JP6454463B2 - エチレン−ビニルアルコール樹脂組成物、多層構造体、多層シート、容器及び包装材 - Google Patents
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Description
当該樹脂組成物は、EVOH(A)、PA(B)、カルボン酸金属塩(C)及び飽和ケトン(D)を含有する。当該樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ホウ素化合物、共役ポリエン化合物、酢酸類、リン化合物等の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
EVOH(A)は、エチレンとビニルエステルとの共重合体をケン化したエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
PA(B)は、アミド結合を含む樹脂である。PA(B)は、3員環以上のラクタムの開環重合、重合可能なω−アミノ酸の重縮合、二塩基酸とジアミンとの重縮合等によって得られる。
当該樹脂組成物は、カルボン酸金属塩(C)を含有する。当該樹脂組成物は、カルボン酸金属塩(C)を含有することで、長時間運転時のゲル状ブツの発生を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物は、飽和ケトン(D)を含有するため、長時間運転時の成形機内におけるコゲ発生を効果的に抑制でき、外観性、耐レトルト性及び機械的強度に優れる成形体を製造することができる。ここで、飽和ケトン(D)とは分子内のカルボニル基以外の部分に不飽和結合を含まないケトンをいう。飽和ケトン(D)は、カルボニル基以外の部分に不飽和結合を含まない限りは、直鎖状のケトンであっても、分枝状のケトンであっても、分子内に環構造を有するケトンであってもよい。飽和ケトン(D)の分子内のカルボニル基の数は、1であっても2以上であってもよい。
(ホウ素化合物)
ホウ素化合物は、溶融成形時のゲル化を抑制すると共に押出成形機等のトルク変動(加熱時の粘度変化)を抑制するものである。
オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ酸類;ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル等のホウ酸エステル;
上記ホウ酸類のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、ホウ砂等のホウ酸塩;
水素化ホウ素類などが挙げられる。これらの中でも、ホウ酸類が好ましく、オルトホウ酸がより好ましい。
共役ポリエン化合物は、溶融成形時の酸化劣化を抑制するものである。ここで、共役ポリエン化合物とは、炭素−炭素二重結合と炭素−炭素単結合が交互に繋がってなる構造を有し炭素−炭素二重結合の数が2個以上である、いわゆる共役二重結合を有する化合物である。この共役ポリエン化合物は、共役二重結合を2個有する共役ジエン、3個有する共役トリエン、又はそれ以上の数を有する共役ポリエンであってもよい。また、上記共役二重結合が互いに共役せずに1分子中に複数組あってもよい。例えば、桐油のように共役トリエン構造が同一分子内に3個ある化合物も上記共役ポリエン化合物に含まれる。
イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、1−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−1,3−ブタジエン、2−ニトロ−1,3−ブタジエン、クロロプレン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、1−ブロモ−1,3−ブタジエン、2−ブロモ−1,3−ブタジエン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩等の共役ジエン化合物;
1,3,5−ヘキサトリエン、2,4,6−オクタトリエン−1−カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール、フルベン、トロポン等の共役トリエン化合物;
シクロオクタテトラエン、2,4,6,8−デカテトラエン−1−カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の共役ポリエン化合物などが挙げられる。上記共役ポリエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酢酸類は、成形品の着色を防止すると共に防止溶融成形時のゲル化を抑制するものである。この酢酸類は、酢酸及び酢酸塩を含む。酢酸類としては、酢酸及び酢酸塩を併用することが好ましく、酢酸及び酢酸ナトリウムを併用することがより好ましい。
