本発明に係る水晶デバイスは、図1〜図6に示されているように、水晶素子120と、水晶素子120が実装されている基板110と、基板110と接合され、水晶素子120を基板110とで形成される凹部133内に気密封止する蓋体130と、から構成されている。
基板110は、水晶素子120を実装するためのものである。基板110は、図1および図2に示したように、例えば、平板状の矩形形状に形成されており、一方の主面に一対の搭載パッド111が設けられ、他方の主面に複数の外部端子112が設けられている。また、基板110には、一対の搭載パッド111と所定の外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン(図示せず)が設けられている。基板110は、例えば、アルミナセラミックス、または、ガラスーセラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなっている。基板110は、絶縁層を一層で用いたものであっても、絶縁層を複数積層させたものであってもよい。
ここで、図面に合わせて、外部端子112が設けられている基板110の他方の主面を基板110の下面とし、この基板110の下面と反対側を向く基板110の一方の主面を基板110の上面とする。
搭載パッド111は、水晶素子120を基板110に実装するためのものである。搭載パッド111は、例えば、基板110の上面を平面視したとき、基板110の短辺に沿って二つ並ぶように基板110の上面に設けられている。
外部端子112は、電子機器等のマザーボードに実装するためのものであり、電子機器等のマザーボードに実装する際、マザーボード上にある所定の実装パッド(図示せず)に半田等により、接続固着される。外部端子112は、例えば、四つ設けられており、基板110の下面の四隅に一つずつ設けられている。外部端子112のうち所定の二つは、基板110設けられている配線パターン(図示せず)によって、基板110の上面に設けられている一対の搭載パッド111と電気的に接続されている。例えば、基板110は、基板110の上面を平面視して、長辺の寸法が0.6〜5.0mmとなっており、短辺の寸法が0.4〜3.2mmとなっている。
ここで、基板110の作製方法について説明する。基板110がアルミナセラミクッスからなる場合、まず、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加し混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面、または、セラミックグリーンシートに打ち抜きを施し予め設けていた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等を用いて導体パターンとなる位置に所定の導電ペーストを塗布する。次に、複数の絶縁層が積層されている場合にはセラミックグリーンシートを積層させプレス加工して高温で焼成する。焼成後、導体パターンの所定の部位、具体的には、搭載パッド111、外部端子112および配線パターン(図示せず)となる部分に、ニッケルメッキ、または、金メッキ等を施すことにより基板110が作製される。また、導電ペーストは、例えば、タングステン、モリブデン、銅、銀またはパラジウム等の金属封末の焼結体等から構成されている。
水晶素子120は、安定した機械振動を得ることができ、電子機器等の基準信号を発信するためのものである。水晶素子120は、水晶片121と、水晶片121の表面上に形成されている金属パターン、具体的には、励振電極部122(122a,122b)、配線部123(123a,123b)、引出端子124(124a,124b)、搭載端子125(125a,125b)および接続部126(126a,126b)と、からなる。また、水晶素子120は、図2に示したように、導電性接着剤140によって、水晶片121の下面に設けられている金属パターンの一部、具体的には、搭載端子125が、基板110の上面に設けられている一対の搭載パッド111と接着保持され電気的に接続された状態で、基板110の上面に実装されている。
ここで、図面に合わせて、基板110に実装されたとき、基板110の上面を向く水晶片121の面を水晶片121の下面とし、この水晶片121の下面と反対側を向く水晶片121の面を水晶片121の上面とする。また、水晶片121の上面および水晶片121の下面を水晶片121の主面とする。
水晶片121は、安定した機械振動をする圧電材料が用いられ、例えば、水晶が用いられ、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて形成される。水晶片121は、互いに直交しているX軸とY軸とZ軸とからなる結晶軸を有しており、例えば、略矩形形状の平板状となっている。水晶片121の主面は、X軸およびZ軸と平行となっている面を、X軸を中心に、X軸の負の方向を見て反時計回りに回転させた面と平行となっており、例えば、約37°回転させた面と平行となっている。水晶片121の側面の一部には、Z軸に平行なm面(図示せず)が形成されている。m面は、水晶片121の主面となす角度が、90°と回転角度とを合わせた角度となっており、例えば、約123°となっている。このため、水晶片121は、水晶片121の両主面に電圧を印加し、厚みすべり振動させたとき、m面が形成されている水晶片121の端部において振動状態を変えることができ、水晶片121の端部での振動変位の減衰量を大きくすることができ、水晶素子120、ひいては、水晶デバイスの等価直列抵抗値が大きくなることを低減させている。
水晶片121の表面上に形成されている所定の金属パターンは、水晶片121の外部から水晶片121に電圧を印加するためのものである。また、水晶片121の表面上に形成されている所定の金属パターンは、励振電極122(第一励振電極122aおよび第二励振電極122b)、配線部123(第一配線部123aおよび第二配線部123b)、引出端子124(第一引出端子124aおよび第二引出端子124b)、搭載端子125(第一搭載端子125aおよび第二搭載端子125b)、および、接続端子126(第一接続部126aおよび第二接続部126b)からなっている。
励振電極部122は、水晶片121の一部分で逆圧電効果および圧電効果を生じさせ、水晶片121の一部分で機械振動をさせるためのものである。励振電極部122は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって水晶片121の所定の部分に設けられる。なお、ここで、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって設けている場合について説明しているが、水晶片121の所定の部分に設けることができれば、蒸着技術またはスパッタリング技術を用いてもよい。
