり、第1柱及び第2柱の少なくとも一方は、閉断面構造とされかつ断面積を小さくすることができる。このため、第1柱及び第2柱の少なくとも一方における車両用ピラー外側からの視界や車両用ピラーの枠内部からの視界もより広くすることができる。
請求項3に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、請求項2に記載の発明において、前記第1柱の一部及び前記第2柱の一部は、前記ピラーアウタパネルにより一体に構成されていると共に、前記第1柱の他の一部及び前記第2柱の残りの部分は、前記ピラーインナパネルにより一体に構成されている。
請求項3に記載の発明によれば、第1柱の一部及び第2柱の一部は、ピラーアウタパネルにより一体に形成されていると共に、第1柱の他の一部及び第2柱の残りの部分は、ピラーインナパネルにより一体に構成されている。このピラーアウタパネルとピラーインナパネルとは、いずれか一方の短手方向の端部がいずれか他方の平坦面に突き当てられて溶接された溶接部により接合されている。したがって、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面が形成されると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。また、ピラーインナパネルとピラーアウタパネルとにより第1柱と第2柱とが構成されている。したがって、第1柱と第2柱とをそれぞれ別の部材により構成する場合と比べて部品点数を少なくすることができる。
請求項4に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記溶接部では、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部における外側面が、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面と略同一面上に配置されている。
請求項4に記載の発明によれば、溶接部により接合されることでピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面構造が形成できると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。また、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルいずれか一方の短手方向の端部における外側面が、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面と略同一面上に配置されている。したがって、この略同一面上に配置された外側面及び端面に沿わせながらピラーガーニッシュ等の車両用ピラーに取り付ける部材の取り付け作業を行うことができる。つまり、車両用ピラーに取り付ける部材を取り付け易くなる。
請求項5に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記溶接部では、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部が、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面に対して前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の面内方向内側に配置されている。
請求項5に記載の発明によれば、溶接部により接合されることでピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面構造が形成できると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。また、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部が、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルいずれか他方の短手方向の端面に対してピラーインナパネル及びピラーアウタパネルのいずれか他方の面内方向内側に配置されている。したがって、ピラーインナパネル及びピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部に対してピラーインナパネル及びピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面ひいては端部が突出された構成となるため、この突出された端部を用いて車両用ピラーに取り付ける部材の位置決めを行うことが可能となる。
請求項6に記載の発明に係る車両用ピラー構造は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記溶接部は、前記ピラーインナパネルの短手方向の端部が前記ピラーアウタパネルの前記平坦面に突き当てられて溶接されている。
