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JP6601403B2 - 液晶配向処理剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向処理剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、基板に対して平行な電界を印加して駆動する液晶表示素子に用いられる液晶配向処理剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
ポリイミドは、耐熱性、機械強度、電気的特性及び耐溶剤性に優れた高分子材料であり、絶縁膜、保護膜、液晶配向膜などのポリイミド膜として、電子材料分野などにおいて、広く用いられている。これらのポリイミド膜を工業的に得ようとする場合は、ポリイミド又はポリイミド前駆体を溶剤に溶かした塗布液を準備し、これを塗布し、焼成する方法が一般的である。
ポリイミド前駆体としては、ポリアミック酸やポリアミック酸エステルなどが用いられる。これらはポリイミドよりも溶剤に対する溶解性が高いので、上記のように塗布液を用いてポリイミド膜を得る方法の場合に、ポリイミドの構造、使用する溶剤の種類などを比較的自由に選択できるという利点がある。これらポリイミド前駆体の塗膜は、200〜400℃で焼成されることでイミド化し、ポリイミド膜とすることできる。
ポリアミック酸は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを反応させることで容易に得られるが、この反応は可逆反応であるため、上記した焼成時の熱で、イミド化と同時にジアミンと酸二無水物への逆反応も進行する。その結果、得られるポリイミドの分子量は、元のポリアミック酸よりも低下することとなり、ポリイミド膜の特性に悪影響を与える可能性がある。一方、ポリアミック酸エステルは、ポリアミック酸のような逆反応は起こらないため、焼成時に分子量の低下は起こらないが、ポリアミック酸に比べて熱によるイミド化が進行しにくく、ポリアミック酸よりも高温でのイミド化が必要となる。
一般的には、上記した焼成温度が高いほどポリイミド前駆体からポリイミドへのイミド化率は高くなる。用途によっては、必ずしもポリイミド膜のイミド化率を100%にする必要は無いが、より低い温度で目的とするイミド化率を達成できれば、エネルギーコストの面で有利であり、また、耐熱性の低い基材にもポリイミド膜を形成することができるという利点がある。
このような課題の解決のために、従来、加熱イミド化時にイミド化促進効果がある種々の化合物を、ポリイミド前駆体組成物に混合する方法が提案されている。例えば、低温焼成でポリアミック酸をイミド化できるものとしてアミノ酸化合物が開示されている(特許文献1参照)。また、ポリアミック酸アルキルエステルのイミド化温度を150℃付近まで低下させるものとして、フェネチルアミンやドデシルアミンなどのアミン化合物が開示されている。(非特許文献1参照)。
さらに、熱によって分解し2級アミンを発生する中性化合物である熱塩基発生剤は、未加熱時にはポリアミック酸のカルボキシ基と塩形成しないため、ポリイミド前駆体組成物の保存安定性がよく、ポリアミック酸の熱イミド化促進剤として有用であることが開示されている(特許文献2参照)。この熱塩基発生剤はポリアミック酸エステルの熱イミド化促進剤としても用いることができるので、ポリイミド前駆体の種類を選ばず用いることができるとも記載されている。
現在、工業的に最も普及している液晶配向膜は、電極基板上に形成されたポリアミック酸誘導体及び/又はこれをイミド化したポリイミドからなる膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステル等の布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことで作製されている。
液晶配向膜の配向過程における膜面のラビング処理は、簡便で生産性に優れた工業的に有用な方法である。しかし、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化への要求は益々高まり、ラビング処理によって発生する配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響、更には、配向処理面内の不均一性などの種々の問題が明らかとなってきている。
ラビング処理に代わる方法としては、偏光された放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。光配向法による液晶配向処理は、光異性化反応を利用したもの、光架橋反応を利用したもの、光分解反応を利用したものなどが提案されている(非特許文献2参照)。
一方、ポリイミドを用いる光配向用の液晶配向膜は、他に比べて高い耐熱性を有することから、その有用性が期待されている。特許文献3では、主鎖にシクロブタン環などの脂環構造を有するポリイミド膜を光配向法に用いることが提案されている。
上記の光配向法は、ラビングレス配向処理方法として、工業的にも簡便な製造プロセスで生産できる利点があるだけでなく、IPS(In-Place-Switching)駆動方式やフリンジフィールドスイッチング(以下、FFS)駆動方式の液晶表示素子においては、上記の光配向法で得られる液晶配向膜を用いることで、ラビング処理法で得られる液晶配向膜に比べて、液晶表示素子のコントラストや視野角特性の向上が期待できるなど、液晶表示素子の性能を向上させることが可能であるため、有望な液晶配向処理方法として注目されている。
IPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子に用いられる液晶配向膜としては、優れた液晶配向性や電気特性などの基本特性に加えて、IPS駆動方式やFFS駆動方式の液晶表示素子において発生する、長期交流駆動による残像の抑制が必要とされる。
しかしながら、光配向法により得られる液晶配向膜は、ラビング処理法によるものに比べて、高分子膜の配向方向に対する異方性が小さいという問題がある。異方性が小さいと充分な液晶配向性が得られず、液晶表示素子とした場合に、残像が発生するなどの問題が発生する。
特許文献4では、ポリアミック酸と特定構造の化合物とを含有する液晶配向処理剤により、交流駆動による残像を抑制できることが提案されている。
また、液晶パネルの残像要求レベルはますます高くなっており、光配向法により得られる液晶配向膜の配向規制力が、ラビング処理により得られる液晶配向膜と同等もしくは同等以上の特性が求められている。
さらに、近年では液晶パネルの製品群が、スマートフォンやタブレットなど多岐にわたっている。これらの製品では軽量化のため、作製した液晶表示素子のガラス面を物理的に研磨する工程が行われている。この工程において、カラムスペーサ上の液晶配向膜とその対向側の基板上の液晶配向膜とが擦れ、液晶配向膜の剥がれが起こる。剥がれた液晶配向膜は異物となり、液晶表示素子の表示欠陥が発生しやすくなる。また、液晶表示素子をスマートフォンやタブレッド端末に使用する場合、液晶表示素子に指押しなどの物理的な衝撃が加わるため、前記と同様に、液晶配向膜の剥がれや異物の発生が、液晶表示素子の表示欠陥として問題となりやすい。
ラビング処理法に代わる、新しい配向処理方法として注目されている光配向処理法において、その液晶配向処理方法が、光分解反応を利用したものの場合、前記のガラス基板の研磨処理やタッチパネル用途における指押し(総称して物理的衝撃ともいう)に伴う液晶配向膜の剥がれや異物の発生が起こりやすくなる。
さらに、中小型製品に限らず、液晶パネルの省電力化が進んでおり、少ない消費電力で画像表示を行う必要が生じてきている。そのため、液晶配向膜特性の一つに、膜透過性に優れる液晶配向処理剤が求められている。
日本特開2007−291405号公報 日本特開2007−56196号公報 日本特開平9−297313号公報 国際公開公報WO2013−054858
W.Volken:Proc.Am.Chem.Soc.Poly m.Mater.Sci.Eng.,1992年,66巻,235−236頁 「液晶光配向膜」木戸脇、市村 機能材料 1997年11月号 Vol.17、 No.11 13〜22頁
本発明は、従来から必要とされてきた特性、特に残像消去時間と液晶配向の安定性を維持しつつ、透過率が高く、表面の凹凸(ラフネス)が少なく、液晶表示素子に対する物理的な衝撃に伴う液晶配向膜の剥がれや異物を抑制できる液晶配向膜を得ることを課題とする。
本発明者は、上記の目的を達成するため、鋭意研究を進めたところ、ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体と、特定構造の化合物とを含有せしめた液晶配向処理剤により、上記の目的を達成し得ることを見出した。かくして、本発明は、下記を要旨とするものである。
1.下記の(A)成分、(B)成分、及びこれらを溶解する溶媒を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
(A)成分:下記式(1)で表される化合物。
Figure 0006601403
(式中、Pは同一の炭素原子が少なくとも2つ以上の窒素原子で置換される構造を少なくとも一つ有し、さらに該窒素原子の内、少なくとも一つは熱により水素原子に置き換わる炭素数1〜24の1価の熱脱離性基で置換されており、
Xは単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表し、
Qはベンゼン環を表すか、ベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。)
(B)成分:ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。
2.前記熱脱離性基が下記式(2)で表されるエステル基である、上記1に記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
(式中、Rは炭素数1〜22の炭化水素である。)
3.前記Pが、下記式(P−1)又は(P−2)のいずれかの基である、上記1又は2に記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
(式中、SとSはそれぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表し、SとSで環構造を形成してもよい。SとSはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、SとSで環構造を形成してもよい。Dは熱により水素原子に置き換わる熱脱離性基である。*はXとの結合手を表す。)
4.前記Pが、下記式(PD−1)又は (PD−2)のいずれかの基である、上記3に記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
(式中、*はXとの結合手を表し、Dは熱で水素原子に置き換わる熱脱離性基である。)
5.(A)成分が、式(1)におけるXが単結合であり、QがT−Q’である下記式(3)で表される化合物である上記4に記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
