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JP6171713B2 - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、テレビ、パソコンモニタ、携帯電話等の携帯端末などに使用されるフラットパネルディスプレイや、面発光光源、照明、発光型広告体などとして、幅広い用途が期待される有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」とも表記する。)を備える有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、「有機ELパネル」とも表記する。)は、広視野角、応答速度が速い、低消費電力などの利点から、ブラウン管や液晶ディスプレイに替わるフラットパネルディスプレイとして期待されている。
有機EL素子は、少なくともどちらか一方が透光性を有する二枚の電極層(陽極層と陰極層)の間に、有機発光媒体層を挟持した構造をしており、両電極間に電圧を印可し電流を流すことにより有機発光媒体層で発光が生じる自発光型の表示素子である。
上記の優れた特性を有する有機EL素子には、大気中の水分や酸素の影響によって性能が劣化するといった問題がある。このため、吸湿層(乾燥剤16)を内包させるために金属やガラスにスペース(以下、掘り込み部)を作製し、その掘り込み部に吸湿層を形成する場合がある(図1参照)。
上記吸湿層は、吸湿機能を持った粒子をバインダー樹脂に練り込み、シート状に加工したものを貼り付ける方法(特許文献1参照)や、吸湿機能を持った粒子を樹脂或いは液体中に分散させたものを塗布する方法(特許文献2参照)などがある。しかし、いずれの手法においても吸湿層が第二電極と接しないような中空構造にするため、掘り込み部を形成し、その中に吸湿層が納まるようにする必要がある。そのため、掘り込み部の加工コストや、中空構造による熱伝導性に問題があり、更には有機EL素子の大型化も困難となる。
そこで、前述した問題を解決するために、基板上に有機充填層を設けその中に吸湿機能を持たせた粒子を分散させて吸湿層を形成し、第二電極を形成したEL素子基板と貼り合せた固体封止構造にする提案もされている(特許文献3参照)。
特開2002−280166号公報 特開2003−163076号公報 特開2009−037808号公報
しかし、吸湿機能を持った粒子を混合した硬化前樹脂を基板に塗布した封止基板と、第二電極まで形成したEL素子基板を貼り合せると、硬化前樹脂が柔らかく、吸湿機能を持った粒子が第二電極へ局所的な応力が生じ、その部分が第一電極とショートし表示不良の原因となるといった課題がある。
また、第二基板(封止基板)がプラスチック基板などのフレキシブル基板の場合には、ローラー貼付けを実施できる。しかし、硬化前樹脂が塗布された状態ではローラーが加圧中は圧力により一旦樹脂が潰されるが、ローラーが通り過ぎると加圧が解除されるため、浮き上がり気泡の問題が生じる。硬化前樹脂の周りに閉ループのシール剤を配置しても同様の問題が生じる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、有機EL素子の固体封止において、有機充填層内の吸湿性物質により、局所的な応力がかかっても、第二電極と第一電極とのショートの発生を低減することができる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題に対し、本発明の一態様は、平板基板上に、少なくとも第一電極層、有機発光層を含む有機発光媒体層、第二電極層、封止層、封止基板がこの順に積層された有機エレクトロルミネッセンスパネルであって、前記封止層を、前記第二電極層側から順に、第一有機シート層、吸湿性物質、第二有機シート層が積層されたものとしたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルである。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一有機シート層は、前記第二電極層を覆うように配置されていることとしてもよい。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一有機シート層及び前記第二有機シート層のそれぞれを、熱硬化性もしくは光硬化性を有する硬化物または粘着性を有する未硬化物で形成したこととしてもよい。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記吸湿性物質を、物理吸着性物質及び化学吸着性物質の少なくともいずれか一方を含んだものとしてもよい。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記物理吸着性物質を、ゼオライト、シリカゲル及び活性アルミナの少なくともいずれか一種類を含んだものとし、前記化学吸着性物質を、酸化カルシウム及び酸化バリウムの少なくともいずれか一種類を含んだものとしたこととしてもよい。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一有機シート層の膜厚と前記第二有機シート層の膜厚のそれぞれの値は、前記吸湿性物質の平均粒子径以上の値とし、前記第一有機シート層の膜厚を、前記第二有機シート層の膜厚よりも厚くしたこととしてもよい。
