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JP6663628B2 - 粘着シート、粘着層付き光学フィルム、および画像表示装置 - Google Patents

粘着シート、粘着層付き光学フィルム、および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、画像表示パネルの前面に透明板やタッチパネル等を備える画像表示装置の形成に用いられる粘着シートに関する。さらに、本発明は、当該粘着シートを備える粘着層付き光学フィルム、および画像表示装置に関する。
携帯電話、カーナビゲーション装置、パソコン用モニタ、テレビ等の各種画像表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置が広く用いられている。画像表示パネル(液晶パネルや有機ELパネル)の外表面からの衝撃による画像表示パネルの破損防止等を目的として、画像表示パネルの視認側に、透明樹脂板やガラス板等の前面透明板(「ウインドウ層」等とも称される)が設けられることがある。視認側表面にタッチパネルを有する画像表示装置では、タッチパネルの視認側に前面透明板が設けられる。
画像表示パネルやタッチパネルの前面に前面透明板を配置する方法として、粘着材層を介して両者を貼り合わせる「層間充填構造」が採用されている。層間充填構造では、パネルと前面透明板との間が粘着剤で充填されるため、界面の屈折率差が減少し、反射や散乱に起因する視認性の低下が抑制される。また、粘着剤が充填されることにより、画像表示装置全体の強度が増すため、前面透明板等が破損した場合でも、その形成材料であるガラス等の飛散を防ぐといった効果も得られる(例えば、特許文献1,2参照)。
前面透明板のパネル側の面の周縁部には、装飾や光遮蔽を目的とした着色層が、印刷により形成される。透明板の周縁部に着色層が形成されると、10μm〜数十μm程度の印刷段差が生じる。層間充填剤としてシート状粘着剤を用いた際は、この印刷段差部周辺に気泡が生じ易い。かかる問題に鑑み、特許文献3や特許文献4では、粘着剤の貯蔵弾性率やゲル分率を小さくして、印刷段差周辺における粘着剤の残留応力を低減させて段差追従性(段差吸収性)を付与し、気泡の発生を抑制することが提案されている。
特開2009−8851号公報 特開2008−281997号公報 特開2011−74308号公報 特開2011−74308号公報
上記のように、層間充填剤としてシート状粘着剤を用いた際は、印刷段差部周辺に気泡が生じ易いとの問題がある。また、印刷段差を有する前面透明板とパネルとをシート状粘着剤を介して貼り合わせると、印刷段差部周辺の粘着剤に付加される応力歪等に起因して、画像表示パネルの周縁部に表示ムラが発生しやすいとの問題がある。
一方、表示ムラを抑制する目的で、貯蔵弾性率が小さく流動性の高い粘着剤を用いると、シートを所定サイズにカッティングする際や貼り合わせの際に、端面からのはみ出しが生じ易くなる傾向がある。また、画像表示装置の形成過程において、貼り合わせ後の印刷段差部周辺での気泡(ディレイバブル)の発生を抑制する目的で、オートクレーブ処理等による加圧・加熱処理が行われることが多く、この際に、貼り合わせ端面からの粘着剤のはみ出しが生じやすい。
上記に鑑み、本発明は、前面透明板、タッチパネル、画像表示パネル等の層間の貼り合わせに用いた際に、画像表示パネルの表示ムラが低減され、かつ高温環境でも端面からの粘着剤のはみ出しが生じ難い粘着シート、ならびに当該粘着シートを備える光学フィルムおよび画像表示装置の提供を目的とする。
本発明者らが検討の結果、粘着シートに所定の粘弾特性を持たせることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、50℃,0.01Hzにおける損失正接tanδが0.60以上であり、50℃,0.001Hzにおける損失正接tanδが1.00以下である、粘着シートに関する。一実施形態において、本発明の粘着シートの厚みは、25μm以上である。
本発明の粘着シートは、前面透明板とタッチパネルとの間、前面透明板と画像表示パネルとの間、またはタッチパネルと画像表示パネルとの間の貼り合わせ等のための層間充填剤として好適に用いられる。
本発明の粘着シートは、50℃,0.001Hzにおける損失正接tanδが、50℃,0.01Hzにおける損失正接tanδよりも小さいことが好ましい。本発明の粘着シートは、50℃,0.001Hzにおける貯蔵弾性率G’が、0.2kPa〜7kPaであることが好ましい。本発明の粘着シートは、50℃,0.01Hzにおける貯蔵弾性率G’が、0.7kPa〜10kPaであることが好ましい。
本発明の粘着シートを構成する粘着剤は、アクリル系ベースポリマーを50重量%以上含有することが好ましい。アクリル系ベースポリマーとしては、モノマーユニットとして、アルキル基の炭素数が13〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;および不飽和二重結合を有する重合性の官能基を2つ以上有する多官能モノマー、を含有することが好ましい。アクリル系ベースポリマーは、モノマーユニットとして、さらに窒素含有モノマーや、アルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。
さらに、本発明は上記粘着シートを備える、粘着層付き光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
本発明の粘着シートは、50℃,0.01Hzにおけるtanδが0.60以上であるため、印刷段差を有する前面透明部材等を被着体とする場合であっても、段差部近辺での気泡の発生や表示ムラの発生が抑制される。また、50℃,0.001Hzにおけるtanδが1.00以下であるため、高温環境に長時間暴露された場合でも、端面からの粘着剤のはみ出しが抑制される。
画像表示装置の一実施形態を模式的に表す断面図である。 粘着層付き光学フィルムの一実施形態を模式的に表す断面図である。 粘着層付き光学フィルムの一実施形態を模式的に表す断面図である。 実施例および比較例の粘着シートの50℃における損失正接tanδの周波数依存性を表すグラフである。 実施例および比較例の粘着シートの50℃における貯蔵弾性率G’の周波数依存性を表すグラフである。
[粘着シートの物性]
本発明の粘着シートは、粘着剤がシート状に形成されたものである。粘着シートは、測定温度50℃、周波数0.01Hzにおける損失正接tanδが0.60以上、かつ測定温度50℃、周波数0.001Hzにおける損失正接tanδが1.00以下であることが好ましい。損失正接tanδは、貯蔵剪断弾性率G’と損失弾性率G”の比G”/G’である。貯蔵弾性率G’は、材料が変形する際に弾性エネルギーとして貯蔵される部分に相当し、硬さの程度を表す指標である。一方、損失弾性率G”は、材料が変形する際に内部摩擦等により散逸される損失エネルギー部分に相当し、粘性の程度を表す。tanδが大きいほど粘性の傾向が強く、変形挙動が液体的となり、反発弾性エネルギーが小さくなる傾向がある。
貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”は、JIS K7244−1「プラスチック‐動的機械特性の試験方法」に記載の方法に準拠して、温度50℃の条件で、10Hz〜0.001Hzの範囲で周波数を変化させて測定した際の、所定周波数(0.01Hz,および0.001Hz)における値を読み取ることにより求められる。本明細書では、特に断りがない限り、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδは、50℃における測定値である。
