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JP6438208B2 - キャリア付銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

キャリア付銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、キャリア付銅箔、それを用いた銅張積層板、プリント配線板、電子機器及びプリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
ファインピッチ化に対応して、最近では厚さ9μm以下、更には厚さ5μm以下の銅箔が要求されているが、このような極薄の銅箔は機械的強度が低くプリント配線板の製造時に破れたり、皺が発生したりしやすいので、厚みのある金属箔をキャリアとして利用し、これに剥離層を介して極薄銅層を電着させたキャリア付銅箔が登場している。極薄銅層の表面を絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後、キャリアは剥離層を介して剥離除去される。露出した極薄銅層上にレジストで回路パターンを形成した後に、極薄銅層を硫酸−過酸化水素系のエッチャントでエッチング除去する手法(MSAP:Modified−Semi−Additive−Process)により、微細回路が形成される。
ここで、樹脂との接着面となるキャリア付銅箔の極薄銅層の表面に対しては、主として、極薄銅層と樹脂基材との剥離強度が十分であること、そしてその剥離強度が高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等の後でも十分に保持されていることが要求される。極薄銅層と樹脂基材の間の剥離強度を高める方法としては、一般的に、表面のプロファイル(凹凸、粗さ)を大きくした極薄銅層の上に多量の粗化粒子を付着させる方法が代表的である。
しかしながら、プリント配線板の中でも特に微細な回路パターンを形成する必要のある半導体パッケージ基板に、このようなプロファイル(凹凸、粗さ)の大きい極薄銅層を使用すると、回路エッチング時に不要な銅粒子が残ってしまい、回路パターン間の絶縁不良等の問題が発生する。
このため、WO2004/005588号(特許文献1)では、半導体パッケージ基板をはじめとする微細回路用途のキャリア付銅箔として、極薄銅層の表面に粗化処理を施さないキャリア付銅箔を用いることが試みられている。このような粗化処理を施さない極薄銅層と樹脂との密着性(剥離強度)は、その低いプロファイル(凹凸、粗度、粗さ)の影響で一般的なプリント配線板用銅箔と比較すると低下する傾向がある。そのため、キャリア付銅箔について更なる改善が求められている。
そこで、特開2007−007937号公報(特許文献2)及び特開2010−006071号公報(特許文献3)では、キャリア付極薄銅箔のポリイミド系樹脂基板と接触(接着)する面に、Ni層又は/及びNi合金層を設けること、クロメート層を設けること、Cr層又は/及びCr合金層を設けること、Ni層とクロメート層とを設けること、Ni層とCr層とを設けることが記載されている。これらの表面処理層を設けることにより、ポリイミド系樹脂基板とキャリア付極薄銅箔との密着強度を粗化処理なし、または粗化処理の程度を低減(微細化)しながら所望の接着強度を得ている。更に、シランカップリング剤で表面処理したり、防錆処理を施したりすることも記載されている。
WO2004/005588号 特開2007−007937号公報 特開2010−006071号公報
キャリア付銅箔の開発においては、これまで極薄銅層と樹脂基材との剥離強度を確保することに重きが置かれていた。そのため、ファインピッチ化に関しては未だ十分な検討がなされておらず、未だ改善の余地が残されている。そこで、本発明はファインピッチ形成に好適なキャリア付銅箔を提供することを課題とする。具体的には、これまでのMSAPで形成できる限界と考えられていたL(ライン)/S(スペース)=15μm/15μmよりも微細な配線を形成可能なキャリア付銅箔を提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねたところ、極薄銅層の表面を低粗度化し、極薄銅層の厚み精度を制御することが、当該キャリア付銅箔のファインピッチ形成に極めて効果的であることを見出した。
本発明は上記知見を基礎として完成したものであり、一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRzが0.5μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明は別の一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRzが0.5μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は一実施形態において、前記極薄銅層表面は、両面の非接触式粗さ計で測定したRzが0.5μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は別の一実施形態において、前記極薄銅層表面は、非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面は、非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下である。
本発明は更に別の一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明は更に別の一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面は、両面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面は、非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下である。
本発明は更に別の一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明は更に別の一側面において、支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下であるキャリア付銅箔である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層表面は、両面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアがフィルムで形成されている。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアの前記中間層側表面のRzが0.5μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアの前記中間層側表面のRaが0.12μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記キャリアの前記中間層側表面のRtが1.0μm以下である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に粗化処理層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、極薄銅層を使用したセミアディティブ工法により、ライン/スペース=15μm/15μmより微細な回路形成が可能である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層が、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層又はいずれか1種以上を含む合金を含む層である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記極薄銅層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記粗化処理層上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が接着用樹脂である。
本発明のキャリア付銅箔は更に別の一実施形態において、前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板である
本発明は更に別の一側面において、本発明のプリント配線板を用いて製造した電子機器である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程、前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成する工程、前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程を含むプリント配線板の製造方法である。
本発明のプリント配線板の製造方法は一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である。
本発明のプリント配線板の製造方法は別の一実施形態において、前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、本発明のキャリア付銅箔である。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる。
本発明のプリント配線板の製造方法は更に別の一実施形態において、前記表面に回路を形成するキャリア付銅箔が、当該キャリア付銅箔のキャリアの表面に基板または樹脂層を有する。
L/S=20μm/20μmよりも微細な配線、例えばL/S=15μm/15μmの微細な配線を形成することが可能で、キャリア上の極薄銅層の厚み精度が良好なキャリア付銅箔を提供する。
