この発明の実施例は、原動機部の後方に運転席フロアを敷設し、その左右側方に左右ステップを延設し、フロアの後方に座席を設け、座席の左右側方に左右フェンダを配設したトラクタにおいて、上記各構成部材は他機種トラクタと共用可能に構成し、しかも原動機部の後方に延設した機体フレームにそれぞれ取付けた左右ベースフレーム後部に左右フェンダをボルトにより取外し自在に連結し、左右ベースフレームの中途部に左右ステップをボルトにより取外し自在に連設し、左右ステップ間に運転席フロアをボルトにより取外し自在に架設したことを特徴とするトラクタに関する。
また、左右ベースフレームの前部と後部はそれぞれ機体フレームに連結し、左右ベース原動機部と運転部との間に介設した熱風遮蔽板の下端縁は運転席フロアに載置連設し、熱風遮蔽板の上端縁は、ボンネットの後端縁に連設したことにも特徴を有する。
また、運転席フロアの後端部には、運転座席の下方を遮断する状態に防塵板を取外し自在にボルトで連結したことにも特徴を有する。
以下、図1〜図12を参照して本発明に係るトラクタを説明する。図1〜図12は、本発明の実施例のトラクタA1,A2の構成を示す図である。
トラクタA1,A2は、前後方向に伸延した一定幅の長手鋼板を縦幅方向に立て左右に配設構成した機体フレーム1を中心とし、その前部に原動機部2を搭載すると共に、その後方に運転部3を配設し、機体フレーム1の下方にはエンジンEからミッションケースMを介して動力の伝達された前輪FT,FT及び後輪RT,RTが軸架されている。
ミッションケースMは、機体フレーム1に一体固設され後端にはPTO軸(図示せず)が突出し、トラクタA1,A2後部に連結具、リフター等(図示せず)を介して連結する各種作業機へ動力を伝達可能に構成している。かかるトラクタは本発明では2種類のタイプに分類される。
トラクタA1は、図1に示すように運転部3の背後にロプスRを立設したロプスタイプのトラクタを構成し、また、図8に示すトラクタA2は、キャビンCにより運転部3を被覆しているキャビンタイプのトラクタを構成する。
本実施例の説明では、まずロプスタイプのトラクタA1の全体構成について説明し、続いて本発明の特徴となる構成を説明する。その後に、キャビンタイプのトラクタA2の全体構成について説明する。
[ロプスタイプのトラクタの説明]
ロプスタイプのトラクタA1は、図1〜図7に示すように、前後方向に延伸させて枠組形成した機体フレーム1の前部に原動機部2を設けるとともに、機体フレーム1の後端部にミッションケースMを設け、原動機部2とミッションケースMは、動力伝動シャフト(図示せず)を介して連動連結している。そして、機体フレーム1の前部には、左右方向に軸線を形成したフロントアクスルケースFA,FAを取り付け、フロントアクスルケースFA,FAの左右側端部に前輪軸(図示せず)を介して前輪FT,FTを取り付けている。
また、ミッションケースMの左右側部には、それぞれリヤアクスルケースRA,RAを取り付けて、各リヤアクスルケースRA,RAに後輪軸4を介して後輪RT,RTを連動連結している。ミッションケースMとフロントアクスルケースFA,FAは、前輪駆動シャフト(図示せず)を介して連動連結して、前輪FT,FT及び後輪RT,RTを駆動する四輪駆動を可能としている。
トラクタA1は、機体フレーム1上において、原動機部2の後方に運転部3を配設している。具体的には、図4に示すように、機体フレーム1の側方にそれぞれ取付けた左右ベースフレーム5上に運転部3を構成する運転席フレーム14を載置固定している。また、左右ベースフレーム5は後部側を上方に折曲した傾斜フレーム6を形成し、後端部にはリヤアクスルケースRA,RAに関連して設けた水平連結板7を介して補助ビーム8を一体に垂直に立設している。また、左右ベースフレーム5の前部にはその外方にわたって運転席フロアである運転部フロア9を下方から支持する平面視コ字状のフロア枠体110を架設している。
また、左右ベースフレーム5は、前端を機体フレーム1の側方に突設した運転部載置片11上に防振音プレート(図示せず)を介して載置固定し、後端を左右のリヤアクスルケースRA,RA上に補助ビーム8の下端部を載置固定している。
