JP6413687B2 - 光配向性を有する熱硬化性組成物、配向層、配向層付基板および位相差板 - Google Patents
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Description
配向層の配向規制力を高めるには、偏光紫外線の照射量を多く、照射時間を長くすればよいが、その場合にはスループットが低下する。したがって、偏光紫外線の照射量を少なく、照射時間を短くするために、省エネルギーの観点からも、配向層に用いられる材料の光に対する感度を向上させることが求められている。
本発明によれば、上述の配向層を有することにより、液晶配向能および液晶層との密着性に優れる配向層を得ることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、下記式(1)で表される光配向性構成単位および熱架橋性構成単位を有する共重合体と、第2光配向性基およびエチレン性不飽和二重結合基を有する光配向性化合物とを含有することを特徴とするものである。
したがって本発明においては、少ない露光量で配向層を形成することが可能な、高感度な光配向性を有する熱硬化性組成物とすることができる。よって本発明は、配向層形成時の偏光紫外線の照射量を少なく、照射時間を短くすることができ、省エネルギーの観点から有用である。
本発明に用いられる共重合体は、上記式(1)で表される光配向性構成単位と、熱架橋性構成単位とを有するものである。
以下、共重合体における各構成単位について説明する。
本発明における光配向性構成単位は下記式(1)で表されるものである。
また、上記式(2−2)中、R21〜R25はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のシクロアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基またはシアノ基を表す。ただし、アルキル基、アリール基およびシクロアルキル基はエーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合を介して結合していてもよく、置換基を有してもよい。R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアリール基または炭素数1〜18のアルコキシ基を表す。
上記式(1−3)中、L11は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1と同様である。R11〜R17は上記式(2−1)と同様である。
上記式(1−4)中、L12は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1においてカルボニル結合およびチオカルボニル結合を除いた以外は同様である。
上記式(1−5)中、L13は単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(1)のL1と同様である。R35〜R37は上記式(2−1)のR12〜R15と同様であり、R38およびR39は上記式(2−1)のR16およびR17と同様である。
上記式(1−3)において、L11は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−OCO(CH2)nCOO−、−OCO(CH2CH2O)mCOO−、−OCOC6H10O−、−COO(CH2)nO−、−COO(CH2CH2O)m−、−COOC6H10O−、−O(CH2)nO−、−O(CH2CH2O)m−、−OC6H10O−または−(CH2)nO−であることが好ましい。nは1〜11であることが好ましく、mは1〜5であることが好ましい。
また、上記式(1−3)で表される光配向性構成単位は、下記式(1−6)で表される構成単位であることがより好ましい。
なお、共重合体における各構成単位の含有割合は、1H NMR測定による積分値から算出することができる。
本発明における熱架橋性構成単位は、加熱により架橋剤と結合する部位である。
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのモノマーは、溶解性が高く、市販品として入手しやすく、共重合とした際の反応性が良いという利点を有する。
また、スチレンの場合、共重合体において、光配向性構成単位だけでなく熱架橋性構成単位もスチレン骨格を有することにより、π電子系を多く含む共重合体とすることができる。そのため、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物を用いて配向層を形成した場合、π電子系の相互作用により、液晶配向能を向上させ、また液晶層との密着性を高めることができると考えられる。
単量体単位がスチレンの場合、−L2−Yはオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合していてもよく、また複数結合していてもよい。複数の場合、L2およびYは互いに同一でもよく異なってもよい。中でも、−L2−Yが1つでありパラ位に結合していることが好ましい。
ここで、自己架橋とは、架橋剤を介さずに、同一の官能基同士や異なる官能基同士で反応し、架橋構造を形成することをいう。
この場合、熱架橋性構成単位が架橋剤を兼ねることができる。このような熱架橋性構成単位を有する共重合体を用いる場合は、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物を架橋剤を添加せずに利用することができる。しかしながら、保存安定性の点から、熱架橋性構成単位は架橋基を有さないことが好ましい。
自己架橋可能な架橋基としては、例えば、オルト位がヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたフェノール性ヒドロキシ基、グリシジル基、アミド基、N−アルコキシメチル基、N−ヒドロキシメチル基が挙げられる。