励振電極部122は、第一励振電極部122aおよび第二励振電極部122bから構成されている。第一励振電極部122aは、水晶片121の上面に設けられており、水晶片121の上面を平面視して、略矩形形状となっている。第二励振電極部122bは、第一励振電極部122aと対向するように、水晶片121の下面に設けられている。また、第二励振電極部122bは、水晶片121の下面を平面視して、略矩形形状となっている。水晶片121の上面に設けられている第一励振電極部122a、および、水晶片121の下面に設けられている第二励振電極部122bに、電圧を印加することで、第一励振電極部122aと第二励振電極部122bとの間で電界を生じさせ、図7に示したように、水晶片121の上下方向(水晶片121の上面から水晶片121の下面に向かう向き)で振動する厚みすべり振動をさせることができる構成となっている。
配線部123は、一端が励振電極部122に接続されており、励振電極部122へ電圧を印加するためのものである。配線部123は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により、水晶片121の所定の部分に、励振電極部122と一体的に設けられている。
配線部123は、第一配線部123aおよび第二配線部123bからなっている。第一配線部123aは、水晶片121の上面に設けられている第一励振電極部122aから水晶片121の上面の縁部にまで延設されており、一端が第一励振電極部122aに接続され、他端が第一引出端子124aに接続された状態となっている。第二配線部123bは、水晶片121の下面に設けられている第二励振電極部122bから水晶片121の下面の縁部にまで延設されており、一端が第二励振電極部122bに接続され、他端が第二搭載端子125bに接続された状態となっている。
引出端子124は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により、水晶片121の上面の所定の位置に設けられている。引出端子124は、第一引出端子124aおよび第二引出端子124bからなっている。第一引出端子124aは、第一配線部123aの他端に接続するように、水晶片121の上面の縁部に設けられている。このとき、第一引出端子124aは、水晶片121の下面に設けられている第一搭載端子125aと対向する位置に設けられている。また、第一引出端子124aは、水晶片121の上面を平面視して、略矩形形状となっている。第二引出端子124bは、水晶片121の上面の縁部に設けられており、例えば、水晶片121の上面の所定の一辺の縁部に沿って第一引出端子124aと二つ並んで設けられている。
このように引出端子124を水晶片121の上面に設けることで、第一励振電極部122aおよび第二励振電極部122bに電圧を印加させ、第一励振電極部122aおよび第二励振電極部122bに挟まれている水晶片121の一部分を厚みすべり振動させたときに、厚みすべり振動とは別に、水晶片121の輪郭が振動する輪郭すべり振動を、引出端子124の質量の分だけ振動しにくくなるので減衰させることができる。輪郭すべり振動は、厚みすべり振動とは別の振動のため、厚みすべり振動と結合する場合があり、厚みすべり振動と結合すると、等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。従って、本実施形態では、引出端子124を設けることで、引出端子124において、輪郭すべり振動の振動を減衰させ、輪郭すべり振動と厚みすべり振動との結合を低減させている。このため、輪郭すべり振動と厚みすべり振動との結合により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。つまり、引出端子124が第一引出端子124aのみであってもこのような効果を奏することは可能である。また、引出端子124が第一引出端子124aおよび第二引出端子124bからなる場合には、第一引出端子124aだけの場合よりも、等価直列抵抗値が大きくなることをさらに低減させることが可能となる。
また、水晶片121の上面の所定の一辺の縁部に沿って二つ並んで第一引出端子124aおよび第二引出端子124bを設けることによって、水晶素子120を導電性接着剤140で実装した場合に、水晶片121の下面の状態と水晶片121の上面の状態とをより近づけることが可能となる。水晶素子120を導電性接着剤140で実装する場合、図2に示したように、水晶片121の下面に設けられている第一搭載端子125aおよび第二搭載端子125bが導電性接着剤140により接着されることとり、水晶素子120の上面には導電性接着剤140が設けられない。従って、引出端子124を水晶片121の上面側に設けない場合には、水晶片121の下面側では導電性接着剤140により接着することで振動(厚みすべり振動および輪郭すべり振動)が影響され、水晶片121の上面側では振動(厚みすべり振動および輪郭すべり振動)が影響されない状態となっている。このため、水晶片121の上面側に第一引出端子124aよび第二引出端子124bを設けることで、水晶片121の上面側において第一引出端子124aおよび第二引出端子124bの質量の分だけ振動へ影響を与えることとなり、従来と比較して、水晶片121の上面側での振動に影響を与えることが可能となる。この結果、水晶素子120を導電性接着剤140で実装する場合、水晶片121の下面側と水晶片121の上面側とで振動への影響を近づけることができるため、振動バランスが良くなり、等価直列抵抗値が大きくなることをより低減させることができる。
また、水晶片121の上面の所定の一辺に沿って二つ並んで設けられている第一引出端子124aおよび第二引出端子124bは、水晶片121の中心を通過しつつ水晶片121の所定の一辺に垂直な仮想垂線(図示せず)に対し、線対象となる位置に設けられている。従って、水晶片121の中心を通過しつつ水晶片121の所定の一辺に垂直な仮想垂線に対し、水晶片121の上面に設けられている金属パターンの質量を、仮想垂線の左右でより近づけることができる。このため、電圧を印加し水晶片121の一部分を振動させた場合に、仮想垂線の左右での振動状態を近づけることが可能となり、仮想垂線の左右での振動バランスが良好にすることができる。この結果、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが、より可能となる。
搭載端子125は、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により、水晶片121の下面の所定の位置に設けられている。搭載端子125は、第一搭載端子125aおよび第二搭載端子125bからなっている。第一搭載端子125aは、導電性接着剤140によって、基板110に設けられている第一搭載パッド111と接着され、電気的に接続された状態となっている。従って、第一搭載端子125aは、水晶片121の下面であって、第一搭載パッド111と向かいあう位置に設けられている。このとき、第一搭載端子125aは、水晶片121の上面に設けられる第一引出端子124aと対向するように、水晶片121の下面の所定の一辺の縁部に沿って設けられている。
