本実施形態における水晶デバイスは、図1及び図2に示されているように、基板110と、基板110の上面に接合された水晶素子120と、水晶素子120を気密封止するための封止蓋体130と、を含んでいる。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110は、矩形状であり、上面で実装された水晶素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板110の一辺に沿って、水晶素子120を接合するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。基板110の一辺と対向する一辺に沿って第三電極パッド111cが設けられている。基板110の下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つが、水晶素子120と電気的に接続されて、水晶素子120の入出力端子として用いられている。
基板110は、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110は、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110の上面及び下面には、上面に設けられた電極パッド111と下面の外部端子112とを電気的に接続するための配線パターン113がそれぞれ設けられている。また、基板110の上面には、第一電極パッド111aと第三電極パッド111cとを電気的に接続するための電極パターン115が設けられている。
基板110の第一電極パッド111a、第二電極パッド111b及び第三電極パッド111cは、図1及び図2に示すように、水晶素子120を実装するために用いられている。また、第三電極パッド111cは、水晶素子120が第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に実装されている場合には、水晶素子120の外周縁が基板110と接触することを抑制するために用いられている。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bは、図1に示すように、基板110の一辺に沿って設けられており、第三電極パッド111cは、基板110の一辺と対向する一辺に沿って設けられている。また、第二電極パッド111bと第三電極パッド111cとは、図1に示すように、基板110の上面の対角の位置に設けられている。また、電極パッド111は、基板110の上面及び下面に設けられた配線パターン113及び基板110の角部に設けられた導電部114を介して、電極パッド111と平面視して重なる位置に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に、基板110の外周縁に沿って設けられている。
電極パッド111は、図5(a)に示すように、第一電極パッド111a、第二電極パッド111b及び第三電極パッド111cによって構成されている。また、外部端子112は、図5(b)に示すように第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。配線パターン113は、図1に示すように、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b及び第三配線パターン113cによって構成され、導電部114は、第一導電部114a、第二導電部114b及び第三導電部114cによって構成されている。第二電極パッド111bと第二外部端子112bとは、基板110の上面及び下面に設けられた第一配線パターン113aと、基板110の角部に設けられた第一導電部114aにより接続されており、第三電極パッド111cと第四外部端子112dとは、基板110の上面及び下面に設けられた第二配線パターン113bと、基板110の角部に設けられた第二導電部114bにより接続されている。また、第一電極パッド111aと第三電極パッド111cとは、基板110の上面に設けられている電極パターン115により電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第三電極パッド111cを介して第四外部端子112dと電気的に接続されることになる。また、第一外部端子112a及び第三外部端子112cは、どこにも接続されておらず、実装基板に実装するための実装用端子として用いられている。
外部端子112は、外部の電子機器等を構成する実装基板上に実装するために用いられている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110の上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、電極パッド111と電気的に接続されている外部端子112は、基板110の下面の対角に位置するように設けられている。
また、電極パッド111及び外部端子112は、基板110に沿って設けられた形状となっている。ここで基板110を平面視したときの長辺の寸法が、1.2〜2.5mmであり、短辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、電極パッド111及び外部端子112の大きさを説明する。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bの長辺の長さは、0.20〜0.60mmであり、短辺の長さは、0.10〜0.50mmとなっている。第三電極パッド111cは、長辺の長さが、0.60〜1.10mmであり、短辺の長さは、0.10〜0.50mmとなっている。外部端子112の長辺の長さは、0.30〜0.90mmであり、短辺の長さは、0.20〜0.60mmとなっている。