本発明において、共重合体は、光配向性構成単位および熱架橋性構成単位の他に、光配向性基および熱架橋性基のいずれも有さない構成単位を有していてもよい。共重合体に他の構成単位が含まれることにより、例えば溶剤溶解性、耐熱性、反応性等を高めることができる。
共重合体の数平均分子量は、特に限定されるものではなく、例えば3,000〜200,000程度とすることができ、好ましくは4,000〜100,000の範囲内である。数平均分子量が大きすぎると、溶剤に対する溶解性が低くなったり粘度が高くなったりして取り扱い性が低下し、均一な膜を形成しにくい場合がある。また、数平均分子量が小さすぎると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性や耐熱性が低下する場合がある。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
共重合体の合成方法としては特に限定されないが、例えば、第1光配向性基を有するスチレン系モノマーと熱架橋性基を有するモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において重合反応させることにより得ることができる。その際、用いられる溶剤は、第1光配向性基を有するスチレン系モノマー、熱架橋性基を有するモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、後述の光配向性を有する熱硬化性組成物に用いられる溶剤と同様とすることができる。また、重合反応の際の温度は、例えば50℃〜120℃程度で設定することができる。上記方法により得られる共重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
すなわち、上記方法で得られた共重合体の溶液を、攪拌下のジエチルエーテルやメタノール、水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過、洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、共重合体の粉体とすることができる。この操作により、共重合体と共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した共重合体の粉体が得られる。一度の操作で十分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上記の操作を繰り返し行えばよい。
本発明における光配向性化合物は、第2光配向性基およびエチレン性不飽和二重結合基を有するものである。
なお、第2光配向性基については、上記第1光配向性基と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
第2光配向性基が生じる光反応は、上記第1光配向性基が生じる光反応と同じである。光反応が同じであれば、第2光配向性基は、上記第1光配向性基と同一であってもよく異なっていてもよい。
光配向性化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する。
光配向性化合物としては、下記式(4)で表される化合物を例示することができる。
R51−L3−X1 (4)
上記式(4)中、R51はエチレン性不飽和二重結合基、X1は第2光配向性基、L3は単結合または2価の連結基を表す。
R51がスチリル基の場合、−L3−X1はオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合していてもよく、また複数結合していてもよい。複数の場合、L3およびX1は互いに同一でもよく異なってもよい。中でも、−L3−X1が1つでありパラ位に結合していることが好ましい。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、上記共重合体の熱架橋性構成単位と結合するものであり、耐熱性および耐溶剤性を高めることができる。
また、架橋剤は、アミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物およびベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。
さらに、架橋剤としては、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
具体的には、国際公開第2010/150748号パンフレットに記載されているものを用いることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、酸または酸発生剤を含有してもよい。酸または酸発生剤により、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の熱硬化反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤により、光二量化反応や光異性化反応等の光反応を促進させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、主として溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。