第二搭載端子125bは、導電性接着剤140によって、基板110に設けられている第二搭載パッド111と接着され、電気的に接続された状態となっている。従って、第二搭載端子125bは、水晶片121の下面であって、第二搭載パッド111と向かいあう位置に設けられている。このとき、第二搭載端子125bは、水晶片121の上面に設けられている第二引出端子124bと対向するように、水晶片121の下面の所定の一辺の縁部に沿って、第一搭載端子125aと二つ並んで設けられている。また、第二搭載端子125bは、第二配線部123bの他端と接続されており、第二配線部123bを介して第二励振電極部122bと電気的に接続された状態となっている。
水晶片121の所定の一辺の縁部に沿って二つ並んでいる第一搭載端子125aおよび第二搭載端子125bは、図4(b)に示すように、水晶素子の下面を平面視して、水晶片121の中心を通過しつつ水晶片121の所定の一辺に垂直な仮想垂線(図示せず)に対し、線対称になるように設けられている。従って、導電性接着剤140により搭載端子125と基板110の搭載パッド111とを接着した場合、導電性接着剤140の接着による厚み滑り振動への影響を仮想垂線の左右で近づけることができる。このため、導電性接着剤140で接着したことによる仮想垂線に対する左右のバランスを近づけることができ、水晶素子120の保持の状態をより安定させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125は、図6(b)に示したように、例えば、第一金属層M11と第二金属層M12とからなり、第一金属層M11上に第二金属層M12が積層された状態となっている。第一金属層M11に用いられる金属材料は、第二金属層M12に用いられる金属材料と比較して、水晶片121に密着しやすい性質となっている。従って、第二金属層M12を第一金属層M11上に積層させた状態にすることで、水晶片121に密着しにくい金属材料であっても、第二金属層M12に用いることができる。仮に、励振電極部122が第一金属層M11を設けることなく第二金属層M12からのみなる場合、第二金属層M12の一部が剥離しやすくなってしまうため、吸着ノズル等で水晶素子120を移動させ水晶素子120を基板110に実装する際、吸着ノズルとの接触により第二金属層M12が剥離し、等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。つまり、励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125を、第一金属層M11と第一金属層M12上に積層された第二金属層M12とから構成することで、励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125の一部が剥離することを低減させることができ、その結果、剥離による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
第一金属層M11は、水晶片121と密着性が良好な金属材料が用いられており、クロム、ニクロム、チタンまたはニッケルが用いられる。第二金属層M12は、金属材料の中で比較的、電気抵抗率が低い金属材料が用いられ、金、銀、アルミニウム、金を主とした合金、または、銀を主とした合金が用いられる。本実施形態中では、例えば、第一金属層M11にはクロムが用いられ、第二金属層M12には金が用いられる。第一金属層M11にクロムを用いることで、水晶片121と第二金属層M12との密着性を確保している。第二金属層M12に金を用いることで、励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125における電気抵抗を抑えつつ、第二金属層M12が周囲の酸素と酸化し水晶素子120の周波数が変化することを低減させることができる。
接続部126は、搭載端子125と引出端子124とを電気的に接続するためのものである。接続部126は、一端が引出端子124と重なっており、他端が搭載端子125と重なるように、水晶片121の上面、水晶片121の側面および水晶片121の下面にかけて設けられている。
このような構成にすることで、水晶片121の下面に垂直で、かつ、水晶片121の上面から水晶片121の下面に向かう向きに応力が加わった場合、水晶片121の上面の端部において接続部127が形成されていてその分応力が分散することにより、応力集中による膜剥離を低減させることが可能となる。従って、導電性接着剤140が硬化するときに、水晶片121の下面と垂直で、かつ、水晶片121の上面から下面へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、従来と比較して、水晶片121の上面の端部において応力集中による膜剥離を低減させることができる。このため、膜剥離により引出端子124と接続部127との導通不良となることを低減させ、この導通不良が原因で生じる等価直列抵抗値が大きくなることを軽減させることが可能となる。
また、このような構成にすることで、水晶片121の下面に平行で、かつ、水晶片121の外縁から内縁に向かう向きに応力が加わった場合、水晶片121の下面の端部において接続部127の分だけ上下方向の膜厚が厚くなっているので、応力集中による膜剥離を低減させることが可能となる。従って、導電性接着剤140が硬化するときに、水晶片121の下面に平行で、かつ、水晶片121の外縁から内縁に向かう向きに応力が加わった場合であっても、従来と比較して、水晶片121の下面の端部において応力集中による膜剥離を低減させることができる。このため、膜剥離により搭載端子125と接続部126との導通不良となることを低減させ、この導通不良が原因で生じる等価直列抵抗値が大きくなることを軽減させることが可能となる。
接続部126は、図4(a)および図4(b)に示したように、水晶片121を平面視して、接続部126の両端部が円弧形状となっている。このとき、この円弧の円の中心は、水晶片121の外縁側に位置している。このようにすることで、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに応力が加わった場合、この応力を、接続部126の端部で緩和させることが可能となる。従って、接続部126の両端部を円弧形状にし、この円弧の円の中心が水晶片121の外縁側に位置するようにすることで、導電性接着剤140が硬化するときに、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、接続部126の端部で緩和させることができる。このため、水晶素子120は、水晶片121の端部に加わる応力を緩和させることができるので、水晶片121の端部における接続部126の剥離を低減させることが可能となる。この結果、第一接続部126aと第一搭搭載端125a子との導通不良を低減させることができ、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
