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JP6401047B2 - 光合成促進光源 - Google Patents

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Description

本発明は、植物および藻類など光合成色素を有する生物において行われる光合成に好適な光を発する光合成促進光源に関するものである。
近年、閉鎖環境で太陽光を一切利用せず、蛍光灯、ナトリウムランプおよび発光ダイオード(LED)などの人工的な光を用いて、野菜などの植物を栽培する植物工場の技術が発展している。植物を効率的に育成するためには、植物が有しているクロロフィルの光吸収スペクトルを考慮して、赤色光と青色光とを適切なバランスで含んでいる光を照射することが好ましいことが知られており、これに関連して、LEDを用いた植物育成用の光源に関する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−147584号公報
特許文献1によれば、赤色光の波長領域において660nm付近にピークがある発光スペクトルを有する光を発する光源が提案されている。しかしながら、特許文献1に提案されている光源によれば、その発光ピークの半値幅が100nm程度であるため、光合成にはあまり寄与しない700nm以上の波長領域の光、特に近赤外線が多く含まれている。近赤外線は、水に吸収されて熱エネルギーに変化するため、特許文献1において提案されている光源を用いると、植物中の水を昇温させてしまい、光合成の速度を低下させるおそれがあるという問題がある。
一方、赤色光の波長領域における670nm付近にピーク波長を有し、その発光ピークの半値幅が30nm未満であるような光源が、従来から広く利用されている。しかしながら、このような光源では、特定の波長の光エネルギーのみが過剰に育成植物に供給されることとなるため、必ずしも植物の育成上好ましいものとはなっていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物および藻類など光合成色素を有する生物において行われる光合成に好適な光を発する光合成促進光源を提供することにある。
本発明の一つの態様による光合成促進光源は、610〜630nmの波長領域において、全波長領域における光強度が最大となるピークを有し、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たす発光スペクトルの光を発するものであり、420〜490nmの波長領域においてピークを有し、そのピーク波長をλ4[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ4における光強度が0.3以上0.5以下であり、540〜700nmの波長領域における光量子束に対する、420〜490nmの波長領域における光量子束の割合が、10%以上20%以下であることを特徴とする。
本発明の一つの態様による光合成促進光源によれば、植物および藻類など光合成色素を有する生物において行われる光合成に好適な光を発する光源が実現される。
本発明の一実施形態に係る光合成促進光源の外観斜視図である。 図1に示す光合成促進光源を仮想線で示す平面で切断したときの断面図である。 一実施例に係る光合成促進光源の発光スペクトルを示す図である。 本発明に係る光合成促進光源を備える照明装置の外観斜視図である。 図4に示す照明装置の分解斜視図である。 図4に示す照明装置の筐体から透光性基板を取り外した状態を示す斜視図である。 図4に示す照明装置を用いて構築されている植物工場の一例を概略的に示す斜視図である。 図7に示す植物工場を図7の左方から見た状態を示している図である。 図4に示す照明装置を用いて構築されている植物工場の他の例を概略的に示す斜視図である。 図9に示す植物工場を図7の左方から見た状態を示している図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る光合成促進光源の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されないものとする。
<光合成促進光源の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光合成促進光源の外観斜視図である。図2は、図1に示す光合成促進光源を仮想線で示す平面で切断したときの断面図である。
光合成促進光源1は、基板2と、基板2上に設けられた発光素子3と、基板2上に発光素子3を取り囲むように設けられた枠体4と、枠体4で囲まれた内側の空間に上部の一部を残して充填された封止部材5と、枠体4で囲まれた内側の空間の上部の一部に、封止部材5の上面に沿って枠体4内に収まるように設けられた波長変換部材6と、を備えている。なお、発光素子3は、例えば、発光ダイオード(LED)であって、半導体を用いたpn接合中の電子と正孔が再結合することによって、外部に向かって光を放出する。
基板2は、絶縁性の基板であって、例えば、アルミナまたはムライト等のセラミック材料、あるいはガラスセラミック材料等からなる。または、これらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料から成る。また、基板2は、基板2の熱膨張を調整することが可能な金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂を用いることができる。