請求項6に記載の発明によれば、ピラーインナパネルの短手方向の端部がピラーアウタパネルの平坦面に突き当てられて溶接されている。したがって、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとで閉断面が形成されると共に、ピラーアウタパネルとピラーインナパネルとを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、車両用ピラーの断面積を小さくすることができる。また、一般的に、ピラーアウタパネルには、ウインドシールドガラス等を接合するため、一定の面積を有する平坦面が必要となる。したがって、ピラーアウタパネルの短手方向の端部がピラーインナパネルの平坦面に突き当てられて溶接される場合と比べて、ピラーアウタパネルの板厚分車両用ピラーの短手方向(幅方向)の寸法を小さくすることができる。
請求項1記載の本発明に係る車両用ピラー構造は、車両運転時に広い視界を確保できると共に車両用ピラーの剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2記載の本発明に係る車両用ピラー構造は、車両運転時により広い視界を確保できると共に車両用ピラーの剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項3記載の本発明に係る車両用ピラー構造は、コストを低減することができるという優れた効果を有する。
請求項4、5記載の本発明に係る車両用ピラー構造は、組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項6記載の本発明に係る車両用ピラー構造は、車両運転時により一層広い視界を確保できると共に車両用ピラーの剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係る車両用ピラー構造を有する車両の車室内を示す概略斜視図である。 図1におけるA−A線に沿って切断した状態を示す拡大断面図である。 図2におけるZ部を示す拡大図である。 対比例に係る車両用ピラー構造を示す図3に対応した拡大図である。 第1実施形態の変形例に係る車両用ピラー構造を示す図3に対応した拡大図である。 第2実施形態に係る車両用ピラー構造を示す分解斜視図である。
図1〜図6において示される矢印FRは車両前後方向前側、矢印OUTは車両幅方向外側、矢印UPは車両上下方向上側をそれぞれ示す。
(第1実施形態)
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る車両用ピラー構造の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用ピラー構造10が適用された車両12における車室14内の車両前方側には、運転席用の車両用シート16が配設されており、この車両用シート16には、運転者Dが着座している。
車両用シート16よりも車両前方側には、フロントウインドシールドガラス18が設けられている。このフロントウインドシールドガラス18は、車室14の内側と車室14の外側とを隔てかつ板厚方向が略車両前後方向とされた透明の窓部材であり、側面視で車両上方側へ向かうに連れて車両後方側へと傾けられている。フロントウインドシールドガラス18の上端部は、ルーフの前端部を構成するフロントヘッダ(共に不図示)に接続されている。また、フロントウインドシールドガラス18の下端部は、車両前方側に設けられたパワーユニットルームを車両上方側から覆うフードの後端部と車両前後方向に対向して配置されており、車両幅方向に延在されたカウルに接続されている(いずれも不図示)。
フロントウインドシールドガラス18は、一定の板厚で形成されており、フロントウインドシールドガラス18の車両幅方向中間部分が車両前方側へ凸となるように緩やかな湾曲形状とされている。そして、フロントウインドシールドガラス18の車両幅方向外側かつフロントサイドウィンドウ20を有するフロントドア22の車両前方側には、車両用ピラーとしてのフロントピラー24が左右一対にそれぞれ設けられている。
左右一対のフロントピラー24は、それぞれフロントウインドシールドガラス18の車両幅方向端部に沿って略車両上下方向を長手方向として延在されている。つまり、左右一対のフロントピラー24は、それぞれ車両上方へ向かうに連れて車両後方側へ傾けられている。以下、運転席側と反対側のフロントピラー24について説明するが、運転席側のフロントピラー24も同様の構成とされている。
図2に示されるように、フロントピラー24は、第1柱26と第2柱28とを有している。第1柱26は、略車両上下方向に沿って延在されており、第1柱26にはフロントウインドシールドガラス18の車両幅方向の端部30がウレタン接着剤32及びクッションゴム34を介して接合されている。第1柱26は、長手方向(略車両上下方向に沿った延在方向)に直交する断面形状が略車両幅方向外側に向かって開口する略U字状とされたピラーインナパネルとしての鋼板製の第1ピラーインナパネル36と、長手方向(略車両上下方向に沿った延在方向)に直交する断面形状が略クランク形状とされかつ第1ピラーインナパネル36の開口を車両幅方向外側から塞ぐように設けられた鋼板製のピラーアウタパネルとしての第1ピラーアウタパネル38とを含んで構成されている。つまり、第1ピラーアウタパネル38の車両幅方向内側に第1ピラーインナパネル36が対向して設けられており、この第1ピラーアウタパネル38と第1ピラーインナパネル36とは、溶接部39により接合されている。したがって、第1ピラーアウタパネル38と第1ピラーインナパネル36とで閉断面が形成されている。
