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JP6537382B2 - 研削装置のアイドリング方法 - Google Patents

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本発明は、研削装置を暖機運転する研削装置のアイドリング方法に関する。
半導体ウェーハや光デバイスウェーハ等のウェーハを所定の厚さに薄化するためには、複数の研削砥石が装着された研削ホイールでウェーハを研削する研削装置が一般的に使用される。
研削装置は、立ち上げ時にアイドリング運転(暖機運転)を実施し、装置に不具合がないか否かをチェックすると共に、加工室内やチャックテーブルを加工時と同様の温度に整え、所定の精度で加工が実施できるよう準備される。実際には、所定の温度に調温された研削水を噴出しつつ、スピンドルやチャックテーブルを研削加工時と同一の回転速度で回転させる空運転を実施する。
しかしながら、このようなアイドリング運転を所定時間実施しても、ウェーハの研削加工を開始すると、1枚目のウェーハから所望の面内厚さばらつきに収まることは少なく、ある程度のプリカットが必要であった。
特開2003−326458号公報
この問題に対処するため、発明者の鋭意研究の結果、ウェーハの研削時に発生する加工熱により、アイドリング運転時よりウェーハの研削加工中の方がチャックテーブルの温度が上がるため、チャックテーブルの形状変化が発生し、形状変化が安定するまでに所定以上の枚数のウェーハを研削する必要があることが判明した。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所定時間内に被加工物の研削加工時の装置状態と同様な状態に研削装置を準備可能な研削装置のアイドリング方法を提供することである。
本発明によると、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に研削水を供給しながら研削加工を施す研削手段と、該チャックテーブルと該研削手段とを覆って加工室を画成する加工室カバーと、を備えた研削装置のアイドリング方法であって、研削加工時に供給する研削水より所定温度高い水温の研削水を該チャックテーブルに供給しながら該チャックテーブルと該研削手段に装着された研削ホイールとを回転させることによってアイドリング運転を実施して、被加工物研削の際に生じる加工熱の影響を受けた装置状態にすることを特徴とする研削装置のアイドリング方法が提供される。
本発明の研削装置のアイドリング方法によると、アイドリング中に供給する研削水の温度を被加工物の研削時より所定温度高い研削水を供給しながらアイドリング運転を実施することで、研削熱を疑似的に再現することができ、アイドリング運転中にチャックテーブルの形状変化を完了させることができるため、1枚目の被加工物から所望の厚さ精度に研削加工をすることができる。
本発明のアイドリング方法を実施するのに適した研削装置の斜視図である。 アイドリング中のチャックテーブル及び研削ユニットの一部断面正面図である。 図3(A)は変形前のチャックテーブルの断面図、図3(B)は熱による変形後のチャックテーブルの断面図である。 チャックテーブルに保持されたウェーハを研削加工中の一部断面正面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明のアイドリング方法が適用される研削装置の斜視図が示されている。4は研削装置のハウジングであり、水平ハウジング6の後方にコラム8が立設されている。
コラム8には上下方向に伸びる一対のガイドレール12が固定されている。この一対のガイドレール12に沿って研削ユニット14が上下方向に移動可能に装着されている。研削ユニット14は、支持部18を介して一対のガイドレール12に沿って上下方向に移動する移動基台16に取り付けられている。
研削ユニット14は、支持部18に取り付けられたハウジング20と、ハウジング20中に回転可能に収容されたスピンドル22(図2参照)と、スピンドル22を回転駆動するサーボモータ23を含んでいる。
図2及び図4に示されるように、スピンドル22の先端部にはホイールマウント24が固定されており、このホイールマウント24に研削ホイール26が図示しないねじにより着脱可能に装着されている。研削ホイール26は、基台28と、基台28の下面外周に固着された複数の研削砥石30とから構成される。