リン化合物は、ストリーク、フィッシュアイ等の欠陥の発生及び着色を抑制すると共に、ロングラン性を向上させるものである。このリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等のリン酸塩等が挙げられる。
当該樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有していてもよい。その他の任意成分としては、例えばアルカリ金属又はその塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、他の樹脂、高級脂肪族カルボン酸の金属塩等が挙げられる。当該樹脂組成物は、これらの任意成分を2種以上含有してもよく、任意成分の合計含有量としては、当該樹脂組成物中の1質量%以下が好ましい。
当該樹脂組成物の製造方法としては、EVOH(A)、PA(B)、カルボン酸金属塩(C)及び飽和ケトン(D)を均一にブレンドできる方法であれば特に限定されない。EVOH(A)は、例えばエチレンとビニルエステルとを共重合させる工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及びこの工程(1)により得られる共重合体をケン化する工程(以下、「工程(2)」ともいう)を備える製造方法により得ることができる。
当該樹脂成形体は、当該樹脂組成物から形成される。フィルムとは、通常300μm未満の厚みを有するものをいい、シートとは、通常300μm以上の厚みを有するものをいう。この樹脂成形体としては、例えばフィルム、シート、容器、パイプ、ホース、繊維、包装材等が挙げられる。当該樹脂成形体は、例えば溶融成形により形成され、必要に応じて、二次加工成形を行うことで形成される。この溶融成形の方法としては、例えば押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が挙げられる。溶融成形温度としては、EVOH(A)の融点等により異なるが、150℃〜270℃程度が好ましい。上記二次加工成形としては、例えば曲げ加工、真空成形、ブロー成形、プレス成形等が挙げられる。
上記多層構造体を構成する他の層としては、例えば熱可塑性樹脂から形成される熱可塑性樹脂層が好ましい。上記多層構造体は、バリア層と熱可塑性樹脂層とを備えることで、外観性及び加熱延伸性に優れる。
高密度、中密度又は低密度のポリエチレン;
酢酸ビニル、アクリル酸エステル、又はブテン、ヘキセン等のα−オレフィン類を共重合したポリエチレン;
アイオノマー;
ポリプロピレンホモポリマー;
エチレン、ブテン、ヘキセン等のα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン;
ゴム系ポリマーをブレンドした変性ポリプロピレン等のポリオレフィン類;
これらの樹脂に無水マレイン酸を付加又はグラフトした樹脂;
ポリエステルなどが挙げられる。
S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径)
・・・ (1)
すなわち、絞り比(S)とは、容器の最深部の深さの値を、多層シートの平面に形成された凹部(開口部)の形状に接する最も大きい内接円の直径の値で除した値である。この円の直径は、例えば凹部の形状が円である場合にはその直径、楕円である場合にはその短径、長方形である場合にはその短辺の長さがそれぞれ内接する最大径の円の直径の値である。
メトラー・トレド社のハロゲン水分率分析装置「HR73」を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量約10gの条件で、含水EVOHペレットの含水率を測定した。以下に示す含水EVOHの含水率は、EVOHの乾燥質量基準の質量%である。
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−GX−500型」)を用い、DMSO−d6を測定溶媒として、1H−NMRにより求めた。
乾燥EVOHペレットを凍結粉砕により粉砕した。得られた粉砕EVOHを、呼び寸法1mmのふるい(標準フルイ規格JIS Z8801−1〜3準拠)で分けた。上記ふるいを通過したEVOH粉末10gとイオン交換水50mLを共栓付き100mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌した。得られた溶液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。この希釈溶液を、横河電機社のイオンクロマトグラフィー「ICS−1500」を用い、下記測定条件に従ってカルボン酸イオンの量を定量することで、カルボン酸及びカルボン酸イオンの量を算出した。なお、定量に際してはモノカルボン酸又は多価カルボン酸を用いて作成した検量線を用いた。
カラム :DIONEX社の「IonPAC ICE−AS1(9φ×250mm、電気伝導度検出器)」
測定温度 :35℃
溶離液流速 :1mL/min.