溶接部39では、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36A、36Bが第1ピラーアウタパネル38の面内方向における平らな面である平坦面42、43にそれぞれ突き当てられて溶接されている。なお、第1ピラーアウタパネル38の平坦面42、43を構成する壁部は、フロントウインドシールドガラス18及び後述するフロントピラーアウタガラス50の取り付けに必要な面積が確保されている。図3に示されるように、第1ピラーインナパネル36の端部36Aにおける外側面46と第1ピラーアウタパネル38の短手方向の端部38Aにおける端面38Bとは、略同一面上に配置されている。
図2に示されるように、第2柱28は、第1柱26の略車両後方側に配置されている。具体的には、第2柱28は第1柱26に対して略車両前後方向にて所定の間隔を空けて配置されている。この所定の間隔は、運転者Dの瞳孔中心間距離以上に設定されている。なお、「瞳孔中心間距離」とは、運転者Dの右目(不図示)の瞳孔中心と左目(不図示)の瞳孔中心との間の距離のことであり、例えば、日本人の成人では、約60〜65mmとされている。本実施形態では、一例としてこの所定の間隔が65mmに設定されている。
また、第2柱28は、第1柱26と略平行に(略車両上下方向に沿って)延在されており(図1参照)、長手方向(略車両上下方向に沿った延在方向)に直交する断面形状が略車両後方側へ向かって開口する略U字状とされたピラーインナパネルとしての鋼板製の第2ピラーインナパネル44と、長手方向(略車両上下方向に沿った延在方向)に直交する断面形状が略クランク形状とされかつ第2ピラーインナパネル44の開口を略車両後方側から塞ぐように設けられたピラーアウタパネルとしての鋼板製の第2ピラーアウタパネル40とを含んで構成されている。つまり、第2ピラーアウタパネル40の車両前方側に第2ピラーインナパネル44が対向して設けられており、この第2ピラーアウタパネル40と第2ピラーインナパネル44とは、溶接部51を介して接合されている。したがって、第2ピラーアウタパネル40と第2ピラーインナパネル44とで閉断面が形成されている。
溶接部51では、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40A、40Bが第2ピラーインナパネル44の面内方向における平らな面である平坦面52、54にそれぞれ突き当てられて溶接されている。第2ピラーアウタパネルの端部40Aにおける外側面56と第2ピラーインナパネル44の短手方向の端部44Aにおける端面44Bとは、略同一面上に配置されている。また、第2ピラーアウタパネルの端部40Bは、第2ピラーインナパネル44の短手方向の端部44Aにおける端面44Dに対して第2ピラーインナパネル44の平坦面54における面内方向内側に配置されている。なお、第2ピラーインナパネル44の平坦面52を構成する壁部は、後述するフロントピラーアウタガラス50の取り付けに必要な面積が確保されている。
第2ピラーインナパネル44の平坦面54における第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Bが当接した部位より車両後方側、すなわちフランジ29には、オープニングトリム72が取り付けられている。このオープニングトリム72は、第2ピラーアウタパネル40と当接する位置に位置決めされている。また、第2ピラーアウタパネル40には、フロントドア22のシール部材が当接可能とされている。なお、第1柱26及び第2柱28は、それぞれ略水平方向における運転者Dのアイポイント(不図示)から見た状態での幅寸法が運転者Dの瞳孔中心間距離以下に設定されている。
第1柱26の第1ピラーアウタパネル38における車両幅方向外側壁部47と、第2柱28の第2ピラーインナパネル44における車両幅方向外側壁部49とには、透明部材としてのフロントピラーアウタガラス50がウレタン接着剤53及びクッションゴム55を介して架け渡されている。フロントピラーアウタガラス50は、略車両幅方向を板厚方向とする透明の窓部材であり、側面視で第1柱26及び第2柱28に沿うように車両上方側へ向かうに連れて車両後方側へと傾けられている。なお、フロントピラーアウタガラス50とフロントウインドシールドガラス18との間には、シール部材57が設けられており、シール部材57によってフロントピラーアウタガラス50とフロントウインドシールドガラス18との間への雨水等の浸入が抑制されている。また、フロントピラーアウタガラス50は、ガラスに限らず、透明の繊維強化樹脂等により構成されていてもよい。
第1柱26の第1ピラーインナパネル36における車両幅方向内側壁部48と、第2柱28の第2ピラーインナパネル44における車両幅方向内側壁部58とには、フロントピラーインナガラス60が接着剤62を介して取り付けられている。フロントピラーインナガラス60は、略車両幅方向を板厚方向とする透明の窓部材であり、側面視で第1柱26及び第2柱28に沿うように車両上方側へ向かうに連れて車両後方側へと傾けられている。なお、フロントピラーインナガラス60は、ガラスに限らず、透明の繊維強化樹脂等により構成されていてもよい。
