JP6694133B2 - 全固体電池 - Google Patents
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Description
しかし、一体焼結する場合には、多くの場合において、電極活物質及び固体電解質が単独で又は相互に反応し、電極活物質や固体電解質の分解、又は新たな抵抗層の生成が起こるという問題がある。
第1極活物質層を有する第1極と、固体電解質層と、第2極活物質層を有する第2極とを有し、
前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質とを含有する。
開示の全固体電池は、第1極と、固体電解質層と、第2極とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
電極活物質層と、固体電解質層と界面抵抗を低減させる方法として、高温で加熱することが検討されているが、その場合、副反応が生じてしまう。
その一例を紹介する。高酸化還元電位を持つ正極活物質として、Li2CoP2O7が知られている。また、リチウムイオン伝導度が高く、かつ高電位に対する安定性が高い固体電解質として、Li7La3Zr2O12が知られている。そのため、Li2CoP2O7を正極活物質層に使用し、Li7La3Zr2O12を固体電解質層に使用すると、リチウムイオン伝導性が高く、かつ高電位で使用できる全固体電池が得られる可能性がある。
しかし、Li2CoP2O7とLi7La3Zr2O12とを一体焼結する場合、焼結温度を400℃以上にしてしまうと、双方が反応を起こし、Li2CoP2O7やLi7La3Zr2O12の分解、及び新たな抵抗層の生成が起こる。そのため、焼結温度を400℃未満にする必要がある。
一方、400℃未満で一体焼結を試みても、Li2CoP2O7と、Li7La3Zr2O12を一体化することができず、界面抵抗の低減の効果も殆どない。
前記第1極は、第1極活物質層を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
そのため、前記第1極が、正極の場合、第1極活物質層は、正極活物質層である。また、第1極活物質は、正極活物質である。
また、前記第1極が、負極の場合、第1極活物質層は、負極活物質層である。また、第1極活物質は、負極活物質である。
前記第2極は、第2極活物質層を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記第2極は、前記第1極と反対側の極であり、前記第1極が正極であれば、前記第2極は負極であり、前記第1極が負極であれば、前記第2極は正極である。
また、前記第2極が、負極の場合、第2極活物質層は、負極活物質層である。また、第2極活物質は、負極活物質である。
前記第1極活物質層が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質とを含有する場合、前記活物質は、第1極活物質である。
前記第2極活物質層が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質とを含有する場合、前記活物質は、第2極活物質である。
前記正極は、例えば、正極活物質層を有する。
前記正極活物質層は、例えば、正極活物質を含有し、好ましくは有機物質を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記正極活物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム含有複合酸化物などが挙げられる。前記リチウム含有複合酸化物としては、リチウムと他の金属とを含有する複合酸化物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiCrO2、LiVO2、LiMxMn2-xO4(Mは、Co、Ni、Fe、Cr及びCuの少なくともいずれかである。0≦x<2)、LiFePO4、LiCoPO4、Li2CoP2O7、Li4Ti5O12などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機物質は、シアノ基を有する。
前記有機物質は、25℃で固体である。前記全固体電池は、固体材料から構成される点を特徴とするため、当然に、前記有機物質も固体である必要がある。
CN−(CH2)n−CN ・・・一般式(1)
前記一般式(1)中、nは、2〜8の整数を表す。
CN−CR1R2−CR3R4−CN ・・・一般式(2)
前記一般式(2)中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、又は有機基を表す(ただし、R1、R2、R3、及びR4の全てが水素原子の場合を除く。)。
前記有機基としては、例えば、シアノメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
(1)前記正極活物質の粉体と、前記有機物質の粉体とを混合して得られる混合物を圧縮成形して形成する方法。
(2)前記正極活物質の粉体と、前記有機物質と、溶剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
(3)前記正極活物質の粉体と、前記有機物質の粉体と、導電助剤と、結着剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
(4)前記正極活物質の粉体自体を圧縮成形して形成する方法。
(5)前記正極活物質の焼結体を所定の形状に成形して、形成する方法。
(6)前記正極活物質の粉体と、導電助剤と、結着剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
前記負極は、例えば、負極活物質層を有する。
前記負極活物質層は、例えば、負極活物質を含有し、好ましくは有機物質を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記正極及び前記負極に前記有機物質を含有させる場合、それらの前記有機物質は同じ化合物であってもよいし、異なる化合物であってもよい。
前記負極活物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウム、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウムケイ素合金、ケイ酸リチウム、チタン酸リチウム、非晶質カーボン、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1)前記負極活物質の粉体と、前記有機物質の粉体とを混合して得られる混合物を圧縮成形して形成する方法。
(2)前記負極活物質の粉体と、前記有機物質と、溶剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
(3)前記負極活物質の粉体と、前記有機物質の粉体と、導電助剤と、結着剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