本発明のキャリア付銅箔の構造の一例である。 本発明の実施形態1に係るキャリア付銅箔の製造方法に係る運箔方式を示す模式図である。 本発明の実施形態2に係るキャリア付銅箔の製造方法に係る運箔方式を示す模式図である。 従来の九十九折の運箔方式を示す模式図である。 実施例における回路パターンの幅方向の横断面の模式図、及び、該模式図を用いたエッチングファクター(EF)の計算方法の概略である。 A〜Cは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、回路めっき・レジスト除去までの工程における配線板断面の模式図である。 D〜Fは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、樹脂及び2層目キャリア付銅箔積層からレーザー穴あけまでの工程における配線板断面の模式図である。 G〜Iは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、ビアフィル形成から1層目のキャリア剥離までの工程における配線板断面の模式図である。 J〜Kは、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例に係る、フラッシュエッチングからバンプ・銅ピラー形成までの工程における配線板断面の模式図である。
<キャリア>
本発明のキャリアは、中間層側表面のRzが0.5μm以下であるものを用いるのが好ましい。このような構成によれば、キャリア上に形成する中間層の片方の表面或いは両表面のRzの0.5μm以下への制御が容易となる。キャリアの中間層側表面のRzはより好ましくは0.3μm以下、更により好ましくは0.1μm以下である。
また、本発明のキャリアは、中間層側表面のRaが0.12μm以下であるものを用いるのが好ましい。このような構成によれば、キャリア上に形成する中間層の片方の表面或いは両表面のRaの0.12μm以下への制御が容易となる。キャリアの中間層側表面のRaはより好ましくは0.1μm以下、更により好ましくは0.08μm以下、更により好ましくは0.05μm以下である。
また、本発明のキャリアは、中間層側表面のRtが1.0μm以下であるものを用いるのが好ましい。このような構成によれば、キャリア上に形成する中間層の片方の表面或いは両表面のRtの1.0μm以下への制御が容易となる。キャリアの中間層側表面のRtはより好ましくは0.5μm以下、更により好ましくは0.3μm以下である。
本発明のキャリアとしては、例えば樹脂フィルムなどのフィルムを用いるのが好ましく、特に表面平滑性を有するフィルムを用いるのが好ましい。このようなフィルムキャリアとしては、一般的には、乾式表面処理や湿式表面処理時、あるいは基板作製時の積層プレス時の熱負荷に耐えられる耐熱フィルムが好ましく、ポリイミドフィルムなどを使用することができる。
ポリイミドフィルムに使用する材料は、特に制限はない。例えば、宇部興産製ユーピレックス、DuPont/東レ・デュポン製カプトン、カネカ製アピカルなどが上市されているが、いずれのポリイミドフィルムも適用できる。また、本発明のキャリアに用いることのできるフィルムは、このような特定の品種に限定されるものではない。
ポリイミドフィルムを用いる場合、当該フィルム表面をプラズマ処理することにより、フィルム表面の汚染物質の除去と表面の改質を行うことができる。プラズマ処理後のポリイミドフィルムの表面のRzは、材質の違い及び初期表面粗さの違いにもよるが、Rz=2.5〜500nmの範囲、Ra=1〜100nmの範囲、又は、Rt=5〜800nmの範囲で調整することができる。また、プラズマ処理条件と表面粗さとの関係を予め取得することにより、所定の条件でプラズマ処理して所望の表面粗さを有するポリイミドフィルムを得ることができる。
また、本発明のキャリアとしては金属箔を使用することができる。金属箔としては銅箔、ニッケル箔、ニッケル合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、鉄箔、鉄合金箔、亜鉛箔、亜鉛合金箔、ステンレス箔等を用いることができる。また、本発明のキャリアとしては銅箔を使用することができる。銅箔は典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で提供される。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)や無酸素銅(JIS H3100 合金番号C1020)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明のキャリアとして用いる圧延銅箔は高光沢圧延により生産することができる。
なお、高光沢圧延は以下の式で規定される油膜当量を13000〜24000以下とすることで行うことが出来る。なお、表面処理後の銅箔の表面粗さ(Rz)をより小さく(例えばRz=0.20μm)したい場合には、高光沢圧延を以下の式で規定される油膜当量を12000以上24000以下とすることで行う。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}
圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を12000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
また、本発明のキャリアとして用いる電解銅箔の製造条件の一例は、以下に示される。
<電解液組成>
銅:90〜110g/L
硫酸:90〜110g/L
塩素:50〜100mg/L
レベリング剤1(ビス(3−スルフォプロピル)ジスルフィド):10〜50mg/L
レベリング剤2(ジアルキルアミノ基含有重合体):10〜50mg/L
上記のジアルキルアミノ基含有重合体には例えば以下の化学式のジアルキルアミノ基含有重合体を用いることができる。
(上記化学式中、R1及びR2はヒドロキシアルキル基、エーテル基、アリール基、芳香族置換アルキル基、不飽和炭化水素基、アルキル基からなる一群から選ばれるものである。)
<製造条件>
電流密度:70〜100A/dm2
電解液温度:50〜60℃
電解液線速:3〜5m/sec
電解時間:0.5〜10分間
また、本願発明に用いることができる電解銅箔としてJX日鉱日石金属株式会社製HLP箔が挙げられる。
本発明に用いることのできるキャリアの厚さについても特に制限はないが、キャリアとしての役目を果たす上で適した厚さに適宜調節すればよく、例えば25μm以上とすることができる。但し、厚すぎると生産コストが高くなるので一般には50μm以下とするのが好ましい。従って、キャリアの厚みは典型的には12〜300μmであり、より典型的には12〜150μmであり、更により典型的には12〜100μmであり、更に典型的には25〜50μmであり、より典型的には25〜38μmである。
<中間層>
キャリアの片面又は両面上には中間層を設ける。キャリアと中間層との間に他の層を設けてもよい。本発明で用いる中間層は、キャリア付銅箔が絶縁基板への積層工程前にはキャリアから極薄銅層が剥離し難い一方で、絶縁基板への積層工程後にはキャリアから極薄銅層が剥離可能となるような構成であれば特に限定されない。例えば、本発明のキャリア付銅箔の中間層はCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Zn、これらの合金、これらの水和物、これらの酸化物、有機物からなる群から選択される一種又は二種以上を含んでも良い。また、中間層は複数の層であっても良い。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素の水和物または酸化物または有機物からなる層を形成することで構成することができる。
また、例えば、中間層はキャリア側からCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成し、その上にCr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種の元素からなる単一金属層、或いは、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、P、Cu、Al、Znで構成された元素群から選択された一種又は二種以上の元素からなる合金層を形成することで構成することができる。
中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。なお、中間層をクロメート処理や亜鉛クロメート処理やめっき処理で設けた場合には、クロムや亜鉛など、付着した金属の一部は水和物や酸化物となっている場合があると考えられる。
また、例えば、中間層は、キャリア上に、ニッケル、ニッケル−リン合金又はニッケル−コバルト合金と、クロムとがこの順で積層されて構成することができる。ニッケルと銅との接着力はクロムと銅の接着力よりも高いので、極薄銅層を剥離する際に、極薄銅層とクロムとの界面で剥離するようになる。また、中間層のニッケルにはキャリアから銅成分が極薄銅層へと拡散していくのを防ぐバリア効果が期待される。中間層におけるニッケルの付着量は好ましくは100μg/dm2以上40000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上4000μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上2500μg/dm2以下、より好ましくは100μg/dm2以上1000μg/dm2未満であり、中間層におけるクロムの付着量は5μg/dm2以上100μg/dm2以下であることが好ましい。中間層を片面にのみ設ける場合、キャリアの反対面にはNiめっき層などの防錆層を設けることが好ましい。
中間層は金属層若しくは合金層と、その上に形成された酸化物層の2層で構成されることが好ましい。この場合、金属層若しくは合金層はフィルムキャリアとの界面に、酸化物層は極薄銅層との界面にそれぞれ接するようにして形成する。
中間層は、例えばスパッタリング、CVD及びPVDのような乾式表面処理、或いは電気めっき、無電解めっき及び浸漬めっきのような湿式表面処理により得ることができる。
<極薄銅層>
中間層の上には極薄銅層を設ける。中間層と極薄銅層との間には他の層を設けてもよい。極薄銅層は、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等の電解浴を利用した電気めっきにより形成することができ、一般的な電解銅箔で使用され、高電流密度での銅箔形成が可能であることから硫酸銅浴が好ましい。なお、湿式めっきで極薄銅層を形成する場合には、塩素、レべリング剤である有機硫黄化合物、レべリング剤である有機窒素化合物を含む銅めっき浴で極薄銅層を形成する必要がある。例えば、本願において湿式めっきに用いることができる銅めっき浴の組成、めっき条件は以下の通りである。
・銅めっき浴
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
Cl濃度:30〜80mg/L
ビス(3−スルフォプロピル)ジスルファイド2ナトリウム濃度:10〜50mg/L
