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JP6530405B2 - ビームコンバイナ、音響光学ビームコンバイナ、光源、顕微鏡及び使用 - Google Patents

ビームコンバイナ、音響光学ビームコンバイナ、光源、顕微鏡及び使用 Download PDF

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Description

本発明は、少なくとも1つの第1の照明光束及び第2の照明光束を受光し、1つの共線的な出力光束に結合させる、顕微鏡のための、特に走査顕微鏡のためのビームコンバイナに関する。第1の照明光束及び第2の照明光束は同一の照明光波長を有しているが、しかしながら、異なる偏光を、特に直線偏光を有している。
更に本発明は、その種の音響光学ビームコンバイナを有している顕微鏡、並びに、試料を照明する際の、その種の音響光学ビームコンバイナの使用に関する。
顕微鏡においては、特に走査顕微鏡又は共焦点顕微鏡においては、複数の照明光束を結合することによって形成された照明光束でもって試料を照明し、照明された試料から放出された反射光又は蛍光を観測することが多い。
例えば走査顕微鏡においては、その種の照明光束は、制御可能なビーム偏向装置を用いて、一般的に2つのミラーの傾斜させることによって、対象平面において移動される。多くの場合、偏向軸は相互に垂直であり、従って一方のミラーはx方向において偏向され、他方のミラーはy方向において偏向される。ミラーの傾斜は例えばガルバノメータ位置決め素子によって行われる。対象物から到来する光の出力は、走査ビームの位置に依存して測定される。通常の場合、位置決め素子には目下のミラー位置を求めるためのセンサが備えつけられている。
特に、共焦点走査顕微鏡では、光照明光束の焦点を用いて対象物が3次元で走査される。共焦点走査顕微鏡は、一般的に、光源と、光源の光を絞り(いわゆる励起ピンホール)に焦点合わせする際に用いられるフォーカシング光学系と、ビームスプリッタと、ビームを制御するためのビーム偏向装置と、顕微鏡光学系と、検出絞りと、検出光又は蛍光を検出する検出器と、を有している。照明光は、例えばビームスプリッタを介して入射される。
対象物から到来する蛍光は、ビーム偏向装置を介してビームスプリッタへと戻され、更にそのビームスプリッタを通過し、続いて、検出絞りに焦点合わせされる。検出絞りの後段には検出器が設けられている。焦点領域には直接的に由来しない検出光は別の光路を進み、従って検出絞りは通過しないので、その結果、スポット点情報が取得され、このスポット情報は、対象物の連続的な走査によって3次元画像がもたらされる。
異なる波長の光束を結合させるために、光学系においては一般的にダイクロイックビームスプリッタが使用される。独国特許出願公開第19633185号明細書からは、例えば、レーザ走査顕微鏡のための点光源、また、異なる波長の少なくとも2つのレーザからの光を1つのレーザ走査顕微鏡に入射させるための方法が公知である。点光源はモジュール式に構成されており、また、少なくとも2つのレーザ光源の光を結合させ、顕微鏡へと案内されている導光ファイバへと入射させるダイクロイックビームコンバイナを含んでいる。
ダイクロイックビームスプリッタを基礎とする装置は、特定の波長に合わせて設計されており、従って変更は手間の掛かるやり方でしか、つまりダイクロイックビームスプリッタを交換することでしか実現されない、という欠点を有している。
欧州特許出願公開第1656578号明細書からは、異なる波長の複数の光ビームを共線的に結合させるための光学装置が公知である。この装置は、分散素子と、各光波長に1つの位置が対応付けられている分割平面を規定する結像光学系と、を含んでいる。分割平面においては、マイクロ構造素子が配置されており、このマイクロ構造素子は、種々の方向から到来し、且つ、その波長に対応する位置に焦点合わせされる複数の光ビームを、結像光学系を介して、それら光ビームを共線的に結合させる分散素子に向ける。もっとも、この装置は技術的に、特に位置合わせに関して非常にコストが掛かり、また非常に高速な切り替え時間を実現することができない。
欧州特許出願公開第2158513号明細書からは、特に光学装置のビームパスにおいて、有利には顕微鏡のビームパスにおいて、少なくとも2つのレーザビームを1つの結合光ビームに結合させるためのビームコンバイナが公知である。このビームコンバイナは、光ビームを偏向又は回折させるための力学的な波を形成できる音響光学素子が設けられていることを特徴としており、それによって、音響光学素子に入射する第1の光ビーム及び音響光学素子に入射する少なくとも1つの第2の光ビームが結合された光ビームとして相互に共線的に音響光学素子から出射される。同一の波長を有しているが、しかしながら異なる偏光を有している複数の光ビームの結合については、この刊行物には開示されていない。
欧州特許第0473071号明細書からは、偏光ビームスプリッタを用いて複数の光ビームを結合することも公知である。しかしながらその種の装置も結局のところは、ダイクロイックビームスプリッタを備えている装置と同様に、フレキシブルなものではなく、従って、本質的なコンポーネントを交換することでしか使用することができない。
従って、本発明の課題は、同一の波長を有しているが、しかしながら異なる偏光を有している照明光束の結合を実現し、また、変更された照明要求に迅速且つ簡単に適合させることができる、ビームコンバイナを提供することである。
この課題は、ビームコンバイナが、音響光学ビームコンバイナとして形成されており、従って少なくとも1つの力学的な波との相互作用によって、第1の照明光束も第2の照明光束も回折されて、共通の光軸に向けられるように構成されており、またそのように動作することによって解決される。
本発明によるビームコンバイナは、音響光学ビームコンバイナとして、数マイクロ秒内での非常に高速な切換を実現することができるという非常に優れた利点を有している。このようにして、照明光束を例えば高速に遮断することができるか、又は再び遮断を解除することができる。別の波長又は別の複数の波長の組み合わせへの高速な切換を実現できることも、本発明によるビームコンバイナの特別な利点である。
その種の音響光学ビームコンバイナの機能は、実質的に、入射する照明光束と1つ又は複数の力学的な波との相互作用を基礎としている。
音響光学コンポーネントは、通常の場合、電気的な変換器(文献においてはトランスデューサと称されることが多い)が取り付けられている、いわゆる音響光学結晶から構成されている。変換器は通常の場合、圧電材料と、その圧電材料の上下に設けられている電極と、を含んでいる。典型的には30MHzから800MHzの間の範囲にある無線周波数を用いて電極を電気的に活性化させることによって、圧電材料が振動され、その結果、音響的な波を、即ち音波を生じさせることができ、この音波は発生後に結晶を通過する。多くの場合、音響的な波は、光学的な相互作用領域を通過した後に、反対側に位置する結晶面において吸収されるか、又は、反射される。
音響光学結晶は、生じた音波によって結晶の光学特性が変化することを特徴としており、その際、音響によって一種の光学格子又は同等の光学的にアクティブな構造、例えばホログラムが誘導される。結晶を通過した光は光学格子において回折される。相応に、光は種々の回折次数で種々の回折方向へと偏向される。入射する光全体に多かれ少なかれ、波長に依存せずに影響を及ぼす、音響光学コンポーネントが存在する。これについては、例えばAOM、AOD及び周波数シフタのようなコンポーネントがあることを示唆するにとどめる。更に、例えば放射される無線周波数に依存して個々の波長に選択的に作用するコンポーネント(AOTF)も既に存在している。音響光学素子は、例えば二酸化テルリウムのような複屈折結晶から形成されることが多く、光の入射方向及びその光の偏光に対する結晶軸の姿勢は各素子の光学作用を決定する。
特に、音響光学ビームコンバイナにおいて例えばAOTFが使用される場合には、所望の照明光波長の光及び所望の偏光に対して正確にブラッグの条件が満たされているようにするために、力学的な波は極めて明確な周波数を有していなければならない。ブラッグの条件が満たされていない光は、この音響光学コンポーネントでは、力学的な波によって偏向されない。
