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JP6253259B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関(以下、「エンジン」という)に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関する。
従来、可動コアとニードルとを別部材とし可動コアをニードルに対し相対移動可能に設ける燃料噴射弁が知られている。例えば、特許文献1には、ニードル、可動コア、ニードルを噴孔側に付勢する第1弾性部材、および可動コアを噴孔側とは反対側に付勢する第2弾性部材を備える燃料噴射弁が記載されている。
特開2007−278218号公報
しかしながら、特許文献1に記載の燃料噴射弁では、ニードルと可動コアとはニードルの中心軸に対して垂直に形成されているニードル段差面およびコア段差面により当接している。エンジンの振動などによりニードルが可動コアに対して横滑りする場合、ニードル段差面およびコア段差面が摩耗し、損傷するおそれがある。
本発明の目的は、ニードルと可動コアとを別部材としながらニードルおよび可動コアの摩耗量を低減可能な燃料噴射弁を提供することにある。
本発明の燃料噴射弁は、噴孔および弁座を有するハウジングと、棒状の軸部および軸部より外径が大きい大径部を有しハウジング内に軸方向に往復移動可能に設けられるニードルと、ニードルとは別部材で設けられニードルとともにハウジングの軸方向に往復移動可能な可動コアと、を備え、ニードルは軸部の中心軸に対して傾斜するように形成されるニードルテーパ面を有し、可動コアは軸部の中心軸に対して傾斜するように形成されニードルテーパ面に当接可能なコアテーパ面を有し、ニードルテーパ面が軸部の中心軸に対して形成する角度とコアテーパ面が軸部の中心軸に対して形成する角度とは同じであることを特徴とする。また、本発明の燃料噴射弁は、ニードルと可動コアとは面接触可能であることを特徴とする。
本発明の燃料噴射弁は、ニードルと可動コアとは別部材で設けられている。エンジンの振動などにより燃料噴射弁が振動すると、ニードルと可動コアとは相対移動する。本発明の燃料噴射弁では、ニードルと可動コアとは軸部の中心軸に対して傾斜しかつ同じ角度でテーパ状に形成されているニードルテーパ面とコアテーパ面とで面接触によって当接し、可動コアに対するニードルの相対移動を規制する。これにより、ニードルと可動コアとを別部材としながらニードルおよび可動コアの摩耗量を低減することができる。
また、従来の燃料噴射弁では、ニードルと可動コアとは軸部の中心軸に対して垂直に形成されるニードル段差面とコア段差面とで当接している。一方、本発明の燃料噴射弁では、軸部の中心軸に対して傾斜するように形成されているので、従来の燃料噴射弁に比べてニードルと可動コアとの当接面積が大きくなる。これにより、ニードルテーパ面とコアテーパ面との間に作用する面圧が小さくなり、ニードルおよび可動コアの摩耗量を低減することができる。
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 図1のII部の部分断面図である。 本発明の第1実施形態による燃料噴射弁のコア角度に対するニードルの移動距離の変化を示す特性図である。 本発明の第1実施形態による燃料噴射弁のコア角度に対するニードルと可動コアとの間の面圧の変化を示す特性図である。 本発明の第1実施形態による燃料噴射弁のコア角度に対するニードルの移動距離と面圧との積の変化を示す特性図である。 本発明の第2実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図である。 本発明の第3実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図である。 本発明のその他の実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図である。 本発明のその他の実施形態による燃料噴射弁の要部を示す部分断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を図1および2に示す。なお、図1および図2には、ニードル40が弁座312から離間する方向である開弁方向、およびニードル40が弁座312に当接する方向である閉弁方向を図示する。
燃料噴射弁10は、例えば図示しない直噴式ガソリンエンジンの燃料噴射装置に用いられ、燃料としてのガソリンをエンジンに噴射供給する。燃料噴射弁10は、ハウジング20、ニードル40、可動コア50、固定コア35、コイル38、スプリング24、26等を備えている。