(式中、Pは、前記式(PD−1)又は(PD−2)のいずれかで表される基を示し、Tは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、又は炭素数2〜6のアルキニレン基を示し、これらの任意の炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子又は水酸基(OH基)で置き換えられてもよい。Q’は炭素数6〜18の芳香族炭化水素を表す。)
6.(A)成分が、下記式(4−1)又は(4−2)で表される上記1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
(式中、P及びTは、上記と同様の定義である。)
7.(A)成分が、下記式(A−1)及び(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
Figure 0006601403
8.(B)成分が0.1〜20質量%含有され、(A)成分が、該(B)成分に対して0.1〜20質量%含有され、溶媒が76〜99.5質量%含有される上記1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
9.前記(B)成分の重合体が、ポリアミド酸アルキルエステルである上記1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
10.上記1〜9のいずれかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
11.上記1〜9のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて、インクジェット法にて得られる液晶配向膜。
12.上記10又は11に記載の液晶配向膜に、偏光された放射線を照射して得られる液晶配向膜。
13.上記10〜12のいずれかに記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
本発明の液晶配向処理剤により、従来に比べて、少量で加熱時のイミド化が促進されると共に、交流駆動による残像特性に優れる液晶配向膜が得られ、液晶配向膜表面のラフネスが低減されるため、物理的衝撃に対する耐性に優れること、添加化合物の耐熱性が高いため、焼成時のポリイミド膜の熱劣化が抑制され、着色の少ない液晶配向膜が得られることが分かった。
本発明の液晶配向処理剤から形成される液晶配向膜は、表面ラフネス値が低く、イミド化率の高いポリイミド膜を有し、交流駆動による残像特性に優れ、液晶表示素子に対する物理的な衝撃に伴う液晶配向膜の剥がれや異物の発生を抑制し、液晶表示素子の透過率特性を高め、消費電力を低減することができ、偏光された放射線を照射して得られる光配向処理法用の液晶配向膜として有用である。
<(A)成分の化合物>
本発明の液晶配向処理剤は、(A)成分である下記式(1)で表される構造の化合物を含有することを特徴とする。
Figure 0006601403
式(1)において、Pは同一の炭素原子が少なくとも2つ以上の窒素原子で置換される基を少なくとも一つ有し、さらに該窒素原子の内、少なくとも一つは熱により水素原子に置き換わる炭素数1〜24の1価の熱脱離性基で置換されている。
Xは単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表す。なかでも、合成の容易性から、単結合、−CONH−、−NHCO−等が好ましい。
Qはベンゼン環を表すか、ベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。
Qとしては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
なかでも、耐熱性と入手容易性の観点から、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ナフチルメチル基等が好ましい。
式(1)で表される構造の化合物としては、熱脱離性基が下記式(2)で表されるエステル基である化合物が好ましい。
Figure 0006601403
(式中、Rは炭素数1〜22の炭化水素である。)
としては、炭素数1〜14の炭化水素が好ましく、熱脱離能の高さから、tert-ブチル基がより好ましい。
前記Pとしては、下記式(P−1)又は(P−2)のいずれかの基が好ましい。
Figure 0006601403
(式中、SとSはそれぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表し、SとSで環構造を形成してもよい。SとSはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、SとSで環構造を形成してもよい。Dは熱により水素原子に置き換わる熱脱離性基である。*はXとの結合手を表す。)
前記Pとしては、下記式(PD−1)又は (PD−2)のいずれかの基が好ましい。
Figure 0006601403
(式中、*はXとの結合手を表し、Dは熱で水素原子に置き換わる熱脱離性基である。)
また、式(1)で表される構造の化合物としては、式(1)におけるXが単結合であり、QがT−Q’である下記式(3)で表される化合物が望ましい。
Figure 0006601403
(式中、Pは、前記式(PD−1)又は(PD−2)のいずれかで表される基を示し、Tは炭素数1〜6のアルキレン、炭素数2〜6のアルケニレン基、又は炭素数2〜6のアルキニレン基を示し、これらの任意の炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子又は水酸基(OH基)のいずれかで置き換えられてもよい。Q’は炭素数6〜18の芳香族炭化水素を表す。)
Tとしては、メチレン、エチレン、トリメチレン、又はテトラメチレンが好ましく、原料の入手容易性の点からメチレンが特に好ましい。
Q’としては、炭素数6〜12の芳香族炭化水素が好ましく、より好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
なかでも、耐熱性と入手容易性の観点から、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
式(3)で表される構造の化合物としては、下記式(4−1)又は(4−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006601403
(式中、P及びTは、前記と同様の定義である。)
式(1)又は(3)で表される構造の化合物の具体例としては、下記式(A−1)又は(A−2)の化合物が挙げられる。
Figure 0006601403
(A)成分としては、上記式(A−1)及び(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。中でも、(A−1)の1種の化合物がより好ましい。
(A)成分である式(1)で表される構造の化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、多すぎると液晶配向性を阻害してしまう可能性があり、少なすぎると本発明に記載の効果が得られない恐れがある。そのため、式(1)で表される構造の化合物の添加量は、(B)成分のポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
<(A)成分である化合物の製造方法>
(A)成分である化合物は、例えば、下記の方法で製造することが出来る。
Figure 0006601403
本反応は、化合物(A−1)と二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアラルキル又はハロゲン化物と反応させ、化合物(A)を製造する反応である。
上記反応式中、S、S、Q及びDは、上記と同様の定義である。
本反応に用いることができる二炭酸ジアルキルとしては、二炭酸ジ−t−ブチル、二炭酸 ジ(9−フルオレニルメチル)等が挙げられる。
ハロゲン化物としては、t−ブトキシカルボニルクロリド、9−フルオレニルメチルカルボニルクロリド等が挙げられる。
二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアラルキル又はハロゲン化物の使用量は、化合物(A−1)1.0モル当量に対して、1.0〜3.0モル当量程度であり、好ましくは1.0〜2.5モル当量である。
また、二炭酸ジアルキル、二炭酸ジアラルキル又はハロゲン化物は単独又は組み合わせて使用する事ができる。
上記反応には必要に応じ、塩基を添加することができる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基類;ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類;ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等の有機リチウム類;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等の有機リチウムアミド類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド類;等が挙げられる。この中でも、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン等の塩基類が好ましい。
塩基は化合物(A−1)1.0モル当量に対して、0〜10モル当量程度とすることができるが、好ましくは0〜3モル当量である。
反応溶媒は、当該反応条件化において安定であり、かつ不活性で反応を妨げないものであれば特に制限は無く、例えば、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラヒドロナフタリン等の芳香族炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;1,3−ジメチルイミダゾリジノン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素等の尿素類;ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、5−エチル−2−ピコリン等のピリジン類;が挙げられる。これらは単独又は組合せて使用できる。中でも、ハロゲン化炭化水素類が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
(A−1)から(A)を製造する反応は、幅広い温度域で行なうことができる。しかし、反応試剤の使用量を含めて、経済的な製造を考慮した場合の好適な温度範囲は、通常−80〜100℃、特に−20〜50℃で行なうことが好ましい。また、室温で行うこともできる。
反応時間は、用いる試剤の量、濃度、反応温度等により異なるが、通常は0.1〜20時間、好ましくは0.5〜10時間で終了するように、条件を設定することが好ましい。
Figure 0006601403
また、式(1)において、基(P−2)(S、Sが水素原子である。)を有する化合物は、上記スキームにより得ることができる。