0.01Hzにおけるtanδが0.60以上であれば、粘着シートを層間充填剤として用いた際の、画像表示装置の表示ムラが抑制される傾向がある。0.01Hzにおけるtanδは、0.70以上がより好ましく、0.80以上がさらに好ましい。0.01Hzにおけるtanδが大きいほど、粘着剤が段差等の非平坦部の形状に追従しやすいため、前面透明部材が非平坦部を有する場合でも、空隙の発生が抑制され、かつ画像表示パネルの表示ムラが抑制されると推定される。一方、tanδが過度に大きいと、加熱貼り合せ環境における粘着剤の流動性が大きくなり、粘着剤の移着や端面からのはみ出し等の不具合を生じる場合がある。そのため、0.01Hzにおけるtanδは、1.50以下が好ましく、1.40以下がより好ましく、1.30以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
0.001Hzにおけるtanδが1.00以下であれば、粘着シート(あるいは粘着シートを介して貼り合わせられた光学部材等)が、高温(例えば85℃程度)に長時間暴露された場合でも、端面からの粘着剤のはみ出しが抑制される傾向がある。0.001Hzにおけるtanδは、0.95以下がより好ましく、0.90以下がさらに好ましい。一方、tanδが過度に小さいと接着力が不足し、粘着シートの浮きや剥がれを生じる場合がある。そのため、0.001Hzにおけるtanδは、0.30以上が好ましく、0.40以上がより好ましく、0.50以上がさらに好ましい。
粘着シートの0.001Hzにおけるtanδは、0.01Hzにおけるtanδよりも小さいことが好ましい。0.001Hzにおけるtanδは、0.01Hzにおけるtanδの0.95倍以下がより好ましく、0.92倍以下がさらに好ましい。0.001Hzにおけるtanδが、0.01Hzにおけるtanδよりも小さい場合に、表示ムラの抑制と粘着剤のはみ出しの抑制とをより確実に両立できる傾向がある。
粘着剤等の粘弾性は、温度と時間(周波数)との間に換算則が成立し、測定温度一定で周波数を大きくする(時間スケールを短くする)場合と、周波数一定で測定温度を低くする場合とで、同様の挙動を示すことが知られている。したがって、0.001Hzにおけるtanδの値が、0.01Hzにおけるtanδの値よりも小さいことは、より高温領域でtanδが小さい(すなわち、粘性挙動が小さく弾性挙動が大きい)ことを意味する。本発明の粘着シートは、低温側では相対的に粘性挙動が大きいために、粘着剤が段差等へ追従しやすく、高温側では相対的に弾性挙動が大きいために、高温での粘着剤のはみ出しが低減されると考えられる。
粘着シートの周波数0.001Hzにおける貯蔵弾性率G’は、0.1kPa〜7kPaが好ましく、0.3kPa〜3kPaがより好ましく、0.5kPa〜2kPaがさらに好ましく、0.7kPa〜1.8kPaが特に好ましい。周波数0.01Hzにおける貯蔵弾性率G’は、0.7kPa〜10kPaが好ましく、0.9kPa〜7kPaがより好ましく、1.5kPa〜5kPaがさらに好ましい。貯蔵弾性率G’が上記範囲であれば、粘着剤が適度な硬さを有するため、貼り合せ時の加圧やその後に加熱が行われた際の端面からの粘着剤のはみ出しが抑制される傾向がある。
粘着シートの周波数0.001Hzにおける損失弾性率G”は、0.1kPa〜5kPaが好ましく、0.2kPa〜2.5kPaがより好ましく、0.3kPa〜1.5kPaがさらに好ましい。周波数0.01HzにおけるG”は、0.8kPa〜15kPaが好ましく、1kPa〜10kPaがより好ましく、1.8kPa〜7kPaがさらに好ましい。損失弾性率G”が上記範囲内であれば、粘着剤が適度な粘性を有するため、貼り合せ時の弾性応力が散逸され、段差部近辺での粘着剤への応力の集中による気泡の発生や表示ムラ発生等の不具合が抑制される傾向がある。
0.01HzにおけるG’は、0.001HzにおけるG’の1.5〜5倍の範囲が好ましく、2〜4倍の範囲がより好ましく、2.5〜3.6倍の範囲がさらに好ましい。0.01HzにおけるG”は、0.001HzにおけるG”の2.5〜6倍の範囲が好ましく、2。8〜5倍の範囲がより好ましく、3〜4.5倍の範囲がさらに好ましい。貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”が上記のような周波数依存性を示す場合、表示ムラの抑制と粘着剤のはみ出しの抑制とをより確実に両立できる傾向がある。
[粘着剤の組成(粘着剤組成物の調製)]
本発明の粘着シートを構成する粘着剤としては、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点から、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
粘着シート中のアクリル系ベースポリマーの含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。アクリル系ベースポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマーユニットを主骨格とするものである。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸アラキル等が挙げられる。
粘着剤に粘性を付与して、0.01Hzにおける損失正接tanδを高める観点から、アクリル系ベースポリマーは、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマーユニットとして、アルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましい。前記例示のモノマーの中でも、分枝アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル等が好適に用いられる。なお、分枝アルキル(メタ)アクリル酸エステルは2種以上を併用することもできる。また、これらの分枝アルキル(メタ)アクリル酸エステルは、直鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルと併用して用いられてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分全量(アルキル基が直鎖の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの合計)に対する、アルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、20重量%〜80重量%が好ましく、30重量%〜70重量%がより好ましい。
アクリル系ベースポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、極性の高いモノマーユニットを含有することが好ましい。極性モノマーユニットとしては、例えば、窒素含有モノマー、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー等が挙げられる。中でも、粘着剤が高い接着性と保持力を有し、かつ高温環境に暴露された場合でも高透明性を保持できるとの理由から、窒素含有モノマーおよび水酸基含有モノマーが好適に用いられる。