配線パターン113は、基板110の上面及び下面に設けられ、電極パッド111及び外部端子112から近傍の基板110の角部に向けて引き出されている。第一配線パターン113aの長さと第二配線パターン113bの長さは、略等しい長さとなる。ここで、略等しい長さとは、基板110の上面及び下面に設けられた第一配線パターン113aの長さと基板110の上面及び下面に設けられた第二配線パターン113bの長さとの差が0〜200μm異なるものを含むものとする。配線パターン113の長さは、各配線パターン113の中心を通る直線の長さを測定したものとする。
導体部114は、図3及び図4に示すように、基板110の角部に設けられた切れ込みの内部に設けられている。導体部114の両端は、配線パターン113と接続されている。このようにすることで、電極パッド111は、配線パターン113及び導体部114を介して外部端子112と電気的に接続されている。また、導体部114は、切り込み内に導体ペーストを印刷するようにして設けられているため、基板110の上面の外周縁と導体部114との境界線箇所の導体部114の厚みが薄くなっている。このような導体部114は、銀パラジウム合金により形成されており、半田食われを抑えるため、バナジウム系低融点ガラス、リン酸系低融点ガラス又は酸化鉛系ガラスなどのガラス成分も含有されている。また、酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅及び酸化カルシウムとから構成されている。導体部114を構成する銀パラジウム合金及びガラスの合計量に対して、ガラスの重量比率が、0.3〜5.0重量%になるように設けられている。また、半田は、実装基板の実装パッド(図示せず)と基板110の外部端子112とを接合するために用いられる。このような半田は、例えば、錫、銀及び銅から構成されており、錫が95〜98%、銀が2〜4%、銅が0〜1.0%のものが使用されている。このように、0.3〜5.0重量%のガラスが含有されたことで、半田とは濡れ性が悪いため、半田をはじきつつ、導体部114の上下方向の厚みの半分程度まで半田が這い上がることになる。よって、導体部114との間で、実装基板側から導体部114に向かって徐々に厚みが形成されるようなフィレットが形成されるため、実装基板と水晶デバイスとの接合強度を維持することができる。また、半田が導体部114の上端まで這い上がらないため、導体部114の半田食われを低減することができる。このような半田食われとは、配線パターン113又は導体部114の材質が半田内に拡散し、配線パターン113又は導体部114がなくなってしまうことをいう。
導体部114に含有するガラスの重量比率は、図6に示すように、0.3重量%未満になると導通不良における歩留まりが低下することが確認できる。これは、導体部114に含有されているガラスの重量比率が、0.3重量%未満の場合には、水晶デバイスを実装基板上に実装した際に半田が外部端子から導体部114の上端まで這い上がり、導体部114の上端部が半田食われを起こし、電極パッド111と外部端子112間が断線しているため、導通不良が発生し、歩留まりが低下することになる。
また、導体部114に含有するガラスの重量比率は、図7に示すように、5.0重量%より大きくなると実装時における水晶デバイスの剥がれの歩留まりが低下することが確認できる。これは、導体部114に含有されているガラスの重量比率が、5.0重量%より大きい場合には、水晶デバイスを実装基板上に実装した際に半田が導体部114に這い上ってこないため、実装基板側から導体部114に向かって徐々に厚みが形成されるようなフィレットが形成されず、実装基板10と水晶デバイスとの接合強度が低下し、実装時における歩留まりが低下することになる。
電極パターン115は、基板110の上面に設けられており、その一端で第二電極パッド111bと接続されており、他端で第三電極パッド111cと電気的に接続されている。このようにすることで、第二電極パッド111bは、第三電極パッド111cを介して第三外部端子112cと電気的に接続されることになる。
ここで、基板110の作製方法について説明する。基板110がアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、導体部114及び電極パターン115となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
水晶素子120は、図1〜図4に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、水晶素子120は、図1〜図4に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている水晶素子120の一端を基板110の上面と接続した固定端とし、他端を基板110の上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて水晶素子120が基板110上に固定されている。
ここで、水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、水晶素子120の作製方法について説明する。まず、水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
水晶素子120の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、電極パッド111に接合される。つまり、水晶素子120の第一引き出し電極123aは、第二電極パッド111bと接合され、第二引き出し電極123bは、第一電極パッド111aと接合される。これによって、第二外部端子112bと第四外部端子112dが水晶素子120と電気的に接続されることになる。
