JP6510995B2 - グラスラン - Google Patents
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Description
図12は、フロントドア200側に取付けられるグラスラン20を示している。グラスラン20は、フロントドア200のドアパネル200aの内部から上方に延びるフロント側縦辺部11及びリヤ側縦辺部12、そして2本の縦辺部11,12の上端を接続する横辺部13から構成されている。2本の縦辺部11,12及び横辺部13は、通常、押出成形により形成され、縦辺部11,12と横辺部13は、2箇所の型成形部14,15を介して接続されている。
このようなグラスラン20は、車両のドア200に設けられた、車外側よりも車内側の方が長い断面略「つ」字状のドアサッシュ400に沿って嵌装されている。ドアサッシュ400は、車外側枠部401とそれより長い断面形状の車内側枠部402とそれらを連結する連結枠部403からなり、車内側枠部402には車外側に向けて突出した突出部402aが形成されている。
グラスラン20は、内側に溝部27を形成し、車外側側壁部23とその車外側側壁部23よりも長い断面形状の車内側側壁部22とそれらを連結する連結壁部24からなる断面略「つ」字状の本体部21と、車外側側壁部23の車内側面から車内側に向けて延びドアガラス9に摺接するアウタリップ部26と、車内側側壁部22の端部から連結壁部24側に所定距離L分、離れた位置の車外側面から車外側に向けて延びドアガラス9に摺接するインナリップ部25と、車内側側壁部22の端部22aからドアサッシュ400の車内側枠部402を車内側側壁部22との間で挟むように延びドアサッシュ400の車内側枠部402の車内側面に弾接する大型の保持リップ部28を備えている。
インナリップ部25は、車内側側壁部22の車外側面から連結壁部24側に向かって延びている。また、アウタリップ部26は、車外側側壁部23の車内側面から車内側に向かって延びる二股状に、すなわち、車外側側壁部23の端部内面から連結壁部24側に向かって延び、インナリップ部25と相対向してそのインナリップ部25とドアガラス9を挟持するように設けられた内当てリップ26Xと、内当てリップ26Xに対して略垂直に延びる外当てリップ26Yから構成されている。
これは、ドアガラス9を透過した音(図13では透過音を実線で示した)は空間M1に進入すると、車内側側壁部22とドアガラス9の間で反響することで(図13では反響音を点線で示した)音圧レベルが増幅される。反響音が車内側に放出(図13では放出音を一点鎖線で示した)される際には、空間M1に進入する前よりも音圧レベルが大きくなっていることによるものである。
また、特許文献2に記載の発明は、パネルドアのサッシュ幅を狭くして見栄えよくするために、車外側側壁部より長くした車内側側壁部の中央からパネルへ弾接する弾接片を設けるとともにサッシュの構造を変えたものであり、特許文献1と同様にドアガラスを透過した音がガラスとフラップで形成される空間内で反響し増幅される現象について、ましてその現象を対策すると言った記載はない。
前記車内側側壁部(22)の少なくとも端部(22a)或いは端部(22a)付近と、前記インナリップ部(25)の付け根部(25b)の間に、前記ドアガラス(9)の車内側面との間に生じる凹空間(M1,M2)を閉じる遮音壁(100)を一体的あるいは別体的に突設してなることを特徴とする。
ここで、「閉じる」とは、凹空間(M1,M2)の出口を完全に塞ぐことだけでなく、少しでもその出口を塞ぐことも含まれることを意味する。
よって乗務員に不快感を与えることが軽減される。
また、これに対して、材料費はかかるが、遮音壁によって、車内側側壁部の端部あるいは端部付近から、インナリップ部の付け根部まで連続し凹空間を埋めるように設けて、凹空間を全体的に少なくすることもできる。これによれば、遮音壁は凹空間内で反響し増幅され、車内側に放出される音を遮蔽することができるのみならず、ドアガラスを透過した音が進入するスペース自体を少なくすることができる。