第1柱26及び第2柱28の車両幅方向内側には、フロントピラーガーニッシュ64が設けられている。このフロントピラーガーニッシュ64は、樹脂製とされており、第1柱26の第1ピラーインナパネル36における車両幅方向内側壁部48と車両前方側壁部66とフロントピラーインナガラス60の車両前方側の端部とを車室内側から覆うガーニッシュ前側部68と、第2柱28の第2ピラーインナパネル44における車両幅方向内側壁部58とフロントピラーインナガラス60の車両後方側の端部とを車室内側から覆うガーニッシュ後側部70と、を含んで略矩形枠状に形成されている(図1参照)。
(第1実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、フロントピラー24の一部を構成すると共に略車両上下方向を長手方向として延設されている第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と、フロントピラー24の他の一部を構成すると共に略車両上下方向を長手方向として延設されかつ第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40とそれぞれ対向して設けられている第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とを有している。この第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とは、第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部36A、36B、40A、40Bが第1ピラーアウタパネル38の平坦面42、43及び第2ピラーインナパネル44の平坦面52、54に突き当てられて溶接された溶接部39、51を介して接合されている。したがって、溶接部39、51により、第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とで閉断面構造が形成できると共に、第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とをそれぞれを接合するための車両用ピラーの外側へ突出されたフランジが不要となり、フロントピラー24の断面積を小さくすることができる。これにより、車両運転時に広い視界を確保できると共にフロントピラー24の剛性を向上させることができる。また、第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とをそれぞれを接合するためのフランジが不要となることで、フロントピラー24の軽量化を図ることができる。
また、フロントピラー24は、略車両上下方向に沿って延設されている第1柱26と、第1柱26に対して略車両前後方向にて所定の間隔を空けて配置されかつ第1柱26と略平行に延設された第2柱28とを有している。この第1柱26と、第2柱28とは、上端部同士及び下端部同士が連結されている。つまり、フロントピラー24は、第1柱26と第2柱28とを含んで構成された略矩形枠形状とされている。したがって、車両の運転席に着席した運転者Dがフロントピラー24の枠内部から第1柱26と第2柱28とに架け渡されたフロントピラーアウタガラス50を通して車両外部を視認することができる。これにより、車両運転時に広い視界を得ることができる。
ここで、第1柱26は、第1ピラーインナパネル36と第1ピラーアウタパネル38とにより構成されている。また、第2柱28は、第2ピラーインナパネル44と第2ピラーアウタパネル40とにより構成されている。したがって、溶接部39、51により、第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とでそれぞれ閉断面が形成されると共に、第1ピラーアウタパネル38及び第2ピラーアウタパネル40と第1ピラーインナパネル36及び第2ピラーインナパネル44とを接合するためのフロントピラー24の外側へ突出されたフランジが不要となり、フロントピラー24の断面積を小さくすることができる。つまり、第1柱26及び第2柱28は、閉断面構造とされかつ断面積を小さくすることができる。このため、第1柱26及び第2柱28におけるフロントピラー24外側からの視界やフロントピラー24の枠内部からの視界もより広くすることができる。これにより、車両運転時により広い視界を確保できると共にフロントピラー24の剛性を向上させることができる。
さらに、溶接部39では、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Aが第1ピラーアウタパネル38の平坦面42に突き当てられて溶接されている。一般的に、第1ピラーアウタパネル38には、ウインドシールドガラス等を接合するため、一定の面積を有する平坦面42が必要となる。すなわち、図4に示されるように、フロントウインドシールドガラス18の取り付けのため必要な面積が確保された第1ピラーアウタパネル38の平坦面42を確保した上で第1ピラーアウタパネル38の端面38Bを第1ピラーインナパネル36の端部36Aに突き合わせて接合すると、フロントピラーガーニッシュ64が第1ピラーインナパネル36の板厚分フロントピラー24の外側に配置されることになる。これに対し、本実施形態では、図3に示されるように、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Aが第1ピラーアウタパネル38の平坦面42に突き当てられて溶接されていることで、図4の対比例と比べて、第1柱26の断面積を小さくすることができる。換言すると、第1ピラーアウタパネル38の板厚分フロントピラー24の短手方向(幅方向)の寸法を小さくすることができる。これにより、車両運転時により一層広い視界を確保できると共にフロントピラーの22剛性を向上させることができる。