運転部3は、原動機部2の直後方位置からミッションケースMの直前方位置まで左右ベースフレーム5上に床面部としての運転部フロア9を張設している。運転部フロア9の左右側方でフロア枠体110上には、運転部フロア9面を延設した構造に相当する各2分割の左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbが配設されている。
運転部フロア9の前端縁部には、原動機部2と運転部3とを遮蔽する熱風遮蔽板100を立設する。熱風遮蔽板100の左右側方には隣接して防風板111,111を連設している。熱風遮蔽板100の運転部3側には、連結ケース27を突設し、更に連結ケース27に固設したステアリングブラケット28に傾斜自在に装着したステアリングコラム24にハンドル支軸26介してハンドルHを設けている。
原動機部2のエンジンE後方に位置するミッションケースMの上方には、運転席13を配設し、運転席13の左右側方には左右一対のフェンダ20L,20R(以下、左右フェンダ20L,20Rという)を配設している。左右フェンダ20L,20Rは運転部フロア9の後部左右側方から立ち上げて形成して、後輪RT,RTの前上部を被覆する。
運転部3の右側方に位置するフェンダ20R上、及びその近傍には、車速を操作する変速操作部29や作業機の昇降作業を行うローダ操作部30等の操作レバーやスイッチ類を配設している。
ロプスRは、門型に形成して左右のリヤアクスルケースRA,RA上面に立設した補助ビーム8上端の連結フランジ81に跨架状に立設されており、機体横転時に運転席13に着座している運転者を保護する機能を果たす
原動機部2は、機体フレーム1の前部にエンジンE等を配設して構成している。すなわち、機体フレーム1の前部上に、主構成部材であるエンジンEを搭載している。エンジンEの直前方には、前後方向に軸線を向けたファン軸(図示せず)を介して冷却ファン31を連動連結し、冷却ファン31の直前方には、ラジエータ32を立設している。一方、エンジンEの右側後部の直上方には、エンジンEの吸気口部と連通連結したエアクリーナ(図示せず)を配設している。
上記のように構成した原動機部2には、ボンネット支持枠体(図示せず)を設けて、ボンネット支持枠体にボンネットBを開閉自在に取り付け、ボンネットBにより原動機部2のエンジンルームを被覆・開放自在としている。
ボンネットBは、船底を逆さにしたような形(いわゆる、船底天井)に形成した天井部33と、網目状のフロントグリル34と、左・右側面部35,35と、から下方と後方が開口する箱型に形成している。
上記のように構成した原動機部2を被覆するボンネットBと運転部3との間に形成された間隙36には、排熱孔38を有する排熱カバー37を介設している。排熱カバー37は、ボンネットBの後端縁部の形状と同一形状である背面視門型に形成し熱風遮蔽板100の上部と連設している。
本発明の実施形態のロプスタイプのトラクタは基本的には上記のように構成されており、その要部は以下の通りである。
本発明のトラクタは、原動機部2の後方に配設した運転部フロア9、その左右側方に延設した各2分割の左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb、運転席の左右側方に配設したフェンダ20L,20R等の構成部材を他機種トラクタと共用可能に構成している。しかも、上記各構成部材は、機体フレーム1の側方にそれぞれ取付けた左右ベースフレーム5に関連して装着されている。
すなわち、左右ベースフレーム5の後部に左右フェンダ20L,20Rをボルトにより取外し自在に連結し、左右ベースフレーム5の中途部に左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbをボルトにより取外し自在に連設し、左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb間に運転部フロア9をボルトにより取外し自在に架設している。また、運転部フロア9の後端部には、機体フレーム1の下方からの塵介が運転部に侵入し舞い上がるのを防止するために運転席下方を遮断する防塵板18を取外し自在にボルトで連結している。