この際、インナリップ部のシール性に悪影響を及ぼさない様、遮音壁はインナリップ部に接していないことが望ましいが、これに限定されるものではない。
例えば、遮音壁の連結壁部側端部に接続する様にインナリップ部を設定してもよい。この際インナリップ部は、ドアガラス閉鎖時はドアガラスに対してシールし、ドアガラスの昇降時はドアガラスに対して摺動する様に、遮音壁の連結壁部側端部から車外側に向けて延びる様に設定されている。
なお、前述の特許文献1、特許文献2には、車内側側壁部の端部にリップが設定されているが、いずれもドアガラスに弾接しており、この好ましくない状態となっている。
なお、遮音壁の連結壁部側端部に接続する様にインナリップ部を設定する場合も、遮音壁とドアガラスとの間隙は上述の範囲内になるように設けられることが透過音の音圧レベルを小さくする観点では望ましいが、遮音壁の連結壁部側端部から車外側に向けて延びる様に設定されているインナリップ部の根元とドアガラスの間隙が0タッチの状態になると、インナリップ部がドアガラスに対して過圧縮となってしまう為、これを防ぐ為に少なくともインナリップ部の根元が接続する遮音壁の部位では、遮音壁とドアガラスとの間隙が1mm以上になるように設けられてなることが望ましい。
図1は、本発明の実施形態に係るグラスラン20がドアサッシュ(枠体)400に組付けられた状態を示すもので、図12のA−A線拡大断面に相当し、図2は、図12のB−B線拡大断面図に相当する。なお、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
図1で示したグラスラン20は、図12で示したものでは、フロントドア200のドアパネル200aの内部から上方に延び、ベルトラインBLの位置を跨いで上下に連続するように配置されたリヤ側縦辺部12に適用されるものであり、通常、押出成形により形成される。また、図2に示したグラスラン20は、フロントドア200の縦辺部12と横辺部13が接続された型成形部15に適用されるものあり、通常、型成形により形成される。
また、車外側側壁部23の端部23a位置の内面、すなわち、車外側側壁部23の端部23aの位置における車内側面には車内側に向かって延びる二股状のアウタリップ部26が形成されている。インナリップ部25とアウタリップ部26は、ドアガラス9を車内側及び車外側から挟持するように設けられ、ドアガラス9の表面に摺接する。
遮音壁100は、断面略矩形状の細長形状(塊状)であり、車内側側壁部22の端部22aから車外側でドアガラス9の面に対して略垂直方向に突設されている。また、遮音壁100は、ドアガラス9との間隙Sが小さくなるように設定されていて、凹空間M1(車内側側壁部22の端部22aとインナリップ部25の付け根部25bの間と、ドアガラス9の車内側面との間に生じる空間)の出口部の隙間を閉じている。本実施形態では、ドアガラス9との間隙Sが0mm以上1mm以下の範囲内でドアガラス9に弾接しないように設けられている。
また遮音壁100を設けることで凹空間M1自体の領域が少なくなるので、ドアガラス9を透過した音が凹空間M1(図2の場合は、凹空間M2)内で反響し増幅される音の量を軽減させることもできる。
また、図4及び図5に示すように、遮音壁100を、車内側側壁部22の端部22aあるいは端部22a付近から、インナリップ部25の付け根部25bまで連続し凹空間M1,M2を埋めるように設け、凹空間M1,M2を全体的に少なくするようにしてもよい。
これによれば、凹空間M1,M2の全体を遮音壁100で埋めるので、ドアガラス9を透過した音が反響するスペース自体を少なくすることができる。
これによれば、凹空間M1,M2の全体を遮音壁100で埋めるので、ドアガラス9を透過した音が反響するスペース自体を更に少なくすることができる。
なお、図8及び図9に示すように、遮音壁100を断面略舌状のシールリップ状にすることも考えられるが、遮音壁100がドアガラス9に当接すると、当接した部位によってドアガラスの振動状態が変わり、このことが透過音の音圧レベルに影響を与える。ある周波数帯では透過音の音圧レベルが大きくなってしまい好ましくない。