溶剤としては、上記の各成分を溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、具体的には、国際公開第2010/150748号パンフレットに記載されているものを用いることができる。溶剤は1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。また、液晶配向能の向上のために、液晶性モノマーを含有させることができる。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、通常、各成分が溶剤に溶解した溶液として用いられる。本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り特に限定されるものではなく、0.1質量%〜80質量%の範囲内であり、好ましくは0.5質量%〜60質量%の範囲内であり、より好ましくは0.5質量%〜40質量%の範囲内である。固形分の割合が少なすぎると、液晶配向能や熱硬化性を付与することが困難になる場合がある。また、固形分の割合が多すぎると、光配向性を有する熱硬化性組成物の粘度が高くなり、均一な膜を形成しにくくなる。
なお、固形分とは、光配向性を有する熱硬化性組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる共重合体の溶液をそのまま使用することができる。この場合、共重合体の溶液に、上述のように架橋剤、増感剤およびその他の添加剤等を入れて均一な溶液とし、後から酸または酸発生剤を添加する。この際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を加えてもよい。このとき、共重合体の生成過程で用いられる溶剤と、光配向性を有する熱硬化性組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく異なってもよい。
本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子の配向層、液晶表示素子の配向層を挙げることができる。また、本発明の光配向性を有する熱硬化性組成物は、液晶表示素子、有機EL素子、TFT、カラーフィルタ等の各種デバイスにおける絶縁膜や保護膜等に用いることもでき、例えば有機EL素子の絶縁膜、TFTの層間絶縁膜、カラーフィルタのオーバーコート層等を挙げることができる。
本発明の配向層は、上記式(1)で表される光配向性構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体と、第2光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有する光配向性化合物とを含有することを特徴とするものである。
本発明における共重合体は、上記式(1)で表される光配向性構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有するものである。
例えば、架橋剤がヘキサメトキシメチルメラミンの場合、架橋構造は下記に示すような構造になる。なお、下記式中、各符号は上記式(1)と同様である。
配向層が上記共重合体を含有することは、配向層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
光二量化反応は、下記に示すような反応であり、第1光配向性基および第2光配向性基に含まれるオレフィン構造が光反応によりシクロプロパン骨格を形成する反応である。第1光配向性基および第2光配向性基の種類に応じてXa〜XdおよびXa′〜Xd′は異なる。
例えば、第1光配向性基がシンナモイル基の場合、光異性化反応は下記に示すような反応であり、第1光配向性基に含まれるオレフィン構造が光反応によりシス体またはトランス体を形成する反応である。第1光配向性基の種類に応じてXa〜Xdは異なる。
本発明における光配向性化合物は、第2光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有するものである。
なお、光配向性化合物の第2光配向性基およびエチレン性不飽和二重結合基については、上記「A.光配向性を有する熱硬化性組成物」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、光二量化反応については、上記共重合体における光二量化反応と同様であるので、ここでの説明は省略する。
光二量化構造は、上記共重合体における光二量化構造と同様に、シンナモイル基の光二量化構造であることが好ましい。
なお、光異性化構造については、上記共重合体における光異性化構造と同様であるので、ここでの説明は省略する。
光異性化構造は、上記共重合体における光異性化構造と同様に、シンナモイル基の光異性化構造であることが好ましい。
配向層は、架橋剤、酸または酸発生剤、増感剤、その他の添加剤を含有してもよい。なお、これらの添加剤については、上記「A.光配向性を有する熱硬化性組成物」に記載したものと同様である。
ここで、光配向性を有する熱硬化性組成物から形成される配向層とは、光配向性を有する熱硬化性組成物を含有する膜を熱硬化させ、さらに光配向させてなる配向層をいう。すなわち、配向層の形成においては、まず、基板上に光配向性を有する熱硬化性組成物を塗布し、乾燥させ、加熱して、硬化膜を形成する。次に、硬化膜に偏光紫外線を照射して、配向層を形成する。
本発明の配向層付基板は、基板と、上記基板上に形成され、上述の配向層とを有することを特徴とするものである。
本発明における配向層は、上述の配向層であり、液晶分子を配向させる機能を有するものである。
なお、配向層については、上記「B.配向層」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基板は、配向層を支持するものである。
基板としては、特に限定されるものではなく、用途等に応じて適宜選択される。基板の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、環状ポリオレフィン、アクリル等の樹脂、アルミニウム等の金属、シリコンやシリコンナイトライド等のセラミック等が挙げられる。また、基板は表面処理が施されたものであってもよい。
基板は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよく、用途等に応じて適宜選択される。