特に、接続部126の両端部を、半円、または、半楕円にすることで、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、より接続部126の端部で緩和させることができる。このため、水晶片121の端部に加わる応力を緩和させることができ、水晶121の端部における接続部126の剥離を低減させることが可能となる。この結果、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良を低減させることができ、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
接続部126は、図3に示したように、水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅が、水晶片121の上面に設けられている接続部126の幅よりも狭くなっている。ここで、水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅とは、水晶片126の側面を平面視して、第一引出端子124aと第二引出端子124bとが並んで設けられている水晶片121の所定の一辺と平行な接続部126の長さである。本実施形態では、この水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅を、側面距離とよぶ。なお、図5に示したように第一接続部126aの側面距離を第一側面距離SD1とし、第二接続部126bの側面距離を第二側面距離(図示せず)とする。また、水晶片121の上面に設けられている接続部126の幅とは、水晶片121の上面を平面視して、第一引出端子124aと第二引出端子124bとが並んで設けられている水晶片121の所定の一辺上の接続部126の長さである。本実施形態では、この水晶片121の上面に設けられている接続部126の幅を上面距離とよぶ。なお、図5に示したように第一接続部126aの上面距離を第一上面距離UD1とし、第二接続部126bの上面距離を第二上面距離(図示せず)とする。従って、第一接続部126aにおいては、第一側面距離SD1が第一上面距離UD1よりも短くなっており、第二接続部126bにおいては、第二側面距離が第二上面距離よりも短くなっている。
このような構成にすることで厚みすべり振動への振動阻害を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。この理由として次の事柄が考えられる。水晶片121の励振電極部122に電圧を印加すると、励振電極部122で挟まれている水晶片121の一部分が逆圧電効果および圧電効果により厚みすべり振動を開始する。厚みすべり振動は、前述したように、水晶片121の上面から水晶片121の下面に向かう向き、つまり、水晶片121の上下方向の厚み方向で振動している。励振電極部122に電圧が印加されたとき、水晶片121の厚みすべり振動の状態は、励振電極部122で挟まれている水晶片121の一部分が最も厚みすべり振動し、励振電極部122で挟まれていない水晶片121の部分でも、励振電極部122で挟まれている水晶片121の一部分から振動が漏れ、厚みすべり振動している。また、この励振電極部122で挟まれていない水晶片121では、励振電極部122の外縁から水晶片121の端部に向かうにつれて、厚みすべり振動が徐々に減衰している。従って、水晶片121の端部においても、厚みすべり振動している。つまり、水晶片121の端部においても厚みすべり振動をしているため、上下方向の厚み方向の水晶片121の面、言い換えると、水晶片121の側面における状態が変化した場合、例えば、水晶片121の側面に金属材料などの水晶とは異なる材料を設けたような場合、水晶片121の厚みすべり振動へ影響を与えることとなる。よって、水晶片121の側面の状態の変化量を小さくすることで、水晶片121の厚みすべり振動への振動阻害を低減させることが可能となり、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
本実施形態では、水晶片121の上面に設けられている引出端子124と水晶片121の上面に設けられている搭載端子125と接続部126によって電気的に接続された構成となっているため、接続部126の一部分が水晶片121の側面に設けられることとなる。このとき、水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅(側面距離)を、水晶片121の上面に設けられている接続部126の幅(上面距離)より狭くなっている。このように、水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅を狭くすることで、接続部126による水晶片121の側面の状態の変化量を小さくすることができ、水晶片121の厚みすべり振動への振動阻害を低減させることが可能となる。この結果、水晶片121の厚みすべり振動が阻害されることで等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
接続部126は、水晶片121の上面を平面して、引出端子124と接続部126とが重なっている部分の面積が、引出端子124の面積の半分以上となっている。このような構成にすることで、水晶片121の上面に設けられている接続部126によって、引出端子124との導通をより確実に確保することができる。従って、引出端子124が水晶片121の上面の外縁より内縁側に設けられている場合であっても、接続部126と引出端子124との導通をより確実に確保することができ、接続部126と引出端子124との導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
接続部126は、水晶片121の上面を平面視して、第一引出端子124aおよび第二引出端子124bが並んで設けられている水晶片121の上面の所定の一辺を含む側面に設けられている。このようにすることで、水晶片121の上面を平面視して、引出端子124側を向く励振電極部122の辺から水晶片121の側面に設けられている接続部126までの距離をより長くすることが可能となる。従って、水晶片121の端部まで漏れ伝わってきている厚みすべり振動への影響をより低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