ビームコンバイナが例えば市販のAOTFを含むことができる、本発明によるビームコンバイナの特に簡単な実施の形態においては、音響光学ビームコンバイナが、異なる音響周波数の第1の力学的な波及び第2の力学的な波が同時に伝播する結晶を有しており、結晶と、複数の力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、また、それぞれが結晶に入射する照明光束に相対的に、第1の力学的な波において第1の照明光束が回折され、且つ、第2の力学的な波において第2の照明光束が回折されて、共通の光軸に向けられるように配向されている。
この際、結合された照明光束が、照明光束の伝播方向に対して垂直に配向されている出射面を介して結晶から出射される場合には特に有利である。1つの波長の切り替え時に、又は照明光束が複数の波長を有している場合には複数の波長の切り替え時に、照明光束の方向の変化又は空間的な分割は生じない。
もっとも、この実施の形態は、確かに同一の波長を有しているが、しかしながら異なる偏光を有している2つの照明光束を偏向するために、2つの異なる力学的な波を形成しなければならないという欠点を有している。その限りにおいて、力学的な波のための発生器には、例えば結晶に配置されているピエゾ素子には、同時に2つの異なる電磁高周波が印加されなければならない。これによって、不利なことに、2倍の量の熱出力が1つ又は複数の結晶に注入される。このことは、最終的に回折効率を低下させ、ひいては、不可避の温度変動によって偏光方向も変動させ、従って試料及び検出器に到来する光の光出力も変動させる。更には、力学的な波の周波数領域が重畳する場合には「うなり」が生じる可能性があり、これは最終的に、試料及び/又は検出器に到来する光の光出力に周期的な変動をもたらす。この問題は、特に、力学的な波がその性質上、無限に狭い音響周波数を、即ち単一の音響周波数を有することができずに、むしろ中心周波数を軸として常に周波数領域が存在しているという事実に基づいている。
従って、極めて有利な実施の形態においては、市販のAOTFは使用されない。むしろ、音響光学ビームコンバイナは、第1の照明光束の波長及び第2の照明光束の波長に対応付けられている音響周波数の力学的な波が伝播する結晶を有しており、結晶と、力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、また、それぞれが結晶に入射する照明光束に相対的に、力学的な波において第1の照明光束も第2の照明光束も回折されて、共通の光軸に向けられるように配向されている。
その際、第1の照明光束を直線偏光させることができ、且つ、結晶の複屈折特性に関する通常光の直線偏光方向である直線偏光方向を有することができる、及び/又は、第2の照明光束を直線偏光させることができ、且つ、結晶の複屈折特性に関する異常光の直線偏光方向である直線偏光方向を有することができる。特に、第1の照明光束の直線偏光方向又は第2の照明光束の直線偏光方向は、力学的な波の伝播方向及び検出光束の伝播方向によって張られている平面内に配置されている。
その種の音響光学ビームコンバイナの具体的な構造、特に1つ又は複数の力学的な波の伝播方向及び照明光束の伝播方向に相対的な結晶の配向、並びに、力学的な波及び検出光束の相互に相対的な配向、また、入射面及び出射面の相互的な配向及び結晶の光学軸に対する入射面及び出射面の配向を、例えば、下記において説明する反復的な方法に従い発展させることができ、この方法は有利には、実際の構成部材に基づいてではなく、コンピュータシミュレーションにおいて実行され、これは結晶形状、面及び結晶格子の配向の個々のパラメータ、1つ又は複数の力学的な波の伝播方向の配向、及び、照明光束の伝播方向が所望の要求に応じるまで行われる。もっとも、この方法は実際の構成部材に基づいても実現することは可能であると考えられる。コンピュータシミュレーションにおいて関連する全てのパラメータがこのようにして求められると、続けて、結晶が別のステップにおいて製造される。
その際、例えば、先ず上記において説明したような、音響光学ビームコンバイナが、第1の照明光も第2の照明光も共通の光軸に向けるために、異なる音響周波数の第1の力学的な波と第2の力学的な波とが本来的に同時に伝播しなければならない市販の結晶を有している実施の形態を基礎とすることができる。
反復的な方法に関しては、反対向きの光路も考察され、その反対向きの光路においては、第1の照明光束及び第2の照明光束が共線的に、有利には垂直に配向されている出射面を介して結晶に入射されるが、しかしながら複数ある力学的な波のうちの第1の力学的な波だけは結晶において形成される。これによって、第1の照明光のみが力学的な波において回折され、それに対し、確かに同一の波長を有しているが、しかしながら異なる直線偏光方向を有している第2の光束は偏向されずに結晶を通過する。
続いて、結晶は有利には、入射する共線的な照明光束及び力学的な波の伝播方向によって張られている平面において、力学的な波によって2つの直線偏光成分の2つの照明光束が偏向されるまで回転され、従って、力学的な波の伝播方向と結晶軸との間の角度も変更される。
もっとも、通常の場合、回転によって、出射面は入射する共線的な照明光束に対してもはや垂直ではなくなる。この理由から、後続の反復ステップにおいては、結晶を回転させることなく、出射面が入射する照明光束に対して再び垂直になるように、結晶の形状が変更される。
もっとも、結晶の形状を変更することによって、通常の場合、力学的な波によっても、照明光波長の2つの直線偏光成分のいずれももはや偏向されなくなる。このことから、結晶はこの条件が再び満たされるまで、再び回転される。続いて、既に説明した別の反復ステップが繰り返される。
2つの直線偏光成分が同時に偏向する条件と、共線的な光の出射の条件とが満たされるまで、反復サイクルが複数回実行される。通常の場合、本方法は非常に高速に収束されるので、小数の反復サイクルが実行された後には目的が達成されている。
1つの特別な実施の形態においては、結晶の回転時に、反対向き延びる照明光の複数の直線偏光のうちの1つに関して、照明光波長を有している全ての一次回折光が共線的に結晶から出射されることがその都度顧慮される。その種の実施の形態は、その都度ただ1つの力学的な波が、異なる直線偏光のそれぞれ2つの成分を偏向させるという利点だけではなく、更には、上述の共線性が生じる一次回折の光路を介して、多色の共線的に入射した照明光を共線的に照明光ビームパスに回折させることができるという利点も提供する。この照明光に関しては、有利には、空間的な分割の補償は必要とされない。何故ならば、この分割は照明光に関しては存在しないからである。
その種の実施の形態においては、例えば、第1の結晶又は第2の結晶が、複数の波長の一次光のための入射面と、共通の光軸に向けられる照明光束のための出射面と、を有しており、入射面と出射面とは、一次光を共線的な照明光束として結晶に入射させることができ、且つ、共通の光軸に向けられた照明光束が共線的な照明光束として結晶から出射されるように、相互に配向されている。
有利な実施の形態においては、第1の照明光束の波長も第2の照明光束の波長も有しておらず、且つ、力学的な波においても回折されない、少なくとも1つの別の照明光束が結晶を通過し、第1の照明光束及び第2の照明光束と共に共通の光軸に到達する。その種の実施の形態は、特に、複数の音響光学コンポーネントを連続的に設けることを実現し、これを下記において詳細に説明する。
例えば、別の照明光束の波長に対応付けられている音響周波数を有している第2の力学的な波が伝播する第2の結晶から、第2の力学的な波によって回折された、別の照明波長の第3の照明光束を含んでいる別の照明光束を放射させることができるか、又は、別の照明光束は、第2の力学的な波によって回折された、別の照明波長を有しているが、しかしながら異なる偏光を、特に直線偏光を有している、第3の照明光束及び第4の照明光束を含んでいる。後者のヴァリエーションを実現するために、第2の結晶は有利には、上記において詳細に説明したように、別の波長の照明光がその偏光に依存せずに偏向されるように構成されるべきである。
既に説明したように、有利には、少なくとも1つの結晶において異なる波長の照明光に対して異なる周波数の複数の力学的な波が形成されるようにして、前述の原理を同時に何度も適用することができる。