本発明においては、基板と配向層と間に導電層が形成されていてもよい。導電層は例えば各種デバイスの電極として機能するものである。導電層の材料としては、例えばITO、IZO等の透明導電材料や、アルミニウム、モリブデン、クロム等の金属材料が挙げられる。
本発明の配向層付基板の用途としては、例えば位相差板等の各種光学素子、液晶表示素子、発光素子等を挙げることができる。
本発明の位相差板は、基板と、上記基板上に形成され、上記式(1)で表される光配向性構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体、ならびに、第2光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有する光配向性化合物を含有し、上記光配向性化合物のエチレン性不飽和二重結合基が重合した構造を有する配向層と、上記配向層上に形成され、重合性液晶組成物の硬化物を含有する位相差層とを有することを特徴とするものである。
本発明における配向層は、基板上に形成され、上記式(1)で表される光配向性構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、熱架橋性構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体、ならびに、第2光配向性基の光二量化構造または光異性化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有する光配向性化合物を含有し、上記光配向性化合物のエチレン性不飽和二重結合基が重合した構造を有するものである。
光配向性化合物のエチレン性不飽和二重結合基が重合した構造は、光配向性化合物のエチレン性不飽和二重結合基同士、または、エチレン性不飽和二重結合基および位相差層に用いられる重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物が有する重合性基が重合した構造である。
配向層が上記構造を有することは、XPSまたはIRにより分析可能である。
本発明における位相差層は、上記配向層上に形成され、重合性液晶組成物の硬化物を含有するものである。
重合性液晶化合物が有する重合性基としては、例えばアクリロイル基、メタアクリロイル基等が挙げられる。
位相差層は、配向層上に重合性液晶組成物を塗布し、重合性液晶組成物の相転移温度まで加熱して配向層によって液晶分子を配向させ、硬化することにより得ることができる。位相差層の膜厚および形成方法等は、一般的な位相差層と同様とすることができる。
基板および配向層の間には導電層が形成されていてもよい。なお、導電層については、上記「C.配向層付基板」に記載したので、ここでの説明は省略する。
位相差板は可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
200mLフラスコ中、窒素雰囲気、氷零下において、化合物(I)14.0g(118mmol)をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、水酸化ナトリウム7.07g(177mmol)を添加し、15分撹拌した後、2−クロロエタノール10.5g(130mmol)を約10分かけて滴下した。16時間撹拌した後、TLCにより反応の終了を確認し、酢酸エチルで抽出した後、飽和炭酸水素水溶液、1N塩酸、純水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、乾燥させることで、熱架橋性モノマー2を得た。
続いて、合成例2において、4−ビニル安息香酸の代わりに化合物(II)を用い、4−ヒドロキシけい皮酸メチルの代わりにけい皮酸を用いて合成し、光配向性モノマー3を得た。
化合物(III)11.1g(40mmol)、ジt−ブチル−ヒドロキシトルエン0.g(4mmol)、トリエチルアミン16.2g(160mmol)をジクロロメタン150mLに溶解させ、氷冷下で攪拌させた。そこにアクリル酸クロリド7.2g(80mmol)を滴下し、5℃以下を保持して5時間攪拌した。得られた反応液にジメチルアミノピリジン2.4g(20mmol)と水150mLを加えて抽出した。さらに有機層を1N塩酸水溶液150mL、水150mLで2回洗浄後した。有機層にメタノール200mLを加えて結晶を析出させ、濾取した結晶を真空乾燥し、光配向性化合物4を得た。
合成例5において、アクリル酸クロリドを用いる代わりに、メタクリル酸クロリドを用いて、光配向性化合物5を得た。
合成例5において、6−クロロ−1−ヘキサノールを用いる代わりに、2−クロロエタノールを用いて、光配向性化合物6を得た。
合成例2において、4−ビニル安息香酸を用いる代わりにM−510を用い、4−ヒドロキシけい皮酸メチルを用いる代わりに化合物(III)を用いて、光配向性化合物7を得た。
合成した各モノマーは、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、1H NMR測定により、化学構造を確認した。
熱架橋性モノマー1 1.3g、光配向性モノマー1 3.08g、重合触媒としてα、α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)50mgをジオキサン25mlに溶解し、90℃にて6時間反応させた。反応終了後、再沈殿法により精製することで、共重合体1を得た。得られた共重合体の数平均分子量は21300であった。
表1に示す熱架橋性モノマーおよび光配向性モノマーを用いて、製造例1と同様に共重合体2〜4を合成した。
合成した各共重合体の数平均分子量(以下、Mnと称す)は、東ソー(株)製HLC−8220 GPCを用いて、ポリスチレンを標準物質とし、NMPを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて算出した。