例えば、式(A−2)[式中、Dは前記と同様の定義を表し、Rはメチル、エチル等の低級アルキル基を表す。]で表される化合物1当量と、1〜50当量の式(A−3)[式中、Qは前記と同じ意味を表す。]で表される化合物又はその塩とを、例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸、アセトニトリル、水又はこれらの任意の割合の混合物等を溶媒として用い、必要ならば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基1〜20当量の存在下、0℃からこれらの溶媒の還流温度の範囲で、5分から24時間反応させることにより得られる。
さらに、反応速度を促進する目的で、添加剤を使用することができる。当該添加剤としては、N-ヨードスクシンイミド等が挙げられる。
上記式(A−2)及び(A−3)で表される化合物のいくつかは公知化合物であり、一部は市販品として入手できる。また、それ以外のものも、公知の1級アミン類の一般的な合成方法に準じて容易に得ることができる。
(A)成分である化合物を製造する際の反応は、回分式又は連続式の何れでも実施可能であり、反応により求められる基質の濃度、転化率、生産性等により選択することが可能である。
反応終了後は、必要により溶媒を留去し、続いて蒸留により直接目的物を得るか、又は粗反応物に水及び水と混合しない溶媒を加えて充分に洗浄後、有機層より蒸留、カラムクロマトグラフィー等の常法処理を行うことにより、目的とする(A)成分である化合物を精製・単離することが可能である。
<(B)ポリイミド前駆体及びポリイミド>
本発明の液晶配向処理剤に含まれる(B)成分は、ポリイミド前駆体及びそのイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の重合体である。
<ポリイミド前駆体>
本発明のポリイミド前駆体は、下記式(B)で表される構造単位を有する。
Figure 0006601403
式(B)において、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基である。Rは、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であり、A〜Aは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、又は炭素数2〜10のアルキニル基である。
におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などが挙げられる。加熱によるイミド化のしやすさの観点から、Rは、水素原子、又はメチル基が好ましい。
式(B)において、Xはテトラカルボン酸誘導体由来の4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。ポリイミド前駆体中、Xは2種類以上が混在していてもよい。Xの具体例を示すならば、WO(国際公開)2013/054858(2013.4.18公開)の11頁〜12頁に掲載される、式(X−1)〜(X−44)の構造が挙げられる。
上記式(X−1)におけるR21〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、又はフェニル基である。R21〜R24が嵩高い構造である場合、液晶配向性を低下させる可能性があるため、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(B)において、Xはモノマーの入手性の観点から、(X−1)〜(X−14)から選ばれる構造を含有することが好ましい。
上記(X−1)〜(X−14)から選ばれる構造の好ましい割合としては、X全体の20モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
式(B)において、A及びAは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は置換基を有してもよい炭素数2〜10のアルキニル基である。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、上記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造を、CH=CH構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。アルキニル基としては、前記のアルキル基に存在する1つ以上のCH−CH構造をC≡C構造に置き換えたものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基などが挙げられる。
上記のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は置換基を有していてもよく、更には置換基によって環構造を形成してもよい。なお、置換基によって環構造を形成するとは、置換基同士又は置換基と母骨格の一部とが結合して環構造となることを意味する。
この置換基の例としては、ハロゲン基、水酸基、チオール基、ニトロ基、アリール基、オルガノオキシ基、オルガノチオ基、オルガノシリル基、アシル基、エステル基、チオエステル基、リン酸エステル基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などを挙げることができる。
置換基であるハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
置換基であるアリール基としては、フェニル基が挙げられる。このアリール基には、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるオルガノオキシ基としては、O−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基などが挙げられる。
置換基であるオルガノチオ基としては、−S−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基などが挙げられる。
置換基であるオルガノシリル基としては、−Si−(R)で表される構造を示すことができる。このRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。オルガノシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基などが挙げられる。
置換基であるアシル基としては、−C(O)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。アシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
置換基であるエステル基としては、−C(O)O−R、又は−OC(O)−Rで表される構造を示すことができる。それぞれのRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるチオエステル基としては、−C(S)O−R、又は−OC(S)−Rで表される構造を示すことができる。このRとしては、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるリン酸エステル基としては、−OP(O)−(OR)2で表される構造を示すことができる。それぞれのRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアミド基としては、−C(O)NH、又は、−C(O)NHR、−NHC(O)R、−C(O)N(R)、−NRC(O)Rで表される構造を示すことができる。それぞれのRは同一でも異なってもよく、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などを例示することができる。これらのRには、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアリール基としては、前述したアリール基と同じものを挙げることができる。このアリール基には前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルケニル基としては、前述したアルケニル基と同じものを挙げることができる。このアルケニル基には、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には、前述した置換基がさらに置換していてもよい。
一般に、嵩高い構造を導入すると、アミノ基の反応性や液晶配向性を低下させる可能性があるため、A及びAとしては、水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
式(B)において、Yはジアミン由来の2価の有機基であり、その構造は特に限定されない。Yの構造の具体例を示すならば、WO2014/010402(2014.1.16公開)の13頁〜18頁に掲載される、(Y−1)〜(Y−114)及び下記式(Y−115)〜(Y−122)が挙げられる。
Figure 0006601403
(Y−117)中、jは0から3の整数である。(Y−120)中、n2及びn3は、それぞれ独立に、1から3の整数である。)
得られる液晶配向膜の液晶配向性又はプレチルト角をさらに付与したい場合は、Yの構造を有する基としては、下記式(5)及び(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であるのが好ましい。
Figure 0006601403
式(5)中、R12は単結合、又は炭素数1〜30の2価の有機基であり、R13は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜30の1価の有機基である。aは1〜4の整数であり、aが2以上の場合は、R12及びR13は、互いに同一でも異なっていてもよい。式(6)中のR14は、単結合、−O−、−S−、−NR15−、アミド結合、エステル結合、ウレア結合、又は炭素数1〜40の2価の有機基であり、R15は、水素原子、又はメチル基である。
直線性の高い構造は、液晶配向膜としたときに液晶の配向性を高めることができるため、Y1としては、Y−7、Y−21〜Y−23、Y−25、Y−43〜Y−46、Y−48、Y−63、Y−71〜Y−75、Y−98〜Y−100又はY−118がさらに好ましい。
液晶配向性を高めることができる上記構造の割合としては、Y全体の20モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
液晶配向膜としたときに液晶のプレチルト角を高くしたい場合には、側鎖に長鎖アルキル基、芳香族環、脂肪族環、ステロイド骨格、又はこれらを組み合わせた構造をY1に有すること好ましい。そのようなY1としては、Y−76〜Y−97のいずれかが好ましい。プレチルト角を高くしたい場合の上記構造の割合としては、Y全体の1〜30モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましい。
また、(B)成分の重合体として光配向性側鎖を有するポリイミド(前駆体)を用いる場合、光反応性側鎖を有するポリイミド(前駆体)を用いることが好ましい。例えば、国際公開公報WO2014/142168(2014.9.12公開)の14頁〜17頁に掲載される、[0033]〜[0041]中の式(b)で表される光反応性側鎖が挙げられる。