さらにまた、図2に示されるように、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Aにおける外側面46が、第1ピラーアウタパネル38の短手方向の端面38Bと略同一面上に配置されている。したがって、この略同一面上に配置された外側面46及び端面38Bに沿わせながらフロントピラーガーニッシュ64等のフロントピラー24に取り付ける部材の取り付け作業を行うことができる。つまり、フロントピラー24に取り付ける部材を取り付け易くなる。これにより、組付作業性を向上させることができる。
また、溶接部51では、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Bが第2ピラーインナパネル44の短手方向の端面44Dに対して第2ピラーインナパネル44の面内方向内側に配置されている。したがって、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Bに対して第2ピラーインナパネル44の短手方向の端面44Dひいては端部44Cが突出された構成となるため、この突出された端部44Cを用いてオープニングトリム72等のフロントピラー24に取り付ける部材の位置決めを行うことが可能となる。これにより、組付作業性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、溶接部39では、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Aが第1ピラーアウタパネル38の平坦面42に突き当てられて溶接された構成とされているが、これに限らず、図5に示されるように第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Aが第1ピラーアウタパネル38の短手方向の端面38Bに対して第1ピラーアウタパネル38の面内方向内側に配置された構成としてもよい。この場合、この突出された第1ピラーアウタパネル38の端部38Aを用いてフロントピラーガーニッシュ64の位置決めを行うことが可能となる。これにより、組付作業性を向上させることができる。また、同様に、図2に示されるように、第1ピラーインナパネル36の短手方向の端部36Bが第1ピラーアウタパネル38の短手方向の端部38Cにおける端面38Dに対して第1ピラーアウタパネル38の面内方向内側に配置された構成としてもよい。さらに、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Aが第2ピラーインナパネル44の短手方向の端面44Bに対して第2ピラーインナパネル44の面内方向内側に配置された構成としてもよい。
さらにまた、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Bが第2ピラーインナパネル44の短手方向の端面44Dに対して第2ピラーインナパネル44の面内方向内側に配置された構成とされているが、これに限らず、第2ピラーアウタパネル40の短手方向の端部40Bの外側面が、第2ピラーインナパネル44の短手方向の端面44Dと略同一面上に配置された構成としてもよい。
また、第1柱26は、第1ピラーインナパネル36と第1ピラーアウタパネル38とにより構成されていると共に、第2柱28は、第2ピラーインナパネル44と第2ピラーアウタパネル40とにより構成されているが、これに限らず、第1柱26及び第2柱28のいずれか一方をピラーインナパネルとピラーアウタパネルとを溶接部により接合した構成とし、第1柱26及び第2柱28のいずれか他方を押し出し材により形成する等のその他の構成としてもよい。
(第2実施形態)
次に、図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る車両用ピラー構造について説明する。なお、前述した第1実施形態と基本的に同一構成部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
図6に示されるように、この第2実施形態に係る車両用ピラー構造80は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、第1ピラーアウタパネル38と第2ピラーアウタパネル40とがピラーアウタパネル82により一体に構成されていると共に、第1ピラーインナパネル36と第2ピラーインナパネル44とがピラーインナパネル84により一体に構成されている点に特徴がある。
すなわち、ピラーアウタパネル82は、第1ピラーアウタパネル38と第2ピラーアウタパネル40とを有している。第1ピラーアウタパネル38と第2ピラーアウタパネル40とは、上端部と下端部とが連結部86、88を介して一体に連結されている。
ピラーインナパネル84は、第1ピラーインナパネル36と第2ピラーインナパネル44とを有している。第1ピラーインナパネル36と第2ピラーインナパネル44とは、上端部と下端部とが連結部90、92を介して一体に連結されている。
