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JP6184342B2 - 濾材 - Google Patents

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JP6184342B2 JP2014032811A JP2014032811A JP6184342B2 JP 6184342 B2 JP6184342 B2 JP 6184342B2 JP 2014032811 A JP2014032811 A JP 2014032811A JP 2014032811 A JP2014032811 A JP 2014032811A JP 6184342 B2 JP6184342 B2 JP 6184342B2
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Description

本発明は、例えば、自動車など車輌用の空調機器や家庭用空気清浄機など家庭用の空調機器、あるいは、ビル、工場、事務所などに設置される空調機器などで使用される濾材に関する。
近年、生活環境の改善志向の高まりから、濾材によって空気中に存在する塵埃以外にも揮発性有機化合物(VOC)を除去して、空気を清浄化できることが求められている。例えば、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒド系化合物は、異臭物質であると共にシックハウス症候群などの原因物質として健康を脅かす恐れのあるVOCとして知られている。
特に、自動車などの車輌内では、狭い空間中にバインダや塗料を用いた部品が多数存在するためVOCが高濃度で存在し易く、VOCの効率的な除去が求められている。
上述の要望を受け、VOC吸着性能に優れる濾材の検討がなされてきた。例えば、特開2000−279500号公報(以降、特許文献1と称することがある)には、二酸化ケイ素にアミノ基を有する化合物が担持された吸着剤を、バインダにより不織布などの多孔体に付着させて調製したエアーフィルターが開示されている。
なお、引用文献1では、平均粒子径が0.01〜50μmの吸着剤を使用できることが開示されている。また、実施例には、吸着剤の質量に対して2倍質量のバインダを混合した混合液を不織布へ付与してなるエアーフィルターが開示されている。
特開2000−279500号公報(特許請求の範囲、0004、0009、0016、0020−00021、実施例など)
本願発明者らは、質量に対する表面積が大きいことでVOCの効率的な吸着が期待できることから、平均粒子径が1μm以下の大きさを有する吸着剤を採用した。そして、特許文献1が開示するように、吸着剤の質量に対して2倍質量のバインダを混合した混合液(吸着剤とバインダの質量比率が33質量%:67質量%)を前記不織布に付与して、VOC吸着性能を有する濾材の調製を検討した。
しかし、上述の構成を備えた濾材のVOC吸着性能は予想していたよりも低いものであり、濾材のVOC吸着性能が何らかの原因により阻害されていると考えられた。
本発明では、VOC吸着性能に優れる濾材の提供を目的とする。
本発明は、
「吸着剤をバインダにより担持した不織布を備える濾材であって、
前記吸着剤は1μm以下の平均粒子径を有する粒子であり、
前記吸着剤と前記バインダとの質量比率が93質量%:7質量%〜99.5質量%:0.5質量%である、濾材。」
である。
本発明者らは検討を続けた結果、1μm以下の平均粒子径を有する粒子である吸着剤をバインダにより担持した不織布を備える濾材において、濾材が備えるバインダおよび吸着剤の質量比率を本発明の範囲となるように調整することで、濾材のVOC吸着性能が効率良く発揮されることを見出した。

この理由は完全に解明されていないが、本発明の濾材は、以下の原因が発生するのを防止した濾材であるためだと考えられる。
1.バインダの質量比率が本発明の範囲よりも多い場合には、濾材が備えるバインダが不織布へ吸着剤を担持させるために必要となるバインダよりも多いため、余分なバインダが吸着剤の表面を被覆して吸着剤のVOC吸着性能が阻害されると考えられる。
2.バインダの質量比率が本発明の範囲よりも少ない場合には、濾材が備えるバインダが不織布へ吸着剤を担持させるために必要となるバインダよりも少ないため、濾材から吸着剤が剥落し易くなり濾材のVOC吸着性能が低下すると考えられる。

そのため、本発明の濾材は、VOC吸着性能に優れる濾材である。