下記構造式で示されるジアルキルアミノ基含有重合体:10〜50mg/L
・銅めっき条件
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
極薄銅層の厚みは特に制限はないが、一般的にはキャリアよりも薄く、例えば12μm以下である。典型的には0.5〜12μmであり、より典型的には2〜5μmである。なお、極薄銅層はキャリアの両面に設けてもよい。
<粗化処理及びその他の表面処理>
極薄銅層の表面には、例えば絶縁基板との密着性を良好にすること等のために粗化処理を施すことで粗化処理層を設けることができる。極薄銅層と粗化処理層との間には他の層を設けてもよい。
また、キャリアの表面に粗化処理を施すことで粗化処理層を設けてもよい。このような構成によれば、本発明のキャリア付銅箔をキャリア側から樹脂基板に積層する処理を行うとき、キャリアと樹脂基板との密着性が向上し、プリント配線板の製造工程においてキャリアと樹脂基板とが剥離し難くなる。
粗化処理は、例えば、銅又は銅合金で粗化粒子を形成することにより行うことができる。粗化処理層は、ファインピッチ形成の観点から微細な粒子で構成されるのが好ましい。
粗化処理層は、銅、ニッケル、コバルト、リン、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層又はいずれか1種以上を含む合金を含む層などであってもよい。また、極薄銅層表面及び/又はキャリア表面に、銅又は銅合金で粗化粒子を形成した後、更にニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で二次粒子や三次粒子を設ける粗化処理を行うこともできる。その後に、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層または防錆層を形成しても良く、更にその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。または粗化処理を行わずに、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛の単体または合金等で耐熱層又は防錆層を形成し、さらにその表面にクロメート処理、シランカップリング処理などの処理を施してもよい。すなわち、粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよく、極薄銅層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を形成してもよい。なお、上述の耐熱層、防錆層、クロメート処理層、シランカップリング処理層はそれぞれ複数の層で形成されてもよい(例えば2層以上、3層以上など)。
ここでクロメート処理層とは無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩または二クロム酸塩を含む液で処理された層のことをいう。クロメート処理層はコバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素およびチタン等の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物等どのような形態でもよい)を含んでもよい。クロメート処理層の具体例としては、無水クロム酸または二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層や、無水クロム酸または二クロム酸カリウムおよび亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層等が挙げられる。
耐熱層、防錆層としては公知の耐熱層、防錆層を用いることができる。例えば、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む層であってもよく、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素からなる金属層または合金層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選ばれる1種以上の元素を含む酸化物、窒化物、珪化物を含んでもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金を含む層であってもよい。また、耐熱層および/または防錆層はニッケル−亜鉛合金層であってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層は、不可避不純物を除き、ニッケルを50wt%〜99wt%、亜鉛を50wt%〜1wt%含有するものであってもよい。前記ニッケル−亜鉛合金層の亜鉛及びニッケルの合計付着量が5〜1000mg/m2、好ましくは10〜500mg/m2、好ましくは20〜100mg/m2であってもよい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量と亜鉛の付着量との比(=ニッケルの付着量/亜鉛の付着量)が1.5〜10であることが好ましい。また、前記ニッケル−亜鉛合金を含む層または前記ニッケル−亜鉛合金層のニッケルの付着量は0.5mg/m2〜500mg/m2であることが好ましく、1mg/m2〜50mg/m2であることがより好ましい。耐熱層および/または防錆層がニッケル−亜鉛合金を含む層である場合、スルーホールやビアホール等の内壁部がデスミア液と接触したときに銅箔と樹脂基板との界面がデスミア液に浸食されにくく、銅箔と樹脂基板との密着性が向上する。
例えば耐熱層および/または防錆層は、付着量が1mg/m2〜100mg/m2、好ましくは5mg/m2〜50mg/m2のニッケルまたはニッケル合金層と、付着量が1mg/m2〜80mg/m2、好ましくは5mg/m2〜40mg/m2のスズ層とを順次積層したものであってもよく、前記ニッケル合金層はニッケル−モリブデン、ニッケル−亜鉛、ニッケル−モリブデン−コバルトのいずれか一種により構成されてもよい。また、耐熱層および/または防錆層は、ニッケルまたはニッケル合金とスズとの合計付着量が2mg/m2〜150mg/m2であることが好ましく、10mg/m2〜70mg/m2であることがより好ましい。また、耐熱層および/または防錆層は、[ニッケルまたはニッケル合金中のニッケル付着量]/[スズ付着量]=0.25〜10であることが好ましく、0.33〜3であることがより好ましい。当該耐熱層および/または防錆層を用いるとキャリア付銅箔をプリント配線板に加工して以降の回路の引き剥がし強さ、当該引き剥がし強さの耐薬品性劣化率等が良好になる。
なお、シランカップリング処理に用いられるシランカップリング剤には公知のシランカップリング剤を用いてよく、例えばアミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤を用いてよい。また、シランカップリング剤にはビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いてもよい。
前記シランカップリング処理層は、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シランなどのシランカップリング剤などを使用して形成してもよい。なお、このようなシランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。中でも、アミノ系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を用いて形成したものであることが好ましい。
ここで言うアミノ系シランカップリング剤とは、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリス(2−エチルヘキソキシ)シラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、3−(2−N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる群から選択されるものであってもよい。
シランカップリング処理層は、ケイ素原子換算で、0.05mg/m2〜200mg/m2、好ましくは0.15mg/m2〜20mg/m2、好ましくは0.3mg/m2〜2.0mg/m2の範囲で設けられていることが望ましい。前述の範囲の場合、基材樹脂と表面処理銅箔との密着性をより向上させることができる。
また、極薄銅層、粗化処理層、耐熱層、防錆層、シランカップリング処理層またはクロメート処理層の表面に、国際公開番号WO2008/053878、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、特開2013−19056号に記載の表面処理を行うことができる。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面(なお、本発明では極薄銅層の表面が粗化処理等の各種表面処理を施されている場合には、「極薄銅層の表面」および「極薄銅層表面」は粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面を意味する。)は、一側面において、少なくとも片面、好ましくは両面を非接触式粗さ計で測定したときにRz(十点平均粗さ)を0.5μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Rzは好ましくは0.3μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下である。但し、Rzは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、使用される基板のレジンとの組み合わせにより適切な選択が必要である。なお、Rzの下限は特に設定する必要はないが、例えばRzは0.0001μm以上、例えば0.0005μm以上、例えば0.0010μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.007μm以上である。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面は、別の一側面において、少なくとも片面、好ましくは両面を非接触式粗さ計で測定したときにRa(算術平均粗さ)を0.12μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Raは好ましくは0.1μm以下であり、より好ましくは0.08μm以下であり、更により好ましくは0.05μm以下である。但し、Raは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、使用される基板のレジンとの組み合わせにより適切な選択が必要である。なお、Raの下限は特に設定する必要はないが、例えばRaは0.0001μm以上、例えば0.0005μm以上、例えば0.0010μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.007μm以上である。