図1を再び参照すると、研削ユニット14は、研削ユニット14を一対の案内レール12に沿って上下方向に移動する研削ユニット送り機構36を備えている。研削ユニット送り機構36は、ボールねじ32と、ボールねじ32の一端部に固定されたパルスモータ34と、移動基台16に配設されたボールねじ32に螺合するナットとから構成される。パルスモータ34を駆動すると、ボールねじ32が回転し、研削ユニット14が上下方向に移動される。
水平ハウジング6の凹部10には、チャックテーブルユニット42が配設されている。チャックテーブルユニット42はチャックテーブル44を含んでおり、チャックテーブル44は図示しないモータにより回転駆動されると共に、図示しない水平移動機構(チャックテーブル移動機構)により、被加工物着脱位置Aと研削位置Bとの間で装置の前後方向、即ちY軸方向に移動される。
図2に示すように、チャックテーブル44は、SUS(ステンレス鋼)等の金属から形成されたテーブルベース46と、テーブルベース46上に搭載されたポーラスセラミックスから形成された吸引保持部48を含んでいる。吸引保持部48の外周は多孔質でないセラミックス50により囲繞されている。
チャックテーブル44は回転支持部56上に搭載されている。吸引保持部48はテーブルベース46に形成された吸引路52,54及び電磁切替弁を介して図示しない吸引源に選択的に接続される。
再び図1を参照すると、チャックテーブルユニット42は、チャックテーブル44を囲繞するように配設されたチャックテーブルカバー58と、チャックテーブルカバー58の両端に配設されチャックテーブル移動機構を覆う蛇腹60を含んでいる。
研削位置に位置付けられたチャックテーブル44と研削ユニット14の先端部分は加工室カバー38により覆われており、図2に示すように、加工室カバー38の内部に加工室39が画成されている。
加工室カバー38は、上板38aと側板38bと前板38cを含んでおり、前板38cにはチャックテーブル44の通過を許容する開口部40が形成されている。上板38aには円筒38dが立設されており、この円筒38d中に研削ユニット14のハウジング20が挿入されている。
加工室39内には研削水をチャックテーブル44及び研削砥石30に向かって供給する研削水供給ノズル64が配設されており、研削水供給ノズル64は図1に示す定温水供給装置70及び研削水供給源68に接続されている。
加工室39には排気ダクト66が接続されており、加工室39内の雰囲気は排気ダクト66を介して外部に排気される。水平ハウジング6の前方部分には研削装置2に対してコマンドを入力する操作パネル62が配設されている。
図3(A)を参照すると、変形前のチャックテーブル44の断面図が示されている。図3(B)は加熱により変形後のチャックテーブル44の断面図を示している。SUSから形成されたテーブルベース46の熱膨張率はポーラスセラミックスから形成された吸引保持部48の熱膨張率よりも大きいため、チャックテーブル44は中凹形状に変形する。
ウェーハ等の被加工物研削加工時のチャックテーブル44の形状は図3(B)に示すような形状をしており、このようにチャックテーブル44の形状変化が完了した状態で、研削後の被加工物の厚さが所望の厚さばらつきとなるように、チャックテーブル44及び研削ユニット14の傾き等が調整されている。
次に、図2を参照して、本発明実施形態に係る研削装置のアイドリング方法について説明する。研削装置のアイドリング方法は、被加工物の研削時と同様に、チャックテーブル44を矢印a方向に例えば300rpmで回転すると共に、研削ホイール22を矢印b方向に例えば6000rpmで回転しつつ、研削水供給ノズル64から定温水供給装置70で所定温度に調整された研削水を供給しながら所定時間、例えば約30分間実施する。
本実施形態のアイドリング方法では、アイドリング運転中の研削水の温度を被加工物の研削加工時に供給する研削水の温度よりも所定温度高い研削水を供給しながら実施したことを特徴とする。
被加工物の研削加工中に供給する研削水の温度が23℃の場合には、研削水供給源68から供給される純水からなる研削水を定温水供給装置70を通すことにより、23℃よりも所定温度高い温度範囲に設定してアイドリング運転を実施した。