図1に示すように、ハウジング20は、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23および噴射ノズル30から構成されている。第1筒部材21、第2筒部材22および第3筒部材23は、いずれも略円筒状に形成され、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23の順に同軸となるように配置され、互いに接続している。
第1筒部材21および第3筒部材23は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により形成され、磁気安定化処理が施されている。第1筒部材21および第3筒部材23は、硬度が比較的低い。一方、第2筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材料により形成されている。第2筒部材22の硬度は、第1筒部材21および第3筒部材23の硬度よりも高い。
噴射ノズル30は、第1筒部材21の第2筒部材22とは反対側の端部に設けられている。噴射ノズル30は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。噴射ノズル30は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。
噴射ノズル30は、略有底筒状に形成され、底部31および筒部32を有する。底部31は、筒部32の一方の端部を塞いでいる。底部31には、内壁と外壁とを接続する噴孔311が形成されている。また、底部31の内壁には、噴孔311を囲むようにして環状の弁座312が形成されている。筒部32は、外壁が第1筒部材21の内壁に嵌合するようにして第1筒部材21に接続している。筒部32と第1筒部材21との嵌合箇所は溶接されている。
ニードル40は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。ニードル40は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。ニードル40の硬度は、噴射ノズル30の硬度とほぼ同等に設定されている。
ニードル40は、ハウジング20内に収容されている。ニードル40は、軸部41、シール部42、および大径部43等から構成されている。軸部41、シール部42、および大径部43は一体に形成される。
軸部41は、円筒棒状に形成されている。軸部41のシール部42近傍には、摺接部45が形成されている。摺接部45は、略円筒状に形成され、外壁451の一部が面取りされている。摺接部45は、外壁451の面取りされていない部分が、筒部32の内壁321と摺接可能である。これにより、ニードル40は、弁座312側の先端部での往復移動が案内される。軸部41には、軸部41の内壁と外壁とを接続する孔46が形成されている。
シール部42は、軸部41の弁座312側の端部に形成され、弁座312に当接可能である。ニードル40は、シール部42が弁座312から離間または弁座312に当接することにより噴孔311を開閉し、ハウジング20の内部と燃料噴射弁10の外部とを連通または遮断する。
大径部43は、軸部41のシール部42とは反対側に設けられている。大径部43は、その外径が軸部41の外径より大きくなるように形成されている。これにより、大径部43の閉弁方向側には、図2に示すように、テーパ状のニードルテーパ面44が形成される。ニードルテーパ面44は、軸部41の中心軸と同じニードル40の中心軸φに対して90°ではないニードル角度θ1を形成するように傾斜している。第1実施形態による燃料噴射弁10では、ニードル角度θ1は45°以上かつ85°以下の角度である。ニードル角度θ1は、特許請求の範囲に記載の「ニードルテーパ面が軸部の中心軸に対して形成する角度」に相当する。
軸部41が有する軸部外壁面412の大径部43近傍には、窪み411が形成されている。窪み411が形成されている部分の外径は、軸部41の窪み411以外の部分での外径より小さい。窪み411に対向する可動コア50のコア内壁面51と窪み411との間には、燃料が流出入可能なダンパ室19が形成される。窪み411は、特許請求の範囲に記載の「軸部外壁面の一部」に相当する。
本実施形態では、ニードル40は、摺接部45が噴射ノズル30の内壁により支持され、軸部41が可動コア50を介して第2筒部材22の内壁により支持されつつ、ハウジング20の内側を往復移動する。
