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JP6121196B2 - プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造 - Google Patents

プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造 Download PDF

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プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造とその固定方法に関する。
特許文献1には、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重を裏面上部にある荷重受けブロック下部で支持する荷重受けボルトの記載があるが、この荷重受けボルトの回り止め(ゆるみ止め)に関しては記載がない。ただし、荷重受けブロック部の下部での位置調整はできないので、プレキャストコンクリートカーテンウォールを建込む前にレベル等の位置調整した後に何らかの方法で固定する必要があると考えられる。
そこで上方から荷重受けボルトを回して位置調整しやすいように、現在では図3に示すように、荷重受けブロック部2’の下部にアングル7’を設置し、このアングル7’の下に荷重受けナット6’を、上部に鋼製の鞘管8’とアングル定着筋9’が溶接されている。このようにして鞘管8’を用いて前記ブロック部に貫通穴を設けて置く。荷重受けブロック部2’の上部から、回転止めナット13’を有する荷重受けボルト4’を差し込んで位置調整した後、回転止めナット13’を締めつける。さらに、荷重受けブロック部2’の上端部に埋設されている定着金物と回転止めナット13’とを溶接11’し、さらに回転止めナット13’と荷重受けボルト4’とを溶接11’することで、荷重受けボルト4’の回転止めを行っているのが一般的である。
また、ダブルナットや回転止めナット13にゆるみ止めリングを使用することも考えられるが、荷重受けボルトが上方向へゆるむのには効果が期待できない。なお、通常時には、荷重受けボルトは回ってゆるむことはないが、地震時には大きな荷重変動を伴う振動により、ボルトが上方向に移動するように回転してゆるむと考えられている。
特開平9-242233
溶接作業では溶融金属や熱い金属粒子が飛散する。外周部で実施すると、通行人への影響、窓ガラスへの影響、外装への汚れの付着、養生の完璧性の確保等と問題が多くあることから、溶接せずにプレキャストコンクリートカーテンウォールの取付けを行いたいという要望がある。
本発明は、上記事情鑑み、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの回り止めを溶接作業することなく行うことのできる構造と、プレキャストコンクリートカーテンウォール荷重受けボルトの回り止めを溶接作業することなく容易に行う方法を提供することを目的とする。
係る目的を達成するために、請求項1に係わる発明では、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けブロック部にある荷重受けボルトの周辺の上端部コンクリートが座掘りされ、前記座掘りされた部分まで荷重受けボルトの頭の一部が差し込まれて固定された後に、前記座掘り部分に充填材が充填されたプレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造であって、前記荷重受けボルトは、ナットが溶接された全ネジボルト、軸の円筒部に開けた軸方向と直交する穴にピンの一部を差し込んで固定し残部を突出させたボルト、軸の円筒部の一部を切り欠いたボルト、頭と内接する六角形の鞘管を被せて落とし込んだボルトの4種類のうち、いずれかのボルトであることを特徴とする。
上記構成に係わる本発明のプレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造によれば、充填した充填材の硬化により、充填材の充填した範囲にボルトの頭があることから、充填した充填材と荷重受けボルト4が嵌合しあうので、荷重受けボルトの回り止めが確実に行われる。荷重受けボルト4は、通常200〜350mm程度の長さのものが使用されているが50mm程度短い長さのものを使用すればよく、コストダウンにもつながる。