研削加工時に供給する研削水より所定温度高い水温の範囲は28℃〜35℃の範囲が好ましく、より好ましくは、29℃〜32℃である。従って所定温度は5℃〜12℃の範囲であり、より好ましくは、6℃〜9℃の範囲である。
この範囲の研削水を供給しながらアイドリング運転を25分〜30分間実施したところ、図3(B)に示すようなチャックテーブルの形状変化が完了したことを実際に被加工物を研削することにより確認することができた。
研削装置のアイドリング運転完了後、被加工物であるウェーハ11の研削を実施する。ウェーハ11の研削時には、図4に示すように、チャックテーブル44の吸引保持部48でウェーハ11の表面に貼着された表面保護テープ13を介してウェーハ11を吸引保持しながら、ウェーハ11の裏面の研削を実施した。
ここでは、ウェーハ11の表面のデバイス領域に対応するウェーハ11の裏面を研削して円形凹部15を形成し、デバイス領域を囲繞する外周余剰領域を残存させて環状凸部17とする研削を実施した(本明細書では、この研削方法をTAIKO研削と定義する)。
ウェーハ11のTAIKO研削を実施するには、チャックテーブル44を矢印a方向に例えば300rpmで回転させると共に、矢印b方向に例えば6000rpmで回転する研削ホイール26の研削砥石30をウェーハ11の裏面に当接させて、研削ユニット送り機構36により研削ユニット14を下方に所定の研削送り速度で研削送りすることにより、ウェーハ11の裏面に円形凹部15を形成するTAIKO研削を実施した。
このTAIKO研削実施時には、研削水供給ノズル64から定温水供給装置70により23℃に設定された研削水をチャックテーブル44及び研削砥石30に供給しながらTAIKO研削を実施した。
本実施形態による研削装置のアイドリング方法を実施した後、ウェーハ11のTAIKO研削を実施したところ、円形凹部15に対応するウェーハ11の面内厚さばらつきを小さく抑えることができた。
ここで、TAIKO研削は、チャックテーブル44の吸引保持部48の表面と研削砥石30の研削面との平行度を出すため、チャックテーブル44のセルフグラインドをTAIKO研削ホイール26よりも大径の研削ホイールで実施するので、小径のTAIKO研削ホイール26でウェーハ11のTAIKO研削を行うと、円形凹部15の厚さばらつきが大きくなり、円形凹部15の厚さをプロットするとその断面形状が所謂かもめ形状となってしまい、ウェーハの裏面全面を研削ホイールで研削する全面研削したウェーハの厚さばらつきよりも厚さばらつきが一般的に大きくなる。
よって、予め厚さばらつきが発生していることにより、ウェーハ面内の厚さばらつき許容値に対し、許容値をオーバーしやすいという状況が発生しており、アイドリングの後、一定枚数以上のウェーハでTAIKO研削を行い加工熱を発生させないと、研削したウェーハの厚さばらつきが許容値に収まらない。
従って、本願発明の研削装置のアイドリング方法は、アイドリングによりチャックテーブル44の形状変化を短時間内に完了することができるため、ウェーハ11のTAIKO研削を実施する前に行うとより効果的である。ウェーハ11の全面を研削する全面研削ホイールに本発明のアイドリング方法を適用しても、効果があることは勿論である。
11 ウェーハ
14 研削ユニット
15 円形凹部
26 研削ホイール
30 研削砥石
36 研削ユニット送り機構
38 加工室カバー
44 チャックテーブル
48 吸引保持部
64 研削水供給ノズル
66 排気ダクト
68 研削水供給源
70 定温水供給装置

Claims (1)

  1. 被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物に研削水を供給しながら研削加工を施す研削手段と、該チャックテーブルと該研削手段とを覆って加工室を画成する加工室カバーと、を備えた研削装置のアイドリング方法であって、
    研削加工時に供給する研削水より所定温度高い水温の研削水を該チャックテーブルに供給しながら該チャックテーブルと該研削手段に装着された研削ホイールとを回転させることによってアイドリング運転を実施して、被加工物研削の際に生じる加工熱の影響を受けた装置状態にすることを特徴とする研削装置のアイドリング方法。
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