また、主鎖に光配向性基を有するポリイミド前駆体を用いても良い。例えば、国際公開公報WO2013/002345(2013.1.13公開)の54頁〜57頁に掲載される、[0075]〜[0080]中の式[4]が挙げられる。
本発明に用いるポリイミド前駆体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体との反応から得られるものであり、ポリアミック酸やポリアミック酸エステル等が挙げられる。
<(B)成分である重合体の製造方法>
ポリアミック酸の製法は、例えばWO2014/092170(2014.6.19公開)の27項〜30項に掲載される、[0096]〜[0102]の方法で得られる。ポリアミック酸エステルは、例えば、WO2014/010402(2014.1.16公開)の19頁〜22頁に掲載される、[0074]〜[0088]の方法で得られる。
ポリイミドの製法は、例えば、WO2014/092170(2014.6.19公開)の27項〜30項に掲載される、[0103]〜[0106]の方法で得られる。
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、液晶配向膜(樹脂被膜ともいう)を形成するための塗布溶液であり、(A)成分(以下、特定化合物とすることがある。)、(B)成分(以下、特定ポリイミド系重合体とすることがある。)及び溶媒を含有する、液晶配向膜を形成するための塗布溶液である。
本発明の液晶配向処理剤における(A)成分である特定化合物の割合は、(B)成分である特定ポリイミド系重合体100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。なかでも、0.5〜15質量部がさらに好ましい。
本発明の液晶配向処理剤におけるすべての重合体成分は、すべてが(B)成分の重合体であってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていても良い。それ以外の重合体としては、セルロース系重合体、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリスチレン、ポリアミド、ポリシロキサンなども挙げられる。その際、それ以外の他の重合体の含有量は、本発明の特定ポリイミド系重合体100質量部に対して、0.5〜15質量部であることが好ましい。なかでも、1〜10質量部が好ましい。
また、本発明の液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、76〜99.5質量%であることが好ましく、80〜99質量%がより好ましい。溶媒の含有量は、液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする液晶配向膜の膜厚によって、適宜変更することができる。
本発明の液晶配向処理剤に用いる溶媒は、本発明の(A)成分である特定化合物、及び(B)成分である特定ポリイミド重合体を溶解させる溶媒(良溶媒ともいう)であれば特に限定されない。下記に、良溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。
なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
さらに、特定化合物及び特定ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性が高い場合は、下記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
Figure 0006601403
(Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Dは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
本発明の液晶配向処理剤における良溶媒は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の20〜99質量%であることが好ましい。なかでも、20〜90質量%が好ましい。より好ましくは、30〜80質量%である。
本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう)を用いることができる。貧溶媒の具体例として、国際公開公報WO2014/084362(2014.6.5公開)の27頁〜28項に掲載される、段落[0057]で示される溶媒が挙げられる。これら貧溶媒は、液晶配向処理剤に含まれる溶媒全体の1〜90質量%であることが好ましい。なかでも、1〜80質量%が好ましい。より好ましくは5〜70質量%である。
本発明の液晶配向処理剤には、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基はシクロカーボネート基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を導入することもできる。これら置換基や重合性不飽和結合は、架橋性化合物中に2個以上有する必要がある。具体例として、国際公開公報WO2014/092126(2014.6.19公開)の44頁〜54頁に掲載される、段落[0192]〜[0232]で示される架橋剤が挙げられる。
上記化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向処理剤に用いる架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の液晶配向処理剤における、架橋性化合物の含有量は、すべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。なかでも、架橋反応が進行し、目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましい。より好ましいのは、1〜50質量部である。
本発明の液晶配向処理剤は、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向処理剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向処理剤に含有されるすべての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
さらに、本発明の液晶配向処理剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。このアミン化合物は、液晶配向処理剤に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒としては、上述した特定化合物及び特定ポリイミド系重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。
本発明の液晶配向処理剤には、上記の貧溶媒、架橋性化合物、樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物、及び電荷抜けを促進させる化合物の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
本発明の液晶配向処理剤の調製方法は、特に限定されない。例えば、溶剤に溶解した(B)成分の溶液に、(A)成分を所定の割合で混合して均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じて、上記架橋性化合物、樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物、電荷抜けを促進させる化合物、誘電体や導電物質等をさらに添加して混合する方法が挙げられる。
本発明の液晶配向処理剤の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる(B)成分である重合体の溶液をそのまま使用することができる。この場合、例えば、(B)成分の溶液に、前記と同様に、(A)成分等を入れて均一な溶液とする。この際に、濃度調整を目的として、さらに溶剤を添加してもよい。このとき、(B)成分の生成過程で用いられる溶剤と、硬化膜形成組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく、また異なってもよい。
また、調製された液晶配向処理剤の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向処理剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られる膜である。本発明の液晶配向処理剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板等とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。本発明の液晶配向処理剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される溶媒を十分に除去するために、50〜120℃で1〜10分焼成し、その後、150〜300℃で5〜120分焼成する条件が挙げられる。焼成後の液晶配向膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
得られた液晶配向膜を配向処理する方法としては、前記ラビング処理法、光配向処理法などが挙げられる。
光配向処理法の具体例としては、前記液晶配向膜の表面に、一定方向に偏向された放射線を照射し、場合によっては、さらに150〜250℃、好ましくは230〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向性(液晶配向能ともいう)を付与する方法が挙げられる。放射線としては、好ましくは100〜800nm、より好ましくは、100〜400nm、特に好ましくは、200〜400nmの波長を有する紫外線である。
また、液晶配向性を改善するために、液晶配向膜が塗膜された基板を50〜250℃、好ましくは230〜250℃で加熱しながら、放射線を照射してもよい。また、前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cmが好ましく、100〜5,000mJ/cmがより好ましい。このようにして作製した液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
さらに、前記の手法で、偏光された放射線を照射した液晶配向膜に、水や溶媒を用いて、接触処理をすることもできる。接触処理に使用する溶媒としては、放射線の照射によって液晶配向膜から生成した分解物を溶解する溶媒であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシルなどが挙げられる。なかでも、汎用性や溶媒の安全性の点から、水、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルが好ましい。より好ましいのは、水、1−メトキシ−2−プロパノール又は乳酸エチルである。これらの溶媒は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
