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JP6133609B2 - 圧電部品 - Google Patents

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Description

本発明は、高信頼性および高精度な周波数特性が求められる圧電部品に関するものである。
従来、支持基板と、該支持基板に搭載された圧電素子と、該圧電素子を覆うように前記支持基板に設けられた枠体および天板からなるキャップとを含み、前記枠体の底部が封止材によって接合された圧電部品(レゾネータ)が知られている(特許文献1を参照)。
特開平06−037579号公報
上記の圧電部品は、封止材を介してキャップが接合されていることで、キャップ内の気密性を保持するとともに外部からの衝撃に対して圧電素子を保護するような構造になっている。
しかしながら、この圧電部品を長期間駆動させると、キャップ(枠体)の底部と封止材との間で剥がれが生じて隙間ができるおそれがある。さらに、この隙間から大気中の水分や異物が入ることで、電極の形成成分(例えば銀)のマイグレーション等が生じてしまい、周波数特性が変化するおそれもある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、キャップ(枠体)の底部と封止材との間での剥がれが抑制された圧電部品を提供することを目的とする。
本発明の圧電部品は、支持基板と、該支持基板に搭載された圧電素子と、該圧電素子を覆うように前記支持基板に設けられた枠体および天板からなるキャップとを含み、前記枠体の底部が封止材によって接合されてなる圧電部品であって、前記枠体の底部は内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっているとともに、前記枠体の底部は、前記枠体の外壁面に近い外壁面側の領域よりも前記枠体の内壁面に近い内壁面側の領域のほうが高くなった高低差のある形状なっており、前記支持基板の主面上に設けられた容量形成用の誘電体層が、前記枠体の内側から前記底部の内壁面側の高くなっている領域
まで配置されていることを特徴とする。
また本発明の圧電部品は、上記の構成において、前記枠体の底部は前記封止材と接着される接合面を複数有していることを特徴とする。
また本発明の圧電部品は、上記の構成において、前記枠体の底部は階段状になっていることを特徴とする。
また本発明の圧電部品は、上記の構成において、前記枠体の底部を横切るように前記支持基板の主面に垂直な平面で切断した断面のうち、前記底部の全ての領域が封止材と接合されている断面を有していることを特徴とする。
また本発明の圧電部品は、上記の構成において、前記枠体の底部の全ての領域が封止材
と接合されている断面が、前記枠体の全周にわたっていることを特徴とする。
本発明によれば、枠体の底部が内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっていることで、駆動時の面内方向(支持基板の主面と同一の平面方向)の振動に対して面内方向以外で振動を受ける部分ができるため、駆動時の面内の振動に対して強くなる。その結果、キャップ(枠体)の底部と封止材との間にずれが生じにくいので、剥がれが抑制されて封止が保たれ、安定した周波数特性が得られる。
(a)は本発明の圧電部品の実施の形態の一例を示す一部省略概略平面図、(b)は(a)に示すA−A線で切断した概略断面図、(c)は(b)に示す破線領域Bの拡大図である。 本発明の圧電部品の実施の形態の他の例を示す要部拡大断面図である。 (a)および(b)は本発明の圧電部品の実施の形態の他の例を示す要部拡大断面図である。 本発明の圧電部品の実施の形態の他の例を示す一部省略概略平面図
本発明の圧電部品の実施の形態の例について図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は本発明の圧電部品の実施の形態の一例を示す一部省略概略平面図、図1(b)は図1(a)に示すA−A線で切断した概略断面図、図1(c)は図1(b)に示す破線領域Bの拡大図である。
図1に示す例の圧電部品は、支持基板1と、支持基板1に搭載された圧電素子2と、圧電素子2を覆うように支持基板1に設けられた枠体41および天板42からなるキャップ4とを含み、枠体41の底部411が封止材5によって接合されてなる圧電部品であって、枠体41の底部411は内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっている。