他の固定構造としては、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けブロック部にある荷重受けボルトの周辺の上端部コンクリートが座掘りされ、少なくとも前記座掘りされた部分に位置する荷重受けボルトの軸又はボルト頭に嵌合する金物の水平断面の一部分が異形である荷重受けボルトが差し込まれて固定された後に、前記座掘り部分に充填材が充填されたものがある。
上記構成に係わる本発明のプレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造によれば、充填した充填材の硬化により、充填材の充填した範囲に、荷重受けボルトの軸又はボルト頭に嵌合する金物の水平断面の一部分が異形であること、すなわち円形断面でないことから、充填した充填材と荷重受けボルトが嵌合しあうので荷重受けボルトの回り止めが確実に行われる。
荷重受けボルトの固定方法としては、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けブロック部にある荷重受けボルトの周辺の上端部コンクリートを座掘りしたプレキャストコンクリートカーテンウォールを製作する工程と、該コンクリートカーテンウォールを躯体に建て込む工程と、前記座掘りされた部分まで荷重受けボルトの頭の一部が差し込まれた前記ボルトを回転させて該コンクリートカーテンウォールの垂直位置を調整する工程、叉は少なくとも座掘りされた部分に位置する荷重受けボルトの軸又はボルト頭に嵌合する金物の水平断面の一部分が異形である荷重受けボルトが差し込まれた前記ボルトを回転させて該コンクリートカーテンウォールの垂直位置を調整する工程と、座掘り部分に充填材を充填すること工程を有するものがある。
上記の構成に係わる本発明のプレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定方法によれば、充填した充填材の硬化により、充填材の充填した範囲に、ボルトの頭又は荷重受けボルト水平断面の一部分が異形であることから、充填した充填材と荷重受けボルトが嵌合しあうので、荷重受けボルトの回り止めが確実に行われると共に、プレキャストコンクリートカーテンウォールを建て込んだ後に、室内側の下方向への作業となるので容易に固定作業を行うことができる。
本発明に係るプレキャストコンクリートカーテンウォール(以下、PCカーテンウォールと称する)の荷重受けボルトの固定構造によれば、充填した充填材の硬化により、充填材の充填した範囲に、ボルトの頭又は荷重受けボルト水平断面の一部分が異形であること、すなわち円形断面でないことから、充填した充填材と荷重受けボルトが嵌合しあうので、荷重受けボルトの回り止めが確実に行われる。
本発明に係るPCカーテンウォールの荷重受けボルトの固定方法によれば、充填した充填材の硬化により、充填材の充填した範囲に、ボルトの頭又は荷重受けボルト水平断面の一部分が異形であること、すなわち円形断面でないことから、充填した充填材と荷重受けボルトが嵌合しあうので、荷重受けボルトの回り止めが確実に行われると共に、室内側上方から下方に向けて作業なので、固定作業を容易に行うことができる。
本発明に係る固定構造を適用した場合の一実施例を示すPCカーテンウォールの面内方向の断面図である。 本発明に係る固定構造を適用した場合の別の一実施例を示す側断面図である。 従来のPCカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造を示すPCカーテンウォールの面内方向の断面図である。
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る荷重受けボルト4の固定構造をPCカーテンウォールに適用した場合の一実施例を示すもので、PCカーテンウォールを建物に取り付けた状態を示すPCカーテンウォール面内方向の荷重受けブロック部2の断面図である。
なお、荷重受けブロック部2は、PCカーテンウォール裏面1にある。特開平9-242233にも示されるように、PCカーテンウォールの幅が1m以上ある場合には、荷重受けブロック部2は裏面側の上部に左右一対設けられている。1m以下である場合には、左右の荷重受けブロック部2を一体とすることもある。なお、ファスナーの構造、作用は従来技術と同一であり図示しない。