かかる構成の中で主要な構成部材は左右ベースフレーム5であり、他機種トラクタと共用可能に形成した運転部フロア9、左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb、左右フェンダ20L,20等の各構成部材は、この左右ベースフレーム5を中心にして左右ベースフレーム5に直接的に或いは間接的にボルトにより所定の位置に取外し、離脱可能にアセンブリングされて装着されている。
左右ベースフレーム5は、前後方向に伸延した一定幅の長手鋼板を縦幅方向に立て機体左右に設けた機体フレーム1の中途部から一体に後方に伸延しており、互いにその外側面同士をボルトを介して密着連結している。すなわち、左右ベースフレーム5は、前部を運転部の運転部フロア9に、後部は左右後輪をカバーする左右フェンダ20L,20の後部に位置するように機体フレーム1に沿って前後方向に伸延配設されている。
しかも、左右ベースフレーム5の中途部は約30度の角度で上方に折曲して傾斜フレーム6を形成しており、折曲部はフェンダの内側面に沿って伸延する。この折曲部中途部はリヤアクスルケースRA,RAから上方に立ち上がった補助ビーム8の中途部と水平連結板7を介して一体連結されていると共に、左右ベースフレーム5の後端部は補助ビーム8に一体に固設している。
更には、補助ビーム8の上端には連結フランジ81を設け、連結フランジ81には左右フェンダ20L,20Rの内側面と門型のロプスRの下端をそれぞれ一体に連設している。このように補助ビーム8の上端に設けた連結フランジ81には左右フェンダ20L,20RやロプスRを取付ける機能を持たせるように構成している。
また、左右ベースフレーム5の折曲部の傾斜フレーム6上には運転席13を構成するための運転席フレーム14が載置して連結されている。すなわち、運転席フレーム14は水平の座席フレーム15とその後縁部に傾斜して立ち上げた背フレーム16と座席フレーム15の前端下方に垂設した前フレーム17と左右端下方に垂設した左右フレーム15aとからなり、左右フレーム15aの下端縁は傾斜して上記した左右ベースフレーム5の折曲部の傾斜フレーム6上に載置され、しかも、左右フレーム15aの外側面には傾斜フレーム6の外側面に当接して立ち上げ連設した略三角形状の当て板19と密着当接してボルトにより固定している。
更には、かかる座席フレーム15と左右ベースフレーム5の傾斜フレーム6から立ち上げた当て板19との間では後車輪の内側をカバーするフェンダ内壁板21を挟持し三個の部材をボルトにより一体連結する構造として左右ベースフレーム5への左右フェンダ20L,20の固定をより強固に構成している。
また、左右ベースフレーム5の前部にはその間にわたって平面視門型の平面プレート状の運転部フロア9が架設されており、運転部フロア9の両側縁部には左右ベースフレーム5の前部上面で支持した左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbがボルトを介して離脱自在に連設されていると共に、左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbの間、すなわち、運転部フロア9の空間部には運転部フロア9を架設状態に配設してそれぞれを取外し自在にボルトで連結している。
架設された左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbと運転部フロア9との重畳部分は機体フレーム1で支持されており、従って、左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbは左右ベースフレーム5と機体フレーム1とで支持されていると共に、運転部フロア9は左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbの間に架設状態で且つ機体フレーム1で支持されていることになる。
また、運転部フロア9の後端部にはボルトを介して防塵板18を離脱自在に連設している。すなわち、防塵板18は下端にフランジを形成して運転部フロア9にボルトにより固定されており、運転席13の座席フレーム15前端下方を閉塞して地面から運転席13下方空間を通して舞い上がる塵介が運転部3に侵入することを防止している。かかる運転部フロア9の前端縁のフランジは熱風遮蔽板100の下端縁とボルトにより連設されている。