前記窒素含有モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー等が挙げられる。中でも、N−ビニルピロリドンおよび(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく用いられる。粘着剤中に窒素含有モノマーユニットを含有することで、粘着剤の凝集力を向上させて粘着シートの被着体に対する接着性が高められるとともに、高温高湿環境下での粘着剤の白濁を抑制できる。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のアルコール性ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。ベースポリマー中にヒドロキシ基含有モノマーユニットやカルボキシ基含有モノマーユニットを含有することで、粘着剤の凝集力を向上させて粘着シートの被着体に対する接着性が高められる。また、ベースポリマー中に架橋点が導入されるため、ポリマー鎖間に架橋構造を導入し、凝集性を高めることができる。
ベースポリマー中の極性基含有モノマー成分の割合は特に制限されないが、構成モノマー成分全量に対して、3〜40重量%が好ましく、5〜35重量%がより好ましく、10〜30重量%がより好ましい。極性基含有モノマーの含有量が3重量%以上であれば、接着性が高められるとともに、高温高湿環境下での粘着剤の白濁を抑制できる。
上記極性基含有モノマーは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。特に、本発明の粘着シートは、粘着剤を構成するベースポリマーが、窒素含有モノマー成分を含有することが好ましい。ベースポリマー中の窒素含有モノマーの割合は、構成モノマー成分全量に対して、3〜40重量%が好ましく、5〜35重量%がより好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。極性基含有モノマーの含有量が過度に大きいと、粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、tanδが小さくなって、画像表示装置に表示ムラを生じる場合がある。特に、ヒドロキシ基含有モノマーやカルボキシ基含有モノマーによって架橋点が導入されると、凝集力が高くなる傾向がある。架橋剤や多官能モノマー成分の含有量にもよるが、ベースポリマー中のヒドロキシ基含有モノマー成分およびカルボキシ基含有モノマー成分の含有量の合計は、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
上記以外に、ベースポリマーの共重合モノマー成分として、酸無水物基含有モノマー、アクリル酸のカプロラクトン付加物、スルホン酸基含有モノマー、燐酸基含有モノマー等を用いることもできる。また、改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー等も使用することができる。
アクリル系ベースポリマーを形成するモノマー成分には、前記例示の単官能性モノマーの他に、必要に応じて多官能モノマーを含有してもよい。共重合モノマー成分として多官能モノマーを有することで、粘着剤の貯蔵弾性率G’が高められ、tanδが低下する傾向がある。そのため、多官能モノマー成分の含有量を変化させることで、粘着剤のtanδを所望の範囲に調整できる。また、共重合モノマー成分として多官能モノマーを含有することで、0.001Hzにおけるtanδが、0.01Hzにおけるtanδよりも小さい粘弾性挙動を示す傾向がある。そのため、共重合モノマー成分中の多官能モノマーの含有量を調整することによって、表示ムラの抑制と粘着剤のはみ出しの抑制とを両立可能な粘着剤を容易に形成できる。
多官能モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーであり、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、アクリル系ベースポリマーを形成する全モノマー成分に対して、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましく、1重量%以下がさらに好ましい。多官能モノマーの使用量が3重量%を超えると、粘着剤のtanδが過度に低下し、段差部付近での気泡の混入や画像表示パネルの表示ムラが発生しやすくなる。
上記のアクリル系ベースポリマーは、上記の各モノマー成分を、溶液重合、UV重合、塊状重合、乳化重合等の公知の重合方法により調製できる。粘着剤の透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合法、または活性エネルギー線重合法(例えばUV重合)が好ましい。溶液重合の溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度である。また、反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は通常1〜8時間程度である。
上記のアクリル系ベースポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、光重合開始剤や熱重合開始剤等の重合開始剤を用いてもよい。光重合開始剤としては、光重合を開始するものであれば特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤(例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等)を用いることができる。
重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。重合開始剤の使用量は特に制限はされないが、例えば、アクリル系ベースポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して、0.005〜5重量部程度が好ましく、0.02〜3重量部程度がより好ましい。
また、ベースポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤が用いられていてもよい。連鎖移動剤は、成長ポリマー鎖からラジカルを受け取ってポリマーの伸長を停止させるとともに、レジカルを受け取った連鎖移動剤がモノマーを攻撃して再び重合を開始させることができる。そのため、連鎖移動剤が用いられることにより、反応系中のラジカル濃度を低下させることなく、ベースポリマーの分子量の増大が抑止され、tanδの高い粘着シートを得ることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、α−チオグリセロール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等のチオール類が好適に用いられる。
連鎖移動剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量は特に制限はされないが、例えば、アクリル系ベースポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましい。