本発明の別の態様は、平板基板上に、少なくとも第一電極層、有機発光層を含む有機発光媒体層、第二電極層、封止層、封止基板がこの順に積層された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法であって、前記封止層を、第一有機シート層、吸湿性物質、第二有機シート層がこの順に積層されたものとし、前記封止層の前記第二有機シート層上にさらに前記封止基板を積層してなる積層基板を、前記第一有機シート層が前記第二電極層を覆うように前記第二電極層上に貼付けることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法である。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記積層基板を、貼付けローラーを用いて前記第二電極層上に貼付けることとしてもよい。
また、上記有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記積層基板を前記第二電極層上に多面付けした後に、前記平板基板のみを断裁して個々のパネルを分断することとしてもよい。
本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法で製造した有機エレクトロルミネッセンスパネルであれば、第一有機シート層と第二有機シート層とに挟まれた吸湿性物質が第二電極層上に配置されている。
この構成によれば、吸湿性物質による第二電極層の局所応力によって発生していた、第一電極層と第二電極層とのショートを低減することができる。
従来技術に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの構造を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る、積層体を第二電極層まで形成した平板基板に貼り付ける工程を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る、積層体を多面付けに貼り付けたユニットのスクライブ加工を模式的に示す断面図と平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る、積層体を多面付けに貼り付けたユニットの抜き型加工を模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの構造を模式的に示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの構造を模式的に示す断面図である。 実施例に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの構造を模式的に示す断面図である。 比較例に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの構造を模式的に示す断面図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る有機ELパネルの製造方法を、主として図2を参照しつつ以下説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図2は、本実施形態に係る、積層体を第二電極層まで形成した平板基板に貼り付ける工程を模式的に示した断面図である。なお、本実施形態では、有機ELパネルとしてトップエミッション構造を例として挙げるが、両面発光構造やボトムエミッション構造でも適用できる。
本実施形態に係る有機ELパネルは、基板(平板基板)21上に少なくとも第一電極層22と有機発光媒体層23と第二電極層24からなる有機EL素子を複数備えている。より詳細には、本実施形態に係る有機ELパネルは、図7に示すように、基板21上にパターン形成された複数の第一電極層22と、複数の第一電極層22上に形成された複数の有機発光媒体層23と、複数の有機発光媒体層23を覆うように形成された第二電極層24と、第二電極層24を覆うように形成された有機シート層a26と、有機シート層a26上に形成された吸湿性物質27と、吸湿性物質27を覆うように形成された有機シート層b28と、有機シート層b28上に形成されたフレキシブル封止基板29と、を含んでいる。ここで、「吸湿性物質27」とは、有機発光媒体層23に悪影響を及ぼす水蒸気、その他ガスを吸収するため物質を意味する。