分析量:50μL
乾燥EVOHペレット0.5gをアクタック社のテフロン(登録商標)製耐圧容器に仕込み、和光純薬工業社の精密分析用硝酸5mLをさらに加えた。30分放置後、ラプチャーディスク付きキャップリップにて容器に蓋をし、アクタック社のマイクロウェーブ高速分解システム「スピードウェーブ MWS−2」にて150℃10分、次いで180℃10分処理し、乾燥EVOHペレットを分解させた。乾燥EVOHペレットの分解が完了できていない場合は、処理条件を適宜調節した。得られた分解物を10mLのイオン交換水で希釈し、すべての液を50mLのメスフラスコに移し取り、イオン交換水で定容し、分解物溶液を得た。
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
P :214.914nm
B :249.667nm
Si :251.611nm
Al :396.153nm
Zr :343.823nm
Ce :413.764nm
W :207.912nm
Mo :202.031nm
乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕により粉砕し、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物10gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて48時間抽出処理した。この抽出液中の共役ポリエン化合物の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、共役ポリエン化合物の量を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの共役ポリエン化合物の標品を用いて作成した検量線を使用した。
[合成例1]
250Lの加圧反応槽を用いて以下の条件で重合を実施し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を合成した。
(仕込み量)
酢酸ビニル:83.0kg
メタノール:17.4kg
2,2’−アゾビスイソブチルニトリル:66.4g
(重合条件)
重合温度 :60℃
重合槽エチレン圧力:3.9MPa
重合時間 :3.5時間
上記重合における酢酸ビニルの重合率は36%であった。得られた共重合反応液にソルビン酸を添加した後、追出塔に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去して、エチレン−酢酸ビニル共重合体の41質量%メタノール溶液を得た。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量は32モル%であった。このエチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を、共重合体中のビニルエステル単位に対して0.4当量となるように添加し、さらにメタノールを加えて共重合体濃度が20質量%になるように調整した。この溶液を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。この溶液を円形の開口部を有する金板から水中に押し出して析出させ、切断することで、直径約3mm、長さ約5mmのペレットを得た。このペレットを遠心分離機で脱液した後、さらに大量の水を加えてから脱液する操作を繰り返し行って洗浄し、EVOH(A)のペレットを得た。得られたEVOH(A)のケン化度は99.95モル%であった。
また、上記同様にして、下記表1に示す所定のエチレン含有量のEVOH(A)(ケン化度:99.95モル%)を合成した。
アセトンを、EVOH(A)に対して0.5ppm含有されるように、上記重合時に供給した以外は合成例1と同様にして重合、ケン化、ペレット化及び洗浄を行ってペレットを得た。得られたEVOH(A)のケン化度は99.95モル%であった。
[実施例1〜12、15及び比較例2〜6]
上記合成例1で得られたペレット20kgを、180kgの水/メタノール=40/60(質量比)の混合溶媒中に加え、60℃で6時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に所定量のアセトン及びソルビン酸を添加し、さらに1時間攪拌してアセトンを完全に溶解させて樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を直径4mmのノズルより、0℃に調整した水/メタノール=90/10(質量比)の凝固浴中に連続的に押出してストランド状に凝固させた。このストランドをペレタイザーに導入して多孔質の樹脂チップを得た。得られたチップを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した。この洗浄液とチップとを分離して脱液した後、熱風乾燥機を用いて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行い、アセトン含有EVOHペレットを得た。得られたペレットにおけるアセトンの含有量を上記定量方法により定量した。アセトンの添加量を調節することにより、アセトンの含有量が表1に記載の通りとなるようにアセトン含有EVOHペレットを調製した。
上記合成例1で得られたペレットに対し、飽和ケトン(D)として、アセトンの代わりに、実施例13においては、メチルエチルケトンを、実施例14においては、2−ヘキサノンを使用して、実施例1〜12と同様に樹脂組成物の調製を行い飽和ケトン含有EVOHペレットを得た。なお、得られたペレットにおける飽和ケトン(D)の含有量を上記定量方法により定量し、表1に記載の通りとなるように飽和ケトン含有EVOHペレットを調製した。さらにポリアミド(宇部興産社の「Ny1018A(ナイロン6)」)、及び酢酸マグネシウム・4水和物を表1に示す含有量になるように混合し、ドライブレンド後、二軸押出機(東洋精機製作所社の「2D25W」、25mmφ)を用い、ダイ温度250℃、スクリュー回転数100rpmの押出条件で、窒素雰囲気下で押出しペレット化を行い、目的の樹脂組成物ペレットを得た。