また、運転部フロア9の左右に配設した左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb外側端の前後部には補助ステップSが略コ字状に垂設されており、補助ステップSの後端部には左右フェンダの前端部が一体に連結され左右フェンダ20L,20の前部固定を更に強固に構成している。
また、原動機部2と運転部3との間には熱風遮蔽板100が介設されており、その下端縁は運転部フロア9と連設され、熱風遮蔽板100の上端縁は、ボンネットBの後端縁に連設されている。
熱風遮蔽板100は、原動機部2のエンジン作動から生じる発熱が運転部に影響しない様にその境部分を区画して遮断するために設けられたものであり、原動機部2のエンジンルーム後端面を遮断する大きさと形状に形成してその下端縁フランジは運転部フロア9にボルトにより連設固定されている。
熱風遮蔽板100の左右端縁には防風板111が一体に突設されており、運転部の前部は熱風遮蔽板100と防風板111により前方と区画されていると共に、防風板111の外縁フレームGFの下端を左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbに連設することにより防風板111と一体の熱風遮蔽板100の左右端縁の支持固定が行われる。
なお、熱風遮蔽板100の運転席側の中央には中空枠の連結ケース27を突設し、その正面側には平面視断面コ字状のステアリングブラケット28を突設し、中空枠の連結ケース27の左右壁にはアクセルユニットを支持するためのユニット軸を軸架すると共に、ステアリングブラケット28にはチルト軸を介してステアリングコラム24を軸架している。ステアリングコラム24はチルト軸によって回動調整をすることによりステアリング部のチルト操作が可能に構成されている。
かかる熱風遮蔽板100に装着された連結ケース27やステアリングブラケット28やステアリングコラム24及びアクセルユニット等は熱風遮蔽板100に前端縁を固定し後端縁をステアリングコラム24に一体に連設固定した操作部カバーフレーム43によりカバーリングされている。操作部カバーフレーム43の表面から頂上部にかけては化粧カバーで被覆してダッシュボード25を形成している。
なお、ローダ操作部30は、運転部の右側方においてフェンダとの間に介設した作業機の昇降等の操作を行うためのものであり、変速操作部29は運転席右前方に立設したシフト操作用を行うためのものである。本発明のロプスタイプのトラクタA1の実施形態における要部は以上のように構成されている。また、その使用に際しての共用構成部材は次のように機能する。
すなわち、本発明のトラクタA1は左右ベースフレーム5に関連して装着されている構成部材が多機種と共用可能に構成されているために、左右ベースフレーム5を中心にして一体に組み立てられた座席フレーム15や左右フェンダ20L,20Rや左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbや運転部フロア9や防塵板18などは、この組み立てた状態のままの一体のアセンブリング状態のまま機体フレーム1やリヤアクスルケースRA,RAからボルトを外して取外すことができると共に、各構成部材を共用可能な他の構成部材と任意に個別に取り替えることもできる。
しかも、左右ベースフレーム5を中心にして一体に組み立てられた座席フレーム15や左右フェンダ20L,20Rや左右ステップSLa,SLb,SRa,SRbや運転部フロア9や防塵板18などは全体として一体の強度を有した方形フレームを構成して強度を充分に保持している。更に部品の共用ができるので例えばこれらの構成部材のうちどこかに損傷が発生した場合にはその部材のみを左右ベースフレーム5からボルトを外して取り換えることが可能である。
更には、特に左右ベースフレーム5は基本的には機体フレーム1に一体に取外し自在に連設されているため上記の構成部材は間接的に強靭な機体フレーム1と一体化して連設されていることになり、全体の強度を増加することができる。