粗化処理等の各種表面処理を施した後の極薄銅層の表面は、別の一側面において、少なくとも片面、好ましくは両面を非接触式粗さ計で測定したときにRtを1.0μm以下とすることがファインピッチ形成の観点で極めて有利となる。Rtは好ましくは0.5μm以下であり、より好ましくは0.3μm以下である。但し、Rtは、小さくなりすぎると樹脂との密着力が低下することから、使用される基板のレジンとの組み合わせにより適切な選択が必要である。なお、Rtの下限は特に設定する必要はないが、例えばRtは0.0001μm以上、例えば0.0005μm以上、例えば0.0010μm以上、例えば0.005μm以上、例えば0.007μm以上である。
上記極薄銅層表面は、上述のようにRz、Ra、Rtの粗さをそれぞれ単独で制御するのではなく、RzとRaと、RaとRtと、又は、RzとRaとRtとを制御することで、より良好にファインピッチを形成することが可能となる。
本発明において、極薄銅層表面のRzについてはJIS B0601−1994に準拠、Ra、Rtの粗さパラメータについてはJIS B0601−2001に準拠して非接触式粗さ計で測定する。
このようにして、極薄銅層表面のRz、Ra、及び/又は、Rtの粗さが制御された本発明に係るキャリア付銅箔はファインピッチ形成に好適であり、例えば、MSAP工程で形成できる限界と考えられていたライン/スペース=15μm/15μmよりも微細な配線、例えばライン/スペース=10μm/10μmの微細な配線を形成することが可能となる。
<キャリア付銅箔>
本発明のキャリア付銅箔の構造の一例を、図1に示す。図1に示す本発明のキャリア付銅箔は、フィルムキャリアと、フィルムキャリア上に形成された中間層と、中間層上に形成された極薄銅層とで構成されている。極薄銅層は、スパッタリングにより形成されたスパッタ銅層と、電解めっきで形成された電解銅層とで構成されている。また、キャリア付銅箔を極薄銅層側から樹脂基板に貼り付けて、キャリアを剥離した後の極薄銅層表面は、剥離面側と樹脂面側とで区別される。
<キャリア付銅箔の製造方法>
次に、本発明に係るキャリア付銅箔の製造方法を説明する。図2は、本発明の実施形態1に係るキャリア付銅箔の製造方法に係る運箔方式を示す模式図である。本発明の実施形態1に係るキャリア付銅箔の製造方法は、ロール・トウ・ロール搬送方式により長さ方向に搬送される長尺状のキャリアの表面を処理することで、キャリアと、キャリア上に積層された中間層と、中間層上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔を製造する方法である。本発明の実施形態1に係るキャリア付銅箔の製造方法は、搬送ロールで搬送されるキャリアにスパッタによって中間層を形成し、ドラムで支持しながら、電解めっきによりキャリア表面に極薄銅層を形成する。次いで、キャリアをドラムで支持しながら、電解めっきにより極薄銅層表面に表面処理層を形成する。各工程ではドラムにて支持されているキャリアの処理面がカソードを兼ねており、このドラムと、ドラムに対向するように設けられたアノードとの間のめっき液中で各電解めっきが行われる。
本発明では、長尺状の銅箔キャリアをロール・トウ・ロール搬送方式で搬送するために、キャリアの長さ方向に張力をかけながら搬送している。張力は、各搬送ロールを駆動モーターと接続する等によりトルクをかけることで調整することができる。銅箔キャリアの搬送張力は0.01〜0.2kg/mmが好ましい。搬送張力が0.01kg/mm未満ではドラムとの密着力が弱く、所望の厚みに各層を形成することが困難となる。また、装置の構造にもよるがスリップ等の問題が生じやすく、さらにキャリアの巻きが緩くなり、巻きずれ等の問題が生じやすい。一方、搬送張力が0.2kg/mm超では、わずかな銅箔キャリアの位置ズレでもオレシワが発生しやすく、装置管理の観点からも好ましくない。また、巻きが硬く、巻き締まりシワ等が生じやすい。キャリアの搬送張力は、より好ましくは0.02〜0.1kg/mmである。
実施形態1では、極薄銅層と表面処理層とを、いずれも、ドラムでキャリアを支持しながら、電解めっきにより形成しているが、これに限定されない。例えば、実施形態2として、図3に示すように、表面処理層の形成を従来の銅箔キャリアへのドラムによる支持がない九十九折による運箔方式を用いた電解めっきにより形成してもよい。ただし、実施形態2は、実施形態1のように両方の工程をドラムを用いた運箔方式で行っていないため、実施形態1に比べて、電解めっきの際の極間距離を一定にするのが難しく、極薄銅層及び/又は表面処理層の厚み精度は劣る。なお、図4は、極薄銅層と表面処理層とを、いずれも、従来の銅箔キャリアへのドラムによる支持がない九十九折による運箔方式を用いて形成する方式を示す。なお、九十九折による運箔方式の場合にあっては、搬送張力を高め(例えば0.15〜0.2kg/mm)に設定し、電解めっきを行う際の搬送ロールとその次の搬送ロールとの距離を従来よりも短く(例えば500〜1800mm)することで、極薄銅層及び/又は表面処理層の厚み精度が良好なキャリア付銅箔を製造することができる。
本発明は、上述のように、キャリアをドラムで支持することで電解めっきにおけるアノード−カソード間の極間距離が安定する。このため、形成する層の厚みのバラツキが良好に抑制され、厚み精度の高い極薄銅層を有するキャリア付銅箔の作製が可能となる。また、九十九折による運箔方式を用いた電解めっきの場合には、搬送ロール間の距離を短くすること、ガイドロール等を用いて箔の振れを防止すること、搬送張力を通常の3〜5倍とすることにより、電解めっきにおけるアノード−カソード間の極間距離を安定させることにより、板厚精度を良好なものとすることができる。
このように作製されたキャリア付銅箔は、重量厚み法にて測定した極薄銅層の厚み精度が3.0%以下、好ましくは2.0%以下であり、極めて厚み精度が良好となっている。なお、下限は特に限定する必要は無いが、例えば0.05%以上、あるいは0.1%以上、あるいは0.2%以上である。
ここで、重量厚み法による厚み精度の測定方法を説明する。まず、銅箔キャリア並びにキャリア付銅箔の重量を測定した後、極薄銅層を引き剥がし、再度銅箔キャリアの重量を測定し、前者と後者との差を極薄銅層の重量と定義する。測定対象となる極薄銅層片はプレス機で打ち抜いた5cm角シートとする。重量厚み精度を調査するため、各水準ともに、幅方向で等間隔に5点、長さ方向で3点(4cm間隔)、計15点の極薄銅層片の重量厚み測定値の平均値並びに標準偏差(σ)を求める。なお、重量厚み精度の算出式は次式とする。
厚み精度(%)=3σ×100/平均値
この測定方法の繰り返し精度は0.2%である。
また、このように作製されたキャリア付銅箔は、四探針法にて測定した極薄銅層の厚み精度が10.0%以下、好ましくは6.0%以下であり、極めて厚み精度が良好となっている。なお、下限は特に限定する必要は無いが、例えば0.05%以上、あるいは0.5%以上、あるいは0.7%以上、あるいは1.0%以上である。
ここで、四探針法による厚み精度の測定方法を説明する。まず、四探針にて厚み抵抗を測定することで銅箔キャリアとキャリア付銅箔との厚みを求めた後、極薄銅層を引き剥がし、再度銅箔キャリアの厚み抵抗による厚みを測定し、前者と後者との差を極薄銅層の厚みと定義する。厚み精度を調査するため、各水準ともに、幅方向で5mm間隔で測定をし、計280点の測定点の平均値並びに標準偏差(σ)を求める。280点の測定点は1列で設定する必要はなく、キャリア付き銅箔の幅寸法に応じて複数列にわたって設してもよい。なお、四探針による厚み精度の算出式は次式とする。
厚み精度(%)=3σ×100/平均値
この測定方法の繰り返し精度は1.0%である。
また、キャリアと、キャリア上に中間層が積層され、中間層の上に積層された極薄銅層とを備えたキャリア付銅箔は、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層およびシランカップリング処理層からなる群から選択された層を一つ以上備えても良い。
また、前記極薄銅層上に粗化処理層を備えても良く、前記粗化処理層上に、耐熱層、防錆層を備えてもよく、前記耐熱層、防錆層上にクロメート処理層を備えてもよく、前記クロメート処理層上にシランカップリング処理層を備えても良い。
また、前記キャリア付銅箔は前記極薄銅層上、あるいは前記粗化処理層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいはクロメート処理層、あるいはシランカップリング処理層の上に樹脂層を備えても良い。前記樹脂層は絶縁樹脂層であってもよい。
前記樹脂層は接着剤であってもよく、接着用の半硬化状態(Bステージ状態)の絶縁樹脂層であってもよい。半硬化状態(Bステージ状態)とは、その表面に指で触れても粘着感はなく、該絶縁樹脂層を重ね合わせて保管することができ、更に加熱処理を受けると硬化反応が起こる状態のことを含む。
また前記樹脂層は熱硬化性樹脂を含んでもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。また、前記樹脂層は熱可塑性樹脂を含んでもよい。その種類は格別限定されるものではないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、多官能性シアン酸エステル化合物、マレイミド化合物、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂などを含む樹脂を好適なものとしてあげることができる。