本発明でいう吸着剤はアルデヒド系化合物などのVOCを吸着できるものであればよく、その種類や組成などは適宜調整するが、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛、あるいは、二酸化ケイ素にアミノ基を有する化合物が担持されてなる吸着剤を採用することができる。
ここでいうアミノ基を有する化合物として、例えばアニリン等のアミノ基を有する芳香族系化合物や、下記化学構造式で表されるアミノ基を有する脂肪族系化合物などを挙げることができる。
N−(CHCH−NH)n−CHCHNH
(nは0以上3以下の整数)
また、アミノ基を有する化合物が第1級アミノ基を有する化合物であると、アルデヒド系化合物などのVOCを吸着する能力に優れるため好ましい。
吸着剤の粒子形状は適宜調整できるが、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状、平板状、不定形形状や多面体形状あるいは羽毛状やテトラポッド形状などから適宜選択できるが、質量に対する表面積が大きくなることでVOC吸着性能に優れた吸着剤となることから、粒子形状が球状の吸着剤であるのが好ましい。
吸着剤の平均粒子径は、VOC吸着性能に優れる濾材を調製できるように1μm以下に調整するが、平均粒子径が小さいほど質量に対する表面積が大きくなることでVOC吸着性能に優れることから、500nm以下であるのが好ましく、100nm以下であるのがより好ましい。なお、吸着剤の平均粒子径の下限値は0nmよりも大きいものであって適宜調整するが、5nm以上であるのが現実的である。
なお、本発明において吸着剤の平均粒子径は、粒子を大塚電子(株)製FPRA1000(測定範囲3nm〜5000nm)に供して、動的光散乱法(CONTIN法測定)を用いて測定した値を指す。
上述した吸着剤として、例えば、東亞合成株式会社のケスモン(登録商標、型番:KS−210、KS−730など)、日華化学株式会社のキラクル(登録商標、型番:AL−07)などを使用することができる。
なお、吸着剤は1種単独で用いてもよく、または2種以上混合し使用してもよい。
バインダは、不織布を構成する繊維に吸着剤をつなぎとめ、吸着剤を不織布に担持する役割を担う。
バインダの種類は、例えば、吸着剤や不織布を構成する繊維の種類などによって適したものを選択して使用するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、アクリル系樹脂などを使用できる。
特に、バインダとしてアルデヒド系化合物を放出し難い樹脂からなるバインダを用いると、濾材のVOC吸着性能を阻害せずVOC吸着性能に優れる濾材を調製でき好ましい。このようなバインダとして、例えば、日本ゼオン株式会社のアクリレート系ラテックスバインダであるニポール(登録商標)LX874、855EX1、LX852や、DIC株式会社のAN−1170、AN−1190などを挙げることができる。
なお、バインダはこれらを1種単独で用いてもよく、または2種以上を併用し使用してもよい。
不織布を構成する繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機ポリマーからなることができる。
なお、これらの有機ポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機ポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機ポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、複数の有機ポリマーを混ぜ合わせたものでも良く、特に限定されるものではない。
不織布を構成する繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わず、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用できる。なお、一方の繊維成分が熱可塑性樹脂などの熱接着成分を備えた複合繊維や、熱収縮率の異なる複数の樹脂を備えた潜在捲縮性の複合繊維を使用してもよい。
不織布を構成する繊維の平均繊度は、VOC吸着性能に優れる濾材を調製できるように適宜調整するが、初期圧力損失が低く塵埃保持量が多い濾材を提供し易いことから、5〜30デシテックスであるのが好ましい。5デシテックス未満では不織布の目合いが密になるため、濾材の濾過効率は上昇するものの初期圧力損失が高くなり、塵埃保持量が低下する恐れがある。また30デシテックスを超えると不織布の目合いが粗くなり過ぎて、濾材の濾過効率や塵埃保持量が低下する恐れがある。不織布を構成する繊維の平均繊度は、8〜20デシテックスであるのがより好ましい。