得られるアクリル系ベースポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。なお、アクリル系ベースポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件等により制御可能である。
アクリル系ベースポリマーを形成するモノマー成分として、単官能モノマーに加えて多官能モノマーを含有する場合、先に単官能モノマーを重合して、低重合率のプレポリマー組成物を形成し(予備重合)、プレポリマー組成物のシロップ中に多官能モノマーを添加して、プレポリマーと多官能モノマーとを重合(後重合)してもよい。このように、プレポリマーの予備重合を行うことによって、多官能モノマー成分に起因する分枝点を、ベースポリマー中に均一に導入できる。また、プレポリマー組成物と未重合のモノマー成分との混合物(粘着剤組成物)を基材上に塗布した後、基材上で後重合を行って、粘着シートを形成してもよい。プレポリマー組成物は低粘度で塗布性に優れるため、プレポリマー組成物と未重合モノマーとの混合物である粘着剤組成物を塗布後に基材上で後重合を行う方法によれば、粘着シートの生産性が高められると共に、粘着シートの厚みを均一とすることができる。
プレポリマー組成物は、例えば、アクリル系ベースポリマーを構成するモノマー成分(「モノマー成分A」と称する)と重合開始剤とを混合した組成物(「プレポリマー形成用組成物」と称する)を、部分重合(予備重合)させることにより調製できる。なお、プレポリマー形成用組成物中の上記モノマー成分Aは、アクリル系ベースポリマーを構成するモノマー成分のうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや極性基含有モノマー等の単官能モノマー成分であることが好ましい。モノマー成分Aは、単官能モノマーのみならず、多官能モノマーを含有していてもよい。例えば、ベースポリマーの原料となる多官能モノマー成分の一部をプレポリマー形成用組成物に含有させ、プレポリマーを重合後に多官能モノマー成分の残部を添加して後重合に供してもよい。
プレポリマー形成用組成物は、モノマー成分Aおよび重合開始剤以外に、必要に応じて連鎖移動剤等が含まれていてもよい。プレポリマー形成用組成物の重合方法は特に限定されないが、反応時間を調整して、プレポリマーの分子量(重合率)を所望の範囲とする観点から、UV光等の活性光線照射による重合が好ましい。予備重合に用いられる重合開始剤や連鎖移動剤は特に限定されず、例えば、上述の光重合開始剤や連鎖移動剤を用いることができる。
プレポリマーの重合率は特に限定されないが、基材上への塗布に適した粘度とする観点から、3〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。プレポリマーの重合率は、光重合開始剤の種類や使用量、UV光等の活性光線の照射強度・照射時間等を調整することによって、所望の範囲に調整できる。なお、プレポリマーの重合率は、プレポリマー組成物を130℃で3時間加熱した際の加熱(乾燥)前後の重量から、下記式により算出される。なお、予備重合が溶液重合により行われる場合、プレポリマー組成物の全重量から溶媒の量を差し引いたものを、下記式における乾燥前重量として、重合率が算出される。
プレポリマー組成物の重合率(%)=乾燥後の重量/乾燥前の重量 ×100
上記プレポリマー組成物に、アクリル系ベースポリマーを構成するモノマー成分(「モノマー成分B」と称する)、および必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤、シランカップリング剤、架橋剤等を混合して、粘着剤組成物を形成する。モノマー成分Bは、多官能モノマーを含有することが好ましい。モノマー成分Bは、多官能モノマーに加えて、単官能モノマーを含有していてもよい。
後重合に用いられる光重合開始剤や連鎖移動剤は特に限定されず、例えば、上述の光重合開始剤や連鎖移動剤を用いることができる。予備重合の際の重合開始剤がプレポリマー組成物中で失活せずに残存している場合は、後重合のための重合開始剤の添加を省略できる。
上記ベースポリマーは、必要に応じて架橋構造を有していてもよい。架橋構造の形成は、例えば、予備重合後や、ベースポリマーの重合後に、架橋剤を添加することにより行われる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等の一般に用いられているものを使用できる。
架橋剤の含有量は、アクリル系ベースポリマー100重量部に対して、通常、0〜5重量部の範囲であり、好ましくは0〜3重量部である。架橋剤の含有量が多すぎると、貯蔵弾性率G’の増大に伴って、tanδが低下し、気泡の混入や表示ムラを生じる場合がある。そのため、架橋剤の含有量は、アクリル系ベースポリマー100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、1重量部以下がさらに好ましい。
粘着剤組成物中に架橋剤を含有する場合、被着体との貼り合わせ前に、加熱による架橋処理が行われ、架橋構造が形成されることが好ましい。架橋処理における加熱温度や加熱時間は、使用する架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、通常、20℃〜160℃の範囲で、1分から7日程度の加熱により架橋が行われる。
粘着剤組成物中には、接着力の調整を目的として、シランカップリング剤を添加することもできる。シランカップリング剤は、1種を単独で、あるいはは2種以上を併用して用いることができる。粘着剤組成物にシランカップリング剤が添加される場合、その添加量は、アクリル系ベースポリマー100重量部に対し通常0.01〜5.0重量部程度であり、0.03〜2.0重量部程度であることが好ましい。
粘着剤組成物には、必要に応じて粘着付与剤を用いることができる。粘着付与剤としては、例えば、テルペン系粘着付与剤、スチレン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、ロジン系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、ジシクロペンタジエン系粘着付与剤、ポリアミド系粘着付与剤、ケトン系粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤等を用いることができる。
上記例示の各成分の他、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。
[粘着シートの形成]
上記の粘着剤組成物をシート状に成型することによって、粘着シートが形成される。粘着シートの形成方法は、特に限定されない。例えば、前述のように、モノマー成分の混合物や部分重合物(プレポリマー)、および必要に応じて重合開始剤等の添加剤を含む粘着剤組成物を、基材上に塗布した後、加熱や活性光線照射等により、基材上で重合を行う方法が挙げられる。その他に、ベースポリマー、溶剤、および必要に応じて添加剤を含む組成物(溶液)を、基材上に塗布・乾燥した後、必要に応じて硬化する方法等も採用できる。
基材上への粘着剤組成物の塗布方法としては、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等の各種方法が用いられる。
塗布後の粘着剤組成物溶液を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜15分、特に好ましくは10秒〜10分である。