前記樹脂層は公知の樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体(無機化合物及び/または有機化合物を含む誘電体、金属酸化物を含む誘電体等どのような誘電体を用いてもよい)、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等を含んでよい。また、前記樹脂層は例えば国際公開番号WO2008/004399、国際公開番号WO2008/053878、国際公開番号WO2009/084533、特開平11−5828号、特開平11−140281号、特許第3184485号、国際公開番号WO97/02728、特許第3676375号、特開2000−43188号、特許第3612594号、特開2002−179772号、特開2002−359444号、特開2003−304068号、特許第3992225号、特開2003−249739号、特許第4136509号、特開2004−82687号、特許第4025177号、特開2004−349654号、特許第4286060号、特開2005−262506号、特許第4570070号、特開2005−53218号、特許第3949676号、特許第4178415号、国際公開番号WO2004/005588、特開2006−257153号、特開2007−326923号、特開2008−111169号、特許第5024930号、国際公開番号WO2006/028207、特許第4828427号、特開2009−67029号、国際公開番号WO2006/134868、特許第5046927号、特開2009−173017号、国際公開番号WO2007/105635、特許第5180815号、国際公開番号WO2008/114858、国際公開番号WO2009/008471、特開2011−14727号、国際公開番号WO2009/001850、国際公開番号WO2009/145179、国際公開番号WO2011/068157、特開2013−19056号に記載されている物質(樹脂、樹脂硬化剤、化合物、硬化促進剤、誘電体、反応触媒、架橋剤、ポリマー、プリプレグ、骨格材等)および/または樹脂層の形成方法、形成装置を用いて形成してもよい。
これらの樹脂を例えばメチルエチルケトン(MEK),トルエンなどの溶剤に溶解して樹脂液とし、これを前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート皮膜層、あるいは前記シランカップリング剤層の上に、例えばロールコータ法などによって塗布し、ついで必要に応じて加熱乾燥して溶剤を除去しBステージ状態にする。乾燥には例えば熱風乾燥炉を用いればよく、乾燥温度は100〜250℃、好ましくは130〜200℃であればよい。
前記樹脂層を備えたキャリア付銅箔(樹脂付きキャリア付銅箔)は、その樹脂層を基材に重ね合わせたのち全体を熱圧着して該樹脂層を熱硬化せしめ、ついでキャリヤを剥離して極薄銅層を表出せしめ(当然に表出するのは該極薄銅層の中間層側の表面である)、そこに所定の配線パターンを形成するという態様で使用される。
この樹脂付きキャリア付銅箔を使用すると、多層プリント配線基板の製造時におけるプリプレグ材の使用枚数を減らすことができる。しかも、樹脂層の厚みを層間絶縁が確保できるような厚みにしたり、プリプレグ材を全く使用していなくても銅張り積層板を製造することができる。またこのとき、基材の表面に絶縁樹脂をアンダーコートして表面の平滑性を更に改善することもできる。
なお、プリプレグ材を使用しない場合には、プリプレグ材の材料コストが節約され、また積層工程も簡略になるので経済的に有利となり、しかも、プリプレグ材の厚み分だけ製造される多層プリント配線基板の厚みは薄くなり、1層の厚みが100μm以下である極薄の多層プリント配線基板を製造することができるという利点がある。
この樹脂層の厚みは0.1〜80μmであることが好ましい。
樹脂層の厚みが0.1μmより薄くなると、接着力が低下し、プリプレグ材を介在させることなくこの樹脂付きキャリア付銅箔を内層材を備えた基材に積層したときに、内層材の回路との間の層間絶縁を確保することが困難になる場合がある。
一方、樹脂層の厚みを80μmより厚くすると、1回の塗布工程で目的厚みの樹脂層を形成することが困難となり、余分な材料費と工数がかかるため経済的に不利となる。更には、形成された樹脂層はその可撓性が劣るので、ハンドリング時にクラックなどが発生しやすくなり、また内層材との熱圧着時に過剰な樹脂流れが起こって円滑な積層が困難になる場合がある。
更に、この樹脂付きキャリア付銅箔のもう一つの製品形態としては、前記極薄銅層上、あるいは前記耐熱層、防錆層、あるいは前記クロメート処理層、あるいは前記シランカップリング処理層の上に樹脂層で被覆し、半硬化状態とした後、ついでキャリアを剥離して、キャリアが存在しない樹脂付き銅箔の形で製造することも可能である。
キャリア付銅箔自体の使用方法は当業者に周知であるが、例えば極薄銅層の表面を紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の絶縁基板に貼り合わせて熱圧着後にキャリアを剥がして銅張積層板とし、絶縁基板に接着した極薄銅層を目的とする導体パターンにエッチングし、最終的にプリント配線板を製造することができる。
更に、プリント配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。本発明において、「プリント配線板」にはこのように電子部品類が搭載されたプリント配線板およびプリント回路板およびプリント基板も含まれることとする。
また、当該プリント配線板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント回路板を用いて電子機器を作製してもよく、当該電子部品類が搭載されたプリント基板を用いて電子機器を作製してもよい。以下に、本発明に係るキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造工程の例を幾つか示す。
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、前記キャリア付銅箔と絶縁基板を極薄銅層側が絶縁基板と対向するように積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、その後、セミアディティブ法、モディファイドセミアディティブ法、パートリーアディティブ法及びサブトラクティブ法の何れかの方法によって、回路を形成する工程を含む。絶縁基板は内層回路入りのものとすることも可能である。
本発明において、セミアディティブ法とは、絶縁基板又は銅箔シード層上に薄い無電解めっきを行い、パターンを形成後、電気めっき及びエッチングを用いて導体パターンを形成する方法を指す。
従って、セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記樹脂および前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
セミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法によりすべて除去する工程、
前記極薄銅層をエッチングにより除去することにより露出した前記樹脂の表面について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、モディファイドセミアディティブ法とは、絶縁層上に金属箔を積層し、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより回路形成部の銅厚付けを行った後、レジストを除去し、前記回路形成部以外の金属箔を(フラッシュ)エッチングで除去することにより、絶縁層上に回路を形成する方法を指す。
従って、モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストを設けた後に、電解めっきにより回路を形成する工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストを除去することにより露出した極薄銅層をフラッシュエッチングにより除去する工程、
を含む。
モディファイドセミアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層の上にめっきレジストを設ける工程、
前記めっきレジストに対して露光し、その後、回路が形成される領域のめっきレジストを除去する工程、
前記めっきレジストが除去された前記回路が形成される領域に、電解めっき層を設ける工程、
前記めっきレジストを除去する工程、
前記回路が形成される領域以外の領域にある無電解めっき層及び極薄銅層をフラッシュエッチングなどにより除去する工程、
を含む。
本発明において、パートリーアディティブ法とは、導体層を設けてなる基板、必要に応じてスルーホールやバイアホール用の孔を穿けてなる基板上に触媒核を付与し、エッチングして導体回路を形成し、必要に応じてソルダレジストまたはメッキレジストを設けた後に、前記導体回路上、スルーホールやバイアホールなどに無電解めっき処理によって厚付けを行うことにより、プリント配線板を製造する方法を指す。
従って、パートリーアディティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について触媒核を付与する工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
前記極薄銅層および前記触媒核を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して露出した前記絶縁基板表面に、ソルダレジストまたはメッキレジストを設ける工程、
前記ソルダレジストまたはメッキレジストが設けられていない領域に無電解めっき層を設ける工程、
を含む。
本発明において、サブトラクティブ法とは、銅張積層板上の銅箔の不要部分を、エッチングなどによって、選択的に除去して、導体パターンを形成する方法を指す。
従って、サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面に、電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層および前記電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
サブトラクティブ法を用いた本発明に係るプリント配線板の製造方法の別の一実施形態においては、本発明に係るキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程、
前記キャリアを剥がして露出した極薄銅層と絶縁基板にスルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域についてデスミア処理を行う工程、