本実施形態に係る基板21は、例えば、ガラスやプラスチックフィルムなどの絶縁性を有する基板である。特に、基板21側から発光を取り出すボトムエミッション型の場合には、基板21の材料として透光性のある材料を用いる。透光性のある基材21の材料としては、例えば、ガラスや石英、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムが挙げられる。この基板21上には、後述する第一電極層22が少なくとも形成されている。アクティブマトリックス方式の有機EL素子を形成する場合には、基板21としては薄膜トランジスタ(TFT)が形成された駆動用基板を用いることができる。この薄膜トランジスタとしては、公知の薄膜トランジスタを用いることができる。具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層、ゲート絶縁膜及びゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、ボトムゲート型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。薄膜トランジスタの半導体層の材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の材料を用いてもよく、また、アモルファスシリコンやポリシリコン、金属酸化物を用いてもよい。さらに、基板21のどちらかの面にカラーフィルタ層や光散乱層、光偏光層等を設けてもよい。
これらの基板21は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部あるいは表面の水分を極力低減させることが望ましい。また、基板21と、基板21上に積層される材料との密着性を向上させるために、基板21上に積層される材料の種類に応じて、例えば、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を基板21に施してから使用することが好ましい。
まず、この基板21上に第一電極層22を形成する。
薄膜トランジスタを有機ELパネルのスイッチング素子として機能させるために、薄膜トランジスタのドレイン電極と、有機ELパネルの各画素を構成する有機EL素子の第一電極層22とを電気的に接続する。薄膜トランジスタのドレイン電極と、有機EL素子の第一電極層22との接続は、平坦化膜を貫通するコンタクトホール内に形成された接続配線を介して行われる。
また、第一電極層22は、隔壁25によって区画され、各画素に対応した画素電極となる。第一電極層22の材料としては、仕事関数の高い材料を選択することが好ましく、例えば、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができる。本実施形態に係る有機ELパネルはトップエミッション型の有機ELパネルであるため、第一電極層22は、正孔注入性と反射性とを備えるAgやAlのような金属材料の上にITO膜を積層したものであればよい。第一電極層22の膜厚は、有機ELパネルの素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、10nm以上1000nm以下の範囲内であり、より好ましくは、10nm以上300nm以下の範囲内である。
第一電極層22の形成方法としては、材料に応じて、例えば抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、例えばグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。
第一電極層22を形成後、隣接する陽極パターンの間(つまり、第一電極層22同士の間)にフォトリソグラフィ法により隔壁25を形成する。隔壁25を形成する工程は、感光性樹脂組成物を基板21に塗布する工程と、パターン露光、現像、焼成して隔壁パターンを形成する工程とを少なくとも有している。
隔壁25は、画素に対応した発光領域を区画するように形成される。一般的にアクティブマトリクス駆動型の表示装置は、各画素に対して第一電極層22が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとする。このため、第一電極層22の端部を覆うように形成された隔壁25の最も好ましい形状は、格子状を基本とする。
また、隔壁25を多段状にすることもでき、その場合には基板21上の全面に形成されたSiOやSiNからなる絶縁性の無機膜をフォトリソグラフィ工程により画素を区切る格子状に形成して1段目の隔壁とする。そして、その1段目の隔壁上に感光性樹脂からなる2段目の隔壁をフォトリソグラフィにより形成する。
隔壁25を形成する感光性材料としては、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁25が十分な絶縁性を有さない場合には、隔壁25を通じて隣り合う画素電極(第一電極層22)間に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。また、TFTの誤作動により適正な表示ができないことがある。感光性材料としては、具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるが、これらに限定するものではない。また、有機ELパネルの表示品位を高める目的で、遮光性の材料を感光性材料に含有させてもよい。さらに、必要に応じて撥水剤を添加したり、プラズマやUVを照射して形成後にインクに対する撥液性を付与したりすることもできる。
隔壁25を形成する感光性樹脂は、例えばスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁25のパターンを形成する。また、焼成に関しては、例えばオーブン、ホットプレート等の従来公知の方法により焼成を行うことができる。