粘着シートの厚みは、特に限定されないが、前面透明板のように印刷段差を有する部材を被着体とする場合は、印刷段差の厚みよりも粘着シートの厚みの方が大きいことが好ましい。また、粘着シートの厚みは、25μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。粘着シートの厚みが前記範囲より小さいと、印刷段差付近での気泡混入や、表示ムラ等の不具合を生じる場合がある。粘着シートの厚みの上限は特に制限されないが、粘着シートの生産性等の観点から、300μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。
粘着シート上には、必要に応じて保護シートが剥離可能に貼着される。保護シートは、粘着シートがフィルムや透明板等の被着体との貼り合わせに用いられるまでの間、粘着剤の露出面を保護する目的で用いられる。保護シーの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等が挙げられるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
保護シートは、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、保護シートの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、実用に供する際に、粘着シートからの剥離性をより高めることができる。なお、粘着シートの形成(塗布)時に用いられた基材を、そのまま粘着シートの保護シートとして用いてもよい。
[粘着シートの用途]
本発明の粘着シートは、画像表示パネル、タッチパネル、前面透明板等の、画像表示装置形成部材の貼り合わせに好適に用いられる。
<画像表示装置>
図1は、本発明の粘着シートの使用例である画像表示装置を模式的に表す断面図である。図1に示す画像表示装置100は、液晶セルや有機ELセル等の画像表示セル61の視認側に、偏光板等の光学フィルム10を備え、さらにその視認側に、前面透明部材70を備える。画像表示セル61は、第一粘着剤層21を介して光学フィルム10と貼り合せられ、前面透明板70は、第二粘着剤層22を介して光学フィルム10と貼り合せられている。なお、画像表示セル61の視認側と反対側には、偏光板等の光学フィルムやバックライト等の光学素子(不図示)が設けられていてもよい。
前面透明部材70としては、前面透明板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面透明板としては、適宜の機械強度および厚みを有する透明板が用いられる。このような透明板としては、例えばアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が用いられる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等、任意の方式のタッチパネルが用いられる。
このような画像表示装置において、画像表示パネル60表面の光学フィルム10と、前面透明部材70とを貼り合わせるための第二粘着剤層22として、本発明の粘着シートを用いることで、表示ムラが抑制される。
これらの各光学部材の貼り合せの順序は特に限定されない。例えば、画像表示セル61と、光学フィルム10とを、第一粘着剤層21を介して貼り合わせて画像表示パネル60を形成した後、第二粘着剤層22(本発明の粘着シート)を介して、画像表示パネル60表面の光学フィルム10と前面透明部材70とを貼り合わせが行われる。画像表示セル61と光学フィルム10との貼り合わせの前に、前面透明部材70と光学フィルム10との貼り合わせを先に行ってもよい。また、両者の貼り合せを同時に行うこともできる。
貼り合せの作業性や、光学フィルムの配置角度の精度(軸精度)を高める観点からは、光学フィルム10と画像表示セル61とが第一粘着剤層21を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、光学フィルム10と前面透明部材とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われることが好ましい。
前面透明部材70の貼り合せの際には、前面透明部材の周縁部に設けられた印刷部70aの段差に起因して、その周辺に気泡が発生しやすい。そのため、本発明の粘着シートを用いて、光学フィルム10と前面透明部材70との貼り合わせを行う場合、真空下で貼り合せを行うことが好ましい。
光学フィルム10と前面透明部材70とが貼り合せられた後には、第二粘着剤層22と前面透明部材70との界面や、前面透明部材70に形成された印刷部70a等の非平坦部近辺の気泡を除去するために、脱泡が行われることが好ましい。脱泡方法としては、加熱、加圧、減圧等の適宜の方法が採用され得る。例えば、減圧・加熱下で気泡の混入を抑制しながら貼り合わせが行われ、その後、ディレイバブルの抑制等を目的として、オートクレーブ処理等により、加熱と同時に加圧が行われることが好ましい。本発明の粘着シートは、0.01Hzにおけるtanδが0.6以上であるため、粘着剤が段差等の非平坦部の形状に追従しやすく、前面透明部材が非平坦部を有する場合でも、空隙の発生が抑制され、かつ画像表示パネルの表示ムラが抑制される。
加熱により脱泡が行われる場合、加熱温度は、一般的に30℃〜100℃程度、好ましくは40°〜90℃、より好ましくは50℃〜80℃の範囲である。また、加圧が行われる場合、圧力は一般に0.05MPa〜2MPa程度、好ましくは0.1MPa〜1.5MPa,より好ましくは0.2MPa〜1MPaの範囲内である。本発明の粘着シートは、0.001Hzにおけるtanδが1.0以下であるため、脱泡等の目的で加熱・加圧処理が行われた場合でも、端面からの粘着剤のはみ出しが抑制される。
<粘着層付き光学フィルム>
本発明の粘着シートを用いて画像表示装置を形成する場合、粘着シートと光学フィルムを積層した粘着層付き光学フィルムとして実用に供することもできる。図2は、光学フィルム10の一方の面に第一粘着剤層21を備え、光学フィルム10の他方の面に第二粘着剤層22を備える両面粘着層付き光学フィルムの一形態を模式的に表す断面図である。粘着剤層21,22の表面には、保護シート31,32が仮着されている。
両面粘着層付き光学フィルム50は、第一粘着剤層21が液晶セル等との貼り合わせに用いられ、第二粘着剤層22が視認側のタッチパネルや前面透明板等との貼り合わせに用いられる。両面粘着層付き光学フィルムは、第二粘着剤層22が上記本発明の粘着シートであることが好ましい。
第一粘着剤層21を構成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
第一粘着剤層21の厚みは特に限定されず、使用目的や接着力等に応じて適宜に決定できる。例えば、第一粘着剤層21が、液晶セルとの貼り合わせに用いられる場合、その厚みは、3μm〜30μm程度が好ましく、5μm〜27μmがより好ましく、10μm〜25μmがさらに好ましい。
(光学フィルム)
光学フィルム10としては、偏光板、位相差板、視野角拡大フィルム、視野角制限(覗き見防止)フィルム、輝度向上フィルム等の画像表示装置の形成に用いられる各種の光学フィルムが挙げられる。光学フィルム10は、複数の光学フィルムが必要に応じて適宜の接着剤層や粘着剤層を介して積層されたものでもよい。