接続部126は、例えば、スパッタリング技術または蒸着技術が用いられ、図6に示すように、励振電極部122、引出端子124、搭載端子125および配線部123が設けられている水晶片121に、一端が引出端子124と重なり、他端が搭載端子125と重なるように、水晶片121の上面、水晶片121の下面および水晶片121の側面にコの字状に設けられる。このように、接続部126の一端が引出端子124と重なり、接続部126の他端が搭載端子125と重なるようにすることで、接続部126と引出端子124との重なる部分の面積および接続部126と搭載端子125とが重なる部分の面積をより大きくすることができるので、接続部126と引出端子124との導通および接続部126と搭載端子125との導通を確実に確保することが可能となる。
また、スパッタリング技術または蒸着技術を用いて接続部126を設けることで、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いた場合と比較して、水晶片121の側面へより確実に設けることができる。フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いた場合、隣接する水晶片121等が影となり水晶片121の側面へ必要な強度の紫外光を照射することができず、水晶片121の側面に設けられる接続部126の一部が所望の線幅より細くなってしまう場合がある。この結果、接続部126の電気抵抗が大きくなり、水晶素子120の等価直列抵抗値が大きくなる虞がある。つまり、スパッタリング技術または蒸着技術を用いて接続部126を設けることで、水晶片121の側面に確実に接続部126を設けることができ、さらには、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いた場合と比較して、水晶片121に設けられている接続部126の線幅が所望の線幅より細くなることを低減させ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
接続部126は、図6(b)に示したように、例えば、第三金属層M13と第四金属層M14とからなり、第三金属層M13上に第四金属層M14が積層された状態となっている。接続部126の一端が引出端子124と重なりつつ接続部126の他端が搭載端子125と重なった状態となっているので、接続部126の一端側に着目すると、水晶片121の上面に第一金属層M11、第二金属層M12、第三金属層M13、第四金属層M14の順で積層された状態となっており、接続部126の他端側に着目すると、水晶片121の下面に第一金属層M11、第二金属層M12、第三金属層M13、第四金属層M14の順で積層された状態となっている。
第三金属層M13は、水晶片121と密着性が良好な金属材料が用いられ、例えば、クロム、ニクロム、チタンまたはニッケルが用いられる。このような金属材料を用いることで、水晶片121と密着しにくい金属材料であっても第四金属層M14に用いることが可能となる。仮に、接続部126が第三金属層M13を設けることなく第四金属層M14からのみなる場合、第四金属層M14の一部が剥離しやすくなってしまうため、吸着ノズル等で水晶素子120を移動させ水晶素子120を基板110に実装する際、吸着ノズルや周囲との接触により第四金属層M14が剥離し、等価直列抵抗値が大きくなってしまう虞がある。つまり、接続部126を、第三金属層M13と、第三金属層M13上に積層された第四金属層M14と、から構成することで、接続部126の一部が剥離することを低減させることができ、その結果、剥離による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
第四金属層M14は、金属材料の中で比較的、電気抵抗率が低い金属材料、例えば、金、銀、アルミニウム、金を主とした合金、または、銀を主とした合金が用いられる。これにより、接続部、具体的には、第四金属層の電気抵抗を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
第四金属層M14は、第二金属層M12と比較して電気抵抗率が低い金属材料が用いられる。これにより、第二金属層M12と同じ金属材料を用いた場合と比較して電気抵抗値をより低減させることができる。また、水晶片121の側面に設けられている接続部126の幅(側面距離)が細い場合であっても、接続部126の上下方向の厚みを、励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125より上下方向の厚みを厚くすることで、接続部126の体積が小さいことによる電気抵抗値が大きくなることを低減させることができる。このため、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
本実施形態中では、例えば、第三金属層M13にクロムが用いられ、第四金属層M14に銀が用いられている。第三金属層M13にクロムを用いることで、水晶片121との第四金属層M14との密着性を確保しつつ、第二金属層M12との第四金属層M14との密着性も確保することができる。第四金属層M14に銀を用いることで、接続部126における電気抵抗をより抑えつつ、第四金属層M14が周囲の酸素と酸化し水晶素子120の周波数が変化することを低減させることができる。また、第四金属層M14に銀を用いることで、シリコーン系の樹脂バインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されている導電性接着剤140を用いた場合に、第四金属層M14上にバインダーによる被膜ができるのを軽減させることができるので、導電性接着剤140に含有されている導電フィラーとの導通を確保することが可能となる。ここで、第四金属層M14が銀からなる場合について説明しているが、銀が硫化することを低減させるたえに、パラジウム等を数%程度添加させた銀を主成分とする金属であってもよい。
ここで、水晶素子120の大きさについて説明する。水晶片121は、水晶片121を平面視して、長辺が0.5〜4.6mmとなっており、短辺が0.4〜2.8mmとなっており、水晶片121の上下方向の厚みが10〜300μmとなっている。励振電極部122は、第一励振電極部122aと第二励振電極部122bとが同じ大きさとなっており、水晶片121を平面視して、水晶片121の長辺に平行な辺が0.3〜4.6mmとなっており、水晶片121の短辺に平行な辺が0.3〜2.7mmとなっており、上下方向の厚みが50〜500Åとなっている。配線部123は、上下方向の厚みが50〜500Åとなっている。引出端子124は、水晶片121を平面視して、水晶片121の長辺に平行な辺が25〜300mmとなっており、水晶片121の短辺に平行な辺が75〜500mmとなっており、上下方向の厚みが50〜500Åとなっている。搭載端子125は、水晶片121を平面視して、水晶片121の長辺に平行な辺が25〜300mmとなっており、水晶片121の短辺に平行な辺が75〜500mmとなっており、上下方向の厚みが50〜500Åとなっている。接続部126は、水晶片121の上面に設けられている幅(上面距離)が75〜500mmとなっており、水晶片121の側面に設けられている幅(側面距離)が30〜400mmとなっており、上下方向の厚みが50〜500Åとなっている。