可動コア50は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成され、表面にはクロムめっきが施されている。可動コア50は、磁気安定化処理が施されている。可動コア50の硬度は比較的低く、ハウジング20の第1筒部材21および第3筒部材23の硬度と概ね同等である。
可動コア50は、コア内壁面51、コア上端面52、およびコアテーパ面53等を有している。コア内壁面51は、ニードル40の軸部41が挿通される貫通孔55を形成する。貫通孔55の固定コア35側の周縁にはコアテーパ面53が形成されている。コアテーパ面53は、テーパ状に形成されコア内壁面51とコア上端面52とを接続する。コアテーパ面53は、図2に示すように、ニードル40の中心軸φに対するコア角度θ2がニードルテーパ面44のニードル角度θ1と同じになるように傾斜しており、ニードルテーパ面44と当接可能である。すなわち、コア角度θ2は、45°以上かつ85°以下の角度である。コア上端面52には、可動コア50が固定コア35の弁座312側の端面36に当接するとき、コア上端面52と端面36との密着を防止する突起521が形成される。コア角度θ2は、特許請求の範囲に記載の「コアテーパ面が軸部の中心軸に対して形成する角度」に相当する。
固定コア35は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材料により略円筒状に形成されている。固定コア35は、磁気安定化処理が施されている。固定コア35の硬度は比較的低く、可動コア50の硬度と概ね同等である。固定コア35は、ハウジング20の内側に固定されるようにして設けられている。固定コア35とハウジング20の第3筒部材23とは溶接されている。
コイル38は、略円筒状に形成され、ハウジング20の特に第2筒部材22および第3筒部材23の径方向外側を囲むようにして設けられている。コイル38は、電力が供給されると磁力を生じる。コイル38に磁力が生じると、固定コア35、可動コア50、第1筒部材21および第3筒部材23に磁気回路が形成される。これにより、固定コア35と可動コア50との間に磁気吸引力が発生し、可動コア50は、固定コア35に吸引される。このとき、可動コア50のコアテーパ面53とニードル40のニードルテーパ面44とは当接しているため、ニードル40は、可動コア50とともに固定コア35側、すなわち開弁方向へ移動する。
スプリング24は、一端が大径部43のスプリング当接面431に当接するよう設けられている。スプリング24の他端は、固定コア35の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ11の一端に当接している。「第1付勢部材」としてのスプリング24は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング24は、ニードル40を可動コア50とともに閉弁方向、すなわち弁座312の方向に付勢している。
スプリング26は、一端が可動コア50の段差面54に当接するよう設けられている。スプリング26の他端は、ハウジング20の第1筒部材21の内側に形成された環状の段差面211に当接している。「第2付勢部材」としてのスプリング26は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、スプリング26は可動コア50をニードル40とともに開弁方向、すなわち弁座312とは反対の方向に付勢している。
本実施形態では、スプリング24の付勢力は、スプリング26の付勢力よりも大きく設定されている。これにより、コイル38に電力が供給されていない状態では、ニードル40のシール部42は、弁座312に着座した状態、すなわち閉弁状態となる。
図1に示すように、第3筒部材23の第2筒部材22とは反対側の端部には、略円筒状の燃料導入パイプ12が圧入および溶接されている。燃料導入パイプ12の内側には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料の中の異物を捕集する。
燃料導入パイプ12および第3筒部材23の径方向外側は、樹脂によりモールドされている。当該モールド部分にコネクタ15が形成されている。コネクタ15には、コイル38へ電力を供給するための端子16がインサート成形されている。また、コイル38の径方向外側には、コイル38を覆うようにして筒状のホルダ17が設けられている。
燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料は、固定コア35、アジャスティングパイプ11、ニードル40の軸部41の内側、孔46、第1筒部材21とニードル40との間、噴射ノズル30とニードル40との間を流通し、噴孔311に導かれる。つまり、ハウジング20の内側には、燃料が流通する燃料通路18が形成されている。なお、燃料噴射弁10の作動時、可動コア50の周囲は燃料で満たされた状態となる。