光学フィルム10の表面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理が施されていてもよい。また、光学フィルム10の表面には、粘着剤層21,22を付設する前に、接着性等を目的として表面改質処理が行われてもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。また適宜に帯電防止層を形成することもできる。
(光学フィルムへの粘着剤層の付設)
光学フィルム10上に第一粘着剤層21および第二粘着剤層22を形成する方法としては、例えば、粘着剤組成物を剥離処理した基材等に塗布して、必要に応じて乾燥や硬化処理を行って粘着剤層(粘着シート)を形成した後に、光学フィルム10上に転写する方法;または光学フィルム10に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて光学フィルム上で乾燥や硬化処理を行って、粘着剤層を光学フィルム上に形成する方法、等が挙げられる。
粘着剤層21,22上には、必要に応じて保護シート31,32が剥離可能に貼着される。なお、光学フィルム10上に粘着剤層21,22を転写する際に用いたセパレータ(粘着剤層塗布用の基材)等を、そのまま粘着層付き光学フィルムの保護シート31,32として用いてもよい。
(粘着層付き光学フィルムのカッティング)
粘着層付き光学フィルムは、必要に応じて所望サイズにカットされて実用に供される。一般には、長尺状に形成された粘着層付き光学フィルムが、画像表示装置のサイズ(画面サイズ)と合致する製品サイズにカットされる。カット方法としては、トムソン刃等を用いて打ち抜く方法や、丸刃および皿刃等のカッターや、レーザー光、水圧を利用する方法等が挙げられる。
粘着層付き光学フィルムは、粘着剤層21,22の表面に保護シート31,32が貼着されているため、粘着剤層の表面は保護されている。一方で、粘着剤層の側面は、一般に外部に露出した状態となっている。そのため、カット時や輸送時およびハンドリング時等に、外部に剥き出しになっている粘着剤層の側面が何らかの物体と触れることによって、端部の粘着剤が欠けたように脱落してしまう現象(糊欠け)や、脱落した粘着剤が光学フィルムの表面等を汚染する(糊汚れ)等の不具合を生じる場合がある。特に、前面透明板70の貼り合わせに用いられる第二粘着剤層22は、厚みが大きいため、カッティング時に第二粘着剤層22がカット刃に付着したり、糊欠けや糊汚れを生じ易くなる傾向がある。
一実施形態において、両面粘着層付き光学フィルム55は、図2および図3に模式的に示すように、第一粘着剤層21および第二粘着剤層22の少なくとも一方の側面が光学フィルム10の側面よりも内側に存在する。第一粘着剤層21および/または第二粘着剤層22の側面21e,22eの少なくとも一部は、光学フィルム10よりも内側にあることに加えて、保護シート31,32よりも内側にあることが好ましい。粘着剤層の側面(端部)が、光学フィルムや保護シートの側面よりも内側にあれば、輸送時や、画像表示セルとの貼り合せ等の加工ライン上での糊汚れや糊欠けが抑制される。本発明においては、特に第二粘着剤層22の側面22eが光学フィルム10の内側にあることが好ましく、第一粘着剤層21の側面21eおよび第二粘着剤層22の側面22eの両方が光学フィルム10の内側にあることが好ましい。
特に、第二粘着剤層22(本発明の粘着シート)は、厚みが大きく、糊欠けや糊汚れを生じ易いため、第二粘着剤層22の側面22eの少なくとも一部が光学フィルム10の側面内側にあることが好ましく、さらに第二粘着剤層22の側面22eの少なくとも一部が保護シート32の側面よりも内側にあることが好ましい。第二粘着剤層22の側面を、光学フィルム10や保護シート32の側面よりも内側にあることで、粘着剤のはみ出しによる不具合がさらに抑制される。
第二粘着剤層の側面22eのうち、光学フィルム10の側面の内側にある部分は、粘着剤層22の側周長の1/2以上であることが好ましく、側周長の3/4以上であることがより好ましく、側周の全長であることが特に好ましい。また、第二粘着剤層22と同様に、第一粘着剤層21の側面21eも、側周長の、1/2以上、より好ましくは3/4以上、特に好ましくは全長にわたって、光学フィルム10および/または保護シート31の内側にあることが好ましい。
粘着剤層21,22の側面21e,22eが、光学フィルム10および/または保護シート31,32の側面内側にある場合、粘着剤層の断面形状としては、例えば図2に示す形状が一般的である。その他、図3に示すように、粘着剤層21,22と光学フィルム10および/または保護シート31,32との界面近辺において、粘着剤層の側面が光学フィルムおよび/または保護シートの側面とほぼ一致しており、粘着剤層の厚み方向中心部付近において、光学フィルムおよび/または保護シートの側面よりも内側にある形状とすることもできる。なお、粘着剤層側面における光学フィルムおよび/または保護シートよりも内側にある部分の有無や形状は、上記に限定されず、適宜設定できる。
粘着剤層の側面を、光学フィルムの側面や保護シートの側面よりも内側に設ける方法としては、光学フィルム上への粘着剤層の付設面積を制御する方法や、粘着剤層を付設後に粘着層部分だけを取り除く方法が挙げられる。
特に好ましい方法として、粘着剤層21,22上に保護シート31,32を添着後、保護シート31,32上から両面粘着層付き光学フィルムを加圧して、粘着剤層の端部を光学フィルム端部からはみ出させ、粘着剤層がはみ出した状態で、光学フィルム10および保護シート31,32とともに粘着剤層をカットした後に、圧力を開放して、粘着剤層21,21の側面21e,22eを光学フィルム10および/または保護シート31,32の側面より内側に後退させる方法が挙げられる。この場合、例えば、長尺状に形成された光学フィルムを、トムソン刃等で打ち抜いた後、打ち抜かれた粘着層付き光学フィルムを複数枚重ねた状態で、その積層方向から加圧し、粘着剤層が側面からはみ出した状態で回転刃等を用いて、打ち抜きによるカット面の内側をカットして製品サイズに仕上げる方法が好ましく用いられる。
粘着剤層21,22の側面において、光学フィルム10の側面よりも内側にある部分の光学フィルム側面からの距離(最長部分)W,Wとしては、糊欠けや糊汚れを抑制しつつ、画像表示や貼り合せの不具合を生じさせないようにする観点から、10μm〜300μm程度が好ましく、20μm〜250μm程度がより好ましく、30μm〜200μm程度がさらに好ましい。加圧下で光学フィルムおよび保護シートとともに粘着剤層をカットした後圧力を開放する方法では、粘着剤層に付与される圧力や、粘着剤層の弾性率を調整することによって、上記距離Wを所望の範囲とすることができる。距離WとWは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
(画像表示セルおよび前面透明板との貼り合わせ)
両面粘着層付き光学フィルム55と、画像表示セル61および前面透明部材70との貼り合せ方法は特に限定されず、第一粘着剤層21および第二粘着剤層22のそれぞれの表面に添着された保護シート31,32を剥離した後、各種公知の方法により貼り合せることができる。貼り合わせの順序は特に限定されないが、前述のように、光学フィルム10と画像表示セル61とが第一粘着剤層21を介して貼り合せられる第一貼合工程が行われ、その後に、光学フィルム10と前面透明部材70とが第二粘着剤層22を介して貼り合せられる第二貼合工程が行われることが好ましい。また、第二粘着剤層22を介して、光学フィルム10と前面透明部材70との貼り合わせを行う際は、前述のごとく、真空下で貼り合せが行われることが好ましく、貼り合わせ後には、加熱、加圧、減圧等の適宜の方法により脱泡が行われることが好ましい。