[キャビンタイプのトラクタの説明]
キャビンタイプのトラクタA2は、図8〜12に示すように、ロプスタイプのトラクタA1と基本的構造を同じくしている。すなわち、主要な構成部材は左右ベースフレーム5’であり、他機種トラクタと共用可能に形成した運転部フロア9、左右ステップSL,SR、左右フェンダ20L,20R等の各構成部材は、左右ベースフレーム5’を中心にしてそれぞれボルトにより所定の位置に取外し、離脱可能にアセンブリングされて装着されている点では同一である。
しかし、キャビンタイプは、ロプスR及び防風板111に替えて、運転部3を被覆するキャビンCを設けている点で異なる。キャビンCは、六面体を形成するように枠組み形成したキャビンフレーム222と、キャビンフレーム222を形成する各片により形成された各面部とから形成している。
すなわち、キャビンフレーム222には、天井面部223に扁平箱状に形成した天井部224張設し、前面部225の上部にフロントガラス部226を張設するとともに、下部に左右側前壁部227を張設している。左右側面部236の前部には、左右一対の乗降扉部237を開閉自在に張設している。図中、乗降扉部237の内面には図示しないグリップパイプが張設したされており、239は外部に設けた開閉操作グリップを示す。左右側面部236の後部には、左右一対のサイド窓部240を開閉自在に張設している。後面部231には、リヤガラス部241を開閉自在に張設している。
上記のように構成したキャビンCは、他機種トラクタのキャビンと共用自在に構成されており、その構造は下端開口状の箱型に形成し、運転部フロア9の前部上と、左右フェンダ20L,20R上とにわたって載設し運転部3を上方より被覆するように構成している。
左右ベースフレーム5’の中途部は約30度の角度で上方に折曲した傾斜フレーム6を形成し、この傾斜フレーム6の中途部は、ロプスタイプと異なりリヤアクスルケースRA,RAの上面に設けた緩衝装置(図示せず)の上部に水平固定した水平連結板7’の前端部と一体に連結されている。この連結形態は水平の水平連結板7’の前端部中央に切欠き部を形成し、この切欠き部に傾斜フレーム6の中途部を嵌着して一体に連結する。このような連結形態により左右ベースフレーム5’が関連部材による荷重を受けても下方から水平連結板7’が支持して上方からの荷重応力を充分に受け止めるように構成している。また、左右ベースフレーム5’は、前端を機体フレーム1の側方に突設した運転部載置片11上に防振音プレート12を介して載置固定している。
水平連結板7’の後端には垂直上方に立ち上がった補助ビーム8’の下端を一体に固設しており、補助ビーム8’の中途部は傾斜フレーム6の後端部に一体に連設されている。しかも、ロプスタイプと異なり、補助ビーム8’の上端は連結ブラケット233を介して左右フェンダ20L,20Rの後端及びキャビンフレーム222の後下端と一体に連設されている。また、キャビンフレーム222の後面中段に設けた後方横フレーム232は運転席フレーム14の背フレーム16にボルトにより一体に連結している。しかも、キャビンフレーム222の前部下端縁部、すなわち、左右フェンダ20L,20R上に載置される左右側面下枠234の前方の前面下枠235は補助ステップSの外縁部に当接して一体に連設されている。
キャビンフレーム222の下端縁には下部支持フレームが設けられており、その下部支持フレームはキャビンの後側面下枠と左右側面下枠234と前面下枠235等の方形フレームにより構成されている。このうち左右側面下枠234は半円弧状の半内側フェンダ201L,201Rの上面に載置される。すなわち、キャビンCの側面下部は半円弧状の半内側フェンダ201L,201Rの上面に安定して載置固定されていることになる。
更には、キャビンフレーム222において左右の左右側面下枠234前端間に架設された前端下部横フレームは熱風遮蔽板100の裏側、すなわち、ボンネットBとの境部分に配設されて、熱風遮蔽板100の運転席13側に装着された構成部材、例えば、連結ケース27やステアリングブラケット28やステアリングコラム24やアクセルユニット等、更には、操作部カバーフレーム43や化粧カバーで被覆したダッシュボード25等の構成部材はキャビン内に収納されてキャビン内前部に配設される。