(4)前記負極活物質の粉体自体を圧縮成形して形成する方法。
(5)前記負極活物質の焼結体を所定の形状に成形して、形成する方法。
(6)前記負極活物質の粉体と、導電助剤と、結着剤とを混合して得られるペーストを塗布して形成する方法。
前記固体電解質層としては、固体電解質で構成される層であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、これらの固体電解質は、一種を単独で用いてよく、複数種を用いてもよい。
すなわち、前記固体電解質層は、粉体から構成される固体電解質層であってもよいし、焼結体から構成される固体電解質層であってもよいし、前記固体電解質から構成される蒸着膜であってもよい。
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電池ケースなどが挙げられる。
前記電池ケースとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来の全固体電池で使用可能な公知のラミネートフィルムなどが挙げられる。前記ラミネートフィルムとしては、例えば、樹脂製のラミネートフィルム、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルムなどが挙げられる。
この際、電極活物質層と、固体活物質層とを一体焼結しないと、一般的には、それらの界面の抵抗が大きくなる。
本発明の全固体電池では、正極及び負極の少なくともいずれかの電極活物質層が特定の有機物質を含有する。そのことにより、電極活物質層と固体電解質層との界面の抵抗が小さくなる。
そのため、通常、正極又は負極と固体電解質層との界面の抵抗を小さくするための高温熱処理が必要となるところ、本発明では高温熱処理が不要となる。
・Li7La3Zr2O12(LLZO)板は、豊島製作所より購入した。
・スクシノニトリルと1,2,3−プロパントリカルボニトリルは、東京化成工業(株)より購入した。
・Li2CoP2O7は、豊島製作所より購入した。
<全固体電池の作製>
Li2CoP2O7とスクシノニトリルとを質量比(Li2CoP2O7:スクシノニトリル)で98.3:1.7となるように秤量し、メノウ乳鉢で混合した。得られた混合物にエタノールを適量加え、正極ペーストを作製した。得られた正極ペーストをLLZO板の片面の表面上に塗布し、常温でエタノールを留去させることで、Li2CoP2O7−LLZO複合体を作製した。この複合体を100℃で加圧しながら熱処理を行った。
なお、正極活物質層の厚みは、5μmであり、固体電解質層の厚みは、1mmであった。
熱処理後の複合体のLi2CoP2O7側に3μm厚のAu膜を蒸着法により成膜し、LLZO側に2μm厚のLi膜を蒸着法により製膜することにより、全固体電池を作製した。
なお、正極活物質層におけるLi2CoP2O7とスクシノニトリルとの体積比(Li2CoP2O7:スクシノニトリル)は、95.0:5.0である。
<全固体電池の作製>
実施例1において、Li2CoP2O7とスクシノニトリルとの質量比(Li2CoP2O7:スクシノニトリル)を、95.0:5.0〔質量比(Li2CoP2O7:スクシノニトリル)で86.0:14.0〕に変えた以外は、実施例1と同様にして、全固体電池を作製した。
<全固体電池の作製>
実施例1において、スクシノニトリルを、1,2,3−プロパントリカルボニトリル〔質量比(Li2CoP2O7:1,2,3−プロパントリカルボニトリル)で98.2:1.8〕に代えた以外は、実施例1と同様にして、全固体電池を作製した。
なお、Li2CoP2O7と1,2,3−プロパントリカルボニトリルとの体積比(Li2CoP2O7:1,2,3−プロパントリカルボニトリル)は、95.0:5.0である。
<全固体電池の作製>
実施例1において、正極活物質であるLi2CoP2O7を、Li4Ti5O12に代えた以外は、実施例1と同様にして、全固体電池を作製した。
<全固体電池の作製>
実施例1において、スクシノニトリルを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、全固体電池を作製しようとした。しかし、Li2CoP2O7とLLZOとを結着させることができず、全固体電池を作製することができなかった。
<全固体電池の作製>
実施例1において、スクシノニトリルを用いず、かつ複合体の熱処理温度を400℃にした以外は、実施例1と同様にして、全固体電池を作製した。
(付記1)
第1極活物質層を有する第1極と、固体電解質層と、第2極活物質層を有する第2極とを有し、
前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質とを含有することを特徴とする全固体電池。
(付記2)
前記有機物質が、スクシノニトリル又はその誘導体である付記1に記載の全固体電池。
(付記3)
前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方における前記有機物質の含有量が、15体積%以下である付記1又は2に記載の全固体電池。
(付記4)
前記固体電解質層が、Li7La3Zr2O12を含有する付記1から3のいずれかに記載の全固体電池。
(付記5)
前記活物質が、Li2CoP2O7を含有する付記1から4のいずれかに記載の全固体電池。
(付記6)
前記活物質が、Li4Ti5O12を含有する付記1から4のいずれかに記載の全固体電池。
2 固体電解質層
3 負極
Claims (6)
- 第1極活物質層を有する第1極と、固体電解質層と、第2極活物質層を有する第2極とを有し、
前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質とを含有し、
前記有機物質が、下記一般式(1)で表される化合物、及びスクシノニトリルの誘導体の少なくともいずれかであることを特徴とする全固体電池。
CN−(CH 2 ) n −CN ・・・一般式(1)
前記一般式(1)中、nは、2〜8の整数を表す。 - 第1極活物質層を有する第1極と、固体電解質層と、第2極活物質層を有する第2極とを有し、
前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方が、活物質と、シアノ基を有し、かつ25℃で固体の有機物質であるスクシノニトリル又はその誘導体とを含有することを特徴とする全固体電池。 - 前記第1極活物質層及び前記第2極活物質層の少なくとも一方における前記有機物質の含有量が、15体積%以下である請求項1又は2に記載の全固体電池。
- 前記固体電解質層が、Li7La3Zr2O12を含有する請求項1から3のいずれかに記載の全固体電池。
- 前記活物質が、Li2CoP2O7を含有する請求項1から4のいずれかに記載の全固体電池。
- 前記活物質が、Li4Ti5O12を含有する請求項1から4のいずれかに記載の全固体電池。
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