また、水晶素子120は、水晶素子120の自由端と対向する位置に第三電極パッド112が配置されているように実装されている。このようにすることによって、水晶素子120の引き出し電極123と、電極パッド111とが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子120の自由端が第三電極パッド111cに接触するので、基板110の上面に水晶素子120の自由端が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子120の自由端が基板110に接触した状態で、落下試験を行うと、水晶素子120の自由端が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子120の自由端側が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
封止蓋体130は、矩形状の封止基部130aと、封止基部130aの下面の外周縁に沿って設けられている封止枠部130bとで構成されており、封止基部130aの下面と封止枠部130bの内側側面とで収容空間Kが形成されている。封止枠部130bは、封止基部130aの下面に収容空間Kを形成するためのものである。封止枠部130bは、封止基部130aの下面の外縁に沿って設けられている。
封止基部130a及び封止枠部130bは、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような封止蓋体130は、真空状態にある収容空間K又は窒素ガスなどが充填された収容空間Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、封止蓋体130は、所定雰囲気で、基板110の上面に載置され、基板110の上面と封止枠部130bの下面との間に設けられた接合部材150とが熱が印加されることで、溶融接合される。
ガラス接合部材150は、封止蓋体130の下面と基板110の上面の外周縁とを接合するために用いられている。ガラス接合部材150は、図2に示すように、封止枠部130bの下面から基板110上の外周縁上にかけて設けられている。
ガラス接合部材150は、300℃〜400℃で溶融するガラスである例えばバナジウムを含有した低融点ガラス又は酸化鉛系ガラスから構成されている。ガラスは、バインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。ガラス接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部130bの下面に沿って環状に塗布され乾燥することで設けられる。また、この酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅及び酸化カルシウムとから構成されている。
本実施形態における水晶デバイスは、基板110の側面に設けられ、配線パターン113と電気的に接続された導体部114と、基板110の電極パッド110に実装された水晶素子120と、水晶素子120を気密封止するために、基板110の上面に設けられた封止蓋体130と、基板110の上面と封止蓋体130の下面との間に設けられたガラス接合部材140と、を備え、導体部110は、ガラスを有する銀パラジウム合金を含んでいる。このようにすることにより、電子機器等の実装基板の実装パッド(図示せず)と基板110の外部端子112とを半田で実装する際に、実装する際に使用した半田が、ガラス成分を含有した導体部114により、濡れ性が悪くはじかれるため、外部端子112から基板110の側面に設けられた導体部114の上下方向の厚みの半分程度までしか這い上がらない。よって、金属製蓋体130と半田とが接触することを抑えることができるので、金属製蓋体130と半田とが短絡してしまうことを低減することができる。
また、本実施形態における水晶デバイスは、導体部114を構成する銀パラジウム合金及びガラスの合計量に対して、ガラスの重量比率が、0.3〜5.0重量%になるように設けられている。このようにすることにより、ガラスが含有されたことで、半田をはじくことになり、導体部114の上下方向の厚みの半分程度までしか半田が這い上がらなくなる。さらに、導体部114との間で、実装基板側から導体部114に向かって徐々に厚みが形成されるような半田フィレットは形成されるため、実装基板10と水晶デバイスとの接合強度を維持することができる。また、半田が導体部114の上端まで這い上がらないため、導体部114の半田食われを低減することができる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、図8に示されているように、ガラス接合部材250が、基板110の側面に設けられた導体部114の上端にかかるようにして設けられている点において本実施形態と異なる。
ガラス接合部材250は、図8に示すように、基板110の側面に設けられた導体部114の上端にかかるようにして設けられている。このようにすることによって、水晶デバイスを電子機器等の半田を介して実装基板上に実装する際に、基板110と導体部114との境界線箇所の導体部114が半田と接触しないことで、導体部114の材質が半田内に拡散することで生じる半田食われを低減することができる。従って、半田食われによりに生じる電極パッド111と外部端子112との導通不良も低減することができる。