なお、構成繊維の平均繊度の計算方法としては、不織布に含まれる各繊維の繊度をaデシテックス、bデシテックス、cデシテックス・・・として、各繊維の含有割合をそれぞれa’質量%、b’質量%、c’質量%とすると、「(a’/a)+(b’/b)+(c’/c)・・・=(100/x)」の関係式が成り立ち、この関係式から平均繊度xを求めることができる。
不織布の製造方法の一例として、例えば、乾式法、湿式法などを用いて繊維ウエブを調製し、繊維ウエブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化して不織布を製造することができる。繊維ウエブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化する方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維同士をバインダで一体化する方法、あるいは、繊維ウエブが熱可塑性樹脂を含んでいる場合には、繊維ウエブを加熱処理することで前記熱可塑性樹脂を融解させて繊維同士を一体化する方法を挙げることができる。
なお、繊維ウエブを加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、熱風乾燥機により加熱する方法、赤外線を照射する方法などを用いることができる。
また、別の不織布の製造方法として、直接紡糸法を用いて紡糸溶液や融解した樹脂を細径化して紡糸すると共に繊維を捕集し、不織布を調製することができる。なお、直接紡糸法を用いて調製した不織布を、上述した繊維同士を絡合および/または一体化する方法へ供してもよい。
なお、不織布の濾過性能をより向上させるため、帯電加工を施し構成繊維をエレクトレット化してもよい。比較的高温の加熱によってエレクトレットの効果が失われ易いため、加熱処理によって不織布とした後に帯電加工処理を行うのが好ましい。
不織布をエレクトレット化する方法は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、プラズマ帯電処理やコロナ帯電などイオンを注入して帯電させる手段、極性液体を介して力を作用させて帯電させる手段、複数種類の繊維成分を摩擦して帯電させる手段など、公知の手段を適宜選択して、又は組み合わせて利用できる。
不織布の厚さは、VOC吸着性能に優れる濾材を調製できるように適宜調整するが、初期圧力損失が低く塵埃保持量が多い濾材を提供し易いことから、1〜5mmであるのが好ましい。1mm未満では、濾材の塵埃保持量が低下する恐れがある。また5mmを超えると、濾材をプリーツ折りした際に、プリーツの峰部分または谷部分で濾材の壁面同士が接触して、気体の濾過に寄与しないか又は寄与が極めて少ない部分(以降、デッドスペースと称することがある)が多くなり、その結果、初期圧力損失が高くなり、塵埃保持量が低下する恐れがある。不織布の厚さは、1.5〜4.5mmであるのがより好ましく、2〜4mmであるのが最も好ましい。
なお、本発明でいう「厚さ」とは主面1cm当たり2gの荷重をかけた時に示す厚さをいい、主面とは面積が広い面をいう。
不織布の目付は、VOC吸着性能に優れる濾材を調製できるように適宜調整するが、初期圧力損失が低く塵埃保持量が多い濾材を提供し易いことから、50〜400g/mであるのが好ましい。50g/m未満では、濾材の塵埃保持量が低下する恐れがある。また400g/mを超えると、濾材をプリーツ折りした際にデッドスペースが発生し、その結果、初期圧力損失が高くなり、塵埃保持量が低下する恐れがある。不織布の目付は、75〜300g/mであるのがより好ましく、90〜200g/mであるのが最も好ましい。
なお、本発明でいう「目付」とは主面における面積1mあたりの質量をいう。
吸着剤とバインダとの質量比率は、93質量%:7質量%〜99.5質量%:0.5質量%であることにより、VOC吸着性能に優れる濾材を提供できる。バインダの質量比率が7質量%よりも多くなると、余分なバインダが吸着剤の表面を被覆して濾材のVOC吸着性能が低下する傾向があり、バインダの質量比率が0.5質量%よりも少ないと、濾材から吸着剤が剥落して濾材のVOC吸着性能が低下する傾向がある。
吸着剤とバインダとの質量比率は上述の範囲内であれば適宜調整するものであるが、95質量%:5質量%〜99.5質量%:0.5質量%であるのがより好ましい。
濾材の目付や厚さなどの各諸特性は、VOC吸着性能に優れる濾材を提供できるように適宜調整するが、例えば、目付は50g/m〜400g/mであるのが好ましく、75g/m〜300g/mであるのがより好ましく、90g/m〜200g/mであるのが最も好ましい。また、濾材における平板状態での厚さは1mm〜5mmであるのが好ましく、1.5mm〜4.5mmであるのがより好ましく、2mm〜4mmであるのが最も好ましい。
濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量は、VOC吸着性能に優れる濾材を提供できるように適宜調整するが、前記合計質量が多すぎると濾材の空隙が閉塞して初期圧力損失が上昇すると共に塵埃保持量が低下する傾向があり、前記合計質量が少なすぎると濾材のVOC吸着性能が低下する傾向がある。そのため、濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量は、1g/m〜50g/mであるのが好ましく、5g/m〜40g/mであるのがより好ましく、10g/m〜35g/mであるのが最も好ましい。
以降、本発明の濾材の調製方法について、説明する。
吸着剤をバインダにより担持した不織布を調製する方法は適宜選択できるが、例えば、
1.吸着剤とバインダを分散媒やバインダの溶媒へ混合し、調製した混合液を不織布へ付与した後、分散媒やバインダの溶媒を除去する方法、
2.融解したバインダを不織布へ付与し、次いで前記融解したバインダ上に吸着剤を付着させた後、バインダを冷却する方法、
3.バインダ溶液を不織布へ付与し、次いで前記バインダ溶液上に吸着剤を付着させた後、溶媒を除去する方法、
4.吸着剤とバインダを不織布へ付与し、次いでバインダを融解させた後、バインダを冷却する方法、
などを挙げることができる。
なお、混合液やバインダ溶液を不織布へ付与する方法は適宜選択するが、例えば、混合液やバインダ溶液を不織布へスプレーする方法、混合液やバインダ溶液に不織布を浸漬する方法、泡立てた混合液やバインダ溶液を不織布へ付与する方法、グラビアコータなど塗工装置を用いて混合液やバインダ溶液を不織布へ塗工する方法などを挙げることができる。また、融解したバインダを不織布へ付与する方法は適宜選択するが、例えば、融解したバインダを不織布へスプレーする方法などを挙げることができる。
バインダを融解する方法は適宜選択するが、例えば、乾熱乾燥機へ供する方法、ドライヤー装置へ供する方法、赤外線加熱機へ供する方法などを挙げることができる。
分散媒や溶媒を除去する方法も適宜選択するが、上述したバインダを融解する方法で挙げた方法や、分散媒や溶媒が室温条件下で蒸散する性質を有する場合には、室温に放置する方法などを挙げることができる。
また、バインダを冷却する方法は適宜選択するものであり限定されるものではないが、例えば、冷蔵庫など冷却装置へ供する方法、室温に放置する方法などを挙げることができる。
初期圧力損失が低く、塵埃保持量に優れ、VOC吸着性能がより効率良く向上した濾材を調製するため、プリーツ加工した不織布を用いて濾材を調製する、あるいは、濾材をプリーツ加工するのが好ましい。また、不織布や濾材をプリーツ折りする方法としては、レシプロ式やロータリー式などのプリーツ加工機による方法や、ジグザグ形状に成形された押型でプレスする方法などを採用することができ、プリーツ高さ、プリーツ間隔、プリーツの角度などは適宜調整する。
上述のようにして調製した吸着剤をバインダにより担持した不織布はそのまま濾材として使用できるが、補強や濾過性能の向上、難燃性能の付与などを目的として、例えば別途用意した布帛(不織布や編物あるいは織物)などの他の通気性素材を積層してもよい。
濾材の保形性を向上するため、濾材の側面(厚さ方向と平行をなす面)に端板を設けても良い。端板は濾材の側面全てに設けられている態様であっても、主面側から濾材を見た際に濾材が長方形形状の場合には、端板が濾材の側面において対向する二辺に設けられている態様であってもよい。なお、プリーツ加工された濾材である場合には、プリーツ形状の保形性に優れるように、プリーツ折りされた濾材の峰線に交差する側面に端板が設けられているのが好ましい。
端板の種類は適宜調整するが、例えば、有機樹脂板、金属板、ガラス板、木材板、布帛などの通気性素材などを採用できる。
特に、端板が塵埃捕集性能およびVOC吸着性能を有する通気性素材であると、端板も濾材としての機能を発揮できることから、更に、初期圧力損失が低く、塵埃保持量に優れ、VOC吸着性能がより効率良く向上した濾材となり好ましい。このような特性を有する端板の調製方法は適宜選択するが、濾材を構成する不織布と同様にして調製した不織布を採用できる。
なお、端板が熱接着性繊維を含んだ不織布、あるいは、バインダを含んだ不織布を備えている場合には、加熱により熱接着性繊維やバインダを融解させ接着することで、濾材に端板を強固かつ容易に接着できて保形性に優れた濾材を調製でき好ましい。