例えば、第1の結晶又は第2の結晶において同時に、付加的な波長に対応付けられている別の音響周波数を有している少なくとも1つの付加的な力学的な波を伝播させることができ、付加的な力学的な波において、別の波長を有している少なくとも1つの付加的な照明光束を回折させて、共通の光軸に向けることができる、及び/又は、付加的な力学的な波において、別の波長及び相互に異なる偏光、特に直線偏光を有している2つの付加的な照明光束を回折させて、共通の光軸に向けることができる。
1つの特別な実施の形態においては、音響光学ビームコンバイナが少なくとも1つの分散光学コンポーネントを有しており、この分散光学コンポーネントは第1の結晶又は第2の結晶によって(少なくとも部分的に)惹起される空間的なスペクトル分割を補償する。この場合、この空間的なスペクトル分割は、例えば、複数の波長の光を含んでいる照明光束の分割である。しかしながら、分散光学コンポーネントが、照明光の分割の補償に付加的に、検出光の空間的なスペクトル分割を補償することもできる。
既に行われた空間的なスペクトル分割を再び戻すように分散光学コンポーネントを配置することができる。しかしながらこの補償を、分散光学コンポーネントによって空間的なスペクトル分割が惹起され、この空間的なスペクトル分割が第1の結晶又は第2の結晶によって戻されるように行なうこともできる。
非常に有利には、本発明による音響光学ビームコンバイナを、顕微鏡のための、特に走査顕微鏡又は共焦点走査顕微鏡のための光源の一部とすることができる。その種の光源は特に複数の一次光源を有することができ、それらの一次光源の照明光束が音響光学ビームコンバイナによって結合される。
複数ある一次光源のうちの少なくとも1つの光源が偏光されていない一次光を、特に白色光を形成することも可能である。その種の光源は、例えば、偏光ビームスプリッタを有することができ、この偏光ビームスプリッタは偏光されていない一次光を受光し、また直線偏光方向に依存して空間的に分割することができ、それによって、生じた照明光束には、1つ又は複数の結晶の異なる入光部を介して、1つの力学的な波又は複数の力学的な波を作用させることができる。このようにして、完全に所期のように、且つ非常にフレキシブルに切り替え可能である、1つ又は複数の波長の照明光を選択することができ、且つ、試料を照明するための照明光ビームパスに共線的に向けることができ,この際、光学コンポーネントへの入射時及び光学コンポーネントからの出射時の通常の損失を除いて、例えば偏向されていない一次光の光出力が失われることはない。特に、基本的に、直線偏光方向の光を完全に省略する必要はない。
極めて有利には、本発明による音響光学ビームコンバイナを顕微鏡の一部、特に走査顕微鏡又は共焦点走査顕微鏡の一部とすることができる。特に、試料が同時に又は連続的に異なる特性の照明光が供給される顕微鏡技術では、例えばSTED(Stimulated Emission Depletion)顕微鏡又はCARS(Coherent Anti Stokes Raman Spectroscopy)顕微鏡又はSRS(Stimulated Raman Scattering)顕微鏡又はCSRS(Coherent Stokes Raman Scattering)顕微鏡又はRikes(Raman induced Kerr−Effect Scattering)顕微鏡において試料が照明される顕微鏡技術では、その種の顕微鏡を非常に有利に使用することができる。何故ならば、照明パラメータを光束に且つフレキシブルに、照明光の偏光に関しても調整することができ、その際、行われるべきビーム結合による一次光出力の大きな損失を甘受する必要はないからである。
しかしながら、通常の蛍光顕微鏡の分野においても、その種の顕微鏡は有利である。特に有利には、音響光学ビームコンバイナは試料に由来する検出光を受光し、その検出光から、照明光波長及び/又は別の照明光波長及び/又はその他の照明光波長を有している成分を除去することができる。
つまり蛍光顕微鏡では、蛍光だけを検出できるようにするために、試料において反射及び散乱された照明光の成分が検出光から除去されなければならない。このために、従来の顕微鏡では、ダイクロイックフィルタ、いわゆるメインビームスプリッタが使用される。
1つの特別な実施の形態においては、試料から到来する検出光束から、第1の結晶の力学的な波との相互作用によって、検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も偏向されて、検出光束から除去される。択一的又は付加的に、試料から到来する検出光束から、第2の結晶の力学的な波との相互作用によって、検出光束の、第1の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も偏向されて、検出光束から除去される。
択一的又は付加的に、第1の結晶と、第1の力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、また、それぞれが第1の結晶に入射する検出光束に相対的に、音響光学ビームコンバイナが、第1の力学的な波を用いて、検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している検出光束の第2の成分も偏向させて、検出光束から除去するように配向されている、及び/又は、第2の結晶と、第2の力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、また、それぞれが第2の結晶に入射する検出光束に相対的に、音響光学ビームコンバイナが、第2の力学的な波を用いて、検出光束の、第1の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も偏向させて、検出光束から除去するように配向されている。
結晶を連続的に設けることに関して説明したことと同様に、有利には、検出光束を先ず結晶を通過させ、続いて第2の結晶を通過させることができる。
音響光学ビームコンバイナの特別な実施の形態に依存せずに、しかしながら特に、力学的な波が照明光波長及び2つの直線偏光方向の光成分に作用する音響光学ビームコンバイナにおいては、有利には、ビームコンバイナのビームガイドコンポーネントを、検出光束の残存部分が音響光学ビームコンバイナから共線的に出射されるように配置及び構成することができる。このようにして、検出光束を簡単に検出器へと、例えばマルチバンド検出器へと案内させることができる。
既に何度か示唆したように、本発明による音響光学ビームコンバイナ又はその種のビームコンバイナが設けられている光源を、試料の照明時に、又はSTED(Stimulated Emission Depletion)顕微鏡又はCARS(Coherent Anti Stokes Raman Spectroscopy)顕微鏡又はSRS(Stimulated Raman Scattering)顕微鏡又はCSRS(Coherent Stokes Raman Scattering)顕微鏡又はRikes(Raman induced Kerr−Effect Scattering)顕微鏡における試料の照明時に使用することができる。
図面には本発明の対象が概略的に示されている。これを以下では図面に基づき説明する。同一の作用を有する構成要素には同一の参照符号を付している。
本発明によるビームコンバイナと、メインビームスプリッタとして機能する別の本発明による音響光学ビームコンバイナと、を有している顕微鏡の一実施例を示す。 本発明による音響光学ビームコンバイナの第1の実施例を示す。 本発明による音響光学ビームコンバイナの第2の実施例を示す。 本発明による音響光学ビームコンバイナの第3の実施例を示す。 照明光の偏向に関する第3の実施例を示す。 STED顕微鏡における特殊な使用可能性に関する第3の実施例を示す。 本発明による音響光学ビームコンバイナの第4の実施例を示す。
図1には、本発明による音響光学ビームコンバイナ11と、メインビームスプリッタとして機能する別の本発明による音響光学ビームコンバイナ13と、が設けられている、共焦点走査顕微鏡として構成されている顕微鏡が示されている。