基板2は、基板2の内外を電気的に導通する配線導体が形成されている。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の導電材料からなる。基板2がセラミック材料から成る場合は、例えば、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板2となるセラミックグリーンシートに所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層して、焼成することにより得られる。なお、配線導体の表面には、酸化防止のために、例えば、ニッケルまたは金等の鍍金層が形成されている。また、基板2の上面には、基板2上方に効率良く光を反射させるために、配線導体および鍍金層と間を空けて、例えば、アルミニウム、銀、金、銅またはプラチナ等の金属反射層を形成する。
発光素子3は、基板2上に実装される。発光素子3は、基板2上に形成される配線導体の表面に被着する鍍金層上に、例えば、ろう材または半田を介して電気的に接続される。発光素子3は、透光性基体と、透光性基体上に形成される光半導体層とを有している。透
光性基体は、有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、光半導体層を成長させることが可能なものであればよい。透光性基体に用いられる材料としては、例えば、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウム等を用いることができる。なお、透光性基体の厚みは、例えば50μm以上1000μm以下である。
光半導体層は、透光性基体上に形成される第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層とから構成されている。第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素等のIII−V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウム等のIII族窒化物半導体などを用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは、例えば1μm以上5μm以下であって、発光層の厚みは、例えば25nm以上150nm以下であって、第2半導体層の厚みは、例えば50nm以上600nm以下である。また、このように構成された発光素子3は、例えば370nm以上420nm以下の波長範囲の励起光を発することができる。
枠体4は、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等のセラミック材料、あるいは多孔質材料、あるいは酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等の金属酸化物からなる粉末を混合させた樹脂材料から成る。枠体4は、基板2上面に積層されて、例えば樹脂等を介して接続されている。枠体4は、発光素子3と間を空けて、発光素子3を取り囲むように設けられている。また、枠体4は、傾斜する内壁面が下端から上端に従い外方に向かって広がるように形成されている。そして、枠体4の内壁面が、発光素子3から発せられる励起光の反射面として機能する。なお、平面視して、枠体4の内壁面の形状を円形とすると、発光素子3が発光する光を反射面にて全方向に反射させることができる。
また、枠体4の傾斜する内壁面は、例えば、焼結材料からなる枠体4の内周面にタングステン、モリブデン、銅または銀等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成る鍍金金属層を形成してもよい。この鍍金金属層は、発光素子3の発する光を反射させる機能を有する。なお、枠体4の内壁面の傾斜角度は、基板2の上面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。
枠体4で囲まれる内側の空間には、光透過性の封止部材5が充填されている。封止部材5は、発光素子3を封止するとともに、発光素子3から発せられる光が透過する機能を備えている。封止部材5は、枠体4で囲まれる内側の空間内に、枠体4で囲まれる空間の一部を残して充填されている。封止部材5は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂が用いられる。封止部材5の屈折率は、例えば1.4以上1.6以下に設定されている。
波長変換部材6は、枠体4で囲まれた内側の空間の上部に、封止部材5の上面に沿って設けられている。波長変換部材6は、枠体4内に収まるように形成されている。波長変換部材6は、発光素子3の発する光の波長を変換する機能を有している。波長変換部材6は、発光素子3から発せられる光が内部に入射して、内部に含有される蛍光体7が励起されて、光を発するものである。波長変換部材6は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂、透光性のガラスからなり、その絶縁樹脂、ガラス中に、蛍光体7が含有されている。蛍光体7は、波長変換部材6中に均一に分散するようにしている。
<蛍光体について>
波長変換部材6中に含有される蛍光体7としては、光合成促進光源1から発せられる光
のスペクトルが光合成に好適なスペクトルとなるように、例えば420nm以上490nm以下の蛍光を発する青色蛍光体、例えば490nm以上539nm以下の蛍光を発する緑色蛍光体、例えば540nm以上700nm以下の蛍光を発する赤色蛍光体の中から一または複数の蛍光体が選択される。