前記接触処理としては、浸漬処理や噴霧処理(スプレー処理ともいう)が挙げられる。処理時間は、放射線によって液晶配向膜から生成した分解物を効率的に溶解させる点から、10秒〜1時間が好ましく、1〜30分間浸漬処理をすることがより好ましい。また、前記接触処理時の溶媒の温度は、常温でも加温しても良いが、10〜80℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。加えて、分解物の溶解性の点から、必要に応じて、超音波処理などを行っても良い。
前記接触処理の後に、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの低沸点溶媒によるすすぎ(リンスともいう)や液晶配向膜の焼成を行うことが好ましい。その際、リンスと焼成のどちらか一方、又は、両方を行っても良い。焼成の温度は、150〜300℃であることが好ましい。なかでも、180〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。また、焼成の時間は、10秒〜30分が好ましく、1〜10分がより好ましい。
本発明の液晶配向膜は、IPS(In−Plane Switching )駆動方式やフリンジフィールドスイッチング(FFSともいう)方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適であり、特に、FFS方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して得られる。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えば、ITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOからなる膜とすることができる。次に、前記のような条件で、各基板の上に液晶配向膜を形成し、一方の基板に他方の基板を互いの液晶配向膜面が対向するようにして重ね合わせ、周辺をシール剤で接着する。シール剤には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサを混入しておく。また、シール剤を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサを散布しておくことが好ましい。シール剤の一部には、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておく。
その後、シール剤に設けた開口部を通じて、2枚の基板とシール剤で包囲された空間内に液晶材料を注入する。その後、この開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。液晶材料としては、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれを用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付ける。
本発明の液晶配向処理剤を用いることで、液晶表示素子に対する物理的な衝撃に伴う液晶配向膜の剥がれや異物の発生を抑制することができる液晶配向膜を得ることができる。さらに、液晶表示素子の透過率特性を高め、液晶表示素子の消費電力を低減することができる液晶配向膜を得ることができる。また、表面ラフネス値が低く、イミド化率の高いポリイミド膜が得られるため、交流駆動による残像特性に優れる液晶配向膜が得られる。特に、偏光された放射線を照射して得られる光配向処理法用の液晶配向膜に対して有用である。よって、本発明の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビ、中小型のスマートフォンやタブレット端末などに好適に利用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、これらに限定されるものではない。
なお、H-NMRの測定装置、測定条件は以下の通りである。
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian社製)400MHz
溶媒:重水素化クロロホルム(CDCl3)
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
積算回数:8
[合成例1]X−1の合成
Figure 0006601403
マグネチックスターラーを備えた200mL四口フラスコに、塩化メチレン73.2g、 N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−S−メチルイソチオ尿素4.00g(13.8mmol)、ベンジルアミン1.77g(1.2 eq)、及びトリエチルアミン(EtN) 2.83g(2.0eq)を仕込み、窒素置換した後に、N−ヨードスクシンイミド(NIS)3.10g(1.0eq)を添加して、室温中で撹拌した。3時間後、ベンジルアミン2.22g(1.5eq)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)1.54g(1.0eq)、及びトリエチルアミン(EtN)1.39g(1.0eq)を加え、更に40時間反応させた。反応終了後、1.0Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(50 ml)で2回、0.5M塩酸水溶液(50ml)で2回、塩化メチレン層を洗浄した。その後、純水(100ml)で2回水洗を行い、塩化メチレン層を回収した。回収した塩化メチレン層を、減圧濃縮することで黄色結晶を回収し、メタノール28.7gに50℃で溶解させた。次いで、氷冷条件下で再結晶を行い、(X−1)を3.02g得た。(収率:63%、性状:白色結晶)
H−NMR(400MHz)inCDCl:11.5ppm(S,1H), 8.59ppm(s,1H),7.37−7.27ppm(m,5H),4.64 ppm(d,J=1.2Hz,2H),1.51ppm(s,9H),1.49 ppm(s,9H)
[合成例2]X−2の合成
Figure 0006601403
マグネチックスターラーを備えた100mL四口フラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド29.4g、ナファゾリン塩酸塩5.88g(23.8mmol)、及びトリエチルアミン(EtN)2.65g(1.1eq)を仕込み、氷冷中、N,N−ジメチルホルムアミド11.8gに溶解させた二炭酸ジ−tet−ブチル(BocO)5.80g(1.1eq)を滴下した。滴下後、室温に昇温して、1時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル120gで希釈し、0.3M塩酸水溶液120gで1回、純水120gで2回洗浄した。分離した有機相を濃縮することで黄色オイル状化合物を得た。得られたオイル状化合物をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=1/1vol)で精製し、(X−2)を3.57g得た(収率:48%,性状:薄黄色オイル状化合物)。
H−NMR(400MHz) in CDCl: 7.95ppm(d,J=8.4 Hz, 1H),7.85ppm(d,J=7.6Hz,1H),7.76 ppm(d,J=8.0Hz,1H),7.51−7.33ppm(m,3H),7.33ppm(d,J=6.8Hz,1H),4.48ppm(s,2H),3.85−3.83ppm(m,2H),3.77−3.75(m,2H),1.37ppm(s,9H).
[合成例3]Z−3の合成
Figure 0006601403
マグネチックスターラーを備えた300mL四口フラスコ中、クロロホルム76.2gに2−ウンデシルイミダゾリン12.7g(56.6mmol)を懸濁させ、50oCに加熱し、クロロホルム12.7gで希釈した二炭酸ジ−tet−ブチル(BocO)13.1g(1.05eq)を滴下し、同温で撹拌した。3時間後、二炭酸ジ−tet−ブチル(BocO)2.47g(0.20eq)を追加し、更に1時間反応させた。反応終了後、ろ過により反応溶液から不溶物を除去し、クロロホルムを減圧留去した。残渣を酢酸エチル76.8gで希釈し、純水50.9gで3回洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムにより脱水した。続いて、有機相に活性炭0.62g(特製白鷺dry品、日本エンバイロケミカル社製)を加えて室温で30分撹拌し、ろ過し、乾燥することで薄黄色のオイル状化合物(粗物)を回収した。得られた粗物を、シリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=1/1vol)で精製し、(Z−3)を10.8g得た(収率:59%,性状:薄黄色オイル)。
H−NMR(400MHz)in CDCl:3.73ppm(s,4H), 2.67ppm(t,J=7.6 Hz,2H),1.66−1.60ppm(m,2H),1.49ppm(s,9H),1.37−1.25ppm(m,16H),0.88ppm(t,J=7.2Hz,3H).
使用した化合物の略号は下記のとおりである。
<ポリイミド系重合体を作製するためのモノマー>
Figure 0006601403
Figure 0006601403
Figure 0006601403
Figure 0006601403
Figure 0006601403
(テトラカルボン酸成分)
Figure 0006601403
Figure 0006601403
<特定化合物>
Figure 0006601403
Figure 0006601403
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン NEP:N−エチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
<ポリイミド系重合体の分子量の測定>
ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
<ポリイミドのイミド化率の測定>
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
式中、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
<液晶セルの作製>
各液晶配向処理剤を用いて、以下のようにして液晶セルを作製した。
液晶配向処理剤を1.0μmのフィルターで濾過した後、ガラス基板上に、第1層目に電極として膜厚50nmのITO電極を、第2層目に絶縁膜として膜厚500nmの窒化珪素を、第3層目に電極として櫛歯形状のITO電極(電極幅:3μm,電極間隔:6μm,電極高さ:50nm)を有するFFS駆動用電極が形成されているガラス基板に、スピンコート塗布にて液晶配向処理剤を塗布した。その後、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、250℃の熱風循環式オーブンで60分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。