遮音壁100とドアガラス9との間隙Sを0mmとする0タッチの状態にすることが理想的である。
図10(a)は、遮音壁100とドアガラス9との間隙Sを1mmとした場合,図10(b)は、遮音壁100とドアガラス9との間隙Sを0mmとする0タッチの状態にした場合,図10(c)は、遮音壁100とドアガラス9との間隙Sを(−)マイナス4mm,すなわち、図8及び図9で示したように遮音壁100をガアガラス9に弾接させた場合において、周波数と音圧レベルの関係を示したものである。
これによれば、ドアガラス9のコインシデンス周波数である3150Hz辺りを中心に500〜8000Hzといった広範囲で0タッチの状態のものが効果大であることが確認できた。また、間隙Sを1mmとしたものも3150Hz辺りで効果がよいことが確認できた。なお、遮音壁100とドアガラス9との間隙Sを(−)マイナス4mmにしたものは、2000Hz辺りで音圧レベルが上昇して性能が悪化することが確認できた。
ドアガラス9との間隔Sが4〜6mmになる状態についても音圧レベルを測定すると、遮音壁100を設けない状態,遮音壁100を設け間隔Sが4〜6mmの状態,遮音壁100を設け間隔Sが1mmの状態,遮音壁100を設け間隔Sが0mmの状態となるに従って、音圧レベルが低下し、車内において静粛性が向上することがわかった。
或いは、遮音壁100をリヤ側縦辺部12においてベルトラインBLより上方でフロントドア200のコーナー部の型成形部を含み、横辺部13まで設けるようにしてもよい。
また、遮音壁100をグラスラン20に対して一体的に成形したが、別体の遮音壁100をグラスラン20に対して接着剤や両面テープなどを使用して取付けるようにしてもよい。
11 フロント側縦辺部
12 リヤ側縦辺部
13 横辺部
14,15 型成形部
20 グラスラン
21 本体部
22 車内側側壁部
22a 車内側側壁部の端部
23 車外側側壁部
23a 車外側側壁部の端部
24 連結壁部
25 インナリップ部
25a インナリップ部の端部
25b インナリップ部の付け根部
26 アウタリップ部
26X 内当てリップ
26Y 外当てリップ
27 溝部
28 保持リップ部
28a 保持リップ部の先端部
28b 保持リップ部の付け根部
29a,29b リップ部
29d,29e,29f,29g,29h 凹凸部
30 係止部
31 凹凸部
100 遮音壁
100a 遮音壁の連結壁部側端部
200 フロントドア
200a ドアパネル
300 リヤドア
400 ドアサッシュ(枠体)
401 車外側枠部
402 車内側枠部
402a 突出部
402b 車内側枠部の端部
403 連結部
L1,L2 所定距離
M1,M2 空間
BL ベルトライン
Claims (2)
- 車両のドアに設けられた枠体に沿って嵌装され、昇降するドアガラスを溝部に案内する、車外側側壁部とその車外側側壁部よりも長い断面形状の車内側側壁部とそれらを連結する連結壁部からなる断面略「つ」字状の本体部と、前記車外側側壁部の端部から車内側に向けて延び前記ドアガラスに摺接するアウタリップ部と、前記車内側側壁部の端部から前記連結壁部側に所定距離分、離れた位置の車外側面から車外側に向けて延び前記ドアガラスに摺接するインナリップ部と、前記車内側側壁部の端部から前記枠体の車内側枠部を前記車内側側壁部との間で挟むように延び前記枠体の車内側枠部の車内側面に弾接する保持リップ部を備えるグラスランであって、
前記車内側側壁部の少なくとも端部或いは端部付近と、前記インナリップ部の付け根部の間に、前記ドアガラスの車内側面との間に生じる凹空間を閉じる遮音壁を一体的あるいは別体的に突設してなることを特徴とするグラスラン。 - 前記遮音壁は、前記ドアガラスとの間隙が、0mm以上1mm以下の範囲内になるように設けられてなることを特徴とする請求項1乃至に記載のグラスラン。
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