JP6185610B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
ここに、コーナリングパワーに代表される操縦安定性能と、騒音性能とを両立させる方途について鋭意究明し、本発明を完成させるに至った。
(1)本発明の空気入りタイヤは、1対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に設けられ、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるスチールコードを有する2層のみの傾斜ベルト層からなる傾斜ベルト及び、タイヤ周方向に沿って延びるコードを有する少なくとも1層の周方向ベルト層からなる周方向ベルトと、該周方向ベルトのタイヤ径方向外側に配置されるトレッドと、を具える空気入りタイヤであって、前記傾斜ベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、35°以上90°以下であり、前記2層の傾斜ベルト層の各層は、タイヤ赤道面を含むタイヤ幅方向領域に延在し、前記周方向ベルトは、タイヤ赤道を含む中央領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高く、前記トレッドは、該トレッドの踏面の少なくともタイヤ赤道を含む領域に、タイヤ周方向に連続する陸部を有し、前記タイヤ周方向に連続する陸部のタイヤ幅方向の幅は、20mm以上40mm以下であることを特徴とする。
なお、本発明における、傾斜ベルト層及び周方向ベルト層のタイヤ幅方向の幅等は、タイヤを適用リムに装着し、JATMA等に記載されている適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力に対応する空気圧(以下、「所定空気圧」という)が充填され、無負荷の状態で測定するものとする。
(5)本発明の空気入りタイヤでは、250kPa以上の内圧を充填した際のタイヤの断面幅SWが165mm未満であり、該タイヤの断面幅SWとタイヤの外径ODとの比SW/ODが0.26以下であることが好ましい。
(6)本発明の空気入りタイヤでは、250kPa以上の内圧を充填した際のタイヤの断面幅SWが165mm以上であり、該タイヤの断面幅SWとタイヤの外径ODとが、OD≧2.135×SW+282.3を満たすことが好ましい。
(7)本発明の空気入りタイヤでは、前記トレッドに設ける、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝が2本であることが好ましい。
(8)本発明の空気入りタイヤでは、前記中央領域のタイヤ幅方向幅は、タイヤ赤道CLを中心として、前記周方向ベルトのタイヤ幅方向幅の0.2倍以上0.6倍以下であることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ、この例では乗用車用空気入りラジアルタイヤのトレッド6の概略的な平面図である。このタイヤのトレッド6には、タイヤ赤道CLを挟んでタイヤ周方向に延びる複数本(図示の例では2本)の周方向溝1と、トレッド6の接地端TEとにより、3つの陸部5が区画されている。図示の例では、周方向溝1は直線状であるが、例えば、ジグザグ状、鋸歯状、波状等の非直線形状とすることもできる。なお、図示しないが、トレッド6には、周方向溝1の他に、タイヤ幅方向に対して0°以上90°未満の角度で傾斜して延びる横溝やサイプ等を設けることができる。
かかる構成の本発明のタイヤによれば、傾斜ベルト層のタイヤ幅方向の剛性を高めて、操縦安定性能の重要な指標の1つであるコーナリングパワーを増大させることができる。なお、傾斜ベルト層3a、3bの上記傾斜角度θ1、θ2が35°未満である場合、タイヤ幅方向に対する剛性が低下するため、特にコーナリング時の操縦安定性が十分に得られない上に、層間ゴムの剪断変形が増大するため、転がり抵抗が悪化する傾向にある。
より好ましくは、傾斜角度θ1およびθ2は、55°以上85°以下である。この場合、より確実にコーナリングパワーを増大させることができる。
このように、本発明に係るタイヤでは、上記の傾斜ベルト層3a、3bのコードの傾斜角度を規制することに加えて、周方向ベルト4のタイヤ赤道CLを含む中央領域Cの単位幅あたりのタイヤ周方向剛性を、該周方向ベルト4の他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性よりも高くすることが肝要である。
さらに、タイヤ赤道CLを含む領域の剛性を局所的に増加させると、トップゴム(トレッド表層を形成するゴム)の局所的な剪断歪みが大きくなるために、振動モードの減衰性も大きくなる。本発明のように、タイヤ周方向の剛性を変更する改良は、タイヤのリング剛性を上げてタイヤの偏心を抑制する方向の変更に当たるため、転がり抵抗性能を悪化させにくい。
かような構成とする理由は以下の通りである。すなわち、元来、トレッドのタイヤ赤道CL付近は、車両走行中に常時接地する領域であり、操縦安定性能の観点から言えば、トレッドのタイヤ幅方向外側に比べて接地長が大きいことが好ましい。しかしながら、上記したように、タイヤ赤道CLを含む領域のタイヤ周方向の剛性を高めたタイヤでは、トレッドの接地長が、タイヤ幅方向外側よりもタイヤ赤道CL付近で短くなってコーナリングパワーが低減し、トレッドのパターン形状によっては所期した操縦安定性能が得られない場合があることが分かった。特に、タイヤ赤道CL上またはその付近に周方向溝を配置すると(図5参照)、当該領域におけるトレッドの剛性が低下して、該周方向溝を区画する陸部における接地長が極端に短くなることが判明した。
そこで、タイヤ赤道CL付近にてタイヤ周方向の剛性を高めたタイヤにおいては、コーナリングパワーを低減させることなく騒音性能を改善する観点から、タイヤ赤道CLを含む一定領域にわたって、タイヤ周方向に連続する陸部R(リブ状陸部)を配置することが必須となる。
なお、図2に示す周方向ベルト4のタイヤ周方向の剛性は、中央領域Cからタイヤ幅方向外側の他の領域に向かって連続して変化するのではなく、両領域間の境界にて変化することになる。ただし、他の実施形態として、他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、中央領域Cに近いほど高く、例えば、タイヤ幅方向内側から外側に向かって漸減する、あるいは、階段状に減少する構成とすることもできる。
この構成によれば、タイヤ負荷転動時に、周方向溝1の位置にて、中央領域Cのゲージ分布および剛性を均一化できるため、タイヤ赤道CL付近の接地長をより十分に確保して、コーナリングパワーをさらに増大させることができる。