基板110の上面と封止蓋体130の下面との間に設けられたガラス接合部材250が導体部114の上端にかかるように設けられている。このように導体部114の上端にガラス接合部材250が設けられていることによって、水晶デバイスが電子機器等を構成する実装基板上に半田を介して実装される際に、外部端子112に付着した半田が、仮に、導体部114の上端にまで這い上がったとしても、ガラス接合部材250で止められることで、導体部114の上端部が半田と接触することを低減することができる。よって、このような水晶デバイスは、導体部114の材質が半田に拡散することで生じる半田食われを起こすことをさらに抑えつつ、電極パッド111と外部端子112との導通不良をさらに低減することができる。
(第二変形例)
以下、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第二変形例における水晶デバイスは、図9に示されているように、基板110の上面及び下面に設けられ、電極パッド111及び外部端子112と電気的に接続されている配線パターン113と、基板110の側面に設けられており、配線パターン113と電気的に接続された導体部114と、を備え、配線パターン113を被覆するように設けられたガラス保護部材160を備えている点において本実施形態と異なる。
ガラス保護部材160は、配線パターン113が金属製の封止蓋体130と接触して短絡することを低減するために用いられている。また、ガラス保護部材160は、図9に示すように、基板110の上面に設けられた配線パターン113を被覆するようにして設けられている。ガラス保護部材160は、ガラス接合部材150よりも融点が高い500〜800℃のものを用いている。これにより、ガラス接合部材150で接合する際には、ガラス保護部材160は溶融せずに、形成時の形状を保つことができる。よって、金属製の封止蓋体130又は基板110に圧力がかかり押し付けられても、金属製の封止蓋体130と基板110の配線パターン113とが接触することによる短絡を低減することができる。また、ガラス保護部材160は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110に設けられた配線パターン113の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、ガラス保護部材160の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
また、ガラス保護部材160は、基板110の角部に位置する配線パターン113上に設けられている。このようにすることによって、金属製の封止蓋体130が配線パターン113に接触することを抑えることが可能となる。また、ガラス保護部材160が、基板110の角に、平面視して円弧状になるように設けられており、導体部115が設けられている切欠き内には、ガラス保護部材160が設けられていない。このようにすることにより、基板110が電子機器等を構成する実装基板上に実装される際に、外部端子112に付着した半田が、導体部114に這い上がるようにして形成されるため、実装基板側から導体部114に向かって徐々に厚みが形成されるような半田フィレットが形成される。また、半田が、ガラス保護部材160で覆われている基板110の配線パターン113上には、濡れ性が悪く這い上がらないため、半田と金属製の封止蓋体130との短絡を低減することができる。
本実施形態の第二変形例における水晶デバイスは、配線パターン113を覆うようにガラス保護部材160が設けられている。このように配線パターン113の上面をガラス保護部材160で覆うことで、金属製の封止蓋体130と基板110の上面に設けられている配線パターン113との短絡を低減することができる。
(第三変形例)
以下、本実施形態の第三変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第三変形例における水晶デバイスは、図10に示されているように、水晶素子220が両持ち支持構造である点において本実施形態と異なる。
水晶素子220は、図10に示されているように、水晶素板221の上面及び下面のそれぞれに励振用電極222及び引き出し電極223を被着させた構造を有している。励振用電極222は、水晶素板221の上下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極222は、上面に第一励振用電極222aと、下面に第二励振用電極を備えている。引き出し電極223は、励振用電極222から水晶素板221の向かい合う辺に向かってそれぞれ延出されている。第一引き出し電極223aは、第一励振用電極222aから引き出されており、水晶素板121の一方の辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極223bは、第二励振用電極から引き出されており、水晶素板221の他方の辺に向かって延出するように設けられている。また、このような水晶素子220は、水晶素板221の対角に位置する箇所で支持する両持ち支持構造にて基板110上に固定されている。この際には、第一電極パッド111aは、水晶素子220の外周縁が基板110との接触を低減するために用いられることになる。
水晶素子220の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第三電極パッド111c上に塗布される。水晶素子220は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子220は、電極パッド111に接合される。つまり、水晶素子220の第一引き出し電極223aは、第二電極パッド111bと接合され、第二引き出し電極223bは、第三電極パッド111cと接合される。これによって、第二外部端子112bと第四外部端子112dが水晶素子220と電気的に接続されることになる。