なお、端板と濾材を一体化する方法は適宜調整するが、例えば、バインダを用いて接着一体化する方法、超音波溶着などによって融解させ一体化する方法、加熱処理により濾材及び/又は端板に含まれるバインダや熱接着性繊維を融解させ接着一体化する方法などを挙げることができる。
以下、本発明の実施例につき説明するが、これは発明の理解を容易とするための好適例に過ぎず、本発明はこれら実施例の内容に限定されるものではない。
(濾材のVOC吸着性能の測定方法)
内容積が1mのチャンバーを用意した。そして、一辺30mmの正方形状になるよう裁断した濾材を上流部分に備えるファンを準備し、前記ファンをチャンバー内に設置した。次いで、チャンバー内にアセトアルデヒドガスを導入して、チャンバー内のアセトアルデヒド濃度を40ppbに調整した。
15分間ファンを稼動することで、チャンバー内の気体を前記濾材に通過させた。
その後、チャンバー内の気体50LをDNPHカートリッジ(Waters社製)へ供することで、チャンバー内に残留するアセトアルデヒドをDNPHカートリッジに吸着させた。
そして、高速イオンクロマトグラフィーを用いて、DNPHカートリッジが吸着したアセトアルデヒドの質量を求めることで、15分間ファンを稼動した後のチャンバー内のアセトアルデヒド濃度(A、単位:ppb)を算出した。

以上の測定を行った結果から、下記式に基づき濾材のホルムアルデヒド吸着率(Fre、単位:%)を算出し、算出された値を濾材のVOC吸着率(単位:%)とした。
Fre={(40−A)/40}×100
なお、VOC吸着率が60%以上の濾材をVOC吸着性能に優れる濾材であると評価し、吸着率が60%未満の濾材をVOC吸着性能に劣る濾材であると評価した。
(濾材のVOC比吸着性能の評価方法)
上述した(濾材のVOC吸着性能の測定方法)により算出された濾材のVOC吸着率の値を、濾材に含まれる吸着剤の質量の値で割ることで、濾材に含まれる1g/mあたりの吸着剤が発揮したVOCの吸着性能(以降、VOC比吸着性能と称する)を評価した。なお、表1および表2では少数第二位以下を四捨五入した数値を記載している。
VOC比吸着性能が高い濾材ほど、吸着剤のVOC吸着性能が効率良く発揮された濾材である。
(濾材の粉落ちの有無)
上述した(濾材のVOC吸着性能の測定方法)へ濾材を供したことによって、濾材から粉落ちが発生したか否かを目視で確認した。
(濾材の濾過性能の測定方法−質量法)
ASHRAE 52.1−1992に規定される試験方法において、風速0.5m/secにて、初期圧力損失が200PaになるまでSAE FINE ダストを供給し、濾材の捕集効率(単位:%)及び塵埃保持量(単位:g/m)を求めた。また、濾材の初期圧力損失(単位:Pa)は風速0.1m/secにて測定した値である。
(濾材の難燃性能の試験方法)
濾材の難燃性を、米国自動車安全基準 FMVSS No.302に規定された燃焼試験に準拠して測定した。
なお、燃焼速度が100mm/min.以下の濾材を難燃性に優れる濾材であると評価し、燃焼速度が100mm/min.よりも速い濾材を難燃性に劣る濾材であると評価した。
(実施例1)
(不織布の調製方法)
芯成分が融点248℃のポリエステル樹脂であり、鞘成分が融点72℃のポリエステル樹脂からなる複合繊維(繊度:20デシテックス、繊維長:64mm)65質量%と、芯成分が融点248℃のポリエステル樹脂であり、鞘成分が融点72℃のポリエステル樹脂からなる複合繊維(繊度:6.6デシテックス、繊維長:51mm)35質量%とを混合して、カード機を使用して繊維ウエブ(平均繊度:11.7デシテックス)を調製した。
次いで、この繊維ウエブをエアスルー型の乾燥機を用いて150℃の熱風により加熱接着処理を行った後、1mmのスリットゲージを備える水冷ロールの間を通過させて不織布(目付:150g/m、厚さ:3mm)を調製した。

(濾材の調製方法)
二酸化ケイ素にアミノ基を有する化合物が担持されてなる吸着剤(東亞合成製、ケスモン(登録商標)KS−730、粒子形状:球状、平均粒子径:20nm)99.5質量%と、アクリレート系ラテックスバインダ(日本ゼオン株式会社製、ニポール(登録商標)LX874)0.5質量%とを水に混合して、混合液を調製した。
混合液に上述のようにして調製した不織布を浸漬した後、乾燥して水を除去することで濾材(目付:165.6g/m、厚さ:3mm、濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量:15.6g/m)を調製した。なお、濾材が含む吸着剤とバインダの質量比率は、吸着剤質量:バインダ質量=99.5質量%:0.5質量%であった。
(実施例2−5、比較例1−2)