また、ここで、導電性接着剤140を用いて、水晶素子120を基板110の上面に設けられている一対の搭載パッド111に電気的に接着させ、基板110に水晶素子120を実装する方法について説明する。まず、導電性接着剤140が、例えば、ディスペンサによって、搭載パッド111上に塗布される。その後、水晶素子120が導電性接着剤140上に搬送され、搭載パッド111と水晶片121の下面とで導電性接着剤140を挟むように水晶素子120が載置され、その状態で加熱硬化される。このとき、一方の搭載パッド111に塗布されている導電性接着剤140は、一方の搭載パッド111と水晶片121の下面に設けられている第一搭載端子125aとで挟まれつつ、一方の搭載パッド111と第一接続部126aとも挟まれている。導電性接着剤140は、加熱硬化されることで、硬化し一方の搭載パッド111と第一搭載端子125aとを電気的に接着しつつ、一方の搭載パッド111と第一接続部とを電気的に接着している。他方の搭載パッド111に塗布されている導電性接着剤140は、他方の搭載パッド111と水晶片121の下面に設けられている第二搭載端子125bとで挟まれつつ、他方の搭載パッド111と第二接続部126bとも挟まれている。導電性接着剤140は、加熱硬化されることで、固化し、他方の搭載パッド111と第二搭載端子125bとを電気的に接着しつつ、他方の搭載パッド111と第二接続部126bとを電気的に接着している。このように導電性接着剤140を、搭載端子125と搭載パッド111との間だけでなく、接続端子126と搭載パッド111との間に設けることにより、導電性接着剤140が硬化するときの収縮応力が加わった場合、収縮応力が搭載端子と接続部126とに加わることとなり、従来のように搭載パッド111と搭載端子125との間にのみ導電性接着剤140を設けた場合と比較し、搭載端子125に加わる収縮応力を軽減させることができる。このため、収縮応力により搭載端子125の一部が剥離し、等価直列抵抗値が大きくなることを軽減させることが可能となる。
導電性接着剤140は、水晶素子120を基板110の上面に実装するためのものである。導電性接着剤140は、シリコーン系の樹脂バインダーの中に導電フィラーとしての導電性粉末が含有されているものである。導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケルまたはニッケル鉄のいずれか、或いは、これらを組み合わせたものを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えば、シリコーン系の樹脂、エポキシ系の樹脂、ポリイミド系の樹脂、または、ビスマレイミド系の樹脂が用いられる。
導電性接着剤140は、搭載パッド111上に塗布され、搭載パッド111と搭載端子125とで挟んだ状態で加熱硬化されることで、固化し、搭載パッド111と搭載端子125とを電気的に接着させている。導電性接着剤140は、例えば、加熱硬化されたとき、樹脂バインダーが収縮し、導電フィラー同士がより近接する特性を有しているため、加熱硬化することで、搭載パッド111と搭載端子125とを接着しつつ、電気的に接続することができる。このため、導電性接着剤140が、加熱硬化され固化するとき、導電性接着剤140が収縮する。従って、導電性接着剤140が加熱硬化し固化するときには、導電性接着剤140に接触している搭載パッド111、搭載端子125および接続部126にそれぞれから導電性接着剤140に向かう向きに応力(収縮応力)が加わることとなる。
蓋体130は、基板110の上面と接合部材150により接合されて、基板110の上面に実装されている水晶素子120を気密封止するためのものである。また、蓋体130は、封止基部131と封止枠部132とから構成されている。また、蓋体130は、封止基部131の下面に封止枠部132が設けられており、封止基部131の下面と封止枠部132の内壁面とで凹部133が形成されている。
封止基部131は、例えば、略直方体形状となっており、その主面の大きさが水晶片121の主面の大きさより大きく、かつ、基板110の上面より小さくなっている。封止枠部132は、枠部132aおよび鍔部132bから構成されている。枠部132aは、蓋体130に凹部133を形成するためのものであり、封止基部131の下面の外縁に沿って設けられている。凹部133内には、基部110の上面に実装されている水晶素子120が収容される。鍔部132bは、蓋体130と基板110とを接合する面積を確保し接合強度を上げるためのものである。鍔部132bは、枠部132aの外周面に沿って環状で、かつ、枠部132aの外縁側へ延設されている。封止基部131および封止枠部132は、例えば、鉄、ニッケル、または、コバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような蓋体130は、真空状態にある凹部133、または、窒素ガスなどが充填された凹部133を気密封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定の雰囲気中で、封止枠部132の下面(枠部132aの下面および鍔部132bの下面)と基板110の上面との間に設けられた接合部材とに熱が加えられることで、接合部材150が溶融され、封止枠部132の下面と基板110の上面とが溶融接合される。
ここで、蓋体130の作製方法について説明する。蓋体130の作製には、例えば、従来周知のプレス加工が用いられる。矩形形状の平板を準備し、蓋体130の凹部133と同じ形状となっている凸部と凹部とを有した一対の金型で平板を挟み加圧し、封止基部131および封止枠部132が設けられ凹部133が形成される。このようにして、蓋体130は、プレス加工を用いて平板を塑性加工し、作成している。
接合部材150は、蓋体130の封止枠132の下面と基板110の上面との間、具体的には、枠部132aの下面と基板110の上面との間、および、鍔部132bの下面と基板110の上面との間に設けられており、蓋体130と基板110とを接合するためのものである。接合部材150は、例えば、ガラスの場合には、300℃〜400℃で溶融するガラスであり、例えば、バナジウムを含有した低融点ガラス、または、酸化鉛系ガラスから構成されている。酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅、および、酸化カルシウムから構成されている。
次に、接合部材150を用いて、蓋体130と基板110とを接合する方法について説明する。接合部材150の原料となるガラスは、バインダーと溶剤とが加えられたペースト状であり、溶融された後、固化されることで他の部材と接着する。接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面および鍔部132bの下面に塗布され乾燥されることで設けられている。