顕微鏡は複数の光源1を含んでおり、それら複数の光源1の光は共線的な照明光束2へと結合される。具体的に、顕微鏡はダイオードレーザ3と、有利にはダイオード励起固体レーザ4(DPSSレーザ;diode pumped solid State laser)と、ヘリウムネオンレーザ5と、アルゴンイオンレーザ6と、を含んでおり、それらのレーザの放射光束は、ダイクロイックビームスプリッタ7によって結合される。続いて、結合された放射光束はAOTF(acousto optical tunable filter)8に到達し、このAOTF8は、結合された放射光束から特定の波長の光を選択し、更にその光を通過させることができる。このために、AOTF8には高周波源9の電磁高周波が印加される。ユーザは、PC10を介する入力によって、1つ又は複数の波長のいずれの波長を、更に案内される光が有するべきかを設定することができる。また、高周波源9の周波数は、自動的に顕微鏡によって相応に調整される。AOTF8内では、電磁高周波によって、所望の光を回折させるための力学的な波が形成される。
顕微鏡は更に音響光学ビームコンバイナ11を有しており、このビームコンバイナ11は、一方ではAOTF8から転送された光を受光し、他方では白色光源12の光を受光する。
特にその種の白色光源12は、入射した一次光を、特にパルスレーザの光をスペクトル的に拡張する特別な光学素子を有することができ、例えばマイクロ構造光学素子及び/又はテーパファイバ及び/又はフォトニック結晶ファイバ及び/又はフォトニック結晶及び/又はフォトニックバンドギャップ材料及び/又は非線形性を誘導する同等の光学素子を有することができる。その種の光源は数10nmのスペクトル幅、特に数100nmのスペクトル幅の一次光を供給することができる。
音響光学ビームコンバイナ11にも同様に、高周波源9から供給される電磁高周波が印加される。音響光学ビームコンバイナ11は、電磁高周波によって光ビームを偏向又は回折させるための力学的な波を形成することができる音響光学素子を含んでいる。力学的な波の形成は、AOTF8から転送される光の各所望の成分と、白色光源12の光の各所望の成分とが、結合された照明光束として相互に共線的に音響光学ビームコンバイナ11から出射されるように行われる。音響光学ビームコンバイナ11は、少なくとも1つの力学的な波との相互作用によって、AOTF8から転送される光も、白色光源12の光も回折されて、共通の光軸に向けられるように構成されており、またそのように動作する。
顕微鏡は更に、メインビームスプリッタとして機能する別の音響光学メインビームスプリッタ13を含んでおり、この音響光学メインビームスプリッタ13は、一方では、1つの所望の波長の照明光14又は複数の所望の波長の照明光14を照明光ビームパス15に向けるタスクを有しており、他方では、試料ステージ17上に配置されて照明されている試料16に由来する、多色且つ共線性の検出光束18(破線で示されている)から、試料16において散乱及び/又は反射された照明光14の成分を除去するタスクを有している。
別の音響光学ビームコンバイナ13によって照明光ビームパス15に向けられた照明光14は、ビーム偏向装置24に到達する。ビーム偏向装置24は、第1のガルバノメータミラー25及び第2のガルバノメータミラー26を含んでいる。一次光2の残りの部分は、1つ又は複数の力学的な波による影響を受けずにビームトラップ(図示せず)に到達する。
照明光14はビーム偏向装置24から出射された後に、先ず走査レンズ27に到達し、続いてチューブレンズ28に到達し、最後に、照明光14を試料16表面又は試料16内に焦点合わせする対物レンズ29に到達する。
ビーム偏向装置24は、照明光14の焦点を試料16にわたり又は試料16を通るように、有利には蛇行状に案内する。その際、第1のガルバノメータミラー25はX方向における偏向を担当し、第2のガルバノメータミラー26はY方向における偏向を担当する。
別の音響光学ビームコンバイナ13にも、少なくとも1つの電磁高周波が印加され、それによって1つの周波数の少なくとも1つの力学的な波が形成される。電磁高周波の周波数を変更することによって、力学的な波の周波数を変更することができる。力学的な波の形成は、例えばピエゾ音波発生器によって行なうことができる。
力学的な波が伝播する、別の音響光学ビームコンバイナ13の結晶(この図においては図示されていない)及び力学的な波の伝播方向は、試料16から到来する検出光束18に対して以下のように配向されている。つまり、音響光学ビームコンバイナ13が、力学的な波を用いて、検出光束18の、第1の直線偏光方向及び照明波長を有している成分も、検出光束18の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明波長を有している成分も偏向させて、検出光束18から除去するように配向されている。検出光束18の残存成分19は共線的に結晶から出射され、またAONF(acousto optical notch filters)20、結像光学系21及び検出絞り22を通過した後に、有利には、マルチバンド検出器として形成されている検出器23に到達する。検出器23の電気信号は、更なる処理及び評価のためにPC10に伝送される。
顕微鏡は以下のように構成されている。即ち、照明光14としての1つの波長の光だけが照明光ビームパス15に向けられ、1つの波長の光だけが試料16から到来する検出光束18から除去されるのではなく、それと同時に、複数の異なる波長(及び2つの直線偏光方向)の照明光を検出光から除去するために、及び/又は、複数の異なる波長(及び2つの直線偏光方向)の照明光を照明光ビームパスに向けるために複数の力学的な波を使用することができ、その際、しかしながら有利には、別の音響光学ビームコンバイナ13の結晶内の照明光波長毎にただ1つの力学的な波が形成されるように、顕微鏡は構成されている。
別の音響光学ビームコンバイナ13には、ユーザが所望する照明光波長毎に、高周波源9によって形成される固有の電磁高周波が印加される。完全性を期すために、高周波源9がAONF20、音響光学ビームコンバイナ11、AOTF8及び別の音響光学ビームコンバイナ13に対して供給する種々の高周波は通常の場合、異なる周波数を有していることを言及しておく。しかしながら、少なくとも2つの音響光学コンポーネントに対して同一の周波数の2つの高周波を使用できるように、音響光学コンポーネントを構成することも可能である。
図2には、音響光学ビームコンバイナ76の一実施例が概略的に示されている。
音響光学ビームコンバイナ76の前段には偏光ビームスプリッタ33が設けられており、この偏光ビームスプリッタ33は、例えば白色光源の複数の波長の偏光されていない一次光束を、特に偏光されていない広帯域の一次光束2を受光する。偏光ビームスプリッタ33は、一次光束2を第1の照明光束34及び第2の照明光束35へと空間的に分割し、その際、照明光束34,35の光は相互に垂直な直線偏光方向を有している。
音響光学ビームコンバイナ76は、試料(この図においては図示していない)から到来する検出光束18(破線で示されている)のための入射面31と、最終的に検出器(この図においては図示していない)へと案内される検出光束18の残存成分19のための出射面32と、を備えている結晶30を含んでいる。残存成分19のための出射面32は、それと同時に第1の照明光束34及び第2の照明光束35を結晶30に入射させるための入射面でもある。
結晶30にはピエゾ音波発生器36が配置されており、このピエゾ音波発生器36には、1つの周波数の1つの電磁高周波又は複数の周波数の複数の電磁高周波が、1つの力学的な波又は複数の異なる力学的な波を形成するために印加される。1つ又は複数の力学的な波を用いて、第1の照明光束34からも、第2の照明光束35からも、1つの所望の照明光波長の光成分又は、複数の所望の照明光波長の光成分を回折によって偏向させて共線的に照明光ビームパス15に向けることができる。その際、各力学的な波のそれぞれ1つの周波数は(特にそれぞれがブラッグの条件を満たすために)、複数ある照明光波長のうちの1つの照明光波長に(2つの直線偏光方向に対して同時に)対応付けられている。
照明光14は、検出光束18のための入射面31を介して結晶30から出射される。従って、この入射面31は同時に照明光14のための出射面でもある。
同時に、1つの力学的な波を用いて、又は複数の力学的な波を用いて、検出光束18(破線で示されている)から、照明光14の1つ又は複数の波長を有している光成分が除去される。その際、結晶30及び(1つ又は複数の)力学的な波の伝播方向は、試料16から到来する検出光束18に対して以下のように配向されている。つまり、各力学的な波が、検出光束18の、第1の直線偏光方向及び照明波長を有している成分も、検出光束18の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明波長を有している成分も偏向させて、検出光束18から除去するように配向されている。検出光束18の残存成分19は、出射面32を介して共線的に結晶から出射される。図面においては、結晶構造の配向は結晶軸[001]及び[110]を示すことによって概略的に示唆されている。