次に、燃料噴射弁10の作動について説明する。
コイル38に通電されると、固定コア35と可動コア50との間に電磁吸引力が発生する。このとき、スプリング24の付勢力よりスプリング26の付勢力と電磁吸引力との合計が大きくなるため、可動コア50は固定コア35に吸引される。ニードル40は、可動コア50とともに固定コア35側へ移動し、シール部42が弁座312から離座する。これにより、噴孔311は開放された状態となる。燃料導入パイプ12の導入口14から流入した燃料は、燃料通路18を流れ、噴孔311から外部に噴射される。
可動コア50は、コイル38により吸引されて固定コア35側へさらに移動すると、固定コア35に衝突し、開弁方向への移動が規制される。可動コア50が固定コア35に衝突すると、ニードル40は、慣性により、スプリング24の付勢力に抗しつつ、大径部43が開弁方向にオーバーシュートする。このとき、ダンパ室19の容積が増大するため、可動コア50のコア上端面52と固定コア35の端面36との間にある燃料がニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間を経由してダンパ室19に流入する。このとき生じるダンパ効果により、ニードル40が開弁方向に過度にオーバーシュートすることを抑制する。
オーバーシュート後のニードル40は、スプリング24の付勢力により弁座312側に移動する。このとき、ダンパ室19の容積が縮小するため、ダンパ室19の燃料がニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間を経由してコア上端面52と端面36との間に流出する。このとき生じるダンパ効果により、ニードル40が可動コア50に勢いよく衝突することを防ぐ。その後、ニードル40は可動コア50に当接し、開弁中は可動コア50とニードル40とは当接した状態を維持する。
続いて、コイル38への通電がオフされると、固定コア35と可動コア50との間の電磁吸引力が消滅する。このとき、スプリング24の付勢力により可動コア50およびニードル40が弁座312側に移動する。ニードル40のシール部42が弁座312に着座すると、外部への燃料噴射が遮断される。
可動コア50は、弁座312側への移動での慣性により、スプリング26の付勢力に抗しつつ、閉弁方向にアンダーシュートする。このとき、ダンパ室19の容積が増大するため、可動コア50のコア上端面52と固定コア35の端面36との間にある燃料が、ニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間を経由してダンパ室19に流入する。このとき生じるダンパ効果により、可動コア50が閉弁方向に過度にアンダーシュートすることを抑制する。
アンダーシュート後の可動コア50は、スプリング26の付勢力により固定コア35側に移動する。このとき、ダンパ室19の容積が縮小するため、ダンパ室19の燃料がニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間を経由してコア上端面52と端面36との間に流出する。このとき生じるダンパ効果により、可動コア50がニードル40に勢いよく衝突することを防ぐ。その後、可動コア50はニードル40に当接し、閉弁中は可動コア50とニードル40とは当接した状態を維持する。
燃料噴射弁10では、ニードル40がオーバーシュートする開弁初期時、および可動コア50がアンダーシュートする閉弁初期時を除いて、ニードル40と可動コア50とは当接した状態を維持している。このとき、エンジンの振動や燃料噴射弁10内の燃料の脈動により、ニードル40と可動コア50との間には種々の相対運動が発生するおそれがある。第1実施形態による燃料噴射弁10では、ニードル40と可動コア50とは、中心軸φに対してニードル角度θ1をなすようにテーパ状に形成されているニードルテーパ面44と、中心軸φに対してコア角度θ2をなすようにテーパ状に形成されているコアテーパ面53とにより当接している。これにより、ニードル40は、可動コア50に対する種々の相対運動による移動が規制される。可動コア50に対するニードル40の移動が規制されることにより、ニードルテーパ面44とコアテーパ面53とがこすれ合う頻度が減少する。したがって、ニードル40および可動コア50の摩耗量を低減することができる。