以上説明したように、本発明の粘着シートを用いることで、画像表示パネルの表示ムラおよび高温環境での端面からの粘着剤はみ出しを抑制することができ、また、本発明の粘着層付き光学フィルムを用いることにより、層間充填構造を採用する画像表示装置の製造において、貼り合せ工程を簡略化できる。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
<粘着シートの貯蔵弾性率>
各実施例および比較例の粘着シートからセパレータを剥離し、複数の粘着シートを積層して、厚さ約1.5mmとしたものを測定用サンプルとした。Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、以下の条件により、動的粘弾性測定を行い、測定結果から、0.01Hz、および0.001Hzにおける貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、および損失正接tanδの値を読み取った。
(測定条件)
変形モード:ねじり
測定温度:50℃
測定周波数:10Hz〜0.001Hz
形状:パラレルプレート 7.9mmφ
[実施例1]
(粘着剤組成物の調製)
モノマー成分として、イソステアリルアクリレート41重量部、2−エチルヘキシルアクリレート41重量部、およびN−ビニルピロリドン18重量部、ならびに光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・ジャパン社製)0.1重量部、を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して、重合率10%のプレポリマー組成物を得た。このプレポリマー100重量部に、多官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリアクリレート0.06重量部、および連鎖移動剤としてα−チオグリセロール0.3重量部を添加した後、これらを均一に混合して、粘着剤組成物を調製した。
(塗布および後重合)
片面がシリコーンで剥離処理された厚み75μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、上記の粘着剤組成物を厚み150μmになるように塗布して塗布層を形成し、この塗布層上に、片面がシリコーン剥離処理された厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面を貼り合わせた。その後、厚み38μmのポリエステルフィルム側の面上から、ランプ直下の照射面における照射強度が5mW/cmになるように位置調節したブラックライトにより、積算光量が3000mJ/cmとなるまでUV照射を行って、重合を進行させ、厚み150μmのアクリル系粘着シートを作製した。
[実施例2〜7、比較例〜4]
プレポリマー形成用組成物、およびプレポリマー組成物に後添加する組成物の組成が、表1に示すように変更された。それ以外は、上記実施例1と同様にして、プレポリマーの重合、粘着剤組成物の調整、塗布および後重合を行い、厚み150μmのアクリル系粘着シートを作製した。
なお、表1において、各成分は以下の略称により記載されている。
ISA: イソステアリルアクリレート
2EHA: 2−エチルヘキシルアクリレート
NVP: N−ビニルピロリドン
4HBA: 4−ヒドロキシブチルアクリレート
DPHA: ジペンタエリストールヘキサアクリレート
ATMPT: トリメチロールプロパントリアクリレート
Irg184:イルガキュア184
[評価]
<画像表示ムラの評価>
上記各実施例および比較例で作製した粘着シートを、50mm×80mmのサイズにカットした後、厚み38μmのポリエステルフィルムを剥離した。任天堂3DSの交換用上部液晶パネルから、バックライト部分を取り外した後、液晶パネルのバックライトと反対側の表面の中央部に、上記の粘着シートの粘着剤露出面を重ね合わせ、ハンドローラーを用いて加圧して貼り合せた。
貼り合わせ後の粘着シート表面から、厚み75μmのポリエステルフィルムを剥離した後、黒色インクが周縁部に枠状に印刷されたガラス板(0.7mm×50mm×100mm、インク印刷厚み=15μm、両短辺(長辺方向)のインク印刷幅:各15mm、両長辺(短辺方向)のインク印刷幅:各5mm)の印刷面を、粘着剤の露出面上に載置し、真空熱圧着装置で貼り合せを行った(温度25℃、装置内圧力50Pa、圧力0.3MPa、圧力保持時間10秒)。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行い、画像表示ムラ評価用パネルを作製した。
この画像表示ムラ評価用パネルを、任天堂3DS本体の画像表示パネルと交換して、電気接続を行い、表示パネルを白表示とした際の、印刷枠付近での表示ムラの有無を目視で確認した。表示ムラがないものを○、表示ムラが有るものを×として、結果を表1に示す。
<粘着剤はみ出しの評価>
(セル側粘着剤層の作製)
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート97部、アクリル酸3部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部および酢酸エチル233部を投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて、重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。
上記アクリル系ポリマー溶液(固形分を100重量部とする)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL」)0.8重量部、シランカップリング剤(信越化学(株)製「KBM−403」)0.1部を加えて粘着剤組成物(溶液)を調製した。
表面が離型処理された厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、上記の粘着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去して、粘着剤層を得た。その後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行った。(以下、この粘着剤層を「粘着剤層A」と称する)
(両面粘着層付き光学フィルムの作製)
上記の粘着剤層Aを、偏光板の一方の面にセル側粘着剤層として貼り合わせた。偏光板としては、ヨウ素が含浸された厚み25μmの延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に透明保護フィルムが貼り合せられた偏光板(偏光度99.995)を用いた。偏光子の一方の面(画像表示セル側)の透明保護フィルムは、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる位相差フィルムであり、他方の面(視認側)の透明保護フィルムは、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムであった。