第1の照明光束34は、(検出光の回折された成分に関する)通常光の一次回折の方向とは反対に結晶30に入射され、他方、第2の照明光束35は、(検出光の回折された成分に関する)異常光の一次回折の方向とは反対に結晶30に入射される。このようにして、音響光学装置を用いて一次光束2から所定の1つ又は複数の波長の照明光14を顕微鏡の照明光ビームパスに、従って試料に向けるために、全ての一次光束2が使用され、その際、各波長に関しては、単一の周波数の単一の力学的な波だけが必要とされる。
結晶30から出射する照明光14の共線性を達成するために、結晶30の前段には分散光学コンポーネント37が設けられており、この分散光学コンポーネント37は、第1の照明光束34及び第2の照明光束35を空間的且つスペクトル的に分割し、その際、(特に角度及び/又は光路長の選択による)空間的な分割の程度は、それらが結晶30によって再び取り消されるように規定されている。
分散光学コンポーネント37は、第1の照明光束34のための入射兼出射窓38を有している。第1の照明光束34は先ず、入射兼出射窓38を介して、分散光学コンポーネント37に入射し、空間的且つスペクトル的に分割されて入射兼出射窓38を介して再び分散光学コンポーネント37から出射される前に、分散光学コンポーネント37を通った後に、入射兼出射窓38に対向する面に取り付けられている第1のミラー39によって反射される。
同様に、分散光学コンポーネント37は、偏向ミラー42によって偏向された第2の照明光束35のための別の入射兼出射窓40を有している。第2の照明光束35は先ず、入射兼出射窓40を介して、分散光学コンポーネント37に入射し、空間的且つスペクトル的に分割されて入射兼出射窓40を介して再び分散光学コンポーネント37から出射される前に、分散光学コンポーネント37を通った後に、入射兼出射窓40に対向する面に取り付けられている第2のミラー41によって反射される。
更に分散光学コンポーネント37は、検出光束18の残存成分19のための、入射面43と、この入射面43に平行な出射面44と、を有している。検出光束18の残存成分19は、入射面43にも、それに平行な出射面44にも垂直に入射するので、従ってスペクトル的に分割されない。
図3には、第1の結晶45及び第2の結晶46を有している、本発明による音響光学ビームコンバイナ13の第2の実施例が示されている。
図示されている音響光学ビームコンバイナ13は、第1の入射部58を介して、図示していない光源の第1の照明光束47を受光する。第1の照明光束47はミラー48によって第1の結晶45の方向へと偏向され、入射面49を介して第1の結晶45に入射する。
第1の結晶45には、第1のピエゾ音波発生器57が配置されている。第1のピエゾ音波発生器57には、高周波源9の周波数f1の電磁高周波が印加されており、またこの第1のピエゾ音波発生器57は、第1の結晶45を介して伝播される、周波数f1に対応する音響周波数の(図示していない)力学的な波を形成する。
力学的な波との相互作用によって、音響周波数に対応付けられている照明光波長を有している第1の照明光束47が、試料16を照明するために照明光ビームパスへと偏向される。偏向された照明光束47は、出射窓50を介して第1の結晶45から出射され、特に少なくとも1つの走査装置及び顕微鏡対物レンズを含んでいる、顕微鏡の走査及び光学系ユニット51を介して、照明すべき試料16に到達する。
音響光学ビームコンバイナ13は第2の結晶46を有している。第2の結晶46には、第2のピエゾ音波発生器53が配置されている。第2のピエゾ音波発生器53にもやはり高周波源9の周波数f1の電磁高周波が印加されており、またこの第2のピエゾ音波発生器53は、第2の結晶46を介して伝播される、周波数f1に対応する音響周波数の(図示していない)第2の力学的な波を形成する。
第2の結晶は、ビームコンバイナ13の第2の入光部59を介して入射した第2の照明光束77を受光する。この第2の照明光束77は、同一の波長を有しているが、しかしながら、別の直線偏光方向を、即ち、第1の照明光束47の直線偏光方向に対して垂直な直線偏光方向を有している。第2の照明光束77はミラー61によって第2の結晶46の方向へと偏向され、入射面54を介して第2の結晶46に入射する。
第2の結晶46内を伝播する第2の力学的な波との相互作用によって、第2の照明光束77が偏向され、第1の結晶45を通って延在するビームパスに向けられる。第2の照明光束77が第2の結晶の出射面52を介して第2の結晶46から出射された後に、第2の照明光束77は第1の結晶に45に到達する。第1の結晶45においては、第2の照明光束77が、第1の結晶45内を伝播する第1の力学的な波によって偏向されない。第1の照明光束47は第1の結晶45において、第2の照明光束77の光路へと回折される。照明光束47,77は共線的に結合された照明光束として第1の結晶45から出射される。
2つの結晶45,46において同一の音響周波数の音波によって、一方では第1の結晶45において第1の照明光束47が偏向され、他方では第2の結晶46において第2の照明光束77が偏向され、第1の照明光束47がその力学的な波による影響を受けずに第1の結晶を通過することは、結晶45,46が少なくとも1つのパラメータに関して、例えば結晶カット面及び/又は結晶方位及び/又は力学的な波及び光の伝播方向に関して、偏向すべき照明光束47,77に対するブラッグの条件がそれぞれ満たされているように相互に異なっており、且つ相互に調整されていることによって達成されている。
試料16に由来する検出光束18は、反対向きの光路を伝播して、共線的に結合された照明光束47,77として再び第1の結晶45に到達し、出射窓50を介してこの第1の結晶45に入射する。第1の結晶45の力学的な波との相互作用によって、検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している第1の部分55が偏向されて、検出光束18から除去される。検出光束18の残存部分は、入射窓49を介して第1の結晶45から出射され、続いて第2の結晶46の出射面52に到達する。
第2の結晶46内を伝播する第2の力学的な波との相互作用によって、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している第2の部分56が偏向されて、検出光束18から除去される。検出光束18の残存部分は、入射面54を介して第2の結晶46から出射され、続いて図示していない検出器に到達する。
同一の音響周波数の音波によって、2つの結晶45,46において連続的に、検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している第1の部分55も、検出光束の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している第2の部分56も偏向できることは、上記において照明光束47,77に関して既に説明したように、それらの結晶45,46が、少なくとも1つのパラメータに関して、例えば結晶カット面及び/又は結晶方位及び/又は力学的な波及び光の伝播方向に関して、偏向すべき光に対するブラッグの条件をそれぞれ満たしているように相互に異なっており、且つ相互に調整されていることによって達成されている。
結晶は、検出器に供給すべき検出光が共線的な光束として音響光学ビームコンバイナ13から出射されるように形成及び配置されている。このことは特に、入射面54及び出射面50が相互に平行に配向されていることによって達成されている。
図4には、顕微鏡のメインビームスプリッタとして機能する、本発明による音響光学ビームコンバイナ13の第3の実施例が示されているが、ここでは図面を見やすくするために、試料16から到来する検出光の軌道、及び、照明光波長λ1及びλ2を有している成分の、試料16から到来する検出光からの除去のみが示されている。照明光の軌道は図5に示されている。