前記スルーホールまたは/およびブラインドビアを含む領域について無電解めっき層を設ける工程、
前記無電解めっき層の表面にマスクを形成する工程、
マスクが形成されいない前記無電解めっき層の表面に電解めっき層を設ける工程、
前記電解めっき層または/および前記極薄銅層の表面にエッチングレジストを設ける工程、
前記エッチングレジストに対して露光し、回路パターンを形成する工程、
前記極薄銅層および前記無電解めっき層を酸などの腐食溶液を用いたエッチングやプラズマなどの方法により除去して、回路を形成する工程、
前記エッチングレジストを除去する工程、
を含む。
スルーホールまたは/およびブラインドビアを設ける工程、及びその後のデスミア工程は行わなくてもよい。
ここで、本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板の製造方法の具体例を図面を用いて詳細に説明する。なお、ここでは粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔を例に説明するが、これに限られず、粗化処理層が形成されていない極薄銅層を有するキャリア付銅箔を用いても同様に下記のプリント配線板の製造方法を行うことができる。
まず、図6−Aに示すように、表面に粗化処理層が形成された極薄銅層を有するキャリア付銅箔(1層目)を準備する。
次に、図6−Bに示すように、極薄銅層の粗化処理層上にレジストを塗布し、露光・現像を行い、レジストを所定の形状にエッチングする。
次に、図6−Cに示すように、回路用のめっきを形成した後、レジストを除去することで、所定の形状の回路めっきを形成する。
次に、図7−Dに示すように、回路めっきを覆うように(回路めっきが埋没するように)極薄銅層上に埋め込み樹脂を設けて樹脂層を積層し、続いて別のキャリア付銅箔(2層目)を極薄銅層側から接着させる。
次に、図7−Eに示すように、2層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図7−Fに示すように、樹脂層の所定位置にレーザー穴あけを行い、回路めっきを露出させてブラインドビアを形成する。
次に、図8−Gに示すように、ブラインドビアに銅を埋め込みビアフィルを形成する。
次に、図8−Hに示すように、ビアフィル上に、上記図6−B及び図6−Cのようにして回路めっきを形成する。
次に、図8−Iに示すように、1層目のキャリア付銅箔からキャリアを剥がす。
次に、図9−Jに示すように、フラッシュエッチングにより両表面の極薄銅層を除去し、樹脂層内の回路めっきの表面を露出させる。
次に、図9−Kに示すように、樹脂層内の回路めっき上にバンプを形成し、当該はんだ上に銅ピラーを形成する。このようにして本発明のキャリア付銅箔を用いたプリント配線板を作製する。
上記別のキャリア付銅箔(2層目)は、本発明のキャリア付銅箔を用いてもよく、従来のキャリア付銅箔を用いてもよく、さらに通常の銅箔を用いてもよい。また、図8−Hに示される2層目の回路上に、さらに回路を1層或いは複数層形成してもよく、それらの回路形成をセミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行ってもよい。
なお、埋め込み樹脂(レジン)には公知の樹脂、プリプレグを用いることができる。例えば、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジンやBTレジンを含浸させたガラス布であるプリプレグ、味の素ファインテクノ株式会社製ABFフィルムやABFを用いることができる。また、前記埋め込み樹脂(レジン)には本明細書に記載の樹脂層および/または樹脂および/またはプリプレグを使用することができる。
また、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔は、当該キャリア付銅箔の銅箔キャリアの表面に基板または樹脂層を有してもよい。当該基板または樹脂層を有することで、一層目に用いられるキャリア付銅箔は支持され、シワが入りにくくなるため、生産性が向上するという利点がある。なお、前記基板または樹脂層としては、前記一層目に用いられるキャリア付銅箔を支持する効果を有するものであれば、特に限定されない。例えば、前記基板または樹脂層として、本明細書に記載のキャリア、プリプレグ、樹脂層や公知のキャリア、プリプレグ、樹脂層、金属板、金属箔、無機化合物の板、無機化合物の箔、有機化合物の板、有機化合物の箔を用いることができる。
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
1.キャリア付銅箔の製造
<例1:実施例1、5、9、13、比較例3>
ポリイミドフィルム(宇部興産社製のユーピレックス−Sフィルム;厚み35μm)を真空装置内にセットし、真空排気後、酸素を用いてプラズマ処理を実施した。
続いてプラズマ処理したフィルムの片面に、CrスパッタリングによりCr層を10nm形成した。その後、Crスパッタ層を酸素ガス雰囲気のチャンバー内で処理し、表面にクロム酸化物を形成させ、中間層を形成した。
さらに、Cr中間層の表面にCuをスパッタしてCuスパッタ層を厚み1μm形成した。スパッタ条件は、Cuターゲットを用いたArガス中で、放電電圧500V、放電電流15A、真空度5×10-2Paとした。Cuスパッタ層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cuスパッタ層の上に電解めっきで2μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。なお、実施例13についてCuスパッタ層の厚みを2.5μmとし、電解めっきのCuめっき層の厚みを2.5μm、総銅厚を5μmとした。
・電解Cuめっき層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
Cl濃度:30〜80mg/L
ビス(3−スルフォプロピル)ジスルファイド2ナトリウム濃度:10〜50mg/L
ジアルキルアミノ基含有重合体(重量平均分子量8500):10〜50mg/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:10〜100A/dm2
極薄銅層を形成した後、次いで、極薄銅層表面に、以下の粗化処理1、粗化処理2、耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
W:0〜50mg/L
ドデシル硫酸ナトリウム:0〜50mg/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・耐熱処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<例2:実施例2、6、10、14、比較例4>
例1と同様の工程、方法、条件でポリイミドフィルムキャリア上に中間層及び極薄銅層を形成した。なお、実施例14についてCuスパッタ層の厚みを1.0μmとし、電解めっきのCuめっき層の厚みを1.0μm、総銅厚を2μmとした。
次いで、極薄銅層表面に以下の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・耐熱処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<例3:実施例3、7、11、15、比較例5>
例2のポリイミドキャリアに代わり、圧延銅箔(JX日鉱日石金属製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)箔 18μm厚)に対して、例2と同様の工程、方法、条件で、1μmのCuスパッタ層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cuスパッタ層の上に電解めっきで2μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。なお、実施例15についてCuスパッタ層の厚みを0.2μmとし、電解めっきのCuめっき層の厚みを0.8μm、総銅厚を1μmとした。次に、例2の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
<例4:実施例4、8、12、16、比較例6>
例2のポリイミドキャリアに代わり、電解銅箔(JX日鉱日石金属製HLP箔 18μm厚)に対して、例2と同様の工程、方法、条件で、1μmのCuスパッタ層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cuスパッタ層の上に電解めっきで2μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。次に、例2の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
<例5:実施例17>
例2のポリイミドキャリアに代わり、圧延銅箔(JX日鉱日石金属製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)箔 18μm厚)に対して、例2と同様の工程、方法、条件で中間層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、例2と同様の方法、条件で中間層の上に電解めっきで3μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。次に、例1の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
<例6:実施例18>
例2のポリイミドキャリアに代わり、電解銅箔(JX日鉱日石金属製HLP箔 18μm厚)に対して、例2と同様の工程、方法、条件で、中間層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、中間層の上に電解めっきで3μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。次に、例1の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
<例7:実施例19>