偏光板の他方の面に、視認側粘着剤層として、各実施例および比較例で作製した粘着シートを貼り合せ、偏光板(光学フィルム)の一方の面に、厚み20μmの粘着剤層、他方の面に、厚み150μmの粘着剤層が貼り合せられ、各粘着剤層上にセパレータが仮着された両面粘着層付き光学フィルムを得た。
(評価用疑似パネルの作製)
上記の両面粘着層付き光学フィルムを、60mm×100mmにカットし、セル側粘着剤層上のセパレータを剥離した後、ガラス板(0.7mm×50mm×100mm)上に貼り合わせた。その後、両面粘着層付き光学フィルムに、カッターナイフで切り込みを入れ、ガラス板からはみ出した部分、およびガラス板の両短辺から長辺方向に10mmの領域の両面粘着層付き光学フィルムを、ガラス板から剥離し、除去した。
その後、ガラス板に貼り合わせられた両面粘着層付き光学フィルムの視認側粘着剤層表面のセパレータを剥離した。上記画像表示ムラ評価用パネルの作製と同様に、黒色インクが周縁部に枠状に印刷されたガラス板を、真空熱圧着装置で貼り合せた後、オートクレーブ処理を行い、評価用疑似パネルを作製した。
(粘着剤はみ出しの評価)
各実施例および比較例の評価用疑似パネルを、85℃の乾燥機に500時間投入した後、室温環境へ取出し、短辺方向の両端面からの粘着剤層のはみ出し状態を、デジタル顕微鏡で観察した。各端面からの粘着剤層のはみ出し量の最大値を測定し、その平均値が0.3mm以内ものを〇、0.3mmを超えるものを×とした。
[評価結果]
上記各実施例、比較例の粘着剤の組成および粘弾性、ならびに画像表示ムラおよびはみ出し評価の結果を表1に示す。また、実施例1,4,5,6,7、および比較例2,3の粘着シートの損失正接tanδおよび貯蔵弾性率G’の周波数依存性を、図4および図5に示す。
実施例1と実施例2との対比、実施例3と比較例4との対比、実施例4と比較例3との対比、および実施例5と実施例6との対比によれば、粘着剤組成物中の多官能モノマー量の増加に伴って、tanδが低下することがわかる。また、実施例2と実施例3との対比によれば、アクリル基が分枝を有するモノマー単位(2EHA)増加に伴って、tanδが上昇することがわかる。実施例3と比較例2との対比から、非極性モノマー(2HEA)の含有量を減少させ、極性モノマー(4HBA)の含有量を増加させると、tanδが低下することがわかる。このように、粘着剤の組成を変更することによって、必要とする粘弾特性を有する粘着剤が得られることがわかる。
比較例2では、実施例1〜7に比して2HEAの含有量が増加し、多官能モノマー(ATMPT)の含有量が減少しているが、各実施例と比べてtanδが小さくなっていた。これは、プレポリマーの重合、および後重合のいずれにおいても連鎖移動剤が用いられなかったために、ポリマーが高分子量化したためであると考えられる。この結果から、連鎖移動剤を用いることで、重合率を調整し、粘弾性を制御できることがわかる。なお、連鎖移動剤を用いなくとも、モノマーの組成(仕込み比)や重合時の温度、活性光線照射量、時間等を調整することによっても、重合率を調整できる。重合率の制御によって粘弾性を調整する目的で連鎖移動剤を用いる場合、実施例7に示すように、プレポリマーの重合時、および後重合のいずれの段階でも連鎖移動剤を添加可能であることがわかる。
表1に示すように、比較例2では、粘着シートの0.01Hzにおけるtanδの値が小さいために、液晶表示にムラが生じていた。一方、比較例3および比較例4では、粘着シートの0.001Hzにおけるtanδの値が大きく、表示ムラは生じなかったものの、高温環境に暴露された場合に、端面からの粘着剤のはみ出しが生じていた。これに対して、各実施例のように、0.01Hzにおけるtanδが0.60以上であり、かつ0.001Hzにおけるtanδが1.00以下の粘着シートを用いることによって、表示ムラがなく、かつ高温環境に長時間暴露された場合でも端面からの粘着剤のはみ出しが少ないことがわかる。
図5を参照すると、貯蔵弾性率G’の周波数依存性については、各実施例および比較例で、明確な相違の傾向はみられなかった。一方、図4を参照すると、各実施例では、損失正接tanδが、0.001Hz〜0.01Hzの間で増加する傾向がみられ、このような粘弾性挙動を示す粘着シートが、低周波数(高温側)でtanδが小さく弾性挙動が優先的であるために粘着剤のはみ出しが抑制されるとともに、高周波数(低温側)でtanδが大きく粘性挙動が優先的となり、応力による表示ムラが抑制されると推定される。
10 光学フィルム
21,22 粘着剤層
31,32 保護シート
55 粘着層付き光学フィルム
61 画像表示セル
70 前面透明部材
70a 印刷部
100 画像表示装置

Claims (8)

  1. 前面透明板とタッチパネルとの間、前面透明板と画像表示パネルとの間、またはタッチパネルと画像表示パネルとの間に配置して用いられる粘着シートであって、
    粘着シートを構成する粘着剤が、アクリル系ベースポリマーを50重量%以上含有し、
    前記アクリル系ベースポリマーが、モノマーユニットとして、アルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、窒素含有モノマー、および不飽和二重結合を有する重合性の官能基を2つ以上有する多官能モノマー、を含有し、
    前記アクリル系ベースポリマーを形成する全モノマー成分に対する前記多官能モノマーの量が0.06〜1重量%であり、
    50℃,0.01Hzにおける損失正接tanδが0.60以上1.01以下であり;50℃,0.001Hzにおける損失正接tanδが0.50以上1.00以下であり、
    50℃,0.001Hzにおける損失正接tanδが、50℃,0.01Hzにおける損失正接tanδよりも小さい、粘着シート。
  2. 50℃,0.001Hzにおける貯蔵弾性率G’が、0.2kPa〜7kPaである、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 50℃,0.01Hzにおける貯蔵弾性率G’が、0.7kPa〜10kPaである、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記モノマーユニットの前記アルキル基が分枝を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、分枝を有するアルキル基の炭素数が13〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 厚みが25μm以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 光学フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートを備える、粘着層付き光学フィルム。
  7. 光学フィルムの両面に粘着層を備える両面粘着層付き光学フィルムであって、少なくとも一方の面の粘着層が、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートである、両面粘着層付き光学フィルム。
  8. 前面透明板とタッチパネルとの間、前面透明板と画像表示パネルとの間、およびタッチパネルと画像表示パネルとの間のいずれかが、請求項1〜のいずれか1項に記載の粘着シートを介して貼り合わせられている画像表示装置。
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