W3<0.2×W4の場合、中央領域Cの幅が狭すぎて、騒音性能の向上の効果が十分に得られない場合がある。一方、0.6×W4<W3の場合、高剛性である中央領域Cの幅W3が広すぎて、トレッド全体が振動するモードを誘発しやすくなるため、放射音の低減効果が十分に得られない場合があるとともに、タイヤ重量が増したことに因る転がり抵抗の悪化も懸念される。
上記の比および関係式を満たすタイヤ、すなわち従来通例の乗用車用空気入りタイヤよりも狭幅大径としたタイヤでは転がり抵抗が大幅に向上するものの、トレッドも狭幅であるためにコーナリングパワーが不足する傾向にあるところ、本発明の構成を適用することにより、好適に、コーナリングパワーを増大させることができる。
発明例タイヤ、参考例タイヤ、および比較例タイヤ(ともに、タイヤサイズは165/60R19)を表1に示す仕様のもと試作し、コーナリングパワー、転がり抵抗性能および騒音性能を評価した。
各供試タイヤは、1対のビード部間にトロイド状に跨るカーカスを有し、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、2層の傾斜ベルト層及び1層以上の周方向ベルト層と、トレッドとを具えるタイヤである。なお、傾斜ベルト層をなすコードにはスチールコードを使用し、周方向ベルト層をなすコードには、アラミドを使用した。
各供試タイヤをリム(サイズは5.5J−19)に組み付け、内圧300kPaを付与した後、車両に装着し、フラットベルト式コーナリング試験機において測定を行った。なお、ベルト速度を100km/hとし、適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力に対応する荷重条件下において得られるコーナリングパワーを測定した。
結果を表1に示す。結果は、比較例タイヤ1のコーナリングパワーを100として指数評価したものである。なお、指数が大きいほど、コーナリングパワーが大きいことを示している。
各供試タイヤを、上記と同様の条件のもと車両に装着し、走行試験用ドラム上で、該ドラムを100km/hの速度で回転させて転がり抵抗を測定した。結果を表1に示す。結果は、比較例タイヤ1の転がり抵抗を100として指数評価したものである。なお、指数が小さいほど、転がり抵抗性能に優れていることを示している。
各供試タイヤを、上記と同様の条件のもと車両に装着し、走行試験用ドラム上で、該ドラムを100km/hの速度で回転させるとともに、マイク移動式でノイズ(騒音)レベルを測定した。結果を表1に示す。結果は、比較例タイヤ1のノイズレベルとの差をもって評価した。数値の小さい方が、騒音の低減効果に優れていることを意味する。
Claims (8)
- 1対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に設けられ、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるスチールコードを有する2層のみの傾斜ベルト層からなる傾斜ベルト及び、タイヤ周方向に沿って延びるコードを有する少なくとも1層の周方向ベルト層からなる周方向ベルトと、該周方向ベルトのタイヤ径方向外側に配置されるトレッドと、を具える空気入りタイヤであって、
前記傾斜ベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、35°以上90°以下であり、
前記2層のみの傾斜ベルト層の各層は、タイヤ赤道面を含むタイヤ幅方向領域に延在し、
前記周方向ベルトは、タイヤ赤道を含む中央領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高く、
前記トレッドは、該トレッドの踏面の少なくともタイヤ赤道を含む領域に、タイヤ周方向に連続する陸部を有し、
前記タイヤ周方向に連続する陸部のタイヤ幅方向の幅は、20mm以上40mm以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 1対のビード部間にトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に設けられ、タイヤ周方向に対し傾斜して延びるスチールコードを有する2層のみの傾斜ベルト層からなる傾斜ベルト及び、タイヤ周方向に沿って延びるコードを有する少なくとも1層の周方向ベルト層からなる周方向ベルトと、該周方向ベルトのタイヤ径方向外側に配置されるトレッドと、を具える空気入りタイヤであって、
前記傾斜ベルト層のコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、35°以上90°以下であり、
前記2層のみの傾斜ベルト層の各層は、タイヤ赤道面を含むタイヤ幅方向領域に延在し、
前記周方向ベルトは、タイヤ赤道を含む中央領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性が、その他の領域の単位幅あたりのタイヤ周方向剛性より高く、
前記トレッドは、該トレッドの踏面の少なくともタイヤ赤道を含む領域に、タイヤ周方向に連続する陸部を有し、
前記トレッドは、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝を具え、前記中央領域のタイヤ幅方向端縁が、当該周方向溝の開口幅の範囲内に位置することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記中央領域では、前記その他の領域と比較して前記周方向ベルト層のタイヤ径方向の層数が多い、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記周方向ベルト層を前記中央領域では2層および前記その他の領域では1層具える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 250kPa以上の内圧を充填した際のタイヤの断面幅SWが165mm未満であり、該タイヤの断面幅SWとタイヤの外径ODとの比SW/ODが0.26以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 250kPa以上の内圧を充填した際のタイヤの断面幅SWが165mm以上であり、該タイヤの断面幅SWとタイヤの外径ODとが、OD≧2.135×SW+282.3を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッドに設ける、タイヤ周方向に沿って延びる周方向溝が2本である、請求項5または6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記中央領域のタイヤ幅方向幅は、タイヤ赤道CLを中心として、前記周方向ベルトのタイヤ幅方向幅の0.2倍以上0.6倍以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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