製造例1、製造例3〜6、製造例9〜14、及び比較製造例1〜5の液晶配向処理剤から形成された塗膜に、塗膜面に偏光板を介して、254nmの紫外線を500mJ/cm照射し、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない、高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
また、製造例2、製造例7、及び製造例15〜18の液晶配向処理剤から形成されたポリイミド膜を、レーヨン布でラビング(ロール径120mm、回転数1000rpm、移動速度20mm/sec、押し込み量0.4mm)した後、純水中にて1分間超音波照射を行い、80℃で10分間乾燥して、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として電極が形成されていない、高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、同様に塗膜を形成させ、配向処理を施した。
前記光配向処理又はラビング配向処理を行った液晶配向膜付きのITO透明電極付きの基板に関して、同一の処理を行った基板を2枚用意し、これら2枚の基板を一組とし、基板上にシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い配向方向が0°になるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2041(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、FFS方式の液晶セルを得た。
<ラビング処理耐性の評価>
前記光配向処理又はラビング処理を行った液晶配向膜付きのITO透明電極付きの基板に対して、ラビング処理を行った。具体的には、これらの処理を行ったITO透明電極付きの基板の液晶配向膜面を、ロール径が120mmのラビング処理装置で、レーヨン布を用いて、ロール回転数:500rpm、ロール進行速度:20mm/sec、押し込み量:0.6mmの条件でラビング処理した。
得られた液晶配向膜の表面を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、表面状態の観察を行った。具体的には、基板中心付近の液晶配向膜の表面を、倍率100倍に設定した共焦点レーザー顕微鏡で無作為に5箇所観察し、観察視野である約6.5mm四方の範囲に確認されるラビング傷及びラビング削れカス(付着物)量の平均値から、ラビング処理耐性を評価した。なお、評価基準は、次のように定めた。
(評価基準)
A:傷や削れカス20個以下
B:傷や削れカス20〜40個
C:傷や削れカス40個以上
なお、評価基準がAに近いものほど、すなわち、ラビング傷やラビング削れカスが少ないものほど、ラビング処理耐性に優れるとした。この結果は表5〜7に示す。
<透過率>
石英基板上に、前記(液晶セルの作製)と同様の配向処理を行った液晶配向膜を形成させた。得られた塗膜の透過率を島津製作所社製の紫外可視分光光度計(UV−3100PC)を用いて測定し、360〜800nmの透過率の平均値を算出した。値が大きいものほど、良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
<表面ラフネス>
ITO基板上に、前記(液晶セルの作製)と同様の配向処理を行った液晶配向膜を形成させた。この塗膜の膜表面をエスアイアイ・テクノロジー社製の原子間力顕微鏡(L−traceプローブ顕微鏡)で観察し、膜表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定し、膜表面の平坦性を評価した。値が小さいものほど、良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
<交流駆動による残像の評価>
前記FFS方式の液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±10Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで、液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δ(°)として算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δ(°)を算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ(°)の平均値を、液晶セルの角度Δ(°)として算出した。本評価においては、液晶セルの角度Δ(°)の値が小さいものほど良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
<電荷緩和測定>
前記FFS方式の液晶セルを光源上に置き、25℃の温度下でのV−T特性(電圧−透過率特性)を測定した後、±3V/120Hzの矩形波を印加した状態での液晶セルの透過率(Ta)を測定した。その後、25℃の温度下で、±3V/120Hzの矩形波10分間印加した後、直流2Vを重畳し60分間駆動させた。直流電圧を切り、交流駆動60分駆動させた時の液晶セルの透過率(Tb)を測定し、初期の透過率(Ta)との差(ΔT)から液晶表示素子内に残留した電圧により生じた透過率の差を算出した。本評価においては、透過率の差(ΔT)が小さいものほど良好とした(表5〜7に、評価結果を示す)。
<ポリイミド系重合体の合成>
[合成例4]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、F2(3.92g,20.0mmol)を量り取り、NMP(55.8g)を加えて、窒素雰囲気下において、撹拌しながらD1(2.09g,19.3mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は300mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,000、重量平均分子量は23,200であった。
[合成例5]
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、E2(6.60g,31.0mmol)及びNMP(70.7g)を量り取り、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(6.94g,31.0mmol)、及び固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(2)を得た。このポリアミド酸溶液の25℃における粘度は300mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は12,000、重量平均分子量は25,200であった。
[合成例6]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、D1(2.92g,27.0mmol)及びA1(0.71g,2.99mmol)を量り取り、NMP(81.8g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(6.46g,28.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(3)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は230mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,100、重量平均分子量は30,000であった。
[合成例7]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、C1(7.68g,36.0mmol)及びE1(0.61g,4.01mmol)を量り取り、NMP(24.0g)及びγ−BL(6.00g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F5(6.34g,32.0mmol)及びγ−BL(12.0g)を添加し、25℃で2時間撹拌した。その後、F6(1.74g,7.98mmol)及び固形分濃度が10質量%になるようにγ−BLを添加して、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(4)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は460mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は12,000、重量平均分子量は24,000であった
[合成例8]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、B1(5.97g,20.0mmol)を量り取り、NMP(75.9g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F3(5.53g,18.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌してポリアミド酸溶液(5)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は400mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,500、重量平均分子量は24,400であった。
[合成例9]
撹拌装置付きの500mLの四つ口フラスコを窒素雰囲気とし、D1(2.80g,25.9mmol)を量り取り、A1(1.45g,6.11mmol)を添加し、NMP(111g)及びピリジン(6.18g)を加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながら、F4(9.89g,30.4mmol)を添加し、15℃で15時間反応させた。その後、アクリロイルクロライド(0.38g)を加えて、15℃で4時間反応させた。得られたポリアミド酸アルキルエステルの溶液を、水(1230g)に撹拌しながら滴下した。次いで、析出した白色沈殿を濾取し、その後、IPA(イソプロピルアルコール)(1230g)で5回洗浄し、乾燥して、白色のポリアミド酸アルキルエステル粉末(10.2g)を得た。このポリアミド酸アルキルエステルの数平均分子量は20,800、重量平均分子量は41,000であった。得られたポリアミド酸アルキルエステル粉末(0.80g)を100mL三角フラスコに量り取り、γ−BL(7.18g)を加え、25℃で24時間攪拌し溶解させて、固形分濃度が10質量%のポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)を得た