また、ロプスタイプと同様に、左右ベースフレーム5’の折曲部の傾斜フレーム6上には運転席13を構成するための運転席フレーム14が載置して連結され、座席フレームと左右ベースフレーム5’から立ち上げた当て板19との間では後輪RTの内側をカバーするフェンダ内壁板21を挟持し三個の部材をボルトにより一体連結する構造として左右ベースフレーム5’への左右フェンダ20L,20Rの固定をより強固に構成している。
また、運転部3の床面の構成に関してもロプスタイプと同様に平面プレート状の運転部フロア9、左右ステップSL,SR、防塵板18等を備える。キャビンCはキャビンフレーム222の下端縁の半円弧部分を左右フェンダ20L,20R上に載置してボルトにより取外し自在に連設している。
更に、キャビンCの前面部に上半部にはフロントガラス部226を張設するとともにその下半部は熱風遮蔽板100とその左右端縁の防風板111の一体形状に合わせて切欠き部を形成しており、この切欠き部に熱風遮蔽板100と左右の防風板111の一体の外縁部を嵌着している。そして、かかる熱風遮蔽板100に装着された連結ケース27やステアリングブラケット28やステアリングコラム24及びアクセルユニット等は熱風遮蔽板100に前端縁を固定し後端縁をステアリングコラム24に一体に連設固定した操作部カバーフレーム43によりカバーリングされ、操作部カバーフレーム43の表面から頂上部にかけては化粧カバーで被覆してダッシュボード25を形成し、これらの構成部材はキャビン内の前部に配設される。
本発明のキャビンタイプのトラクタA2の実施形態における要部は以上のように構成されている。その共用構成部材の使用に関しはロプスタイプとほとんど同様であるが、キャビンも他機種と共用自在に構成されているためにロプスタイプに加えて次のように対処される。
すなわち、左右ベースフレーム5’を中心にして更に箱型のキャビンCが左右ベースフレーム5’に係る構成部材に加わることになるため強度的には更に有利となる。しかも、構成部材の取替えにおいてはキャビンCのみの取り換えも自在であり、主体的には左右ベースフレーム5’に係る連結部分、例えば、補助ビーム8’との連結部や運転席フレーム14との連結部や左右ステップSL,SRとの連結部等をボルトを離脱することにより取り外して共用の他の同じ構成部材に取り換えることが可能である。
これ以外でキャビンタイプの共用構成部材の取り換えやメンテナンス作業に係る処理に関してはロプスタイプのトラクタと同様である。
すなわち、本発明のトラクタは左右ベースフレーム5,5’に関連して装着されている構成部材が多機種と共用可能に構成されているために、まず、左右ベースフレーム5,5’を中心にして一体に組み立てられた座席フレーム15や左右フェンダ20L,20Rや左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb(キャビンタイプでは、左右ステップSL,SR)や運転部フロア9や防塵板18などは任意にこの組み立てた状態のまま機体フレーム1やリヤアクスルケースRA,RAからボルトを外して取外すことができ、しかも、左右ベースフレーム5,5’を中心にして一体に組み立てられた座席フレーム15や左右フェンダ20L,20Rや左右ステップSLa,SLb,SRa,SRb(キャビンタイプでは、左右ステップSL,SR)や運転部フロア9や防塵板18やキャビンCなどは全体として一体の強度を有した方形フレームを構成して強度を充分に保有できる。
更に部品の共用ができ、例えばこれらの構成部材のうちどこかに損傷が発生した場合にはその部材のみを左右ベースフレーム5,5’からボルトを外して取り換えることが可能であり、更には、特に左右ベースフレーム5,5’は基本的には機体フレーム1に一体に取外し自在に連設されているため上記の構成部材は間接的に強靭な機体フレーム1と一体化して連設されていることになり、全体の強度を増加することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。