ピラーアウタパネル82は、ピラーインナパネル84に車両幅方向外側から溶接部39、51を介して接合される(図2参照)。これにより、第1柱26及び第2柱28がそれぞれ閉断面構造とされている。換言すると、第1柱26の一部及び第2柱28の一部は、ピラーインナパネル84により構成されていると共に、第1柱26の残りの部分及び第2柱28の残りの部分は、ピラーアウタパネル82により構成されている。
(第2実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
上記構成によっても、第1ピラーアウタパネル38と第2ピラーアウタパネル40とがピラーアウタパネル82により一体に構成されていると共に、第1ピラーインナパネル36と第2ピラーインナパネル44とがピラーインナパネル84により一体に構成されている点以外は第1実施形態の車両用ピラー構造10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、ピラーインナパネル84とピラーアウタパネル82とにより第1柱26と第2柱28とが構成されている。したがって、第1柱26と第2柱28とをそれぞれ別の部材により構成する場合と比べて部品点数を少なくすることができる。これにより、コストを低減することができる。
なお、上述した第1、第2実施形態では、車両用ピラー構造10、80がフロントピラー24に適用された構成とされているが、これに限らず、リヤピラーやクオーターピラー等の他の車両用ピラーに適用されてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 車両用ピラー構造
24 フロントピラー(車両用ピラー)
26 第1柱
28 第2柱
36 第1ピラーインナパネル(ピラーインナパネル)
36A 端部
36B 端部
38 第1ピラーアウタパネル(ピラーアウタパネル)
38A 端部
38B 端面
38C 端部
38D 端面
39 溶接部
40 第2ピラーアウタパネル(ピラーアウタパネル)
40A 端部
40B 端部
42 平坦面
43 平坦面
44 第2ピラーインナパネル(ピラーインナパネル)
44A 端部
44B 端面
44C 端部
44D 端面
46 外側面
50 フロントピラーアウタガラス(透明部材)
51 溶接部
52 平坦面
54 平坦面
56 外側面
80 車両用ピラー構造
82 ピラーアウタパネル
84 ピラーインナパネル

Claims (6)

  1. 略車両上下方向に沿って延設されている第1柱と、前記第1柱に対して所定の間隔を空けて配置されかつ略車両上下方向に沿って延設されている第2柱と、を含んで構成される車両用ピラーの一部を構成すると共に、略車両上下方向を長手方向として延設されているピラーアウタパネルと、
    前記車両用ピラーの他の一部を構成すると共に、略車両上下方向を長手方向として延設されかつ前記ピラーアウタパネルと対向して設けられているピラーインナパネルと、
    前記ピラーアウタパネル及び前記ピラーインナパネルのいずれか一方の短手方向の端部が前記ピラーアウタパネル及び前記ピラーインナパネルのいずれか他方が備えている平坦面に突き当てられて溶接されている溶接部と、
    を有する車両用ピラー構造。
  2. 前記車両用ピラーは、
    前記第2柱の上端部が前記第1柱の上端部と連結されかつ前記第2柱の下端部が前記第1柱の下端部と連結されていると共に、
    前記第1柱と前記第2柱との間に架け渡され、運転席側から見て車両外部が視認可能な透明部材と、
    を有しており、
    前記第1柱及び前記第2柱の少なくとも一方は前記溶接部により接合された前記ピラーインナパネルと前記ピラーアウタパネルとにより構成されている、
    請求項1記載の車両用ピラー構造。
  3. 前記第1柱の一部及び前記第2柱の一部は、前記ピラーアウタパネルにより一体に構成されていると共に、
    前記第1柱の他の一部及び前記第2柱の残りの部分は、前記ピラーインナパネルにより一体に構成されている、
    請求項2記載の車両用ピラー構造。
  4. 前記溶接部では、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部における外側面が、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面と略同一面上に配置されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用ピラー構造。
  5. 前記溶接部では、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか一方の短手方向の端部が、前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の短手方向の端面に対して前記ピラーインナパネル及び前記ピラーアウタパネルのいずれか他方の面内方向内側に配置されている、
    請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両用ピラー構造。
  6. 前記溶接部は、前記ピラーインナパネルの短手方向の端部が前記ピラーアウタパネルの前記平坦面に突き当てられて溶接されている、
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両用ピラー構造。
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