[合成例10]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、A1(0.47g,1.98mmol)及びD2(4.40g,18.0mmol)を量り取り、NMP(59.5g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(4.15g,18.5mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌してポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液(66.0g)に、NEPを加え9質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(5.38g)及びピリジン(1.39g)を加え、60℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(360ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、60℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は75%であり、数平均分子量は10,100、重量平均分子量は20,500であった。
[合成例11]
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、D1(2.16g,20.0mmol)を量り取り、NMP(31.6g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F1(4.21g,18.8mmol)を添加し、さらに、固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(8)を得た。このポリアミド酸溶液の温度25℃における粘度は250mPa・sであった。また、このポリアミド酸の数平均分子量は11,500、重量平均分子量は24,400であった。
[合成例12]
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、E2(2.78g,14.0mmol)を量り取り、NMP(17.4g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F7(2.10g,6.99mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(1.26g,6.42mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(9)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は15,200、重量平均分子量は47,500であった。
[合成例13]
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.49g,5.00mmol)及びD3(1.43g,5.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F8(1.25g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(0.98g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(10)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は12,200、重量平均分子量は36,100であった。
得られたポリアミド酸溶液(10.0g)に、NMPを加えて5質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.24g)及びピリジン(0.87g)を加え、50℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(150ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末(10)を得た。このポリイミドのイミド化率は50%であり、数平均分子量は24,800、重量平均分子量は88,000であった。
[合成例14]
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.49g,5.00mmol)及びD3(1.43g,5.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F9(1.12g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F2(0.98g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(11)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は13,200、重量平均分子量は39,000であった。
[合成例15]
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mLの四つ口フラスコに、B1(1.79g,5.00mmol)及びD4(0.60g,4.00mmol)を量り取り、NMP(12.0g)を加えて、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、F11(1.12g,5.00mmol)を添加し、25℃で2時間撹拌した。次に、F10(1.53g,5.00mmol)と固形分濃度が10質量%になるようにNMPを加え、25℃で4時間撹拌して、ポリアミド酸溶液(12)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は9,800、重量平均分子量は21,000であった。
(製造例1〜18及び比較製造例1〜6)
なお、製造例及び比較製造例で得られた各液晶配向処理剤の物性(特性)は、まとめて表2〜4に示す。
[製造例1]
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(1)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例2]
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.025g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(2)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例3]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(3)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例4]
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(4)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例5]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例11で得られたポリアミド酸溶液(8)(3.30g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(5)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例6]
合成例5で得られたポリアミド酸溶液(2)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(6)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例7]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、NMP(3.90g)、γ−BL(0.87g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(7)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例8]
合成例8で得られたポリアミド酸溶液(5)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(8)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例9]
合成例10で得られたポリイミド粉末(7)(0.60g)に、NMP(5.00g)、γ−BL(2.74g)及びNEP(5.15g)を加え、70℃にて24時間攪拌して溶解させた。その後、この溶液に、合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.00g)、BCS(4.12g)及びX-1(0.12g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(9)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例10]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びX-2(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(10)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例11]
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.021g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(11)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例12]
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-1(0.082g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(12)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例13]
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-2(0.021g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(13)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例14]
合成例6で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.30g)及び合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)に、NMP(3.35g)、γ−BL(0.56g)、BCS(2.84g)及びX-2(0.082g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(14)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例15]