混合液に含まれている吸着剤とバインダとの質量比率を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2−5および比較例1−2の濾材を調製した。
(実施例6)
実施例5で使用した混合液に実施例1で調製した不織布を浸漬した後、乾燥して水を除去することで濾材(目付:180.2g/m、厚さ:3mm、濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量:30.2g/m)を調製した。なお、濾材が含む吸着剤とバインダの質量比率は、吸着剤質量:バインダ質量=93質量%:7質量%であった。
以上のようにして調製した各濾材の構成ならびに各測定方法へ供した結果を、表1にまとめた。
Figure 0006184342
粉落ちの有無:○・・・粉落ちは発生していなかった。×・・・粉落ちが発生していた。
難燃性:○・・・燃焼速度が100mm/min.以下であった。×・・・燃焼速度が100mm/min.よりも速かった。
(実施例7)
実施例1で使用した吸着剤を造粒して調製した、二酸化ケイ素にアミノ基を有する化合物が担持されてなる吸着剤(平均粒子径:1μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、濾材(目付:164.9g/m、厚さ:3mm、濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量:14.9g/m)を調製した。なお、濾材が含む吸着剤とバインダの質量比率は、吸着剤質量:バインダ質量=99.5質量%:0.5質量%であった。
(実施例8−9、比較例3−4)
混合液に含まれている吸着剤とバインダとの質量比率を変更したこと以外は、実施例7と同様にして、実施例8−9および比較例3−4の濾材を調製した。
(実施例10)
実施例9で使用した混合液に実施例1で調製した不織布を浸漬させた後、乾燥して水を除去することで濾材(目付:180.6g/m、厚さ:3mm、濾材が含むバインダと吸着剤の合計質量:30.6g/m)を調製した。なお、濾材が含む吸着剤とバインダの質量比率は、吸着剤質量:バインダ質量=93質量%:7質量%であった。
以上のようにして調製した各濾材の構成ならびに各測定方法へ供した結果を、表2にまとめた。
Figure 0006184342
粉落ちの有無:○・・・粉落ちは発生していなかった。×・・・粉落ちが発生していた。
難燃性:○・・・燃焼速度が100mm/min.以下であった。×・・・燃焼速度が100mm/min.よりも速かった。
実施例の濾材はVOC吸着率が60%以上であったことから、VOC吸着性能に優れる濾材であった。一方、比較例2および比較例4の濾材はVOC吸着率が60%未満であったことから、VOC吸着性能に劣る濾材であった。
なお、実施例1−5と比較例2、ならびに、実施例7−9と比較例4の濾材にかかるVOC比吸着性能の値を比較した結果から、バインダの質量比率が高くなるにつれVOC比吸着性能の値は小さくなることが判明した。この理由として、余分なバインダが吸着剤の表面を被覆して吸着剤のVOC吸着性能が阻害されたためであると考えられた。そして、余分なバインダにより吸着剤の表面が被覆されたことは、比較例2および比較例4の濾材のVOC吸着率が低下した原因であると考えられた。
また、吸着剤の担持を担うバインダを有していない比較例1および比較例3の濾材はVOC比吸着性能が最大となると考えられたが、実施例1と比較例1、ならびに、実施例7と比較例3の濾材にかかるVOC比吸着性能の値を比較した結果から、実際には、比較例1および比較例3の濾材は実施例1や実施例7の濾材と比べ、VOC比吸着性能の値が大きく低下することが判明した。この理由として、濾材から吸着剤が剥落(粉落ち)してVOC吸着性能が低下したと考えられる。そして、濾材から吸着剤が剥落(粉落ち)したことは、比較例1および比較例3の濾材がVOC吸着性能を効率良く発揮できなかった原因であると考えられた。
以上から、本発明の濾材は、VOC吸着性能に優れる濾材である。
本発明の濾材は、自動車用キャビンエアフィルタ、空気清浄機用フィルタ、ビル空調用フィルタなどの用途で、好適に使用できる。

Claims (1)

  1. 吸着剤をバインダにより担持した不織布を備える濾材であって、
    前記吸着剤は1μm以下の平均粒子径を有する粒子であり、
    前記吸着剤と前記バインダとの質量比率が93質量%:7質量%〜99.5質量%:0.5質量%である、濾材。
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