(熱硬化性組成物1の調製)
下記に示す組成の熱硬化性組成物1を調製した。
・共重合体1:0.1g
・ヘキサメトキシメチルメラミン(HMM):0.01g
・光配向性化合物1:0.01g
・p−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA):0.0015g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):2.1g
透明ガラス基板の一面に、上記熱硬化性組成物をスピンコートにより塗布し、100℃のオーブンで1分間加熱乾燥させ、硬化膜を形成し、塗膜を得た。この硬化膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線を基板法線から垂直方向に5mJ/cm2〜20mJ/cm2照射することで、配向層を形成した。
下記式で表される液晶性モノマーをシクロヘキサンノンに固形分15質量%となるように溶解した溶液に、BASF株式会社製の光重合開始剤イルガキュア184を5質量%添加し、重合性液晶組成物を調製した。
架橋剤としてヘキサメトキシメチルメラミン(HMM)、酸または酸発生剤としてp−トルエンスルホン酸1水和物(PTSA)、光配向性化合物2〜6、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いて、実施例1と同様に、実施例2〜13および比較例1の熱硬化性組成物を調製し、配向層を形成し、位相差板を作製した。
各熱硬化性組成物の組成を下記表4に示す。
得られた各熱硬化性組成物および各位相差板について以下の評価を行った。
2枚の直線偏光板をクロスニコル状態にして、その間に位相差板を挟み、目視で観察した。基板を回転させた際に、面内に観察される明暗模様が明確なものを「○」、面内に観察される明暗模様が明確であるが、配向性が弱いものを「△」、配向欠陥がみられるものを「×」として評価した。ここで、配向性が弱いとは、一部灰色である場合や、均一でない場合をいう。
位相差板に対し、等間隔スペーサーを用いて、カッターナイフで1mm間隔に切り込みを入れて、10×10の格子パターンを形成した。続いて、格子パターンの上にセロハンテープを置き、しっかりと密着させた後、セロハンテープを引き剥がした。セロハンテープを引き剥がした後の塗膜のカット部分を観察した。塗膜がカットの線に沿って、または交差する点において剥離が生じている格子の目の個数が、格子パターン全体の個数に対して5%未満の場合を「A」とし、5%以上10%未満の場合を「B」とし、10%以上の場合を「C」とした。
Claims (7)
- 第1光配向性基を有し、下記式(1)で表される第1構成単位、および熱架橋性基を有する第2構成単位を有する共重合体と、
第2光配向性基およびエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物と
を含有し、
前記1光配向性基および前記第2光配向性基が、光照射により光二量化反応を生じることで異方性を発現する官能基であり、
前記熱架橋性基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、メルカプト基、グリシジル基またはアミド基であることを特徴とする光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 架橋剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記第1光配向性基および前記第2光配向性基がシンナモイル基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 前記熱架橋性基がヒドロキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光配向性を有する熱硬化性組成物。
- 下記式(1)で表される第1構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造、および、第2構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体と、
第2光配向性基の光二量化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物と
を含有し、
前記第1光配向性基および前記第2光配向性基が、光照射により光二量化反応を生じることで異方性を発現する官能基であり、
前記熱架橋性基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、メルカプト基、グリシジル基またはアミド基であることを特徴とする配向層。
- 基板と、前記基板上に形成され、請求項5に記載の配向層とを有することを特徴とする配向層付基板。
- 基板と、
前記基板上に形成され、下記式(1)で表される第1構成単位が有する第1光配向性基の光二量化構造、および、第2構成単位が有する熱架橋性基の架橋構造を有する共重合体、ならびに、第2光配向性基の光二量化構造、および、エチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を含有し、前記化合物のエチレン性不飽和二重結合基が重合した構造を有する配向層と、
前記配向層上に形成され、重合性液晶組成物の硬化物を含有する位相差層と
を有し、
前記第1光配向性基および前記第2光配向性基が、光照射により光二量化反応を生じることで異方性を発現する官能基であり、
前記熱架橋性基が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、メルカプト基、グリシジル基またはアミド基であることを特徴とする位相差板。
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