また、接合部材150は、例えば、絶縁性樹脂の場合には、エポキシ系樹脂またはポリイミド系樹脂から構成されている。このとき、絶縁性樹脂は、蓋体の封止枠部の下面に塗布される。絶縁性樹脂が塗付された蓋体は、封止枠部の下面と基板の上面とで絶縁性樹脂を挟むように載置される。その後、絶縁性樹脂を加熱硬化させて、蓋体と基板とを接合している。
本実施形態に係る水晶デバイスは、略直方体形状の水晶片121と、水晶片121の上面に設けられている第一励振電極部122aと、第一励振電極部122aから水晶片121の上面の縁部にまで延設されている第一配線部123aと、第一配線部123aに接続するように水晶片121の上面の縁部に設けられている第一引出端子124aと、水晶片121の下面の第一引出端子124aと対向する位置に設けられている第一搭載端子125aと、一端が第一引出端子124aと重なりつつ他端が第一搭載端子125aと重なるように設けられている第一接続部126aと、水晶片121の下面に設けられている第二励振電極部122aと、第二励振電極部122bから水晶片121の下面の縁部にまで延設されている第二配線部123bと、第二配線部122bに接続するように水晶片121の下面の縁部に設けられている第二搭載端子125bと、第一搭載パッド111および第二搭載パッド111が上面に設けられている基板110と、第一搭載パッド111と第一搭載端子125aとの間、および、第二搭載パッド111と第二搭載端子125bとの間に設けられている導電性接着剤140と、基板110の上面に接合される蓋体130と、を備えている。
本実施形態では、このような構成にすることで、水晶片121の上面の端部において、接続部127の分だけ上下方向の膜厚が厚くすることができ、水晶片121の下面に垂直で、かつ、水晶片121の上面から水晶片121の下面に向かう向きに応力が加わった場合、水晶片121の上面の端部における応力集中による膜剥離を低減させることが可能となる。従って、本実施形態では、導電性接着剤140が硬化するときに、水晶片121の下面と垂直で、かつ、水晶片121の上面から下面へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、従来と比較して、水晶片121の上面の端部において応力集中による膜剥離を低減させることができる。このため、本実施形態では、膜剥離により引出端子124と接続部127との導通不良となることを低減させ、この導通不良が原因で生じる等価直列抵抗値が大きくなることを軽減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、水晶片121の下面の二搭載端子125bと対向する位置に設けられている第二引出端子124bと、一端が第二引出端子124bと重なりつつ他端が第二搭載端子125bと重なるように設けられている第二接続部126bと、を備えている。このように第二引出端子124bを水晶片121の上面に設けることで、第一励振電極部122aおよび第二励振電極部122bに電圧を印加させ、第一励振電極部122aおよび第二励振電極部122bに挟まれている水晶片121の一部分を厚みすべり振動させたときに、厚みすべり振動とは別に、水晶片121の輪郭が振動する輪郭すべり振動を、第二引出端子124bの質量の分だけ振動しにくくなるので減衰させることができる。従って、本実施形態では、輪郭すべり振動と厚みすべり振動との結合により等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。なお、本実施形態では、引出端子124が第一引出端子124aのみであってもこのような効果を奏することは可能であるが、引出端子124が第一引出端子124aおよび第二引出端子124bからなる場合には、第一引出端子124aだけの場合よりも、等価直列抵抗値が大きくなることをさらに低減させることが可能となる。
また、本実施形態では、水晶片121の上面の所定の一辺の縁部に沿って二つ並んで第一引出端子124aおよび第二引出端子124bを設けることによって、水晶素子120を導電性接着剤140で実装した場合に、水晶片121の下面の状態と水晶片121の上面の状態とをより近づけることが可能となる。従って、本実施形態では、水晶片121の上面側に第一引出端子124aよび第二引出端子124bを設けることで、水晶片121の上面側において第一引出端子124aおよび第二引出端子124bの質量の分だけ振動へ影響を与えることとなり、従来と比較して、水晶片121の上面側での振動に影響を与えることが可能となる。この結果、本実施形態では、水晶素子120を導電性接着剤140で実装する場合、水晶片121の下面側と水晶片121の上面側とで振動への影響を近づけることができるため、振動バランスが良くなり、等価直列抵抗値が大きくなることをより低減させることができる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第一接続部126aの端部が円弧形状となっており、円弧の円の中心が水晶片121の外縁側に位置している。このようにすることで、本実施形態では、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに応力が加わった場合、この応力を、第一接続部126aの端部で緩和させることが可能となる。従って、本実施形態では、第一接続部126aの両端部を円弧形状にし、この円弧の円の中心が水晶片121の外縁側に位置するようにすることで、導電性接着剤140が硬化するときに、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、第一接続部126aの端部で緩和させることができる。このため、本実施形態では、水晶片121の端部に加わる応力を緩和させることができ、水晶片121の端部における第一接続部126aの剥離を低減させることが可能となる。この結果、第一接続部126aと第一搭載端子125a子との導通不良を低減させることができ、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第一接続部126aの端部が半円形状または半楕円形状となっている本実施形態では、このようにすることで、水晶片121の下面と平行で、かつ、水晶片121の外縁から内側へ向かう向きに収縮応力が加わった場合であっても、より第一接続部126aの端部で緩和させることができる。このため、本実施形態では、水晶片121の端部に加わる応力を緩和させることができ、水晶121の端部における第一接続部126aの剥離を低減させることが可能となる。この結果、本実施形態では、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良を低減させることができ、第一接続部126aと第一搭載端子125aとの導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