音響光学ビームコンバイナ13は第1の結晶62を有しており、この第1の結晶62には第1のピエゾ音波発生器75が配置されている。第1のピエゾ音波発生器75には、周波数f1及びf2の2つの電磁高周波が印加されており、またこの第1のピエゾ音波発生器75は、第1の結晶62を介して伝播される、各周波数f1及びf2に対応するそれぞれ1つの音響周波数の(図示していない)2つの力学的な波を形成する。
第1の結晶62及び力学的な波の伝播方向は、第1の結晶62についてはその結晶構造に関して、以下のように相互に相対的に、また、それぞれが結晶に入射する検出光束18に相対的に配向されている。つまり、力学的な波によって、検出光束18の、第1の直線偏光方向及び照明光波長λ1及びλ2を有している成分も、検出光束18の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長λ1及びλ2を有している成分も偏向されて、検出光束18から除去されるように配向されている。
図中、除去された成分は参照符号oe及びeoで表されている。第1の直線偏光方向は、この実施例において、第1の結晶62の複屈折特性に関する通常光の直線偏光方向であり、それに対し第2の直線偏光方向は、この実施例において、第1の結晶62の複屈折特性に関する異常光の直線偏光方向である。参照符号oe及びeoによって、入射する検出光の直線偏光方向は力学的な波との相互作用によって、(通常光から異常光、又は、異常光から通常光へと)それぞれ90°回転されることを表している。
音響光学ビームコンバイナ13は、第2の結晶63を更に有しており、この第2の結晶63は、第1の結晶62から出射された残存検出光を受光する。この検出光は空間的に、その偏光に関しても、またその波長に関しても分割されている。しかしながら第2の結晶63は、自身から出射されて(図示していない)検出器へと供給される検出光束18が共線的に結合されるように構成されている。このことは、第1の結晶62の出射窓64が第2の結晶63の入射窓65に対して平行に配置されており、また付加的に、第1の結晶62の入射窓66が第2の結晶63の出射窓64に対して平行に配置されていることによって達成されている。明確にするために、「入射面」及び「出射面」という概念は、照明光の軌道に関するものであって、従って、照明光に関して反対方向に延びる検出光が入射面を介して出射され、また出射面を介して入射することを再度言及しておく。
第2の結晶63は一方では、(第1の結晶62の力学的な波との相互作用にもかかわらず)、場合によっては未だなお検出光に残存する、照明光波長λ1及びλ2の成分を除去するために使用される。第2の結晶63は他方では、試料に向けられる照明光のための少なくとも1つの別の入射面を提供するために使用されるが、これはここでは詳細に図示されていない。
第2の結晶63には第2のピエゾ音波発生器68が配置されている。第2のピエゾ音波発生器68には、周波数f1’及びf2’の2つの電磁高周波が印加されており、またこの第2のピエゾ音波発生器68は、第2の結晶63を介して伝播される、各周波数f1’及びf2’に対応するそれぞれ1つの音響周波数の(図示していない)2つの力学的な波を形成する。
第2の結晶63及び力学的な波の伝播方向は、第2の結晶63についてはその結晶構造に関して、以下のように相互に相対的に、また、それぞれが結晶に入射する検出光束18に相対的に配向されている。つまり、力学的な波によって、検出光束18の、第1の直線偏光方向及び照明光波長λ1及びλ2を有している成分も、検出光束18の、第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長λ1及びλ2を有している成分も偏向されて、検出光束18から除去されるように配向されている。
図5には、第1の直線偏光方向も、その第1の直線偏光方向とは異なる第2の直線偏光方向も有している照明光波長λ1及びλ2の照明光が、図3に関連させて既に詳細に説明した音響光学ビームコンバイナ13を用いて、試料16を照明するための照明光ビームパスにどのように共線的に向けられるかが示されている。
以下の説明においては、第1の結晶62を介して、その結晶62内を伝播する(図示していない)力学的な波との相互作用があった照明光についてのみ説明する。しかしながら、択一的又は付加的に、第2の結晶63を介して照明光を入射させ、試料16を照明するための照明光ビームパスに向けることも可能である。
照明光束の入射は、図6に示されているように、検出光の、照明光波長を有している成分が検出光束18から除去される光路において行われる。
第1の結晶62の特別な結晶カット面に基づき、(図中「o−pol」が付されている)第1の直線偏光方向及び二つの照明光波長λ1及びλ2を有している第1の照明光束69が、共線的な照明光束として入射される。力学的な波との相互作用によって、光は試料16を照明するための照明光ビームパスに向けられる。また光は、特に少なくとも1つの走査装置及び顕微鏡対物レンズを含んでいる、顕微鏡の走査及び光学系ユニット51を介して、照明すべき試料16に到達する。
更に、第2の直線偏光方向と、照明光波長λ1の光と、を有している第2の照明光束70、並びに、照明光波長λ2の光と、同様に第2の直線偏光方向と、を有している第3の照明光束71が、空間的に別個の照明光束70,71として入射される。これらの照明光束70,71の光も、第1の結晶62内を伝播する力学的な波との相互作用によって、照明光ビームパスに到達し、また顕微鏡の走査及び光学系ユニット51を介して試料16に到達する。
照明光波長λ1又は照明光波長λ2を有していない光は、照明光ビームパスには向けられずに、図示していないビームトラップに向けられる。
図6には、STED顕微鏡における特別な使用可能性に関する第3の実施例が示されており、ここでは、試料に照射される照明光の軌道のみが示されており、図面を見やすくするために、検出光の軌道は図示していない。
共焦点走査顕微鏡の解像能力は、特に、試料における励起光束の焦点の空間的な大きさ及び強度分布によって定まる。蛍光の用途に関する解像能力を向上させるための装置は、国際公開第95/21393号から公知である。その装置においては、励起光束の焦点体積の横方向の縁部領域が、別の波長の別の光束の、いわゆる脱励起光束の、必要に応じて特別に成形された焦点でもって照明され、その縁部領域では、励起光束によって励起された試料領域が誘導放出されて基底状態に戻る。その場合、脱励起光束によって照明されない領域から自然放射される光だけが検出されるので、その結果、総じて解像度の向上が達成される。この方法については、STED(Stimulated Emission Depletion)と言う名称が定着している。
図6に示されている実施例においては、音響光学ビームスプリッタ13が、異なる方向から到来し、且つ波長λdep及び異なる直線偏光をそれぞれが有している2つの脱励起光束72,74も、波長λexcの励起光も、試料16を照明するための照明光ビームパスに向けるために使用される。
第1の結晶62のピエゾ音波発生器75には、周波数f1の高周波及び周波数f2の高周波が印加されており、またこの第1のピエゾ音波発生器75は、第1の結晶62を介して伝播される、周波数f1及びf2に対応する各音響周波数の(図示していない)力学的な波を形成する。
波長λexcの励起光束73は、第1の結晶62を介して入射される。ピエゾ音波発生器75への周波数f2の高周波の印加によって形成されている力学的な波との相互作用によって、励起光束73が回折され、試料16を照明するための照明光ビームパスに向けられる。第1の結晶62を介する入射は特に有利である。何故ならば、試料16において反射された励起光を、第1の結晶62においてはそこで伝播する周波数f2の力学的な波によって、また第2の結晶63において伝播する力学的な波によって、検出光からフィルタリングすることができるからである。
異常直線偏光方向を有している第1の脱励起光束72も同様に、第1の結晶62を介して入射され、また、ピエゾ音波発生器75への周波数f1の高周波の印加によって形成されている力学的な波との相互作用によって、第1の脱励起光束72が回折され、試料16を照明するための照明光ビームパスに偏向される。第1の脱励起光束72及び励起光束73は、相応に、結晶62から共線的に結合されて出射される。