こうして形成された隔壁25は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲内にあることが望ましい。これは、異なる発光色を有する有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを用いて画素ごとに塗り分けを行う場合、隣接する画素との混色を防止するためである。隔壁25が低すぎると隣接画素間でのリーク電流の発生やショートの防止、有機発光インキの混色防止の効果が得られないことがある。
有機発光媒体層23は、電圧の印加によって発光する有機発光層を含んでいる。有機発光媒体層23は、この有機発光層からなる単独の層によって構成されたものであってもよい。また、有機発光媒体層23は、この有機発光層に加えて、発光効率を向上させる発光補助層を積層した積層構造から構成されたものであってもよい。発光補助層としては、例えば、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、CuO、Cr、Mn、FeOx(x〜0.1)、NiO、CoO、Pr、AgO、MoO、Bi、ZnO、TiO、SnO、ThO、V、Nb、Ta、MoO、WO、MnOなどの無機材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
有機ELパネルの場合には、正孔輸送材料に、インターレイヤ層を形成することが好ましい。インターレイヤ層に用いる材料として、例えば、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。これらの材料を溶媒に溶解または分散させ、スピンコート法等を用いた各種塗布方法や凸版印刷方法によって、インターレイヤ層を形成することができる。
有機発光材料としては、例えば、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることができる。
電子輸送材料の例としては、例えば、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。また、これらの電子輸送材料に、例えば、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属、アルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層としてもよい。
有機発光媒体層23の膜厚は、単層または積層により形成する場合においても、1000nm以下であり、好ましくは50〜200nm程度である。有機発光媒体層23の形成方法としては、有機発光媒体層23の材料に応じて、例えば、真空蒸着法や、スリットコート、スピンコート、スプレーコート、ノズルコート、フレキソ印刷、グラビア印刷、凹版オフセット印刷、凸版オフセット印刷などのコーティング法や印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
有機発光媒体層23を形成した後、第二電極層24を成膜する。第二電極層24には、有機発光媒体層23への電子注入効率の高い、仕事関数の低い物質を用いる。具体的には、Mg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にBa、Ca、Liやその酸化物、フッ化物等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層したものを第二電極層24として用いることができる。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金を用いてもよい。具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金が使用できる。第二電極層24側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造とする場合には、透光性を有する材料を選択することが好ましい。この場合、仕事関数が低いLi、Caを薄く設けた後に、例えば、ITOやインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物を積層してもよく、有機発光媒体層23に、仕事関数が低いLi、Caなどの金属を少量ドーピングして、ITOなどの金属酸化物を積層してもよい。
第二電極層24の形成方法は、材料に応じて、例えば抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。第二電極層24の厚さに特に制限はないが、10nm〜1000nm程度が望ましい。また、第二電極層24を透光性電極層として利用する場合やCaやLiなどの金属材料を用いる場合の膜厚は、0.1〜10nm程度が望ましい。
次に、第二電極層24上に、有機シート層a(第一有機シート層)26と吸湿性物質27と有機シート層b(第二有機シート層)28とを積層し、封止層を形成する。
有機シート層a26および有機シート層b28は接着性を持っており、予め封止基板サイズに加工したフレキシブル封止基板29に、吸湿性物質27を片面に付着させた有機シート層b28の吸湿性物質27が付着してない面を貼り付ける。更に、有機シート層b28の吸湿性物質27を付着させた面に有機シート層a26を貼付ける。こうして積層体30を形成する。なお、本実施形態では、有機シート層b28の片面に吸湿性物質27を付着した場合について説明したが、有機シート層b28に吸湿性物質27を混ぜ合せてシート状にして用いても良い。