上記合成例2で得られたペレット20kgを酢酸水溶液及びイオン交換水を用いて洗浄した。この洗浄液とチップとを分離して脱液した後、熱風乾燥機を用いて80℃で4時間乾燥を行い、さらに100℃で16時間乾燥を行って、EVOHペレットを得た。
単軸押出装置(東洋精機製作所社の「D2020」、(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト))を用い、上記得られた各樹脂組成物ペレットから厚さ20μmの単層フィルムを作製した。このときの各押出条件は以下に示す通りである。
押出温度:250℃
スクリュー回転数:40rpm
ダイス幅:30cm
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/分
上記得られた樹脂組成物及び多層シートについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に合わせて示す。
50質量%の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)の水溶液200mgに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)50mL、酢酸11.5mL及びイオン交換水8mLを加え、DNPH溶液を調製した。測定ペレット1gをこのDNPH溶液20mLに加え、35℃にて1時間攪拌し溶解させた。この溶液にアセトニトリルを加えて樹脂分を析出させ沈降させた後、濾過して得られた溶液を濃縮し、抽出サンプルを得た。この抽出サンプルを下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて定量分析することで、飽和ケトン(D)を定量した。なお、定量に際しては、それぞれの飽和ケトン(D)の標品をDNPH溶液と反応させて作成した検量線を使用した。なお、飽和ケトン(D)の検出下限は、0.01ppmであった。
カラム:TSKgel ODS−80Ts(東ソー社)
移動相:水/アセトニトリル=52:48(体積比)
検出器:PDA(360nm)、TOF−MS
樹脂組成物の試料ペレット20gを100mLガラス製サンプル管に入れ、アルミホイルで口部を蓋をした後、熱風乾燥機内で220℃で30分間加熱した。乾燥機から取り出し、室温で30分間放冷した後、サンプル管を2〜3回振り混ぜた後、アルミホイルの蓋を取り臭気を評価した。試料ペレットの臭気の強さを以下のような基準で判定した。
A: 臭気を感じない
B: 弱い臭気を感じる
C: 明らかに臭気を感じる
単軸押出装置(株式会社東洋精機製作所製「D2020」、D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用い、各乾燥樹脂組成物ペレットから厚さ20μmの単層フィルムを作製した。このときの各条件は以下に示す通りである。
押出温度:250℃
スクリュー回転数:40rpm
ダイス幅:30cm
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/分
上記条件で連続運転して単層フィルムを作製し、運転開始から8時間後に低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社の「ノバテックLF128」)に樹脂を切り替え、30分間、同条件で製膜を行った。その後、ダイスを分解して低密度ポリエチレンを除去し、ダイス流路表面に付着しているコゲ量を測定し、コゲ発生抑制性を下記評価基準により評価した。
「A(良好)」 :0.01g未満
「B(やや良好)」:0.01g以上1.0g未満
「C(不良)」 :1.0g以上
単軸押出装置(株式会社東洋精機製作所製「D2020」;D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用い、各乾燥樹脂組成物ペレットから厚さ20μmの単層フィルムを作製した。このときの各条件は以下に示す通りである。
押出温度:250℃
スクリュー回転数:40rpm
ダイス幅:30cm
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.1m/分
上記条件で連続運転して単層フィルムを作製し、運転開始から15時間後に作製された各フィルムについて、目視にて外観性(着色)を下記評価基準により評価した。
「良好(A)」:無色
「やや良好(B)」:黄変
「不良(C)」:著しく黄変
上記得られた多層シートを用いて、12×12cm内寸の四方シ−ルしたパウチを作製した。内容物は水とした。これをレトルト装置(高温高圧調理殺菌試験機(日坂製作所社の「RCS−40RTGN」)を使用して、120℃で20分のレトルト処理を実施した。レトルト処理後、表面水を拭き20℃、65%RHの高温高湿の部屋で1日放置してから耐レトルト性を評価した。耐レトルト性は、透明性が確保されている場合は「A(良好)」と、まだらに白化している場合は「B(不良)」と評価した。
[実施例16]
以下の押出成形の条件で、実施例4で得られた樹脂組成物、ポリオレフィン(a)、ポリオレフィン(a’)、カルボン酸変性ポリオレフィン(b)を別々の押出機に仕込み、(a)/(a’)/(b)/樹脂組成物/(b)/(a’)/(a)(各層厚み:200μm/225μm/25μm/100μm/25μm/225μm/200μm)の構成を有する全層厚み1,000μmの4種7層の多層シートを共押出シート成形装置により得た。
各押出機及び押出条件
ポリオレフィン(a)の押出機:一軸、スクリュー直径65mm、L/D=22、温度200℃〜240℃ (ポリプロピレン)
実施例4で得られた樹脂組成物の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=26、温度170℃〜210℃