本実施形態に係る水晶デバイスは、水晶片121の側面に設けられている第一接続部126aの幅が、水晶片121の上面に設けられている第一接続部126aの幅と比較して、狭くなっている。本実施形態では、このような構成にすることで厚みすべり振動への振動阻害を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。これは、厚みすべり振動が水晶片121の端部においても厚みすべり振動しているためである。厚みすべり振動とは、前述したように、図7に示したように、水晶片121の上面から水晶片121の下面に向かう向き、つまり、水晶片121の上下方向の厚み方向で振動している。励振電極部122に電圧を印加すると、励振電極部122で挟まれている水晶片121の一部分が逆圧電効果および圧電効果により厚みすべり振動するが、このとき、励振電極部122で挟まれていない部分へも厚みすべり振動が漏れている状態となっている。従って、励振電極部122に挟まれている水晶片121の一部分から徐々に厚みすべり振動が減衰するものの、水晶片121の端部においても厚みすべり振動がしている状態となっている。このため、水晶片121の側面の状態により、水晶片121の上下方向の厚み方向で振動している厚みすべり振動は、影響を受けやすくなる。以上のことから、水晶片121の側面部分に設けられる接続部126の幅を狭くすることで面積を小さくすることができ、水晶片121の側面状態の変化を小さくすることができ、水晶片121の端部における厚みすべり振動への阻害をより小さくすることが可能となる。この結果、厚みすべり振動への振動阻害を低減させることができ、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、水晶片121の上面を平面視して、第一引出端子124aと第一接続部126aとが重なっている部分の面積が、第一引出端子124aの面積の半分以上となっている。本実施形態では、このような構成にすることで、水晶片121の上面に設けられている第一接続部126aによって、第一引出端子124aとの導通をより確実に確保することができる。従って、本実施形態では、第一引出端子124aが水晶片121の上面の外縁より内縁側に設けられている場合であっても、第一接続部126aと第一引出端子124aとの導通をより確実に確保することができ、第一接続部126aと第一引出端子124aとの導通不良による等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、導電性接着剤140が、第一搭載端子125aと第一搭載パッド111との間だけでなく、第一接続端子126aの他端と第一搭載パッド111との間にも設けられている。本実施形態では、このようにすることで、導電性接着剤140が硬化するときの収縮応力が加わった場合、収縮応力が第一搭載端子125aと第一接続部126aとに加わることとなり、従来のように搭載パッド111と第一搭載端子125aとの間にのみ導電性接着剤140を設けた場合と比較し、第一搭載端子125aに加わる収縮応力を軽減させることができる。このため、本実施形態では、収縮応力により第一搭載端子125aの一部が剥離し、等価直列抵抗値が大きくなることを軽減させることが可能となる。
また、本実実施形態に係る水晶デバイスは、第一励振電極部122a、第二励振電極部122b、第一搭載端子125a、第二搭載端子125b、第一配線部123a、第二配線部123b、第一引出端子124aが、第一金属層M11と、第一金属層M11上に設けられている第二金属層M12とからなり、第一接続部126aが、第三金属層M13と、第三金属層M13上に設けられている第四金属層M14とからなっている。このような構成にすることで、第一金属層M11および第三金属層M13に水晶片121と密着性の高い金属を用いることにより、第二金属層M12および第四金属層M14に水晶片121と密着しにくい金属材料を用いることが可能となる。従って、本実施形態では、吸着ノズル等で水晶素子120を移動させ水晶素子120を基板110に実装する際に、吸着ノズルや周囲との接触により、第二金属層M12および第四金属層M14の一部が剥離することを低減させることができる。このため、本実施形態では、第二金属層M12および第四金属層M14の一部が剥離することによる等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第二金属層M12と第四金属M14とは異なる金属材料が用いられており、第四金属層M14の金属材料の電気抵抗率が、第二金属層M12の金属材料の電気抵抗率より小さい。本実施形態では、このような構成にすることで、第三金属層M13および第四金属層M14からなる接続部126の電気抵抗を低減させることができ、かつ、第二金属層M12と同じ金属材料を用いた場合と比較して電気抵抗値をより低減させることができる。従って、本実施形態では、接続部126の電気抵抗値を低減させることが可能となり、水晶素子120および水晶デバイスの等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることができる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、第二金属層M12に金を主成分とする金属材料が用いられ、第四金属層M14に銀を主成分とする金属材料が用いられている。本実施形態では、このようなに第二金属層M12に金を主成分とする金属材料を用いることで、励振電極部122、配線部123、引出端子124および搭載端子125における電気抵抗を抑えつつ、第二金属層M12が周囲の酸素と酸化し水晶素子120の周波数が変化することを低減させることができる。また、第四金属層M14に銀を主性分とする金属材料を用いることで、接続部126における電気抵抗をより抑えつつ、第四金属層M14が周囲の酸素と酸化し水晶素子120の周波数が変化することを低減させることができる。ここで、第四金属層M14が銀からなる場合について説明しているが、銀が硫化することを低減させるために、パラジウム等を数%程度添加させた銀を主成分とする金属であってもよい。従って、このような構成にすることで、等価直列抵抗値が大きくなることを低減させつつ、第二金属層M12および第四金属層M14が周囲の環境により変質が原因で生じる周波数変化を低減させることができる。
なお、本実施形態では、水晶片が略矩形形状の平板状の場合について説明しているが、上面を平面視して、略矩形形状になっていれば、例えば、水晶片の上下方向の厚みが水晶片の中央部で厚くなっているメサ型の水晶片であってもよいし、例えば、水晶片の上下方向の厚みが水晶片の中央部で薄くなっている逆メサ型の水晶片であってもよい。