なお、有機シート層a26及び有機シート層b28のそれぞれは、熱硬化性もしくは光硬化性を有する硬化物または粘着性を有する未硬化物で形成されていれば好ましい。
一体となった有機シート層a26及び有機シート層b28の厚みは、吸湿性物質27の粒径(平均粒子径)より厚い(大きい)ことが好ましい。換言すると、有機シート層a26の膜厚と有機シート層b28の膜厚のそれぞれの値は、吸湿性物質27の平均粒子径以上の値とすることが好ましい。有機シート層a26の膜厚と有機シート層b28の膜厚のそれぞれの値が、吸湿性物質27の平均粒子径以上の値であれば、有機ELパネルの製造時に、吸湿性物質27が第二電極層24に接触する可能性を低減できる。このため、吸湿性物質27による第二電極層24の局所応力によって発生していた、第一電極層22と第二電極層24とのショートを低減することができる。
また、有機シート層a26の厚みは、有機シート層b28の厚みよりも厚い(つまり、有機シート層a26の厚み>有機シート層b28の厚み)ことが望ましい。このほうが、吸湿性物質27による第二電極層24の局所応力により発生していた第一電極層22と第二電極層24とのショートをより低減することができる。また、有機シート層a26、有機シート層28、フレキシブル封止基板29の面積(平面視した場合の面積)の大小関係は、フレキシブル封止基板29>有機シート層a26>有機シート層b28であり、積層体30の端面には吸湿性物質が露出しないことが望ましいが、これに限定するものではない。
有機シート層a26と有機シート層b28とに挟まれた吸湿性物質27として、化学吸湿性物質または物理吸湿性物質を用いることができる。より詳しくは、吸湿性物質27は、化学吸湿性物質と物理吸湿性物質の少なくともいずれか一方を含んだ吸湿性物質であればよい。
化学吸湿性物質としては、例えば五酸化二リン(P)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)などが挙げられる。また、物理吸湿性物質としては、例えば酸化アルミニウム(Al)、ゼオライト(アルミナ珪酸塩)、シリカゲル、活性アルミナなどが挙げられる。
吸湿性物質27の粒径(平均粒子径)は、0.01〜1000μm、望ましくは0.1〜100μmである。また、吸湿性物質27の含有量は、1重量%〜90重量%、望ましくは15重量%〜65重量%である。
化学吸湿性物質は、1種類または数種類用いることができる。また、物理吸湿性物質も同様に、1種類または数種類用いることができる。
有機シート層a26及び有機シート層b28は、水蒸気をなるべく透過させない方が好ましく、水蒸気透過率は10g/m/day未満が望ましい。仮に有機シート層a26及び有機シート層b28に水蒸気が侵入した場合であっても、その水蒸気は、有機シート層a26及びb28に食い込んだ吸湿性物質27で吸湿される。
フレキシブル封止基板29としては、透明性を必要とするトップエミッション型の有機EL素子の場合には、例えば薄ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムを用いることができる。また、透明性を必要としないボトムエミッション型の有機EL素子の場合には、上記の材料に加えてステンレスやアルミなどの金属材料や不透明な薄ガラス、プラスチック材料を用いることができる。なお、フレキシブル封止基板29の水蒸気透過率は、1×10−3g/m/day以下が望ましい。
次に、予め封止基板サイズに加工された有機シート層a26、吸湿性物質27、有機シート層b28、フレキシブル封止基板29を積層させた積層体30を貼り付ける工程以降の工程の一例を説明する。
まず初めに、予め封止基板サイズに加工された積層体30を基板21上に多面付けされた第二電極層24の上に貼り付ける(図2)。より詳しくは、例えば貼付けローラー31を用いて、積層体30の有機シート層a26で第二電極層24を覆うようにして、積層体30を第二電極層24の上に貼り付ける。有機シート層(有機シート層a26及び有機シート層b28)は液状ではなく、閉ループのシール剤も必要としないため、容易に貼付けることができる。貼り付ける際に貼付けローラー31は常温のままでも良いが、加熱しても良い。また、一つの貼付装置にローラーヘッド(貼付けローラー31)を複数個設ければタクトタイムを短縮させることができる。貼付時の圧力によって、吸湿性物質27による第一電極層22と第二電極層24との上下ショートは、有機シート層a26が厚いため保護されている。この手段により、これまで真空減圧下で上下基板を貼り合せると言う大掛かりな工程を省略することが可能となる。