カルボン酸変性ポリオレフィン(b)の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=26、温度160℃〜220℃ (無水マレイン酸変性ポリプロピレン系の接着性樹脂(三井化学社の「ADMER QF−500」)
ポリオレフィン(a’)の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=22、温度160℃〜210℃ (ポリプロピレン)
共押出シート成形装置の成形条件
フィードブロック型ダイ(巾600mm)、温度240℃
実施例16で得られた多層シートを熱成形機(浅野製作所社)にて、多層シートの温度を150℃にして、カップ形状(金型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形(圧縮空気:5kgf/cm2(0.5MPa)、プラグ:45φ×65mm、シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温度:70℃)を行った。得られたカップ容器は、外観性に優れ、溶融斑のない良好な成形体であった。
[実施例18]
実施例16で得られた多層シートをパンタグラフ式二軸延伸機にかけ、70℃で延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行った。延伸後の多層シートには、延伸斑を認めなかった。
以下の押出成形の条件で、比較例1で得られた樹脂組成物、ポリオレフィン(a)、ポリオレフィン(a’)、カルボン酸変性ポリオレフィン(b)を別々の押出機に仕込み(a)/(a’)/(b)/樹脂組成物/(b)/(a’)/(a)(各層厚み:200μm/225μm/25μm/100μm/25μm/225μm/200μm)の構成を有する全層厚み1,000μmの4種7層の多層シートを共押出シート成形装置により得た。
各押出機及び押出条件
ポリオレフィン(a)の押出機:一軸、スクリュー直径65mm、L/D=22、温度200〜240℃ (ポリプロピレン)
比較例1で得られた樹脂組成物の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=26、温度170〜210℃
カルボン酸変性ポリオレフィン(b)の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=26、温度160〜220℃ (無水マレイン酸変性ポリプロピレン系の接着性樹脂(三井化学社の「ADMER QF−500」)
ポリオレフィン(a’)の押出機:一軸、スクリュー直径40mm、L/D=22、温度160〜210℃ (ポリプロピレン)
共押出シート成形機の成形条件
フィードブロック型ダイ(巾600mm)、温度240℃
比較例7で得られた多層シートを熱成形機(浅野製作所社)にて、多層シート温度を150℃にして、カップ形状(金型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形(圧縮空気:5kg/cm2(0.5MPa)、プラグ:45φ×65mm、シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温度:70℃)を行った。得られたカップ容器には、溶融斑を認めた。
比較例7で得られた多層シートをパンタグラフ式二軸延伸機にかけ、70℃で延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行った。延伸後の多層シートには、延伸斑を認めた。
Claims (11)
- エチレン含有量が20モル%以上60モル%以下のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)、ポリアミド(B)、カルボン酸金属塩(C)及び飽和ケトン(D)を含有し、
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のポリアミド(B)に対する質量比(A/B)が60/40以上95/5以下であり、
上記カルボン酸金属塩(C)の樹脂分に対する含有量が金属元素換算で1ppm以上500ppm以下であり、
上記飽和ケトン(D)の樹脂分に対する含有量が0.3ppm以上100ppm以下である樹脂組成物。 - 上記カルボン酸金属塩(C)の樹脂分に対する含有量が金属元素換算で5ppm以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記カルボン酸金属塩(C)の金属元素が、マグネシウム、カルシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 上記飽和ケトン(D)の炭素数が3から8である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の樹脂組成物。
- 上記飽和ケトン(D)が、アセトン、メチルエチルケトン及び2−ヘキサノンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されるバリア層と、
このバリア層の少なくとも一方の面に積層される熱可塑性樹脂層と
を備える多層構造体。 - 請求項6に記載の多層構造体からなる多層シート。
- 上記バリア層と熱可塑性樹脂層とが共押出成形法により積層される請求項7に記載の多層シート。
- 請求項7又は請求項8に記載の多層シートを真空圧空成形法により成形してなる容器。
- ボイル殺菌用又はレトルト殺菌用である請求項9に記載の容器。
- 請求項7又は請求項8に記載の多層シートを加熱延伸成形法により成形してなる包装材。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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