支持基板1は、例えば、長さが2.5mm〜7.5mm、幅が1.0mm〜3.0mm、厚みが0.1mm〜1mmの四角形状の平板として形成された支持基板本体11を含んでいる。この支持基板本体11としては、アルミナ等のセラミック材料、及びガラスエポキシ等の樹脂系材料を用いることができる。
支持基板1を構成する支持基板本体11の下面には、一対の信号端子121、122およびグランド端子13が設けられている。また、支持基板本体11の上面には、信号端子121、122と電気的に接続されるように配線導体141、142が設けられている。これらは、例えば金,銀,銅,アルミニウム、タングステン等の金属粉末を含む導電性ペーストを印刷し、焼結させてなるものである。また、必要に応じてNi/Au、Ni/Sn等のめっきを形成したものでもよい。
支持基板1の上には、圧電素子2が両端を固定されるようにして搭載されている。具体的には、圧電素子2の両端部が導電性接合材3によって支持基板1上に振動可能に固定されている。
圧電素子2を構成する圧電体21は、例えば、長さが1.0mm〜4.0mm、幅が0.2mm〜2mm、厚みが40μm〜1mmの四角形状の平板として形成され、長さ方向または厚み方向に分極処理されたものである。この圧電体21は、例えば、チタン酸鉛,チタン酸ジルコン酸鉛,ニオブ酸ナトリウム,ニオブ酸カリウム,ビスマス層状化合物等を基材とする圧電セラミックスや、タンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶を用いて形成することができる。
また、圧電素子2は、圧電体21の一方主面および他方主面にそれぞれ互いに対向する領域を有するように配置された電極(励振電極22、23)を備えている。圧電体の21の上側の主面に設けられた励振電極22は一方の端部から他方の端部側に向けて延びるように設けられ、圧電体の21の下側の主面に設けられた励振電極23は他方の端部から一方の端部側に向けて延びるように設けられ、それぞれ互いに対向する領域を有している。この励振電極22、23は、例えば金,銀,銅,アルミニウム等の金属を用いることができ、それぞれ圧電体21の表面に例えば0.1μm〜3μmの厚みに被着される。そして、導電性接合材3を介して圧電素子2の励振電極22が配線導体141と電気的に接続されているとともに、導電性接合材3を介して圧電素子2の励振電極23が配線導体142と電気的に接続されている。
ここで、導電性接合材3は、支持基板1の上面と圧電素子2の下面との間に所定の空間(間隙)を確保する機能も有している。このような導電性接合材3としては、例えばはんだや導電性接着剤等が用いられ、はんだであれば、例えば銅,錫,銀からなる鉛を含まない材料等を用いることができ、導電性接着剤であれば、銀,銅,ニッケル等の導電性粒子を75〜95質量%含有したエポキシ系の導電性樹脂またはシリコーン系の樹脂を用いることができる。
このような圧電素子2は、両端部から励振電極22および励振電極23間に電圧を印加したとき、励振電極22と励振電極23とが対向する領域において、特定の周波数で厚み縦振動もしくは厚みすべり振動の圧電振動を発生させるようになっているものである。
支持基板1の上には圧電素子2を覆うようにキャップ4が設けられている。このキャップ4は、例えば厚み250〜300μmの枠体41および天板42からなり、枠体41の底部411が封止材5によって支持基板1の上面の周縁部に接合されている。これにより、支持基板1とともに形成した空間に収容されている圧電素子2を外部からの物理的な影響や化学的な影響から保護する機能と、支持基板1とともに形成した空間内への水等の異物の浸入を防ぐための気密封止機能を有している。
キャップ4の材料として、例えば、SUSなどの金属、アルミナなどのセラミックス,樹脂,ガラス等を用いることができる。また、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂材料に無機フィラーを25〜80質量%の割合で含有させて支持基板1との熱膨張係数の差を小さくするようにしたものでもよい。
また、封止材5の材料として、エポキシ系、エポキシアクリレート系、シリコーン系の接着剤などが挙げられる。
そして、枠体41の底部411は内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっている。
枠体41の底部411が内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっていることで、駆動時の面内方向(支持基板1の主面と同一の平面方向)の振動に対して