また、燃料噴射弁10では、ニードル40および可動コア50は、ニードル角度θ1及びコア角度θ2が85°以下となるよう形成されている。本願出願人は、ニードル角度及びコア角度と摩耗量との関係について、図5に示す関係があることを見いだした。ここでは、図3〜5を基づいて、燃料噴射弁10におけるニードル40および可動コア50の摩耗量を低減する効果を説明する。
一般的に、二つの部材が当接している場合、当接箇所における摩耗量は、当該二つの部材の「移動距離」と「面圧」との積に比例する。ここで、「移動距離」とは、二つの部材の相対的な位置の変化量である。第1実施形態による燃料噴射弁10では、可動コア50に対するニードル40の滑り量がこれに相当する。また、「面圧」とは、二つの部材のうち一方の部材が他方の部材に当接する一方の面において、他方の部材が一方の面に対して垂直に作用させる単位面積当たりの作用力の値である。第1実施形態による燃料噴射弁10では、コアテーパ面53においてニードル40がコアテーパ面53に対して閉弁方向に作用させる単位面積当たりの作用力を作用力Fとすると、面圧Fpは、面圧Fpを閉弁方向と閉弁方向に垂直な方向に分解したとき、作用力Fが閉弁方向の分解成分となる値となる。具体的には、図2に示すように、面圧Fpは、{F/sin(θ2)}で表される。なお、作用力Fは、スプリング24、26の付勢力、および、ニードル40の重さなどから算出可能である。
可動コアに対するニードルの相対的な移動距離は、本願出願人の実測により、図3に示すように、コア角度が90°より小さくなるにつれて小さくなることが明らかとなった。なお、図3では、コア角度が90°の場合の移動距離を1として90°以外のコア角度における移動距離を相対値で表している。また、ニードルが可動コアに作用する面圧は、本願出願人の計算により、図4に示すように、コア角度が90°より小さくなるにつれて大きくなることが明らかとなった。なお、図4では、コア角度が90°の場合の面圧を1として90°以外の角度における面圧を相対値で表している。
燃料噴射弁のコア角度に対する、実測により求められた可動コアに対するニードルの相対的な移動距離と計算により求められたニードルが可動コアに作用する面圧との積の変化を図5に示す。図5の横軸にはコア角度をとり、図5の縦軸には、ニードルおよび可動コアの摩耗量に比例する移動距離と面圧との積をとっている。図5に示すように、コア角度が90°より小さくなるにつれて移動距離と面圧との積は小さくなっている。特に、85°以下のコア角度において移動距離と面圧との積は比較的小さくなり、ニードルおよび可動コアの摩耗量は少なくなる。
これにより、ニードル角度θ1及びコア角度θ2を85°以下としている燃料噴射弁10では、ニードル40および可動コア50の摩耗量をさらに低減することができる。
また、燃料噴射弁10では、ニードル40および可動コア50は、ニードル角度θ1及びコア角度θ2が45°以上となるよう形成されている。これにより、ニードル40と可動コア50との相対運動により、ニードル40が可動コア50の貫通孔55に圧入されることを防止することができる。
また、従来の燃料噴射弁では、ニードルと可動コアとはニードルの中心軸に対して垂直な面で互いに当接している。このときのニードルと可動コアとの当接面積は、最大で大径部の断面積から軸部の断面積を除いた面積である。一方、第1実施形態による燃料噴射弁10では、ニードルテーパ面44とコアテーパ面53とが当接している。このときのニードルと可動コアとの当接面積は、ニードルテーパ面44およびコアテーパ面53がニードル40の中心軸φに対して傾斜するように形成されているため、大径部の断面積から軸部の断面積を除いた断面積より大きくなる。すなわち、同じ大きさの大径部であっても、従来の燃料噴射弁に比べて大きな面積でニードルと可動コアとが当接することができる。これにより、第1実施形態による燃料噴射弁10では、ニードルテーパ面44およびコアテーパ面53での面圧が小さくなり、ニードル40および可動コア50の摩耗量を低減することができる。
また、ニードル40がオーバーシュートする開弁初期時および可動コア50がアンダーシュートする閉弁初期時にダンパ室19に流出入する燃料は、ニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間を経由する。このとき、ニードルテーパ面44とコアテーパ面53との間の距離が長いほど、燃料はダンパ室19に流出入しにくくなる。これにより、燃料噴射弁10では、従来の燃料噴射弁に比べて開弁初期時および閉弁初期時におけるダンパ室19のダンパ効果をさらに大きくすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による燃料噴射弁を図6に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態と異なり、ニードルテーパ面とコアテーパ面の大きさの関係が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図6に第2実施形態による燃料噴射弁におけるニードル60と可動コア70との当接箇所の部分断面図を示す。