本実施形態の第三変形例における水晶デバイスは、水晶素子220が、矩形状の水晶素板221と、水晶素板221の上下面に設けられた励振用電極222と、励振用電極222とから水晶素板221の向かい合う両辺に向かってそれぞれ延出するようにして設けられている一対の引き出し電極223と、を備え、一対の引き出し電極223の一方と、第二電極パッド111bとが電気的に接続されており、一対の引き出し電極223の他方と、第三電極パッド111cとが電気的に接続されている。このようにすることによって、水晶素子220の第一引き出し電極223a及び第二引き出し電極223bと、第二電極パッド111b及び第三電極パッド111cとが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子220の接合していない一方の角が第一電極パッド111aに接触し、他方の角が基板110から離間した状態になるので、基板110の上面に水晶素子220の接合していない角が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子220の接合していない角が基板110に接触した状態で、落下試験等を行うと、水晶素子220の接合していない角が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子220の角が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子220の発振周波数が変動することを低減することができる。
(第四変形例)
以下、本実施形態の第四変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第四変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第四変形例における水晶デバイスは、図11に示されているように、電極パッド211は矩形状であり、平面視して、電極パッド211に面取り部216が設けられている点において本実施形態と異なる。
面取り部216は、励振用電極122側を向いている角に、電極パッド211の一辺から一辺と隣接する一辺にかけて横断するようにして直線状に設けられている。このようにすることによって、電極パッド211を大きくしても、励振用電極122と電極パッド211との間で十分な距離が確保できているため、励振用電極122と電極パッド211との接触を低減することができる。
また、電極パッド211は、基板210に沿って設けられた形状となっている。ここで基板210を平面視したときの長辺の寸法が、1.2〜2.5mmであり、短辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、電極パッド211の大きさを説明する。電極パッド211の長辺の長さは、0.40〜0.90mmであり、短辺の長さは、0.30〜0.60mmとなっている。また、面取り部216は、矩形状の電極パッド211の角を三角形状に除去したものであり、電極パッド211を平面視したときの縦寸法と平行となる寸法が0.05〜0.15mmであり、平面視したときの横寸法が0.05〜0.15mmである。また、面取り部216が設けられた電極パッド211は、矩形状の電極パッド211に比べて、その面積が97〜99%となるように形成されている。
本実施形態の第四変形例における水晶デバイスは、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cは、矩形状であり、平面視して、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cの角に面取り部216が設けられている。このようにすることにより、励振用電極122と、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cとの間で十分な距離が確保できているため、励振用電極122と、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cとの接触を低減することができる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記の実施形態では、水晶素子は、AT用水晶素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲水晶素子を用いても構わない。
また、水晶素子120は、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を用いても構わない。また、水晶素子120のベベル加工方法について説明する。所定の粒度のメディアと砥粒とを備えた研磨材と、所定の大きさに形成された水晶素板121とを用意する。円筒体に用意した研磨材と水晶素板121とを入れ、円筒体の開口した端部をカバーで塞ぐ。研磨材と水晶素板121とを入れた円筒体を、円筒体の中心軸線を回転軸として回転させる水晶素板121が研磨材で研磨されてベベル加工が行われる。
上記の実施形態では、ガラス接合部材150が封止蓋体130の封止枠部130bの下面に設けられた場合を説明したが、ガラス接合部材150が基板110上面の外周縁に環状に設けられるようにしても構わない。このようなガラス接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で基板110の外周縁に沿って塗布され乾燥することで設けられる。