面内方向以外で振動を受ける部分ができるため、駆動時の面内の振動に対して強くなる。その結果、キャップ4(枠体41)の底部411と封止材5との間にずれが生じにくいので、剥がれが抑制されて封止が保たれ、安定した周波数特性が得られる。
なお、ここでいう高低差とは、最も高い点と最も低い点との差(図に示す高さH)を意味し、図1(c)に示す形態においては、底部411における傾斜面と内壁面との交点が最も高い点で、底部411における水平面が最も低い点である。この高低差Hとして、例えば25〜75μmの差であるのが、キャップ4の強度を維持しつつ、上述の効果を有する点で好ましい。
ここで、図1(c)、図2に示すように、枠体41の底部411は外壁面の領域よりも内壁面の領域が高くなっているのが好ましい。なお、図1(c)および図2において、底部411の位置が高くなっており、封止材5の厚みが厚くなっている側が内壁面の領域である。この構成によれば、枠体41の底部411の内壁面側の高くなっている領域の下に封止材5が多く存在することになるので、駆動時の内圧の変化に対して、内圧を受け止める役割を果たすことができる。その結果、内圧の変化に対して、封止性を保持できる。
また、図1(c)、図2および図3に示すように、枠体41の底部411は封止材5と接着される接合面を複数有しているのが好ましい。ここでいう接合面とは平坦な面のことを意味し、水平面と傾斜面のどちらも含まれる。この構成によれば、接合面積が広がり、密着性(封止性)が良くなる。具体的には、封止材5とキャップ4(枠体41)の底部411との界面の数が増え、隣り合う界面と界面との間で屈曲した構造となり、界面に形成されたマイクロクラックの進展を食い止めることができる。
また、図3に示すように、枠体41の底部411は階段状になっているのが好ましい。この構成によれば、面内方向(支持基板1の主面と同一の平面方向)の振動に対して、垂直な部分に接合している部分ができ、面内方向の振動に対してより強くなる。したがって、より封止性を保持できるようになる。なお、階段状としては、2段以上の階段状になっていてもよいが、上記の効果の点では図3に示すような1段の階段状でもよい。この場合の段差Hは例えば25〜75μmであるのが効果的である。
また、図3(a)に示すように、少なくとも段差を形成する角の部分に接合材5があり、枠体41の底部411を横切るように支持基板1の主面に垂直な平面で切断した断面のうち、底部411の全ての領域が封止材5と接合されていない場合でも外部の振動を内部の素子に伝えることが無くなる点でよいが、図3(b)に示すように、枠体41の底部411を横切るように支持基板1の主面に垂直な平面で切断した断面のうち、底部411の全ての領域が封止材5と接合されている断面を有しているのが好ましい。更には、枠体41の内壁面または該壁面に這い上がるように接合材5が形成されるのが好ましい。これにより、底部411の幅方向の接合面積が広がり、密着性(封止性)が良くなる。
さらに、枠体41の底部411の全ての領域が封止材5と接合されている断面が、枠体41の全周にわたっているのがよく、これにより、底部411の周方向の接合面積が広がり、密着性(封止性)が良くなる。
さらに、図4に示すように、支持基板本体11の上面に、配線導体143、誘電体層144、配線導体145およびオーバーコート層(例えばガラス層)146を順次印刷して積層構造を形成することによって支持基板本体11上で容量を形成する場合には、印刷パターンを枠体41の内側から底部411の内壁面側の高くなっている領域まで拡大できる。特に、図4に示すように、支持基板1の主面上に設けられた容量形成用の誘電体層144が、枠体41の内側から底部411の内壁面側の高くなっている領域まで配置されているのが好ましく、この構成により、誘電体層144の面積を増やすことができて容量値を大きくすることができ、作製できる容量値の幅が広がる。そのため使用するICと相性のいい、容量値を作製できる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更・改良等が可能である。
次に、本実施の形態の圧電部品の製造方法の例について説明する。
まず、支持基板1を作製するための多数個取り基板を作製する。例えば、原料粉末を水や分散剤と共にボールミルを用いて混合した後に、バインダ,溶剤,可塑剤等を加えてグリーンシートとする。このグリーンシートに必要により孔加工を施した後、金,銀,銅,アルミニウム,タングステン等の金属粉末を含む導電性ペーストを印刷し、積層する。これを例えば900℃〜1600℃のピーク温度で焼成する。