第2の結晶63のピエゾ音波発生器68には、周波数f1’の高周波が印加されており、またこの第2のピエゾ音波発生器68は、第2の結晶63を介して伝播される、周波数f1’に対応する音響周波数の(図示していない)力学的な波を形成する。力学的な波との相互作用によって、第2の結晶63の複屈折に関する通常直線偏光方向を有している、波長λdepの第2の脱励起光束74は回折され、続いて、そこで伝播する力学的な波によって偏向されずに、第1の結晶62によって照明光ビームパスへと向かい、最終的に試料16に到達する。第2の脱励起光束74は、ブラッグの条件が満たされていないことから、第1の結晶内を伝播する力学的な波によって偏向されない。第2の脱励起光束74、第1の脱励起光束72及び励起光束73は、相応に共線的に結合されて結晶62から出射され、少なくとも1つの走査装置及び顕微鏡対物レンズを含んでいる、顕微鏡の走査及び光学系ユニット51を通過した後に、照明すべき試料16に入射する。
第1の脱励起光束72のビームパスにおいては、例えば、脱励起光束72の照明光焦点の形状を変化させるための(図示していない)素子を設けることができる。例えば、この素子は位相フィルタ又はプログレッシブ位相フィルタ又はセグメント位相フィルタ又は切り替え可能な位相マトリクス、特にLCDマトリクスを有することができる。特に、照明光焦点の形状を変化させるための素子を用いることによって、試料16内にリング状の焦点、いわゆるドーナッツ状の焦点が形成され、この焦点は、x−y平面において、即ち光軸に対して垂直な平面において励起光束73の焦点と重畳し、それによってx−y方向における解像度が向上する。リング状の焦点を例えば、いわゆる渦状位相フィルタによって達成することができる。
第2の脱励起光束74のビームパスにおいても同様に、脱励起光束72の照明光焦点の形状を変化させるための(図示していない)別の素子を設けることができる。特に、照明光焦点の形状を変化させるための別の素子を用いることによって、二重の焦点が形成され、この焦点は、z方向における励起光束73の焦点と、有利には励起光束73の焦点の中心の上下において重畳し、それによってz方向における解像度が向上する。
図6に示されているビームコンバイナは、STED顕微鏡における特別な使用に関して既に説明した。もっとも、ビームコンバイナを上述のやり方で、別の用途に関して照明光束を結合させるためにも使用することができる。
その限りにおいて、図6に示した音響光学ビームコンバイナは、上述の課題の一般的な解決手段の1つの特別な実施の形態であり、この実施の形態において、音響光学ビームコンバイナは、第1の力学的な波が伝播する第1の結晶と、第2の力学的な波が伝播する第2の結晶と、を有しており、第1の照明光束は第1の力学的な波との相互作用によって回折され、また、共通の光軸に向けられ、第2の照明光束は第2の力学的な波との相互作用によって回折され、共通の光軸に向けられ、また、回折された第2の照明光束は第1の力学的な波との相互作用を受けることなく第1の結晶を通過し、共線的に、つまり共通の光軸において、第1の照明光束と共に第1の結晶から出射される。
この実施例においても、その偏光に依存せずに、検出光の、照明光波長を有している成分が、試料に由来する検出光束から除去される。
しかしながら、上記において詳細に説明したように、この実施例においても、励起光の波長λexcを有している成分が、試料から到来する検出光束から除去される。
図7には、本発明による音響光学ビームコンバイナ76の第4の実施例が示されている。
音響光学ビームコンバイナ76の前段には偏光ビームスプリッタ33が設けられており、この偏光ビームスプリッタ33は、例えば白色光源の複数の波長の偏光されていない一次光束を、特に偏光されていない広帯域の一次光束2を受光する。偏光ビームスプリッタ33は、一次光束2を第1の照明光束34及び第2の照明光束35へと空間的に分割し、その際、照明光束34,35の光は相互に垂直な直線偏光方向を有している。
音響光学ビームコンバイナ76は、2つの照明光束34,35のための入射面79を有している第1の結晶78と、結合された共線的な照明光束を結晶78から出射させるための出射面80と、を有している。結晶78にはピエゾ音波発生器81が配置されており、このピエゾ音波発生器81には、1つの周波数の1つの電磁高周波又は複数の周波数の複数の電磁高周波が、1つの力学的な波又は複数の異なる力学的な波を形成するために印加される。1つ又は複数の力学的な波を用いて、第1の照明光束34からも、第2の照明光束35からも、1つの所望の照明光波長の光成分又は、複数の所望の照明光波長の光成分を回折によって偏向させて、共線的な結合された照明光束82として共通の照明光ビームパスに向けることができる。その際、各力学的な波のそれぞれ1つの周波数は(特にそれぞれがブラッグの条件を満たすために)、複数ある照明光波長のうちの1つの照明光波長に(2つの直線偏光方向に対して同時に)対応付けられている。
音響光学ビームコンバイナ76は、特に、結晶78の特別な構造及び特別な配向に起因して、第2の照明光束35のみが空間的にスペクトル分割され、それに対し、照明光ビームパスに向けられた第1の照明光束34の成分については空間的な分割は行われないという特徴を有している。従って、第1の照明光束34のビームパスにおいては、例えばプリズムのような補償素子は必要ない。つまり、第1の照明光束34のビームパスは、偏光ビームスプリッタ33からの第1の照明光束34を結晶78に向けるための幾つかの偏向ミラー83だけを有している。第2の照明光束35のビームパス内にのみ、偏向ミラー83の他に、2つのプリズム84が配置されており、それらのプリズム84は、空間的にスペクトル分割された第2の照明光束35が結晶78の通過時に再び戻されるように、第2の照明光束35を空間的にスペクトル的に分割する。
本発明を、特別な実施の形態に関連させて説明したが、その際、同一又は同様に機能する構成要素に対しては少なくとも同一の参照番号を使用した。しかしながら、別紙の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正を行えることは明らかである。

Claims (18)

  1. 少なくとも1つの第1の照明光束及び第2の照明光束を受光し、1つの共線的な出力光束に結合させる、顕微鏡又は走査顕微鏡のためのビームコンバイナであって、
    前記第1の照明光束及び第2の照明光束は、同一の照明光波長を有しているが、しかしながら、異なる偏光又は直線偏光を有している、ビームコンバイナにおいて、
    前記ビームコンバイナは、音響光学ビームコンバイナとして形成されており、且つ、少なくとも1つの力学的な波との相互作用によって、第1の照明光束も第2の照明光束も回折されて、共通の光軸に向けられるように構成されており、またそのように動作し、
    前記音響光学ビームコンバイナは、第1の力学的な波が伝播する第1の結晶と、第2の力学的な波が伝播する第2の結晶と、を有しており、
    前記第1の照明光束は、前記第1の力学的な波との相互作用によって回折され、且つ、前記共通の光軸に向けられ、
    前記第2の照明光束は、前記第2の力学的な波との相互作用によって回折され、且つ、前記共通の光軸に向けられ、
    回折された前記第2の照明光束は、前記第1の力学的な波によって回折されずに、前記第1の結晶を通過する、
    ビームコンバイナ。
  2. 前記音響光学ビームコンバイナは、前記第1の照明光束の波長及び前記第2の照明光束の波長に対応付けられている音響周波数の力学的な波が伝播する結晶を有しており、前記結晶と前記力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、且つ、それぞれが前記結晶に入射する前記照明光束に相対的に、前記力学的な波において前記第1の照明光束も前記第2の照明光束も回折されて、共通の光軸に向けられるように配向されている、
    請求項1に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  3. a.前記第1の照明光束は直線偏光されており、且つ、前記結晶の複屈折特性に関する通常光の直線偏光方向である直線偏光方向を有している、又は、
    b.前記第2の照明光束は直線偏光されており、且つ、前記結晶の複屈折特性に関する異常光の直線偏光方向である直線偏光方向を有している、又は、
    c.前記第1の照明光束の直線偏光方向又は前記第2の照明光束の直線偏光方向は、前記力学的な波の伝播方向及び検出光束の伝播方向によって張られている平面内に配置されている、