例2のポリイミドキャリアに代わり、圧延銅箔(JX日鉱日石金属製 タフピッチ銅(JIS H3100 合金番号C1100)箔 18μm厚)に対して、例2と同様の工程、方法、条件で中間層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、例2と同様の方法、条件で中間層の上に電解めっきで3μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。次に、以下の粗化処理3を行った後に例1の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
・粗化処理3
(液組成3)
Cu:10〜20g/L
Ni:5〜15g/L
Co:5〜15g/L
(電気めっき条件3)
温度:25〜60℃
電流密度:35〜55A/dm2
粗化クーロン量:5〜50As/dm2
めっき時間:0.1〜1.4秒
<例8:実施例20>
例2のポリイミドキャリアに代わり、電解銅箔(JX日鉱日石金属製HLP箔 18μm厚)に対して、実施例4と同様の工程、方法、条件で、中間層を形成後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、中間層の上に電解めっきで3μmのCuめっき層を形成し、総銅厚が3μmの極薄銅層を得た。次に、例7の粗化処理3を行った後に例1の耐熱処理、クロメート処理、及び、シランカップリング処理をこの順に行った。
<例9:比較例1>
例1のポリイミドキャリアに代わり、電解銅箔(JX日鉱日石金属製JTC箔 18μm厚)の上のシャイニー面に対して、以下の条件でロール・トウ・ロール型の連続めっきラインで電気めっきすることにより4000μg/dm2の付着量のNi層を形成した。
・Ni層
硫酸ニッケル:250〜300g/L
塩化ニッケル:35〜45g/L
酢酸ニッケル:10〜20g/L
クエン酸三ナトリウム:15〜30g/L
光沢剤:サッカリン、ブチンジオール等
ドデシル硫酸ナトリウム:30〜100ppm
pH:4〜6
浴温:50〜70℃
電流密度:3〜15A/dm2
水洗及び酸洗後、引き続き、ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Ni層の上に11μg/dm2の付着量のCr層を以下の条件で電解クロメート処理することにより付着させた。
・電解クロメート処理
液組成:重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH:3〜4
液温:50〜60℃
電流密度:0.1〜2.6A/dm2
クーロン量:0.5〜30A・s/dm2
ロール・トウ・ロール型の連続めっきライン上で、Cr層の上に厚み3μmの極薄銅層を以下の条件で電気めっきすることにより形成し、キャリア付銅箔を製造した。
・極薄銅層
銅濃度:30〜120g/L
2SO4濃度:20〜120g/L
電解液温度:20〜80℃
電流密度:5〜9A/dm2
・粗化処理1
(液組成1)
Cu:10〜30g/L
2SO4:10〜150g/L
As:0〜200mg/L
(電気めっき条件1)
温度:30〜70℃
電流密度:25〜110A/dm2
粗化クーロン量:50〜500As/dm2
めっき時間:0.5〜20秒
・粗化処理2
(液組成2)
Cu:20〜80g/L
2SO4:50〜200g/L
(電気めっき条件2)
温度:30〜70℃
電流密度:5〜50A/dm2
粗化クーロン量:50〜300As/dm2
めっき時間:1〜60秒
・耐熱処理
(液組成)
NaOH:40〜200g/L
NaCN:70〜250g/L
CuCN:50〜200g/L
Zn(CN)2:2〜100g/L
As23:0.01〜1g/L
(液温)
40〜90℃
(電流条件)
電流密度:1〜50A/dm2
めっき時間:1〜20秒
・クロメート処理
2Cr27(Na2Cr27或いはCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH:10〜50g/L
ZnOH又はZnSO4・7H2O:0.05〜10g/L
pH:7〜13
浴温:20〜80℃
電流密度:0.05〜5A/dm2
時間:5〜30秒
・シランカップリング処理
0.1vol%〜0.3vol%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液をスプレー塗布した後、100〜200℃の空気中で0.1〜10秒間乾燥・加熱する。
<例10:比較例2>
例2のポリイミドフィルムキャリアに代わり、電解銅箔(JX日鉱日石金属製JTC箔 18μm厚)を用いて、当該電解銅箔の上のシャイニー面に1μmのCuスパッタ層を形成した以外は、例2と同様の処理を行った。
ここで、表1に示すように実施例1〜4は上述の図3で示した実施形態2に係る方式で作製したものであり、実施例5〜15は上述の図2で示した実施形態1に係る方式で作製したものであり、実施例16、比較例1〜6は、上述の図4で示した従来方式で作製したものである。ここで、極薄銅層形成工程、表面処理層形成工程の全てにおいて、比較例1〜4が、図4に示すめっき浴の上方の搬送ロールと、めっき浴中の搬送ロール(ディップロール)との距離(すなわち、ディップロールを基準とした上方の搬送ロールの高さ)が2500mmであったのに対し、実施例16は当該距離が1700mmと短い距離とした。さらに、極薄銅層形成工程、表面処理層形成工程の全てにおいて、実施例16では、搬送張力を比較例1〜3に対して3倍高くして作製した。
2.キャリア付銅箔の特性評価
上記のようにして得られたキャリア付銅箔について、以下の方法で特性評価を実施した。
<極薄銅層及び電解銅めっき層の厚み>
作製したキャリア付銅箔の極薄銅層及び電解銅めっき層の厚みは、FIB−SIMを用いて観察した(倍率:10000〜30000倍)。極薄銅層及び電解銅めっき層の断面を観察することで、30μm間隔で5箇所測定し、平均値を求めた。
<重量厚み法による厚み精度の評価>
まず、支持銅箔並びに極薄銅箔の重量を測定した後、極薄銅層を引き剥がし、再度支持銅箔の重量を測定し、前者と後者との差を極薄銅層の重量と定義した。測定対象となる極薄銅層片はプレス機で打ち抜いた5cm角シートとした。重量厚み精度を調査するため、各水準ともに、幅方向で等間隔に5点、長さ方向で3点(4cm間隔)、計15点の極薄銅層片の重量厚み測定値の平均値並びに標準偏差(σ)を求めた。重量厚み精度の算出式は次式とした。
厚み精度(%)=3σ×100/平均値
この測定方法の繰り返し精度は0.2%であった。
また、重量計は、株式会社エー・アンド・デイ製HF−400を用い、プレス機は、野口プレス株式会社製HAP−12を用いた。
箔厚均一性の評価は、上記重量厚み法による厚み精度に基づいて行い、当該重量厚み法による厚み精度が3.00%以下のものを良好とし、3.00%より大きいものを不良と評価した。
<四探針法による厚み精度の評価>
四探針にて厚み抵抗を測定することで支持銅箔と極薄銅箔との厚みを求めた後、極薄銅層を引き剥がし、再度支持銅箔の厚み抵抗による厚みを測定し、前者と後者との差を極薄銅層の厚みと定義した。厚み精度を調査するため、各水準ともに、幅方向で5mm間隔で計280点の測定点の平均値並びに標準偏差(σ)を求めた。四探針による厚み精度の算出式は次式とした。
厚み精度(%)=3σ×100/平均値
この測定方法の繰り返し精度は1.0%であった。
また、四探針は、OXFORDINSTRUMENTS社製CMI−700を用いた。
<エッチング性>
キャリア付銅箔をポリイミド基板に貼り付けて220℃で2時間加熱圧着し、その後、極薄銅層をキャリアから剥がした。続いて、ポリイミド基板上の極薄銅層表面に、感光性レジストを塗布した後、露光工程により50本のL/S=5μm/5μm幅の回路を印刷し、銅層の不要部分を除去するエッチング処理を以下のスプレーエッチング条件にて行った。
(スプレーエッチング条件)
エッチング液:塩化第二鉄水溶液(ボーメ度:40度)
液温:60℃
スプレー圧:2.0MPa
エッチングを続け、回路トップ幅が4μmになるまでの時間を測定し、さらにそのときの回路ボトム幅(底辺Xの長さ)及びエッチングファクターを評価した。エッチングファクターは、末広がりにエッチングされた場合(ダレが発生した場合)、回路が垂直にエッチングされたと仮定した場合の、銅箔上面からの垂線と樹脂基板との交点からのダレの長さの距離をaとした場合において、このaと銅箔の厚さbとの比:b/aを示すものであり、この数値が大きいほど、傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、ダレが小さくなることを意味する。図1に、回路パターンの幅方向の横断面の模式図と、該模式図を用いたエッチングファクターの計算方法の概略とを示す。このXは回路上方からのSEM観察により測定し、エッチングファクター(EF=b/a)を算出した。なお、a=(X(μm)−4(μm))/2で計算した。エッチングファクターは回路中の12点を測定し、平均値をとったものを示す。これにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。また、12点のエッチングファクターの標準偏差も算出することで、エッチングにより形成した回路の直線性の良し悪しを判定することができる。
本発明では、エッチングファクターが4以上をエッチング性:○、2.5以上4未満をエッチング性:△、2.5未満或いは算出不可または回路形成不可をエッチング性:×、剥離不可をエッチング性:−と評価した。また、エッチングファクターの標準偏差は小さいほど回路の直線性が良好であると云える。エッチングファクターの標準偏差が0.8未満を直線性:○、0.8〜1.2未満を直線性:△、1.2以上を直線性:×と判断した。
(表面粗さ)
中間層を形成したキャリアに対し、当該中間層の表面粗さ(キャリアの中間層形成側表面粗さ)を、非接触式粗さ測定機(オリンパス製 LEXTOLS4000)を用いて、Ra、RtはJIS B0601−2001に準拠、RzについてはJIS B0601−1994に準拠して測定した。また、極薄銅層の中間層側及び樹脂側の表面粗さについても、非接触式粗さ測定機(オリンパス製 LEXTOLS4000)を用いて、Ra、RtはJIS B0601−2001に準拠、RzについてはJIS B0601−1994に準拠して測定した。
<測定条件>
カットオフ:無
基準長さ:257.9μm
基準面積:66524μm2
測定環境温度:23〜25℃
(回路形成性)