合成例12で得られたポリアミド酸溶液(9)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(15)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例16]
合成例13で得られたポリイミド粉末(10)(0.82g)に、NMP(13.90g)加え、70℃にて24時間攪拌して溶解させた。次に、BCS(3.44g)及びX-1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(16)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例17]
合成例14で得られたポリアミド酸溶液(11)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(17)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[製造例18]
合成例15で得られたポリアミド酸溶液(12)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びX-1(0.05g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(18)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例1]
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(19)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例2]
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(4.75g)、BCS(3.44g)及びZ−1(0.05g)を加え、固形分濃度が5.5質量%の液晶配向処理剤(20)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例3]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)及びPB(5.34g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(21)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例4]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−1(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例5]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−2(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(22)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
[比較製造例6]
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(4)(4.95g)及び合成例9で得られたポリアミド酸アルキルエステル溶液(6)(3.30g)に、NMP(1.20g)、γ−BL(12.7g)、PB(5.34g)及びZ−3(0.042g)を加え、25℃にて1時間攪拌して、固形分濃度が3.0質量%の液晶配向処理剤(23)を得た。この液晶配向処理剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
本発明のポリイミド系重合体を表1に示す。
Figure 0006601403
*1:ポリアミド酸
*2:ポリアミド酸アルキルエステル
Figure 0006601403
*1:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する各重合体(ポリイミド系重合体)の導入量(質量部)を示す。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する特定化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
Figure 0006601403
*1:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する各重合体(ポリイミド系重合体)の導入量(質量部)を示す。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する特定化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
Figure 0006601403
*1:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対する各重合体(ポリイミド系重合体)の導入量(質量部)を示す。
*2:すべての重合体(ポリイミド系重合体)100質量部に対するその他化合物の導入量(質量部)を示す。
*3:すべての溶媒100質量部に対する各溶媒の導入量(質量部)を示す。
*4:液晶配向処理剤中のすべての重合体(ポリイミド系重合体)の占める割合(質量%)を示す。
Figure 0006601403
Figure 0006601403
Figure 0006601403
実施例1と比較例1、及び実施例3と比較例3〜6との比較から、本発明の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜は、比較例に比べて、ラビング処理耐性、透過率、表面ラフネス値、及びイミド化率と交流駆動による残像特性に優れる結果となった。
本発明の液晶配向処理剤から形成される液晶配向膜は、光配向処理法用の液晶配向膜として有用であり、本発明の液晶配向膜を有する液晶表示素子は、大画面で高精細の液晶テレビ、中小型のスマートフォンやタブレット端末などに好適である。
なお、2014年9月26日に出願された日本特許出願2014−197380号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (12)

  1. 下記の(A)成分、(B)成分、及びこれらを溶解する溶媒を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
    (A)成分:下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0006601403
    (式中、Pは、下記式(P−1)又は(P−2)のいずれかの基を表し、
    Figure 0006601403
    (式中、S とS は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の1価の有機基を表し、S とS で環構造を形成してもよい。S とS は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、S とS で環構造を形成してもよい。Dは熱により水素原子に置き換わる熱脱離性基である。*はXとの結合手を表す。)
    Xは、単結合、−O−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH)−、−N(CH)CO−、−COO−、−OCO−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を表し、
    Qは、ベンゼン環を表すか、又はベンゼン環を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す。)
    (B)成分:ポリイミド前駆体及びポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体。
  2. 前記熱脱離性基が下記式(2)で表されるエステル基である、請求項1に記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0006601403
    (式中、Rは炭素数1〜22の炭化水素である。)
  3. 前記Pが、下記式(PD−1)又は (PD−2)のいずれかの基である、請求項に記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0006601403
    (式中、*はXとの結合手を表し、Dは熱で水素原子に置き換わる熱脱離性基である。)
  4. (A)成分が、式(1)におけるXが単結合であり、QがT−Q’である下記式(3)で表される化合物である請求項3に記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0006601403
    (式中、Pは、前記式(PD−1)又は(PD−2)のいずれかで表される基をし、Tは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、又は炭素数2〜6のアルキニレン基を示し、これらの任意の炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子又は水酸基(OH基)で置き換えられてもよい。Q’は炭素数6〜18の芳香族炭化水素を表す。)
  5. (A)成分が、下記式(4−1)又は(4−2)で表される請求項3又は4に記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0006601403
    (式中、Pは、前記式(PD−1)及び(PD−2)のいずれかで表される基を示し、Tは炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数2〜6のアルケニレン基、又は炭素数2〜6のアルキニレン基を示し、これらの任意の炭素原子に結合している水素原子は、ハロゲン含有アルキル基、ハロゲン原子又は水酸基(OH基)のいずれかで置き換えられてもよい。)
  6. (A)成分が、下記式(A−1)及び(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
    Figure 0006601403
  7. (B)成分が0.1〜20質量%含有され、(A)成分が、該(B)成分に対して0.1〜20質量%含有され、溶媒が76〜99.5質量%含有される請求項1〜のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  8. 前記(B)成分の重合体が、ポリアミド酸アルキルエステルである請求項1〜のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて、インクジェット法にて得られる液晶配向膜。
  11. 請求項又は10に記載の液晶配向膜に、偏光された放射線を照射して得られる液晶配向膜。
  12. 請求項11のいずれかに記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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