    請求項2に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  4. 前記音響光学ビームコンバイナは、異なる音響周波数の第1の力学的な波及び第2の力学的な波が同時に伝播する結晶を有しており、
    前記結晶と前記複数の力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、且つ、それぞれが前記結晶に入射する照明光束に相対的に、前記第1の力学的な波において前記第1の照明光束が回折され、且つ、前記第2の力学的な波において前記第2の照明光束が回折されて、共通の光軸に向けられるように配向されている、
    請求項1に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  5. 前記第1の照明光束の波長も前記第2の照明光束の波長も有しておらず、且つ、前記力学的な波においても回折されない、少なくとも1つの別の照明光束が結晶を通過し、前記第1の照明光束及び前記第2の照明光束と共に共通の光軸に到達する、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  6. 前記別の照明光束は第2の結晶から到来し、前記第2の結晶においては、前記別の照明光束の波長に対応付けられている音響周波数を有している第2の力学的な波が伝播し、
    a.前記別の照明光束は、前記第2の力学的な波によって回折された別の照明光波長の第3の照明光束を含んでおり、
    b.前記別の照明光束は、前記別の照明光を有しているが、しかしながら異なる偏光又は直線偏光を有している、前記第2の力学的な波によって回折された第3の照明光束及び第4の照明光束を含んでいる、
    請求項5に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  7. 前記結晶又は前記第2の結晶において同時に、付加的な波長に対応付けられている別の音響周波数を有している少なくとも1つの付加的な力学的な波が伝播され、
    a.前記付加的な力学的な波において、別の波長を有している少なくとも1つの付加的な照明光束が回折されて、前記共通の光軸に向けられる、又は、
    b.前記付加的な力学的な波において、別の波長及び相互に異なる偏光又は直線偏光を有している2つの付加的な照明光束が回折され、それによって共通の光軸に向けられる、
    請求項2乃至6のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  8. 前記音響光学ビームコンバイナは、少なくとも1つの分散光学コンポーネントを有しており、該分散光学コンポーネントは、前記結晶又は前記第2の結晶によって(少なくとも部分的に)惹起される空間的なスペクトル分割を補償する、
    請求項2乃至7のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  9. 前記結晶又は前記第2の結晶は、複数の波長の一次光のための入射面と、共通の光軸に向けられる前記照明光束のための出射面と、を有しており、前記入射面と前記出射面とは、前記一次光を少なくとも部分的に共線的な照明光束として前記結晶に入射させることができ、且つ、前記共通の光軸に向けられた照明光束が共線的な照明光束として結晶から出射されるように、相互に配向されている、
    請求項2乃至8のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナ。
  10. 複数の一次光源と、該複数の一次光源の照明光束を結合させる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナと、を備えている、
    顕微鏡又は走査顕微鏡又は共焦点走査顕微鏡のための光源。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナを備えている、
    顕微鏡又は走査顕微鏡又は共焦点走査顕微鏡。
  12. 前記ビームコンバイナは、照明光を、試料を照明するための照明光ビームパスに向け、且つ、前記試料から到来する検出光を、検出器が設けられている検出光ビームパスに向けるメインビームスプリッタとして機能する、
    請求項11に記載の顕微鏡。
  13. 前記音響光学ビームコンバイナは、試料から到来する検出光を受光し、該検出光から、照明光波長又は別の照明光波長又はその他の照明光波長を有している成分を除去する、
    請求項11又は12に記載の顕微鏡。
  14. a.試料から到来する検出光束から、結晶の力学的な波との相互作用によって、前記検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も、前記検出光束の、前記第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も偏向されて、前記検出光束から除去される、又は、
    b.試料から到来する検出光束から、第2の結晶の力学的な波との相互作用によって、前記検出光束の、第1の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も、前記検出光束の、前記第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も偏向されて、検出光束から除去される、又は、
    c.前記音響光学ビームコンバイナが、前記力学的な波によって、前記検出光束の、第1の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も、前記検出光束の、前記第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び照明光波長を有している成分も偏向させて、検出光束から除去するように、結晶と、力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、且つ、それぞれが前記結晶に入射する検出光束に相対的に配向されている、又は、
    d.前記音響光学ビームコンバイナが、第2の力学的な波によって、前記検出光束の、第1の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も、前記検出光束の、前記第1の直線偏光方向に対して垂直な第2の直線偏光方向及び別の照明光波長を有している成分も偏向させて、前記検出光束から除去するように、第2の結晶と力学的な波の伝播方向とは、相互に相対的に、且つ、それぞれが前記第2の結晶に入射する検出光束に相対的に配向されている、
    請求項11乃至13のいずれか1項に記載の顕微鏡。
  15. 前記検出光束は、先ず結晶を通過し、続いて第2の結晶を通過する、
    請求項11乃至14のいずれか1項に記載の顕微鏡。
  16. 前記検出光束の残存部分が前記音響光学ビームコンバイナから共線的に出射されるように、前記ビームコンバイナは、配置及び構成されている、
    請求項11乃至15のいずれか1項に記載の顕微鏡。
  17. 試料の照明時に、又はSTED(Stimulated Emission Depletion)顕微鏡又はCARS(Coherent Anti Stokes Raman Spectroscopy)顕微鏡又はSRS(Stimulated Raman Scattering)顕微鏡又はCSRS(Coherent Stokes Raman Scattering)顕微鏡又はRikes(Raman induced Kerr−Effect Scattering)顕微鏡における試料の照明時における、
    請求項1乃至9のいずれか1項に記載の音響光学ビームコンバイナ又は請求項10に記載の光源の使用。
  18. STED(Stimulated Emission Depletion)顕微鏡又はCARS(Coherent Anti Stokes Raman Spectroscopy)顕微鏡又はSRS(Stimulated Raman Scattering)顕微鏡又はCSRS(Coherent Stokes Raman Scattering)顕微鏡又はRikes(Raman induced Kerr−Effect Scattering)顕微鏡において試料を検査するための、
    請求項11乃至16のいずれか1項に記載の顕微鏡の使用。
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