次に、基板21の多面付けされた第二電極層24上に予め封止基板サイズに加工されたフレキシブル封止基板29を貼付けたユニットをスクライブする(図3)。フレキシブル封止基板29を含む積層体30は、既に封止基板サイズに加工されているため、スクライブの必要がない。このため、基板21のみにスクライブライン32を入れて裁断することで、有機ELパネルが完成する。この手段により、断裁工程の大幅な簡略化が可能となる。基板21がフレキシブル基板の場合は、抜き型37を用いて一括抜きを行っても良い(図4)。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、有機シート層a26、吸湿性物質27、有機シート層b28の3層構造からなる積層体30について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、有機シート層と吸湿性物質の層を増やし、3層よりも多層の構造からなる積層体301を用いてもよい(図5)。その際、吸湿性物質27に挟まれた有機シート層c33は、吸湿性物質27に水分をすばやく吸収させるために水蒸気を透過させ易い有機シート層であることが好ましく、水蒸気透過率で10g/m/day以上が望ましい。
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、積層体30よりも有機シート層と吸湿性物質の積層数を増やした積層体301について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、有機シート層a26の周囲に吸湿性物質27を設け、外からの水蒸気の進入を遅延させる構造としてもよい(図6)。
[実施例]
以下、本発明の実施形態に係る実施例及び比較例による説明をするが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
まず、図7に示す有機ELパネルを作製した。基板21には、TFT基板を用いた。TFT基板21は、第一電極層22、取り出し電極、TFT回路を保護するためのSiNx層からなる無機絶縁層、および無機絶縁層上のポリイミドからなる樹脂絶縁層を既に備えており、絶縁層は、画素を仕切る隔壁25として形成されている。
次に、第一電極層22上に、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物からなる正孔輸送層をスピンコート法により20nm厚で形成した。
次に、正孔輸送層上に有機発光層を形成し、前記正孔輸送層と合わせて有機発光媒体層23を80nm厚で形成した。有機発光層は、有機発光材料であるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビュレン]をトルエンに溶解させてスピンコート法で形成した。
次に、有機発光媒体層23及び隔壁25を覆うように、Ba及びAlからなる第二電極層24を蒸着法(例えば、抵抗加熱蒸着法)により、それぞれ5nm厚、2nm厚で形成した。
続いて、有機シート層a26、吸湿性物質27、有機シート層b28をフレキシブル封止基板29に積層させた積層体30を、不活性ガス中にて、第二電極層24を覆うようにして基板21上に貼付けローラー31で貼付けを実施した。
このようにして得た有機ELパネルを60℃90%放置試験に投入した。1000時間経過しても吸湿性物質27による上下ショートが原因である黒点とダークエリア、ダークスポットは見られなかった。
[比較例]
実施例に記載した第二電極層24まで形成した基板21に、シールギャップ材34を混合したダム剤35を塗布し、吸湿性物質27を分散させたフィル剤36を塗布し、フレキシブル封止基板29のローラー貼り付けを実施し、有機ELパネル(図8)を作製した。同じ様に60℃90%放置試験を行ったところ、240時間で吸湿性物質27による局所応力起因の黒点が見られた。また、貼付け時に生じたダム剤形状不良により、ダークエリア、ダークスポットも見られた。
以上の結果から実施例は、比較例に比べて、局所応力、プロセス性に優れ、水蒸気によるダークスポット、ダークエリアに対しても優れることが分かる。
11…基板
12…第一電極層
13…有機発光媒体層
14…第二電極層
15…接着層
16…乾燥剤
17…封止基板
18…隔壁
21…基板
22…第一電極層
23…有機発光媒体層
24…第二電極層
25…隔壁
26…有機シート層a
27…吸湿性物質
28…有機シート層b
29…フレキシブル封止基板
30…積層体
31…貼付けローラー
32…スクライブライン
33…有機シート層c
34…シールギャップ
35…ダム剤
36…フィル剤
37…抜き型
301…積層体

Claims (2)

  1. 平板基板上に、少なくとも第一電極層、有機発光層を含む有機発光媒体層、第二電極層、封止層、封止基板がこの順に積層された有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法であって、
    前記封止層を、第一有機シート層、吸湿性物質、第二有機シート層がこの順に積層されたものとし、前記封止層の前記第二有機シート層上にさらに前記封止基板を積層してなる積層基板を、前記第一有機シート層が前記第二電極層を覆うように前記第二電極層上に貼付け、前記積層基板を前記第二電極層上に多面付けした後に、前記平板基板のみを断裁して個々のパネルを分断することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記積層基板を、貼付けローラーを用いて前記第二電極層上に貼付けることを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
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