ニードル60に形成されるニードルテーパ面64は、その面積が可動コア70に形成されるコアテーパ面73の面積より小さくなるように形成されている。また、ニードルテーパ面64の縁部のうち、窪み611に接続する弁座312側の弁座側内縁部641は、ニードル60が可動コア70に当接するときコアテーパ面73に当接する。また、ニードルテーパ面64の縁部のうち、弁座312側とは反対側であって大径部63の最外壁631に接続する反弁座側外縁部642は、ニードル60が可動コア70に当接するときコアテーパ面73に当接する。
通常、可動コアは表面をクロムめっきされており、ニードルに比べて硬く形成されている。このため、燃料噴射弁の作動時にニードルの中心軸と可動コアの中心軸とがずれる場合、可動コアの端部がニードルに当接することでニードルが摩耗するおそれがある。第2実施形態による燃料噴射弁では、ニードルテーパ面64は、その面積がコアテーパ面73の面積より小さく、かつニードル60が可動コア70に当接するとき弁座側内縁部641および反弁座側外縁部642が同時にコアテーパ面73に当接するように形成されている。これにより、コアテーパ面73の縁部がニードルテーパ面64に当接することを防止することができる。したがって、ニードル60の摩耗量を低減することができる。
また、燃料噴射弁の製造時にニードル60の中心軸に対するニードルテーパ面64の角度θ1とニードル60の中心軸に対するコアテーパ面73の角度θ2とがずれて製造されても、コアテーパ面73の縁部がニードルテーパ面64に当接することを防止することができる。したがって、ニードルの摩耗量を低減するとともに燃料噴射弁のロバスト性を向上することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による燃料噴射弁を図7、8に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態と異なり、ニードルの構成が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態による燃料噴射弁では、ニードル80の軸部81と大径部83とが別部材となっている。図7に示すように、軸部81に対して円環状の大径部83を圧入固定することによりニードル80が形成される。また、図8に示すようにスプリング24の一端が当接するニードル80のスプリング当接面831までを大径部83として別部材にしてもよい。別部材となっている大径部83は、軸部81とは異なる比較的硬い材料で形成されている。大径部83に形成されるニードルテーパ面84には、可動コア50のコアテーパ面53に当接する。
第3実施形態による燃料噴射弁では、比較的硬い金属材料から形成される可動コア50のコアテーパ面53に当接するニードルテーパ面84を硬い材料とすることができるため、ニードル80の摩耗量を低減することができる。
また、図8に示すようにスプリング24の付勢力が作用するスプリング当接面831も比較的硬い材料とすることができるため、スプリング24の付勢力によるニードル80の変形を防止することができる。
(他の実施形態)
(a)上述の実施形態では、ニードルテーパ面およびコアテーパ面がニードルの中心軸に対して形成するニードル角度及びコア角度は、45°以上かつ85°以下であるとした。しかしながら、ニードルテーパ面およびコアテーパ面のニードル角度及びコア角度はこれに限定されない。45°より小さい角度であってもよいし、90°より小さくかつ85°より大きい角度であってもよい。
(b)上述の実施形態では、ダンパ室は、可動コアの内壁面とニードルの窪みとにより形成されるとした。しかながら、ダンパ室が形成される構成はこれに限定されない。可動コアの内壁面に窪みが形成され、当該内壁面の窪みに対向するニードルの軸部外壁面との間にダンパ室が形成されてもよいし、可動コアの内壁面および可動コアの内壁面に対向するニードルの軸部外壁面のいずれにも窪みが形成され、これによりダンパ室が形成されてもよい。
(c)上述の実施形態では、ニードルと可動コアとの間にダンパ室が形成されるとした。しかしながら、ダンパ室は形成されなくてもよい。
(d)上述の第3実施形態では、ニードルの軸部と大径部とを別部材とし、大径部は軸部に圧入固定されるとした。しかしながら、軸部と大径部との固定方法はこれに限定されない。図9、10に示すように、大径部83を軸部81に対してCリング86により固定してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