光合成に好適な光のスペクトルとしては、少なくとも次の要件を満たしていることが重要である。すなわち、610〜630nmの波長領域において、光強度が全波長領域に関して最大となるピークを有しており、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たしていることが重要である。なお、ピーク波長λ1は、615nm以上625nm以下の範囲内にあることがより好ましい。また、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、610〜630nmの波長領域における光量子束の割合が、15%以上25%以下であることがより好ましい。
上記の要件を満たすことにより、光合成促進光源1から発せられる光において、光合成に必要な赤色光の波長範囲540〜700nmに関して、特定の波長の光が過剰に含まれることを回避しつつ、光合成にはあまり寄与しない近赤外線が含まれる割合を低減することができ、近赤外線に起因する光合成の速度の低下を抑制することができる。
また、λ1とλ2との差分の絶対値よりも、λ1とλ3との差分の絶対値の方が大きいことが好ましい。これにより、McCree(1972)とInada(1976)とによって示されている、
61種類の植物の光合成作用曲線の平均値として求めた光合成作用曲線における、赤色光の波長領域でのピーク波長である670nm近傍の光が含まれる割合を増大させることができる。
また、光合成に好適な光のスペクトルとしては、光合成に必要な青色光の波長範囲420〜490nmにおいてピークを有しており、そのピーク波長をλ4[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ4における光強度が0.3以上0.5以下であり、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、青色蛍光体からの光の波長領域420〜490nmにおける光量子束の割合が、10%以上20%以下であることが好ましい。これにより、光合成に必要な赤色光と青色光とのバランスを良好なものとすることができる。
さらに、光合成に好適な光のスペクトルとしては、緑色蛍光体からの光、すなわち490〜540nmの波長領域の光が適度に含まれていることが好ましい。具体的には、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光強度の平均値が0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることが特に好ましい。
また、緑色蛍光体からの光に関しては、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光量子束の割合が、5%以上15%以下であることがより好ましく、青色蛍光体からの光の波長領域420〜490nmにおける光量子束に対する、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光量子束の割合が、45%以上65%以下であることがさらに好ましい。
葉の光合成組織は、葉の表側の柵状組織と葉の裏側の海綿状組織とに分化しており、赤
色光および青色光は、葉の表側の柵状組織における葉緑体で吸収されて光合成に寄与する。一方で、緑色光は、葉緑体では吸収されにくいが、葉の表側の柵状組織を透過して葉の裏側の海綿状組織に届いた緑色光は、海綿状組織において散乱等を繰返すうちに葉緑体で吸収されて光合成に寄与することが知られている。したがって、緑色光も適度に含まれていることが好ましく、上記のような割合で緑色光が含まれていることにより、赤色光と青色光と緑色光とのバランスを、光合成に好適なバランスとすることができる。
なお、光合成促進光源1から出射される光には、発光素子3が発する近紫外領域の励起光も含まれることとなる。この場合、光合成に好適な光のスペクトルとしては、380〜420nmの波長領域においてピークを有しており、そのピーク波長をλ5[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ5における光強度が0.2以上0.4以下であり、540〜700nmの波長領域における光量子束に対する、380〜420nmの波長領域における光量子束の割合が、1%以上10%以下であることが好ましい。
また、光合成促進光源1から出射される光の色温度は1900〜2100Kの範囲であり、平均演色評価数Raは70〜75の範囲であり、CIE色度座標x、yは、0.4≦x≦0.5および0.3≦y≦0.4の関係を満たしていることが好ましい。
以上で挙げた各要件を満たす蛍光体7の一例を挙げると、青色蛍光体として(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Euを用い、緑色蛍光体として(Sr,Ba,Mg)SiO:Eu2+を用い、赤色蛍光体として(Sr,Ca)AlSiN:Euを
用い、青色蛍光体と緑色蛍光体と黄色蛍光体と赤色蛍光体との配合比を、3:1:46とすることによって実現できる。
図3は、上記の一例による蛍光体7を波長変換部材6中に均一に分散することによって構成された光合成促進光源1の発光スペクトルSを示している。図3に示される発光スペクトルSによれば、赤色蛍光体からの光の波長領域におけるピーク波長λ1が約616nmであり、波長λ2が約578nmであり、波長λ3が約677nmであり、その発光ピークの半値幅は約100nmである。また、λ1とλ2との差分の絶対値(約38nm)よりも、λ1とλ3との差分の絶対値(約61nm)の方が大きくなっている。さらに、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、610〜630nmの波長領域における光量子束の割合は約20%となっている。