各キャリア付銅箔をエポキシ系樹脂に積層プレスし、次いでキャリアを剥離除去した。露出した極薄銅層の表面をソフトエッチングにより0.3μm除去した。その後、洗浄、乾燥を行った後に、極薄銅層上に、ドライフィルムレジスト(日立化成工業製、商品名RY−3625)をラミネート塗布した。15mJ/cm2の条件で露光し、現像液(炭酸ナトリウム)を用いて38℃で1分間、液噴射揺動し、各種ライン/スペースのレジストパターンを形成した。次いで、硫酸銅めっき(JCU製CUBRITE21)を用いて総銅厚15μmにめっきアップした後、剥離液(水酸化ナトリウム)でドライフィルムレジストを剥離した。その後、極薄銅層を硫酸−過酸化水素系のエッチャント(三菱ガス化学製CPE−800)でエッチング除去して各種ライン/スペースの配線を形成した。
試験条件及び結果を表1に示す。
(評価結果)
実施例1〜20は、いずれも極薄銅層表面の少なくとも片面のRzが0.5μm以下であり、重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、ライン/スペース=15μm/15μmよりも微細な配線を形成することができ、またエッチングファクターの平均値および標準偏差が良好な値となった。また、実施例1〜20は、いずれも極薄銅層表面の少なくとも片面のRaが0.12μm以下であり、極薄銅層表面の少なくとも片面のRtが1.0μm以下であった。
比較例1〜2は、いずれも極薄銅層の両表面のRzが0.5μmを超えており、重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%を超えており、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%を超えており、ライン/スペース=15μm/15μmよりも微細な配線を形成することができず、エッチングファクターの平均値および標準偏差が大きな値となった。また、比較例1〜2は極薄銅層の両表面のRaが0.12μmを超えており、極薄銅層表面の両表面のRtが1.0μmを超えていた。また、比較例3〜6は、いずれも重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%より大きく、四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%より大きく、エッチングファクターの平均値および標準偏差が大きな値となった。

Claims (30)

  1. 支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、
    重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、
    前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下であるキャリア付銅箔。
  2. 支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、
    四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、
    前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下であるキャリア付銅箔。
  3. 前記極薄銅層表面は、両面の非接触式粗さ計で測定したRaが0.12μm以下である請求項又はに記載のキャリア付銅箔。
  4. 前記極薄銅層表面は、非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下である請求項のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  5. 支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、
    重量厚み法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が3.0%以下であり、
    前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下であるキャリア付銅箔。
  6. 支持体であるキャリアと、中間層と、極薄銅層とをこの順に備えたキャリア付銅箔であって、
    四探針法にて測定した前記極薄銅層の厚み精度が10.0%以下であり、
    前記極薄銅層表面は、少なくとも片面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下であるキャリア付銅箔。
  7. 前記極薄銅層表面は、両面の非接触式粗さ計で測定したRtが1.0μm以下である請求項又はに記載のキャリア付銅箔。
  8. 前記キャリアがフィルムで形成されている請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  9. 前記キャリアの前記中間層側表面のRzが0.5μm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  10. 前記キャリアの前記中間層側表面のRaが0.12μm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  11. 前記キャリアの前記中間層側表面のRtが1.0μm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  12. 前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に粗化処理層を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  13. 極薄銅層を使用したセミアディティブ工法により、ライン/スペース=15μm/15μmより微細な回路形成が可能な請求項1〜12のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  14. 前記粗化処理層が、銅、ニッケル、りん、タングステン、ヒ素、モリブデン、クロム、コバルト及び亜鉛からなる群から選択されたいずれかの単体又はいずれか1種以上を含む合金からなる層又はいずれか1種以上を含む合金を含む層である請求項12に記載のキャリア付銅箔。
  15. 前記粗化処理層の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項12又は14に記載のキャリア付銅箔。
  16. 前記極薄銅層及び前記キャリアの少なくとも一方の表面、又は、両方の表面に、耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層を有する請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  17. 前記極薄銅層上に樹脂層を備える請求項1〜13のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  18. 前記粗化処理層上に樹脂層を備える請求項1214及び15のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  19. 前記耐熱層、防錆層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択された1種以上の層の上に樹脂層を備える請求項15又は16に記載のキャリア付銅箔。
  20. 前記樹脂層が接着用樹脂である請求項1719のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  21. 前記樹脂層が半硬化状態の樹脂である請求項1720のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔。
  22. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造した銅張積層板。
  23. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔を用いて製造したプリント配線板。
  24. 請求項23に記載のプリント配線板を用いて製造した電子機器。
  25. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔と絶縁基板とを準備する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層する工程、
    前記キャリア付銅箔と絶縁基板を積層した後に、前記キャリア付銅箔のキャリアを剥がす工程を経て銅張積層板を形成し、
    その後、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって、回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法。
  26. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に回路を形成する工程、
    前記回路が埋没するように前記キャリア付銅箔の前記極薄銅層側表面に樹脂層を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成する工程、
    前記樹脂層上に回路を形成した後に、前記キャリアを剥離させる工程、及び、
    前記キャリアを剥離させた後に、前記極薄銅層を除去することで、前記極薄銅層側表面に形成した、前記樹脂層に埋没している回路を露出させる工程
    を含むプリント配線板の製造方法。
  27. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、前記樹脂層上に別のキャリア付銅箔を極薄銅層側から貼り合わせ、前記樹脂層に貼り合わせたキャリア付銅箔を用いて前記回路を形成する工程である請求項26に記載のプリント配線板の製造方法。
  28. 前記樹脂層上に貼り合わせる別のキャリア付銅箔が、請求項1〜21のいずれか一項に記載のキャリア付銅箔である請求項27に記載のプリント配線板の製造方法。
  29. 前記樹脂層上に回路を形成する工程が、セミアディティブ法、サブトラクティブ法、パートリーアディティブ法又はモディファイドセミアディティブ法のいずれかの方法によって行われる請求項2628のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
  30. 前記表面に回路を形成するキャリア付銅箔が、当該キャリア付銅箔のキャリアの表面に基板または樹脂層を有する請求項2629のいずれか一項に記載のプリント配線板の製造方法。
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