10 ・・・燃料噴射弁、
18 ・・・燃料通路、
20 ・・・ハウジング、
311 ・・・噴孔、
312 ・・・弁座、
35 ・・・固定コア、
38 ・・・コイル、
40 ・・・ニードル、
41 ・・・軸部、
43 ・・・大径部、
44 ・・・ニードルテーパ面、
50 ・・・可動コア、
53 ・・・コアテーパ面、
φ ・・・中心軸、
θ1 ・・・ニードル角度、
θ2 ・・・コア角度。

Claims (8)

  1. 軸方向の一端に形成され燃料が噴射される噴孔(311)、前記噴孔の周囲に形成される弁座(312)、および前記噴孔への燃料が流通する燃料通路(18)を有する筒状のハウジング(20)と、
    前記ハウジング内に軸方向に往復移動可能に設けられ、棒状の軸部(41、81)、前記軸部の前記弁座側の端部に形成されるシール部(42)、前記軸部の前記シール部とは反対側の端部に形成され前記軸部より外径が大きい大径部(43、63、83)、および前記軸部の中心軸(φ)に対して傾斜するように形成されるニードルテーパ面(44、64、84)を有し、前記シール部が前記弁座に当接または離間することで前記噴孔を開閉するニードル(40、60、80)と、
    通電されることにより磁界を発生するコイル(38)と、
    前記ハウジング内で前記コイルが発生する磁界内に固定される固定コア(35)と、
    前記固定コアの前記弁座側に前記ニードルとは別部材で設けられ、前記軸部の中心軸に対して傾斜するように形成され前記ニードルテーパ面に当接可能なコアテーパ面(53、73)を有し、前記ニードルとともに前記ハウジングの軸方向に往復移動可能な可動コア(50、70)と、
    前記ニードルを閉弁方向に付勢する第1付勢部材(24)と、
    前記可動コアを開弁方向に付勢する第2付勢部材(26)と、
    を備え、
    前記ニードルテーパ面が前記軸部の中心軸に対して形成する角度(θ1)と前記コアテーパ面が前記軸部の中心軸に対して形成する角度(θ2)とは、同じであって、
    前記ニードルと前記可動コアとは面接触可能であることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記ニードルテーパ面および前記コアテーパ面は、前記弁座に近づくに従って前記中心軸に近づくよう形成されている請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記ニードルテーパ面が前記軸部の中心軸に対して形成する角度は、45°以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記ニードルテーパ面が前記軸部の中心軸に対して形成する角度は、85°以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記可動コア(50)は、前記ニードルの前記軸部の外径より大きい内径を有するコア内壁面(51)を有し、
    前記コア内壁面が形成する貫通孔(55)に挿通される前記軸部の前記コア内壁面に対向する軸部外壁面の一部(411)または前記コア内壁面の一部の少なくとも一方は、凹むように形成され、
    前記軸部外壁面の一部と前記コア内壁面との間、前記軸部外壁面と前記コア内壁面の一部との間、または前記軸部外壁面の一部と前記コア内壁面の一部との間には、前記燃料通路を流れる燃料が流出入可能なダンパ室(19)が形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記ニードルテーパ面の面積は、前記コアテーパ面の面積より小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記ニードルテーパ面(64)の縁部のうち、前記ニードルテーパ面の前記弁座側の弁座側内縁部(641)、および前記ニードルテーパ面の前記弁座側とは反対側の反弁座側外縁部(642)は、前記ニードルテーパ面と前記コアテーパ面とが当接するとき、前記コアテーパ面(73)に当接することを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
  8. 前記軸部(81)と前記大径部(83)とは別部材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
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