また、青色蛍光体からの光の波長領域におけるピーク波長λ4が約453nmであり、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ4における光強度は約0.41となっており、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、青色蛍光体からの光の波長領域420〜490nmにおける光量子束の割合は約15%となっている。
また、緑色蛍光体からの光に関しては、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光強度の平均値は約0.21となっている。さらに、赤色蛍光体からの光の波長領域540〜700nmにおける光量子束に対する、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光量子束の割合は約8.5%となっており、また、青色蛍光体からの光の波長領域420〜490nmに対する、緑色蛍光体からの光の波長領域490〜540nmにおける光量子束の割合は約56%となっている。
さらに、近紫外領域の光に関しては、ピーク波長λ5が約406nmであり、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ5における光強度は約0.36とな
っている。
この実施例による光合成促進光源1を60mAの電流で点灯させたときの放射束は68.516mWであり、光束は14.711lmsであり、色温度は2028Kであり、平均演色評価数Raは73.16であり、CIE色度座標の色度xが0.4562および色度yが0.3231であった。
上記の実施例による光合成促進光源1を用いて植物の育成試験を行った結果、育成植物に矮化およびチップバーンは発生せず、育成植物の生育は良好なものであった。
本発明に係る光合成促進光源は、植物工場あるいは植物を育成するための装置などにおいては、それを複数個配列して構成される照明装置の形態で利用される。以下に添付図面を参照して、本発明に係る光合成促進光源を備える照明装置の一例を説明する。
<照明装置の構成>
図4は、本発明に係る光合成促進光源を備える照明装置の外観斜視図であり、図5は、図4に示す照明装置の分解斜視図である。図6は、図4に示す照明装置の筐体から透光性基板を取り外した状態を示す斜視図である。
照明装置10は、上方に開口している長尺の筐体11と、筐体11内に長手方向に沿ってライン状に複数個配列された光合成促進光源1と、複数の光合成促進光源1が実装される長尺の配線基板12と、筐体11によって支持され、筐体11の開口を閉塞する長尺の透光性基板13とを備えている。
筐体11は、透光性基板13を保持する機能と、光合成促進光源1の発する熱を外部に放散させる機能とを有している。筐体11は、例えば、アルミニウム、銅またはステンレス等の金属、プラスチックまたは樹脂等から構成される。筐体11は、長手方向に延びる底部21a、および底部21aの幅方向の両端部から立設し、長手方向に延びる一対の支持部21bを有し、上方および長手方向の両側で開口している長尺の本体部21と、本体部21における長手方向一方側および他方側の開口をそれぞれ閉塞する2つの蓋部22とから成っている。各支持部21bの上部には、透光性基板13を保持するための凹所が互いに対向するように形成された保持部が設けられている。筐体11は、長手方向の長さが、例えば、100mm以上2000mm以下に設定されている。
配線基板12は、筐体11内の底面に固定される。配線基板12は、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板等のプリント基板が用いられる。配線基板12の配線パターンと光合成促進光源1における基板2の配線パターンとが、半田または導電性接着剤を介して電気的に接続される。そして、配線基板12からの信号が基板2を介して発光素子3に伝わり、発光素子3が発光する。なお、配線基板12には、外部に設けられた電源から配線を介して電気が供給される。
透光性基板13は、光合成促進光源1から発せられる光が透過する材料からなり、例えば、アクリル樹脂またはガラス等の光透過性材料から構成される。透光性基板13は、矩形状の板体であって、長手方向の長さが、例えば、98mm以上1998mm以下に設定されている。透光性基板13は、本体部21における長手方向一方側または他方側の開口から、各保持部に形成されている凹所内に挿し込み、長手方向に沿ってスライドさせることにより、複数の光合成促進光源1から離間した位置で、一対の支持部21bによって支持される。そして、本体部21における長手方向一方側および他方側の開口を蓋部22で閉塞することにより、照明装置10は構成される。
このようにして構成される照明装置10を利用して構築された植物工場の例を、添付図面を参照して以下に説明する。図7は、図4に示す照明装置を用いて構築された植物工場の一例を概略的に示す斜視図であり、図8は、図7に示す植物工場を図7の左方から見た状態を示している図である。また、図9は、図4に示す照明装置を用いて構築された植物工場の他の例を概略的に示す斜視図であり、図10は、図9に示す植物工場を図7の左方から見た状態を示している図である。
図7〜図10において、31は、育成される植物(以下、「育成植物」という)を示しており、32は、育成植物31が適度に間隔を空けて定植された長尺の栽培トレイを示している。また、図7および図9において、33は、各照明装置10に電力を供給する電源を示しており、図8および図10において、34は、照明装置10を支持するための支持体を示している。育成植物31は、たとえばサニーレタスである。栽培トレイ32には、育成植物31用の肥料が溶け込んだ肥料溶液が満たされている。