荷重受けブロック部2の下部には、アングル7が打込まれており、このアングル7の下側には荷重受けナット6が溶接され、上側には荷重受けボルト4の径より若干大きい内径を有する鋼製の鞘管8とアングル定着筋9が溶接されている。荷重受けブロック部2の上端部は逆四角錐台形に座掘りされ、座掘りされた部分の底に鞘管8の上部が取り付いている。この鞘管内に荷重受けボルト4が差し込まれ、荷重受けナット6から下に突き出した荷重受けボルト4のネジ先が躯体側荷重受け部3に接触してPCカーテンウォールの荷重を支持すると共に、荷重受けボルト4の頭の大部分が座掘り部分に入り込んだ状態で座掘り部に充填材としてモルタル5が充填された後に硬化している。座掘り部形状は、座掘り部が回転しないようにするために逆多角錐台形が好ましい。充填材としては、モルタル以外にコンクリート、エポキシ樹脂接着剤等を使用することができる。
図2は、本発明に係る荷重受けボルト4の固定構造をPCカーテンウォールに適用した場合の別の一実施例を示す側断面図である。図1に示す実施例との違いは、セメントのノロ止め用Оリングの有無にある。
荷重受けボルト4の軸は、円筒部とネジ部から構成されており、モルタル4に埋設される部分の軸が円筒部のみで構成されると、円筒表面とモルタルの付着力のみで荷重受けボルト4の回転を拘束することになり、この拘束力は著しく弱くかつ信頼性を欠くことになる。
そこで、本発明では荷重受けボルト4の頭の少なくとも一部をモルタル4に埋設するか、モルタル4に埋設する荷重受けボルト4の軸の一部の水平断面が円形以外の異形断面とし、モルタル4が硬化した後には、物理的にモルタル4と嵌合させることにより、充填したモルタル5が破壊しない限り、荷重受けボルト4は回転することがなくなる。水平断面が円形以外の異形断面とする方法は数多く存在し、例えば、全ネジボルトを使用する、さらにナットを溶接した全ネジボルトを使用する、円筒部に軸方向と直交する穴を開け、ピンの一部を差し込んで固定し残部を突出させたボルトを使用する。円筒部の一部を切り欠いたボルトを使用する、ボルト頭と内接する六角形の鞘管を被せて落とし込む(いずれも不図示)等である。
次に、上記一実施例のPCカーテンウォールの製造方法、荷重受けボルト4の固定方法を含む施工方法について、詳細に説明する。
座掘り部分を形成する逆四角錐台形のコーンを鞘管上部に取り付けて、セッティングボルトでアングル7を型枠にセッティングする。型枠板の外部に荷重受けナット6が突出する場合は、嵩上する治具を用いセッティングナットを締めつけてセッティングする。このセッティング方法自体は、図3に示す従来の固定構造とする場合と同一である。通常の方法で配筋してからコンクリートを打設、所定の養生を行ってから脱型し、ストックヤードで保管する。
次に、現場での施工方法について説明する。
本発明の荷重受けボルト4がねじ込まれているPCカーテンウォールをクレーンで揚重し(揚重した後に荷重受けボルト4をねじ込んでもよい)、通常H形鋼からなる躯体側荷重受け部3の所定の位置に降ろしてから、荷重受けボルト4を回してレベル等の位置を決めた後、ファスナーで面外方向の動きを拘束する。その後、モルタル4を充填し、そのまま静置することで荷重受けボルト4が固定される。躯体とのPCカーテンウォールとの取り合いで、モルタルを充填しにくい場合には、グラウトモルタルを使用することもできる。この時には、グラウトモルタルが漏れ出さないように、鞘管と荷重受けボルトの間を塞ぐ目的で、ボルトの円筒部に溝を切り、この溝にОリング10をセメントのノロ止め用として予め装着しておくことが好ましい。また別の方法として鞘管上部と荷重受けボルトの間にシーリング材を打つこともできる。
1 PCカーテンウォール裏面
2 2’ 荷重受けブロック部
3 3’ 躯体側荷重受け部
4 4’ 荷重受けボルト
5 充填モルタル
6 6’ 荷重受けナット
7 7’ アングル
8 8’ 鞘管
9 9’ アングル定着筋
10 Оリング
11 11’ 溶接
12’ 定着金物
13’ 回転止めナット

Claims (1)

  1. プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けブロック部にある荷重受けボルトの周辺の上端部コンクリートが座掘りされ、前記座掘りされた部分まで荷重受けボルトの頭の一部が差し込まれて固定された後に、前記座掘り部分に充填材が充填されたプレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造であって、
    前記荷重受けボルトは、ナットが溶接された全ネジボルト、軸の円筒部に開けた軸方向と直交する穴にピンの一部を差し込んで固定し残部を突出させたボルト、軸の円筒部の一部を切り欠いたボルト、頭と内接する六角形の鞘管を被せて落とし込んだボルトの4種類のうち、いずれかのボルトであることを特徴とする、プレキャストコンクリートカーテンウォールの荷重受けボルトの固定構造。
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