次に、圧電素子2を構成する圧電体21は、例えば、原料粉末を水や分散剤と共にボールミルを用いて混合した後に、バインダ、可塑剤等を加え、乾燥、整粒した。このようにして得られた原料をプレス成型後、焼成し、圧電磁器を得る。得られた圧電磁器の端面に電極を形成し、例えば25℃〜300℃の温度にて厚み方向に例えば0.4kV/mm〜6kV/mmの電圧をかけて分極処理を行う。
圧電体21の上下面に形成される励振電極22および励振電極23は、得られた圧電磁器に、真空蒸着法,PVD法,スパッタリング法等を用いて圧電体21の上下面に金属膜を被着させ、厚みが1μm〜10μm程度のフォトレジスト膜をそれぞれの金属膜上にスクリーン印刷等を用いて形成した後に、フォトエッチングによってパターニングすることによって、形成することができる。パターンニングされた圧電磁器を所定のサイズにダイシング等でカットすることにより圧電素子2が作製される。
そして、導電性接合材3を用いて、圧電素子2を多数個取り基板の上に搭載し、固定する。導電性接合材3が金属粉末を樹脂中に分散させてなる導電性接着剤の場合は、この導電性接着剤をディスペンサ等を用いて配線導体141、142の上に塗布しておいて、圧電素子2を載せ、加熱または紫外線照射により導電性接着剤の樹脂を硬化させればよい。
次に、多数個取り基板の上に圧電素子2が搭載された状態で周波数調整を行う。周波数調整は圧電素子2表面に形成された励振電極22,23を、イオンガン等によりエッチングし、長さや厚みを変えることや設計値を変えることでICにマッチングさせる。また発振周波数の調整は、イオンガン照射時に信号端子121、122とグランド端子13に発振周波数測定用の端子を接続し、発振周波数を測定しながら行い、所定の周波数になった時点でイオンガンの照射を停止する方法にて実施する。
そして、圧電素子2を覆うようにして、キャップ4の枠体41の底部411(開口周縁面)を支持基板1の上面の周縁部に接合する。キャップ4としては複数の凹部有する多数個取りの集合キャップシートを用いて、凹部が圧電素子2を覆うようにして集合キャップシートを多数個取り基板の上に乗せ、キャップ4の底部411(開口周縁面)となる集合キャップシートの凸部を支持基板1の上面の周縁部に接合する。例えば、準備しておいたキャップ4の底部411(開口周縁面)となる集合キャップシートの凸部に封止材5(熱硬化性の絶縁性接着剤)を塗布し、キャップ4を支持基板1の上面に載せる。しかる後に、キャップ4または支持基板1を加熱することにより封止材5を100〜150℃に温度上昇させて硬化させ、キャップ4を支持基板1の上面に接合する。
なお、キャップ4の枠体41の底部411が内壁面と外壁面との間の領域において高低差のある形状になっている構成は、あらかじめ金型などで加工しておけばよい。
最後に、各圧電部品(個片)の境界にそってダイシング等で切断する。
以上の方法により、本発明の圧電部品が作製される。以上のような方法によれば、温度変化によっても周波数の変動が少ない圧電部品を生産性よく製造することが可能となる。
1:支持基板
11:支持基板本体
121、122:信号端子
13:グランド端子
141、142:配線導体
2:圧電素子
21:圧電体
22、23:励振電極
3:導電性接合材
4:キャップ
41:枠体
411:底部
42:天板
5:封止材

Claims (5)

  1. 支持基板と、該支持基板に搭載された圧電素子と、該圧電素子を覆うように前記支持基板に設けられた枠体および天板からなるキャップとを含み、前記枠体の底部が封止材によって接合されてなる圧電部品であって、
    前記枠体の底部は、前記枠体の外壁面に近い外壁面側の領域よりも前記枠体の内壁面に近い内壁面側の領域のほうが高くなった高低差のある形状なっており、
    前記支持基板の主面上に設けられた容量形成用の誘電体層が、前記枠体の内側から前記底部の内壁面側の高くなっている領域まで配置されていることを特徴とする圧電部品。
  2. 前記枠体の底部は、前記封止材と接着される接合面を複数有していることを特徴とする請求項1に記載の圧電部品。
  3. 前記枠体の底部は階段状になっていることを特徴とする請求項2に記載の圧電部品。
  4. 前記枠体の底部を横切るように前記支持基板の主面に垂直な平面で切断した断面のうち、前記底部の全ての領域が封止材と接合されている断面を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の圧電部品。
  5. 前記枠体の底部の全ての領域が封止材と接合されている断面が、前記枠体の全周にわたっていることを特徴とする請求項4に記載の圧電部品。
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