植物工場では、複数の栽培トレイ32が適度に間隔をあけて互いに平行となるように設置され、栽培トレイ32の上方に設けられた支持体34に、透光性基板13が下方に臨むような姿勢で、複数の照明装置10が適度に間隔をあけて互いに平行となるように設置される。複数の照明装置10は、たとえば図7〜図10に示すように、栽培トレイ32の延びる方向に対して直交する方向に延びるように設置される。また、複数の照明装置10は、図7および図8に示すように育成植物31に近接して配設されてもよく、図9および図10に示すように育成植物31からある程度の距離を離して配設されてもよい。
このようにして構築された植物工場では、太陽光を一切利用せず、1日当たり14時間程度、電源33から供給される電力によって、各照明装置10に搭載されている光合成促進光源1を発光させて、その光を育成植物31に照射することにより、育成植物31の育成が行われる。
上記のように、照明装置10に搭載される光源として光合成促進光源1を使用することにより、育成植物31の育成を良好なものとすることができる。
<蛍光体の他の例>
本発明に係る光合成促進光源1に利用可能な青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のその他の材料を以下に例示する。
青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Sr,Ca)(POCl:Eu、緑色蛍光体としては、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn、SrAl:Eu2+、(Sr,Ba)SiO:Eu2+、赤色蛍光体としては、(LaS:Eu)、ZnS:Cu、Mn等の蛍光体が利用可能である。
1 光合成促進光源
2 基板
3 発光素子
4 枠体
5 封止部材
6 波長変換部材
7 蛍光体

Claims (5)

  1. 610〜630nmの波長領域において、全波長領域における光強度が最大となるピークを有し、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たす発光スペクトルの光を発する光合成促進光源であって、420〜490nmの波長領域においてピークを有し、そのピーク波長をλ4[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ4における光強度が0.3以上0.5以下であり、540〜700nmの波長領域における光量子束に対する、420〜490nmの波長領域における光量子束の割合が、10%以上20%以下であることを特徴とする光合成促進光源
  2. 610〜630nmの波長領域において、全波長領域における光強度が最大となるピークを有し、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たす発光スペクトルの光を発する光合成促進光源であって、
    ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、490〜540nmの波長領域における光強度の平均値が0.1以上0.3以下であり、420〜490nmの波長領域における光量子束に対する、490〜540nmの波長領域における光量子束の割合が、45%以上65%以下であることを特徴とする光合成促進光源。
  3. 610〜630nmの波長領域において、全波長領域における光強度が最大となるピークを有し、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たす発光スペクトルの光を発する光合成促進光源であって、
    380〜420nmの波長領域においてピークを有し、そのピーク波長をλ5[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度を1とするとき、ピーク波長λ5における光強度が0
    .2以上0.4以下であり、540〜700nmの波長領域における光量子束に対する、380〜420nmの波長領域における光量子束の割合が、1%以上10%以下であることを特徴とする光合成促進光源。
  4. 610〜630nmの波長領域において、全波長領域における光強度が最大となるピークを有し、そのピーク波長をλ1[nm]とし、ピーク波長λ1における光強度の50%の光強度となる、ピーク波長λ1よりも短波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ2[nm]およびピーク波長λ1よりも長波長側でピーク波長λ1に最も近い波長をλ3[nm]とするとき、λ1−70[nm]≦λ2≦λ1−30[nm]、およびλ1+30[nm]≦λ3≦λ1+70[nm]の関係を満たす発光スペクトルの光を発する光合成促進光源であって、
    色温度が1900〜2100[K]の範囲であり、平均演色評価数Raが70〜75の範囲であり、発光スペクトルのCIE色度座標x、yが、0.4≦x≦0.5および0.3≦y≦0.4の関係を満たすことを特徴とする光合成促進光源。
  5. 540〜700nmの波長領域における光量子束に対する、610〜630nmの波長領域における光量子束の割合が、15%以上25%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光合成促進光源。
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